弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2020年 03月 10日 ( 4 )

大学病院でCT検査結果の未確認により肝細胞癌の発見が遅れ患者が死亡した事例

高知大学医学部附属病院は,2020年3月10日「CT検査結果の未確認により肝細胞癌の発見が遅れた事例について」を公表しました.

「CT 検査結果の未確認により肝細胞癌の発見が遅れた事例についてのお詫びとご報告

 高知大学医学部附属病院(以下、 「当院」という。 )において、CT 検査の画像診断結果を確認しなかったことにより肝細胞癌の発見が遅れた事例が発生しました。

 患者さんは、当院消化器内科に通院していました。2018 年 2 月に腹部造影 CT 検査を受け、消化器内科外来を受診せずに帰宅されました。その CT 検査の所見には、肝細胞癌の可能性が指摘されていました。外来主治医は CT 検査画像と読影結果の確認をしておらず、その後消化器内科への通院はありませんでした。
 患者さんは、2019 年 2 月に腹水と肝機能の異常で当院に入院され、残念ながら最終的には敗血症でお亡くなりになりました。死因を確認するための剖検(解剖)を行ったところ、肝臓全体が肝細胞癌に侵されていることが判明いたしました。
 これらの経過を振りかえると、2018 年 2 月に消化器内科で診察を受け、CT 検査の結果を確認していれば、詳しい検査がなされたか少なくとも肝臓の専門科である消化器内科で経過観察がなされたと考えられ、より早期に肝臓癌が発見できた可能性があります。

 亡くなられた患者さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。ご遺族の皆様には多大なご負担とご心痛をおかけし、誠に申し訳なく深くお詫び申し上げます。また、当院で治療を受けているすべての患者さんをはじめ、地域の皆様、関係各位の信頼を損なうこととなり、重ねて深くお詫び申し上げます。

 この事態を大変重く受け止め、2018 年 6 月以前の CT 検査等について、依頼医の確認状況を調査すると共に医療事故調査委員会を開催し、外部委員を含めた多数の目で問題点を洗い出し、再発防止に向けて議論を重ね対策を進めてまいりました。
 2018 年 6 月以前の CT 検査等の調査結果が確認され、当院の再発防止策が策定できたことから、信頼回復に向けて着実に実行する決意とともに、ご報告申し上げます。」

上記の件は私が担当したものではありません.
CT検査が活かされない見落とし事故が発生することのないよう再発防止策が実効的に機能することを期待します.

谷直樹

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by medical-law | 2020-03-10 14:23 | 医療事故・医療裁判

福岡高裁宮崎支部,7か月の児が診療中にベッドから転落し重い後遺症を負った事案,1億8000万円で和解(報道)

MBC 南日本放送「鹿児島市立病院 男児ベッド転落訴訟 和解へ」(2020年3月9日) は次のとおり報じました.

「鹿児島市立病院で2007年、診療中にベッドから転落し、重い後遺症が残ったとして、当時生後7か月だった男の子と両親が鹿児島市に損害賠償を求めていた裁判で、市が和解金として1億8000万円を支払う方針であることが6日の市議会で報告されました。

この裁判は2007年1月、鹿児島市立病院で、当時生後7か月だった男の子が診療中にベッドから転落し、手や足、目などに重い後遺症が残ったのは病院側に過失があったとして、男の子と両親が鹿児島市におよそ1億7100万円の損害賠償を求めたものです。

一審の鹿児島地裁は2016年1月に、市におよそ1億1400万円の賠償を命じる判決を言い渡しましたが、市は不服として福岡高裁宮崎支部に控訴していました。

鹿児島市によりますと、福岡高裁宮崎支部は去年12月に市が1億5000万円を支払う和解案を提示し、一方で男の子と両親は1億8000万円であれば和解を受け入れる意向を示し、市も受け入れたということです。市は「これ以上裁判を長期化させるのは望ましくないと判断した」としています。」


報道の件は私が担当したものではありません.
請求額が1億7100万円,原判決が1億1400万円,高裁の和解案が1億5000万円,和解額が1億8000万円です.長期化すると遅延利息を考慮した金額でないと和解が成立しなくなりますので,過失と因果関係が明らかな事案いについては,病院側は早い段階で示談したほうがよいと思います.


谷直樹

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by medical-law | 2020-03-10 13:22 | 医療事故・医療裁判

厚労省が感染ピークの患者数推計算式を示す,病床数のダウンサイジング政策との関連は

厚生労働省は、感染がピークを迎えたときの北海道大大学院の西浦博教授(理論疫学)らの研究チームがまとめた計算式を示しました。この計算式に総務省が示したおととし10月時点の人口推計を当てはめると、東京都ではピークを迎えたときには1日当たりの外来患者がおよそ4万5000人、入院患者がおよそ2万人、重症患者が690人余りとなるそうです.
なお,厚生労働省は「推計のとおりにならない可能性も高いため、実際の感染状況を踏まえて適切に医療体制を確保することが必要だ。今後、新たな知見に基づき計算式を見直す可能性もある」とのことです.
マスクや消毒薬の安定供給すらできない現状で,外来患者がおよそ4万5000人,入院患者がおよそ2万人、重症患者が690人余りに対応する医療体制を東京都が整備するのは,大変なことでしょう.
インフルエンザの死亡率は約0.1%ですが,新型コロナ感染症の死亡率はWHOによると3.4%です.死亡者数は,重症課する前の診療,重症患者に対する診療をどこまで提供できるかにかかってきます.
ちなみに,感染症指定医療機関の指定状況(平成31年4月1日現在)は,全国で,特定感染症指定医療機関が4医療機関(10床),第一種感染症指定医療機関が55医療機関(103床),第二種感染症指定医療機関で感染症病床を有する指定医療機関が351医療機関(1758床)ですから,桁違いに病床数が足りません.

厚生労働省は、1992年から医療費削減のために病床のダウンサイジングを求め続け,昨年424の公立公的病院の統廃合を求めていました.稼働病床数を10%以上減少させると補助金が支給されます.そのために84億円の予算が組まれています.
WHOが新型ウイルスと認定したのが1月8日ですが,厚生労働省は,令和2年1月17日に通知「公立・公的医療機関等の具体的対応方針の再検証等について」を発していました.この頃は今のような事態を予測していなかったでしょう.
今は,新型コロナウイルス感染のために,真逆の方向へ舵をとる必要がでてきたわけです.そもそも医療体制は余裕余力が必要で,病床数のダウンサイジング政策を見直す必要があるでしょう.

なお,イタリアでは,医療費削減政策の結果,貧困層の多い南部で新型コロナウイルス感染者が増えれば医療制度が追い付かない危険があると報じられています死者数が多いのは適切な医療を受ける体制がないからと考えられます.日本は医療崩壊による死亡者增が起きないように感染と受診をスクリーニングしてコントロールする必要があるでしょう.

谷直樹

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by medical-law | 2020-03-10 06:50 | 医療

《アンダルシアのロマンス》

《アンダルシアのロマンス》は,《スペイン舞曲集 Op.22》 のなかの1曲です.
古風でスペインの薫り高い作品です.
アンダルシアには,コルドバやグラナダがあります.
今日3月10日はパブロ・サラサーテ氏の誕生日です.

谷直樹

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by medical-law | 2020-03-10 04:43 | 趣味