弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

カテゴリ:医療事故・医療裁判( 1312 )

医療機関の消滅と損害賠償請求

日刊工業新聞「休業・廃業は倒産の10倍、深刻化する医療機関の経営 後継者難や患者不足、地方で顕著に。歯科は00以降最多に」(2019年4月23日)は次のとおり報じました.

「2018年度(18年4月―19年3月)の医療機関の倒産データがまとまった。倒産件数(法的整理)は病院4件、診療所19件、歯科医院16件の計39件。負債総額は165億5600万円となった。2000年度以降の19年間でみると、件数は09年度(45件)、10年度(43件)、07、08年度(各39件)に次ぐ5番目。負債総額は14番目の水準だった。

 負債額が最も大きかったのは「磐城中央病院」や「小名浜中央病院」を経営している医療法人翔洋会(負債61億6400万円、福島県、民事再生法)で、以下、医療法人社団大森会(同28億2500万円、熊本県、民事再生法)、医療法人天貴会(同10億5800万円、民事再生法、栃木県)と続いた。翔洋会の負債額は2000年度以降の医療機関倒産のなかで9番目の規模で、東北エリアの医療機関倒産としては過去最大級。

 そのほか、39件を負債額別にみると、「1億円未満」と「1億―10億円未満」がそれぞれ18件(各構成比46・2%)となったほか、態様別では「破産」が32件(構成比82・1%)、「民事再生法」が7件(同17・9%)。

 所在地別では「大阪府」(5件)、「福岡県」(4件)、「愛知県」(3件)、「東京都」「北海道」「神奈川県」「京都府」「岐阜県」「山口県」「熊本県」(各2件)の順となり、業歴別では「30年以上」が11件(構成比28・2%)、「10年未満」が12件(同30・8%)を占める結果となった。

 ちなみに18年1―12月に休業・廃業・解散に至った医療機関(法人、個人含む)は、400件あったことが判明。2000年以降では17年(404件)に次ぐ高水準となり、18年度の倒産件数の約10倍の件数となっている。400件の内訳は「病院」が27件、「診療所」が305件、「歯科医院」が68件となり、診療所の件数が2000年以降で最多、歯科医院が2番目の多さとなっている。

 各都道府県における事業者数に対する休業・廃業・解散の比率は地方ほど高い数値を示しており、経営者の高齢化・後継者不足のみならず、将来的な人口動態に伴う患者不足(収入減)を主因とした医療機関の休業・廃業・解散は、今後さらに増加していく可能性がある。(文=帝国データバンク情報部)」




医療過誤被害者にとっては,医療機関の廃業,解散は相手方が消滅するるため大きな問題です.ただ,廃業・解散前に請求された,医療過誤に基づく損害賠償にてういては,医事保険が適用になりますので,保険から支払われることになります.また,医師個人,看護師個人の責任は3年の時効にかからない限りありますので,個人を相手に損害賠償請求を行うこともできます.

谷直樹

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by medical-law | 2019-04-24 09:17 | 医療事故・医療裁判

提言第8集「救急医療における画像診断に係る死亡事例の分析」

一般社団法人 日本医療安全調査機構は,2019年4月22日,医療事故の再発防止に向けた提言第8号「救急医療における画像診断に係る死亡事例の分析」を公表しました.

【救急医療における画像検査の意義】
救急医療における画像検査は確定診断を追究することより、緊急性の高い死につながる疾患(killer disease)を念頭において読影することが重要である。特に、頭部外傷による少量の出血、大動脈瘤切迫破裂や大動脈解離の画像所見、腸管穿孔による遊離ガス像に注目する。

【画像検査依頼時の情報共有】
画像検査を依頼する医師は、臨床症状および疑われる疾患、特に否定したい疾患について明確に依頼書に記載し、診療放射線技師・放射線科医師と情報を共有する。

【救急外来における撮影画像の確認】
担当医師一人ではなく、上級医師や放射線科医師などの複数の医師がそれぞれの視点で画像を確認し、所見について情報を共有する。救急外来における診療放射線技師は、緊急度の高い所見を発見した場合、読影する医師にすみやかに情報を提供する。また、情報通信技術(ICT)を用いた院外からの読影も有用である。

【画像検査の追加と入院・帰宅の判断】
当初の画像検査だけでkiller diseaseを否定できない場合は、単純CTさらには造影CTなどの追加を行う。確実に否定できるまでは診療を継続し、その間に観察した症状は医療従事者間で情報共有することが重要である。

【画像診断報告書の確認とincidental fi ndings】
救急診療後に作成される画像診断報告書の確認が確実にできるよう、責任者を決めて対応する。また、当初の検査目的以外で偶発的に認められた異常所見(incidental fi ndings)について、担当医師による対応が必要な所見は確実に伝達されることが重要である。

【院内体制の整備】
救急医療においてkiller diseaseを鑑別するための教育体制、救急医療にあたる担当医師への支援体制、重要所見を含む画像診断報告書の確認と対応を把握できる体制を整備する。これらを通して、すべての医療従事者が画像検査に係る医療安全に主体的に関わる文化を醸成することが望まれる



谷直樹

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by medical-law | 2019-04-23 08:31 | 医療事故・医療裁判

富山大学附属病院でCT画像診断報告書のがん疑いを昨春見落とし,今年年明けに患者死亡(報道)

毎日新聞「「がん疑い」検査結果を見落とし、患者死亡 富山大病院」(2019年4月16日)は,次のとおり報じました.

「富山大付属病院(富山市)は16日、コンピューター断層撮影(CT)の画像診断でがんが疑われるとの結果を記載した報告書を担当医師が見落とし、患者が約1年後に死亡したと発表した。患者の氏名や病名は遺族の意向で非公表としている。林篤志病院長は「患者、遺族に多大な負担と心痛をかけ、深くおわびする」と謝罪したが、見落とした事実と死亡の因果関係については否定した。

 同病院によると、患者は数年前に病院内の泌尿器科でがんの手術を受けた。昨春の定期検診でのCT検査で、放射線科の医師が別の臓器に新たな腫瘍を発見し電子カルテに記載。泌尿器科の医師は、それを見落としたまま患者に説明した。

 患者は昨夏ごろ腹痛などの症状があり、秋に再び同病院を受診。別の進行したがんが発見され、今年に入り死亡した。林病院長は「昨春に治療を始めても完治しなかったと思うが、(見落としで)生存期間が短くなったのは否定できない」とした。【青山郁子】」


チューリップテレビ「富山大学附属病院 「腫瘍疑い」見落とし 患者死亡」」(2019年4月16日)は,次のとおり報じました.

「富山大学附属病院は16日、医師がCT検査の報告書の確認を怠り、がんの発見が遅れた患者が死亡したと発表しました。

 医師は報告書にあった「腫瘍が疑われる」との記載を見落とし、適切な手続きをとっていませんでした。

 病院によりますと、患者は数年前に富大付属病院の泌尿器科でがんの手術を受け、その後は年に1回程度、CT検査を受けていました。
 去年春の検査では、放射線科の医師が新たな腫瘍の可能性を電子カルテに記載しましたが、泌尿器科の医師が見落とし、専門の診療科に紹介するといった手続きをとりませんでした。
 患者はその後、腹痛と食欲不振に悩まされ、他の医療機関を受診しましたが症状が改善しないため、秋に富大附属病院の内科を紹介されました。
 そこで、春に行ったCT検査の報告書に腫瘍の可能性が記載されていたことが判明。
 引き続き富大附属病院で治療が行われましたが、患者は今年に入り亡くなりました。
 病院側は報告書の見落としと死亡の因果関係はないとしています。

 「見つかった時点で治療してもおそらく死亡していた。生存期間が短くなったことは否定できない」(山崎光章副院長)

 一方、重要な所見を見落とさないためのルールづくりは不十分だったとして去年、再発防止を防ぐため電子カルテのシステムを改修をしたほか、重要な所見がある場合は冒頭に記載するといったルールを定めています。」


報道の件は私が担当したものではありません.
2018年秋から治療を開始しましたが,病院は,2018年春から治療を開始しても死亡していただろうから,因果関係はない,と言いたいのでしょう.「因果関係」は「あれなければこれなし」の関係です.2018年春の見落としがなければ,2019年年明けの死亡がなかったか,が問題になります.生存期間が短くなったことは否定できないとのことですから,2018年春の見落としがなければ,2019年年明けの死亡がなかったことになります.したがって,因果関係はあります.
法律家ではない医師が「因果関係」の意味を誤解して話していると思います.
短くなった生存期間がどの程度なのか,によって損害賠償の金額が変わってきます.がんはステージごとに生存率が公表されています.2018年春の時点と2018年秋の時点でステージに差がなければ,ステージごとの生存率は使えません.その場合,転移のある進行癌患者の平均余命(月単位)から,短縮された生存期間を推定することになると思います.
さらに,損害は生存期間の短縮だけではありません.CT検査を受け「癌疑い」と報告されていながら,見落とされたことの精神的苦痛も損害です.

谷直樹

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by medical-law | 2019-04-17 02:06 | 医療事故・医療裁判

東京都,公立病院の同意書等記録の不備を指摘

毎日新聞「透析中止 東京都、病院側の不備10件を指摘」(2019年4月15日)は,次のとおり 報じました.

「公立福生病院(東京都福生市)の人工透析治療を巡る問題で、都の9日の指導は計10件の病院側の不備を指摘した。2007年に策定された厚生労働省のガイドラインに基づく指導は全国初。

 都は、病院の腎臓病総合医療センターが開設された13年4月以降、立ち入り検査した3月6日までの間に透析治療を中止(4人)、または最初から治療しない「非導入」(20人)で死亡した計24人を調べた。(1)患者の意思を確認する書類(同意書)が保存されていない(1件)(2)医師からの代替治療法の説明を行ったことなどの記録を確認できない(4件)(3)患者の意思の変化に対応できる旨の説明を行った記録を確認できない(4件)――などが分かり、改善を指導した。関係者によると、(1)は治療中止の1人で、非導入の20人全員と合わせ、計21人の同意書がなかったことが判明している。

 一方、腎臓病患者に対しては通常、腎臓移植、血液透析、腹膜透析という3種類の選択肢が医師から提示されるが、24人のうち19人は2種類以下だった。「患者の視点で医療安全を考える連絡協議会」の永井裕之代表は「全ての選択肢を提示しないことは、医師による患者の誘導につながる。インフォームドコンセント(十分な説明に基づく同意)を徹底させ、再発を防止すべきだ」と話す。【斎藤義彦】」


報道の件は私が担当している事件ではありません.
東京都が指摘したのは同意書等の記録の不備ですが,大事なことです.
単なる記録の不備であるという見方はできないでしょう.

谷直樹

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by medical-law | 2019-04-16 08:53 | 医療事故・医療裁判

注射による神経損傷で県立病院提訴報道

新潟日報「十日町病院の医療過誤で県を提訴 中越地方の40代女性」(2019/04/13)は次のとおり報じました.

「新潟県立十日町病院で注射を受けた中越地方の40代女性が、注射によって座骨神経を損傷し、左足に痛みやしびれが残ったのは看護師の注意義務違反があったからだとして、病院を運営する県に約740万円の損害賠償を求める訴訟を12日までに、新潟地裁に起こした。

 訴状によると、女性は2014年、別の病院の紹介で十日町病院で注射を受けたが、看護師が漫然と注射したために座骨神経を損傷させる注意義務違反があったとしている。同年、当時の病院長が女性に謝罪したといい、医療過誤補償の手続きも行ったが、病院側がその後に法的責任はないなどと態度を変えたとも主張している。

 県病院局は「今、答えられることはない。こちら側の主張は裁判の中で具体的にしていく」とした。」


上記報道の件は私が担当したものではありません.
注射による神経損傷の事案は,件数が多く,患者側の弁護士では誰しも相談を受けたり担当したことがあると思います.ところが,神経損傷は目に見えるものではないからでしょうか,医療側は責任を認めないことも結構多いように思います.裁判例を蓄積していく必要があるでしょう.
なお私は現在注射による正中神経損傷事件を1件担当しています.

谷直樹

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by medical-law | 2019-04-13 23:20 | 医療事故・医療裁判

神戸地判平成31年4月9日,未破裂脳動脈瘤を見落とした事案で330万円賠償命令

神戸地裁で,過失を認め,死亡との因果関係を認めなかった判決がありました.

神戸新聞「見落とした脳動脈瘤が破裂 神戸市立病院側に330万円支払い命令」(2019年4月9日)は,次のとおり報じました.

「神戸市立医療センター中央市民病院の医師が診察で未破裂脳動脈瘤を見落としたため、直ちに治療が受けられずに破裂したとして、同市の女性(81)が病院側に約7550万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が9日、神戸地裁であった。和久田斉裁判長(阿多麻子裁判長代読)は医師に「注意義務違反があった」とし、病院側に330万円の支払いを命じた。

 女性は2012年7月に同病院で検査を受け、医師は「明らかな病変はない」と診断。13年6月に別の医療機関に救急搬送され、脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血と診断された。

 判決は「医師が見落とした注意義務違反によって、外科的治療を選ぶ機会を奪われた」と指摘。一方、仮に医師が見落とさなくても「女性が経過観察を選んだ可能性も相当程度あった」とした。」

 同病院側は「判決文が届いていないので、現時点ではコメントできない」としている。」


報道の件は私が担当したものではありません.
日本は,未破裂動脈瘤の治療率が高い国です.
見落としが無く,未破裂動脈瘤が発見された場合,経過観察されることは少ないでしょう.径7mm以下の動脈瘤でも生涯破裂率は25%ですので,小型でもスコアリングで年間3%以上の破裂率があれば治療することが多いと思います.
この件は,動脈瘤の大きさ,部位,形状が報じられていませんが,患者の81歳女性と報じられています.
脳ドックを受けた70歳以上の女性では14.8%に未破裂動脈瘤があったという報告があります(径3mm以下のものも含まれます).
81歳女性は高齢と言っても平均余命が11年あります.81歳だから治療せず経過観察したとは言えないでしょう.
当該ケースの破裂率を計算し,基本的に,年間3%以上であれば治療した,3%未満であれば経過観察した,と考えることができると思います.


谷直樹

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by medical-law | 2019-04-12 23:39 | 医療事故・医療裁判

大阪地検,和泉市の無痛分娩全脊麻事故で院長医師不起訴(嫌疑不十分)

和泉市の無痛分娩全脊麻事故は,私が担当している事件です.
遺族から依頼され,途中から代理人になりました.
既に書類送検されていましたが,平成30年9月11日,業務上過失致死罪で刑事告訴を行いました.告訴の骨子は次の3点です.
① 麻酔薬を少量分割投与する注意義務の違反 
院長医師は,午後3時20分頃から,患者に,7.5mg/mlの高濃度のアナペイン5ml,3ml、5mlを観察を行うことなく連続的に投与した。
② 麻酔域を調べる注意義務の違反 
院長医師は,同25分頃に患者に下肢の運動麻痺の所見が認められ,同32分に呼吸苦の訴えがあったにもかかわらず,麻酔域を調べなかった。
③ 純酸素投与を行う注意義務の違反
院長医師は,局所麻酔薬のくも膜下腔への誤投与の可能性を疑わず,バッグ・バルグ・マスク等を用いた純酸素投与を行わなかった。

①7.5mg/mlの通常用いられるよりも高濃度のアナペインを投与こと
②通常用いられるよりも多い5ml,3ml、5mlを観察を行うことなく連続的に投与したこと
③硬膜外腔に投与するつもりで脊髄くも膜下腔に投与したこと
により,全脊髄麻酔(全脊麻)を引き起こし,呼吸障害が生じさせました.
医師として麻酔が効いている範囲を確認するのが当然なのに,麻酔域を調べませんでした.
どんなに遅くとも,呼吸が苦しいと訴えた時点で,麻酔域を調べるべきだったと考えます.麻酔域を調べていれば,麻酔域が広すぎ呼吸に影響がでていることは容易に分かります.そこで,純酸素投与を準備し,適切に純酸素を投与することで患者死亡の結果は回避できたはずと考えました.

大阪地方検察庁は,バッグ・バルグ・マスク等を用いた純酸素投与を行って救命できた時点を検討していましたが,重篤な呼吸障害が生じた時点を証拠から分単位で特定することができず,嫌疑不十分で不起訴としました.

一般に,不起訴には次の場合があります.
1 訴訟条件を欠く場合
 被疑者が死亡したときなどです.
2  被疑事件が罪とならない場合
 犯罪時に心神喪失であったときなどです.
3 犯罪の嫌疑がない場合(嫌疑なし)
 被疑者が犯人ではなかったことが明らかになったときなどです.
4 犯罪の嫌疑が不十分の場合(嫌疑不十分)
 犯罪の成立を認定すべき証拠が不十分なときです.
5 起訴猶予の場合
 被疑者が犯罪を犯したことが証拠上明白であっても,諸般の事情を総合的に考慮して,検察官の裁量により不起訴とされる場合があります.

本件は,証拠不十分のため嫌疑不十分とされた事案です.医療として一般に行うべきことが行われていないために,証拠が不足し,重篤な呼吸障害が生じた時点を分単位で特定するについて検察がほぼ100%の確信をもてなかった事案です.
ただ,医療は疑って検査し,診断し,治療する一連の行為の連続です.どこか1点を切り離して問題にするのは本質を見失いかねません.硬膜外麻酔を行ったら麻酔の効きの範囲を調べるなど医療として一般に行うべきことが行われていないことを含めて,検査義務違反と治療義務違反を合わせた過失について検討する必要があったと思います.

安心して無痛分娩が受けられるようにするためには,安全な無痛分娩が普及することが必要です.麻酔薬を投与しながら麻酔域を調べず,全脊麻に気付かず,治療(純酸素投与)ができなかった事案を許さないことは,医療の質の向上に必要なことと思います.

浦和簡判平成7年10月16日,札幌簡判平成9年10月29日などの先例もあります.

読売新聞「無痛分娩死亡、大阪のクリニック院長不起訴」(2019年4月9日)は,次のとおり報じました.

「大阪府和泉市の産婦人科医院「老木レディスクリニック」で2017年1月、無痛分娩をした女性が死亡した事故で、大阪地検は9日、業務上過失致死容疑で大阪府警に書類送検された男性院長(61)を不起訴(嫌疑不十分)にした。

 院長は17年1月、大阪府枚方市の長村千恵さん(当時31歳)に出産の痛みを和らげる局所麻酔を実施。直後、長村さんは呼吸困難に陥り、10日後に低酸素脳症で死亡した。帝王切開で生まれた次女は無事だった。

 府警は17年10月、適切な呼吸の回復措置を怠ったとして院長を書類送検。地検は不起訴の詳しい理由を明らかにしていないが、関係者によると、院長が適切に措置したとしても死亡していた可能性が排除できないと判断したという。

 長村さんの父親、安東雄志さん(69)は9日、大阪市内で記者会見し、検察審査会に申し立てる意向を示した。」


毎日新聞「無痛分娩で女性死亡、院長を不起訴処分に 大阪地検」(2019年4月9日)は,次のとおり報じました.

「大阪府和泉市の産婦人科医院で2017年、出産時の痛みを麻酔で和らげる無痛分娩(ぶんべん)に臨んだ女性が死亡した事故で、大阪地検は9日、業務上過失致死容疑で書類送検された男性院長(61)を不起訴処分(容疑不十分)にした。遺族は、検察審査会に不服を申し立てる。

 事故は17年1月に起きた。長村千恵さん(当時31歳)=同府枚方市=が脊髄(せきずい)付近にある「硬膜外腔(がいくう)」への麻酔を受けた後、呼吸困難で意識不明になった。別の病院に運ばれたが、低酸素脳症で10日後に死亡。帝王切開で生まれた女児は無事だった。

 大阪府警は同年10月に業務上過失致死容疑で書類送検。地検は複数の産婦人科医らに鑑定を依頼したが、救命できたかについては意見が分かれていた。

 地検は「捜査を尽くしたが、起訴に足りる事実が認定できなかった」と発表。ただ遺族側によると、地検は、呼吸困難になった長村さんに対し、院長がいつの時点で救命措置を始めるべきだったかについて、詳細な時刻を特定できないと説明したという。院長の代理人は「コメントはしない」としている。

 無痛分娩を巡っては近年、京都府京田辺市や神戸市の産婦人科医院でも母子が死亡したり、重い障害が残ったりする事故が発生。京都府警は17年に京田辺市の男性院長を業務上過失傷害容疑で書類送検したが、京都地検が容疑不十分で不起訴にしていた。【高嶋将之、松本紫帆】

 「不起訴ありきの判断で、残念でならない」。長村千恵さんの父親の安東雄志さん(69)は、大阪市内で開いた記者会見で訴えた。最愛の娘を亡くしてから約2年。捜査結果を待ち続けた安東さんは「あり得ない」と悔しさをにじませた。

 事故後、安東さんは無痛分娩(ぶんべん)に詳しい専門家を探し、複数の医師に鑑定を依頼。「適切な呼吸回復措置をしていれば助かった可能性が高い」とする意見書を地検に提出した。安東さんは会見で、「意見書があるので起訴すると思っていたのに……」と声を震わせた。

 事故は突然だった。病院に駆け付けた安東さんが目にしたのは、酸素マスクをつけた千恵さん。声をかけても反応がなかったが、助産師が赤ちゃんを添い寝させた際、意識がないはずの千恵さんの目から涙がこぼれた。

 「母親として子どもの成長を見たかっただろうに」

 現在、帝王切開で生まれた千恵さんの次女(2)は元気に育っている。ただ長女(4)は時々、千恵さんを思い出して泣くことがある。安東さんは「娘はもう帰ってこない。こんな事故が二度とないよう、国は安心して無痛分娩ができる体制を整備してほしい」と訴えた。【村田拓也】」


朝日新聞「無痛分娩の死亡事故、産婦人科院長を不起訴 大阪地検」(2019年4月9日)は次のとおり報じました.

「大阪府和泉市の産婦人科医院で2017年1月、無痛分娩(ぶんべん)で出産中の女性(当時31)が意識不明になり、その後死亡した事故で、大阪地検は9日、業務上過失致死容疑で府警から書類送検されていた同院の男性院長(61)を不起訴処分(嫌疑不十分)とし、発表した。遺族は処分を不服として検察審査会に審査を求めるという。

 院長は17年1月10日、同府枚方市の長村千恵さんが次女を出産する際、無痛分娩の麻酔が効き過ぎて呼吸困難に陥ったのに適切な処置を怠り、10日後に低酸素脳症で死亡させたなどとして、夫の告訴を受けた府警に同10月に書類送検された。次女は長村さんが亡くなる前に帝王切開で生まれた。

 地検はカルテなどの医療記録の分析や、当時の状況を知る関係者や鑑定書を作成した医師らへの事情聴取などから、長村さんが呼吸困難になった原因は、担当医だった院長が麻酔薬を注入する部分を間違えたことが原因だったと判断したとみられる。

そのうえで院長の過失の有無について、呼吸困難に陥ったかどうかを判別する血液中の酸素濃度の値にばらつきがあり、どの時点で人工呼吸器で酸素を送り込むべきだったか特定するのが困難なうえ、操作に専門的な技術が必要な人工呼吸器を院長が取り扱うことは難しかったなどとして、刑事責任を問えないと判断した模様だ。

 院長の代理人弁護士は不起訴処分について「ノーコメントです」と話した。(多鹿ちなみ、一色涼)」


産経新聞「無痛分娩で母死亡、院長を不起訴処分 大阪地検」(2019年4月9日)は,次のとおり報じました.

「大阪府和泉市で平成29年1月、出産時の痛みを麻酔で和らげる「無痛分娩」で出産した長村千恵さん=当時(31)=が死亡した事故で、大阪地検は9日、業務上過失致死容疑で書類送検された産婦人科医院「老木(おいき)レディスクリニック」の男性院長(61)を嫌疑不十分で不起訴処分とした。地検は処分理由を「捜査を尽くしたが、起訴に至る事実が認定できなかった」としている。

 長村さんは同年1月10日、同医院で無痛分娩で出産する際、呼吸不全で意識不明になり、10日後に搬送先の別の病院で低酸素脳症で死亡した。子供は帝王切開で生まれ無事だった。

 大阪府警は同年10月、施術した院長について、脊髄近くの硬膜の外側に注射する麻酔を誤ってさらに奥の「くも膜下腔」に注入し、麻酔が効きすぎて意識不明に陥ったのに、人工呼吸器などで強制的に空気を送る「強制換気」をするなど適切な処置を取らなかったとして、業務上過失致死容疑で書類送検していた。

 不起訴処分を受け、長村さんの父、安東雄志さん(69)が大阪市内で記者会見。「これほど証拠がある中で起訴されないというのなら、どの事件であれば起訴されるのか。残念でならない」と憤り、不起訴処分を不服として検察審査会に申し立てをする方針を明らかにした。その上で、「どんな結果になっても娘は帰ってこない。これ以上、母親や子供の命がなくなることはなくしてほしい」と話した。」


日本経済新聞「大阪地検が院長不起訴 無痛分娩死」(2019年4月9日)は,次のとおり報じました.

「大阪府和泉市の産婦人科医院で2017年、無痛分娩で出産した長村千恵さん(当時31)が死亡した医療事故で、大阪地検は9日、業務上過失致死容疑で書類送検された男性院長(61)を嫌疑不十分で不起訴処分とした。地検は「起訴するに足る事実が認定できなかった」としている。

院長は17年1月、長村さんに対し、脊髄を保護する硬膜の外側に麻酔薬を注入する「硬膜外麻酔」を施した際、管が誤って奥まで刺さり容体が急変。長村さんは呼吸困難で意識不明となり、搬送先の別の病院で死亡した。

大阪府警は同年10月、容体急変後に必要な救命措置を怠ったとして、院長を同容疑で書類送検。地検は他の複数の産科医らから意見を聞き、院長が事故を予見して救命できたか検討していた。

長村さんの遺族の代理人弁護士は9日、記者会見で、不起訴の理由について「回復のための措置を行うべきタイミングを特定できず、過失と死亡の間の因果関係を立証することが難しいと判断したようだ」と話した。 」


時事通信「無痛分娩中の死亡事故、院長不起訴=遺族、検審申し立てへ-大阪地検」(2019年4月9日)は次のとおり報じました.

「大阪府和泉市の産婦人科医院で2017年、無痛分娩(ぶんべん)で出産した長村千恵さん=当時(31)=が死亡した事故で、大阪地検は9日、業務上過失致死容疑で書類送検された男性院長(61)を嫌疑不十分で不起訴とした。遺族側は処分を不服として、検察審査会に審査を申し立てるという。
 長村さんは17年1月、出産の痛みを弱めるため、脊髄を守る硬膜の周囲に麻酔薬を注入する「硬膜外麻酔」を受けた際、管が誤って奥まで刺さり容体が急変。帝王切開で生まれた女児は無事だったが、長村さんは低酸素脳症で10日後に死亡した。
 府警は同10月、人工呼吸など適切な救命措置を怠り死亡させたとして、院長を業務上過失致死容疑で書類送検していた。
 病院側弁護士によると、院長は地検に「できる限りの処置はした」と説明したといい、地検は刑事責任を問えるほどの過失はなかったと判断したとみられる。 」


共同通信「無痛分娩死、院長を不起訴 遺族が検審申し立てへ、大阪」(2019年4月9日)は,次のとおり報じました.

「大阪府和泉市の産婦人科医院「老木レディスクリニック」で2017年、麻酔で痛みを和らげる「無痛分娩」で出産した長村千恵さん=当時(31)=が死亡した事故で、業務上過失致死容疑で書類送検された男性院長(61)について大阪地検は9日、嫌疑不十分で不起訴処分にした。「起訴するに足る事実が認定できなかった」としている。

 無痛分娩を巡り医師が捜査されたケースは異例で、遺族は起訴を求めて検察審査会に審査を申し立てる方針。

 長村さんの父安東雄志さん(69)は大阪市内で記者会見を開き「これ以上、命が奪われることがないよう訴えていきたい」と話した。」


NHK「無痛分べんで死亡 院長を不起訴」(2019年4月9日)は,次のとおり報じました.

「おととし、大阪・和泉市の産婦人科医院で「無痛分べん」で出産した31歳の女性が死亡したことをめぐり、業務上過失致死の疑いで書類送検されていた院長について検察は9日、嫌疑不十分で不起訴にしました。

おととし1月、大阪・和泉市の産婦人科医院「老木レディスクリニック」で、長村千惠さん(31)が「無痛分べん」で出産中に意識不明の状態になりました。
女の子の赤ちゃんは生まれましたが、長村さんは10日後に低酸素脳症で死亡しました。
警察は、61歳の院長の男性が人工呼吸などの十分な対応を取らなかったために死亡した疑いがあるとして、おととし10月、業務上過失致死の疑いで書類送検していました。
この院長について大阪地方検察庁は9日、「起訴できるだけの証拠が集まらなかった」として嫌疑不十分で不起訴としました。
院長の代理人の弁護士は取材に対して「コメントすることはありません」としています。

【女性の遺族“本当に残念”】
検察がクリニックの院長を不起訴としたことについて、亡くなった長村千惠さんの父親の安東雄志さん(69)は、記者会見を開き、「専門の医師による意見書など証拠があるのに起訴されないのなら、どんな事件が起訴されるのかと本当に残念に思います」と述べました。
そして、検察の判断は納得できないとして検察審査会に審査を申し立てる考えを示しました。」


TBS「無痛分娩で死亡、院長の刑事責任問わず」(2019年4月9日)と毎日放送「「無痛分娩後に死亡」産科院長を不起訴処分 遺族は検察審査会に申し立てへ」(2019年4月9日)は,次のとおり報じました.

「おととし、大阪府和泉市の産婦人科医院で無痛分娩で出産した女性が、その後、死亡しました。病院の男性院長が書類送検されましたが、大阪地検は院長の刑事責任を問わないと判断しました。

 おととし1月、大阪府和泉市の産婦人科医院「老木レディスクリニック」で、長村千惠さん(当時31)が無痛分娩で出産中に意識不明となりました。赤ちゃんは帝王切開で無事生まれましたが、長村さんは10日後、死亡しました。

 警察の調べに対し、男性院長(61)は、「パニックになり対応が追いつかなかった」と話し、警察はおととし10月、院長が適切な回復措置を怠ったなどとして、業務上過失致死の疑いで書類送検しました。これに対し大阪地検は、「捜査を尽くしたが、起訴するに足る事実が認定できなかった」として、9日付けで院長の刑事責任を問わないと判断しました。

 「この事件が起訴されなかったら、どの事件が起訴されるんでしょう。本当に残念でなりません」(亡くなった長村さんの父 安東雄志さん)

 遺族は不起訴を不当として、検察審査会に申し立てを行う予定です。」



朝日放送「娘が無痛分娩で死亡 男性院長不起訴に父親は 大阪・和泉市」(2019年4月9日)は,次のとおり報じました.

「大阪府和泉市の産婦人科医院で「無痛分娩」で出産中の女性が死亡した事故で、男性院長が不起訴処分となりました。

男性院長(61)は、おととし「無痛分娩」で出産中に呼吸困難に陥った長村千恵さん(当時31)に対し、適切な処置を怠り、死亡させた疑いで書類送検されていました。院長は警察に「パニックになり対応が追いつかなかった」と話していましたが、大阪地検は嫌疑不十分で不起訴処分としました。一方、長村さんの実父・安東雄志さん(69)は会見で「呼吸困難の原因は院長が麻酔を誤ったためだ。(娘が産んだ)孫の姿を見ると、大人として本当に、なすすべの無い自分自身を残念に思う」と訴えました。遺族は、不起訴は不当だとして、検察審査会に審査を申し立てるということです。」



日本テレビ「無痛分娩で女性死亡 院長を不起訴に」(2019年4月10日)は,次のとおり報じました.

「大阪府和泉市の産婦人科医院の院長は、おととし、出産直後の痛みを麻酔で和らげる「無痛分娩」で出産した長村千恵さん(当時31)が、呼吸困難に陥った際に必要な措置を行わなかったとして、業務上過失致死の疑いで、書類送検されていた。調べに対し、院長は、「容態の変化に対応が追い付かなかった」と供述していた。大阪地検は、「起訴できる事実が認定できなかった」として嫌疑不十分で不起訴としている。遺族は、不起訴を不当だとして、検察審査会へ申立を行う方針。」


関西テレビ「『娘は殺された』・・・無痛分娩で死亡事故、‘’書類送検された医師‘’を、検察が「不起訴処分」」(2019年4月10日)は,次のとおり報じました.

「長村さんの遺族は今回の不起訴処分を不当だとして今後、検察審斎会に申し立てを行
う予定。

おととし、大阪府和泉市のクリニックで「無痛分娩」で出産した女性が死亡した事故で、大阪地方検察庁は、業務上過失致死の疑いで書類送検された院長の男性について、不起訴処分としまし
た。

【長村さんの父・安東碓志さん】
「こういう医師を、野放しにしていいものかなと。非常に残念に思います」

女性の父親は、検察力哨l事責任を問えないと判断したことについて、悔しさをにじませました。

おととし、大阪府髫]泉市の「老木レディースクリニック2」で、長村千恵<31)さんが麻酔で痛みを和らげる、″無痛分娩”で次女を出産をするため、麻酔を受けました。

しかし、麻酔の針が誤って深く剌されたことで、容態が急変。

次女は緊急の帝王切開で生まれ無事でしたが、長村さんは死亡しました。

その後、警察が捜査した結果、容態が急変した時に人工眄黶を行え頃咀復の見込みがあったのに。それを怠った疑いがあることカ判明。

クリニックの男性院長{61}を業務上過失致死の疑いで書類送検しました。

捜査関係者などによると、今回の事件について複数の医師に意見を求めたところ、「適切に処置していれば動かった可能性は高い。院長による著しい注意義務違反だ」などとする意見があったといいます。

【長村さんの父・安東雄志さん〔今年1月〕】
「私の娘は殺されたと思ってます。その償いを医師はすべきです。リスクマネジメントの体制が取れない医師というのは、僕は医師として抹殺するべきだと考えている」

一方で、無痛分娩に詳しい医師は、出産時の急変などに対処するため、次のような選択肢もあると話します。

【大阪大学・大蔵千代医師】
「いつもはクリニックで診てもらい、産むのは病院。終わって何もなかったら、赤ちゃんと一緒にクリニックにI帰る。(病院で)麻酔蒻医と産婦人科医と動産師と小児科の先生がいると。何か起こった時にすぐ対応できる」

その後、大阪地検が捜査を続けてきましたが、「起訴するに足る事実が認定できなかった」として、9日付で院長を嫌疑不十分で不起訴処分としました。

【長村さんの父・安東雄志さん】
「もともとは警察が動いて、刑事亊イ牛として取り上げて書類送検した。そんな胴牛を、このように不起訴処分とするのは、絶対に間違っている。日本の無痛分娩の施行率は6%と言われているが、ニーズはそんなものじゃない。非常に、日本のいまの医療実態は遅れています」

長村さんの遺族は、今回の不起訴処分を不当だとして今後、検察審脊会に申し立てを行う予定です。」




谷直樹

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by medical-law | 2019-04-10 23:45 | 医療事故・医療裁判

宮崎地判平成31年3月28日,十分な量の輸液投与を怠り循環血液量減少性ショックで死亡させた事案で約2720万円賠償命じる

共同通信「宮崎の病院に2700万円賠償命令 搬送2日後死亡」(2019年3月28日)は次のとおり報じました.

「独立行政法人の地域医療機能推進機構が運営する宮崎江南病院(宮崎市)で2014年、搬送された男性(当時84)が2日後に死亡したのは適切な医療措置を受けなかったためとして、遺族らが計約4570万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、宮崎地裁は28日までに、病院側に計約2720万円を支払うよう命じた。
五十嵐章裕裁判長は、男性が当時急性膵炎(すいえん)を発症していたが、担当医師が十分な量の輸液投与を怠るなどしたため循環血液量減少によるショックで死亡したと判断した。
判決によると男性は14年4月27日、腹痛を訴え入院。同29日未明に容体が急変し死亡した。」


上記報道の件は私が担当したものではありません.
五十嵐章裕判事は宮崎地裁の前東京地裁医療集中部にいた裁判官です.一般に医療集中部で尋問などの経験を積んだ裁判官は医療事件について自信をもって的確な判決を下すことが多いようです.

谷直樹

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by medical-law | 2019-03-29 01:37 | 医療事故・医療裁判

横浜拘置支所で抗精神薬の副作用で死亡した事案,5000万円和解(報道)

NHK「拘置施設で死亡 国が5000万円支払いで和解」(2019年3月19日)は次のとおり報じました.

「7年前、横浜市の拘置施設で薬の副作用で死亡した女性の被告の両親が、施設の対応に問題があったとして国を訴えていた裁判は、国が5000万円を支払うことなどで19日、和解が成立しました。

7年前の平成24年、横浜市港南区の横浜拘置支所に勾留されていた当時39歳の女性の被告が、服用していた精神疾患などの薬の副作用で体調が急変し、搬送された病院で死亡しました。

女性の両親は、拘置支所の医師や職員が適切な対応を怠ったために女性が死亡したとして、3年前、国に対し8200万円余りの損害賠償を求める訴えを起こしました。

原告側の弁護士によりますと、この裁判は19日、横浜地方裁判所で、国が和解金として5000万円を支払うことなどで和解が成立したということで、弁護士は「実質的に国の責任が認められた」としています。

和解を受けて、女性の父親は記者会見し、「娘がかえってくるわけではありませんが、国には二度と同じようなことがないようにしていただきたい」と述べました。

一方、横浜拘置支所を管轄する法務省は「収容している人の健康管理を適切に行っていきたい」コメントしています。」


報道の件は私が担当したものではありません.
抗精神薬を中止もしくは減量する注意義務に違反し,抗精神薬のの副作用で死亡した事案ですので,国の責任が認められたものです.


谷直樹

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by medical-law | 2019-03-20 15:57 | 医療事故・医療裁判

交通事故から8日後の大動脈瘤破裂による死亡事案,手術後のCT検査でがんの所見を見逃した事案で遺族と和解2件(報道)

NHK「医療ミスで2人死亡 遺族と和解」(2019年3月15日)は次のとおり報じました.

「むつ市にある公立病院で、5年前とおととし、50代と60代の男性患者2人が、死亡したことについて、病院側が医療ミスがあったことを認め、賠償金合わせて5800万円を支払うことで遺族と和解したことが関係者への取材で分かりました。

むつ市など5つの市町村の一部事務組合が運営する「むつ総合病院」では、平成26年7月、バイクの事故で入院し、打撲と診断された60代の男性患者が、8日後に大動脈りゅう破裂で死亡しました。
また、去年4月には、前の年にがんの手術を受け、その後、別の大腸がんと診断された50代の男性患者が死亡しました。
関係者によりますと、2人の遺族は、入院中に適切な治療を怠ったことや、手術後のCT検査でがんの所見を見落としたことが原因だったとして、裁判に訴えたり、病院側に申し立てたりしていました。
いずれについても、病院側がミスがあったことを認め、賠償金合わせて5800万円を支払うことで、ことし1月に遺族と和解が成立したということです。
病院を運営する一部事務組合は、今月20日に開かれる定例議会に正式に報告して、了承を得ることにしています。
むつ総合病院は、NHKの取材に対し、「さらなる医療ミスや事故を招かないよう、対応を徹底していきたい」とコメントしています。 」



報道の2件は私が担当したものではありません.
患者側弁護士の少ない地方では,医療過誤の被害に遭っても損害賠償を請求せず諦めて」うるケースも多いと聞いていましたが,次第に変わってきているのかもしれません.

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谷直樹

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by medical-law | 2019-03-15 22:38 | 医療事故・医療裁判