弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

カテゴリ:人権( 96 )

神奈川県弁護士会,横濱刑務所と八王子医療刑務所に警告

神奈川県弁護士会は,令和2年6月11日,横濱刑務所と八王子医療刑務所に警告を行いました.

「横浜刑務所において服役していた申立人について、横浜刑務所がHIV一次検査を実施したところ、陽性であることが判明したが、横浜刑務所は、申立人に直ちに検査結果を告知し、二次検査を実施すべきであったにもかかわらず、採血後一年以上検査結果を告知せず、二次検査を実施せず、申立人は、早期に治療を開始することができなかった。
申立人に対する上記処遇は、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律第56条、憲法第13条、憲法第25条により保障された社会一般の保健衛生及び医療水準に照らし適切な保健衛生上及び医療上の措置を受ける申立人の人権を侵害するものであり、今後、上記のような人権制限を行わないように警告する。

「八王子医療刑務所(現、東日本成人矯正医療センター)は、HIV検査のために横浜刑務所で採血された申立人の血液についてHIV一次検査を実施したところ、陽性であることが判明したため、速やかに東京都保健局に二次検査を依頼すべきであったが、検体送付用のジュラルミンケースの購入を失念し、ジュラルミンケースの購入を失念したことに気付いた後も、早急にジュラルミンケースを購入するための措置を講じず、他の医療機関での二次検査を勧めることもなかったため、申立人は、早期に治療を開始することができなかった。
申立人に対する上記処遇は、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律第56条、憲法第13条、憲法第25条により保障された社会一般の保健衛生及び医療水準に照らし適切な保健衛生上及び医療上の措置を受ける申立人の人権を侵害するものであり、今後、上記のような人権制限を行わないように警告する。」


http://www.kanaben.or.jp/profile/gaiyou/torikumi/jinken/kankoku/pdf/20200619_jinkenkeikoku.pdf


谷直樹

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by medical-law | 2020-06-22 12:42 | 人権

関東弁護士会連合会,学生支援緊急給付金について,留学生に対する支給要件を公平なものに改めるとともに,支援対象者や対象機関を拡大することを求める理事長声明

関東弁護士会連合会は,2020年6月4日,以下の「学生支援緊急給付金について,留学生に対する支給要件を公平なものに改めるとともに,支援対象者や対象機関を拡大することを求める理事長声明」を発表しました.

「2020年5月19日,文部科学省(以下「文科省」という。)は,新型コロナウイルス感染拡大の影響で経済的に困窮する大学生等を対象として,「学びの継続」のための『学生支援緊急給付金』(以下「給付金」という。)の創設を発表した。
 給付金「申請の手引き」(以下「手引き」という。)及び「Q&A」によれば,「支給対象者の要件」(以下「支給要件」という。)として,新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い経済的に困窮していることを示す要件①~⑤のほか,「既存の支援制度を活用していること」との要件⑥が設けられており,留学生の場合には要件⑥に代えて「学業成績が優秀な者であること」等の要件⑦が設けられている。
 また,手引きによれば,給付金の対象機関は,国内の大学,短期大学,高等専門学校,専門学校及び日本語教育機関とされている。

1 支援対象者を拡大すべきである
 まず,支給要件⑥は,「既存の支援制度を活用していること」として,高等教育の修学支援新制度,又は第一種奨学金(無利子奨学金)の利用者であることを要件とする。そして,これらの支援制度を利用できるのは,日本人学生のほか,特別永住者や「永住者」,「定住者」等の在留資格を有する学生に限られている。すなわち,「家族滞在」や「外交」「公用」の在留資格を有する学生は要件を充たせないこととなる。
 そもそも,経済的に困窮する大学生等に「学びの継続」の機会を保障するとの給付金の趣旨からすれば,支給要件①~⑤以外は不要であるはずである。また,日本が加盟している子どもの権利条約,社会権規約,人種差別撤廃条約は,日本に住むすべての子どもたちに国籍,民族などで差別することなく等しく学ぶ権利を保障することを求めている。
 したがって,支給要件⑥は撤廃するか,少なくとも「家族滞在」や「外交」「公用」の在留資格を有する学生が給付金を受け得るよう要件を改めるべきである。

2 留学生に対する支給要件は公平を欠く
 次に,支給要件⑥と⑦とを比較すると,以下の通りの不均衡がある。
 例えば,支給要件⑥の予定する高等教育の修学支援新制度においても「学業などに係る要件」は存するが,採用時に「在学する大学等における学業成績について,GPA(平均成績)等が上位1/2以上であること」等を要件とするものであり,また,「出席率が5割以下など学修意欲が著しく低いと大学等が判断した場合」等でなければ打切りの対象とはならない。さらに,「学修計画書の提出を求め,学修の意欲や目的,将来の人生設計等が確認できること」等の学業成績以外の要件を充足することによることも予定されている。
 他方で,支給要件⑦では,「前年度の成績評価係数が2.30以上であること」(報道によれば成績上位25~30%程度に当たる。),「1か月の出席率が8割以上であること」等とされており,支給要件⑥と比して,学業成績の要求水準は高く,また,学業成績以外の要件で代替する支給要件は設けられていない。
  この点について,「Q&A」は,支給要件⑦を考慮した上で大学等が特に必要と認める者は対象とすることにしているから,成績上位3割のみを対象とするものではないと説明する。
 しかし,大学等が,設置認可の権限を有する所轄庁である文科省が定める要件を充足しない留学生等に対して給付金を支給することは困難である。
 また,報道によれば,文科省は,支給要件⑦を設けた理由について,当初,「日本に将来貢献するような有為な人材に限る要件を定めた」と説明しており,これは支給要件⑦において学業成績以外で代替する要件が設けられていないことからも,国籍差別を容認する意図のもとにこの支給要件が定められているといわざるを得ない。
 日本政府が2008年に「留学生30万人計画」を掲げて多数の留学生を受け入れる政策をとってきた経緯に鑑みても,自己の責任によらずに学修が困難になった者に対する救済は国籍や在留資格に関わらず等しく行うべきである。
 したがって,留学生に対する支給要件⑦は,日本人学生等に対する支給要件⑥と同じく撤廃するか,これと同じく学業成績以外の代替要件を定める等公平なものに改めるべきである。

3 対象機関を拡大すべきである
 さらに,手引きによれば,給付金の対象機関は,国内の大学,短期大学,高等専門学校,専門学校及び日本語教育機関とされている。
 しかし,新型コロナウイルス感染拡大の影響で経済的に困窮しているのは,上記機関の学生に限られず,朝鮮大学校等の各種学校や外国大学日本校等の学生も同様である。
 前述の国際人権諸条約の観点からも,朝鮮大学校等の各種学校や外国大学日本校等の学生も給付金の対象者に加えるべきである。」



また,東京弁護士会は,2020年6月11日,以下の「学生支援緊急給付金に関する会長声明」を発表しました.

「政府は、2020年5月19日、新型コロナウイルス感染症拡大により世帯収入、アルバイト収入等が激減し、経済的困窮に陥った学生等に対し、「学びの継続」のための『学生支援緊急給付金』を創設することを閣議決定した。
本給付金は、経済的に困窮し、大学等の学費を支払えず、中退せざるを得ない学生などを救済し、教育を受ける権利を保障するための措置として、ぜひとも実施が必要なものであり、本給付金の創設、実施は、本会も積極的かつスピーディに推し進めるべきものと考える。
しかし、本給付金制度には、次の2点で、合理的理由のない差別的制度が設けられている。

第一に、外国人留学生にのみ、「成績優秀者」の条件が課せられている点である。
留学生に対する給付金要件を加重した理由として、文部科学省は、「いずれ母国に帰る留学生が多い中、日本に将来貢献するような有為な人材に限る要件を定めた」と説明したと報道されている(2020年5月20日共同通信)。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症拡大により、アルバイト等の収入源が途絶えるなどして、経済的に困窮しているという事情は、外国人留学生であっても、非留学生であっても異ならず、文部科学省の説明は、制度趣旨に反する。
また、政府は、2008年、「留学生30万人計画」を打ち出し、「国際貢献」を掲げて外国人留学生を積極的に受け入れる政策を実施し、その結果、外国人留学生の人数は2008年から倍増し、2019年5月1日現在、31万2214人に上っているのである(2020年4月22日文部科学省発表)。
それにも関わらず、いざ経済的困難に陥ったときに、同じ学生であるのに留学生にのみ過重な要件を課すのでは、「国際貢献」どころか利用主義にほかならず、留学生送り出し国を含む国際社会の信頼を失う。

第二に、本給付金の対象から、朝鮮大学校を対象外とした点である。
文部科学省の2020年5月19日の発表時点では、対象を大学・大学院、専修学校及び日本語学校としたため、各種学校である朝鮮大学校のほかに、外国大学の日本校6校も対象外となっていた。
その後、文部科学省は市民団体等から指摘を受け、上記外国大学日本校6校については、各種学校認可も受けていないテンプル大学日本校を含め、対象に含める旨変更したが、未だ朝鮮大学校1校のみ、対象外となったままである。
しかし、朝鮮大学校の学生も、新型コロナウイルス感染症拡大により、アルバイト等の収入源が途絶えるなどして、経済的に困窮しているという事情に変わりはなく、文部科学省による取扱いの差異に合理的理由はない。
2020年5月29日、特定非営利活動法人移住者と連帯する全国ネットワーク、外国人人権法連絡会などの市民団体が、文部科学省と交渉を行い、5万5000通を超えるネット署名を提出し、上記差別的取扱いの是正を要求した。これに対し文部科学省は、朝鮮大学校は各種学校であり、高等教育機関であることの担保がないと説明した。
しかし、1998年、京都大学が朝鮮大学校卒業生の大学院受験を認め、合格したことを契機に、文部科学省は1999年8月、学校教育法施行規則を改正し、大学院入学資格を拡充した。その結果、入学資格がなかった朝鮮大学校も外国大学日本校も入学資格が認められることになった。また、2012年には、社会福祉士及び介護福祉士法施行規則が改正され、「各種学校(大学入学資格を有するものであって、修学年限4年以上のものに限る)を卒業した者」が加えられ、専修学校に加え、朝鮮大学校卒業生も、試験を受験できるようになった。
このように、朝鮮大学校を日本の高等教育機関として認めた法制度がすでに存在し、同校が日本の高等教育機関であることの担保は十分になされているが、文部科学省の説明は、これらの事実を無視している。

これら留学生に対する要件加重、朝鮮大学校の排除は、憲法第14条(平等権)、並びに日本が締約国となっている人種差別撤廃条約、自由権規約及び社会権規約に反するものである。
たとえば人種差別撤廃条約第2条Cは、「各締約国は・・・人種差別を生じさせ又は永続化させる効果を有するいかなる法令も改正し、廃止し又は無効にするための効果的な措置をとる」義務を定めているが、今回の差別的設計は、まさに新たに人種差別を生じさせる法令といえる。
また、新型コロナ対策に関する国連人権高等弁務官事務所のガイダンスで、救済にあたり「誰ひとり取り残さない」ことを原則とし、「排除されるおそれがあるかもしれない人々(マイノリティ、移住者など)に対し特段の配慮が必要」と指摘していることと、真っ向から逆行する。
以上により、当会は、文部科学省に対し、ただちに本制度における差別是正を求めるものである。」



さらに,朝日新聞「京大総長、学生給付金を批判 「留学生差別、おかしい」」(2020年6月14日)は,次のとおり報じました.

「新型コロナウイルスの影響で困窮する学生を対象にした国の「学生支援緊急給付金」が、外国人留学生だけ成績の良さを申請要件にしている問題で、京都大の山極寿一(じゅいち)総長(68)が9日、朝日新聞のインタビューに応じた。要件を「差別的だ」と批判した上で、留学生を排除しない姿勢を取ることが「日本が国際社会をリードしていく一番大きな力になる」と訴えた。

 同給付金を外国人留学生が申請する場合、「成績が優秀」「出席率が8割以上」といった日本人学生にはない要件を満たす必要がある。批判の声が出ており、山極氏はネット上の反対署名運動の呼びかけ人の一人にもなった。

 インタビューで山極氏は「(同給付金は)生活困窮者への支援だ。成績を重んじる奨学金とは目的が違う」と述べ、成績要件を批判。「日本人学生の要件は基本的に経済的な事情だけ。留学生も、経済事情が逼迫(ひっぱく)している人に支給するのが本筋だ」と指摘した。

 留学生に対する日本政府の方針について、「日本も少子高齢化でだんだん労働者人口が減っていく。外国の優秀な学生を頼らなければいけなくなる時代が目の前に来ている」「優秀な留学生を集めるには、日本の学生と留学生を差別しないという態度が一番、魅力的だ」と述べ、「差別するのはおかしい」と批判した。

 留学生の自主性を尊重することの重要さも強調。「(在学中の数年間に)どう教育を得るかは、学生が自分でスケジュールを立てるべきだ」とし、文部科学省が前年度の成績を申請要件にしたことに疑問を呈した。

 国立大の総長が国の仕組みに反対する運動に加わった理由については、「だいたいいつも、教員の立場に立っている」として、「現場の教員が『留学生と日本人を、我々は差別したくない』という声を上げることが大事だ。直接留学生と向き合う現場の教員が出すメッセージは強い」と話した。

 山極氏は、野生ゴリラ研究の第一人者として知られる。「私は、アフリカ赤道直下の『ゴリラの学校』に留学した」と自らの経験を紹介。「(ゴリラは)決して排除することなく私に接してくれた。それはゴリラの社会を知る上で大変に役立った。現場に行って、いろんな人と付き合って、様々な知識を学ぶのが留学の良さだから」とも述べ、留学生を排除せず、多くの人を受け入れる姿勢が大事だと訴えた。

 京都市立芸術大も同様の方針を示していることについても触れ、「個性を開花させる芸術家養成の大学であることを考えれば、そういう認識を持ったのはごく当然と思う」とも発言。「京都は文化や芸術に特化する大学が多い。留学生も多く、国際感覚を持った大学や教員も多いのではないか」との考えを示した。

 この問題をめぐり、要件に反対する大学教員らがネット上で賛同署名を呼びかけたところ、10日午前0時の締め切りまでに1701筆が集まった。うち大学教員は1100人を超えた。署名は5月26日から集め、呼びかけ人には京都大の山極氏ら約40人が名を連ねた。15日にも文部科学省に結果を届ける。(小林正典)」


問題の重大性に比べて世論の盛り上がりがまだ足りないように思います.

谷直樹

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by medical-law | 2020-06-15 13:40 | 人権

奴隷商人の銅像を引き倒す民衆の銅像

エドワード・コルストン氏は,奴隷貿易に大きく関与した17~18世紀の商人・国家議員です.学校,病院,救貧院等を支援したことから,19世紀にブリストルに銅像が建てられました.
2020年6月7日,同氏の銅像は,デモ隊いよって引き倒され川に投げ込まれました.
これは,犯罪行為にはちがいありませんが,奴隷商人を顕彰する銅像を残すことの批判も強いようです.

存続か撤去かをめぐる議論のなか,バンクシー氏は,奴隷商人の銅像を引き倒す民衆の銅像を提案しました撤去以上のインパクトがありますね.


谷直樹

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by medical-law | 2020-06-13 20:28 | 人権

メリアム・ウェブスターが「racism(人種差別)」の定義改訂へ

メリアム・ウェブスターは,「racism(人種差別)」の2つ目の定義を「人種差別の想定に基づき、その原理を遂行することを目的とした教義あるいは政治的プログラム」や「人種差別の上に成り立つ政治的あるいは社会的な制度」としています
これについて,有色人種に対する抑圧をより明確に盛り込んだ定義にすべきだとの黒人女性からの指摘を受けて,編集長は,次の改訂版で,より一層明確に言及する,とのことです.ちなみに,広辞苑の「人種差別」の項には,「人種的偏見によってある人種を社会的に差別すること。ナチスのユダヤ人排斥、白色人種による有色人種に対する差別待遇など。」と書かれています.



谷直樹

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by medical-law | 2020-06-10 21:23 | 人権

記者に抗体検査を受けさせるのは?

西日本新聞「SBIが会見前、記者に異例の抗体検査 「現在の感染調べるものではない」疑問の声も」(2020年6月9日)は,次のとおり報じました.

「ネット金融大手のSBIホールディングス(東京)などは8日に東京都内で開いた記者会見で、新型コロナウイルスの抗体検査を受けることを記者の入場条件にした。
(中略)
厚労省関係者は今回の対応について「抗体検査キットは、その時点での感染の有無を調べるものではない。その結果による入場制限は妥当だとは言いがたい」と指摘。都内で抗体検査に携わる久住英二医師も「会見場で距離を空け、発話者がマスクを着用すれば、感染が広がるリスクはほぼない」と強調した。

 報道の取材制約やプライバシー侵害につながりかねないとの懸念もある。医療問題に詳しい木下正一郎弁護士は「過剰とも言える対応で、合理的ではない。報道、表現の自由を侵害している」と指摘。森亮二弁護士は「データの情報管理の仕方にもよるが、有効性と必要性に疑問がある検査で病歴に関係するような情報を取得するのはプライバシーの観点から問題がある」と話す。」


SBIホールディングス等は記者に抗体検査を受けさせることの法的問題について顧問弁護士に聞くべきだったと思います.


谷直樹

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by medical-law | 2020-06-09 17:40 | 人権

ジャスティン・トルドー首相が抗議デモに参加

カナダのジャスティン・トルドー首相が抗議デモに参加し,ひざまずいて「Black Lives Matter」に団結する意思を示した,と報じられています.
2015年の組閣の時,男女同数としたことでも知られています.
父親が元首相という点は,安倍晋三首相と共通なのですが.

命に格差があってよいわけはありません.
BLMは国際的な広がりをもってきました.

谷直樹

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by medical-law | 2020-06-06 20:06 | 人権

法案「Say Their Name(彼らの名前を言おう)」

アンドリュー・クオモ知事が5日新たに提出された法案「Say Their Name(彼らの名前を言おう)」による改革を発表したと報じられています.
以下の内容が含まれます.
・警察の懲戒処分の記録を開示すること
・背後から腕で相手の首をしめる「チョークホールド」を禁止すること
・911への人種差別的な虚偽通報を「増悪犯罪」として取り締まること
・警察による殺人事件において、司法長官を「独立検察官」として任命すること

警察による暴行を阻止し,警察への信頼を取り戻す必要があるとのことです.
弁護士だけに,差別に対し鋭敏に反応しています.
社会のあり方そのものが問われています.
アンドリュー・クオモ知事とドナルド・トランプ大統領のめざす方向の違いは際立っています.

谷直樹

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by medical-law | 2020-06-06 18:08 | 人権

新型コロナ差別との戦い

厚生労働省は,正しい理解と行動を促す啓発用チラシを作成したとのことです.
新型コロナ差別との戦い_b0206085_17222511.jpg

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_11124.html

飯塚真紀子氏の「【新型コロナ】医療従事者が“コロナいじめ” にあう日本、ヒーローになるアメリカ」(2020年5月1日)によると,米CBSニュースは,日本の医療従事者が同じ日本人から精神的な重圧を受けている状況を伝えたとのことです.
「車に戻ろうとしていた看護師が動揺した男から「なぜ看護師が外を歩き回っているんだ? 馬鹿げている。ウイルスが広がっているのはお前のせいだ」となじられた話や、東京の公園では、子供を連れた看護師が「病院で働いているですよね? ここから出て行ってくれませんか」と言われた話、引越し業者が病院で働くスタッフの家具を動かそうとしなかったという話、看護師が保育施設に子供を連れてこないように言われた話などが紹介された。 」

本当は日弁連にも差別解消のため頑張ってもらいたいところですが,日弁連事務局の業務縮小を5月31日まで延長するとのことです.

沖縄弁護士会は,2020年5月1日,「新型コロナウイルス感染症に関わる差別のない社会を作るための会長声明」を発表しました.

「新型コロナウイルス感染症は瞬く間に世界各地に拡散し、日本国内及び沖縄県内においても終息の見通しは全く立っていません。
私たちは多くの不自由を余儀なくされています。経済活動は縮小し、多くの事業者が経営難に陥り、雇用は著しく不安定となり、子ども達の教育の場が大幅に減少しています。誰もが先行きの見えない不安を抱えているにも関わらず、心の安定をもたらしてくれる娯楽施設や友人との会食すら、私たちは避けなければなりません。
未知のウイルスは、私たちに大きな不安と恐怖を与えます。どこに潜んでいるかわからないウイルスへ恐れは、そのままウイルスの感染者や、感染者かもしれない人々への恐れへと変わります。患者の家族や同僚、患者の治療にあたる医療従事者、感染拡大地域の住民、帰国者、外国人へと、恐怖の対象は広がっていきます。
そして、恐怖は差別へとつながります。恐怖から身を守るために、私たちは恐怖を与えるものを嫌悪し、排除し、差別します。患者の個人情報をインターネット上に晒したり、患者の家族の家に落書きをしたり、医療従事者の子どもの保育所利用を拒否したり、他府県ナンバーの車を煽ったりといった差別行為が日々報道されています。
感染症の恐怖から生み出される差別は、地域や時代を問わず人類が経験しているものです。たとえば、かつて私たちはハンセン病や後天性免疫不全症候群(エイズ)等の患者に対し不当な差別を加えました。
その教訓をふまえて成立した「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」第4条は、「国民は、感染症に関する正しい知識を持ち、その予防に必要な注意を払うよう努めるとともに、感染症の患者等の人権が損なわれることがないようにしなければならない」と定めています
ところが、私たちは再び過去の過ちを繰り返そうとしています。
私たちは連日テレビやインターネットで報道・拡散される新型コロナウイルスに関する新しい情報に振り回され、右往左往しています。根拠のない情報やうわさ話は、未知のウイルスに対するさらなる恐怖と嫌悪を引き起こします。そのプロセスは、ハンセン病や後天性免疫不全症候群の患者についてかつて犯した過ちと共通する面があります。
新型コロナウイルスは、人々に恐怖を与え、差別を助長し、社会を分断させる作用を持っています。そのような負の作用に打ち勝つために、今、私たちに求められることは、感染症に関する正しい知識を持ち、「正しく恐れる」ことです。そして、患者ら一人ひとりが置かれた立場を想像し、思いやることです。
誰もが新型コロナウイルスに感染する可能性をもっています。運悪く感染して命の危機に直面している人々や、最前線で治療にあたっている人々の過酷な状況を想像すれば、私たちがなすべきことは、彼らを排斥して差別することではなく、正しい知識に裏付けられた行動、すなわちこまめな手洗いや消毒、外出の自粛などであることが理解できるでしょう。
新型コロナウイルスに関わる差別を防ぐためには、私たち一人ひとりの行動と自覚が必要です。そして、私たちに大きな影響を与える行政と報道機関の責任は、さらに重大です。
行政と報道機関は、新型コロナウイルスに関する正しい知識と情報を、可能な限り分かりやすく、迅速に伝えて下さい。根拠のない言説が流布している場合には、それを正して下さい。
行政と報道機関は、差別を助長するような表現・報道を避けるよう、細心の注意を払って下さい。特に地域社会のつながりが強固な沖縄県において、感染者個人の特定につながるような情報の開示には最大限の注意を払って下さい。
沖縄弁護士会は、新型コロナウイルスに関わる差別を防止し、患者やその家族、同僚、医療従事者、帰国者や外国人ら一人ひとりの人権を守り、社会全体の連帯を保持するために、全力をもって取り組んでいく所存です。」


谷直樹

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by medical-law | 2020-05-01 17:24 | 人権

5月6日まで13都道府県の拘置所等で弁護人以外との面会原則不許可に日弁連は会長声明をださないのでしょうか


東京新聞「被告・受刑者と家族 面会制限 13都道府県、来月6日まで」(2020年4月21日)は次のとおり報じました.

「法務省は二十日、感染防止を理由に、東京、茨城など特定警戒都道府県に指定された十三都道府県の拘置所や刑務所では、被告や受刑者が弁護人以外と面会することを原則として許可しないと発表した。法律が認めている家族らとの交流が制限されることになり、弁護士らに懸念が広がっている。(山田雄之、小野沢健太)

 同省によると、面会制限の対象とした刑事施設は計七十一カ所で収容者は計約二万五千人。緊急事態宣言期間の五月六日までを予定。これまでも七都府県の計三十八施設で面会を制限していたが、拡大した。制限の根拠としたのは、「省庁の長は所管する行政財産を管理しなければならない」と定めた国有財産法。法務省の担当者は「不特定多数が施設を訪れれば、収容者や職員に感染リスクが生じる。やむを得ない措置だ」と説明する。

 だが、刑事訴訟法は被告が家族や友人と面会できる接見交通権を認め、刑事収容施設法も受刑者に外部との面会を許可している。

 日弁連刑事弁護センター事務局長の菅野(すげの)亮弁護士は「面会制限は法的根拠に無理がある」と疑問視し、「弁護人以外とも裁判の打ち合わせが必要な被告はいるし、家族らとの面会を心の支えにしている受刑者もいる。十分な議論もなく、一方的に収容者の権利を制限するのは、行きすぎた対応だ」と批判した。」



NHK「「特定警戒都道府県」の刑務所など 弁護士以外面会中止」(2020年4月21日)は次のとおり報じました.

「新型コロナウイルスの感染拡大防止のため法務省は全国13の「特定警戒都道府県」にある刑務所や拘置所での受刑者や被告などとの面会について来月6日まで弁護士以外は原則として中止すると発表しました。

弁護士以外との面会が原則として中止されるのは全国13の「特定警戒都道府県」にある刑務所や拘置所などの受刑者や被告などです。

法務省は今月7日に「緊急事態宣言」の対象となった東京や大阪など7都府県にある施設については感染拡大防止のため、すでに同様の措置を取ってきましたが今月17日に対象地域が全国に拡大され、新たに「特定警戒都道府県」が指定されたのに合わせ、20日から対象を広げました。

期間は来月6日までです。

全国の刑事施設では、これまでに大阪拘置所や東京拘置所などで刑務官や被告の感染が確認されています。

日弁連=日本弁護士連合会刑事弁護センター事務局長の菅野亮弁護士は「一定程度の面会の制限は理解できるが家庭の事情などで緊急性のある面会も十分考えられる。法務省は面会を一律に制限するのではなく感染予防策を強化するなどしたうえで、柔軟に対応すべきだ」と話しています。」


拘置所等では,アクリル板で仕切られて面会が行われます.声が聞こえるように小さな孔が開いていますが,二重になっています.このような状況での面会で感染するとは考えにくいと思います.職員と面会者との間にも仕切りがあったはずですが,心配ならそこも二重のアクリル板にすれば足りることです.
面会制限は過度な規制と思います.
7都道府県の面会制限の時点で,日弁連は会長声明をだしていません.
13都道府県にまで拡大したこの時点でも,会長声明をださないのでしょうか.
新型コロナウイルス感染症に関連する人権侵害については,とくに迅速に会長声明をだすべきと思います.

また,「新型コロナウイルス対策に「災害対応」を求める弁護士有志」が4月16日「災害対策基本法等で住民の生命と生活を守る緊急提言」を発したことはこのブロでも紹介しました.災害対策基本法等を適用することで解決できる問題もあります.
「1 新型コロナウイルス感染症の拡大という事象を災害対策基本法の「災害」と捉えることで、市民に自宅待機を求めることができる。
2 新型コロナウイルス感染症の拡大という事象を災害対策基本法の「災害」と認定することで、感染拡大警戒地域、感染確認地域を「警戒区域」と設定し、特定の者以外の立ち入りを制限することができる。
3「激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律」に基づく「激甚災害時における雇用保険法による求職者給付の支給の特例」を活用して、事業者が雇用者を解雇せず、休業中であっても、雇用者が雇用保険の基本手当を受給できる。」


このような積極的な提案を検討し,日弁連会長の声明として公表することも必要と思います.
これまで
「刑事裁判の期日延期等に関する会長声明」
「法試験の実施延期に関する会長談話」
「入管収容施設における『三つの密』のリスクの解消を求める会長声明」
「新型コロナウイルス感染拡大に伴う家庭内被害―DV・ 虐待―の増加・悪化防止に関する会長声明」
を発してきたのですから,迅速に対応してもらいたいです.

【追記】
朝日新聞「「コロナで面会制限は違法」の申し立て、東京地裁が却下」(2020年5月4日 )は次のとおり報じました.
 「新型コロナウイルスの感染拡大防止を理由に東京拘置所が弁護士以外の面会を制限したのは違法な行政処分だとして、勾留中の男性被告が制限を一時的に解くよう求めた申し立てについて、東京地裁は1日付で却下する決定を出した。清水知恵子裁判長は「収容者や面会希望者に対して法的効力を有する処分に当たらない」と指摘した。
 男性は申し立ての前提として制限取り消しを求める行政訴訟も起こしているが、決定は面会制限について、拘置所長が施設管理権に基づいて依頼しているだけの「事実上の取り扱い」にすぎないと指摘。行政訴訟で取り消しを求めることができる「処分」にあたらないと述べた。
 また制限は収容者や面会者、職員の感染を防ぐための措置で、男性には執行停止を認めるのに必要な「重大な損害」もないとした。
 決定によると、同拘置所は緊急事態宣言後の法務省通知を受け、4月15日から「弁護人以外との面会・差し入れは中止します」との貼り紙を掲げ、受付の事務室を施錠。緊急性や必要性を認めた場合のみ、例外的に家族や知人らの面会を許可する運用をしている。(阿部峻介)」

強制的な「処分」ではなくあくまでもお願いだという判断なのでしょうが,実態にそぐわない気がします.

谷直樹

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by medical-law | 2020-04-22 05:37 | 人権

障害学会理事会,「新型コロナウイルス感染症と障害者に関する理事会声明」

障害学会理事会は,2020年4月6日,「新型コロナウイルス感染症と障害者に関する理事会声明」を発表しました.

「■声明
 新型コロナウイルス感染症の蔓延防止のために全力で取り組んでくださっている行政、医療関係者をはじめとする皆様のご努力に心より敬意を表します。
 新型コロナウイルス感染症に関係して、障害者にとっての多くの課題がありますが、ここでは二つに絞って申し上げます。

●障害者への情報提供
 行政機関には、障害者基本法や障害者差別解消法に基づいて、手話や文字、わかりやすい表現をはじめとする様々な形での情報提供をお願いします。情報のバリアをなくし、合理的配慮を行うことで障害者が、生と死を分ける新型コロナウイルス感染症に関する情報に迅速に接することができるような対応をお願いします。

●障害者の命と安全確保:優生思想
 医療関係者の皆様には、万が一にも障害者の生命を軽んじることがないようにお願いします。それは、障害者差別解消法が官民に対して禁じている「不当な差別的取り扱い」です。日本が批准している障害者権利条約も、障害者の生命の権利(10条)と危険な状況においての障害者の保護及び安全確保(11条)を求めています。障害者の生命の価値を低く見てしまう差別的な考え方(優生思想)に基づいて、障害者への治療が拒否されたり、後回しにされてしまうという差別が世界ですでに起きていることを私たちは認識しております。」


新型コロナウイルス感染症をめぐる差別が少なからずおきているようです.

谷直樹

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by medical-law | 2020-04-10 11:21 | 人権