弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2019年 10月 18日 ( 1 )

阪奈病院,MDRA感染報告怠る(報道)

朝日新聞「結核患者19人、多剤耐性菌に院内感染 1人発症し死亡」(2019年10月17日)は次のとおり報じました.

「大阪府大東市の阪奈病院で、8月までの2年半の間に、抗生物質がほとんど効かない細菌の多剤耐性アシネトバクター(MDRA)に結核の入院患者19人が感染し、1人が発症して死亡していたことがわかった。感染症法は医療機関に対し、発症が確認されれば報告を義務づけているが、約7カ月間放置していた。ほかに17人が死亡したが、病院は「明らかな因果関係は認められない」と説明している。

 病院によると、MDRAに感染したのは結核病棟で入院していた58~97歳の男女19人。2017年2月から今年8月にかけて見つかったという。

 同月、病院から別の感染症の調査依頼を受けた外部の医師がMDRAの感染に気づいた。遺伝子検査の結果、院内感染と判明。感染経路は分からないという。

 今年1月、発症による肺炎の悪化で死亡した男性患者(71)について、主治医はMDRAへの感染を把握していたが病院に報告しなかった。このため、病院から所管の保健所への報告義務も守られなかった。四條畷保健所が厳重注意した。

 阪奈病院は、国内有数の結核病床数(123床)を備え、症状の重い患者の治療にもあたっている。川瀬一郎院長は17日、朝日新聞などの取材に対して「院内感染の認識が甘かった。反省している。主治医も、保健所への届け出を重要視していなかった」と話した。」


阪奈病院のサイトには次のとおり記載されています.

「令和元年7月に当院の結核病棟におきまして、多剤耐性アシネトバクターが複数の患者様から分離されました。最初の検出は2年前で、以降本館5階病棟17名、6階病棟2名の計19名の患者様におきましてこの菌が検出されております。」

四條畷保健所に届け出る一方、地域の感染管理者、大阪府、ならびに大阪大学感染制御部からなる対策会議を立ち上げ、各位のご指導を受けつつ8月以降調査と改善に努力して参りました。

まず患者様およびご家族の方に対しましては、多剤耐性アシネトバクターが検出された時点で「保菌状態に留まっていますが、念のため感染隔離が必要です」とお伝えし、ご理解を得ております。

「その後19名のうち18名の方は、すでにお亡くなりになっておられます。この菌の感染が患者様の病状経過にどのような影響を及ぼしたか外部の専門医2名に検討していただきました。その結果、「1例では肺炎を悪化させ直接死因となった可能性が否定できないが、他の18例ではすべて保菌状態に留まっており、病状経過には悪影響を及ぼしておらず死因との因果関係は認められない」との結論をいただいております。なお肺炎が悪化した可能性のある患者様のご家族には、病状経過を説明しご納得を頂きました。

一方対策につきましては、8月以降新たな結核入院を4階病棟のみに限定する一方、5階病棟と6階病棟の清掃と消毒に努めました。また全職員が一丸となって、感染予防策の徹底および抗生物質使用の適正化に取り組んでおります。その結果、5階病棟および6階病棟では、病室、ベッドやトイレなど病棟環境から多剤耐性アシネトバクターは検出されず、患者様におきましても新たな多剤耐性アシネトバクターの検出例は出現してはおりません。

今後も引き続き徹底した感染対策を行う一方、新たな多剤耐性アシネトバクター感染が出現しないか検査を続けて参ります。検査は定期的な結核菌検査と同時に行いますので、患者様には新たなご負担をおかけすることはございません。」


報道の件は私が担当したものではありません.
死亡との関連性はともかく,感染症法の定める報告を怠ったことは問題でしょう.

谷直樹

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by medical-law | 2019-10-18 10:07 | 医療