弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2019年 04月 16日 ( 2 )

東京都,公立病院の同意書等記録の不備を指摘

毎日新聞「透析中止 東京都、病院側の不備10件を指摘」(2019年4月15日)は,次のとおり 報じました.

「公立福生病院(東京都福生市)の人工透析治療を巡る問題で、都の9日の指導は計10件の病院側の不備を指摘した。2007年に策定された厚生労働省のガイドラインに基づく指導は全国初。

 都は、病院の腎臓病総合医療センターが開設された13年4月以降、立ち入り検査した3月6日までの間に透析治療を中止(4人)、または最初から治療しない「非導入」(20人)で死亡した計24人を調べた。(1)患者の意思を確認する書類(同意書)が保存されていない(1件)(2)医師からの代替治療法の説明を行ったことなどの記録を確認できない(4件)(3)患者の意思の変化に対応できる旨の説明を行った記録を確認できない(4件)――などが分かり、改善を指導した。関係者によると、(1)は治療中止の1人で、非導入の20人全員と合わせ、計21人の同意書がなかったことが判明している。

 一方、腎臓病患者に対しては通常、腎臓移植、血液透析、腹膜透析という3種類の選択肢が医師から提示されるが、24人のうち19人は2種類以下だった。「患者の視点で医療安全を考える連絡協議会」の永井裕之代表は「全ての選択肢を提示しないことは、医師による患者の誘導につながる。インフォームドコンセント(十分な説明に基づく同意)を徹底させ、再発を防止すべきだ」と話す。【斎藤義彦】」


報道の件は私が担当している事件ではありません.
東京都が指摘したのは同意書等の記録の不備ですが,大事なことです.
単なる記録の不備であるという見方はできないでしょう.

谷直樹

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by medical-law | 2019-04-16 08:53 | 医療事故・医療裁判

近畿弁護士会連合会,「民事控訴審の審理に関する意見書」

『自由と正義2019年4月号』に「民事控訴審の審理の充実を求める-事後審的運用は見直されるべき-近弁連は意見書を発表」が掲載されていました.
2018年8月3日に発表された意見書です.

民事控訴審の審理に関する意見書」の要点は,以下のとおりです.

1  裁判所と当事者との間で争点と証拠の評価などについて意思疎通、コミュニケーションをはかり、これらの点について共通の認識を持つ努力をすべきである。
2 控訴審裁判所は、第1回期日において争点を再整理したり、民事訴訟法の定める裁判所の釈明権を適切に行使し、控訴審裁判所が着目する争点や立証などについて裁判所の認識内容を示唆したり、あるいは釈明を求めたりして、当事者双方の意見を聴取し、あるいは双方当事者の主張立証の整理を促すべきである。
3 控訴審裁判所は、証拠調べを実施するかについて十分な検討を行い、人証調べを含めた必要な証拠調べを適切に実施するべきである。
4 控訴審裁判所は、裁判官による記録の精読と十分な評議、裁判所と当事者間の十分なコミュニケーションと争点などについての認識の共有化ができていないときは、第1回期日に結審しないようにすべきである。

たしかに,地方裁判所の審理が不十分で,判決が間違っていることも時々あります.それは高等裁判所で是正していただかねばなりません.
私は,医療過誤控訴事件で1回結審となった記憶にありませんが,50日で証拠を用意し理由書を作成するのはとても困難です.
大阪高等裁判所での経験は1回しかありませんが,丁寧に審理していただき神戸地方裁判所の敗訴判決を覆し完全勝訴判決(最高裁で確定)をもらいました.
高等裁判所(控訴審)に求められる役割は大きいと思います.

谷直樹

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by medical-law | 2019-04-16 05:24 | 司法