弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

カテゴリ:無痛分娩事故( 39 )

厚生労働省のウェブサイトに掲載を希望した無痛分娩取扱施設の 一覧(平成 30 年 6 月 15日時点)

厚生労働省のウェブサイトで,掲載を希望した無痛分娩取扱施設の 一覧(平成 30 年 6 月 15日時点)を見ることができます.

読売新聞「無痛分娩 全件数の14%、「常勤医1人」4割…公表同意268施設」(2018年6月16日)は,次のとおり報じました.

「出産の痛みを麻酔で和らげる無痛 分娩 の全国調査をしていた厚生労働省は15日、無痛分娩を手がける医療機関の実施状況を公表した。公表に応じた268施設のうち、常勤医が1人の施設は107と4割を占めていた。全分娩件数のうち、無痛分娩は14%だった。

 無痛分娩は、出産の疲労を軽くする利点があり、希望者が増えている。昨年、無痛分娩を巡る重大事故が相次いで発覚し、多くが体制の手薄な診療所での出産だった。

 調査は4~5月、分娩を扱う約2500施設を対象に実施。回答のあった39道府県の医療機関のうち、公表に同意した268施設について、医療機関名と連絡先、医師数、昨年1年間の実施件数などをリスト化し同省のサイトに掲載した。

 それをもとに読売新聞が集計したところ、全分娩件数は13万2323件で、うち無痛分娩は1万8296件と13.8%を占めた。

 全分娩のうち無痛分娩が半数を超える施設が16あり、8割超というところも5施設あった。この16施設のうち7施設は、1人の医師が出産と麻酔を兼務しているとみられる。

 福井、高知、佐賀の3県は公表に応じた施設がなかった。東京など都市部は回答が間に合わず現時点では未掲載のため、今後、公表施設数は増える見通しだ。」


谷直樹

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by medical-law | 2018-06-17 12:01 | 無痛分娩事故

厚生労働省通知,無痛分娩の安全な提供体制の構築について

厚生労働省は,平成 30 年4月 20 日,「無痛分娩の安全な提供体制の構築について」(医政総発 0420 第3号 医政地発 0420 第1号)を発し, 提言の周知徹底及び自主点検表の活用を求めました.

「無痛分娩については、複数の死亡事案が発生したことを受け、平成 29 年度厚生労働行政推進調査事業費補助金(厚生労働科学特別研究事業)による「無痛分娩の実態把握及び安全管理体制の構築についての研究」(研究代表者:海野信也北里大学病院長)において、その実態把握と安全を確保する仕組みの検討を行い、平成30 年3月に、「無痛分娩の安全な提供体制の構築に関する提言」(以下「提言」という。)が、別添1のとおり取りまとめられた。また、厚生労働省において、提言を基に、別添2の「無痛分娩取扱施設のための、「無痛分娩の安全な提供体制の構築に関する提言」に基づく自主点検表」(以下「自主点検表」という。)を作成した。このため、下記について御了知の上、貴管下の分娩を取り扱う病院又は診療所(以下「分娩取扱施設」という。)の他、関係機関に対して、提言の周知徹底及び自主点検表の活用につき周知方お願いする。



1.安全な無痛分娩を提供するために必要な診療体制に関する提言について
無痛分娩を取り扱う病院又は診療所(以下「無痛分娩取扱施設」という。)は、「産婦人科診療ガイドライン産科編」(編集及び監修 日本産科婦人科学会及び日本産婦人科医会)を踏まえ、個々の妊産婦の状況に応じた適切な対応をとるとともに、提言の別紙「安全な無痛分娩を提供するために必要な診療体制」に記載されたインフォームド・コンセントの実施、安全な人員体制の整備、安全管理対策の実施並びに設備及び医療機器の配備が求められている。貴職においては、無痛分娩取扱施設に対し、提言で求められている体制の整備が徹底されるよう、周知をお願いするとともに、医療法(昭和 23年法律第205号)第25 条第1項の規定に基づく立入検査の際に、提言及び自主点検表を参考に、診療体制の確保について確認し、必要に応じて助言するようお願いする。

2.無痛分娩に係る医療スタッフの研修体制の整備に関する提言について
無痛分娩に関する関係学会及び関係団体は、安全な無痛分娩の提供体制を構築するため、無痛分娩に関わる医療スタッフに対する「無痛分娩の安全な診療のための講習会」の定期的な開催、「産科麻酔研修プログラム(仮称)」の策定及び専門施設における実技研修体制の整備等を行うこととしている。
講習会の開催予定や具体的な研修体制等については、詳細が定まり次第、追って周知する。

3.無痛分娩の提供体制に関する情報公開の促進のための提言について
現在、妊婦及びその家族に対して無痛分娩に関する必要な情報を分かりやすく提供することを目的として、日本産科麻酔学会ウェブサイトにおいて「無痛分娩Q&A」(※)が公表されており、貴職においては、妊婦やその家族、分娩取扱施設及び関係機関に対する周知をお願いする。
さらに、こうした既存の情報提供に加えて、無痛分娩取扱施設は、自施設の無痛分娩の診療体制等に関する情報を各施設のウェブサイト等で公開することが求められている。貴職においては、無痛分娩取扱施設が、各施設の診療体制等についてウェブサイト等において情報公開を行うよう、周知をお願いする。なお、ウェブサイトについては、平成 30 年6月以降は医療法上の広告規制の対象となるため、虚偽・誇大広告に該当すると認められた場合には、適切に指導されたい。違法な広告を行った施設に対しては、医療法(昭和 23 年法律第205号)第6条の8の規定に基づく命令等を通じて、各施設のウェブサイトが適切に運用されるようお願いする。
また、提言において、関係学会及び関係団体は、今後、情報公開を行う無痛分娩取扱施設を取りまとめたリストを作成し、ウェブサイト上で公開することが求められている。当該リストの公開等については、詳細が定まり次第、追って周知する。
(※)
http://www.jsoap.com/pompier_painless.html

4.無痛分娩の安全性向上のためのインシデント・アクシデントの収集・分析・共有に関する提言について
(1) 分娩取扱施設からの情報収集について
従前より、日本産婦人科医会による偶発事例報告事業や妊産婦死亡報告事業を通じて、分娩取扱施設におけるインシデント・アクシデントに関する情報収集が実施されている。貴職においては、分娩取扱施設に対し、当該事業の報告対象となる事例が発生した場合には、速やかに地域の産婦人科医会へ報告するよう、周知をお願いする。
(2) 患者及び家族からの有害事象の相談について
従前より、患者及び家族からの医療に関する相談窓口としての役割は、医療安全支援センター(以下「センター」という。)が担ってきた。センターを所管する地方自治体においては、無痛分娩に関連する有害事象等の相談を受けた際に地域の実情に応じて適切に対応するために、あらかじめセンターと地域の医師会及び産婦人科医会との連携体制の構築を図るよう、お願いする。例えば、センターにおいては、無痛分娩に関連する有害事象等の相談を受けた際に、地域の医師会の窓口を紹介し、特に再発防止の分析に資する症例については、地域の医師会が地域の産婦人科医会へ報告する等の対応が考えられる。
(3) 都道府県の周産期医療協議会について
各都道府県においては、「周産期医療協議会における協議の徹底について」(平成29 年1月17 日付け厚生労働省医政局地域医療計画課救急・周産期医療等対策室事務連絡)により、周産期医療協議会において、母体死亡事例や重篤事例等に関する検証と再発防止等に関する協議を徹底するようお願いしてきた。貴職においては、本提言を踏まえ、母体死亡事例等が生じた場合に、再発防止等に向けて、周産期搬送や救急医療との連携等の
医療提供体制に関して、同協議会における協議の徹底に努めるとともに、地域の医師会、産婦人科医会及びセンター等に寄せられた相談内容についても、同協議会において安全な分娩体制の確保に資するような検討が行われるよう併せてお願いする。」


谷直樹

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by medical-law | 2018-05-02 13:09 | 無痛分娩事故

厚生労働省の研究班が無痛分娩の安全対策をまとめ公表(報道)

TBS「無痛分娩」安全に行うには? 増加する一方で事故も・・・」(2018年3月29日)は,次のとおり報じました.

 「出産の痛みを麻酔で和らげる無痛分娩について、厚生労働省の研究班が安全対策をまとめ、公表しました。

 静岡県内の産科クリニック。行われていたのは帝王切開の手術です。万が一の容態急変に備え、執刀医だけでなく、麻酔担当など2人の医師が立ち会いますが、2人は、このクリニックの医師ではなく、別のクリニックからの応援です。日本は欧米に比べ小規模な診療所での出産が多く、現場ではいま、こうした連携が求められています。

 「静岡県は1人で開業が7~8割。肝心のところだけ2人になれる工夫で今のような(連携を)やっている」(前田産科婦人科医院 前田津紀夫医師)

 特に、最近ニーズが高まっている「無痛分娩」を行うために、医師の連携が重要だといいます。

 「無痛分娩」は、背骨の神経の近くに麻酔薬を注入し、痛みを和らげる方法で、出産時の疲労が少なく回復が早いとして、希望する人が増えています。その一方で、うまく息張れず、分娩が長時間に及ぶこともあり、容態の急変に備えた体制が必要だとされています。しかし、実際には医師が少ない小規模な診療所で行われているケースが半数以上だといいます。

 「(無痛分娩の)麻酔中に医師が離席してしまった。(無痛分娩を)やっていいクリニックなのか」(無痛分娩で妻と子を亡くした男性)

 無痛分娩で脳にダメージが残り亡くなった女性と子どもの写真です。異変が起きたとき、医師は外来診療を行っていて対応が遅れたとみられています。こうした事故が去年、相次いで明らかになりました。

 「(リスクに)対処できる体制を敷いてもらうことが必要」(無痛分娩で妻と子を亡くした男性)

 そして、厚労省の研究班が29日、無痛分娩についての安全対策を初めてまとめ、提言という形で公表しました。無痛分娩を実施する医師は麻酔の経験が100例以上あること、医療機関は麻酔管理者の配置など十分な人員体制を敷くことなどが示されました。しかし、対策はあくまで任意で、義務づけることまでは求めませんでした。

 「きょうこの提言を何とかまとめたが、まだまだ十分ではない。きょうはようやく第一歩を踏み出そうとしているという認識」(研究代表者・北里大学病院 海野信也院長)

 遺族などから実効性への疑問の声が高まるとみられますが、今後は関係する学会で議論が行われる予定です。



NHK「無痛分べん ”麻酔後30分は医師が確認を“ 厚労省研究班」(2018年3月29日)は,次のとおり報じました.

「麻酔を使って陣痛を和らげる「無痛分べん」について、厚生労働省の研究班は安全に実施するための手順や管理体制などを示した提言をまとめました。

麻酔を使って陣痛を和らげる「無痛分べん」については、重篤な事故が起きたという報道が相次いだ一方で、麻酔を投与したあとの管理手順が定められていないなどの課題が指摘されてきました。

29日、厚生労働省の研究班は提言を公表し、麻酔による中毒症状などへの対応が遅れないよう、麻酔の投与から30分間は担当医師が妊婦の呼吸や脈拍などを記録し状態を確認することや、産後3時間が経過するまでは、医師が5分程度で駆けつけられる体制をとるよう求めています。

また、麻酔を担当する医師は2年に1回程度、麻酔についての研修を受け、医療機関のホームページなどで研修の受講歴や無痛分べんの実施件数を公開することも求めています。

この提言は関連する学会などを通じて全国の医療機関に周知されることになっています。

一方、この研究班では無痛分べんによる事故の発生割合を調べようとしましたが、アンケート調査の回答率が低く十分な調査ができなかったとしたほか、無痛分べんを実施する医師に新たな認定資格の取得を義務づける案も検討しましたが、すでに実施している医師に参加を促すのは難しいなどとして見送られました。

研究班の代表で北里大学病院の海野信也病院長は「無痛分べんは急速に普及しているので、今回の提言を第一歩として引き続き安全体制の構築に努めたい」と話しています。」


研究班が提言をまとめたことは第一歩として評価できます.
しかし,その内容をみると歯がゆい限りです.
医師が少ない小規模な診療所で半数以上の無痛分娩行われているという現状を前提に,それらの小規模な診療所に可能な範囲で対策を検討するのでは限界があります.こと無痛分娩に関しては,国際的にもまれな日本の現状を改める必要があると思います.国際標準の実効的な安全策の実施に向けて,今後の各学会等の取り組みに期待し,注目したいと思います.

谷直樹

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by medical-law | 2018-03-29 17:30 | 無痛分娩事故

「市民公開講座~無痛分娩の安全性について」を傍聴して

共同通信「無痛分娩「リスク差ない」 厚労省研究班が見解示す」(2018年3月4 日)は,次のとおり報じました.

 「無痛分娩の実態把握のため、厚生労働省が設置した研究班が4日、普通のお産と無痛分娩のリスクについて「大きな目で数字を見た感じでは、そんなに差がなさそうだと言える」との見方を示した。東京都内で開いた公開講座で、代表の海野信也・北里大病院院長が市民からの質問に答えた。研究班が安全評価を公言するのは初めて。

 研究班は死亡事故を受けて設置され、2017年8月から無痛分娩の安全管理体制構築の議論を進めていた。年度内に提言をまとめる。

 10年以降に無痛分娩を受けた14人が死亡したことについて、海野氏は「同期間の妊産婦死亡者271人に占める割合は5.2%。分娩全体での無痛の実施率も14年度からの3年間で4.6%から6.1%に伸びており、ほぼ同じ割合で死亡するケースも起きている」と説明。ただ「だから大丈夫というわけではない。もっと細かく調べなければならない」と付け加えた。

 「死亡したケースをみると、麻酔薬が脊髄に入り込む合併症によるものが多い」とし、蘇生設備を整備し、医師らが研修やトレーニングを受けて緊急時に対応できるようにすれば、死亡・後遺症を防ぐことができると主張。妊婦が実施施設を選べるよう、施設側が医師の実績など情報公開を進める必要性も指摘した。〔共同〕」


NHK「無痛分べんのリスクを正しく知る市民講座」(2018年3月4日)は,次のとおり報じました.

「麻酔を使って陣痛を和らげる無痛分べんのリスクを正しく知ってもらおうと、東京で医師による市民講座が開かれました。

無痛分べんは、出産の際に麻酔をかけ、陣痛を和らげる分べん方法で、妊婦が死亡するなど重大な事故が起きていることから、厚生労働省の研究班が対策を協議しています。

無痛分べんのリスクを正しく知ってもらおうと4日、研究班のメンバーが東京・千代田区で市民講座を開き、出産を考えている女性などおよそ90人が参加しました。

この中で、加藤里絵医師は、無痛分べんの際に、背中の「硬膜外腔」と呼ばれる場所に局所麻酔をしたとき、誤って脊髄の通る場所や、血管に入ってしまうと呼吸がしづらくなり、最悪の場合、心臓が止まる危険性もあると説明しました。

一方で、こうした事態は、医療者が妊婦の様子を注意深く見て、けいれんが起きるなどの初期症状を見逃さず適切に対処すれば、防ぐことができると伝えました。

厚生労働省の研究班によりますと、去年明らかになった無痛分べんの重大な事故で、原因を特定できた6件のうちの4件は、麻酔が誤って脊髄の通る場所に入ったケースだったということです。

研究班では今後、無痛分べんを安全に行うための具体的な手順を示すほか、全国の医療機関に対し、無痛分べんの実績や、麻酔を扱う医師の研修履歴をホームページで公開するよう求めていくことにしています。」



読売新聞「妻子を亡くした神戸の遺族、無痛分娩事故の再発防止を要望」(2018年3月5 日)は,次のとおり報じました.

「神戸市西区の診療所で出産の痛みを麻酔で和らげる無痛 分娩 を巡る2015年9月の事故で、妻子を亡くした男性(33)が2日、安全対策を検討する厚生労働省研究班に、再発防止に向けた要望書を提出した。

 要望書では、これまでの研究班の検討内容を不十分と指摘。安全な無痛分娩のために望む点などを妊産婦にアンケート調査することや、無痛分娩の麻酔に習熟した医師の認定制度導入を、近くまとめる研究班の提言に盛り込むことなどを求めた。

 厚労省研究班は、重大事故の続発を受け、昨年夏に設置された。医療機関への実態調査の分析や、情報公開の方法などを検討してきた。先月の最終会合では、認定制度の導入の是非について関係学会・団体に検討を委ねる方針が示された。」


読売新聞は,「麻酔を担う医師の要件など望ましい体制を示したものの、出産と麻酔を1人の医師が行うことを容認するなど、実施要件の厳格化に反対する診療所に配慮した形で、続発する事故の歯止めとなるかは不透明だ。」と書いています.

無痛分娩を行うと,ときに全脊麻(硬膜外腔に入れるはずの麻酔薬が脊髄くも膜下腔に投与されておきます)になることがあります.
医師はこのようなことが起きないように注意していますが,どんなに注意深く適切に行っても,ときに全脊麻になること自体は防止できません.
無痛分娩で全脊麻になっても,適切な体制がとられていて人工呼吸なども含め呼吸循環動態を維持するよう適切に対応すれば,亡くなったり後遺症を残すことはありません.

ところが,無痛分娩事故として報道された8件中7件が麻酔が原因で,4件が全脊麻でした.
つまり,日本では,現在,無痛分娩で妊産婦が全脊麻になったときに,必ずしも適切な対応がとられる体制になっていません.無痛分娩で妊産婦が全脊麻になったときに,適切な対応がとられる医療機関と適切な対応がとられない医療機関があります.そして,無痛分娩を受けようとする妊産婦は,現在,適切な対応がとられる医療機関かそうでない医療機関かを知る手がかりがありません.

(リスクが変わらないという推定自体,全体の実施件数が増えていることからの大雑把なもので正確性が疑わしいですし,仮に妊産婦死亡率が無痛分娩を実施した場合とそうでない場合で異なるというエビデンスがなくても)誰もが,この状況はよくない,改善しなければならない,と考えているはずです.
安全安心に無痛分娩が行われる体制をつくるべきです.

研修も情報公開も安全安心な無痛分娩のためには有用ですが,それだけでは十分ではないでしょう.
研修は,専門医認定制度とリンクして,実効性のあるものになります.専門医認定制度は,医師が研修を受ける動機付けになります.
また,妊産婦からすると,専門医認定制度があったほうが医療機関選択が容易です.

専門医認定制度に反対する理由は,現在無痛分娩を行っている医師が無痛分娩を行えなくなるのは無痛分娩へのアクセスが悪化しよくないということのようです.
しかし,法的に専門医資格がなくても無痛分娩を行い得るとすることは可能ですし,現在無痛分娩を行っている医師が専門医資格を取得できないために,無痛分娩希望の妊産婦が事実上その医師のところでは無痛分娩を受けないことになることは,安全安心でない無痛分娩を排除することになり無痛分娩の普及のために必要なことで,妊産婦の安全のためにはむしろよいことと考えます.

無痛分娩を受けると,くじ引きのように全脊麻に当たるかもしれません.諸外国では全脊麻に適切に対応して死亡するようなことはないのに,日本では全脊麻に適切に対応できない施設であったなら死亡するかもしれません.妊産婦は,このリスクを知ったとき,安全安心な無痛分娩よりアクセスの容易さを優先するとは思えません.

研究班のとりまとめが,無痛分娩の安全な体制作りの方向への舵取りになることを期待します.

谷直樹

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by medical-law | 2018-03-05 09:07 | 無痛分娩事故

3月4日,市民公開講座~無痛分娩の安全性について

3月4日13時から,「市民公開講座~無痛分娩の安全性について」が, ステーションコンファレンス東京で開催されます.

日 時 平成30年3月4日(日曜) 13時~16時 (受付 12時より)
会 場 ステーションコンファレンス東京 503 BCD
     〒100-0005 東京都千代田区丸の内 1-7-12 サピアタワー
主催  無痛分娩の実態把握及び安全管理体制の構築についての研究班

参加費 無料 (申し込み不要) ※先着200名

どのようなことが話されるのか,注目したいと思います.

谷直樹

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by medical-law | 2018-03-03 10:07 | 無痛分娩事故

無痛分娩に専門医制を

神戸新聞「無痛分娩に専門医制を 神戸で出産の遺族が要望書」は次のとおり伝えました.

「神戸市西区の産婦人科医院で2015年9月、麻酔で痛みを和らげる無痛分娩
(ぶんべん)で出産をした女性とその長男が亡くなった医療事故で、女性の夫
(33)=東京都=が2日、無痛分娩の安全対策を検討している厚生労働省研究
班に、専門医認定制度の導入などを求める要望書を送付したと明らかにした。

 無痛分娩の際に受けた麻酔が本来の硬膜外腔(がいくう)ではなく、内側のく
も膜下腔に達したため、女性は呼吸困難になり低酸素状態となった。脳に損傷を
受け、意識が戻らないまま昨年5月に死亡。長男も呼吸・循環不全のため、脳に
重い障害を負い、同年8月に亡くなった。担当する院長は外来診察のため、女性
の異変に対応するのが遅れたという。

 要望書は、専門医制度の導入を巡る同研究班の議論で、デメリットとして「無
痛分娩を提供する医療機関が激減する」などを挙げていることについて、制度導
入に消極的だと指摘。さらに、麻酔後に適切な観察や対応がなされなかったこと
から、「急変に対応できる体制(産科医、麻酔科医らの24時間常駐と機器の準
備)の確保が必要」と提言した。

 女性の姉(37)は「無痛分娩のニーズや提供する医師が増える可能性がある
中で今、変えないといけない。妊産婦の意向も聞き取った上で、専門医制度導入
の道筋だけでも打ち出してほしい」と話した。(篠原拓真)」


谷直樹

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by medical-law | 2018-03-03 09:57 | 無痛分娩事故

無痛分娩事故の被害者遺族が,厚労省研究班への要望書を提出しました。

2015年9月2日に神戸市西区のクリニックでおきた無痛分娩事故により妻と子を亡くした被害者遺族が,本日,厚労省の「無痛分娩の実態把握及び安全管理体制の構築についての研究班」(海野班)に要望書(別紙)を郵送提出しました。
 要望は,以下の3点です。
(1) 妊産婦の視点に立って検討いただきたく、そのために妊産婦対象の無痛分娩についてのアンケート調査実施の方向性を示してください。
(2) 専門医認定制度の導入は、妊産婦にとってはメリットですから、導入の方向を示してください。
(3) 今後無痛分娩事故で人が亡くなることがないように、現状をよしとせず、世界標準と同レベルの安全な無痛分娩のために必要な人的物的体制を提言してください。

要望書は,以下のとおりです.

貴研究班が昨年8月23日に立ち上がり、「『医療安全に関してはダブルスタンダードは社会的に許容されない』という認識のもと、世界標準と同等のレベルの、病院・診療所で共通の安全対策の標準的方法に関するコンセンサス形成をはかる。」という基本方針が示され、研究班の任務として、諸外国のガイドライン等の検討を行ない、安全対策に関するコンセンサスを形成し、標準的方法を提示する、とのことで、私は期待を抱いて注視してきました。
貴研究班は、無痛分娩実施医療機関に対しては、「無痛分娩実施施設に関する情報公開の促進のための提言」(検討中)への積極的な対応を求めるとのことで、私は情報公開が進むものと期待しています。
ただ、討議の過程をみると、十分とは思えないところもありますので、貴研究班が提言をとりまとめ、平成30年度以降の方向性を示すに際し、以下のとおり、要望いたします。

1 実態把握について
日本産婦人科医会のアンケート調査が行われましたが、医師へのアンケートという性格上、必ずしも正確な実態が把握されたとは言いきれない面があるように思います。
妊産婦側の視点を欠いては一面的なものになりますので、妊産婦へのアンケート調査も必要と考えます。
妊産婦側が無痛分娩をどのようなものと認識し、妊産婦希望による無痛分娩がどのようにして行われているのか、無痛分娩に対するニーズの内容、とくに安全な無痛分娩のために何を望んでいるのか、を調査していただきたく思います。

2 安全管理体制の構築について
(1)認定制度の導入等
貴研究班は、関係学会・団体に対して「産科麻酔関連の認定制度等」の導入の要否に関する検討を要望する、とのことで、専門医認定制度導入自体についてすら積極的な方向を示していません。
貴研究班は、専門医制度・技術認定制度等の導入のメリットとして「わが国の産科麻酔・無痛分娩の質の向上につながる」、「妊産婦及び社会に対して無痛分娩実施施設のレベルを判断する基準を提供できる」点をあげました。
デメリットしては、「現に無痛分娩を実施している医療機関・医師が資格を新たに取得することは難しい」、「資格取得が無痛分娩実施の条件となってしまうと、無痛分娩を提供できる医療機関が激減することになる」点をあげました。
しかし、これは、専門医の資格を取得できないような医師が無痛分娩を実施している現状を認めた上で、現状を変えることをデメリットと言っていることになります。
安全な無痛分娩のためには、人的物的に体制が整っていない医療機関で無痛分娩が行われている現状を変える必要があると考えます。上記の点は妊産婦にとってはデメリットではありません。妊産婦にアンケートを行えば、専門医認定制度導入に賛成する意見が圧倒的に多数だと思います。
なお、必ずしも資格取得を無痛分娩実施の条件とする必要はありません。妊産婦に情報を提供しその選択に委ねることも十分考えられます。硬膜外無痛分娩(脊髄くも膜下硬膜外併用麻酔を含む)の件数は年間1から20件の施設が最も多いことが報告されました。その件数で産科医が無痛分娩に熟練しレベルを維持できるのか、を考えると、仮に年間1~20件の施設が無痛分娩を止めることになったとしても、デメリットは生じないと思います。
亡き妻は、無痛分娩のリスクを知らされていませんでしたが、仮に知らされていたら無痛分娩を選択しなかったでしょうし、選択するとしても設備や体制の整った医療機関を選んだはずです。妊産婦に無痛分娩のリスクが知らされていなかったために無痛分娩の件数が増えてきたとすれば、リスクについての情報提供がなされれば、今後も同じように無痛分娩の件数が増え続けるとは考えられません。
さらに、「産科麻酔研修プログラム(仮称)」とそれに基づいた「産科麻酔の実施・実技」研修のコース及び講習会等の企画、実施が方向性として示されるようですが、研修を実効的なものとするためには、専門医の資格取得と関連付けたほうがよいと考えます。

(2)安全な無痛分娩のために必要な人的物的体制
硬膜外麻酔後の適切な観察がなされず、急変時に適切な対応がなされていなかったために、私の妻と息子は亡くなりました。安全な無痛分娩のためには、麻酔後に見守りができ、急変に対応できる人的物的体制(産科医、麻酔科医らの24時間常駐と機器の準備)が確保されていることが必要と考えます。無痛分娩は硬膜外麻酔等が行われることから、少なくとも専門医認定制度がない現状では、麻酔科医の関与が必要と思います。

3 要望
(1) 妊産婦の視点に立って検討いただきたく、そのために妊産婦対象の無痛分娩についてのアンケート調査実施の方向性を示してください。
(2) 専門医認定制度の導入は、妊産婦にとってはメリットですから、導入の方向を示してください。
(3) 今後無痛分娩事故で人が亡くなることがないように、現状をよしとせず、世界標準と同レベルの安全な無痛分娩のために必要な人的物的体制を提言してください。


      (連絡先)
〒160-0003東京都新宿区四谷本塩町3番1号四谷ワイズビル1F
谷直樹法律事務所 電話 03(5363)2052


なお,第1の要望書(2017年7月14日)は,http://medicallaw.jp/youbou1.pdf
第2の要望書(2017年8月8日)は,http://medicallaw.jp/youbou2.pdf
をそれぞれご参照ください。


谷直樹

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by medical-law | 2018-03-02 12:23 | 無痛分娩事故

厚労省「無痛分娩の実態把握及び安全管理体制の構築についての研究」班第二回公開検討会

毎日新聞「無痛分娩 施設の情報公開促進へ 件数、麻酔の方法など」(2017年11月22日)は, 次のとおり報じました.

「出産の痛みを麻酔で和らげる「無痛分娩(ぶんべん)」の安全対策を議論している厚生労働省研究班(代表者・海野信也北里大病院長)は22日、無痛分娩を手掛ける各施設の年間実施件数や麻酔の方法などをネット上で比較できる仕組みを作る方針を決めた。情報公開を進めることで、重大事故が相次いでいる無痛分娩の安全向上を目指す。

<無痛分娩>リスクも考慮を メリットと注意点

 日本産婦人科医会が全国約2400施設の6割から回答を得た調査によると、無痛分娩は2016年度に少なくとも3万6849件実施され、全出産数の6.1%(病院5.5%、診療所6.6%)を占める。一方で体制の不備も指摘され、麻酔科医が無痛分娩を管理している診療所は9%にとどまる。

 研究班は、実施施設にウェブサイトなどで、年間分娩数と無痛分娩の実施件数▽麻酔の方法や24時間対応の有無▽患者への説明資料や同意文書▽合併症が起きた場合の対策--などの情報公開を求め、研究班メンバーがいる施設で先行実施する。併せて、各施設に学会などで作る組織に登録を促す。登録施設の一覧もネット上で公開し、妊婦らに無痛分娩を選ぶ際の参考にしてもらう。

 この日は、同医会の調査で、実施施設の1割で過去1年に無痛分娩中に重大事故につながる「ヒヤリ・ハット」事例があったことも報告された。【下桐実雅子】


日本テレビ「無痛分娩、非無痛と死亡率の“差”なし」(2017年11月22日)は,次のとおり報じました.

「関西で無痛分娩による事故が相次いだ問題で、日本産婦人科医会は、「無痛分娩と無痛ではない分娩の死亡率に明らかな差はない」とする調査結果をまとめた。

 日本産婦人科医会は、麻酔で出産の痛みを和らげる「無痛分娩」による事故の再発防止策を検討している厚生労働省の研究班の会議で、調査結果を報告した。

 2010年からの6年間で、日本産婦人科医会に報告された妊婦の死亡例は277件で、そのうち14件が無痛分娩だったという。これをもとに推計すると、無痛分娩で死亡する妊婦は10万人あたり4.9人だとして、妊婦全体の3.9人と比べ、「無痛分娩とそうではない分娩での死亡率に明らかな差は認められない」と結論づけた。

 また、全国約1400の分娩施設を対象に行った調査では、過去1年に無痛分娩で「ヒヤリハット」があったと答えたのは、無痛分娩を行っている施設の11%にあたる56施設で、「多量出血」など126件の報告があったという。

 医会は、これらの事例についてさらに詳しい調査を行っているという。」



産経新聞「出産時の痛みを麻酔で和らげる「無痛分娩」厚労省の研究班「妊婦死亡率変わらず」と報告」(2017年11月22日)は, 次のとおり報じました.

「出産時の痛みを麻酔で和らげる「無痛分娩(ぶんべん)」で妊婦や新生児の死亡や障害が相次いで発覚したことを受け、厚生労働省研究班の会議が22日開かれ、日本産婦人科医会が「無痛分娩とそうでない分娩の間で死亡率に明らかな差がない」と報告した。

 平成22年からの6年間に医会に妊婦死亡が報告された277例のうち、無痛分娩が行われていたのは14例。医会の調査に基づく無痛分娩の実施率を5・5%として年間分娩数から推計すると、無痛分娩の妊婦の死亡率は10万人当たり4・9人となり、日本の妊婦死亡率と明らかな差はなかった。

 会議では、医会が6月に全国の分娩取り扱い施設2391カ所(病院1044カ所、診療所1347カ所)を対象に行ったアンケートの詳細な結果も報告された。その結果、診療所の8割、病院の7割で無痛分娩の管理を麻酔科医でなく産科医が行っていた。

 また、過去1年間に無痛分娩の分娩に関する「ヒヤリハット」(ひやりとする体験)があったと回答したのは無痛分娩を行っている施設の11%に当たる56施設で126件。医会は、産科麻酔中に起きた「ヒヤリハット」事例について詳しい調査を行っている。」



日本経済新聞「無痛分娩、診療実績などの公開を要請へ 厚労省研究班」(2017年11月22日)は, 次のとおり報じました.

「麻酔を使って痛みを和らげる「無痛分娩」で出産した女性が死亡するなどの問題を受け、厚生労働省の研究班は22日、無痛分娩を実施する全医療機関に対して診療実績や診療体制などの情報公開を要請することを決めた。妊婦が出産する医療機関を選ぶ際に役立ててもらうのが狙いだ。

 研究班は2017年度中に日本産婦人科医会などを通じてホームページなどでの情報公開を要請する。まずは年間の無痛分娩数や、無痛分娩に関する同意文書などを妊婦に情報提供するよう求める。

 研究班は17年度、安全に無痛分娩が行える診療体制を提言としてまとめる。妊婦の急変に対応できる体制や、麻酔の経験といった無痛分娩を行う上で必要となる医師の要件などを定める。これらを固めたうえで診療体制の公開も要請する。

 22日の研究班の会議は、日本産婦人科医会が過去6年間に検討を終えた妊産婦の死亡事例277例のうち、無痛分娩が行われていたのは14例だったと報告した。無痛分娩による死亡率は人口10万人当たり4.9人だと試算し、人口動態統計による妊産婦の死亡率と明確な差は認められなかったとしている。」


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by medical-law | 2017-11-23 09:01 | 無痛分娩事故

京田辺市の産婦人科医院の院長不起訴の事情

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京都新聞「院長不起訴「納得できない」 無痛分娩事故の夫会見」(2017年10月30日)は,次のとおり報じました.

「記者会見した夫と代理人弁護士によると、地検から「管が硬膜を破っていないかどうかの確認手順は業界内で義務化されておらず、麻酔の効果も人によって幅があるため過失とは言い切れない」との説明があったという。
 夫は「安全な麻酔方法は義務化されていないが、学会はその現状を変え、無痛分娩の希望者に、より安全にお産の機会を提供する流れになっている。今回の不起訴処分でその流れが阻害されないことを願う」と訴えた。時効が迫っているため、検察審査会への申し立てはしない方針という。
 無痛分娩を巡っては、大阪府和泉市の産婦人科医院で妊婦が死亡し、大阪府警が院長を書類送検するなど安全性の問題が全国で表面化している。今回の事故では、夫らは昨年末、医院に約9億4千万円の損害賠償を求めて提訴。同じ医院で麻酔事故が他にも発覚したことを受け、公訴時効(5年)が11月上旬に迫るなか、8月に刑事告訴した。
 地検は不起訴の理由について「過失を認定するに足りる十分な証拠の収集には至らなかった」とした。医療過誤事件は一般的に長い捜査期間が必要とされる。ある捜査関係者は「せめて半年、1年と時間がほしかった」と漏らした。」



報道の件は私が担当している事件ではありません.(私が担当しているのは神戸市西区のクリニックの無痛分娩事故の件です.)
医療刑事事件は,一般にハードルが高いのですが,捜査期間はどんなに少なくとも6か月は必要です.
なお,「管が硬膜を破っていないかどうかの確認手順は業界内で義務化されておらず」の部分は不正確です.ガイドライン等に記載されていない,というべきでしょう.注意義務としては観察義務が肯定されています.

菊の花言葉は「高潔」です.

谷直樹

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by medical-law | 2017-11-01 09:42 | 無痛分娩事故

大阪大医学部付属病院の妊婦健診と分娩の分担連携システムなど新たな取り組み

時事通信「無痛分娩集約を検討=健診と出産「すみ分け」-事故防止へ対応模索・大阪」(2017年10月8日)は次のとおり報じました.

「大阪府和泉市の産婦人科医が書類送検された事故など、無痛分娩(ぶんべん)中の死亡例が相次いで表面化する中、府内の医療機関では、分娩を設備や体制の整った中核病院に集約する試みなど、再発防止への取り組みが進められている。

 大阪大医学部付属病院は無痛分娩希望者を対象に、妊婦健診は提携した地域の個人医院などが行い、出産が近づくと同病院に転院させ分娩する仕組みの導入準備を進めている。
 欧米では、複数の産科医や麻酔科医が24時間体制で対応できる大病院に分娩を集約する「オープンシステム」が一般的だが、日本では地域の医院が健診から出産までを担うことが多い。事故多発の一因には、麻酔技術の不足や緊急時の体制不備があるとされる。
 阪大病院の木村正教授は新たな仕組みについて、「『最後まで同じ先生』でない不安はあるかもしれないが、代わりに高い安全を提供できる」と話す。健診から産後までの具体的な流れや費用面などを詰めている段階で、「地域と協力してモデルケースをつくりたい」と展望を語る。

 分娩中の異変を重大事故につなげないため、訓練に力を注ぐ地域病院もある。大阪府泉佐野市の「谷口病院」は、出血多量や心肺停止で中核病院に搬送が必要な場合の訓練を年に数回実施。谷口武医師は「訓練しておけば、焦らず対応できる」と話す。
 無痛分娩も行うが、麻酔後の経過観察などのチェックは徹底。万一に備え、緊急搬送先の中核病院との連携も日頃から深めている。「どんな施設でも絶対の安全はない。異変が起きた際の対応が求められる」と強調した。
 
 厚生労働省の研究班で長年、出産時の死亡例などを調査する三重大医学部の池田智明教授は「集約が不可能な地方もある。日常的に相談できるなど個人医院のメリットも大きい」と指摘。その上で、望ましい施設を選ぶポイントとして、医師と看護師がリスクを説明しているか▽緊急時の連携体制が十分か▽いつ陣痛が来ても無痛分娩に対応できるか-を挙げる。同教授は「妊婦側も危険性を認識することが必要だ」と話している。」


安全なお産のための取り組みが各病院で進むことを期待します.
同時に,各病院の努力だけではなく,制度的に安全なお産が可能となるように,また妊産婦が施設を選択できる情報を得有られるように,産科医療システム全体についても検討改善すべきと思います.


谷直樹

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by medical-law | 2017-10-09 00:39 | 無痛分娩事故