弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

カテゴリ:人権( 67 )

2つの会見

宮川選手の会見は,衝撃的な内容でしたが,わかりやすく,気持ちが伝わるものでした.
宮川選手の会見には,代理人である弁護士法人多摩パブリック法律事務所(東京弁護士会が支援する公設事務所)の弁護士2名が付き添い,出過ぎず,必要なときには適切に介入していました.
翌日の日大の会見は,これと対照的でした.
指示の有無について当事者の言い分が真っ向から対立していますので,捜査によって真実を明らかにする必要がありそうです.

スポーツによる傷害が一般に傷害罪に問われないのは,「正当行為」,「危険の引き受け」等で説明されています.
判例は,「目的の正当性」「ルールの遵守」,「同意の範囲」等を基準として判断しています.つまり,目的が正当でなく,ルール違反で,同意の範囲を超えたものは,傷害罪に問われることがあります.
また,実行行為者に犯罪を指示した者も,教唆犯あるいは共同正犯として罪に問われます.

谷直樹

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by medical-law | 2018-05-25 06:21 | 人権

寺町東子先生,セクハラ告発の女性に名乗り出ることを求める調査方法への疑問,朝日新聞の安全配慮義務を指摘

寺町東子先生は,セクハラ告発の女性に名乗り出ることを求める調査方法への疑問を述べ,また朝日新聞の安全配慮義務を指摘しました.その後,遅ればせながら,朝日新聞が財務省に抗議することになったのは周知のとおりです.





谷直樹

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by medical-law | 2018-04-19 19:34 | 人権

セクハラ和解時に公表を禁じる秘密保持契約の是非

Newsweek 「セクハラ告発急増 和解時に公表を禁じる「秘密保持契約」の是非」(2018年1月5日)は,次のとおり伝えました.

「声を上げる女性(ときには男性も)が増えるなかで、被害者が過去のハラスメントや虐待の主張を話題にすることを禁じる秘密保持契約(NDA)を伴う和解が批判にさらされている。多くの政治家・啓発団体が、そうした協定は廃止すべきだと主張するようになったからだ。」

「一方の当事者に対してアンフェアである、あるいは公序良俗に反していると判断する場合、裁判官は裁量により契約を無効とすることができる。今年に入ってから、ワシントンDCの連邦控訴裁判所は、病院職員が賃金その他の労働条件について議論することを禁じる雇用契約を無効とする判断を示している。

すでに一部の州には、製品の欠陥や環境汚染など「公衆に対する危険」を隠蔽(いんぺい)するような秘密保持契約を制限する法律がある。

性的不品行の告発を隠蔽するような秘密保持契約を無効とするためにも、これと同じ理屈が用いられる可能性がある、と弁護士らは言う。ハラスメント加害者の行為が公表されないと、一部の加害者が他の人にも危険を及ぼす可能性がある、という理論だ。

複数のハラスメント事件で原告側弁護士を務めた経験のあるインディアナ大学のジェニファー・ドロバック教授(法学)は、裁判所は、特に性的暴行またはその他の犯罪行為の告発を隠蔽するような合意には疑いの目を注ぐだろうとの見方を示した。

複数の弁護士によれば、結果的に、今後は恐らく秘密保持契約が用いられることが減り、現在よりも制約の少ないものになる可能性がある、という。

フォーリー・アンド・ラードナー法律事務所に所属するダブニー・ウエア弁護士は、ハラスメント訴訟において雇用者側の弁護を担当しているが、今後の秘密保持契約は、当事者の名前と支払われた和解金の金額だけを秘密とし、告発を公表することは認めるものになるのではないか、と話す。」


当事務所は,医療過誤事件に専念するため,セクハラ事件等は受けていません.
医療過誤事件の示談,和解にも同じ問題があります.
もともと,医療過誤事件の示談,和解には秘密保持条項(口外禁止条項)はついていませんでした.示談,和解のひな形に秘密保持条項(口外禁止条項)はありません.
それが,医療側では最も市場占有率が高い,東京の或る老舗法律事務所が,秘密保持条項(口外禁止条項)をつけたのが広まり,今では当然のように秘密保持条項(口外禁止条項)を要求してくることも少なくありません.
みだりに口外しない,正当な理由なく公表しない,など表現の自由を配慮した文言になっていますが,それでも問題はあります.
被害者側に潜在的な訴訟リスクを課すことは,正当な言論を萎縮させ,公表に消極的な結果を招きかねません
医療機関は,医療過誤を隠蔽するのではなく,医療過誤の事実と再発防止策の策定を公表することで,医療の質の向上をはかり,患者の信頼を得るように努めるべきと思います.
医療過誤の事実と再発防止策の策定の公表を求める被害者も少なくありません.
患者の氏名と和解金の金額を非公表とすることについては合理性はありますが,それ以外の事項について公表を制限する合理性はなく,そのような契約は不当であり,無効と解すべき場合もあるのではないか,と思います.

谷直樹

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by medical-law | 2018-01-06 00:40 | 人権

TIME誌のThe Silence Breakersに腕だけ写っている人

TIME誌は,「ことしの人」にThe Silence Breakers (沈黙を破った人たち)を選びました。
①ハリウッドの大物プロデューサーハーベイ・ワインスタイン氏のセクハラ疑惑を最初に公表した女優アシュリー・ジャドさん,
②スカートの中に手を入れて臀部をつかんだラジオ局勤務のDJデビッド・ミュラー氏からの訴訟に勝った歌手テイラー・スウィフトさん,
③ウーバーUberの最高経営責任者を退任させたエンジニアのスーザン・ファウラーさん,
④カ女性147人の署名を集め、カリフォリニア州政界でのハラスメントの実態を明らかにしたロビイスト,アダマ・イウさん、
⑤上司によるセクハラとストーカー行為を明らかにしたメキシコ出身の果樹園労働者イサベル・パスカルさん(仮名),
そして女性の腕が,TIME誌の表紙を飾りました.

この腕だけ写っている女性は,病院勤務で,実名で訴えることによる影響を恐れて未だ告発できていないセクハラ被害者だそうです.多くの被害者がこれから沈黙を破ろうとしているのでしょう.

Meaning behind anonymous elbow on TIME ‘Person of the Year’ cover explained 


谷直樹

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by medical-law | 2017-12-26 10:01 | 人権

世界人権デー(Human Rights Day)

1948年12月10日の第3回国際連合総会で「人権に関する世界宣言」Universal Declaration of Human Rights が採択されました.そこで.12月10日が世界人権デーと定められました.
医療を受ける権利も,「人権に関する世界宣言」に定められています.

第25条1項 
「すべて人は、衣食住、医療及び必要な社会的施設等により、自己及び家族の健康及び福祉に十分な生活水準を保持する権利並びに失業、疾病、心身障害、配偶者の死亡、老齢その他不可抗力による生活不能の場合は、保障を受ける権利を有する。」
.Everyone has the right to a standard of living adequate for the health and well-being of himself and of his family, including food, clothing, housing and medical care and necessary social services, and the right to security in the event of unemployment, sickness, disability, widowhood, old age or other lack of livelihood in circumstances beyond his control.


今年の国際連合事務総長メッセージは,次のとおりです.

「今年の「人権デー」記念行事は、世界で最も重要で影響力のある国際協定の一つが採択されてから70周年を祝う年間行事の幕開けにあたります。世界人権宣言は、すべての人間の平等と尊厳を確立するとともに、あらゆる政府には、人々がその不可侵の権利と自由をすべて享受できるようにする中心的な義務があることを定めています。

「自由に発言し、自分たちの生活に影響を及ぼす決定に参加する権利は、私たち全員にあります。いかなる形態の差別も受けずに暮らす権利も、私たち全員にあります。私たちには、教育や医療を受け、経済的機会や人間らしい生活水準を得る権利があります。プライバシーと正義を求める権利もあります。これらの権利は毎日、私たち全員に関係してきます。それは平和な社会と持続可能な開発の基盤でもあります。・・・」


国は,患者国民に,良質な医療行為を受ける権利を実現し,選択の自由の権利,自己決定の権利,情報に対する権利,秘密保持の権利を保障し,また患者の意思に反する診断や治療行為を特別な場合を除いて強制されない権利等を享受できるようにする義務があります.

谷直樹

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by medical-law | 2017-12-10 00:40 | 人権

東京高裁,裁判官らの健康診断などのデータを持ち出した事務官を懲戒免職

読売新聞「裁判官らの健診データ持ち出し…事務官を懲戒免」(2017年11月21日)は,「裁判官ら男女約3100人分の健康診断などのデータを無断で持ち出したとして、東京高裁は21日、40代の男性事務官を懲戒免職処分にした。」と報じました.
「発表によると、事務官は7~8月頃、同高裁や東京地裁などの職員が受けた昨年の健康診断結果約3100人分と、がん検診の結果約370人分のデータをUSBメモリーにコピーし、自宅のパソコンで閲覧した。」とのことです.

事務官によって,裁判官らのプライバシーが侵害された事案です.このプライバシーが侵害自体重大なことですが,裁判所が保管するデータ(情報)が事務官によって容易に持ち出されてしまうようでは,国民に不安をあたることになります.

労働安全衛生法第104条は「面接指導の実施の事務に従事した者は、その実施に関して知り得た労働者の秘密を漏らしてはならない」とし,第109条は,第104条に違反した者について六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金を定めていますが,上記報道の事実だけでは,第三者への秘密漏示の事実が認められず,労働安全衛生法第109条,第104条が適用されません.

USBメモリーが事務官の所有物だったとすると,データ(情報)の持ち出しだけでは,窃盗罪にあたりません.

データ(情報)の管理と持ち出し行為に関する法整備が必要と思います.

谷直樹

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by medical-law | 2017-11-23 07:20 | 人権

国連人権理事会、218項目の対日勧告発表

共同通信「国連人権理、218項目の対日勧告発表」(2017年11月16日)は,「国連人権理事会の対日人権審査作業部会は、日本に対し218項目からなる勧告を発表した。」と報じました.

朝日新聞「日本の人権状況、各国から218の勧告 国連人権理事会」(2017年11月17日)は,次のとおり報じました.

「今回で3回目となる定期審査では、日本政府が前回からの成果として挙げた2015年12月の日韓慰安婦合意について、韓国政府から否定的な意見が出た。報告書では、「いわゆる慰安婦の問題を含む歴史の真実を将来の世代が学ぶことを確実にする努力をせよ」(韓国)、「慰安婦問題について心から謝罪し、被害者に補償せよ」(中国)、「性奴隷を含む過去の人道に対する罪の法的な国家責任を受け入れ、誠実に対処せよ」(北朝鮮)という三つの関連する勧告の記載があった。

 報告書で目立ったのが人種差別や性差別、外国人差別、性的少数者差別などをなくす取り組みに関する勧告だった。国連人権理で積極的に発言を続けているNGO「反差別国際運動」は、オランダなど多くの国が「反差別法」の制定を勧告した点を評価し、「定期審査の勧告に基づいて人種差別と戦うように求める」との声明を出した。

 報道関係では、当局側が行政指導の根拠として持ち出す可能性がある「政治的公平性」を求める放送法第4条について、米国の「廃止」を求める勧告が含まれた。

 死刑の廃止や一時停止、死刑囚の待遇改善を求める勧告も多く盛り込まれた。

 勧告内容は16日の会合で正式に採択されており、日本政府は来年3月までにこれら勧告の受け入れの可否について態度表明しなければならない。(ジュネーブ=松尾一郎)」


勧告に法的拘束力はありませんが,指摘された日本の人権状況については改善が必要でしょう.
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by medical-law | 2017-11-16 22:28 | 人権

東京地裁,ハンセン病の非入所者遺族と国が和解

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朝日新聞「ハンセン病の非入所者遺族が国と和解」(2017年2月20日)は,次の通とおり報じました.

「ハンセン病患者の隔離政策をめぐり、療養所に入らなかった「非入所者」の元患者3人の遺族4人が国に損害賠償を求めた訴訟で、4人全員の和解が成立したと代理人弁護士が20日、明らかにした。

 和解したのは、愛知、福島、沖縄の各県に住む非入所者の息子や母親ら4人。遺族側代理人によると、国が隔離政策による人権侵害について謝罪し、遺族1人あたり350万~500万円を支払う内容。非入所者の遺族と国が和解したのは初めてという。

 元患者で非入所者の賠償をめぐっては、2002年に国と基本合意が成立。だが、非入所者の遺族については言及されてこなかった。今回の和解で、遺族も基本合意の水準に沿って、元患者の賠償金を相続できることが認められた。」


これは,私が担当した事件ではありません.
非入所者も人権を侵害されてきましたので,基本合意の水準で東京地裁で和解が成立したことの意義は大きいと思います.


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by medical-law | 2017-02-20 23:06 | 人権

最高裁が任官10年目の裁判官対象に人権研修

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毎日新聞「ハンセン病 最高裁が人権研修 裁判官100人に」(2017年2月17日)は,次のとおり報じました.

「ハンセン病患者の裁判が隔離施設の「特別法廷」で開かれていた問題で、最高裁が設置した有識者委員会の座長を務めた井上英夫金沢大名誉教授が17日、埼玉県和光市の司法研修所で任官10年目の裁判官約100人に講演した。

 最高裁は昨年4月、特別法廷の運用を「偏見や差別を助長し、違法だった」と謝罪。有識者委から人権研修の必要性を指摘され、初めて裁判官の研修プログラムに内容を組み込んだ。」


ハンセン病の感染力・発病力は極めて弱いにもかかわらず,国は90年もの間強制隔離政策をとり続け,人権を守るべき裁判所が差別する側に回り人権を侵害したことは忘れてはいけないことです.
任官して10年たつと「判事補」から「判事」になります.その節目の研修に人権研修が取り入れられました.画期的なことです.


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by medical-law | 2017-02-17 21:38 | 人権

神奈川県弁護士会人権賞はハンセン病元患者石山春平氏と難民外国人支援の医師山村淳平氏へ

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「第21回神奈川県弁護士会人権賞」の贈呈式は、2017年1月21日(土)に行われます.

神奈川県弁護士会によれば、ハンセン病元患者の石山春平氏の受賞理由は以下のとおりです

「1936年に出生し、小学校6年生の時にハンセン病と診断され、1952年に療養所に強制入院させられた。1968年に社会復帰後、ハンセン病の回復者としてハンセン病の差別・偏見に対して実名で社会に訴える講演活動等を行い、川崎市で地域の障がい者活動のリーダーとしても活躍してきた。」

港町診療所の医師山村淳平氏の受賞理由は、以下のとおりです.

「医師として健康保険に加入していない外国人患者の診察に携わる中、在日外国人の人権侵害を認識し、強制送還された外国人を訪ねて証言を聞き取るなどして、入国管理局での長期収容、暴行、強制送還の実態などを明らかにした。その他、在日ビルマ人支援や、在留資格のない外国人の取締強化による人権侵害の調査などを行い、在日外国人を通した日本社会のあり方に問題を投げかけている。」

大変すばらしい選出です.


谷直樹

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by medical-law | 2017-01-19 02:17 | 人権