弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2019年 12月 02日 ( 2 )

医用事故調査の現況

「医療事故届け出、最長で2年半 「より早期の対応を」」(2019/12/1)は次のとおり報じました.

「患者の予期せぬ死亡を対象とする医療事故調査制度を巡り、医療機関側が患者の死亡を事故として、第三者機関に指定された「日本医療安全調査機構」(東京)に届け出るまでに最長で約2年半かかった事例があることが、1日までに機構への取材で分かった。

医療機関側から機構に提出された院内調査結果報告書の分量が1ページしかない事例もあった。事故届け出の判断などは医療機関側に委ねられており、制度の在り方に議論が高まりそうだ。

機構は個別事例は回答できないとしているが、届け出まで長期間を要した事例については「制度の基本から外れる。医療者がより早期に対応する文化を育てることが重要だ」との見解を示した。

制度は2015年10月の開始から4年を経たが、届け出件数自体も想定の年1300~2千件を下回り、毎年300件台と低調に推移している。

機構は15年10月~18年12月の制度の運用状況を分析。期間内の届け出は1234件で、死亡から届け出までの期間は最長911日、最短1日だった。半数以上は死亡から28日以内に届け出ていたが、6カ月以上かかった事例が69件あった。届け出た医療機関の数は全国計17万8492施設(17年の厚生労働省調査)のうち807施設だった。

届け出た医療機関に義務付けられた機構への調査結果報告の件数は908件。報告書の分量は1件平均10.2ページで、最多は157ページ、最少は1ページだった。再発防止が制度導入の目的だが、防止策の記載がなかったものが27件、「防止策なし」としたものが40件あった。

遺族に対する調査結果の説明については、医療機関側が報告書を示した事例が542件。口頭説明だけの事例は199件に上った。また調査の公平性や中立性を担保するため、調査委員会への外部委員参加を努力規定としているが、145件は外部委員を入れていなかった。1件は委員会設置がなかった。」


医療事故に対する医療者の姿勢は変わっていると思いますが,医療事故調査が根付くには時間がかかりそうです.

谷直樹

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by medical-law | 2019-12-02 21:39

重要な裁判記録の保管と廃棄のルール作り

共同通信 「裁判記録の廃棄 最高裁「停止を」全国に指示」(2019年11月27日)は, 次のとおり報じました.

「戦後の憲法裁判の記録が多数廃棄されていた問題で、最高裁は27日までに全国の裁判所に対し、あらゆる民事裁判記録の廃棄を一時停止するよう指示した。どのような範囲の裁判記録を重要資料として保存するか、指針となる「運用例」を近く示すとし、それまでの暫定的措置という。

最高裁の規定は、民事裁判の記録を原則5年保存後廃棄とする一方、重要な裁判記録は「特別保存」として事実上永久保存するよう義務づけている。ところが、一審で自衛隊違憲判決が出た長沼ナイキ訴訟など、憲法判例集に掲載された重要裁判の記録の大半が廃棄されていたことが判明。識者や関係者が批判し、最高裁は全国の裁判所の保存実態調査に着手していた。

廃棄停止の指示は11月18日付で全国の高裁、地裁、家裁宛てに出された。特別保存する必要があるか否かを各裁判所で適切に判断する必要があり、特別保存の「運用例」を最高裁が連絡するとした上で、各裁判所は裁判記録の廃棄を「原則として留保」するよう求めた。

最高裁の村田斉志総務局長は15日の衆院法務委員会で、重要な裁判記録の保存に「運用上の問題があった」と述べ、見直す考えを示していた。

憲法裁判の記録を巡る調査では「憲法判例百選第6版1、2」(有斐閣)掲載事例のうち、検察庁が保存する刑事事件を除く137件中118件(86%)が廃棄、保存18件、不明1件だった。判決文など結論文書はおおむね残されていたが、審理過程の文書が失われ、検証ができなくなっていた。」



重要な裁判記録について,今まで保存と廃棄に関する適正なルールがなかったことがおかしいと思います.
なお,米国では重要な裁判記録は原則的に永久保存されています.

谷直樹

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by medical-law | 2019-12-02 21:30