弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2019年 01月 07日 ( 2 )

京田辺市のクリニックの無痛分娩事故,大阪高裁で和解(報道)

共同通信「無痛分娩ミス訴訟が和解 京都の夫婦と産婦人科医院」(2019年1月7日)は次のとおり報じました.

「麻酔で痛みを和らげる「無痛分娩」で出産しようとした際、医師が適切な処置をせず、生まれた長女が脳性まひを負ったとして、京都府の夫婦が同府京田辺市の医院「ふるき産婦人科」と院長に計約1億円の損害賠償を求めた訴訟の和解が7日までに、大阪高裁で成立した。

和解条項によると、和解金を7400万円と算定。このうち産科医療補償制度に基づき既に支払われた補償金を差し引いた5840万円を医院側が夫婦に支払う他、障害を負った事実を厳粛に受け止め遺憾の意を表し、夫婦も医院側を刑事告訴しないなどの内容が盛り込まれた。和解は昨年12月7日付。

原告側の請求を棄却した昨年3月の一審京都地裁判決によると、同医院の医師は2011年4月、無痛分娩を行うため母親に硬膜外麻酔をし、子宮収縮剤を投与。長女は帝王切開で生まれたが脳性まひなどの障害を負い、3歳だった14年に急性呼吸不全で亡くなった。

一審判決は、分娩時の子宮収縮剤の過剰投与や、分娩監視装置の未装着など医師の過失を認定。一方、長女が脳性まひを負った点について、装置の記録がなく過失との因果関係の分析に限界があるとし「夫婦の憤りは察するに余りあるが、因果関係は不明と言わざるを得ない」としていた。」


KBS京都「無痛分娩ミス訴訟が和解」(2019年1月7日)は次のとおり報じました.


「無痛分娩で出産しようとした際、医師が適切な処置をせず、生まれた長女が脳性まひを負ったとして京都府の夫婦が京田辺市の産婦人科におよそ1億円の損害賠償を求めた訴訟の和解がきょうまでに大阪高裁で成立しました。去年3月の京都地裁の判決によりますと2011年4月、京田辺市の「ふるき産婦人科」の医師は無痛分娩のために母親に硬膜外麻酔をし、子宮収縮剤を投与、帝王切開で生まれた長女は脳性まひなどの障害を負い、3歳で亡くなりました。一審判決は子宮収縮剤の過剰投与など医師の過失を認めたものの、長女が障害を負った点との因果関係は不明として、夫婦の請求を棄却しました。先月7日付の大阪高裁での和解条項では和解金を7,400万円と算定し、このうち、産科医療補償制度に基づき、すでに支払われた補償金を差し引いた5,840万円を医院側が夫婦に支払うほか、障害を負った事実を厳粛に受け止め遺憾の意を表すとの内容が盛り込まれました。ふるき産婦人科に対しては別の2組の母子も無痛分娩や帝王切開の麻酔ミスを巡り、損害賠償を求める訴訟を起こしています。」


朝日新聞「「医師のずさんな管理排除を」無痛分娩で娘亡くした夫婦」(2019年1月7日)は次のとおり報じました.

「無痛分娩(ぶんべん)で医師が適切な処置を怠ったために長女が重い障害を負ったとして、京都府内に住む夫婦が「ふるき産婦人科」(同府京田辺市)と男性院長に約1億円の賠償を求めた訴訟が、大阪高裁で和解した。

 原告の夫婦は和解前に朝日新聞の取材に応じ、「お金で娘は帰ってこない。ただ医師に反省してほしいだけです」と語った。

 夫婦によると、妻は2010年8月に長女を妊娠。待ち望んでいた第1子で、生まれる前から「元気な子に育ってほしい」と思いを込めた名前を考えていた。周囲で評判が良かった遠くの病院に妊婦健診に通っていたが、自宅に近いふるき産婦人科に切り替えた。院長は健診の時から「血圧が高いから無痛がいい」と無痛分娩を勧めたという。

 一審判決によると、出産の日、妻は無痛分娩で異変が起きても決して苦情を言わないとする趣旨の承諾書で無痛分娩に同意したが、リスクの有無などについて説明を受けなかった。

 麻酔薬と陣痛促進剤の投与を受け、4回にわたる吸引分娩でも出産できずに帝王切開に。
 ようやく生まれた長女の産声は聞こえなかった。搬送先の病院で会った時は保育器の中で、何本もの管につながれていた。「なぜこんなことになってしまったのか。涙が止まらなかった」と妻は話す。

 退院後は家族で24時間介護を続けたが、長女は自分の意思で手足を動かすこともできないまま亡くなった。

 提訴に踏み切ったのは長女の身に何が起きたのかを知りたかったからだ。言葉を話すことはなかったが、家族の顔を見ると笑顔を見せ、大好きなアンパンマンの音楽に反応して手足をバタバタさせた。夫婦は「無痛分娩自体は悪くない。ずさんな管理をする医師をきちんと排除できる仕組みをつくってほしい」と訴えた。(大貫聡子)」


報道の件は,私が担当した事件ではありません.(私が担当たのは神戸と大阪の無痛分娩事故です.)
医療過誤訴訟で因果関係は重要な争点になります,京都地裁の判決は疑問の多いものでしたので,高裁で和解が成立してよかったと思います.




谷直樹

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by medical-law | 2019-01-07 20:31 | 無痛分娩事故

公益財団法人日本医療機能評価機構,医療事故情報収集等事業第55回報告書公表

公益財団法人日本医療機能評価機構は,平成30年12月,医療事故情報収集等事業第55回報告書を公表しました.
「再発・類似事例の分析」において,「病理診断報告書の確認忘れ」(医療安全情報No.71)と「口頭指示の解釈間違い」(医療安全情報No.102)をとりあげ,それぞれ次のとおりまとめています.

「本報告書では、「病理診断報告書の確認忘れ」(医療安全情報No. 71)について、医療安全情報No. 71の集計期間後の2012年9月以降に報告された再発・類似事例を集計した。さらに、そのうち最も多かった上部消化管内視鏡検査の生検組織診断の事例26件について分析を行った。
各診療科の主治医が内視鏡検査担当医に依頼して上部消化管内視鏡検査が行われ、さらに内視鏡検査担当医が病理医に依頼して病理診断が行われる複雑な流れの中で、病理診断報告書が確認されず長期間が経過した事例が報告されていた。また、病理診断報告書が作成されたことや一定期間未読であることを知らせるシステムがある医療機関においても確認忘れの事例が発生していた。
病理診断は患者の治療方針を決定する上で重要な検査であり、病理診断の結果を、いつ、誰が患者に説明するのかを明確にして、病理診断報告書の内容を確実に確認することが必要である。そのためには、医療機関において「内視鏡検査~病理検査~病理診断報告書の確認~患者への説明」の流れを整理し、業務工程を確立することが重要である。また、病理診断報告書の作成や未確認を知らせるシステムを活用する場合は、通知先を適切に設定し、漏れがないように運用することが望まれる。」

「本報告書では、「口頭指示の解釈間違い」(医療安全情報 No. 102)の再発・類似事例8件を分析した。事例の概要では、薬剤が5件と多かった。また、情報を伝える側が指示した内容と、情報を受け取る側が間違って解釈した内容と誤って実施した内容を整理して示し、主な事例や背景・要因、医療機関の改善策をまとめた。
口頭でのやり取りはできる限り行わないとしている医療機関もあるが、緊急時など状況によっては口頭による指示や依頼が発生する可能性がある。報告された事例の中にも、指示した医師が清潔野で処置をしていた事例があった。しかし、口頭で指示や依頼をする場合、情報を簡便に伝えようとした結果、伝えるべき内容が不足してしまうことがある。また、情報を受け取る側も、周囲の環境や状況によっては聞き取りにくい、指示や依頼を視覚で確認できないなどの要因から、相手が意図した内容とは異なった解釈をしてしまう可能性がある。
情報を伝える側は正確に伝わる言葉を選択することや、情報を受け取る側は受け取った内容の解釈を復唱して、双方の意思疎通ができているか確認する必要がある。また、可能な限り、情報を伝える側は口頭での指示や依頼だけでなく指示を入力したり、情報を受け取る側はメモに記載したりするなど、記憶に頼らない工夫をすることが必要である。」


谷直樹

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by medical-law | 2019-01-07 00:14 | 医療事故・医療裁判