弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2015年 11月 08日 ( 1 )

第37回医療問題弁護団・研究会全国交流集会

第37回医療問題弁護団・研究会全国交流集会のため,6日から7日に大阪に行ってきました.
1日目の東京の医療問題弁護団は,「治験・臨床研究における被験者保護についての研究」を発表しました.大変優れた研究でした.3藤(加藤弁護士,工藤弁護士,佐藤弁護士)らをはじめ若手団員の活躍が目立ちました.横浜,大阪の弁護士のそれぞれの発表も拝聴しました.

2日目の大島眞一判事のご講演「医療訴訟における因果関係」とその後のシンポジウム(大島眞一判事,大場めぐみ弁護士,鵜飼万真子弁護士,岩本朗弁護士)は,大変興味深い内容でした.

民法は,損害賠償について簡単な条文ををおいているだけで,「過失」「因果関係」「損害」の具体的な内容は損害賠償の類型により異なります.最高裁判決は,証拠が偏在し,知見が乏しい医療訴訟において医療の不確実性を考慮し,適切妥当な解決を導くため医療訴訟の特質に応じた損害賠償法理を創出してきました.
ところが,判事が編集,執筆した本のなかにも,最高裁判決の理解が正確ではない部分もあり,地裁レベルでは,最高裁判決を単に表層的になぞっただけで,甚だしい場合には正反対のものに理解した判決がだされている場合もあります.下級審の裁判官が,「医療水準論」を誤解したり,「因果関係論」の相当程度の用い方を誤ったりした結果(下級審判決)も確定し結構の数が集積しています.
この最高裁判決と下級審判決の乖離は,どうして生じたのか,私には疑問でした.

大島判事のご講演とシンポジウムを聴いて,その疑問を解くヒントをもらえた気がしました.
大島判事は,医療集中部に配属された裁判官は,条文と判例を読んで勉強し1年くらい経つと分かってきた感じになる,というのです.
つまり,医療集中部に配属されたことのない判事,判事補は,医療事件の最高裁判例を深く勉強する機会がありません.医療集中部に配属された判事,判事補であっても,最高裁判決について調査官解説等を読んで1つ1つ深く勉強する時間が与えられるのではないようです.
最高裁判決の表層的理解が一人歩きをし,最高裁判決の真意が地裁の裁判官に浸透しない大きな理由は,地裁裁判官が直接最高裁判決にあたって勉強することが少ないためではないか,と思いました.
弁護士は,同じ種類の事件を取り扱い,最高裁判決について1つ1つ丁寧に深く勉強していますが,裁判官は,転任が多く,民事,家事,労働,刑事,行政,知財まで幅広く取り扱うのですから,証拠が偏在し乏しい医療訴訟において適切妥当な解決を導くため医療訴訟の特質に応じ最高裁が創出した考え方を下級審に浸透させていくために,弁護士は何をすべきか,ヒントをもらった気がしました.

高橋智弁護士,石川寛俊弁護士,安原幸彦弁護士の会場発言にも共感しました.

その後,近鉄百貨店地下の「福寿堂秀信」でお土産を買い,地元の中高年のご婦人で賑やかな「美々卯」の片隅で昼食を食べ割引券をもらい,16階のあべのハルカス美術館で「フィラデルフィア美術館浮世絵名品展」を見ました.多色刷りで大きなものに発展した浮世絵の歴史を概観できました.上方浮世絵というものがあることを知りました.


谷直樹


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by medical-law | 2015-11-08 23:41 | 医療事故・医療裁判