弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2019年 05月 27日 ( 3 )

大阪地裁令和元年5月27日判決,法廷での手錠腰縄訴訟で憲法13条の人格的利益への配慮を欠くと認定(報道)

毎日新聞「手錠腰縄訴訟で当時の裁判官を批判 賠償請求は棄却 大阪地裁判決」(2019年5月27日9は次のとおり報じました.

「刑事裁判で手錠と腰縄を付けたまま入退廷させられ、精神的苦痛を受けたとして、元被告の男性2人が計50万円の国家賠償を求めた訴訟の判決で、大阪地裁(大須賀寛之裁判長)は27日、「被告の正当な利益への配慮を欠いていた」と当時の裁判官の対応を批判した。一方で「違法とまでは言えない」として、賠償請求は棄却した。

 判決によると、2人はそれぞれ覚せい剤取締法違反罪に問われ、2017年5月に大阪地裁で実刑判決を受けた。弁護人は公判で、被告の入退廷時に手錠・腰縄姿が傍聴人らから見えないようにする措置を求めたが、裁判官は認めなかった。

 判決は「手錠姿を見られたくないというのは、個人の尊厳を定めた憲法13条が認める人格的な利益」と判断。傍聴人の入廷前に手錠を外すなどの配慮をした事例は複数あるとして、弁護人からの要望後も具体的な方法を検討しなかった裁判官の対応は「相当ではなかった」と指摘した。

 ただ目的は被告の逃走防止で、多くの裁判所が同様の運用を行っている点も考慮し、「甚だしく不当とは言えない」と結論づけた。

 最高裁は、被告の手錠・腰縄姿を見られないようにする事情がある場合、傍聴人のいない所で着脱するなどの対応を各裁判所に求めているが、運用は裁判官に委ねられている。

 法廷での手錠・腰縄姿を巡り、被告の人格権を認めた判決は初めてという。弁護団は「画期的な判決」と評価したが、賠償を認めなかった点を不服として控訴を検討している。

 同種訴訟では、京都地裁が昨年9月に元被告の請求を棄却している(控訴中)。【戸上文恵】」


報道の件は私が担当したものではありません.
ちなみに裁判長は同期です.同期の活躍を知るのはうれしいです.
判決は,手錠・腰縄訴訟に一石を投じるもので,実質的な抑止効果があると思います.

谷直樹

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by medical-law | 2019-05-27 22:54 | 司法

長崎地裁令和元年5月27日判決,医師の過労死で市立病院機構に賠償命令(報道)

毎日新聞「医師の過労死認め病院に1億6700万円支払い命令 長崎地裁」(2019年5月27日 )は,次のとおり報じました.

「長崎市の長崎みなとメディカルセンターに勤務していた男性医師(当時33歳)が死亡したのは過重労働が原因として、遺族が病院を運営する市立病院機構に約4億1000万円の損害賠償などを求めた訴訟があり、長崎地裁は27日、残業時間が1カ月平均177時間に上る過労が原因と認め、機構に約1億6700万円の支払いを命じた。

 判決によると、男性は2014年4月からセンターで心臓血管内科医として勤務し、同年12月に自宅で心肺停止状態で見つかり、亡くなった。男性の残業時間は死亡するまでの9カ月間で計1593時間で、84日間連続の勤務もあった。

 武田瑞佳(みか)裁判長は、過労死ライン(月80時間)を大幅に上回る業務が男性の過労死につながったと認定。男性の勤務記録を適切に把握せず、勤務体制も見直さなかったとして、機構の安全配慮義務違反を認めた。

 男性の妻は弁護士を通じて「過労死を二度と出さないため病院に変わってほしい。主人が死ぬまで患者の命を救おうとして働いたことを忘れないでほしい」とコメントした。機構は「判決内容を厳粛に受け止め、過失の程度など判決を読んでから対応を決めたい」とした。【今野悠貴】」


報道の件は私が担当したものではありません.
ちなみに裁判長は同期です.同期の活躍を知るのはうれしいです.判決内容は当然と思います.

谷直樹

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by medical-law | 2019-05-27 21:23

未滅菌の器材が手術に使用された事故

さいたま赤十字病院院は,2019年5月26日,「未滅菌の器材が手術に使用された事故について」を発表しました.

経過は次のとおりです.

「10月25日夜、清拭法など器材に応じた消毒を施した後、さらに洗浄乾燥し最終段階として行うべき滅菌処理のための高圧蒸気滅菌器のスタートボタンを押し忘れ、翌日に滅菌が完了しているものと思い込み取り出してしまいました。これらの器材が未滅菌であることに気づかないまま、10月26日の一部の手術に使用してしまいました。同日14時頃、高圧蒸気滅菌器の運転記録がなかったことからこの事実が発覚いたしました。2.対象患者様は、7名であることが特定されました。3.対象物品は、開創器など16品です。」<br>

原因は次の3点とのことです.

「(1)高圧蒸気滅菌器の作動スイッチの入れ忘れがありました。
(2)滅菌完了と思い込み、確認をしないまま、高圧蒸気滅菌器から器材を、手術室に移動しました。
(3)手術室内に於いて、滅菌バッグの滅菌済インジケーターを確認せず、使用してしまいました。」


再発防止策は次の7点です。


「(1)滅菌完了時にこれを確認し器材を取り出す手順が明確になるように高圧蒸気滅菌器に表示しました。
(2)滅菌業務委託業者の標準作業手順書(高圧蒸気滅菌装置)を改訂し、実施しております。
(3)高圧蒸気滅菌装置操作手順(滅菌運転時)および操作手順(滅菌取出し時)を改訂し、実施しております。
(4)滅菌物の払出し作業手順を改訂し、実施しております。
(5)当院中央滅菌材料室の手術室看護師向け洗浄・消毒・滅菌マニュアルを作成し、実施しております。
(6)滅菌バッグのインジケーターが滅菌済になっていることの確認について、声出し確認、指差し確認、タイムアウト時に全員で確認を行うように徹底しております。
(7)滅菌バッグのインジケーターについて、メーカー毎に表示や色に違いがあるため、滅菌バッグのメーカーを統一しました。」


谷直樹

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by medical-law | 2019-05-27 21:06 | 医療事故・医療裁判