弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2018年 05月 17日 ( 2 )

公立置賜総合病院が十二指腸穿孔の疑い見落とし死亡事件で3600万円で和解(報道)

NHK「異常見落とし 病院が遺族と和解」(2018年5月16日)は,次のとおり報じました.

「おととし、川西町の公立置賜総合病院で腹痛を訴えて救急外来を受診した70代の男性が、腹膜炎を起こして死亡し、病院は、当直の医師がレントゲン画像の異常を見落としていたとして、遺族に3600万円を支払うことで和解しました。

公立置賜総合病院によりますと、おととし5月、置賜地方に住む70代の男性が腹痛を訴えて病院の救急外来を受診し当直の医師から薬の処方や点滴を受けて帰宅しましたが、翌日、容体が急変して死亡しました。
死因は、十二指腸に穴が開いたことによる腹膜炎で、救急外来を受診した際に撮影されたレントゲン画像を確認したところ、腸に穴が開いていることを疑わせる所見が見つかったということです。
このため、病院は、当直の医師が、レントゲン画像の異常を見落としていなければ、命を救えた可能性があるとして、遺族に謝罪したうえで3600万円を支払うことで和解したということです。
公立置賜総合病院は「今後は、救急外来での精密検査を的確に行い、専門の医師に指示を仰ぐなど組織的なチェック体制を強化して、再発防止に努める」とコメントしています。」


報道の件は私が担当したものではありません.
画像検査記録に(明らかに十二指腸穿孔を診断できる所見でなくても)十二指腸穿孔を疑わせる所見があれば,帰宅させたことは注意義務違反(過失)にあたります.救急外来を担当する医師は必ずしも消化器の専門家とは限りませんが,緊急重大な疾患の疑いを拾い上げ,消化器の専門家医師につなげる注意義務があります.
この時点で画像検査記録から十二指腸穿孔による急性汎発性腹膜炎に気付けば救命できた可能性があったことから,このような和解が成立したと考えられます.

谷直樹

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by medical-law | 2018-05-17 04:53 | 医療事故・医療裁判

岐阜県立多治見病院の点滴チューブ外れ事故死事件が裁判へ(報道)

朝日新聞「点滴チューブ外れ失血死 県立多治見病院を遺族が提訴」(2018年5月12日)
は次のとおり報じました.

「岐阜県立多治見病院(多治見市)で昨年4月、点滴チューブが外れて入院中の70代の女性が失血死した事故で、遺族が病院に約3900万円の損害賠償を求める訴訟を名古屋地裁に起こした。提訴は4月18日。

 訴状などによると、女性は昨年4月11日、入院中に点滴チューブの接続部が外れ、血液が体外に流出して亡くなった。病院側のその後の調査で、容体の異常を知らせる生体モニターのアラームが鳴っていたが、「対応する責任者が明確でなかった」などと「医療ミス」を認めている。遺族は「極めて基本的かつ初歩的な注意義務で、違反の程度は重大だ」としている。

 病院が1月末に遺族にミスを認めて謝罪したが、その後の示談交渉で折り合わなかったという。病院は取材に「事故を起こしたことを真摯(しんし)に受け止め、ご遺族が納得できる賠償額を話し合いたい」としている。(仲程雄平)」


報道の件は私が担当したものではありません.
過失と因果関係が認めら,損害額だけの争いであっても,保険会社の意向等があって裁判外では解決できないことがあります。

【追記】
西日本新聞「岐阜、点滴死亡事故で和解 県立多治見病院が謝罪」(2018年9月12日 )は,次のとおり報じました.

「岐阜県立多治見病院(同県多治見市)で昨年4月、点滴のチューブが外れ、入院していた70代の女性が失血死した事故で、遺族が病院に約3800万円の損害賠償を求めた訴訟は12日までに、名古屋地裁で和解が成立した。病院が謝罪し、1700万円を支払う。和解は11日付。
 遺族側代理人は「遺族は賠償金よりも謝罪と再発防止を求めていた」と説明。多治見病院は「改めてご遺族に深くおわびし、再発防止に取り組む」とコメントした。
 事故を巡っては、多治見署が業務上過失致死の疑いもあるとみて捜査しているが、遺族側代理人は「処罰は求めない」としている。」


賠償金額が争点で提訴したというわけではなかったのですね.誠実な謝罪と実効的な再発防止を求めての提訴だったようです.

谷直樹

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by medical-law | 2018-05-17 04:12 | 医療事故・医療裁判