弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2019年 02月 01日 ( 2 )

県立病院,誤投薬により寝たきりの状態1週間,死亡との因果関係は否定し,300万円で和解(報道)

朝日新聞 「薬取り違え、機能低下 鳥取県立中央病院、家族と和解へ」(2019年1月29日)は,次のとおり報じました.

「鳥取県立中央病院(鳥取市)で2年前、20代の女性看護師が兵庫県新温泉町の90代の女性入院患者=昨年1月に敗血症で死亡=に投与する薬を取り違えていたことが28日わかった。誤った薬の投与で血圧が低下し、運動機能が衰えたとして損害賠償を求めていた患者家族との和解協議がこのほどまとまり、県が発表した。

 県によると、看護師は2017年8月11日、患者に対し、同部屋に入院している別の患者の内服薬を誤って渡した。患者本人に名乗ってもらい、薬の袋に書かれた氏名と確認するマニュアルの手順を守っていなかった。約15分後に別の患者に薬を投与しようとして誤りに気づいたという。

 患者は同年7月、骨折後の食欲不振で入院。誤って服用した薬には血圧を低下させる薬が本来より余分に含まれており、最高血圧は70台まで低下した。正常な血圧に回復するまでの1週間、寝たきりの状態が続いたという。

 患者家族は、この間運動ができず、筋肉が衰えるなど全身の運動機能が低下したと主張。県は「完全に否定するのは困難」としてこの主張を認め、入院費を含む損害賠償金約300万円を支払うことで裁判外での和解協議がまとまった。

 この日、県庁で記者会見を開いた池口正英院長らは謝罪した上で再発防止のためマニュアルの順守を徹底すると説明。薬の誤投与と死亡との直接的な因果関係については否定した。」



時事通信「薬取り違え、遺族と和解へ=県立病院が慰謝料支払い-鳥取」(2019年1月28日)は次のとおり報じました.

 「鳥取県立中央病院(鳥取市)は28日、別の患者と薬を取り違えるミスをめぐり、死亡した入院患者の遺族との間で慰謝料など300万円を支払うことで和解が成立する見通しとなったと発表した。
 同病院によると、看護師が2017年8月、90代の女性患者に対し、誤って別の患者の薬を服用させた。血圧を下げる薬が余分に含まれていたため、女性の血圧は大幅に低下。正常値に回復するまで約1週間を要し、女性は18年1月に敗血症で死亡した。
 遺族側は、血圧が下がった間に運動機能が著しく低下したと主張。病院側は因果関係が否定できないとして、賠償金の支払いを決めた。死亡との直接的な関連については、女性が高齢だった点を踏まえ、双方で争いがなかったという。
 看護師は多忙などを理由に薬と患者の照合を怠ったといい、18年5月に退職した。」



報道の件は,私が担当したものではありません.

2017年8月の誤投薬と2018年1月の敗血症による死亡との間に因果関係(あれなければこれなしの関係)を認めるのは難しいと思います.
高齢者が転倒をきっかけに寝たきりの状態になるなど,高齢者ではすこしのことでも大きな影響がありますので,血圧が下がった1週間で,運動機能が著しく低下することはあり得ることで,予見可能です.運動機能の低下を評価しての300万円の和解と思います.
なお,看護師は多忙のため確認ルールを守らなかったとのことですが,看護師の多忙を解消する方策がとられたのでしょうか.それとも,多忙でも確認ルールを守ることを徹底したのでしょうか.


谷直樹

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by medical-law | 2019-02-01 04:40 | 医療事故・医療裁判

平成31年なのに

神奈川新聞「押印ミスで「平成30年」の領収書約2千枚 三浦市立病院」(2019年1月/30日)は,今月4日から22日に患者らに発行した領収書のうち,1番窓口が作成した2037枚が「平成30年」だった、と発表したとのことです.
ゴム印のスタンプを変えるのを失念したようです.
領収書の「年」は意外に見ていないのですね.

谷直樹

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by medical-law | 2019-02-01 04:04 | 医療