弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

カテゴリ:医療( 819 )

大津地裁,病院は医師の前立腺がんの小線源治療を妨害してはならないとの決定

滋賀医大附属病院の特殊がん治療「小線源治療」継続認める決定 大津地裁 ...
大津地裁は5月20日岡本圭生医師が治療の適応があると判断し患者からも同意を得ている治療を滋賀医大附属病院が妨害してはならないとして11月まで治療を継続して実施できるとする決定を下しました.
私が担当した事件ではありません.
患者の治療を受ける権利に配慮した適正な決定だと思います.


朝日新聞「前立腺がん治療、滋賀医大に延長妨害禁じる決定 地裁」(2019年5月21日)は次のとおり報じました.

 「大津地裁(西岡繁靖裁判長)は20日、滋賀医大病院(大津市)が今年6月末で打ち切る予定の前立腺がんの放射線治療について、希望する患者らが治療を受けられるように期間の延長を求める患者らの申し立てを実質認める決定をした。今年11月末まで、担当医の岡本圭生医師(58)による治療を同大は妨害してはならないと命じた。

 申し立てていたのは、北海道、東京、愛知、兵庫、岡山、広島の50~70代の前立腺がんの男性7人と岡本医師。岡本医師は2005年から同大病院で前立腺に放射線源を埋め込んでがん細胞を死滅させる小線源治療を行い、15年1月に寄付講座の特任教授に就いた。

 同大は17年12月、この寄付講座を今年12月末に閉鎖し、岡本医師による手術は6月末まで、その後は経過観察期間にすることを公表。7人の患者は岡本医師の診察を受けたものの、手術を受けられなくなった。

 大津地裁は治療の裁量権は岡本医師にあると判断。「手術に伴う合併症の観察期間は1カ月で十分」との岡本医師の主張をほぼ認め、「6カ月は必要」とする大学側の主張を退けた。

 記者会見で、岡本医師は「裁判所の適正な判断に敬意を表したい。医師の使命は患者さんの命を救うことであり、それが阻害される医療環境であっては、医療は立ちゆかない」と述べた。滋賀医大は朝日新聞の取材に「コメントは差し控える」と答えた。(出河雅彦)」




谷直樹

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by medical-law | 2019-05-20 19:26 | 医療

"Doubt is the origin of wisdom."

"Doubt is the origin of wisdom."(疑いは知の始まりである)

法学・医学を学んだルネ・デカルト氏の言葉です.
疾患を疑わないと必要な検査につながりません.
法律家の仕事は情報を集め信用性を評価することから始まります.
他方,「懐疑はおそらく英知の始めかもしれない。しかし英知の始まるところに芸術は終焉する。」と法学部教授の息子アンドレ・ポール・ギヨーム・ジッド氏は述べています.

谷直樹

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by medical-law | 2019-05-20 12:09 | 医療

市立病院,診療所の不祥事

CBニュース「公立病院の不祥事、委員会報告書踏まえ「改革」も - ガバナンス強化とコンプライアンス向上が鍵」(2019年5月15日)は,草加市立病院,秋田市立米沢診療所,小樽市立病院の報告書をとりあげ,再発防止策の重要性を指摘しています.

草加市立病院「腹腔鏡下子宮がん手術及び診療報酬請求に係る検証委員会」の報告を受けて

北秋田市「市立診療所において発生した公金の不正な取扱いに関する報告及び公金等の管理の適正化に関する方針

小樽市立病院「単回使用医療機器の不適切使用に関わる調査結果について」

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by medical-law | 2019-05-16 01:10 | 医療

第4回妊産婦に対する保健・医療体制の在り方に関する検討会

「第4回妊産婦に対する保健・医療体制の在り方に関する検討会」(5月16日)の資料が厚生労働省のサイトに掲載されています.

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_04724.html

谷直樹

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by medical-law | 2019-05-16 00:52 | 医療

論文撤回で再生医療臨床研究中止

共同通信「心臓の再生医療、一時停止 論文撤回で東京・榊原記念病院」(2019年4月23日)は次のとおり報じました.

「患者の心臓組織の一部を体外で培養し、再び患者の体に戻して心筋梗塞の治療を行う再生医療の臨床研究を、榊原記念病院(東京)が一時停止したことが23日分かった。治療の効果を示した海外の論文が撤回されたことが原因。既に2人の患者にこの治療を行ったが、健康被害はないとしている。

 研究責任者で同病院の細田徹部長は、他にも治療効果の根拠となる論文はあるとして研究を続けたい意向を示しており、国の認定を受けた再生医療の審査委員会に継続可否の判断を仰ぐ。」


治療効果の根拠となる論文が他にあるなら示してもらいたいものです.

谷直樹

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by medical-law | 2019-04-24 09:04 | 医療

透析中止問題

プレジデントオンラインに沙鴎一歩氏の 「安倍政権は33万人の透析患者を殺すのか 福生病院の透析中止は納得できない」が掲載されています.
小見出しは次のとおりです.

患者の命を救うのが医師の使命のはずだ
福生病院が取材に応じたのは、毎日のスクープから21日後
ほかにも20人以上が人工透析中止で死亡していた
「サイコネフロロジー」を少しでも理解していたのか
透析患者を救うには、現時点では腎臓移植しかない
延命治療を無意味なものとして中止する「ACP」
透析中止は尊厳死やACPを都合よく判断した結果
捜査のメスを入れて白黒をはっきりさせるべき
「文書指導」で済む問題ではないはずだ
患者の意思を本当に尊重していたのだろうか


安倍政権と関連付けたタイトルはさておいて,一読をお薦めします.

谷直樹

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by medical-law | 2019-04-20 08:05 | 医療

国体優勝の病院管理課職員の過労死で賠償命令(報道)

共同通信「国体選手自殺で賠償命令、月100時間超える残業」(2019年4月19日)は次のとおり報じました.

「2012年に開かれた岐阜国体のライフル射撃で優勝した鈴田潤さん(当時26)が自殺したのは、勤務先の病院で長時間の残業をし、精神障害を患ったことが原因として、鈴田さんの両親が病院を運営するJA岐阜厚生連に約9000万円の損害賠償を求めた訴訟で、岐阜地裁は19日、約7100万円の支払いを命じる判決を言い渡した。

訴状などによると、長崎市出身の鈴田さんは10年4月、国体での活躍を期待され厚生連に就職。13年4月から岐阜県瑞浪市の東濃厚生病院で勤務し、同年10~12月には月100時間を超える残業が続いた。

同年12月に「これ以上は耐えられそうにない」「生きてるとつらいだけ」などと記したメールをパソコンに残し行方不明となり、翌月、愛知県内のパーキングエリアに止めた車内で練炭自殺しているのが見つかった。

鈴田さんを巡っては、多治見労働基準監督署が17年9月、自殺は長時間労働が原因として労災認定した。

両親は「心身の健康を損なわないよう配慮する義務を怠り、国体強化選手としての立場も考慮しなかった」と主張、病院側は「長時間労働はあったが、他の職員と比べ度を超えたものではなかった」と反論していた。(共同)」


報道の件は私が担当したものではありません.
過労死は医師だけではありません.
病院側の反論にならない反論が問題の深刻さを示していると思います.

谷直樹

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by medical-law | 2019-04-20 07:44 | 医療

第3回妊産婦に対する保健・医療体制の在り方に関する検討会

2019年4月17日「第3回妊産婦に対する保健・医療体制の在り方に関する検討会」が開催されました.
2019 年3 月20 日~3 月29 日に行われた「妊産婦の医療や健康管理等に関する調査」の以下の結果概要が報告されました.

【対象】
回答者の年齢別の割合は、30~34歳が36.0%と最も多かった。また、回答者の80%が妊娠中であり、残りの20%が出産後であった。
約63%が「かかりつけ医はいない」と回答した。約52%が妊娠中に妊婦健診以外の目的で診療を受けていた。


【産婦人科受診】
妊娠中の産婦人科への受診回数(妊婦健診を除く)は平均約3回であった。妊娠中の産婦人科以外の診療科への受診回数は平均約3回であった。
妊娠中の産婦人科への受診理由は、妊娠に直接関わる症状(つわりなど)が最も多く、妊娠中の産婦人科以外の診療科への受診理由は、感染症状(熱、せき、たんなど)が最も多かった。


【産婦人科以外の受診】
産婦人科以外の受診先は、内科、歯科・歯科こうくう外科・耳鼻いんこう科の順であった。産婦人科以外の受診に当たり、約60%は妊娠前からのかかりつけを受診した。
回答者のうち、約15%は、産婦人科以外の診療科にかかろうとしたとき、他の医療機関への受診を勧められたことがあった。また、約18%は、産婦人科以外の診療科を受診した際に、産婦人科も受診するよう勧められたことがあった。
産婦人科以外の診療科を受診した回答者のうち58%は、産婦人科以外の医師から産婦人科の主治医に対する情報提供等はなかったと回答した。
産婦人科以外の診療科を受診した回答者のうち、約88%は、「気配りが不十分と感じた経験はない」と回答した。また、回答者全体のうち約81%が「説明文書を手渡して説明を行うことが大切」と考えている。
出産後1年以内の産婦人科以外の受診先は、内科、歯科・歯科こうくう外科、耳鼻いんこう科の順に多かった。受診理由としては、感染症状が最も多かった。
出産後1年以内の産婦人科以外の診療科の受診時に、「気配りが不十分と感じた経験はない」と回答した人は約85%であった。また、回答者全体のうち約76%が「説明文書を手渡して説明を行うこと」が大切と考えている。


【薬局】
薬局において、「気配りが不十分と感じた経験はない」と答えた回答者は、全体の約70%であった。また、薬局での対応について、「妊娠や授乳に気を配って薬の説明をすることが大切」と考える妊婦は全体の約62%であった。

【妊娠前の健康管理】
妊娠前の健康管理で気をつけていたこととしては、「葉酸を積極的に摂るようにする」が最多であった。妊娠中の健康管理で困ったこと等としては、「飲んでよい薬かどうか」が最多であった。

【妊娠中の保健指導】
妊娠中の保健指導について、全体として約50%程度の回答者が「指導を受けて満足している」と回答しており、その中で、「出産・産後の準備についての指導」が最も多かった。

【産後健診等】
産後健診の平均受診回数は、出産後1~2週の期間で0.8回、3~5週で1.0回、6週以降で0.5回であった。出産後の健康管理で困ったこと等については、「授乳に関すること」が最も多かった。
出産後の健康管理に関する支援として、サービスを受けて気に入ったと答えたサービスとしては、「産後健診」、「専門家による産婦訪問・新生児訪問」の順に多かった。



谷直樹

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by medical-law | 2019-04-18 02:17 | 医療

プレジデント2019年4月29日号,人工透析の中止事件は何が問題だったのか

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『プレジデント2019年4月29日号』93頁の村上敬氏の「人工透析の中止事件は何が問題だったのか」をお読みいただきたく思います.
私が医師による選択肢の提示について答えたものが記事になっています.
人工透析の中止は「死」を意味しますので,医師が死の選択肢を示すことのできるときは限られています.公立福生病院の件は,報道から判断する限り,死期が迫っていたわけではありませんので,尊厳死でも安楽死でもありません.抑うつ状態の患者に,本来必要な心のケアが行われず,死の選択肢を示した事案と考えます.

谷直樹

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by medical-law | 2019-04-06 14:26 | 医療

平成31年なのに

神奈川新聞「押印ミスで「平成30年」の領収書約2千枚 三浦市立病院」(2019年1月/30日)は,今月4日から22日に患者らに発行した領収書のうち,1番窓口が作成した2037枚が「平成30年」だった、と発表したとのことです.
ゴム印のスタンプを変えるのを失念したようです.
領収書の「年」は意外に見ていないのですね.

谷直樹

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by medical-law | 2019-02-01 04:04 | 医療