弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2018年 04月 27日 ( 4 )

不妊治療の卵管通気検査を受けた女性が空気塞栓症によって死亡した事案で書類送検



朝日新聞「不妊治療で女性死亡、担当医らを書類送検へ 福岡県警」(2018年4月23日)は,次のとおり報じました..

 
「不妊治療で国内トップレベルの技術を誇る「セントマザー産婦人科医院」(北九州市八幡西区)で2016年、不妊治療で過って30代の女性を死亡させたとして、福岡県警は近く、当時の男性担当医や院長らを業務上過失致死の疑いで書類送検する方針を固めた。捜査関係者への取材でわかった。

 捜査関係者によると、女性は16年11月に不妊治療のために来院。卵管のつまりを検査するため、担当医らは全身麻酔をかけた上で腹腔(ふくくう)鏡を使って体内に空気を送り込む手術をしたが、途中で女性の容体が悪化。女性は別の病院に搬送されたが翌月、一定量の空気が血管に入って血流が妨げられる空気塞栓(そくせん)症によって死亡した。女性は手術前、健康だったという。

 県警は、医院側が適切な治療をしなかった可能性があるとして、業務上過失致死の疑いで捜査。捜査関係者によると、担当医らが過って血管の中に空気を送り込んだ可能性があるという。手術には院長らも立ち会っており、注意監督義務を怠ったと判断した。

 同医院はこれまでの朝日新聞の取材に、「多忙で難しい」などとして応じていない。」



毎日新聞「検査で女性死亡 セントマザー医院3人書類送検 福岡県警」(2018年4月24日)は,次のとおり報じました.

「高度な不妊治療で知られる北九州市八幡西区の「セントマザー産婦人科医院」で2016年、不妊治療を受けた女性が死亡し、福岡県警は23日、担当の男性医師(37)=東京都墨田区=や男性院長(68)=北九州市八幡西区=ら医師3人を業務上過失致死容疑で福岡地検小倉支部に書類送検した。

 送検容疑は16年11月16日、不妊治療のため通院していた福岡県の女性(当時37歳)の卵管の通りを確認するため、腹部に穴を開けて小型カメラなどを挿入する腹腔(ふくくう)鏡検査を実施した際、担当医が子宮内に大量の空気を注入。直後に女性の容体が急変し北九州市の別の病院に運ばれたが、同年12月1日、空気が毛細血管から吸収され血管内で塞栓(そくせん)を引き起こしたことによる多臓器不全で死亡させたとしている。

 県警によると、卵管の検査で異状がなかったため、院長が施術を中止するよう指示したが、担当医が卵管の通過性を高めようと独断で空気を注入。同様の治療では血液に溶けやすい炭酸ガスを使うのが一般的で、空気を使うのは珍しいというが、担当医は数百ccの空気を注入したとされる。県警に危険な行為との認識があったと認めた上で「自然妊娠がしやすくなるようにやった」と供述しているという。

 県警は治療に立ち会った別の男性医師(37)には制止しなかった責任、院長には監督責任がそれぞれあったと判断。捜査関係者によると、担当医については起訴などの厳しい刑事処分を求める「厳重処分」の意見を付けた。担当医は既に同医院を辞めているという。

 同医院は「事態を重く受け止め、ご遺族におわび申し上げています。現在も捜査中なので現時点では内容への回答は差し控えたい」とするコメントを出した。【柿崎誠、井上卓也】
保険適用の治療法

 不妊治療が原因で死亡するというショッキングな事故は、子宮に気体を通して卵管内の詰まりを取り除き、自然妊娠しやすくする「通気」治療中に起きた。それ自体は保険も適用される治療法で、専門家も「死亡事故は聞いたことがない」と口をそろえる。

 ただ専門家は通気治療で一般的な炭酸ガスではなく、空気を使ったことを疑問視する。日本生殖医療研究協会の荒木重雄会長は「空気を大量に入れて通りを良くする治療はない」と指摘。そのうえで「体外受精が普及した15年ほど前からは、通気治療自体が減っている」と言う。

 しかも今回の事故では、空気を注入する前の水を通す検査で、卵管の通過性が確認できていたという。名古屋大医学部付属病院の後藤真紀・病院講師は「それ以上通気する必要がなく、標準的ではないと思う」と語る。

 日本では6組に1組の夫婦が不妊に悩んでいるとされ、日本産科婦人科学会の調査では、2015年に誕生した赤ちゃんの約20人に1人が体外受精で生まれている。

 事故があったセントマザー産婦人科医院は、老化した卵子の若返りを目指した先進研究に取り組み、海外の専門医の研修を受け入れるなど高度な不妊治療で知られる。そうした専門医院で起きた今回の事故。子をほしいと願う多くの夫婦が安心して不妊治療を続けられるようにするためにも、原因の徹底究明が求められる。【佐野格】


これは,私が担当したものではありません.
上記報道からすると,刑事責任は免がれないように思います.


谷直樹

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by medical-law | 2018-04-27 05:10 | 医療事故・医療裁判

日本禁煙学会がドトールコーヒーに全面禁煙,従業員の健康診断を要望

日本禁煙学会は,2018年4月23日,ドトールコーヒーに

1.分煙店をやめ、ただちに全席禁煙店にしてください。
2.今後健康被害が出る恐れがあり、従業員の少なくとも三十年間にわたる健康診断を続けてください。


と要望しました.

分煙店舗のアルバイトからのメールをきっかけに,日本禁煙学会ドトールの19店を調査したところ、喫煙区画のPM2.5は平均216マイクログラム/m3で,.アメリカ環境保護庁の分類でもっとも危険なHazardous(心臓や肺の悪い人、お年寄り病状がいちじるしく重くなり、死亡率も著しく高まる。一般の人に重い呼吸器症状が現れる恐れあり。)で、全死亡増加率=150%でした.
禁煙区画では平均28.5マイクログラム/m3で,近隣のスターバックス店に比較すると高く,禁煙区画にもタバコの煙が漏れていると考えられました.
労働安全衛生法から,雇用主には従業員が受動喫煙を浴びないようにする義務がありますので,日本禁煙学会は,上記の要望を行いました.

http://www.jstc.or.jp/uploads/uploads/files/journal/2018423DC.pdf

谷直樹

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by medical-law | 2018-04-27 04:35 | タバコ

東京都受動喫煙防止条例(仮称)の骨子案

東京都は,東京都受動喫煙防止条例(仮称)の骨子案をとりまとめ,2018年4月20日,公表しました.
2018年6月に都議会に条例案を提出し,可決されれば,段階的に施行し,2020年に全面施行となる予定です.

岡本光樹都議会議員・弁護士が受動喫煙防止条例案のポイントを解説しています.
アゴラご参照


谷直樹

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by medical-law | 2018-04-27 04:10 | タバコ

国会,裁判所を敷地内禁煙としない健康増進法改正案

産経新聞「国会議員にモクモク特権、いつの間にか規制緩和」(2018年4月27日)は,次のとおり報じました.

「国会で受動喫煙の対策強化が議論されようとしている中、当の国会議事堂での対策の遅れを問題視する声が議員の間で強まっている。政府の健康増進法改正案が、最も厳しい規制の対象から国会議事堂を除外したことに「不公平で、筋が通らない」との批判が噴出。自らは“特権”を享受しつつ、民間に厳しい規制を強いることにどこまで理解が得られるか。」

「今年3月9日に国会に提出された改正案では「官公庁」の分類が消え、「行政機関」なる言葉が登場した。「行政機関」は中央省庁や都道府県庁、市役所など。「学校」「病院」「児童福祉施設」とともに「敷地内禁煙」に指定され、それ以外の事務所やホテルといった施設は、一段規制が緩い「原則屋内禁煙(喫煙専用室内でのみ喫煙可)」となった。

 立法機関である国会は後者に分類され、最も厳しい規制を免れることになる。厳しい規制を課す法案を審議、可決しようとする国会自身の規制が甘いのは道理が通らないのではないか。」


法案は,三権分立に配慮したということなのでしょうが,当然,国会,裁判所も敷地内禁煙とすべきでしょう.

谷直樹

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by medical-law | 2018-04-27 03:52 | タバコ