弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

カテゴリ:無痛分娩事故( 47 )

京田辺市の医院の帝王切開時の麻酔事故,京都地裁で和解(報道)

産経新聞「出産時の麻酔ミスで母子植物状態、夫らと産院が和解 京都地裁」(2019年9月27日)は,次のとおり報じました.
「帝王切開で出産しようとした際に、麻酔のミスで妊婦だった女性(40)と生まれてきた長女(3)がともに寝たきりの植物状態になったとして、女性の夫(39)らが、京都府京田辺市の医院「ふるき産婦人科」(平成29年に休院)に約3億3千万円の損害賠償を求めた訴訟が、京都地裁(藤田昌宏裁判長)で和解が成立したことが27日、分かった。和解は19日付。

 和解内容は非公表だが、原告代理人によると、医院側からの解決金と謝罪が盛り込まれているという。

 訴状などによると、女性は28年5月に同医院に入院。帝王切開での出産のため、医師から硬膜外麻酔を受けたが、直後に意識不明となり、首から下が動かない状態となった。長女も出産直後から意識不明で、脳に回復困難な損傷を受けたと診断され、夫らが損害賠償を求め提訴していた。

 同医院での出産をめぐっては、出産時に麻酔で痛みを和らげる無痛分娩(べん)の際に母子が重度の障害を負ったとして、他に1件の損害賠償請求訴訟が京都地裁で係争中。」



報道の件は私が担当した事件ではありません.
大阪高裁で1件和解が成立していますので,同医院の係争中の分娩時の麻酔事件はあと1件です.


谷直樹

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by medical-law | 2019-09-30 17:16 | 無痛分娩事故

無痛分娩被害者の会結成

読売新聞「無痛分娩被害者の会、結成の思い「事故二度と…」」(2019年7月8日)は,次のとおり報じました.

「出産時の痛みを局所麻酔で和らげる無痛分娩で被害に遭った女性の家族2人が8日、被害者の会を結成して大阪府内で記者会見した。無痛分娩で麻酔を行う医師の資格制度の創設や、定期的な講習の義務化を求めて国や医師の団体に要望書を提出するとしている。

 会のメンバーは2017年1月、大阪府和泉市の「老木レディスクリニック」で処置後に死亡した長村千恵さん(当時31歳)の父・安東雄志さん(70)と、12年11月、京都府京田辺市の「ふるき産婦人科」(休院中)で起きた事故で寝たきりとなったロシア国籍のエブセエバ・エレナさん(42)の夫(57)。

 安東さんは「妊婦に必要な出産方法だからこそ、安全に行える制度を国などが整備するべきだ」と訴え、エレナさんの夫は「同様の事故が二度と起こらないよう活動していく」と話した。」


私はこの会に関与していません.
安全で良質な医療が普及することが求められています.
安全な無痛分娩のために動きたいという気持ちは分かりますが,「無痛分娩被害者の会」というのはどうなのでしょう.お二人の件は医療過誤による医療事故ですが,そのことが一般に理解されないと「被害者」とは理解され難いのではないでしょうか.
たとえば,「陣痛促進剤による被害を考える会」というのは有りますが,「考える」が入っています.


谷直樹

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by medical-law | 2019-07-09 14:22 | 無痛分娩事故

和泉市の無痛分娩死亡事故,検察審査会へ審査申立

共同通信「無痛分娩死で検審申し立て、大阪」(2019年7月2日)は次のとおり報じました.

「大阪府和泉市の産婦人科医院「老木レディスクリニック」で2017年、麻酔で痛みを和らげる「無痛分娩」で出産した長村千恵さん=当時(31)=が死亡した事故で、業務上過失致死容疑で書類送検された男性院長(61)の不起訴処分を不服とし、遺族が2日までに大阪第4検察審査会に審査を申し立てた。受理は6月26日付。

 申立書によると、院長は長村さんの脊髄近くにカテーテルを入れ麻酔薬を注入する硬膜外麻酔を行う際、適切な位置に挿入されているかどうか確認を怠った。麻酔の効き具合の確認などを十分にせず死亡させた過失は重大だとしている。」


上記報道の件は,私が担当している事件です.
6月25日に審査申立書を郵送し,6月26日に受理されました.
過失については,次のとおり主張しています.

「被疑者は,アナペイン注入前の吸引テストを行わず,アナペイン注入後の下肢の運動麻痺の有無の確認もしなかった。被疑者が,カテーテルが適切に留置されているか否かを確認することを怠り,0.75%アナペイン(一般名ロピバカイン)3mLと5mLをそれぞれ注入したことは,業務上の過失にあたる。」

検察審査会の市民感覚に期待したいと思います.

【追記】
産経新聞「無痛分娩死で検審申し立て 院長不起訴に遺族」(2019年7月2日)は次のとおり報じました.

 「大阪府和泉市の産婦人科医院「老木レディスクリニック」で平成29年、麻酔で痛みを和らげる「無痛分娩」で出産した長村千恵さん=当時(31)=が死亡した事故で、業務上過失致死容疑で書類送検された男性院長(61)の不起訴処分を不服とし、遺族が大阪第4検察審査会に審査を申し立てた。受理は6月26日付。

 申立書によると、院長は長村さんの脊髄近くにカテーテルを入れ、麻酔薬を注入する硬膜外麻酔を行う際、適切な位置に挿入されているかどうか確認を怠った。麻酔の効き具合の確認などを十分にせず、死亡させた過失は重大だとしている。

 2日に大阪市内で記者会見した長村さんの父、安東雄志さん(70)は「起訴すべきものは起訴にして裁判で決着をつけるのが正しいやり方」と訴えた。

 院長は29年10月、大阪府警に書類送検されたが、今年4月に大阪地検が嫌疑不十分で不起訴とした。」


MBS「無痛分娩で出産後に死亡 不起訴不服で遺族が検察審査会に申し立て」(2019年7月2日)は次のとおり報じました.

「大阪府和泉市の産婦人科医院で無痛分娩で出産に臨み死亡した女性の遺族が、院長を不起訴とした検察の処分を不服として検察審査会に申し立てを行い7月2日までに受理されました。

 おととし1月、和泉市の産婦人科医院「老木レディスクリニック」で、長村千惠さんが無痛分娩で出産中に意識不明となり10日後に死亡しました。その後、クリニックの院長が業務上過失致死の疑いで書類送検されましたが今年4月、不起訴処分となりました。

 遺族らは「誤った位置に挿入されたカテーテルに院長が無痛分娩の麻酔薬を投与したため呼吸が停止した」などと検察審査会に申し立て、7月2日までに受理されたということです。」


読売新聞「無痛分娩で死亡 検審申し立て」(2019年7月3日)は次のとおり報じました.

「大阪府和泉市の産婦人科医院「老木レディスクリニック」で2017年、無痛分娩(ぶんべん)をした女性が死亡した事故で、夫(35)ら遺族2人が男性院長(61)を不起訴(嫌疑不十分)にした大阪地検の処分を不服として、大阪第4検察審査会に審査を申し立てた。6月26日付。

 事故では、大阪府枚方市の長村千恵さん(当時31歳)が17年1月、出産の痛みを和らげる局所麻酔後、呼吸困難に陥り、10日後に低酸素脳症で死亡。帝王切開で生まれた次女は無事だった。

 大阪府警は17年10月、院長を業務上過失致死容疑で書類送検。地検は今年4月に不起訴としていた。遺族側は申立書で「院長は麻酔の針を深く刺しすぎたのに、刺さり具合を確認する注意義務を怠った」と主張している。」


この読売新聞の報道は間違いです.遺族は「院長は麻酔の針を深く刺しすぎたのに、刺さり具合を確認する注意義務を怠った」などとは主張していません.麻酔針を深く刺しすぎた事実はありません.刺さり具合アを確認する注意義務を主張していません.硬膜外カテーテルが適切に留置されているか否かを確認することを怠ったと主張しているのです.
また,全脊髄くも膜下麻酔は,帝王切開の適応ではありません.つまり,この件は帝王切開すべき事案ではありません.

谷直樹

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by medical-law | 2019-07-02 17:21 | 無痛分娩事故

和泉市の無痛分娩死亡事故大阪地裁に提訴

6月11日,和泉市の無痛分娩死亡事故について,遺族(夫と幼い長女,次女)の代理人として,大阪地裁に訴状を提出しました.これで,大阪地裁での産科事件は2件になりました.
被告は,産科クリニックを開設する医療法人と院長医師です.
請求金額は,9883万1468円です.

事案の概要は,次のとおりです.
被告医師は,平成29年1月10日午後3時20分頃から,被告クリニックの処置室において,妊婦に対し,
①無痛分娩目的で,硬膜外針のベベル(刃面)を硬膜外腔で180度回転させて硬膜を損傷し,
②硬膜外カテーテル(以下「カテーテル」という。)を5cm挿入し(カテーテルの先端は脊髄くも膜下腔にあった。),
③カテーテルが適切に留置されているか否かを確認するための吸引テストを行うことなく,局所麻酔薬0.75%アナペイン(一般名ロピバカイン)3mLを注入し,
④注入後下肢の運動麻痺を調べることなく,さらに吸引テストを行うことなく同アナペイン5mLを注入し,
⑤注入後下肢の運動麻痺を調べることなく,脊髄くも膜下腔に注入した計8mLのアナペインにより高位麻酔とし,
⑥同日午後3時32分に高位麻酔の症状である呼吸苦を訴えた妊婦に高位麻酔の治療を行わず,全脊髄くも膜下麻酔とし,
⑦意識レベル低下,意識消失,呼吸停止,心停止となった妊婦に全脊髄くも膜下麻酔の治療を行わず,無酸素ないし低酸素状態におき,脳機能に不可逆的損傷をあたえました。
妊婦は,同月20日搬送先の総合医療センターにおいて,脳機能損傷により死亡しました。

注意義務違反は次の3点を主張しています.

1 カテーテル挿入後,アナペイン注入前,吸引テストを行ってカテーテルが適切に留置されているか否かを確認すべき義務の違反(確認義務違反)

2 アナペイン注入後,下肢の運動麻痺を調べてカテーテルが適切に留置されているか否かを確認すべき義務の違反(確認義務違反)

3 呼吸苦を訴えた際の,麻酔域を調べ,吸引テストを行ってカテーテルが適切に留置されているか否かを確認すべき義務の違反(確認義務違反)

硬膜外腔にカテーテルを留置して,カテーテルから持続的に局所麻酔薬を注入する方法では,妊婦の体位変動などでいつのまにかカテーテルの先端が脊髄くも膜下腔に迷入することがあります.注意していても,全脊麻になってしまう場合もあります.
本件,その場合と異なります.
本件は,カテーテルを挿入した後,ただの一度も吸入テストを行わず,カテーテルの位置を確認していません.
また,局所麻酔薬を注入した後,カテーテルの先端が脊髄くも膜下腔に迷入していたら2分で下肢に症状が出ますが,本件は,局所麻酔薬注入後,下肢の状態を調べず,カテーテルの位置を確認していません.
確認は,産科医であれば誰でもでき,かつしなければならないことです.それを怠ったことは過失にあたると考えています.

毎日新聞「無痛分娩死亡事故、遺族が産婦人科医院を賠償提訴 大阪」(2019年6月11日)は次のとおり報じました.

「大阪府和泉市の産婦人科医院「老木(おいき)レディスクリニック」で2017年、出産時の痛みを麻酔で和らげる無痛分娩(ぶんべん)に臨んだ女性が死亡した事故で、遺族が11日、医院側に計約9400万円の損害賠償を求める訴えを大阪地裁に起こした。遺族は「事故が二度と繰り返されないよう世の中に訴えたい」と話している。

 訴えたのは夫(35)と娘2人。訴状などによると、事故は17年1月に起きた。長村千恵さん(当時31歳)=同府枚方市=が脊髄(せきずい)付近にある「硬膜外腔(がいくう)」への麻酔を受けた後、呼吸困難となり意識不明に。別の病院に運ばれたが、低酸素脳症で10日後に死亡した。帝王切開で生まれた次女は無事だった。

 遺族側は、手術した男性院長が麻酔薬を注入する前、体内に入ったカテーテルが適切な位置にあるかを確認しなかったと主張。硬膜外腔より深い部分まで薬が入り、麻酔が効き過ぎたことが原因だと訴えている。

 院長は同年10月に業務上過失致死容疑で書類送検されたが、大阪地検が今年4月に不起訴処分(容疑不十分)にしている。

 記者会見した遺族側代理人の弁護士は「麻酔の効き目などを適切に確認すれば防げた事故だ」と指摘。夫は「あいまいな形で決着させたくない。きちんとした判決をもらいたい」と話しているという。

 医院側の代理人は「訴状が届いていないので申し上げることはない」としている。

 遺族側は近く、不起訴処分についても検察審査会に不服を申し立てる。無痛分娩を巡っては重大事故が相次ぎ、他にも訴訟も起きている。【高嶋将之、松本紫帆】」


日本経済新聞「無痛分娩死遺族、医院に損賠提訴 大阪地裁」(2019年6月12日)は次のとおり報じました.

「大阪府和泉市の産婦人科医院で2017年、無痛分娩で出産した長村千恵さん(当時31)が死亡した医療事故で、適切な治療を怠ったのが原因だとして、女性の遺族が11日、男性院長(61)と運営する医療法人に対し、計約9380万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴した。

訴状などによると、院長は17年1月、長村さんに脊髄を保護する硬膜の外側に麻酔薬を注入する「硬膜外麻酔」を施した際、管が適切な位置に挿入されて…」


共同通信「無痛分娩死で産科医院提訴、大阪 「麻酔の確認怠る」」(2019年6月11日)は,次のとおり報じました.」

 「大阪府和泉市の産婦人科医院で17年、麻酔で痛みを和らげる「無痛分娩」で出産した長村千恵さん=当時(31)=が死亡した事故を巡り、麻酔の部位や効き具合の確認を怠ったのが原因だとして、夫(35)らが11日、担当した男性院長(61)と運営元の医療法人に、計約9300万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴した。

 訴状などによると、院長は無痛分娩で次女(2)を出産予定の長村さんに、カテーテルを入れ麻酔薬を注入する硬膜外麻酔を行う際、適切な位置に挿入されているか確認しないまま注入。その後も麻酔の効き具合の確認を怠って意識不明に陥らせ、10日後に死亡させたとしている。」

時事通信「無痛分娩死で医院を提訴=遺族が賠償請求-大阪地裁」(2019年6月11日)は,次のとおり報じました.」

「大阪府和泉市の産婦人科医院で2017年、無痛分娩(ぶんべん)で出産した女性=当時(31)=が死亡した事故で、同府枚方市の遺族が11日、適切な治療を行わず死亡させたとして、運営する医療法人と男性院長を相手に、計約9380万円の損害賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こした。

 訴状によると、女性は17年1月、同医院で次女を出産する際、麻酔後に呼吸困難で意識不明となり、別の病院に搬送されたが低酸素脳症で死亡した。適切に呼吸を管理すれば死亡を回避できたのに、処置が適切か確認する義務を怠ったと主張している。」 


MBS「「無痛分娩で母親死亡事故、遺族が病院院長を提訴」(2019年6月11日)は,次のとおり報じました.」

「大阪府内の産婦人科医院で、無痛分娩で出産中に意識不明となりその後死亡した女性の遺族が、病院の責任を問うため提訴しました。

 訴状によりますと、おととし1月、和泉市の産婦人科医院「老木レディスクリニック」で、長村千惠さん(当時31)が無痛分娩で出産中に意識不明となり、10日後に死亡しました。遺族は、千惠さんが死亡したのは院長が麻酔の際に適切な確認措置を怠ったことが原因だったとして、約9400万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴しました。

 「これはどういう事件だったのか、明らかにしたいという願いがありました」(遺族の代理人弁護士)

 院長は業務上過失致死の疑いで書類送検されていましたが、大阪地検は今年4月に嫌疑不十分で不起訴としていて、遺族はこれを不当として来週にも検察審査会に申し立てを行う予定です。」


読売テレビ「無痛分娩で出産後に死亡 遺族ら「病院側に過失」と提訴」(2019年6月11日)は,次のとおり報じました.」

「無痛分娩で出産後に死亡した女性の遺族が、病院側に過失があったとして、損害賠償を求める裁判を起こした。

 訴状などによると、長村千恵さん(当時31)は一昨年1月、大阪府和泉市の「老木レディスクリニック」で痛みを麻酔で和らげる無痛分娩で出産したが、呼吸困難に陥り、10日後に死亡した。

 長村さんの遺族は、麻酔を投与した男性院長が経過観察を怠ったことなどが死亡の原因だと主張し、約9400万円の損害賠償を求めている。一方、病院側の代理人は「訴状がまだ届いていないので申し上げることはございません」とコメントしている。

 男性院長をめぐっては、業務上過失致死の疑いで書類送検されたが、今年4月、嫌疑不十分で不起訴となっていて、遺族は来週、検察審査会に審査を申し立てる方針。」

関西テレビ 「「無痛分娩」で女性死亡の事故 遺族が病院側に約9300万円の賠償求め提訴」(2019年6月11日)は,次のとおり報じました.

「おととし、大阪府和泉市のクリニックで「無痛分娩」で出産した女性が死亡した事故で、遺族が病院側に9300万円あまりの賠償を求めて提訴しました。

【長村千惠さんの父・安東雄志さん(70)】
「民事で勝っても負けても、どうなっても私の娘は帰ってきません。そんなことじゃなくて私はただ一つ、こういう事故が先進国の日本で起こってほしくない」

おととし、大阪府和泉市の「老木レディースクリニック2」で、長村千惠さん(当時31)が麻酔で痛みを和らげる“無痛分娩”で次女を出産しようとしたところ、容態が急変し死亡しました。

その後警察がクリニックの男性院長(61)を業務上過失致死の疑いで書類送検しましたが、ことし4月、検察は嫌疑不十分で男性院長を不起訴処分としました。

長村さんの遺族は院長が麻酔を打つ際に適切に効いているかの確認を怠ったため死亡したなどとして、クリニックと院長に対し、あわせて約9380万円の賠償を求めて大阪地裁に提訴しました。

【遺族の代理人 谷直樹弁護士】
「確認するのは、本当に誰でもできる。ただ、さぼっただけなんですね。怠っただけなんです。医学部の学生が勉強する教科書に書いてあるんです」

【長村千惠さんの父・安東雄志さん(70)】
「(提訴が)医療改革につながってほしいですね。医師は罰すべきじゃないという社会的な認識がある。医師でも悪い人はいる」

遺族は今後、院長を不起訴とした処分についても不当だとして一般の市民からなる検察審査会に申し立てるということです。

クリニック側は取材に対し、「訴状が届いていないので申し上げることはありません」とコメントしています。」

【追記】
第一回期日は,7月29日月曜日午後1時15分1009法廷に決まりました。


谷直樹

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by medical-law | 2019-06-12 23:00 | 無痛分娩事故

京田辺市のクリニックの無痛分娩事故,大阪高裁で和解(報道)

共同通信「無痛分娩ミス訴訟が和解 京都の夫婦と産婦人科医院」(2019年1月7日)は次のとおり報じました.

「麻酔で痛みを和らげる「無痛分娩」で出産しようとした際、医師が適切な処置をせず、生まれた長女が脳性まひを負ったとして、京都府の夫婦が同府京田辺市の医院「ふるき産婦人科」と院長に計約1億円の損害賠償を求めた訴訟の和解が7日までに、大阪高裁で成立した。

和解条項によると、和解金を7400万円と算定。このうち産科医療補償制度に基づき既に支払われた補償金を差し引いた5840万円を医院側が夫婦に支払う他、障害を負った事実を厳粛に受け止め遺憾の意を表し、夫婦も医院側を刑事告訴しないなどの内容が盛り込まれた。和解は昨年12月7日付。

原告側の請求を棄却した昨年3月の一審京都地裁判決によると、同医院の医師は2011年4月、無痛分娩を行うため母親に硬膜外麻酔をし、子宮収縮剤を投与。長女は帝王切開で生まれたが脳性まひなどの障害を負い、3歳だった14年に急性呼吸不全で亡くなった。

一審判決は、分娩時の子宮収縮剤の過剰投与や、分娩監視装置の未装着など医師の過失を認定。一方、長女が脳性まひを負った点について、装置の記録がなく過失との因果関係の分析に限界があるとし「夫婦の憤りは察するに余りあるが、因果関係は不明と言わざるを得ない」としていた。」


KBS京都「無痛分娩ミス訴訟が和解」(2019年1月7日)は次のとおり報じました.


「無痛分娩で出産しようとした際、医師が適切な処置をせず、生まれた長女が脳性まひを負ったとして京都府の夫婦が京田辺市の産婦人科におよそ1億円の損害賠償を求めた訴訟の和解がきょうまでに大阪高裁で成立しました。去年3月の京都地裁の判決によりますと2011年4月、京田辺市の「ふるき産婦人科」の医師は無痛分娩のために母親に硬膜外麻酔をし、子宮収縮剤を投与、帝王切開で生まれた長女は脳性まひなどの障害を負い、3歳で亡くなりました。一審判決は子宮収縮剤の過剰投与など医師の過失を認めたものの、長女が障害を負った点との因果関係は不明として、夫婦の請求を棄却しました。先月7日付の大阪高裁での和解条項では和解金を7,400万円と算定し、このうち、産科医療補償制度に基づき、すでに支払われた補償金を差し引いた5,840万円を医院側が夫婦に支払うほか、障害を負った事実を厳粛に受け止め遺憾の意を表すとの内容が盛り込まれました。ふるき産婦人科に対しては別の2組の母子も無痛分娩や帝王切開の麻酔ミスを巡り、損害賠償を求める訴訟を起こしています。」


朝日新聞「「医師のずさんな管理排除を」無痛分娩で娘亡くした夫婦」(2019年1月7日)は次のとおり報じました.

「無痛分娩(ぶんべん)で医師が適切な処置を怠ったために長女が重い障害を負ったとして、京都府内に住む夫婦が「ふるき産婦人科」(同府京田辺市)と男性院長に約1億円の賠償を求めた訴訟が、大阪高裁で和解した。

 原告の夫婦は和解前に朝日新聞の取材に応じ、「お金で娘は帰ってこない。ただ医師に反省してほしいだけです」と語った。

 夫婦によると、妻は2010年8月に長女を妊娠。待ち望んでいた第1子で、生まれる前から「元気な子に育ってほしい」と思いを込めた名前を考えていた。周囲で評判が良かった遠くの病院に妊婦健診に通っていたが、自宅に近いふるき産婦人科に切り替えた。院長は健診の時から「血圧が高いから無痛がいい」と無痛分娩を勧めたという。

 一審判決によると、出産の日、妻は無痛分娩で異変が起きても決して苦情を言わないとする趣旨の承諾書で無痛分娩に同意したが、リスクの有無などについて説明を受けなかった。

 麻酔薬と陣痛促進剤の投与を受け、4回にわたる吸引分娩でも出産できずに帝王切開に。
 ようやく生まれた長女の産声は聞こえなかった。搬送先の病院で会った時は保育器の中で、何本もの管につながれていた。「なぜこんなことになってしまったのか。涙が止まらなかった」と妻は話す。

 退院後は家族で24時間介護を続けたが、長女は自分の意思で手足を動かすこともできないまま亡くなった。

 提訴に踏み切ったのは長女の身に何が起きたのかを知りたかったからだ。言葉を話すことはなかったが、家族の顔を見ると笑顔を見せ、大好きなアンパンマンの音楽に反応して手足をバタバタさせた。夫婦は「無痛分娩自体は悪くない。ずさんな管理をする医師をきちんと排除できる仕組みをつくってほしい」と訴えた。(大貫聡子)」


報道の件は,私が担当した事件ではありません.(私が担当たのは神戸と大阪の無痛分娩事故です.)
医療過誤訴訟で因果関係は重要な争点になります,京都地裁の判決は疑問の多いものでしたので,高裁で和解が成立してよかったと思います.




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by medical-law | 2019-01-07 20:31 | 無痛分娩事故

第122回産科麻酔学会学術集会サテライト企画市民公開講座(神戸)

神戸新聞「無痛分娩、利点とリスク確認を 神戸で講座」(2018年10月20日)は次のとおり報じました.

 「日本産科麻酔学会学術集会はこのほど、出産時の痛みを麻酔で和らげる無痛分娩(べん)をテーマにした市民公開講座を神戸市中央区の神戸国際会館で開催した。無痛分娩を巡る医療事故が起きていることを踏まえ、産科医と麻酔医の両資格を持つ入駒慎吾会長らが「医療を受ける側も正しい知識を身に付けることが、危険を遠ざけることにつながる」と呼び掛けた。

 無痛分娩は麻酔を使って出産時の痛みを感じにくくする方法。背中の脊髄神経に近い硬膜外腔という部分に局所麻酔薬を投与する「硬膜外麻酔」が主に用いられる。

 公開講座では入駒医師が利点とともに、陣痛促進剤の使用量増加や合併症が起こる可能性などを紹介。合併症の主な要因として麻酔薬の誤注入について取り上げた。

 血管内に誤って麻酔薬が入って起きる局所麻酔中毒は、呼吸や心臓が止まる危険性があるが「薬を薄めて使用すれば、致死的な症状を回避する方向には近づけられる」と説明した。
 また、硬膜外腔より中心にあるくも膜下に薬が入った際に起きる全脊髄くも膜下麻酔は、脳に麻酔が効くため、呼吸停止などを引き起こし、低酸素脳症を発症することもある。入駒医師は「患者さんがこのような状態になっても対応できるよう(医師が)トレーニングをし、異変を発見したら人工呼吸で対応できるようにすれば、命を失うことはなくなるはず」と話した。

 その上で、受講した妊婦らに対し、「自分の受ける医療行為を正しく知り、(医師に)一つずつ確認していくことで、危険から遠ざかることができる」と語り掛けた。

 このほか、聖隷浜松病院の山下亜貴子医師が登壇し、無痛分娩が日本で普及しにくい理由を、海外に比べて出産施設が分散し、産科医の負担が大きいことや、「おなかを痛めるのが母性」などの意見が背景にあると指摘。「無痛分娩で(痛みという)精神的な負担は減り、疲労感は少なくなる」とした。(篠原拓真)」


第122回産科麻酔学会学術集会サテライト企画市民公開講座は浜松でも9月に開催されました.
第122回産科麻酔学会学術集会は11月23日に浜松で開催されます.


谷直樹

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by medical-law | 2018-10-23 07:53 | 無痛分娩事故

陣痛促進剤の添付文書改訂見送り

読売新聞「無痛分娩の陣痛促進剤 安全対策を盛り込む添付文書改訂が見送りに…産婦人科医が反対」(2018年8月30日)は,次のとおり報じました.

 
「無痛 分娩 の多くで使われている陣痛促進剤について、厚生労働省の有識者会議は28日、安全対策として厚労省側が提案した添付文書(薬の医師向け説明書)の改訂を見送った。参考人として出席した産婦人科医の強い反対があり、合意に至らなかった。

 無痛分娩は、麻酔をかけて痛みを弱める出産方法。産後の疲労を軽減するメリットがあり、人気が高まっている。無痛分娩が普及した米国などと違い、国内の無痛分娩は人工的に陣痛を起こす計画分娩が主流で、陣痛促進剤が使われることが多い。2017年に無痛分娩を巡る重大事故が相次いで発覚したが、厚労省研究班の報告によると、無痛分娩をした妊産婦の死亡14例のうち13例で陣痛促進剤が使われていた。

 この日、開かれたのは、厚労相の諮問機関である薬事・食品衛生審議会に設けられた安全対策調査会。薬の安全性について有識者が話し合う。 

 会議の場で、厚労省は、2015~17年度の3年間に、無痛分娩で使った陣痛促進剤による副作用の疑いが報告されたケースの調査結果を発表した。報告は29例あったが、情報不足で因果関係の評価が困難だったため、厚労省は、「現時点での新たな注意喚起に合理的な理由はない」とした。ただし、麻酔をかけた状態で陣痛促進剤を使うと、副作用で異常に強い陣痛(過強陣痛)が起きていてもわかりにくく、対応が遅れる恐れがある。そのため厚労省は、添付文書にある、過強陣痛の防止策を示した警告欄の一文を修正し、無痛分娩時にも十分な監視を促す内容の改訂案を提示した。

 これに対し、参考人として出席した研究班代表の海野信也・北里大学病院長は、「合理的な根拠がわからない」とし、今後、さらにデータを蓄積する必要性を指摘した。もう一人の参考人の石渡勇・日本産婦人科医会副会長も「無痛分娩は怖いという印象を与えかねない」などと強く反対した。委員の中には、厚労省案に賛成する声のほか、書き方の工夫で対応してはどうかという意見もあったが合意できず、改訂見送りが決まった。

 無痛分娩で使われる陣痛促進剤に対しては、出産事故の被害者らでつくる「陣痛促進剤による被害を考える会」が今年3月、慎重に使うよう添付文書の改訂を求める要望書を厚労省に提出していた。同会の出元明美代表は「医師らがしっかり監視していればよいが、そうでないケースで重大な事故が起きている。広く注意を促せるせっかくの機会が生かされず、信じられない結果だ」と話している。」


陣痛促進剤の添付文書を無痛分娩時にも十分な監視を促す内容の改訂案とのことですが,そもそも陣痛促進剤使用の有無にかかわらず無痛分娩時には十分な監視が必要です.
無痛分娩の安全策は,陣痛促進剤に絡めるのではなく,正面から無痛分娩の問題として取り組むべきと思います.
無痛分娩は,(1)血管内へのカテーテル迷入,(2)くも膜下腔への局所麻酔薬の誤投与がとくに問題で,これらを完全に防止することはできませんが,①局所麻酔薬の少量分割投与,②投与後の厳重な観察,③呼吸循環動態の安定をはかりつつ応援を呼ぶことにより重大な結果が生じることを回避できます.実際に起きた無痛分娩事故は,これらを怠ったために起きています.無痛分娩における医療過誤は,局所麻酔約薬の連続的投与を行った例,観察を怠った例,呼吸循環動態を安定させつつ応援を呼ぶことを怠った例などであり,そのために重大な結果が生じています.
陣痛促進剤の副作用というのは違うのではないか,と思います.また,陣痛促進剤によって症状が分かりにくかったというのは言い訳にすぎません.陣痛促進剤を使用していても,無痛分娩に通常求められる観察を行っていれば,(1)血管内へのカテーテル迷入,(2)くも膜下腔への局所麻酔薬の誤投与は,観察すれば分かります.

谷直樹

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by medical-law | 2018-09-05 05:02 | 無痛分娩事故

名古屋市立大病院がセンター長に埼玉医科大産科麻酔科の医師を迎えて無痛分娩を実施

名古屋市立大病院では,埼玉医科大産科麻酔科から医師を迎えて無痛分娩を実施する拠点をつくるとのことです.無痛分娩を希望する妊産婦が年々増えていますので,安全に無痛分娩を実施できる体制を作っていただきたく思います.

中日新聞「名古屋市立大病院に無痛分娩拠点 9月新設、年内にも実施」(2018年8月30日)は,次のとおり報じました.

「名古屋市立大病院(同市瑞穂区)が、出産時の痛みを麻酔で和らげる無痛分娩(ぶんべん)の実施と人材育成を担う「無痛分娩センター」(仮称)を9月に新設することが分かった。外部から産科麻酔の専門医をトップに招き、年内にも無痛分娩を始める方針。産科、麻酔ともに精通した医師が担う方式は中部地方では珍しい。

 国内で無痛分娩の出産は全体の6%程度にすぎず、対応する医療機関も一部のクリニックなどに限られている。近年、母子が死亡するといった事故が報告されているが、厚生労働省の研究班は今年3月に「他のお産と比べ、リスクに大差はない」と指摘している。

 名市大病院ではこれまで心臓の持病がある人などに無痛分娩を限定していた。だが、鎮痛効果が高く、産後の回復が早いとの理由でニーズは高まっており、安全性を確保した上での本格的な実施を模索してきた。

 関係者によると、センター長に就任するのは、現埼玉医科大産科麻酔科の田中基(もとし)医師(52)。無痛分娩は麻酔の投与が長時間にわたるほか、薬の量やタイミングを調整するなど高い技術が必要とされる。センターでは田中医師が投与などを担う見通しで、同病院の産科医らに実技指導し、無痛分娩を担う人材の育成も進める。将来的には、24時間365日の対応ができる体制整備を目指す。

 同病院での分娩は年間500件程度。無痛分娩は数十件になると見込んでいる。」



谷直樹

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by medical-law | 2018-09-05 04:55 | 無痛分娩事故

厚生労働省のウェブサイトに掲載を希望した無痛分娩取扱施設の 一覧(平成 30 年 6 月 15日時点)

厚生労働省のウェブサイトで,掲載を希望した無痛分娩取扱施設の 一覧(平成 30 年 6 月 15日時点)を見ることができます.

読売新聞「無痛分娩 全件数の14%、「常勤医1人」4割…公表同意268施設」(2018年6月16日)は,次のとおり報じました.

「出産の痛みを麻酔で和らげる無痛 分娩 の全国調査をしていた厚生労働省は15日、無痛分娩を手がける医療機関の実施状況を公表した。公表に応じた268施設のうち、常勤医が1人の施設は107と4割を占めていた。全分娩件数のうち、無痛分娩は14%だった。

 無痛分娩は、出産の疲労を軽くする利点があり、希望者が増えている。昨年、無痛分娩を巡る重大事故が相次いで発覚し、多くが体制の手薄な診療所での出産だった。

 調査は4~5月、分娩を扱う約2500施設を対象に実施。回答のあった39道府県の医療機関のうち、公表に同意した268施設について、医療機関名と連絡先、医師数、昨年1年間の実施件数などをリスト化し同省のサイトに掲載した。

 それをもとに読売新聞が集計したところ、全分娩件数は13万2323件で、うち無痛分娩は1万8296件と13.8%を占めた。

 全分娩のうち無痛分娩が半数を超える施設が16あり、8割超というところも5施設あった。この16施設のうち7施設は、1人の医師が出産と麻酔を兼務しているとみられる。

 福井、高知、佐賀の3県は公表に応じた施設がなかった。東京など都市部は回答が間に合わず現時点では未掲載のため、今後、公表施設数は増える見通しだ。」


谷直樹

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by medical-law | 2018-06-17 12:01 | 無痛分娩事故

厚生労働省通知,無痛分娩の安全な提供体制の構築について

厚生労働省は,平成 30 年4月 20 日,「無痛分娩の安全な提供体制の構築について」(医政総発 0420 第3号 医政地発 0420 第1号)を発し, 提言の周知徹底及び自主点検表の活用を求めました.

「無痛分娩については、複数の死亡事案が発生したことを受け、平成 29 年度厚生労働行政推進調査事業費補助金(厚生労働科学特別研究事業)による「無痛分娩の実態把握及び安全管理体制の構築についての研究」(研究代表者:海野信也北里大学病院長)において、その実態把握と安全を確保する仕組みの検討を行い、平成30 年3月に、「無痛分娩の安全な提供体制の構築に関する提言」(以下「提言」という。)が、別添1のとおり取りまとめられた。また、厚生労働省において、提言を基に、別添2の「無痛分娩取扱施設のための、「無痛分娩の安全な提供体制の構築に関する提言」に基づく自主点検表」(以下「自主点検表」という。)を作成した。このため、下記について御了知の上、貴管下の分娩を取り扱う病院又は診療所(以下「分娩取扱施設」という。)の他、関係機関に対して、提言の周知徹底及び自主点検表の活用につき周知方お願いする。



1.安全な無痛分娩を提供するために必要な診療体制に関する提言について
無痛分娩を取り扱う病院又は診療所(以下「無痛分娩取扱施設」という。)は、「産婦人科診療ガイドライン産科編」(編集及び監修 日本産科婦人科学会及び日本産婦人科医会)を踏まえ、個々の妊産婦の状況に応じた適切な対応をとるとともに、提言の別紙「安全な無痛分娩を提供するために必要な診療体制」に記載されたインフォームド・コンセントの実施、安全な人員体制の整備、安全管理対策の実施並びに設備及び医療機器の配備が求められている。貴職においては、無痛分娩取扱施設に対し、提言で求められている体制の整備が徹底されるよう、周知をお願いするとともに、医療法(昭和 23年法律第205号)第25 条第1項の規定に基づく立入検査の際に、提言及び自主点検表を参考に、診療体制の確保について確認し、必要に応じて助言するようお願いする。

2.無痛分娩に係る医療スタッフの研修体制の整備に関する提言について
無痛分娩に関する関係学会及び関係団体は、安全な無痛分娩の提供体制を構築するため、無痛分娩に関わる医療スタッフに対する「無痛分娩の安全な診療のための講習会」の定期的な開催、「産科麻酔研修プログラム(仮称)」の策定及び専門施設における実技研修体制の整備等を行うこととしている。
講習会の開催予定や具体的な研修体制等については、詳細が定まり次第、追って周知する。

3.無痛分娩の提供体制に関する情報公開の促進のための提言について
現在、妊婦及びその家族に対して無痛分娩に関する必要な情報を分かりやすく提供することを目的として、日本産科麻酔学会ウェブサイトにおいて「無痛分娩Q&A」(※)が公表されており、貴職においては、妊婦やその家族、分娩取扱施設及び関係機関に対する周知をお願いする。
さらに、こうした既存の情報提供に加えて、無痛分娩取扱施設は、自施設の無痛分娩の診療体制等に関する情報を各施設のウェブサイト等で公開することが求められている。貴職においては、無痛分娩取扱施設が、各施設の診療体制等についてウェブサイト等において情報公開を行うよう、周知をお願いする。なお、ウェブサイトについては、平成 30 年6月以降は医療法上の広告規制の対象となるため、虚偽・誇大広告に該当すると認められた場合には、適切に指導されたい。違法な広告を行った施設に対しては、医療法(昭和 23 年法律第205号)第6条の8の規定に基づく命令等を通じて、各施設のウェブサイトが適切に運用されるようお願いする。
また、提言において、関係学会及び関係団体は、今後、情報公開を行う無痛分娩取扱施設を取りまとめたリストを作成し、ウェブサイト上で公開することが求められている。当該リストの公開等については、詳細が定まり次第、追って周知する。
(※)
http://www.jsoap.com/pompier_painless.html

4.無痛分娩の安全性向上のためのインシデント・アクシデントの収集・分析・共有に関する提言について
(1) 分娩取扱施設からの情報収集について
従前より、日本産婦人科医会による偶発事例報告事業や妊産婦死亡報告事業を通じて、分娩取扱施設におけるインシデント・アクシデントに関する情報収集が実施されている。貴職においては、分娩取扱施設に対し、当該事業の報告対象となる事例が発生した場合には、速やかに地域の産婦人科医会へ報告するよう、周知をお願いする。
(2) 患者及び家族からの有害事象の相談について
従前より、患者及び家族からの医療に関する相談窓口としての役割は、医療安全支援センター(以下「センター」という。)が担ってきた。センターを所管する地方自治体においては、無痛分娩に関連する有害事象等の相談を受けた際に地域の実情に応じて適切に対応するために、あらかじめセンターと地域の医師会及び産婦人科医会との連携体制の構築を図るよう、お願いする。例えば、センターにおいては、無痛分娩に関連する有害事象等の相談を受けた際に、地域の医師会の窓口を紹介し、特に再発防止の分析に資する症例については、地域の医師会が地域の産婦人科医会へ報告する等の対応が考えられる。
(3) 都道府県の周産期医療協議会について
各都道府県においては、「周産期医療協議会における協議の徹底について」(平成29 年1月17 日付け厚生労働省医政局地域医療計画課救急・周産期医療等対策室事務連絡)により、周産期医療協議会において、母体死亡事例や重篤事例等に関する検証と再発防止等に関する協議を徹底するようお願いしてきた。貴職においては、本提言を踏まえ、母体死亡事例等が生じた場合に、再発防止等に向けて、周産期搬送や救急医療との連携等の
医療提供体制に関して、同協議会における協議の徹底に努めるとともに、地域の医師会、産婦人科医会及びセンター等に寄せられた相談内容についても、同協議会において安全な分娩体制の確保に資するような検討が行われるよう併せてお願いする。」


谷直樹

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by medical-law | 2018-05-02 13:09 | 無痛分娩事故