弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2018年 07月 18日 ( 3 )

日本医療機能評価機構,医療事故情報収集等事業医療安全情報No.140「腫瘍用薬の総投与量の上限を超えた投与」

日本医療機能評価機構によると,添付文書に記載された総投与量の上限を超えて腫瘍用薬を投与した後患者に影響があった事例が2件報告されているとのことです.

「医師はドキソルビシン塩酸塩の総投与量の上限が500mg/m2であることを知っていたが、正確な記録はなく、さらにAP療法を6コース実施した。
その後、患者は心筋障害を発症し、ドキソルビシン塩酸塩の総投与量を調べたところ、620mg/m2であった。」


「腫瘍用薬の総投与量を把握する仕組みを医療機関内で検討しましょう。」とのことです.


谷直樹

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by medical-law | 2018-07-18 06:59 | 医療事故・医療裁判

高知医療センター,プラスチック製のチューブを挟み込んだまま胃と腸を縫合(報道)

共同通信「チューブ挟み胃と腸縫合、高知 医療センターがミス」(2018年7月13日)は,次のとおり報じました.

 「高知医療センター(高知市)で昨年度末、高知県内の40代女性に実施した胃がんの手術で、プラスチック製のチューブを挟み込んだまま胃と腸を縫合するミスがあったことが同センターへの取材で13日までに分かった。数日後、内視鏡を使ってチューブを切断し、1センチ弱が残ったままだが、術後の経過に問題はないとしている。

 同センターによると、胃の内部の圧力を下げるために鼻から入れたチューブを挟んだまま、医療用ホチキスで胃と腸を縫合。翌日、鼻からチューブが抜けず、コンピューター断層撮影装置(CT)を用いた診断をしてミスが分かった。今後数年間は定期的に縫合部の検査を続ける予定。」


上記報道の件は,私が担当したものではありません.
事故は昨年度末で,「取材でわかった」とのことです.
事故原因,再発防止策については,報じられていません.
高知医療センターは,結果が重大でなければ公表しないでよいという考えなのかもしれませんが,事故について原因を調査し,具体的にどのような再発防止策を講じたのかをすすんで公表することで,患者からの信頼を得ることができると思います.

谷直樹

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by medical-law | 2018-07-18 06:42 | 医療事故・医療裁判

区委託がん検診の胸部レントゲン検査で3回肺がんの見落とし(報道)

読売新聞「区委託がん検診で3回連続見落とし、40代死亡」(2018年7月17日)は,次のとおり報じました.

 「社会医療法人「河北医療財団」(東京都杉並区)は17日、財団が運営する河北健診クリニック(同区)で行った胸部レントゲン検査で、3回にわたってがんを見落とし、40歳代の女性が死亡したと発表した。

 同財団によると、女性は2014年と15年、同クリニックで実施された職場の健診を受けた。いずれもレントゲン画像にがんの影が見つかったが、医師は影を乳頭だと判断し、「異常なし」とした。がんが悪化した今年1月にも、同クリニックで区の肺がん検診を受けたが、問題はないと判断されたという。

 4月に呼吸困難のため他院に救急搬送され、肺がんだと判明。女性は抗がん剤治療を受けたが、6月に死亡した。

 同財団は17日の記者会見で、「影の位置は乳頭としては高く、がんを疑うべきだった。適切な治療ができていれば、良い結果になっていた可能性もある」と説明。河北博文理事長は「3回連続で見落とし、申し訳ない」と謝罪した。」


報道の件は,私が担当したものではありません.
癌の見落とし事案は多く,私も担当していますが,ミスには2つの類型があります.
1つは画像診断ミス,もう一つは情報共有ミスです.
画像診断ミスは,癌の種類,検査の種類により分類できます.

肺癌の中には小細胞癌,扁平上皮癌のように喫煙との関連性が強い癌もありますが,腺癌は喫煙との関連性が弱く,非喫煙者も罹患します.この肺腺癌は,肺癌のなかで最も多いのですが,症状が出にくく,症状が出たときには進行しています.
早期癌を診断治療するためには,定期的な画像検査が必要となります.
胸部CT撮影では小さなものまで写り,過剰診断に気をつける必要もあります.小さなものでは経過観察も行われます.
他方,胸部レントゲン撮影は影をみている関係で,或る程度大きくなったものを発見できます.そのレントゲン撮影で見落としがあった場合は,かなり進行していることも多く,見落としは重大な結果に結びつくことも多いようです.

癌の見落としは,生命予後に関係するのみならず,患者に大きな落胆を与えます.そこで,癌の見落としは,過失を立証できれば,結果に影響したことを立証できない場合でも慰謝料請求ができます.具体的な賠償金額は個別事情により違いますが,例えば福岡高裁平成25年11月1日判決(裁判所サイト)は,慰謝料180万円と弁護士費用20万円の計200万円の賠償を命じています.
過失と因果関係を立証できる事案であれば,相当因果関係のある損害について賠償を求めることができます.
癌の見落としについては,民事的な責任を問うことも重要ですが,医療体制として見落としが生じないようにすることも大事だと思います.

谷直樹

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by medical-law | 2018-07-18 06:18 | 医療事故・医療裁判