弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

カテゴリ:人権( 75 )

徳田弁護士50周年講演会

大分合同新聞ハンセン病「衝撃忘れぬ」 徳田弁護士50周年講演会(2019/07/16)は次のとおり報じました.


「徳田靖之弁護士(75)=別府市=の弁護士活動50周年記念講演会が15日、大分市内であった。自身が携わってきた両訴訟や薬害エイズ訴訟、障害のある人や家族らと続けている市民運動などを振り返り、「出会いを大切に生きてきた。50年は通過点。命ある限り、皆さんと共に歩んでいきたい」と語った。」

徳田先生は人に感銘を与える数少ない弁護士の1人です.

谷直樹

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by medical-law | 2019-07-17 05:20 | 人権

元ハンセン病家族訴訟控訴断念

国は元ハンセン病家族訴訟の控訴を断念したとのことです.
朝日新聞が誤報したところからすると,控訴の方針がぎりぎりで転換したのでしょう.
よかったです.
国が作り出した偏見と差別を解消するための取り組みが必要です.
救済の枠組み作りはこれからです.


谷直樹

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by medical-law | 2019-07-09 14:53 | 人権

熊本地裁令和元年6月28日判決,ハンセン病家族訴訟

熊本地裁令和元年6月28日判決(遠藤浩太郎裁判官,鹿田あゆみ裁判官,村井佳奈裁判官)は,元患者家族561人が,国に1人当たり550万円の損害賠償と謝罪を求めた訴訟で,国の責任を認め,原告541人に対し、1人あたり33万から143万円(総額3億7675万円)を支払うよう命じました。
隔離政策見直しの遅れだけでなく,1996年のらい予防法廃止後も,国民への啓発など国が十分な偏見差別除去の措置をとってこなかったことも過失と認めました.

弁護団は,次の声明を発表しました.

「本日、熊本地方裁判所は、ハンセン病であった者の「家族」ら561名が原告となり提起した訴訟において、ハンセン病隔離政策が病歴者本人のみならずその家族らに対しても違法な人権侵害であったことを認める判決を言い渡した。
 本判決は、らい予防法及びそれに基づく隔離政策が、病歴者の家族に対しても違法であったとして、厚生大臣及び国会議員の責任を認めたのみならず、らい予防法廃止後にも厚生及び厚生労働大臣、法務大臣、文部及び文部科学大臣に対し、家族に対する差別偏見を除去すべき義務に反した責任を認めた画期的判決である。

 その一方で、平成14年以降の国の違法行為を認めず、一部の原告の請求を棄却した点は不当と評価せざるを得ない。
 しかし、違法行為の終期に関する法的評価にかかわらず、いまだ社会的に無視できない程度のハンセン病患者家族に対する差別被害が残っていることは、裁判所も認めたとおりであり、その解消に国が責任を負うべきことに変わりはない。

 家族らは、誤った強制隔離政策が実行されていた当時はもちろんのこと、同政策が廃止された後も、その多くが病歴者と切り離され続け、誰にも打ち明けることができず、孤立させられていたために、被害の実態を自ら明らかにし難かった。しかし、国の隔離政策により作出され助長されたハンセン病に対する差別偏見は、患者本人だけでなく、家族らも確実にその渦中に陥れてきたのであり、家族らは、偏見差別をおそれるあまり秘密を抱えて生きることをも強いられ、まさに人生の有り様を変えられてしまう「人生被害」を受けてきた。

 本訴訟は、当初59名の原告で始まった第1次提訴後、裁判の存在を知った多くの家族から声が上がり、わずか数カ月で500名を超える原告による第2次提訴となった。この原告数こそ、家族被害の深刻さと現在性、ひいては社会内におけるハンセン病問題が全面解決に至っていないことを如実に示すものである。

 国は、本判決を真摯に受け止め、控訴することなく直ちに同判決の内容を履行するとともに、差別・偏見の解消、家族関係の回復に向けて、直ちに我々と協議を開始すべきである。
 我々は、ハンセン病問題の真の解決に向けて、なお一層の力を尽くす所存である。本訴訟を支援していただいた市民の方々に、心から御礼を申し上げるとともに、真の全面解決まで、一層のご理解とご支援をお願いする次第である。」


なお,遠藤浩太郎判事は東京地裁にいたことがあります.
鹿田あゆみ判事補も東京地裁にいたことがあります.裁判所と法律事務所の交流で,東京パブリック法律事務所にいたこともあります.
村井佳奈判事補も東京地裁にいたことがあります.
ということは,東京地裁は国寄りという説がありますが,この説はあてにならないようです.

谷直樹

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by medical-law | 2019-07-01 16:53 | 人権

「らい予防法による被害者の名誉回復及び追悼の日」

「ハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給に関する法律」が施行された2001年6月22日にちなみ,6月22日が「らい予防法による被害者の名誉回復及び追悼の日」とされています .
今年は,曜日の関係で,6月21日に厚生労働省の式典が開かれました.
慰霊碑献花の後,厚労大臣、総理大臣(メッセージ)、法務大臣の式辞があり,ハンセン病違憲国賠訴訟全国原告団協議会,全国ハンセン病療養所入所者協議会,遺族代表の挨拶がありました.

谷直樹

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by medical-law | 2019-06-22 08:19 | 人権

東京弁護士会,社会福祉法人の児童養護施設の複数の虐待を認定し是正勧告


東京新聞「「中野の施設で児童虐待」 弁護士会が是正勧告」(2019年5月23日)は次のとおり報じました.

「虐待など事情のある子どもが生活する社会福祉法人の児童養護施設「愛児の家」(東京都中野区)で複数の職員から複数の児童への虐待があったとして、東京弁護士会(東弁)が児童の権利を侵害しないよう今年二月に勧告したことが分かった。二〇一五年に人権救済の申し立てがあり、施設の児童らから独自に聞き取り調査をしていた。この施設については都も通告を二度受けて調査したが、いずれも虐待に当たらないと判断。東弁は都の調査手法も「著しく不適切」と改善を勧告した。 (岡本太、石原真樹、森川清志)

 関係者や入手資料によると、都が虐待通告を受けたのは二〇一三年三月と一四年一月で同じ通告者らからだった。都は一部の児童や職員から聞き取り調査を行い、一度目は職員の強い口調や差別的な発言が不適切などとして口頭で指導する一方、虐待には当たらないと判断。二度目も「特段指導の必要はない」とした。

 東弁は一五年六月に人権救済の申し立てを受け、ほぼ全ての児童らから聞き取り調査を実施。勧告では、高校進学時などに、施設のルールを守らない場合、施設にいられないと約束させる誓約書に署名を求めていたことを問題視。複数の職員で取り囲んで署名を迫ったとし、厚生労働省の虐待対応ガイドラインで「脅かし、脅迫」に当たる心理的虐待だとした。施設側は一七年に誓約書の一部を修正している。

 また、男性職員が反抗的な児童の首周辺を腕で絞め、ソファに押し付けるなどの身体的虐待もあったと判断。施設の女性職員が児童に聞こえるように「ぶす」「死ねよ」などと述べ、男性職員が児童に「頭おかしい」と発言したとした。

 愛児の家の石綿徳太郎施設長は取材に「勧告は事実関係があまりに違う」と事実関係を否定し、施設の職員に弁明の機会がなかったなどとして、東弁に異議申立書を提出したことを明らかにした。

 東弁は都の一度目の調査に対しては、施設を介して聴取対象児童を選び、施設内で聞き取りをしたとして調査手法を問題視。この調査では誓約書の存在も確認できておらず、東弁は厚労省ガイドラインに違反し「著しく不適切」と指摘した。このほか、児童が都児童相談所の職員に「施設の職員に怒鳴られる」と相談したのに都が調査せず、相談内容を施設側に伝えたとも指摘。相談時の事実確認などを定めた児童福祉法に違反するとした。東弁は近く勧告書をホームページに公表する方針。

 都の桑田朋子担当課長は「都の調査は適切に行われたと考えている。児相職員が相談内容を施設側に伝えたとの事実は確認していない」とし、どう対応するか検討するため東弁に問い合わせているとした。

<弁護士会の人権救済申立制度> 弁護士法第1条の「弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする」に基づき、各地の弁護士会や日本弁護士連合会が行っている人権救済活動。申し立てがあると調査の必要性や人権侵害の程度などを判断し、勧告や要望などの措置を取る。勧告などに法的拘束力はない。


家庭で虐待されて施設に収容された児童が,もし施設でも虐待を受けていたとしたら足りきれない気持ちです.
施設側は,誓約書を書かせたこと自体は認め,虐待の事実を否認し異議申立を行うようですので,今後さらに調査が行われるでしょう.


谷直樹

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by medical-law | 2019-05-24 08:45 | 人権

憲法記念日(USA)

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今日は,アメリカ合衆国の憲法記念日です.アメリカ合衆国憲法 (United States Constitution)は,1787年9月17日に作成されました.

憲法前文は,次のとおりです.
We the People of the United States, in Order to form a more perfect Union, establish Justice, insure domestic Tranquility, provide for the common defense, promote the general Welfare, and secure the Blessings of Liberty to ourselves and our Posterity, do ordain and establish this Constitution for the United States of America.

第1条で立法,第2条で行政,第3条で司法,第4条で州と連邦,第5条で憲法修正,第6条で最高法規,第7条で批准を,それぞれ定めていました.
連邦国家の創設は,人権侵害の脅威でもあり,憲法制定反対派との取引として権利章典が約束され,1789年に第1修正から第10修正として権利章典が加えられました.
その後,修正第13条で奴隷制廃止,修正第14条でデュー・プロセス,法の下の平等,修正第15条で黒人参政権,修正第19条で女性参政権,修正第26条で18歳以上の選挙権が加えられました.
アメリカ合衆国憲法の修正は人権保障の歴史でした.


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by medical-law | 2018-09-17 05:48 | 人権

京都弁護士会の調査に,京都拘置所は「熱中症が起こらないことは不可能」と回答

毎日新聞「京都拘置所20人 今月24日間 弁護士会が環境調査」(2018年7月26日)は,次のとおり報じました.

「京都弁護士会の人権擁護委員会は25日、連日の猛暑を受けて京都拘置所(京都市伏見区)の収容者に対する熱中症対策について、拘置所で環境調査をした。同日午前10時半ごろの計測で、居室や廊下の気温は34~35度に達しており、今月1~24日の24日間に、計20人が熱中症の症状を訴えて何らかの処置を受けていた。19日午前には、60代と30代の男性収容者2人が救急搬送され、60代男性は一時意識不明になっている。

 弁護士2人が訪れ、職員からの聞き取りと、実地調査を行った。担当した石側亮太弁護士によると、定員は452人で、現在220~230人を収容し、うち女性が約10人。冷房は病舎6室と女性居室2室にしかない。男性の居室は大部屋71室に壁付けの扇風機があるだけで単独室にはなく、廊下の端に大型扇風機があるが、壁やドアで隔てられ、室内に風は入らないという。

 拘置所は各フロアで1日5回室温計測しており、期間中最高だったのは17日午後2時の36・1度。夜間の最高は19日午前0時の34度。収容者にはお茶の他、1日に500ミリリットル入りのスポーツドリンク2本、塩タブレット6個を支給し、就寝時に保冷枕を配布しているという。施設が1961年築と古く、エアコンや扇風機を増設するための配線や電気容量確保が難しいといい、拘置所側は調査に「熱中症が起こらないことは不可能。なるべく症状の軽減を図っている」と回答したという。

 石側弁護士は「それ自体がすごい話。畳に寝転がってみたが、熱が籠もっていて熱く、とても過ごせる環境ではない。推定無罪の収容者に、憲法で禁じられた身体刑を与えているに等しく、法律の拘禁の目的を超えている」と批判。弁護士会から、収容環境の改善を求める勧告などを行うとしている。【澤木政輝】」


ちょうどこの日,京都地裁の期日があり,京都の暑さを体感しました.
京都御所の蝉の声がすさまじく,まさに真夏という感じでした.

24日に名古屋刑務所で1人死亡していますので,緊急に対策が必要でしょう.
弁護士会の勧告ではどのような具体策が提案されるのでしょうか.

谷直樹

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by medical-law | 2018-07-28 09:41 | 人権

北海道の病院が就職応募者のカルテを採否の資料として見てHIV感染者の内定を取消し(報道)

時事通信「HIV感染不告知で内定取り消し=社会福祉法人を提訴」(2018年7月13日)は,次のとおり報じました.

 「エイズウイルス(HIV)感染を申告しなかったことを理由に、病院が就職内定を取り消したのは違法だとして、北海道の30代の男性社会福祉士が13日、病院を運営する社会福祉法人「北海道社会事業協会」(札幌市)に慰謝料など330万円の損害賠償を求め札幌地裁に提訴した。

 訴状によると、男性は昨年12月、道内の病院のソーシャルワーカーの求人に応募し、HIVに感染していると告げないまま内定を得た。しかし、以前に患者として受診したカルテを病院が発見し、電話で「話が違う」などと指摘。男性はとっさに感染していないと否定した。病院は、虚偽の事実を伝えたなどとして内定を取り消した。

 提訴後に記者会見した男性は「勝手に人のカルテを見ることが一番の問題点。医療水準は格段に進歩しているが、社会的には差別、偏見が残っている」と話した。

 北海道社会事業協会は「訴状が届き次第、検討したい」とコメントした。」 


共同通信「HIV感染告知不要と提訴 病院の就職内定取り消し」(2018年7月13日)は,次のとおり報じました.

「エイズウイルス(HIV)感染を告げなかったことを理由に病院の就職内定を取り消されたとして、北海道の30代男性が13日、病院を運営する社会福祉法人「北海道社会事業協会」(札幌市)に対し、慰謝料など330万円の支払いを求めて札幌地裁に提訴した。
 訴状によると、男性は昨年12月、道内の病院の求人に応募。HIV感染は告げず、ソーシャルワーカーとしての採用が内定した。1月、男性が以前受診した際のカルテを見た病院側から「話が違う」と電話があった。その後「就労に問題はなく、職場で他者に感染する心配もない」とする主治医の診断書を病院側に送ったが、内定を取り消されたとしている。
 男性は、厚生労働省のガイドラインなどに反していると主張。提訴後に記者会見し、「納得がいかない。HIVに対しては社会的に根強い差別や偏見があり、現状に一石を投じたい」と訴えた。
 北海道社会事業協会は「健康問題に関する質問に対し、原告が虚偽の回答をしたことが内定取り消しの理由」とし、争う考えを示した。」


患者として受診したときのカルテを,職員の採否の資料として閲覧するのは目的外使用にあたりますから,許されることではありません.
また,この病院が,感染症に対する正しい知識と理解をもっていないことも問題で, HIV感染者に対する偏見,差別を助長する取扱です.
報道から判断する限り,慰謝料請求が認められる事案でしょう.



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by medical-law | 2018-07-17 06:29 | 人権

2つの会見

宮川選手の会見は,衝撃的な内容でしたが,わかりやすく,気持ちが伝わるものでした.
宮川選手の会見には,代理人である弁護士法人多摩パブリック法律事務所(東京弁護士会が支援する公設事務所)の弁護士2名が付き添い,出過ぎず,必要なときには適切に介入していました.
翌日の日大の会見は,これと対照的でした.
指示の有無について当事者の言い分が真っ向から対立していますので,捜査によって真実を明らかにする必要がありそうです.

スポーツによる傷害が一般に傷害罪に問われないのは,「正当行為」,「危険の引き受け」等で説明されています.
判例は,「目的の正当性」「ルールの遵守」,「同意の範囲」等を基準として判断しています.つまり,目的が正当でなく,ルール違反で,同意の範囲を超えたものは,傷害罪に問われることがあります.
また,実行行為者に犯罪を指示した者も,教唆犯あるいは共同正犯として罪に問われます.

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by medical-law | 2018-05-25 06:21 | 人権

寺町東子先生,セクハラ告発の女性に名乗り出ることを求める調査方法への疑問,朝日新聞の安全配慮義務を指摘

寺町東子先生は,セクハラ告発の女性に名乗り出ることを求める調査方法への疑問を述べ,また朝日新聞の安全配慮義務を指摘しました.その後,遅ればせながら,朝日新聞が財務省に抗議することになったのは周知のとおりです.





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by medical-law | 2018-04-19 19:34 | 人権