弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

カテゴリ:医療( 822 )

熊本市の病院が事実上の内密出産制度導入へ


熊本日日新聞「熊本市の慈恵病院「内密出産」受け入れへ 親の名前、相談室が保管」(2019年12月7日)は,次のとおり報じました.

「身元を明かしたくない妊婦の「匿名出産」をサポートする方針を示した慈恵病院(熊本市西区)が、子どもの出自を知る権利も担保する独自の仕組みを新たに取り入れる方針を固めたことが6日、分かった。匿名出産は、子どもが出自を知ることができない点が課題となっており、病院内で出自を担保できる仕組みを作り、事実上の「内密出産制度」に踏み切るという。

 ドイツなどで法制化され、子どもが一定の年齢になると、親の情報を知る仕組みがある「内密出産」と違い、「匿名出産」はその仕組みが無い。匿名出産に至るケースを極力避けるため、病院内で「内密出産」に近い仕組みを整える必要があると判断したという。

 蓮田健副院長によると、新たな仕組みでは、匿名での出産を希望する妊婦は、院内の「新生児相談室」室長にのみ身元を明かした上で、仮名のまま健診や出産ができるという。子どもが一定の年齢になり、親の名前を知りたい場合は、同室が保管していた関係書類を開示するという。

 蓮田副院長は「身元を明かすことを嫌がり、受診せずに自宅などで孤立出産すれば母子の命に関わる。病院で安全に出産してもらうための選択肢の一つ」と強調する。どのケースでも、まずは相談を重ねて実名を明かして出産してもらう努力は続けるという。

 「内密出産」は、児童相談所など相談機関にのみ身元を明かし、医療機関では匿名のまま出産できる制度。同病院は2017年12月、内密出産の検討を公表し、18年夏、独自案を市に提案し、協議を進めてきた。しかし、進展がみられず、今年11月、匿名出産を受け入れる方針を明らかにした。

 戸籍作成や養子縁組の手続きなど、法的問題については「現時点で明らかな違法性はないと思うが、問題が生じた時に、その都度関係機関と協議したい」としている。(林田賢一郎、深川杏樹)」




子どもが一定の年齢に達して親の名前を知りたい場合は、病院が保管していた身分証明書を開示するが,妊婦が「一生匿名」を希望した場合には出自を知る機会が失われる「匿名出産」になることもあり得るとのことです.
内密出産制度の整備が進む契機になれば,と思います.

谷直樹

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by medical-law | 2019-12-08 00:09 | 医療

厚労省、妊婦加算の再開断念

共同通信「厚労省、妊婦加算の再開断念 理解得られず、新たな仕組み検討」(2019年12月5日)は次のとおり報じました.

「厚生労働省は5日、妊婦が外来受診した際に初診料などに上乗せされる「妊婦加算」の再開を断念する方針を固めた。妊婦や胎児に配慮した治療を促す目的で導入したが、「妊婦税」などと批判され、1月に凍結。名称変更や患者の自己負担の在り方を見直した上で再開することを検討していたが、世論の理解を得られないと判断した。

 今後は、疾患があるなど病院間で情報共有が必要な妊婦への診療に限って加算するといった、新たな仕組みを検討する方向。サービスの対価として医療機関に支払われる診療報酬の2020年度改定に向け、近く中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関)で具体的に議論する。」


妊婦であるというだけで診療費が高くなる精度は合理的ではありません.
厚労省、妊婦加算の再開断念は当然と思います.


谷直樹

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by medical-law | 2019-12-06 03:27 | 医療

都立病院の独立行政法人化

小池知事は,所信表明で,約400億円の赤字をだしている8つの都立病院を独立行政法人化することを明らかにしました.実績を反映させた給与設定や経営の「見える化」が言われていますが,不採算分野が縮小されることになるでしょう.医療の質の低下が懸念されます.

谷直樹

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by medical-law | 2019-12-05 09:44 | 医療

アシノン錠75mgの一部を自主回収

ゼリア新薬工業株式会社は,2017年2月~18年12月に出荷されたH2受容体拮抗剤アシノン錠75mgの一部を自主回収するとのことです.


「アシノン錠75mg自主回収(クラスI)のお知らせ」によると
「令和元年9月17日、厚生労働省医薬・生活衛生局医薬安全対策課、監視指導・麻薬対策課から発出された通知「ラニチジン塩酸塩等における発がん性物質に関する分析について(依頼)」にて、日本国内の製造販売業者に対し、ラニチジンと類似の化学構造を有するニザチジンについても分析が指示されました。
当社では通知に従い、ニザチジンを有効成分とする製品について、N-ニトロソジメチルアミン(NDMA)の定量分析を行った結果、本製品14ロットに管理指標を超えるNDMAが検出されたため、当該ロット製品(以下「該当製品」)の自主回収(クラスI)を決定いたしました。
なお、本製品の他のロットおよびアシノン錠150mgでは、問題がないことを確認しております。更に一般用医薬品であるアシノンZ錠およびアシノンZ胃腸内服液におきましても、原薬レベルで問題がないことを確認しております。また、これまでに本製品ならびに上記ニザチジンを有効成分とする製品による発がん性を示唆する事象は認められておりません。」

とのことです.

ちなみに,「クラスI」とは,その製品の使用等が、重篤な健康被害又は死亡の原因となり得る状況をいいます.
どのようにして,N-ニトロソジメチルアミンが0.32ppmを超えて混入したのでしょうか.

谷直樹

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by medical-law | 2019-12-04 00:47 | 医療

骨密度測定機器の不具合で再検査


NHK「骨密度検診 ミス疑いで再検査」(2019年12月2日)は次のとおり報じました.

「海津市が行った骨の検診で、測定機器の不具合で結果が誤っている疑いのあることがわかり、市は検診を受けた760人あまりに無料の再検査を行うことにしています。

結果が誤っている疑いがあるのは、海津市が海津市医師会病院に委託して、30歳以上の市民を対象に行っている骨の密度を調べる検診です。
市によりますと、検診を受けた50代の女性から「数値が低いと診断され精密検査を受けたが正常値だった。検査に誤りがあるのではないか」と、ことし10月に連絡がありました。
病院が骨密度の測定機器メーカーに点検を依頼したところ不具合が見つかり、この機器を使っていたことし5月9日から11月12日までに検診を受けた763人に、正しい数値とは異なる結果が出ていた疑いのあることがわかったということです。
市と病院は、全員におわびの文書を送るとともに、無料の再検査を行うことにしています。」


測定機器の点検は必要です.

谷直樹

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by medical-law | 2019-12-03 01:57 | 医療

厚労省、看護師ら23人行政処分

共同通信「厚労省、看護師ら23人行政処分」(2019年11月12日)は,次のとおり報じました.

 「厚生労働省は12日、保健師助産師看護師法に基づき、刑事事件で有罪が確定した看護師ら23人の行政処分を決めた。免許取り消しが6人、業務停止3年~1月が16人、戒告が1人。26日発効する。

 厚労省によると、免許取り消しは、勤務先の京都府福知山市役所で昨年4月、ガソリンでアルミ製ラックの紙などを燃やしたとして、建造物等以外放火の罪で有罪が確定した保健師。

 東京都内の学校法人が開設準備していた看護学校に就職しようと、14年8月、偽造された保健師の免許証の写しを提出したなどとして、偽造有印公文書行使の罪で有罪が確定した看護師ら計5人も免許取り消しとなる。」


厚労省は,基本的に刑事事件で有罪が確定したときに行政処分を行っています.

谷直樹

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by medical-law | 2019-11-12 23:28 | 医療

熊野市で講演「よい医療を受けるために」

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今日は,熊野市の講演に行ってきました.
私の話が良い医療のために少しでも役立てば幸いです.
紀南地域ミニ人権大学講座の1コマで,「よい医療を受けるために」というテーマでお話をさせていただきました.
特急南紀3号には車内販売がないのですが,駅弁の「あら竹」さんに電話で申込むと松坂駅でドア口までお弁当を持ってきてくれます.「牛肉弁当」は美味しかったです.

谷直樹

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by medical-law | 2019-10-23 23:49 | 医療

10月26日,「歯科の感染対策」を考えるシンポジウム-より安全な医療を目指して-

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「「歯科の感染対策」を考えるシンポジウム-より安全な医療を目指して-」が,2019年10月26日(土曜日)14時~17時,四谷主婦会館プラザエフ7階カトレアで。開かれます.
全国B型肝炎訴訟原告団・弁護団主催,東京歯科保険医協会講演です.
問い合わせ先は,全国B型肝炎訴訟原告団弁護士武藤糾明氏(電話092 894 1781)です.

谷直樹

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by medical-law | 2019-10-21 01:25 | 医療

第21回薬害根絶フォーラム

明日10月20日に名古屋で薬害根絶フォーラムがあります.
日時:2019年10月20日(日) 13:30~16:45 (13時開場)
場所:鯱城(こじょう)ホール(名古屋市中区栄1-23-13伏見ライフプラザ5階)
第1部 被害実態報告(9薬害の被害者)
特集 HPVワクチン被害
第2部 徹底討論
「薬害被害者は何と闘ってきたのか」
~被害者たちは裁判で一体何と闘ってきたのか。裁判以外にもどれだけのものと闘いを強いられているのか~


谷直樹

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by medical-law | 2019-10-19 12:16 | 医療

阪奈病院,MDRA感染報告怠る(報道)

朝日新聞「結核患者19人、多剤耐性菌に院内感染 1人発症し死亡」(2019年10月17日)は次のとおり報じました.

「大阪府大東市の阪奈病院で、8月までの2年半の間に、抗生物質がほとんど効かない細菌の多剤耐性アシネトバクター(MDRA)に結核の入院患者19人が感染し、1人が発症して死亡していたことがわかった。感染症法は医療機関に対し、発症が確認されれば報告を義務づけているが、約7カ月間放置していた。ほかに17人が死亡したが、病院は「明らかな因果関係は認められない」と説明している。

 病院によると、MDRAに感染したのは結核病棟で入院していた58~97歳の男女19人。2017年2月から今年8月にかけて見つかったという。

 同月、病院から別の感染症の調査依頼を受けた外部の医師がMDRAの感染に気づいた。遺伝子検査の結果、院内感染と判明。感染経路は分からないという。

 今年1月、発症による肺炎の悪化で死亡した男性患者(71)について、主治医はMDRAへの感染を把握していたが病院に報告しなかった。このため、病院から所管の保健所への報告義務も守られなかった。四條畷保健所が厳重注意した。

 阪奈病院は、国内有数の結核病床数(123床)を備え、症状の重い患者の治療にもあたっている。川瀬一郎院長は17日、朝日新聞などの取材に対して「院内感染の認識が甘かった。反省している。主治医も、保健所への届け出を重要視していなかった」と話した。」


阪奈病院のサイトには次のとおり記載されています.

「令和元年7月に当院の結核病棟におきまして、多剤耐性アシネトバクターが複数の患者様から分離されました。最初の検出は2年前で、以降本館5階病棟17名、6階病棟2名の計19名の患者様におきましてこの菌が検出されております。」

四條畷保健所に届け出る一方、地域の感染管理者、大阪府、ならびに大阪大学感染制御部からなる対策会議を立ち上げ、各位のご指導を受けつつ8月以降調査と改善に努力して参りました。

まず患者様およびご家族の方に対しましては、多剤耐性アシネトバクターが検出された時点で「保菌状態に留まっていますが、念のため感染隔離が必要です」とお伝えし、ご理解を得ております。

「その後19名のうち18名の方は、すでにお亡くなりになっておられます。この菌の感染が患者様の病状経過にどのような影響を及ぼしたか外部の専門医2名に検討していただきました。その結果、「1例では肺炎を悪化させ直接死因となった可能性が否定できないが、他の18例ではすべて保菌状態に留まっており、病状経過には悪影響を及ぼしておらず死因との因果関係は認められない」との結論をいただいております。なお肺炎が悪化した可能性のある患者様のご家族には、病状経過を説明しご納得を頂きました。

一方対策につきましては、8月以降新たな結核入院を4階病棟のみに限定する一方、5階病棟と6階病棟の清掃と消毒に努めました。また全職員が一丸となって、感染予防策の徹底および抗生物質使用の適正化に取り組んでおります。その結果、5階病棟および6階病棟では、病室、ベッドやトイレなど病棟環境から多剤耐性アシネトバクターは検出されず、患者様におきましても新たな多剤耐性アシネトバクターの検出例は出現してはおりません。

今後も引き続き徹底した感染対策を行う一方、新たな多剤耐性アシネトバクター感染が出現しないか検査を続けて参ります。検査は定期的な結核菌検査と同時に行いますので、患者様には新たなご負担をおかけすることはございません。」


報道の件は私が担当したものではありません.
死亡との関連性はともかく,感染症法の定める報告を怠ったことは問題でしょう.

谷直樹

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by medical-law | 2019-10-18 10:07 | 医療