弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

カテゴリ:人権( 81 )

朝日新聞社説,旧姓使用拡大 根本解決から逃げるな

朝日新聞社説,旧姓使用拡大 根本解決から逃げるな(2019年12月10日)は,次のとおり述べています.

「裁判所の責任も免れない。
 別姓を求める訴えを退ける地裁判決が秋以降、4件続いた。いずれも、夫婦同姓を定めた民法を合憲とした4年前の最高裁の判断をなぞっただけで、憲法の根幹である「個人の尊重・尊厳」にかかわるテーマだという問題意識を、判決理由から読みとることはできない。」


憲法判断について,下級審裁判官は,最高裁の合憲判決の事実上の拘束から逃れられないものなのでしょうか.

谷直樹

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by medical-law | 2019-12-11 03:12 | 人権

ハンセン病元患者家族に対する補償金の支給等に関する法律案、ハンセン病問題の解決の促進に関する法律の一部を改正する法律案可決

2019年11月15日,参議院本会議にて、ハンセン病元患者家族に対する補償金の支給等に関する法律案、ハンセン病問題の解決の促進に関する法律の一部を改正する法律案が全会一致で可決され、成立しました.

ハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給等に関する法律(平成十三年六月二十二日)(法律第六三号)

 ハンセン病の患者は、これまで、偏見と差別の中で多大の苦痛と苦難を強いられてきた。我が国においては、昭和二十八年制定の「らい予防法」においても引き続きハンセン病の患者に対する隔離政策がとられ、加えて、昭和三十年代に至ってハンセン病に対するそれまでの認識の誤りが明白となったにもかかわらず、なお、依然としてハンセン病に対する誤った認識が改められることなく、隔離政策の変更も行われることなく、ハンセン病の患者であった者等にいたずらに耐え難い苦痛と苦難を継続せしめるままに経過し、ようやく「らい予防法の廃止に関する法律」が施行されたのは平成八年であった。
 我らは、これらの悲惨な事実を悔悟と反省の念を込めて深刻に受け止め、深くおわびするとともに、ハンセン病の患者であった者等に対するいわれのない偏見を根絶する決意を新たにするものである。
 ここに、ハンセン病の患者であった者等のいやし難い心身の傷跡の回復と今後の生活の平穏に資することを希求して、ハンセン病療養所入所者等がこれまでに被った精神的苦痛を慰謝するとともに、ハンセン病の患者であった者等の名誉の回復及び福祉の増進を図り、あわせて、死没者に対する追悼の意を表するため、この法律を制定する。

(趣旨)
第一条 この法律は、ハンセン病療養所入所者等の被った精神的苦痛を慰謝するための補償金
 (以下「補償金」という。)の支給に関し必要な事項を定めるとともに、ハンセン病の患者であった者等の名誉の回復等について定めるものとする。

(定義)
第二条 この法律において、「ハンセン病療養所入所者等」とは、らい予防法の廃止に関する法律(平成八年法律第二十八号。以下「廃止法」という。)によりらい予防法(昭和二十八年法律第二百十四号)が廃止されるまでの間に、国立ハンセン病療養所(廃止法第一条の規定による廃止前のらい予防法第十一条の規定により国が設置したらい療養所をいう。)その他の厚生労働大臣が定めるハンセン病療養所(以下「国立ハンセン病療養所等」という。)に入所していた者であって、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)において生存しているものをいう。

(補償金の支給)
第三条 国は、ハンセン病療養所入所者等に対し、その者の請求により、補償金を支給する。

(請求の期限)
第四条 補償金の支給の請求は、施行日から起算して五年以内に行わなければならない。

2 前項の期間内に補償金の支給の請求をしなかった者には、補償金を支給しない。

(補償金の額)
第五条 補償金の額は、次の各号に掲げるハンセン病療養所入所者等の区分に従い、当該各号に掲げる額とする。

一 昭和三十五年十二月三十一日までに、初めて国立ハンセン病療養所等に入所した者千四百万円

二 昭和三十六年一月一日から昭和三十九年十二月三十一日までの間に、初めて国立ハンセン病療養所等に入所した者 千二百万円

三 昭和四十年一月一日から昭和四十七年十二月三十一日までの間に、初めて国立ハンセン病療養所等に入所した者 千万円

四 昭和四十八年一月一日から平成八年三月三十一日までの間に、初めて国立ハンセン病療養所等に入所した者 八百万円

2 前項の規定にかかわらず、同項第一号から第三号までに掲げる者であって、昭和三十五年一月一日から昭和四十九年十二月三十一日までの間に国立ハンセン病療養所等から退所していたことがあるものに支給する補償金の額は、次の表の上欄に掲げるハンセン病療養所入所者等の区分及び同表の中欄に掲げる退所期間(昭和三十五年一月一日から昭和四十九年十二月三十一日までの間に国立ハンセン病療養所等から退所していた期間を合計した期間をいう。以下同じ。)に応じ、それぞれ、同表の下欄に掲げる額を同項第一号から第三号までに掲げる額から控除した額とする。

《略》

3 退所期間の計算は、退所した日の属する月の翌月から改めて入所した日の属する月の前月までの月数による。

4 昭和三十五年一月一日から昭和三十九年十二月三十一日までの間の退所期間の月数については、前項の規定により計算した退所期間の月数に二を乗じて得た月数とする。

(支払未済の補償金)
第六条 ハンセン病療養所入所者等が補償金の支給の請求をした後に死亡した場合において、その者が支給を受けるべき補償金でその支払を受けなかったものがあるときは、これをその者の配偶者(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたもの(以下「遺族」という。)に支給し、支給すべき遺族がないときは、当該死亡した者の相続人に支給する。

2 前項の規定による補償金を受けるべき遺族の順位は、同項に規定する順序による。

3 第一項の規定による補償金を受けるべき同順位者が二人以上あるときは、その全額をその一人に支給することができるものとし、この場合において、その一人にした支給は、全員に対してしたものとみなす。

(損害賠償等がされた場合の調整)
第七条 補償金の支給を受けるべき者が同一の事由について国から国家賠償法(昭和二十二年法律第百二十五号)による損害賠償その他の損害のてん補を受けたときは、国は、その価額の限度で、補償金を支給する義務を免れる。

2 国は、補償金を支給したときは、同一の事由については、その価額の限度で、国家賠償法による損害賠償の責めを免れる。

(譲渡等の禁止)
第八条 補償金の支給を受ける権利は、譲渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない。

(非課税)
第九条 租税その他の公課は、補償金を標準として課することができない。

(不正利得の徴収)
第十条 偽りその他不正の手段により補償金の支給を受けた者があるときは、厚生労働大臣は、国税徴収の例により、その者から、当該補償金の価額の全部又は一部を徴収することができる。

2 前項の規定による徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。

(名誉の回復等)
第十一条 国は、ハンセン病の患者であった者等について、名誉の回復及び福祉の増進を図るとともに、死没者に対する追悼の意を表するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

2 前項の措置を講ずるに当たっては、ハンセン病の患者であった者等の意見を尊重するものとする。

(厚生労働省令への委任)
第十二条 この法律に定めるもののほか、補償金の支給の手続その他の必要な事項は、厚生労働省令で定める。

附則
 この法律は、公布の日から施行する。

理由
 ハンセン病の患者であった者等の置かれていた状況にかんがみ、ハンセン病療養所入所者等の精神的苦痛を慰謝するとともに、ハンセン病の患者であった者等の名誉の回復及び福祉の増進を図り、あわせて、死没者に対する追悼の意を表する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

本案施行に要する経費
 本案施行に要する経費としては、約七百億円の見込みである。


ハンセン病問題の解決の促進に関する法律の一部を改正する法律案
第一 名誉の回復等の規定へのハンセン病の患者であった者等の家族の追加
一 前文に、ハンセン病の患者であった者等の家族についても、同様の未解決の問題が多く残されているため、「ハンセン病元患者家族に対する補償金の支給等に関する法律」を制定するとともに、これらの者が地域社会から孤立することなく、良好かつ平穏な生活を営むことができるようにするための基盤整備等を行い、偏見と差別のない社会の実現に真摯に取り組んでいかなければならない旨を追加すること。(前文関係)

二 ハンセン病の患者であった者等の家族についても、福祉の増進、名誉の回復等のための措置を講ずることにより、ハンセン病問題の解決の促進を図るため、趣旨、基本理念、国及び地方公共団体の責務、関係者の意見の反映のための措置並びに名誉の回復の規定の対象にハンセン病の患者であった者等の家族を追加すること。(第一条、第三条第一項、第四条から第六条まで及び第十八条関係)

三 何人も、ハンセン病の患者であった者等の家族に対して、ハンセン病の患者であった者等の家族であることを理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならないものとすること。(第三条第三項関係)

第二 ハンセン病の患者であった者等とその家族との間の家族関係の回復のための支援等
 国及び地方公共団体は、ハンセン病の患者であった者等とその家族との間の家族関係の回復を促進すること等により、ハンセン病の患者であった者等の家族が日常生活又は社会生活を円滑に営むことができるようにするため、ハンセン病の患者であった者等及びその家族からの相談に応じ、必要な情報の提供及び助言を行う等必要な措置を講ずるものとすること。(第十七条第二項関係)

第三 国立ハンセン病療養所における医療及び介護に関する体制の充実の努力義務
 国は、国立ハンセン病療養所における医療及び介護に関する体制の整備及び充実のために必要な措置を講ずるよう努めるものとすること。(第十一条第一項関係)

第四 国立ハンセン病療養所医師等の兼業に関する特例
一 国立ハンセン病療養所医師等は、所外診療を行おうとする場合において、当該所外診療を行うことが、その正規の勤務時間において、勤務しないこととなる場合又は報酬を得て、行うこととなる場合のいずれかに該当するときは、厚生労働大臣の承認を受けることができることとすること。(第十一条の二第一項関係)

二 一の承認を受けた国立ハンセン病療養所医師等が、その正規の勤務時間において、当該承認に係る所外診療を行うため勤務しない場合には、その勤務しない時間については、国家公務員法上の職務専念義務に関する規定は、適用しないこと。(第十一条の二第二項関係)

三 一の承認を受けた国立ハンセン病療養所医師等が、報酬を得て、当該承認に係る所外診療を行う場合には、国家公務員法上の内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長の許可を要しないこと。(第十一条の二第三項関係)

四 一の承認を受けた国立ハンセン病療養所医師等が、その正規の勤務時間において、当該承認に係る所外診療を行うため勤務しない場合には、一般職の職員の給与に関する法律の規定にかかわらず、その勤務しない一時間につき、その勤務しない一時間当たりの給与額を減額して給与を支給すること。(第十一条の二第四項関係)

第五 施行期日
この法律は、公布の日から施行すること。(附則関係)

谷直樹

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by medical-law | 2019-11-16 17:55 | 人権

与党政策責任者会議,ハンセン病元患者家族補償法案・ハンセン病問題基本法改正案を了承

自民党公明党の与党政策責任者会議は,11月5日,ハンセン病元患者の家族への補償法案とハンセン病問題基本法改正案を了承し,今国会に提出し、月内の成立を目指すとのことです.

谷直樹

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by medical-law | 2019-11-06 00:21 | 人権

フロントランナーの肖像,榊原富士子先生

月刊弁護士ドットコムvoL49」の「フロントランナーの肖像」に榊原富士子先生のインタビューが掲載されていました.最近はタバコ関係の訴訟もなく,先生とはすっかりご無沙汰です.

榊原先生は「離婚は珍しくなくなったとはいえ、多くの人は離婚や、婚外子・養子であることに大きな引け目を感じています。今の日本はまだ、婚姻して嫡出子がいて離婚しない家族が一番上の模範型という家族ランキングがある社会です。2015年の最高裁判決では裁判長がまさに、この家族の規格化、嫡出親子であることを周りに示すことが重要で、そのために夫婦同氏が必要だと述べています。しかし、こうしたランキングは模範通りに生きられない多くの人を苦しめます。夫婦別姓訴訟は、『別姓でも、同姓でも、どちらも家族として等価値、家族の形は多様なもので優劣はない』という価値観の体現なのです」と述べています.
記事は「長い間、家族間の苦しみの中でさまざまな橋渡しを担ってきた榊原氏。家族を「つなぐ」役割を若い世代に引き継ぎつつ、自身の最後の大仕事として夫婦別姓訴訟の違憲判決を勝ち取る努力を弛ます、進み続けている。」とまとめます.
別姓訴訟はそういう意義があるのですね.
そんな家族ランキングがあるとは知りませんでした.家族のありかたは多様で,上下や標準があるとは思いもしませんでした.婚姻して嫡出子がいて離婚しない家族はおそらく東京には2,3割もいないでしょう.
私は,人が結婚しようが離婚しようが,子どもがいようがいまいが,まったく関心なく,そのためお祝いのタイミングを逸するすることも度々ありました.

谷直樹

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by medical-law | 2019-10-12 08:52 | 人権

札幌地裁令和元年9月19日判決,HIV感染を伝えなかったことによる内定取消しは違法

読売新聞「HIV感染理由に内定取り消し「違法」…165万円賠償命令」(2019年9月17日)は次のとおり報じました.

エイズウイルス(HIV)感染を理由に病院職員の内定を取り消されたとして、北海道内の30歳代の男性が病院を運営する北海道社会事業協会を相手取り、約330万円の損害賠償を求めた訴訟があり、札幌地裁(武藤貴明裁判長)は17日、「内定取り消しは違法」だとして、同協会に約165万円の賠償を命じる判決を言い渡した。

 男性は2018年7月に提訴していた。訴状によると、男性は17年12月、道内の病院の求人に応募し、社会福祉士として内定を得た。病院はその後、同院に受診歴があった男性のカルテを調査。18年1月、男性が面接時に「持病はない」と虚偽説明したことを理由に、内定の取り消しを告げた。

 男性は09年にHIV感染が判明したがエイズは発症しておらず、訴訟で「エイズ患者への偏見による人権侵害だ」と主張していた。

 判決では、同協会がカルテを調査した点について「医療情報を採用活動に利用し、プライバシーを侵害した」として違法性を認定。男性には、HIV感染を同協会に伝える義務はなかったとして、「内定取り消しは許されない。感染の危険性は小さく、原告の精神的苦痛は甚大だ」として、男性側の主張を認めた。

 判決後、男性は取材に対し「泣き寝入りしなくてよかった。差別や偏見がなくなるわけではないが、社会の認識が変わってくれればうれしい」と話した。

 同協会は「判決内容が届いていないので現時点ではコメントできない」とした。」



報道の件は私が取り扱ったものではありません.
HIV感染についての情報を集め,採用・不採用の判断事由とするのは差別的で合理的理由がないと考えられます.裁判所は,病院側からHIV感染を確認されて否定したことについても,今もなおHIV感染者に対する差別や偏見が解消されていない社会状況を考慮すると非難することはできないとしています.

谷直樹

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by medical-law | 2019-09-17 22:36 | 人権

アウティングされたトランス女性が勤務先病院を提訴(報道)

過去の性別変更を職場でアウティングされたトランス女性が勤務先を提訴」と報じられています.
原告代理人弁護士は仲岡しゅん先生らです.被告は大阪府吹田市の病院と報じられています.
LGBTの人権に配慮が足りない病院は患者の人権にも配慮が足りないのではないかと心配になります.

谷直樹

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by medical-law | 2019-08-30 16:13 | 人権

徳田弁護士50周年講演会

大分合同新聞ハンセン病「衝撃忘れぬ」 徳田弁護士50周年講演会(2019/07/16)は次のとおり報じました.


「徳田靖之弁護士(75)=別府市=の弁護士活動50周年記念講演会が15日、大分市内であった。自身が携わってきた両訴訟や薬害エイズ訴訟、障害のある人や家族らと続けている市民運動などを振り返り、「出会いを大切に生きてきた。50年は通過点。命ある限り、皆さんと共に歩んでいきたい」と語った。」

徳田先生は人に感銘を与える数少ない弁護士の1人です.

谷直樹

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by medical-law | 2019-07-17 05:20 | 人権

元ハンセン病家族訴訟控訴断念

国は元ハンセン病家族訴訟の控訴を断念したとのことです.
朝日新聞が誤報したところからすると,控訴の方針がぎりぎりで転換したのでしょう.
よかったです.
国が作り出した偏見と差別を解消するための取り組みが必要です.
救済の枠組み作りはこれからです.


谷直樹

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by medical-law | 2019-07-09 14:53 | 人権

熊本地裁令和元年6月28日判決,ハンセン病家族訴訟

熊本地裁令和元年6月28日判決(遠藤浩太郎裁判官,鹿田あゆみ裁判官,村井佳奈裁判官)は,元患者家族561人が,国に1人当たり550万円の損害賠償と謝罪を求めた訴訟で,国の責任を認め,原告541人に対し、1人あたり33万から143万円(総額3億7675万円)を支払うよう命じました。
隔離政策見直しの遅れだけでなく,1996年のらい予防法廃止後も,国民への啓発など国が十分な偏見差別除去の措置をとってこなかったことも過失と認めました.

弁護団は,次の声明を発表しました.

「本日、熊本地方裁判所は、ハンセン病であった者の「家族」ら561名が原告となり提起した訴訟において、ハンセン病隔離政策が病歴者本人のみならずその家族らに対しても違法な人権侵害であったことを認める判決を言い渡した。
 本判決は、らい予防法及びそれに基づく隔離政策が、病歴者の家族に対しても違法であったとして、厚生大臣及び国会議員の責任を認めたのみならず、らい予防法廃止後にも厚生及び厚生労働大臣、法務大臣、文部及び文部科学大臣に対し、家族に対する差別偏見を除去すべき義務に反した責任を認めた画期的判決である。

 その一方で、平成14年以降の国の違法行為を認めず、一部の原告の請求を棄却した点は不当と評価せざるを得ない。
 しかし、違法行為の終期に関する法的評価にかかわらず、いまだ社会的に無視できない程度のハンセン病患者家族に対する差別被害が残っていることは、裁判所も認めたとおりであり、その解消に国が責任を負うべきことに変わりはない。

 家族らは、誤った強制隔離政策が実行されていた当時はもちろんのこと、同政策が廃止された後も、その多くが病歴者と切り離され続け、誰にも打ち明けることができず、孤立させられていたために、被害の実態を自ら明らかにし難かった。しかし、国の隔離政策により作出され助長されたハンセン病に対する差別偏見は、患者本人だけでなく、家族らも確実にその渦中に陥れてきたのであり、家族らは、偏見差別をおそれるあまり秘密を抱えて生きることをも強いられ、まさに人生の有り様を変えられてしまう「人生被害」を受けてきた。

 本訴訟は、当初59名の原告で始まった第1次提訴後、裁判の存在を知った多くの家族から声が上がり、わずか数カ月で500名を超える原告による第2次提訴となった。この原告数こそ、家族被害の深刻さと現在性、ひいては社会内におけるハンセン病問題が全面解決に至っていないことを如実に示すものである。

 国は、本判決を真摯に受け止め、控訴することなく直ちに同判決の内容を履行するとともに、差別・偏見の解消、家族関係の回復に向けて、直ちに我々と協議を開始すべきである。
 我々は、ハンセン病問題の真の解決に向けて、なお一層の力を尽くす所存である。本訴訟を支援していただいた市民の方々に、心から御礼を申し上げるとともに、真の全面解決まで、一層のご理解とご支援をお願いする次第である。」


なお,遠藤浩太郎判事は東京地裁にいたことがあります.
鹿田あゆみ判事補も東京地裁にいたことがあります.裁判所と法律事務所の交流で,東京パブリック法律事務所にいたこともあります.
村井佳奈判事補も東京地裁にいたことがあります.
ということは,東京地裁は国寄りという説がありますが,この説はあてにならないようです.

谷直樹

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by medical-law | 2019-07-01 16:53 | 人権

「らい予防法による被害者の名誉回復及び追悼の日」

「ハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給に関する法律」が施行された2001年6月22日にちなみ,6月22日が「らい予防法による被害者の名誉回復及び追悼の日」とされています .
今年は,曜日の関係で,6月21日に厚生労働省の式典が開かれました.
慰霊碑献花の後,厚労大臣、総理大臣(メッセージ)、法務大臣の式辞があり,ハンセン病違憲国賠訴訟全国原告団協議会,全国ハンセン病療養所入所者協議会,遺族代表の挨拶がありました.

谷直樹

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by medical-law | 2019-06-22 08:19 | 人権