弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2018年 08月 28日 ( 5 )

岐阜市の病院で患者4名死亡し,業過致死の疑いで家宅捜索(報道)

中日新聞「岐阜の病院でエアコン故障?4人死亡 業過致死の疑いで県警捜査」(2018年8月28日)は,次のとおり報じました.

「岐阜市一番町の「Y&M藤掛第一病院」で26日夜から27日午前にかけ、高齢の入院患者4人が相次いで死亡していたことが、岐阜県警への取材で分かった。当時、施設のエアコンが故障していたとの情報もあり、県警が熱中症の影響などを含め、業務上過失致死の疑いを視野に捜査を始めた。

 捜査関係者によると、4人は県内外の83~85歳の男女各2人。施設の3階と4階の部屋に入院し、26日午後8時40分ごろから27日午前11時40分ごろにかけて、死亡したとみられる。

 27日午後8時半、関係者から「病院で4人が亡くなった。熱中症の疑いがある」と県警に通報があった。この時点で病院側から正式な連絡はなく、その後に病院側は「エアコンの修理を依頼していた」との趣旨を説明したという。

 4人はいずれも目立った外傷はなく、県警は司法解剖を検討して死因の特定を進める。」

 ホームページなどによると、この病院は老人医療が専門で療養病床は119床。診療科は内科。市中心部の東柳ケ瀬の近くにある。

 岐阜市では26日、午後2時半ごろに最高気温が36・2度となり、深夜から翌日未明にかけても30度近い状態が続いていた。

 病院の藤掛陽生院長は取材に「警察に協力して調べていただいている段階なので、コメントは差し控えたい」と話した。




TBS「入院患者4人が熱中症の疑いで死亡、警察が家宅捜索」(2018年8月28日)は,次のとおり報じました.

 「岐阜市内の病院で26日から27日にかけて、入院患者4人が熱中症の疑いで相次いで死亡し、警察は病院側に過失があるとみて家宅捜索に入りました。

 岐阜県警の家宅捜索を受けているのは、岐阜市1番町の「Y&M 藤掛第一病院」です。警察によりますと、3階と4階に入院していた83歳から85歳の男女あわせて4人が、26日午後9時前から27日正午頃までに熱中症の疑いで死亡しました。

 岐阜市では27日まで最高気温36度を超える猛暑日が続きましたが、病院によりますと、今月20日の段階でエアコンが故障していたということです。

 「今月20日、すぐに依頼しました。業者が『1か月かかります』ということで、修理ができていない状態。扇風機を9台出しました」(Y&M藤掛第一病院 藤掛陽生院長)

Q.病院としてはエアコンの故障=死亡とは考えていない?

 「元の病が非常におそろしい病気なので・・・」(Y&M藤掛第一病院 藤掛陽生院長)

 警察は業務上過失致死の疑いで捜査していますが、殺人の疑いでも捜索令状をとり詳しく調べています。(28日20:24)」


岐阜の夏は非常に暑いです.
死亡原因が特定されないと何とも言えませんが,殺人の疑いとは!

谷直樹

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by medical-law | 2018-08-28 23:09 | 医療事故・医療裁判

患者が不適切な身体拘束による肺血栓塞栓症で死亡したとして,石川県内の精神科病院が提訴される(報道)


朝日新聞「不適切な身体拘束され死亡」 遺族、精神科病院を提訴」(2018年8月27日)は,次のとおり報じました.

「石川県野々市市の精神科病院に入院していた県内の大工の男性(当時40)が肺血栓塞栓(そくせん)症(エコノミークラス症候群)で死亡したのは不適切な身体拘束が原因として、男性の両親が病院を経営する社会福祉法人を相手取り、約8630万円の損害賠償を求めて27日に金沢地裁に提訴した。

 死亡したのは大畠一也さん。訴状などによると、大畠さんは25歳のころに統合失調症と診断され、2016年12月6日に入院した。同月14日から手足などの身体拘束が始まり、同月20日に自力でトイレに行った後、死亡したという。

 両親は当初、病院側から死因は心不全と説明を受けたが、司法解剖の結果、エコノミークラス症候群と判明したという。身体拘束の開始時に切迫した事情が存在していなかったなど、精神保健福祉法などが定める要件を満たしておらず、エコノミークラス症候群を発症させない注意義務も怠った、などと主張している。

 金沢市内で27日にあった記者会見で、大畠さんの父正晴さん(67)は「親として大事な命を守ってやれなかったことが悔しくてならない。こういうことは息子で最後にして欲しい」と話した。病院側は「まだ訴状が届いておらず、内容についてはコメントできない」としている。(浅沼愛)」


報道の件は私が担当したものではありません.
医療過誤裁判では,原告に,過失,因果関係,損害の主張立証が求められます.
身体拘束を行った医療者に,患者が肺血栓塞栓症を発症することの予見可能性があったこと,回避義務があったことの立証が問題になるでしょう.
注目したいと思います.

谷直樹

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by medical-law | 2018-08-28 21:33

山形県立中央病院の誤診により乳房を切除された女性が山形県を提訴(報道)

産経新聞「検体取り違え、乳がんと誤診 乳房切除された40代女性が提訴 山形県立中央病院」(2018年8月24日)は次のとおり報じました.

「山形県立中央病院(山形市)で、良性腫瘍を検体の取り違えで乳がんと誤診され、乳房を切除されたとして、同県酒田市の40代の女性が28日までに、県に約1500万円の損害賠償を求める訴えを山形地裁に起こした。

 訴状によると、女性は平成28年6月、右の乳房にしこりを感じ、同病院を受診した。乳がんと診断され、同8月に乳房の一部を切除。しかし手術後、病院が同時期に検査をした80代の女性と検体を取り違えており、実際は良性の腫瘍だったことが判明した。

 女性は右肩の痛みが残ったほか、乳房の機能や胸の美しさを失い、精神的苦痛を負ったと主張。県側から慰謝料の提示があったが、金額が折り合わず提訴した。」


報道の県は私が担当したものではありません.
後遺症等級は,労働能力喪失に重点を置いていますので,報道の件のように労働能力喪失に関係しない場合の等級,損害賠償基準は明確な基準がありません.
和解例はいくつかあります.例えば,高砂市民病院の同様の医療過誤では,約620万円で裁判上の和解が成立しています.
裁判例が少ないので,勝手ながら,本件は高額の裁判例を残し,後の基準となるよう期待します.

谷直樹

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by medical-law | 2018-08-28 19:24 | 医療事故・医療裁判

芦屋市立芦屋病院,嚢胞壁切除手術で誤って肝静脈に穴を開け出血死の事案,4200万円で示談(報道)

神戸新聞「手術中に肝静脈に穴開け大量出血し男性死亡 芦屋市立病院、4200万円賠償」(2018年8月28日)は,次のとおり報じました.

 兵庫県芦屋市は27日、市立芦屋病院(朝日ケ丘町)で昨年7月、肝嚢胞壁の切除手術中に西宮市の男性(76)が死亡したのは医療ミスが原因だったとして、遺族に賠償金約4200万円を支払うことで合意したと発表した。

 芦屋市によると、男性は肝臓に液体がたまる「肝嚢胞」を患い、同病院に通院。嚢胞壁切除手術を受けた際、執刀医が誤って肝静脈に穴を開けてしまい、大量出血のため死亡した。

 同病院は昨年8月、第三者による事故調査委員会を設置。同委員会は「嚢胞壁と肝静脈壁の識別は困難だが、血管かどうかを確認するために、もう少し小さな穴を開けるなどの処置が必要だった」とし、同病院も「慎重さに欠けていた」と医療ミスを認めた。遺族には11月に謝罪した。

 同市は「大切な命を落とす結果になり、申し訳ない。院内で医療安全に関する研修会を開くなど再発防止に努める」としている。


報道の件は私が担当したものではありません.
慎重さを欠く手技は,基本的に慎重に操作する注意義務に違反し,過失にあたると考えられます.どんなに注意深く操作しても傷付けて出血死を起こすことは避けられない,という反論を聞くことがあり,結果責任ではないのだから具体的な過失を主張立証せよと言われることがありますが,手技によって出血死を招来した事案では,手術操作に非愛護的な慎重さに欠ける部分があったと考えられ,基本的に注意義務違反(過失)は否定できないと思います.




谷直樹

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by medical-law | 2018-08-28 08:28 | 医療事故・医療裁判

滋賀県彦根市立病院,腹腔鏡手術で腸の動脈が切れて大量出血死の事案,約2900万円で示談(報道)

腹腔鏡手術後に男性死亡 滋賀・彦根市立病院(2018.8.27)は次のとおり報じました.

「滋賀県彦根市立病院で平成28年、同市の60代男性が腹腔(ふくくう)鏡手術を受けた際、腸の動脈が切れて大量出血し、その後死亡していたことが27日、市への取材で分かった。病院側は医療事故と認め、遺族に賠償金約2900万円を支払う方針。

 市によると、男性は健康診断で右の腎臓に腫瘍があると指摘され、28年8月末に入院。同年9月1日、腫瘍を取り除くため腹腔鏡手術を受けている際、腸の動脈が切れて出血し、同3日夜に出血性ショックと多臓器不全で死亡した。

 病院は医療事故調査制度に基づいて原因などを調査。肥満体型だった男性の手術部位周辺にある血管の術前評価や、手術の危険性に関する患者や家族への説明が十分でなかったと結論付けた。

 市は患者の自己決定権を侵害したとして、遺族に損害賠償として約2900万円を支払う内容の議案を9月の市議会に提出する。」


報道の件は私が担当したものではありません.
説明不十分,自己決定権侵害が報じられていますが,医療行為自体にも問題があった事案のように思います.
腹腔鏡手術で動脈切断,大量出血死の事案で,過失がないなどということは考えにくいと思います.

谷直樹

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by medical-law | 2018-08-28 08:20 | 医療事故・医療裁判