弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2018年 05月 25日 ( 2 )

奥州市総合水沢病院が検査が不十分だったことを認め,2億3千万円で和解(報道)

岩手日報「水沢病院で医療事故 奥州市、和解へ2億3千万円」(2018.05.24)は,次のとおり報じました.

「奥州市は23日、同市水沢大手町の市総合水沢病院(半井(なからい)潔院長、145床)で2013年12月に呼吸苦などを訴えて入院した同市の20代女性が重度の意識障害になった医療事故があったと明らかにした。女性側が病院側に損害賠償を求める訴訟を盛岡地裁に起こしており、市は和解するために慰謝料など2億3千万円を支払う方針を固めた。市は検査が不十分だったと認めている。

 同日開かれた市国保事業運営協議会で明らかになった。市医療局によると、女性は13年12月、自律神経失調症の疑いで内科に入院。倦怠(けんたい)感や呼吸苦など原因が特定できない体の不調を訴えた。主治医は心療内科と併せた診療が必要として転院を調整したが、転院前に女性の呼吸の状態が悪化し、心肺停止状態となった。盛岡市の県立中央病院に搬送後、低酸素脳症で重度の意識障害となり、現在も別の病院に入院中。

 女性側は訴訟で、心肺停止になる前に病院側が必要な処置を行わなかったと主張し、病院側に約3億円の損害賠償を求めた。市医療局によると、16年3月から盛岡地裁で口頭弁論が始まり、17年6月に地裁から和解に向けた提案があった。

 市は、女性が患っていたとみられる難病のギラン・バレー症候群がまれな疾患のため、疾患と疑って治療を始めるのは非常に困難とする一方、病院の検査は不十分だったと認め、和解する方針。和解金は逸失利益や将来の介護費用などが含まれる。」


報道の件は私が担当したものではありません.
原因が不明な場合は検査を実施すべき注意義務があります.とくに病名を特定できなくても患者に重大な病気の可能性がある場合には,すみやかに検査を実施すべき注意義務があります.
自院で診療できない場合は,高度な医療を施すことのできる診療機関に転医させる義務があります.
報道から判断すると,義務違反は免れない事案と思います.

谷直樹

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by medical-law | 2018-05-25 06:40 | 医療事故・医療裁判

2つの会見

宮川選手の会見は,衝撃的な内容でしたが,わかりやすく,気持ちが伝わるものでした.
宮川選手の会見には,代理人である弁護士法人多摩パブリック法律事務所(東京弁護士会が支援する公設事務所)の弁護士2名が付き添い,出過ぎず,必要なときには適切に介入していました.
翌日の日大の会見は,これと対照的でした.
指示の有無について当事者の言い分が真っ向から対立していますので,捜査によって真実を明らかにする必要がありそうです.

スポーツによる傷害が一般に傷害罪に問われないのは,「正当行為」,「危険の引き受け」等で説明されています.
判例は,「目的の正当性」「ルールの遵守」,「同意の範囲」等を基準として判断しています.つまり,目的が正当でなく,ルール違反で,同意の範囲を超えたものは,傷害罪に問われることがあります.
また,実行行為者に犯罪を指示した者も,教唆犯あるいは共同正犯として罪に問われます.

谷直樹

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by medical-law | 2018-05-25 06:21 | 人権