弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2018年 10月 18日 ( 2 )

遺族が山形市の病院を告訴(報道)

時事通信「山形済生病院で輸血ミス、患者死亡=遺族が告訴」(2018年10月18日)は次のとおり報じました.

「山形済生病院(山形市)で昨年9月、手術を受けた50代女性への輸血時に担当医らが使用するフィルターを誤り、術後に女性が死亡していたことが18日、同病院への取材で分かった。遺族からの告訴状を受理した県警が詳しい経緯を調べている。

 同病院によると、女性は手術で出た自分の血液を、術後に体内へ戻す輸血を受けた。血を戻す際、手術で削った微細な骨を取り除くため目の細かいフィルターを通す必要があったが、担当医らは装置の説明書の記載と異なる目の粗いフィルターを使っていた。

 手術自体は成功したが、女性はその後容体が急変して死亡した。同病院は詳しい死因を明らかにしていない。

 病院側は外部の医師などで構成する医療事故調査委員会を設置し、原因を調査。9月に結果を遺族に伝え、賠償について協議している。」


報道の件は私が担当したものではありません.
医療事件では,起訴について慎重な判断がなされることが多いのですが,なかには起訴相当の事案もあります.
この件は,上記報道による限り,手術で出た患者の血液を術後に体内へ戻すという,普通は行わない相当に危険な方法をとりながら,フィルターを誤るという重大ミスをおかしていますので,起訴されてもおかしくない事案ではないかと思いますが,検察の対応に注目したいと思います.
日本自己血輸血学会のサイトには,回収法の長所として,「心臓手術のように大量に出血する手術や、人工膝関節置換術などのように手術中はほとんど出血がなく手術後にだけ出血する手術には有効とされています。」,短所として「回収した血液に細菌や脂肪が混じる危険があります。また、癌細胞が全身に広がる危険性があるため、癌手術には使用できません。」と記載されています.


谷直樹

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by medical-law | 2018-10-18 19:03 | 医療事故・医療裁判

熊本地裁平成30年10月17日判決、認知症の患者が車いすに乗って1人でトイレに行き転倒した事案で約2770万円の支払いを命じる(報道)

共同通信「病院に2770万賠償命令、熊本 入院中転倒で後遺症」(2018年10月17日)は,次のとおり報じました.
 
「熊本市で2013年、認知症で入院中に転倒し、全身まひの障害を負った熊本県菊陽町の男性(95)と親族が、病院を経営する○○会(同市)に約3890万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、熊本地裁は17日、約2770万円の支払いを命じた。

 判決によると、男性は13年5月、認知症の投薬治療のため入院した際、車いすに乗って1人でトイレに行き転倒。頭を打ち、全身まひの障害が残り、寝たきりの状態となった。

 小野寺優子裁判長は判決理由で、男性は歩く際にふらつきが見られ、転倒する危険性は予測できたと指摘。その上で、「速やかに介助できるよう見守る義務を怠った」と述べた。」



報道の件は私が担当したものではありません.

裁判例には,多発性脳梗塞の治療のため入院していた高齢の患者が,看護師に付き添われトイレに行き,その後「大丈夫」と一人で病室に戻った際に病室内で転倒し,急性硬膜下血腫により死亡した事案で過失を認めたもの(東京高判平成15年9月29日,判時1843・69)などがあります.報道された裁判は,医療側に厳しいと受けとるかたもいるでしょうが,裁判例からすると,転倒が予見される患者のトイレ移動については付添ないし介助がないと注意義務違反が認められます.


谷直樹

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by medical-law | 2018-10-18 18:52 | 医療事故・医療裁判