弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

カテゴリ:司法( 220 )

三浦守最高裁判所裁判官の抱負

小貫芳信氏の後任として最高裁判所裁判官に就任した三浦守氏が2月26日に会見し,抱負を語りました.

産経新聞は「当事者の主張に耳傾ける」,毎日新聞は「質の高い審理追求」と見出しをつけています.

産経新聞

法務省勤務が長く、被害者や遺族が刑事裁判に参加し、被告人質問などをすることができる被害者参加制度の立法にも携わった。当時を振り返り、「被告人や弁護人、裁判所、検察官がそれぞれの視点でいろいろな議論をした」と三浦氏。「最高裁は法律審だが、当事者の主張に耳を傾けるということは大事にしていきたい」と話した。

毎日新聞

「社会が複雑化して価値観が多様化する中で、裁判にはより質の高い審理や判断が求められているように思う。与えられた職務に全力を尽くしたい」と抱負を語った。
法務省時代に記憶に残る仕事として、2008年に始まった被害者参加制度創設に関わったことを挙げて「刑事司法の中で位置づけられていなかった被害者の参加を認めたもので、大変意義深く感じた」と振り返った。


医療事故の被害者についても,医療過誤訴訟のなかで適正な判断が下されているか,当事者の主張に耳を傾けて,質の高い判断を下していただきたく思います.

谷直樹

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by medical-law | 2018-02-27 08:39 | 司法

三浦守最高裁判所裁判官の抱負

小貫芳信氏の後任として最高裁判所裁判官に就任した三浦守氏が2月26日に会見し,抱負を語りました.

産経新聞は「当事者の主張に耳傾ける」,毎日新聞は「質の高い審理追求」と見出しをつけています.

産経新聞

法務省勤務が長く、被害者や遺族が刑事裁判に参加し、被告人質問などをすることができる被害者参加制度の立法にも携わった。当時を振り返り、「被告人や弁護人、裁判所、検察官がそれぞれの視点でいろいろな議論をした」と三浦氏。「最高裁は法律審だが、当事者の主張に耳を傾けるということは大事にしていきたい」と話した。

毎日新聞

「社会が複雑化して価値観が多様化する中で、裁判にはより質の高い審理や判断が求められているように思う。与えられた職務に全力を尽くしたい」と抱負を語った。
法務省時代に記憶に残る仕事として、2008年に始まった被害者参加制度創設に関わったことを挙げて「刑事司法の中で位置づけられていなかった被害者の参加を認めたもので、大変意義深く感じた」と振り返った。



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by medical-law | 2018-02-27 08:39 | 司法

最高裁判所第二小法廷平成30年1月19日判決(内閣官房報償費の支出に関する不開示決定処分取消等請求事件)

平成30年1月19日日,最高裁判所第二小法廷は,内閣官房報償費(機密費)の支出に関する不開示決定処分取消等請求事件について判決を下し,開示と不開示の線引きを示しました.
小法廷は本来は5名の裁判官で構成されるのですが,人事異動の狭間にあたり,裁判長裁判官山本庸幸氏,裁判官鬼丸かおる氏,裁判官菅野博之氏の3名で判決が下されました.通産省出身で元内閣法制局長官の裁判長裁判官山本庸幸氏の意見が付されています.
代理人弁護士は,あの阪口徳雄先生らです.

判決文はコチラ


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by medical-law | 2018-01-24 21:13 | 司法

小貫芳信最高裁判所裁判官退官

小貫芳信最高裁判所裁判官は,8月を待たずに 1月16日付けで退官しました.健康上の理由とのことです.
小貫芳信裁判官は,最高裁平成29年3月10日判決の無罪判決の際,検察官出身らしく,長文の反対意見を書きました.これが,小貫芳信裁判官唯一の反対意見です.
多数意見のほうが正しいと思いますが,この反対意見を読むと論点がよりクリアに理解できます.

【追記】
1月19日に,第二小法廷で,内閣官房報償費(官房機密費)に関する行政文書の開示裁判の判決がありました.小貫芳信元最高裁判所裁判官は,合議等に加わることができない病態だったので,判決前に辞めたのでしょう.
小貫芳信元最高裁判所裁判官は,平成30年1月21日,左耳下腺導管癌のため逝去されました.謹んでご冥福をお祈り申し上げます.耳下腺癌は比較的まれな癌で,痛みを契機に発見されることが多いようです.

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by medical-law | 2018-01-17 13:55 | 司法

民事裁判記録の保管期間

裁判所は,民事事件の判決原本を50年, 和解調書を30年 ,判決原本や和解調書を除いた事件記録を5年,それぞれ保管しています.歴史的に重要なもの等については,事件記録等保存規程第9条第2項の特別保存に付されます.
事件記録の保管期間は意外に短いのです.

今,仮に500年前の裁判記録があったら,歴史的に重要な文書として扱われる可能性が高いと思います.歴史的に重要かどうかは後世ほ人が決めることでしょう.
たとえば,民事事件の判決原本を5000年, 和解調書を3000年 ,判決原本や和解調書を除いた事件記録を500年にすれば,裁判研究に役立つ可能性があると思います.
もっとも,当事者は自分の裁判が後世の研究対象にされるのは望まないところかもしれませんのが.

なお,民事の訴訟記録の閲覧は誰でも請求することができ(民事訴訟法第91条第1項),謄写については,当事者及び利害関係を疎明した第三者が請求することができます(同第3項).

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by medical-law | 2018-01-13 12:41 | 司法

無罪判決は検察のミス?

大阪府豊中市で2015年小学生ら6人に重軽傷を負わせたとして危険運転致傷罪と過失傷害罪に問われた会社員を無罪とした大阪高裁判決に対し,大阪高検は昨年12月28日上告を断念すると発表しました.田辺泰弘次席検事が「判決内容を十分検討したが適法な上告理由までは見いだし難かった」述べたと報道されています.

この件は,検察は,運転前に服用した睡眠導入剤の影響があったとして,危険運転致傷罪,予備的に過失傷害罪の成立を主張していましたが,大阪地裁,大阪高裁ともに,薬の作用は個人差があり,事故直前までの運転が正常だったことから何れの罪も成立しないとしました.
ただ,裁判所は,睡眠導入剤以外の点で過失があった可能性を示唆していました.

私が担当した事件ではありませんので報道以上のことは不明ですが,無罪判決は検察の訴因設定ミスの可能性もあるのではないでしょうか.以前,「犯罪が複雑化するなかでも真相解明に努め、強い検察として期待に応えたい」(大阪高検検事長),「犯罪に誠実に向き合い信頼を回復したい」(大阪地検検事正)と語っていましたが,どうしてこのような訴因になったのか,検察内部での真摯な検討が必要でしょう.

医療過誤事件でも同じ様なことがあります.
医療事件に詳しくない弁護士などが担当した事件を引き続ぐと,機序を誤解していたり,私からみると本来過失として主張立証すべき点を主張していないことが少なからずあります.医療過誤事件の主張立証方針は弁護士により異なる場合がありますので,医療事件に詳しい弁護士を依頼したほうがよいと思いますが,医療事件に詳しくない弁護士に依頼している場合,主張が迷走しているなど訴訟遂行について疑問を感じたなら,セカンド・オピニオンを求めることも1つの方法でしょう.
また,当事務所は,医療事件に詳しくない弁護士のために,「弁護士向けサポート相談」を行っています.お気軽にご利用下さい.

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by medical-law | 2018-01-05 12:11 | 司法

訃報,大西勝也元最高裁判事

大西勝也元最高裁判事(89歳)が,12月21日,誤嚥性肺炎のため永眠されました.
ご冥福をお祈り申し上げます.

愛媛県靖国神社玉串訴訟の最高裁平成9年4月2日判決(違憲)で,多数意見の立場をとり,愛知県の玉串料,献灯料又は供物料を違憲としました.
最高裁平成9年4月2日判決には,裁判官大野正男,同福田博の各補足意見,裁判官園部逸夫,同高橋久子,同尾崎行信の各意見,裁判官三好達,同可部恒雄の各反対意見がありました.
裁判要旨は,以下のとおりです.

「一 愛媛県が、宗教法人D神社の挙行した恒例の宗教上の祭祀である例大祭に際し玉串料として九回にわたり各五〇〇〇円(合計四万五〇〇〇円)を、同みたま祭に際し献灯料として四回にわたり各七〇〇〇円又は八〇〇〇円(合計三万一〇〇〇円)を、宗教法人愛媛県E神社の挙行した恒例の宗教上の祭祀である慰霊大祭に際し供物料として九回にわたり各一万円(合計九万円)を、それぞれ県の公金から支出して奉納したことは、一般人がこれを社会的儀礼にすぎないものと評価しているとは考え難く、その奉納者においてもこれが宗教的意義を有する者であるという意識を持たざるを得ず、これにより県が特定の宗教団体との間にのみ意識的に特別のかかわり合いを持ったことを否定することができないのであり、これが、一般人に対して、県が当該特定の宗教団体を特別に支援しており右宗教団体が他の宗教団体とは異なる特別のものであるとの印象を与え、特定の宗教への関心を呼び起こすものといわざるを得ないなど判示の事情の下においては、憲法二〇条三項、八九条に違反する。

二 愛媛県が憲法二〇条三項八九条に違反して宗教法人D神社等に玉串料等を県の公金から支出して奉納したことにつき、右支出の権限を法令上本来的に有する知事は、委任を受け又は専決することを任された補助職員らが右支出を処理した場合であっても、同神社等に対し、右補助職員らに玉串料等を持参させるなどしてこれを奉納したと認められ、当該支出には憲法に違反するという重大な違法があり、地方公共団体が特定の宗教団体に玉串料等の支出をすることについて、文部省自治省等が、政教分離原則に照らし、慎重な対応を求める趣旨の通達、回答をしてきたなどの事情の下においては、その指揮監督上の義務に違反したものであり、過失があったというのが相当であるが、右補助職員らは、知事の右のような指揮監督の下でこれを行い、右支出が憲法に違反するか否かを極めて容易に判断することができたとまではいえないという事情の下においては、その判断を誤ったものであるが、重大な過失があったということはできない。

三 複数の住民が提起する住民訴訟は、類似必要的共同訴訟と解すべきである。

四 複数の住民が共同訴訟人として提起した住民訴訟において、共同訴訟人の一部の者が上訴すれば、それによって原判決の確定が妨げられ、当該訴訟は全体として上訴審に移審し、上訴の判決の効力は上訴をしなかった共同訴訟人にも及ぶが、上訴をしなかった共同訴訟人は、上訴人にはならず、上訴をした共同訴訟人のうちの一部の者が上訴を取り下げた場合は、その者は上訴人ではなくなる。
(一につき、補足意見、意見及び反対意見がある。)」


谷直樹

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by medical-law | 2017-12-26 05:16 | 司法

東京地裁平成19年12月22日判決,マタハラの歯科医院に地位確認し慰謝料200万円を含む約700万円の支払いを命じる

朝日新聞「産休中の歯科衛生士にマタハラ、歯科医院に賠償命令」(2017年12月23日)は,次のとおり報じました.

「育休取得の手続き中に退職させられたとして、歯科衛生士の女性が勤務先の東京都内の歯科医院に対し、地位確認と約800万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が22日、東京地裁であった。若松光晴裁判官は「育休取得などの権利を侵害した」と認め、従業員としての地位を確認し、慰謝料200万円を含む約700万円の支払いを命じた。

 判決によると、女性は2015年9月から産休に入り、11月に出産。産休中から育休取得を申請しようとしたが手続きを拒まれ、翌年1月に退職願用紙が自宅に届いた。その後、自己都合退職扱いとされた。

 若松裁判官は「マタハラ根絶の社会的要請も高まっている」と指摘。「妊娠を理由とした降格で慰謝料100万円を認めた裁判例があるが、今回は違法性が強く200万円を要する」と判断した。
 判決は、「理事長の男性が『産休を取る者は賞与を請求しないのが普通』との独自の見解を持っていた」と述べ、そのため女性に不快感を抱き、強引に退職扱いにしたと結論づけた。」


これは私が担当した事件ではありません.
ノーワークノーペイ原則があり,産休期間分は不就労期間であることから,賞与の支給対象期間から控除することも許されますが,それ以前の就労期間の賞与を支給しないのは明らかに違法です.ちなみに,労働契約で賞与を支給しないこともできます.賞与の計算方法も,給与の何か月分と決めるところもありますが,定額にしているところもありますし,評価で決めるところもあるでしょう.産休期間も賞与の評価対象期間とする場合,評価をどうするか,という問題はあります.
判決は,違法性が強いケースであることを理由に200万円の慰謝料を認めましたが,社会的避難が強いマタハラの慰謝料額は今後さらに上昇することが考えられます.
なお,若松光晴判事は,以前渋谷パブリック法律事務所に来ていたことがあります.

谷直樹

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by medical-law | 2017-12-24 09:46 | 司法

最高裁(3小)平成29年12月18日決定,医療観察法による処遇制度合憲

最高裁(3小)平成29年12月18日決定は,医療観察法による処遇制度を以下のとおり合憲と判断しました.

平成29年(医へ)第16号
医療を受けさせるために入院をさせる旨の決定に対する抗告棄却決定に対する再抗告事件
平成29年12月18日 第三小法廷決定

主文
本件抗告を棄却する。

理由
1 本件抗告趣意のうち,心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(以下「医療観察法」という。)の憲法14条,22条1項,31条違反をいう点について
所論は,医療観察法による処遇制度について,同法の立法目的は合理的ではなく,同法の規定する処遇及びその要件も合理性を欠くものであり,また,適正な手続保障にも欠けている旨主張する。

医療観察法は,心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者に対し,その適切な処遇を決定するための手続等を定めることにより,継続的かつ適切な医療並びにその確保のために必要な観察及び指導を行うことによって,その病状の改善及びこれに伴う同様の行為の再発の防止を図り,もってその社会復帰を促進することを目的としており(1条1項),この目的は正当なものというべきである。そして,医療観察法は,対象者について,「対象行為を行った際の精神障害を改善し,これに伴って同様の行為を行うことなく,社会に復帰することを促進するため,この法律による医療を受けさせる必要があると認める場合」には,入院をさせる又は入院によらない医療を受けさせる旨の決定(42条1項1号,2号)をしなければならない等と規定しているところ,このような処遇は上記目的を達成するため必要かつ合理的なものであり,その要件も上記目的に即した合理的で相当なものと認められる。
医療観察法の審判手続をみると,刑事手続とは異なり,裁判所が職権によって事実を探知する手続を採用し(24条),審判期日における審判は公開しないとしている(31条3項)。また,原則として,一人の裁判官及び一人の精神保健審判員の合議体で処遇事件を取り扱う(11条1項)こととし,弁護士による付添人の制度を設け(30条),付添人に意見陳述権や資料提出権(25条2項),審判期日への出席権(31条6項),記録又は証拠物の閲覧権(32条2項)等を認め,検察官による申立てに係る処遇事件の審判においては,付添人を付さなければならず(35条),審判期日の開催を原則として必要的とし(39条1項),審判期日では,対象者に対し,供述を強いられることはないことを説明するなどした上で,対象者及び付添人から意見を聴かなければならないとしてい
る(39条3項)。さらに,対象者及び付添人等に抗告権(64条2項),退院の許可又は医療の終了の申立権(50条,55条)を認めるなど,対象者に必要な医療を迅速に実施するとともに,対象者のプライバシーを確保し,円滑な社会復帰を図るため,適正かつ合理的な手続が設けられている。
ところで,憲法31条の定める法定手続の保障は,直接には刑事手続に関するものであるが,当該手続が刑事手続ではないとの理由のみで,そのすべてが当然に同条による保障の枠外にあると判断することは相当でなく,その保障の在り方については,刑事手続との差異を考慮し,当該手続の性質等に応じて個別に考えるべきものであるところ,上記のとおり,医療観察法においては,その性質等に応じた手続保障が十分なされているものと認められる。

以上のような医療観察法の目的の正当性,同法の規定する処遇及びその要件の必要性,合理性,相当性,手続保障の内容等に鑑みれば,医療観察法による処遇制度は,憲法14条,22条1項に違反するものではなく,憲法31条の法意に反するものということもできないと解するのが相当である。
このように解すべきことは,当裁判所の判例(最高裁昭和37年(オ)第1472号同39年5月27日大法廷判決・民集18巻4号676頁,最高裁昭和61年(行ツ)第11号平成4年7月1日大法廷判決・民集46巻5号437頁)の趣旨に徴して明らかである。所論は理由がない。

2 その余の抗告趣意について
その余の抗告趣意は,憲法違反をいう点を含め,実質は単なる法令違反の主張であって,医療観察法70条1項の抗告理由に当たらない。

3 よって,医療観察法71条1項により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官山崎敏充 裁判官岡部喜代子 裁判官木内道祥 裁判官戸倉三郎 裁判官林景一)


これは,私が担当した裁判ではありません.
上記決定は,基本的に,目的の正当性,必要性,合理性,相当性の枠組みで,雑駁な判断を行っているように思います.このような最高裁における憲法判断の脆弱性に鑑みると,最高裁には,松井茂記先生などの優れた憲法学者を一人入れるべきと思います.

谷直樹

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by medical-law | 2017-12-22 23:17 | 司法

四国電力伊方原発3号機の運転差し止めを認める広島高裁決定を下した野々上友之判事定年退官

広島高裁民事第2部部総括の野々上友之判事は定年退官を迎え,翌日発令されます.

野々上友之判事は,平成21年の広島地裁判決で,国に被爆者らへの賠償を命じる判決を言い渡し,以後の裁判に影響を与えました.
また,平成29年12月13日の四国電力伊方原発3号機の運転差し止めを認める広島高裁決定は,記憶に新しく高裁としては画期的なものです.

日弁連の「伊方原発差止仮処分広島高裁決定に対する会長声明」は,以下のとおり,この決定を高く評価しています.

「今回、初めて高等裁判所において仮処分の請求を認容し、2018年9月30日まで原子炉の運転の停止を命ずる決定を言い渡したことは、極めて意義のあることである。

今回の決定は、原子力規制委員会の定めた火山ガイドの評価手順に従い、伊方原発から130キロに位置する阿蘇カルデラについて原子炉の運用期間中に火山の活動性が十分小さいと判断することはできず、噴火規模を推定することもできないから、過去最大の阿蘇4噴火(約9万年前)の噴火規模(火山噴火指数7)を想定すべきで、阿蘇4噴火時の火砕流が伊方原発敷地に到達した可能性が十分小さいと評価することはできないから、伊方原発の立地は不適であると判断したものである。同様の事実は、川内原子力発電所に関する福岡高等裁判所宮崎支部決定(2016年4月6日)や、本決定の原決定である広島地方裁判所決定(2017年3月30日)においても認定されていたが、原子力発電所(以下「原発」という。)の運用期間中に破局噴火が発生する可能性が示されない限り、これを停止させることは社会通念に反すると判断して、住民の請求を認めなかった。

しかし、本決定は、原子力規制委員会が最新の科学技術的知見に基づいて定めた火山ガイドが考慮すべきと定めた自然災害について、社会通念を根拠に限定解釈をして、判断基準の枠組みを変えることは、原子炉等規制法及びその委任を受けて制定された新規制基準の趣旨に反すると判断した。さらに、火砕流噴火よりも小さい規模の噴火の際の降下火砕物の層厚と、大気中濃度の想定も過小評価であると認め、運転の差止めを認めたものである。

本決定は、国民の生存を基礎とする人格権に基づき、国民を放射性物質の危険から守るという観点から、司法の果たすべき役割を見据えてなされた、画期的決定であり、ここで示された火砕流噴火に関する判断は九州、四国、北海道、東北の原子力施設に、降下火砕物に関する判断は、他の全ての原子力施設に当てはまる。

当連合会は、2013年の人権擁護大会において、いまだに福島第一原発事故の原因が解明されておらず、同事故のような事態の再発を防止する目処が立っていないこと等から、原子力発電所の再稼働を認めず、速やかに廃止すること等を内容とする決議を採択している。本決定は、この当連合会の見解と基本的認識を共通にするものであり、高く評価する。」




谷直樹

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by medical-law | 2017-12-20 02:05 | 司法