弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2020年 01月 28日 ( 1 )

大阪地裁令和2年1月28日判決,減数目的の注射の回数に過失なし,対象外胎児に注射した証拠なし(報道)

読売テレビ「減胎手術」巡る裁判 訴え棄却 大阪地裁」(2020年1月28日)は次のとおり報じました.

「大阪府に住む30代の女性と夫が、不妊治療で5つ子を妊娠したにも関わらず「減胎手術」のミスにより、1人も出産できなかったとして、手術を行った病院側に損害賠償を求めた裁判の判決が28日、大阪地裁で行われ、原告の訴えは棄却された。原告側は控訴する意向だ。背景には「減胎手術」についての医学的な知見が確立されていないこともあり、専門家はガイドラインの制定を訴えている。

 原告の女性は、大阪市内の病院で不妊治療を受け、2015年に5つ子を妊娠。その際、院長から、5つ子を産むのは母体へのリスクが高く「減胎手術」を受けるように勧められたという。

 女性は、おなかの胎児を5人から2人に減らすため、2度の減胎手術を受けた。しかし、残すはずだった2人も流産し、一人も出産できなかったという。

 女性側は「通常であれば、数回で済むはずの減胎のための注射が30回以上も行われた。残すはずの胎児2人にも注射をするなど、医師が注意義務を怠ったことにより、全員が死亡した」として、病院側に約2300万円の損害賠償を求めていた。

 一方、病院側は「注射の回数について医療水準はなく、30回にも及んではいない。手術は適切で、医師に過失はない」などとして、請求の棄却を求めた。

 大阪地裁は「通常よりも難易度が高い手術であったことに照らすと、注射の回数をもって直ちに被告医師に過失があったということはできない」とし、さらに「被告が減胎対象ではない胎児の頭部に注射したことを認める証拠もない」などとして訴えを退けた。

 不妊治療で、女性患者の約6割が受けるのが、排卵を促す排卵誘発剤の注射で、これが、多胎妊娠につながる最大の要因だという。不妊治療に詳しいう「うめだファシリティークリニック」の山下能毅院長は「排卵効果が非常に高い。排卵数が増えてくる。注意して投与しないと双子、三つ子、四つ子と多胎の確率が上がるのが現状」という。

 また、山下院長は「「多胎妊娠のリスクは早産。妊娠高血圧症や産後出血などの合併症も増える」と指摘する。

 多胎妊娠の際、選択肢の一つとされるのが、お腹の胎児の数を減らす「減胎手術」だ。「エコーで胎児を見ながら、胎児に塩化カリウムを注入することで、心停止をさせて減胎する」(山下院長)のだが、医学的な知見が確立されておらず、流産などのリスクがあるという。

 「減胎手術」の第一人者である「諏訪マタニティクリニック」の根津八紘院長は「同じような患者さんを作らない意味でも、こういう機会を通じて、多くの方々にこの問題を知ってもらい、関係諸団体が早く解決策を作ってほしい」と述べ、「減胎手術」に関するガイドラインの制定を強く訴えている。

 原告側は控訴する方針で、原告の代理人である遠藤直哉弁護士は、原告のコメントとして「この判決で今後私のような状況の方が再度、出てしまうことを危惧してやみません。このような現状が変わっていくきっかけになるならと願っております」と語った。」




報道の件は私が担当したものではありません.不妊治療の分野は当事務所では扱っていません.
報道の件は,弁護士法フェアネス法律事務所(東京)の遠藤直哉先生らが御担当されたものです.
減胎のための注射について医療過誤を主張した裁判はこれがはじめてだと思います.

谷直樹

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by medical-law | 2020-01-28 20:41 | 医療事故・医療裁判