弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

カテゴリ:医療事故・医療裁判( 1380 )

金沢地裁令和2年3月30日判決,術後管理において適切な情報共有がされず措置が遅れ出血性ショックで死亡した事案で約1100万円の支払いを大学病院に命じる(報道)

朝日新聞「金沢医科大に賠償命令 手術後死亡の遺族に 金沢地裁」(2020年3月31日)は,次のとおり報じました.

「金沢医科大学病院(内灘町)で肝細胞がんの手術を受けた男性(当時73)がその後死亡したのは、適切な術後管理がなされなかったためだとして、遺族が、病院を運営する金沢医科大を相手取り、約4400万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が30日、金沢地裁であった。加島滋人裁判長は「医師が注意義務を怠った」などとして、同大に約1100万円を支払うよう命じた。

 判決によると、男性は2015年11月10日、同病院で腫瘍(しゅよう)を壊死(えし)させる手術を受け、翌日朝、出血性ショックで死亡した。判決は、男性の体内で出血を疑わせるような状況があったが、医師が超音波検査などを実施せず、漫然と対処的治療を継続したと認定。主治医や当直医らの間で適切な情報共有もされておらず、措置が遅れたと指摘した。
 同大は「判決文が届いていないためコメントは差し控える」とした。(堀越理菜)」


上記報道の件は私が担当したものではありません.
このように適切な情報共有がなされない,連携ミスによる医療過誤は,少なくないように思います.


谷直樹

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by medical-law | 2020-04-01 11:10 | 医療事故・医療裁判

香取市のデイサービスセンターで車椅子から転落の80代男性病院で異状なしとして帰され死亡(報道)

千葉日報「車椅子から転落の80代男性死亡 デイサービス作業手順ミス」(2020年3月27日)は次のとおり報じました.

「香取市は26日、管理運営を委託している市内のデイサービスセンターで、利用者送迎時に死亡事故が発生したと発表した。センターの60代の女性職員が車椅子の80代の男性利用者を自宅から福祉車両に乗せる際、作業の手順を誤ったことが原因。男性は車椅子から滑り落ち頭などを打った。搬送先の市内の病院で検査を受け一度は帰宅したが、その後容体が悪化し、死亡した。

 市高齢者福祉課や関係者によると、職員は2月28日午前9時15分ごろ、男性の車椅子の前部と後部をフックで車に固定しようとした。本来は車椅子の前部から先にフックを掛ける手順だが、この日は後部から固定。その結果、車椅子の前部が浮き、男性は転落した。

 男性は千葉県立佐原病院に救急搬送され、検査の結果、異状なしとされ昼ごろ帰宅。午後になって容体が悪化し、再度同病院に搬送されたが、死亡した。死因は頸髄(けいずい)損傷だという。

 市は誤った手順で作業をした原因の究明や実地訓練の徹底を事業者に指示。宇井成一市長は「大変痛ましい事故で心からお悔やみ申し上げる。今後このような事故が発生しないよう、事業者への指導を徹底していく」とコメントした。」


手順を誤って車椅子から転落させたことも問題ですが,緊急搬送された病院で検査を行い異常がなかったことから,おそらく非骨傷性だったのでしょう.年齢からすると,X線異常所見のない脊髄損傷(SCIWORA)も考えられますので,MRI検査は必須です.T2強調画像に異常はなかったのでしょうか.帰宅させたのは適切だったのでしょうか.

谷直樹

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by medical-law | 2020-03-29 17:37 | 医療事故・医療裁判

兵庫県の病院,チューブが誤って肺に入り、低酸素状態になって3歳未満の小児が死亡した医療事故公表(報道)

NHK「手術で肺にチューブ 子ども死亡」(2020年3月27日)は,次のとおり報じました.

「神戸市の「兵庫県立こども病院」で、2月、3歳未満の子どもが鼻からチューブを挿入する手術を受けた際チューブが誤って肺に入り、低酸素状態になって死亡していたことがわかりました。
病院は重大な医療事故として経緯を調べています。

神戸市中央区の兵庫県立こども病院によりますと2月3日、生まれつき気管が狭い3歳未満の子どもが気管を切開して首から挿入しているチューブを抜いて鼻からチューブを入れ直す手術を受けました。
この際、チューブが誤って片方の肺まで至り低酸素状態となったということです。
その後子どもは血圧が低下して脳死状態となり、3月17日に死亡したということです。
病院は、何らかの医療ミスによる重大な事故として経緯を調査しています。
県立こども病院の中尾秀人院長は記者会見で「患者とご家族の皆様におわび申し上げます」と謝罪しました。」



神戸新聞「県立こども病院が医療ミス 気管手術の男児が死亡」(2020年3月27日)は次のとおり報じました.

「兵庫県立こども病院(神戸市中央区)は27日、心臓と呼吸器に先天的な疾患のある3歳未満の男児が、肺に空気を送るチューブの入れ替え手術を受けた際のミスで、17日に死亡したと発表した。チューブを誤って片方の肺のみに挿入したため、肺機能が低下したことが原因とみられる。同病院の中尾秀人院長らが会見し、謝罪した。

 同病院によると死亡した男児は、いずれも先天性の気管が狭くなる「狭窄症」と心疾患を患っており、昨年2月に治療のため同病院に入院。心臓の手術に備えるため、気管を切開して呼吸チューブを挿入し、同年4月に一度退院していた。

 問題があった手術は今年2月3日、50代の小児外科医と麻酔医ら4人が中心となって実施した。気管から挿入するチューブを、鼻から入れるものに変更する内容だった。チューブは本来、左右の肺の中間に挿入するが、誤って左肺のみに差し込んでしまったため、右肺の機能が弱まり、血圧と血中の酸素濃度が低下したという。

 医師らは手術中にこの事態を把握したが、対応が間に合わなかったという。男児は手術7日後の2月10日に脳死状態となり、3月17日に死亡した。

 中尾院長は医療ミスを認めた上で「死亡した患者と家族に深くおわびする」と謝罪。外部委員を含む医療事故調査委員会を設置し、原因を究明するとしている。」


上記報道の件は私が担当したものではありません.
原因究明と実効的な再発防止を期待します.

谷直樹

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by medical-law | 2020-03-27 23:15 | 医療事故・医療裁判

大津地裁令和2年3月26日判決,より早期に集中治療室(ICU)がある医療機関に転院させる義務を認め330万円の支払いを命じる(報道)

京都新聞「転院処置遅れ死亡、330万円賠償命令 滋賀・守山市民病院に地裁判決」 (2020年3月26日)は次のとおり報じました.

「守山市民病院(滋賀県守山市)の女性患者=当時(73)=が、2013年に多臓器不全で亡くなったのは、転院処置が遅れたためなどとして、遺族が、当時病院を経営していた守山市に約2700万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が26日、大津地裁であった。西岡繁靖裁判長は病院側の過失を認め、330万円の支払いを命じた。

 判決によると、女性は糖尿病などで同年10月30日から同病院に入院していたが、容体が悪化し、11月18日に転院。12月16日に多臓器不全で死亡した。

 西岡裁判長は、少なくとも11月13日の時点で、血圧低下や消化管の出血などの症状が明確になり、命に深刻な影響を及ぼしうることが予見可能だった、と指摘。医師はより早期に集中治療室(ICU)がある医療機関に転院させる義務があった、とした。一方、病院側の過失と死亡に因果関係があったとする原告側の主張は退けた。

 市側の代理人弁護士は「判決の内容を精査した上で対応を検討する」とコメントした。」
上記報道の件は,私が担当したものではありません.
転医義務違反を認め,因果関係を否定した裁判の認容金額として参考になります.

谷直樹

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by medical-law | 2020-03-27 15:34 | 医療事故・医療裁判

ガーゼ遺残事故,枚数をカウントせず(報道)

長崎病院「医療事故 体内にガーゼを置き忘れ 済生会長崎病院」(2020年3月20日)は次のとおり報じました.

「長崎市片淵2丁目の○○病院は19日、昨年8月に80代の女性にペースメーカーを植え込む手術をした際、体内に止血用のガーゼを置き忘れる医療事故があったと公表した。
 ガーゼは年明けに長崎大病院で見つかり、取り出した。女性は2月中旬に同病院を退院しており、現在は静養中という。
 ○○病院は事故原因について、目視確認しただけでガーゼを数えておらず、ガーゼの素材もエックス線対応の物ではなかったと説明。再発防止策として、▽手術開始時と終了時にガーゼを必ず数える▽ガーゼをエックス線対応の物に変える▽職員への医療安全教育を徹底する-の3点を挙げている。
 事故の詳細については、「25日に記者会見を開いて説明する」としている。」

報道の件は私が担当したものはありません.
2019年で,手術用ガーゼがエックス線対応でもなく,枚数カウントもしないというのはかなり珍しいことではないでしょうか.

【追記】

長崎新聞「ガーゼ置き忘れ、過失を認め謝罪 済生会長崎病院 会見」(2020年3月26日)は次のとおり報じました.

「患者の体内に止血用ガーゼを置き忘れた医療事故で、済生会長崎病院(長崎市片淵2丁目)が25日会見し、病院側の過失を認めた上で、「病院全体の安全管理の問題。このような医療事故がないよう万全の体制を取りたい」と謝罪した。
 同病院によると、昨年8月下旬、80代女性に心臓のペースメーカーを入れる手術をした際、30代男性医師が左の鎖骨下部分にガーゼ1枚を置き忘れた。傷口周辺で感染症が発生し、今年1月下旬、別の病院で再手術を受けたところミスが発覚。済生会長崎病院は女性に謝罪し、今月19日に事故を公表していた。
 同病院での会見で、ガーゼが入った原因について、衛藤正雄院長は「入ることは通常考えられず、分からない」とした。最初の手術の際に置き忘れが見つからなかった原因については、ガーゼの使用枚数を数えておらず、ガーゼの素材もエックス線対応ではなかったことをあらためて説明。エックス線撮影に写るガーゼに変更するなど再発防止策を徹底するとした。」


谷直樹

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by medical-law | 2020-03-20 23:31 | 医療事故・医療裁判

県立病院,ドレーンを3か月残置


NHK「県立あき総合病院で医療ミス」(2020年3月17日)は,次のとおり報じました.

「安芸市の県立あき総合病院で、70代の男性が大腸の一部を切除する手術を受けたあとシリコン製の管がおよそ3か月間にわたって体内に残されたままになっていたことがわかり、病院は男性に謝罪しました。

安芸市の県立あき総合病院によりますと、去年7月、県内に住む70代の男性の大腸の一部を切除する手術を行いましたが、その後、体内にたまる血液やうみなどを排出するために傷口に取り付けたシリコン製の管がおよそ3か月間にわたって体内に残されたままになっていたということです。

担当の医師が、体外に出ている管の先端部分が体内に入り込むのを防ぐための安全ピンの装着を怠ったほか、管を取り除いたと思い込んでいたことが原因だということです。

手術から3か月後に男性が外来を受診し、CT検査を行ったところ、管が体内に残っているのがわかったということで、病院は、男性とその家族に謝罪しました。

男性はその後、再度入院して管を取り除く手術を受け、体調に問題はないということです。
県立あき総合病院は、「患者とそのご家族に多大なる心身のご負担とご迷惑をおかけし深くおわび申し上げます。再発防止策の徹底を図ることで信頼回復に努めます」とコメントしています。」


上記報道の件は私が担当したものではありません.
実害が生じなかったにても,杜撰な医療が行われたことにちがいはありません.

谷直樹

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by medical-law | 2020-03-18 12:59 | 医療事故・医療裁判

県立病院の医師が脚の結果にだけ注目し画像診断報告書の膀胱がんの疑いをも落とし患者が死亡(報道)

共同通信「患者のがん疑い見落とす 滋賀県立総合病院」(2020年3月10日)は次のとおり報じました.

「滋賀県立総合病院(同県守山市)は10日、60代の男性患者のコンピューター断層撮影(CT)検査の画像診断報告書に「ぼうこうがんの疑いがある」と記載されていたのを主治医が見落とし、治療が10カ月遅れるミスがあったと発表した。男性は2017年にぼうこうがんで死亡している。
病院によると、男性は14年に脚の不調で循環器内科を受診し、下半身のCT検査を受けた。この際に検査を担当した医師ががんの疑いを指摘したが、主治医は脚の結果にだけ注目し、指摘を見落としていた。男性は15年に体調を崩して同病院の泌尿器科にかかり、がんが見つかった。
ミスが患者の死亡に結び付いたかについて同病院は「影響があったと考えているが(医療事故調査を支援する)外部団体の意見を踏まえて判断したい」とした。
記者会見した一山智病院長は「亡くなった患者のご遺族に深くおわびしたい」と謝罪した。
同院は昨年10月、男性患者3人のがんの見落としがあったと発表。その後、14~19年の画像診断報告書を改めて調査し、今回のミスが判明した。」


同院のサイトには,以下の再発防止策が掲載されています.

 (1)画像診断報告書の改善を図る。 
 想定外の新規悪性腫瘍が疑われた場合は、画像診断報告書で文字を大きく、赤字で報告し、悪性腫瘍が疑われる場合は「悪性疑い」等と明確に表記しています。

 (2)既読管理システムの確認を徹底する。 
 当院では、2018年2月から電子カルテにおいて、既読管理システム(画像診断報告書の未読既読を一覧で確認できるシステム)を導入していますが、その確認を徹底します。
 具体的には、副院長が月ごとに既読管理システムの閲覧状況とその後の対応の確認を行い、診療部長会議で報告し改善を促すとともに、画像検査を依頼した診療科で責任をもって既読管理システムの確認を徹底しています。

 (3)画像診断報告書のチェック体制を新たに構築する。
 想定外の新規悪性腫瘍が疑われた症例がみられた場合、放射線診断科から副院長に報告し、副院長が電子カルテで当該症例の診療経過を管理しています。
 また、画像診断報告書の確認の徹底を図るため、診療情報管理士を担当者として配置してチェック体制を強化します(2020年4月から実施予定)。

 (4)電子カルテシステムを改善する。
 電子カルテシステムを起動した都度、トップ画面に、未読の画像診断報告書がある場合その旨を知らせる画面がポップアップされるように改修します(2020年3月中に実施予定)。」



上記報道の件は私が担当したものではありません.
同様の事故が全国の病院で起きていることは,システムに欠陥があることを示しています.
再発防止策が徹底されることを期待します.
また,他院においても同様の対策がとられることを期待します.

谷直樹

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by medical-law | 2020-03-11 09:10 | 医療事故・医療裁判

大学病院でCT検査結果の未確認により肝細胞癌の発見が遅れ患者が死亡した事例

高知大学医学部附属病院は,2020年3月10日「CT検査結果の未確認により肝細胞癌の発見が遅れた事例について」を公表しました.

「CT 検査結果の未確認により肝細胞癌の発見が遅れた事例についてのお詫びとご報告

 高知大学医学部附属病院(以下、 「当院」という。 )において、CT 検査の画像診断結果を確認しなかったことにより肝細胞癌の発見が遅れた事例が発生しました。

 患者さんは、当院消化器内科に通院していました。2018 年 2 月に腹部造影 CT 検査を受け、消化器内科外来を受診せずに帰宅されました。その CT 検査の所見には、肝細胞癌の可能性が指摘されていました。外来主治医は CT 検査画像と読影結果の確認をしておらず、その後消化器内科への通院はありませんでした。
 患者さんは、2019 年 2 月に腹水と肝機能の異常で当院に入院され、残念ながら最終的には敗血症でお亡くなりになりました。死因を確認するための剖検(解剖)を行ったところ、肝臓全体が肝細胞癌に侵されていることが判明いたしました。
 これらの経過を振りかえると、2018 年 2 月に消化器内科で診察を受け、CT 検査の結果を確認していれば、詳しい検査がなされたか少なくとも肝臓の専門科である消化器内科で経過観察がなされたと考えられ、より早期に肝臓癌が発見できた可能性があります。

 亡くなられた患者さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。ご遺族の皆様には多大なご負担とご心痛をおかけし、誠に申し訳なく深くお詫び申し上げます。また、当院で治療を受けているすべての患者さんをはじめ、地域の皆様、関係各位の信頼を損なうこととなり、重ねて深くお詫び申し上げます。

 この事態を大変重く受け止め、2018 年 6 月以前の CT 検査等について、依頼医の確認状況を調査すると共に医療事故調査委員会を開催し、外部委員を含めた多数の目で問題点を洗い出し、再発防止に向けて議論を重ね対策を進めてまいりました。
 2018 年 6 月以前の CT 検査等の調査結果が確認され、当院の再発防止策が策定できたことから、信頼回復に向けて着実に実行する決意とともに、ご報告申し上げます。」

上記の件は私が担当したものではありません.
CT検査が活かされない見落とし事故が発生することのないよう再発防止策が実効的に機能することを期待します.

谷直樹

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by medical-law | 2020-03-10 14:23 | 医療事故・医療裁判

福岡高裁宮崎支部,7か月の児が診療中にベッドから転落し重い後遺症を負った事案,1億8000万円で和解(報道)

MBC 南日本放送「鹿児島市立病院 男児ベッド転落訴訟 和解へ」(2020年3月9日) は次のとおり報じました.

「鹿児島市立病院で2007年、診療中にベッドから転落し、重い後遺症が残ったとして、当時生後7か月だった男の子と両親が鹿児島市に損害賠償を求めていた裁判で、市が和解金として1億8000万円を支払う方針であることが6日の市議会で報告されました。

この裁判は2007年1月、鹿児島市立病院で、当時生後7か月だった男の子が診療中にベッドから転落し、手や足、目などに重い後遺症が残ったのは病院側に過失があったとして、男の子と両親が鹿児島市におよそ1億7100万円の損害賠償を求めたものです。

一審の鹿児島地裁は2016年1月に、市におよそ1億1400万円の賠償を命じる判決を言い渡しましたが、市は不服として福岡高裁宮崎支部に控訴していました。

鹿児島市によりますと、福岡高裁宮崎支部は去年12月に市が1億5000万円を支払う和解案を提示し、一方で男の子と両親は1億8000万円であれば和解を受け入れる意向を示し、市も受け入れたということです。市は「これ以上裁判を長期化させるのは望ましくないと判断した」としています。」


報道の件は私が担当したものではありません.
請求額が1億7100万円,原判決が1億1400万円,高裁の和解案が1億5000万円,和解額が1億8000万円です.長期化すると遅延利息を考慮した金額でないと和解が成立しなくなりますので,過失と因果関係が明らかな事案いについては,病院側は早い段階で示談したほうがよいと思います.


谷直樹

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by medical-law | 2020-03-10 13:22 | 医療事故・医療裁判

沖縄で食道挿管事故

「沖縄・救急搬送時に挿管ミス 90代女性は死亡」(2020年3月7日)は次のとおり報じました.

「浦添市消防本部は7日、同本部内間出張所の消防司令の50代救急救命士が心肺停止状態の90代女性を救急搬送する際、誤って気管チューブを食道に挿入していた事故があったと発表した。女性は搬送先の病院で死亡が確認された。病院は死亡とミスの因果関係は不明としている。嘉味田朝消防長は「一分一秒を争う救命の現場で、ミスは絶対にあってはならない」と謝罪した。
 同本部によると、事故は2月15日に発生。同日午後6時ごろ女性の家族から「女性の意識・呼吸がない」と119番通報があった。50代の救急救命士が気道確保のため気管チューブを挿入し搬送。同6時40分ごろ本島南部の病院に到着した後、医師が気管チューブが食道に入っていると気付いた。同7時20分ごろ、女性の死亡が確認された。
 本来なら気管挿管後、処置した人と補助する複数人で、胸の上がり下がりを視認するほか、聴診器や専用の器具を使い複数の手段でチューブが気管に挿入されていることを確認する。しかし今回は、気管チューブと専用器具の接続が不十分で十分に確認できていなかったという。
 事故後、救命士は同本部消防署長から厳重口頭注意を受け、しばらくの間気管挿管の処置は控えている。救命士と管理者を含めた処分を検討している。
 嘉味田消防長は「職員一丸となって再発防止に取り組み市民の信頼回復に努める」とコメント。再発防止策として活動手順を再確認し、毎年実施している気管挿管の訓練の内容を見直すとしている。」


報道の件は私が担当したものではありません.
気管挿管はチューブが気管に挿入されていることを確認することまで含めた一連の医療行為です.
報道の件は,過失が明らかです.
上記報道では因果関係は不明と言っていると報じられていますが,琉球新報は「市消防は遺族に直接謝罪した上で「適切な処置を施していたら、蘇生した可能性は否定できない。大変申し訳ない」などと述べた。」と報じられています.可能性が否定できない程度ですから,因果関係を争うのでしょう.

谷直樹

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by medical-law | 2020-03-09 13:59 | 医療事故・医療裁判