弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

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第2回医療事故に係る調査の仕組み等のあり方に関する検討部会

第2回医療事故に係る調査の仕組み等のあり方に関する検討部会_b0206085_10532675.jpg

◆ ヒアリング

「第2回医療事故に係る調査の仕組み等のあり方に関する検討部会」が,2012年3月29日,開催され,日本医師会の高杉敬久常任理事と日本医療法人協会の伊藤伸一副会長からのヒアリングが行われました.高杉敬久常任理事と伊藤伸一副会長は,それぞれ,日本医師会の「事故調査制度に関する提言」,日本医療法人協会の提案する事故調査制度を,説明しました.

◆ 意見交換

加藤良夫委員(南山大大学院教授)は,「医療の質向上や医療安全のために事故調査が必要というのは、共通認識と受け止めた」と述べました.

山口育子委員(NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長)は,「患者の話を聞くと、まずは院内での説明。そこで納得いかない場合に、どこに行くかということ。次は第三者機関をどうするかを骨子に議論すべき」よ述べました.

豊田郁子委員(医療事故被害者遺族)は,「院内事故調に比重を置くのか、第三者機関をしっかりつくるのかはまだ(意見が)統一されていない。次回以降の議論では、患者が何を求めているかを取り入れてほしい」と述べました.

キャリアブレイン「医療事故調、第三者機関の位置付けが焦点に- 厚労省検討部会」ご参照

◆ 感想

医療提供者側の中には,第三者をいれることに対する消極姿勢,警戒感があるようですが,患者側をはじめ事故関係者の理解を得るためには,公正性,透明性を確保する必要があります.そのためには,第三者機関が重要と思います.

谷直樹
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by medical-law | 2012-03-31 21:28 | 医療事故・医療裁判

新型インフル特措法案が衆議院を通過,参議院へ

新型インフル特措法案が衆議院を通過,参議院へ_b0206085_1125083.jpg新型インフル特措法案は,民主党と自民党が一致しているので,日弁連,薬害オンブズパースン会議,日本ペンクラブなどの反対にもかかわらす,あっさり成立してしまいそうな危険な状況にあります.

NHK「新型インフル特措法案 衆院可決」(2012年3月30日)は,次のとおり報じています.

「毒性と感染力の強い新型インフルエンザが大流行した際、国が「緊急事態」を宣言し、予防接種の対象者を定めることなどを盛り込んだ特別措置法案が、30日の衆議院本会議で賛成多数で可決され、参議院に送られました。

この法案は、毒性と感染力の強い新型インフルエンザの流行に備えた国や地方自治体の取り組みなどを定めるものです。
法案では、新型インフルエンザが実際に発生した際には、国は対策本部を設置し、国民生活や経済に重大な影響を与えるおそれがある場合」は、「緊急事態」を宣言するとしています。
また、対策本部が予防接種の対象者や接種の優先順位などを決めるほか、都道府県知事が強制的に学校を休校にしたり、集会や催し物の開催を制限できるとしています。
この法案は、30日の衆議院本会議で採決され、最新の科学的な知見を踏まえ、被害想定が過大にならないようにするなどとした付帯決議をつけたうえで、民主党や自民党などの賛成多数で可決され、参議院に送られました。
政府は、新型インフルエンザが大流行した際に、すべての国民が予防接種を受けることができる体制の整備を盛り込んだ「行動計画」をすでにまとめていて、法案の成立後、平成25年度中に、全国民に行き渡る量のワクチンを製造できる体制の確立を目指すことにしています。」

msn産経「新型インフル特措法案 最悪想定 人権制限どこまで」(2012年.3月29日)は,次のとおり問題点を指摘しています.

 「新型インフルエンザに対する危機管理の取り組みを定めた「新型インフルエンザ対策特別措置法案」が国会に提出されている。新型インフルなどが大流行した場合、その影響を最小限に抑えることが狙いで、危機管理上、住民の行動制限なども要請できることになるが、ここに来て、日本弁護士連合会(日弁連)などから「人権が過剰に制限されている」などとして反対の声が上がった。「危機管理」と「人権制限」をどう考えればいいのか。

 法案によると、政府は新型インフルエンザや新型の感染症が発生し、国民の生命や健康に深刻な被害を与える恐れがあるときには、首相が区域や期間を定めて「緊急事態」を宣言。外出の自粛や休校、人の集まる施設を使わないなど、住民の行動制限の要請や指示ができる。

 ■命令違反に罰則

 必要な医薬品や食品などを確保するための保管命令に業者が従わなかった場合などは30万円以下の罰金など罰則規定も設けた。

 これに対し「法案は危険だ」との声を上げたのが、日弁連だ。22日には反対する会長声明を出した。特に問題視しているのは、感染防止のために強いられる人権制限が過大である点だ。

厚労省は、新型インフルで考え得る最悪の被害を、大正7(1918)~8年に流行したスペイン風邪並みの致死率2%で計算し64万人が死亡する可能性があると想定。特措法もこの想定を念頭に置いて作られた。

 しかし、日弁連は「当時と現在では国民の健康状態、衛生状態や医療環境の違いは歴然としている」と指摘。科学的根拠のない過大な被害想定に基づき、集会の自由が制限され、制限の適用要件も曖昧などと批判する。

 感染症の専門家はどのように捉えているのか。

 「確かにスペイン風邪の時代に比べれば、衛生状況や薬、ワクチンが良くなっている側面はある」。国立感染症研究所の岡部信彦・感染症情報センター長は、被害想定が過大とする批判に一定の理解を示す一方、「当時に比べ、逆に人口密度は高くなり、交通機関の発達などで人の移動も活発になるなど不確定要素も多く出てきた」と指摘。「新しいものを想定するときには学問的根拠だけで全てを議論できない。実際に過去に被害があったなら、その被害に備えなければいけないだろう」としている。

 国立成育医療研究センターの加藤達夫総長も「海外でも同様の措置を講じている。国家が危機管理をする際、最大限の被害想定をしないのは無責任。“備えあれば憂いなし”でいいと思う」と話す。

■“水際”必要?

 一方で、対策そのものに問題があるとする関係者もいる。特に批判が多いのは海外からのウイルス持ち込みを防ぐ目的で行われる、空港での“水際作戦”だ。

 亀田総合病院(千葉県鴨川市)の小松秀樹副院長は「21年の新型インフルで行われた水際作戦では、8人の患者を発見する間に100人がすり抜けたという計算もある」と指摘。その上で「政府は『ウイルスの国内侵入を遅らせる』とするが、遅らせることもできない上、医療側が疲弊して疾病対応能力を奪ってしまう」として、より医療現場に即したルール作成を行うべきだと訴える。

 これに対し、法案をまとめた内閣官房新型インフルエンザ等対策室は「ウイルスが入り込むのを完全に防げるとは思わないが、蔓延(まんえん)のスピードを少しでも遅らせ、対策を取る時間を稼ぐ意味がある」と説明。「あくまでも初期段階の対応。合理性がなくなれば措置を縮小する」としている。(豊吉広英)

 ■新型インフルエンザ 
 鳥類や豚など動物のインフルエンザウイルスが変異し、人から人への感染拡大が可能になって起こるとされる。ほとんどの人が免疫を持たないために、爆発的に拡大し、パンデミック(世界的大流行)を起こす可能性がある。2009(平成21)年4月に豚由来といわれた新型インフルエンザが米国やメキシコで最初に確認され、瞬く間に世界的大流行となった。」


日本ペンクラブの「「新型インフルエンザ特措法」に反対する緊急声明」は,次のとおりです.

「政府は「新型インフルエンザ等対策特別措置法」を三月六日に閣議決定し、今国会での成立をめざしています。
 しかし、その内容は、感染症対策に名を借り、国民の基本的人権、移動や集会の自由、言論・表現の自由を一方的に制限するなど、あまりに重大な問題を含んでいます。要綱段階で出された反対意見を踏まえ、法案では一部文言の修正がはかられましたが、法案が有する問題点はまったく解消されていません。
 例えば、同法案は、世界保健機関(WHO)が新型インフルエンザの流行を確認した場合、首相が緊急事態宣言を発することができるとし、都道府県知事に対して、住民の外出制限、公共・商業施設の使用制限、集会等の中止を求める権限を与えています。さらに、住民に対して強制的な予防接種も行えるとしています。
 これは、事実上、超法規的な戒厳令であるにもかかわらず、この発動の要件は政令で定めるとされており、厚生労働省の一部の決定のみで私たちの生存と権利と自由を制限することを可能としています。
 新型インフルエンザへの対応は不可欠ですが、誰もが当事者となりうる事態に冷静に対処するためには、危険性の実態や進行の段階、その対処の仕方など、確実で透明性の高い情報の公開が必要であることは、先の福島第一原発事故の教訓であったはずです。その際に見せた〈政〉と〈官〉の不手際を検証もせず、いたずらに危機感をあおり、危機管理対策のみを突出させた本法案を制定することは、新型インフルエンザの対策にならないばかりか、民主主義の諸原理を蹂躙するものと言わざるを得ません。
 日本ペンクラブは、政府がこの法案を撤回し、国民が新型インフルエンザ対策として熟議し、合意形成できる内容に根本的に改めるよう、強く要望します。
  
ニ〇一ニ年三月三〇日
日本ペンクラブ会長 浅田次郎」


谷直樹
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by medical-law | 2012-03-31 02:50 | 医療

山形刑務所で昨年投薬ミス注意5件,ただし国家公務員法の懲戒処分ではないとして非公表

山形刑務所で昨年投薬ミス注意5件,ただし国家公務員法の懲戒処分ではないとして非公表_b0206085_1111579.jpg読売新聞 「投薬ミス 昨年また5件 山形刑務所 06~10年にも11件 問われる体質」(2012年3月30日)は,次のとおり報じています.

「山形刑務所(山形市)で昨年、受刑者らに間違った薬を渡すなどしたとして、職員が注意処分を受けたケースが計5件あったことが29日、わかった。

 同刑務所では昨年4月、受刑者らへの誤投薬が続発していた事実が発覚したが、依然として同じミスが繰り返されている。

 同刑務所などによると、就寝前の投薬時、薬袋に書かれている呼称番号や居室をよく確認しなかったため、間違って別の受刑者の薬を渡した誤投薬があった。また、受刑者から就寝前の薬服用の申し出を受けた職員が、薬袋の表示を確認しなかったため、間違って朝食後に服用する薬を投与した事例もあった。

 同様に確認を怠り、昼食後用の薬を渡すべき受刑者に対して、翌日の朝食後用の薬を投与したケースもあった。

 誤飲した受刑者や刑事被告人に目立った健康被害は確認されておらず、誤投薬をした職員は、いずれも注意処分を受けたという。

 同刑務所を巡っては、2008年~10年に計9件の誤投薬があったことが、昨年4月に発覚した。

 その後、読売新聞が調べたところ、06年と08年に新たに1件ずつの誤投薬があったことも判明した。ほぼ毎年のように確認されているが、いずれも注意処分で、同刑務所は「国家公務員法の懲戒処分ではない」として、公表していない。

 同刑務所の斎藤幸治総務部長は取材に対し、誤投薬の事実を認め、「間違った原因を分析して、職員の研修を行い、再発防止に努めていきたい」としている。

 法務省は、山口刑務所(山口市)や岩国刑務所(山口県岩国市)で職員による薬の配布ミスが相次いで発覚した04年、全国の矯正施設に対し、投薬ミスの再発防止に努めるように書面で通知。具体的には、「薬を入れる包装紙の色分け」「投薬時に本人確認を徹底する」「受刑者らに異変があれば、速やかに医療関係職員らに報告する」などを指示している。

 被収容者の人権問題などに取り組むNPO法人「監獄人権センター」(東京都)の事務局長を務める田鎖麻衣子弁護士は「誤投薬が繰り返されているのは、薬局や病院では考えられず、被収容者に対する意識の低さの表れだ」と厳しく指摘する。」


具体的な健康被害が生じなかったからよいというものではありません.
受刑者に対し適切な医療をしようとしない姿勢が,時折表面化する,刑務所における医療事故と通底するものと思います.

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by medical-law | 2012-03-31 02:25 | 医療

横浜簡裁,麻酔器の酸素供給管が外れ低酸素脳症となった事故で,略式不相当

横浜簡裁,麻酔器の酸素供給管が外れ低酸素脳症となった事故で,略式不相当_b0206085_11484041.jpg神奈川新聞「県立がんセンターの医療事故、正式裁判へ、医師の「略式不相当」/神奈川」(2012年3月30日)は,次のとおり報じています.

「県立がんセンター(横浜市旭区中尾)で2008年、手術中に麻酔器の酸素供給管が外れ、女性患者が意識不明の重体となった医療事故で、横浜区検は30日、業務上過失傷害の罪で麻酔担当の男性医師(42)を略式起訴したが、横浜簡裁(岩田和壽裁判官)は同日、「略式不相当」と判断した。今後、医師は正式な裁判で審理される。

 起訴状によると、医師は08年4月16日、乳がん治療で乳房部分切除などの手術を行うに当たり、女性患者=当時(44)=に全身麻酔を施した後、患者の状態を注視しなければいけない立場にありながら怠り、手術室を退室。麻酔器の酸素供給の管が患者から外れたにもかかわらずその状態を18分間放置し、女性を低酸素脳症に陥らせ、完治不能の高次脳機能障害と四肢不全麻痺(まひ)の傷害を負わせた、とされる。

 同事故をめぐっては、11年1月、県警が医師と、手術全体を統括していた男性執刀医(39)の2人を業務上過失傷害の疑いで書類送検していた。区検は、執刀医については「嫌疑不十分」として不起訴処分とした。」


この麻酔医は,同時並行で複数の患者の麻酔を行っていたので,麻酔後に手術室を長時間離れていました.酸素の管が外れたのですが,執刀医はそのことに気づかず,患者は低酸素状態が続いたために,重度の障害を負いました.この結果が重大なので,略式不相当,という判断になったのだと思います.

しかし,本件は,神奈川県立がんセンターの麻酔医が不足し,過重な仕事をさせていることが背景にあっておきた事故です.検察官と刑事裁判官は,京都大学エタノール事件がそうであったように,表層的にしか事件を見ていないことがあるように思います.

本件刑事手続きでは,麻酔医の責任のみが問われているのですが,私は,麻酔医一人の責任とするのは適切ではないと思います.麻酔医にこのような仕事をさせていた管理責任者等の責任を追及すべきであった,と思います.

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by medical-law | 2012-03-31 01:10 | 医療事故・医療裁判

平成24年3月26日横浜地裁判決,医学部教授に121万円の賠償を命じる

平成24年3月26日横浜地裁判決,医学部教授に121万円の賠償を命じる_b0206085_19432100.jpgスポニチ「横浜市大教授に賠償命令 学生に土下座させ暴行」(2012年3月26日)は,次のとおり報じています.

「○○大医学部の男子学生が50代の男性教授から「女子学生にストーカー行為をしている。おまえは犯罪者だ」などと罵倒されて土下座を命じられ、頭を足で踏み付けられたとして、330万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、横浜地裁は26日、教授に121万円の支払いを命じた。

 内田貴文裁判官は判決理由で「十分な裏付けをせずに一方的に犯罪者呼ばわりした上、暴行したのは悪質。落ち度のない学生が、教授という影響力のある立場の者から、退学などと罵倒された精神的打撃は甚大だったと推察される」と述べた。

 判決によると、教授は女子学生から嫌がらせの相談を受け、うわさ話から当時2年だった原告の学生がストーカー行為をしたと思い込み、2011年2月、他の学生がいる学期末試験会場で「おまえは犯罪者だ」などと発言。その後、教授室で学生を土下座させ、頭を踏み付けるなどした。

 男子学生はストーカー行為について事実無根で、精神的苦痛を受けたとして同3月、大学のハラスメント防止委員会に被害を申し出た。大学は同7月、教授を停職3カ月の懲戒処分にした。 」


教授は,横浜簡裁で,名誉毀損と暴行の罪で罰金50万円に処せられています.
121万円は安い気がしますが,今回の判決は,さらに停職3カ月の懲戒処分にされていることも考慮し,この程度の賠償額に減じているわけです.

教授が事実を確認しないで学生をストーカーと軽率に誤信したこと,教授が正規な手続きを践んでいないこと,教授の行為は本当のストーカーに対してでも違法な行為にあたることを考えれば,判決は当然と思います.

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by medical-law | 2012-03-31 00:41 | 司法

平成24年3月30日新潟地裁判決,1年後の内視鏡検査義務違反を認定(報道)

平成24年3月30日新潟地裁判決,1年後の内視鏡検査義務違反を認定(報道)_b0206085_1383989.jpg平成24年3月30日新潟地裁判決は,内視鏡検査で萎縮性胃炎など胃がんの発生しやすい状態だったことなどから,その1年後の内視鏡検査義務を認めました.

胃がんは,早期であればあるほど,まったく症状を呈さないものが多い疾患ですので,内視鏡検査(胃カメラ検査)が重要です.上部消化管のがんのクリーニングについては,定期的な上部消化管内視鏡を行うべきでしょう.

本件患者は定期的に大学病院に通院していたのに,同病院の医師は,2006年の内視鏡検査(萎縮性胃炎あり)以後,2009年4月のまで,一度も内視鏡検査を行わなかったのですから,注意義務違反は明らかと思います.

◆ 毎日新聞の報道

毎日新聞「○○大病院の内視鏡検査損賠訴訟:○○大に1635万円支払いを命じる--地裁判決 /新潟」(2012年3月30日)は,次のとおり報じています.


「○○病院で06年に内視鏡検査を受けてから約2年7カ月にわたり検査が行われなかったことから胃がんの発見が遅れ、胃の3分の2の切除を余儀なくされたとして、新潟市西区の男性(62)が同大に対して約1930万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が29日、新潟地裁であった。草野真人裁判長は、同大に約1635万円の支払いを命じた。

 草野裁判長は判決で、06年当時、胃がんは発見されなかったが、萎縮性胃炎など胃がんの発生しやすい状態だったことからすると「担当医は約1年後に内視鏡検査を行うなどして検査すべき義務があった」と指摘。その上で「07年に内視鏡検査をしていれば、胃がんを早期発見でき、3分の2を切除する必要はなかった」とした。

 院長は「主張が認められず残念。判決内容をよく見た上で関係部署と協議しながら対応したい」とコメントした。【川畑さおり】」


◆ 朝日新聞の報道

朝日新聞「「がん検査怠った」1635万円支払い命令」(2012年3月30日)は,次のとおり報じています.

「胃がんだったにもかかわらず、○○病院(新潟市)が検査を怠って胃の3分の2の切除を余儀なくされたとして、新潟市の60代男性が、病院を運営する○○大に約1930万円の損害賠償を求めた訴訟で、新潟地裁(草野真人裁判長)は29日、医師の注意義務違反を認め、大学に約1635万円の支払いを命じる判決を出した。


 男性は2006年9月に別の医院の内視鏡検査で胃がんの疑いと診断されたが、紹介を受けた○○病院の内視鏡検査では発見されなかった。その後、定期的に同病院に通院したが、09年4月の内視鏡検査で胃がんが発見されるまで一度も内視鏡検査をせず、発見時は内視鏡手術のみで対応できない状態だったという。」


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by medical-law | 2012-03-30 19:34 | 医療事故・医療裁判

必要な検査を行わず投薬も不適切だったため死亡したと,医療法人と岡山県などが訴えられる

必要な検査を行わず投薬も不適切だったため死亡したと,医療法人と岡山県などが訴えられる_b0206085_19365290.jpg山陽新聞「遺族が賠償求め病院や県提訴」(2012年3月30日)は次のとおり報じています.
 
「倉敷市の精神科病院○○病院(2月に経営譲渡、改称)で2010年1月、肺炎で死亡した男性=当時(64)=の遺族が、医師が適切な治療を行わず、県が指導監督を怠ったことが死亡につながったとして、病院を経営していた医療法人や県などに1100万円の損害賠償を求めて29日、岡山地裁に提訴した。

 訴状によると、男性は当時の院長=11年9月に86歳で死亡=に精神疾患と診断され、09年11月から入院。肺炎を発症した男性に対し、胸部レントゲン撮影など必要な検査を行わず投薬も適切でなかった上、自院では肺炎の治療が難しいのに他院へ搬送しなかった、としている。

 県は07年ごろから同病院への監査体制を強化するなど、入院患者への不適切な処遇を把握していながら、精神保健福祉法に基づく改善命令によって入院制限措置を取る義務を怠った、としている。

 遺族は「発症後早い段階で、適切な治療や強い行政指導が行われていれば、死亡することはなかった」と主張している。

 ○○病院を経営していた医療法人は「コメントできない」、県は「訴状を見ておらずコメントできない」としている。」


○○病院は,カルテが不備であったり,人権侵害と思われる行為が行われていたと指摘された病院です.
カルテが不備なことなどから患者側の立証のハードルは高いでしょうが,この病院ならさもありなんと思われなくもない経過ですし,改善命令がもっと早くに行われていたら,とも思います.判決を注目したいと思います.

また,行政には,このような疑いのある病院への監督と早期の指導をお願いしたい,と思います.

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by medical-law | 2012-03-30 09:56 | 医療事故・医療裁判

合衆国最高裁判所が医療保険制度改革法に違憲判断を下す,と予測されています

合衆国最高裁判所が医療保険制度改革法に違憲判断を下す,と予測されています_b0206085_11324044.jpg合衆国最高裁判所(USSC,United States Supreme Court)は,医療保険制度改革法を違憲と判断するとみられています.
USSCは,Chief Justiceと8人のAssociate Justicesで構成されますが,現在,共和党の大統領が指名した判事が5人,民主党の大統領が指名した判事が4人で,勢力が拮抗しています.

ロナルド・レーガン大統領が指名したアンソニー・M・ケネディ(Anthony M. Kennedy)判事は,ときに,民主党が指名した判事らに同調することがあり,中間派としてキャスティング・ヴォートを握ることが多くなっています.

そのアンソニー・M・ケネディ判事は,医療保険制度改革法を違憲と考えている,とみられていますので,USSCは5対4で医療保険制度改革法を違憲と判断する,と観測されています.

そうしますと,民主党大統領が指名したユダヤ系の女性判事らが少数意見を書くことになるでしょう.
違憲判決は,オバマ大統領の医療改革に大きな影響を及ぼすでしょう.

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by medical-law | 2012-03-29 01:17 | 医療

山形地裁平成24年3月28日判決,心不全と心筋梗塞との因果関係なし,過失も否定

山形地裁平成24年3月28日判決,心不全と心筋梗塞との因果関係なし,過失も否定_b0206085_18205891.jpg
山形地裁平成24年3月13日判決,氷河期に突入した医療過誤訴訟」で,山形地裁(石栗正子裁判長)の,過失を認め因果関係を否定した判決とその問題点にふれましたが,今度は,過失も因果関係も否定した判決がでました.難しそうな事案でありますが,やはり,山形地裁は氷河期なのでしょう.

読売新聞「「医療過誤」訴訟で遺族側請求を棄却」(2012年3月28日)は,次のとおり報じています.

「2004年8月に新庄市の女性患者(当時77歳)が死亡したのは入院先の県立中央病院が適切な検査や治療を怠ったことなどが原因として、同病院を管理・運営する県を相手取り、女性の遺族が、慰謝料など約4400万円の損害賠償を求めた民事訴訟の判決が27日、山形地裁であった。石栗正子裁判長は「診療や治療方針に過失はない」として遺族側の請求を棄却した。

 判決によると、原告側が、「医師の判断で心筋梗塞の治療を行わなかったことで症状が悪化し、心不全を引き起こした」と主張した点について、「心不全の原因は多臓器不全によるものであり、心筋梗塞との因果関係はない」とし、遺族側の主張を退けた。

 原告側の弁護人は「大変残念。控訴は遺族と相談して決めたい」とした。」


毎日新聞「県立中央病院医療過誤訴訟:「過失認められない」 遺族の訴え棄却 /山形」(2012年3月28日)は,次のとおり報じています.

「県立中央病院に入院していた女性(当時77歳)が心筋梗塞(こうそく)の症状を見落とされて死亡したとして、遺族が県に約4400万円の損害賠償を求めた訴訟で、山形地裁(石栗正子裁判長)は27日、原告の請求を棄却した。

 判決によると、女性は04年5月、ぼうこうがんの治療のために入院したが、手術後にリンパ節などに転移が見つかった。6月に再入院して治療を続けたが、8月に死亡した。原告側は、女性が7月から心筋梗塞の症状である背中の痛みを訴えるなどしていたのに、担当医師が心筋梗塞の可能性を認識せずに適切な治療を怠ったと主張していた。県側は、女性の心不全は心筋梗塞に伴うものでなく、多臓器不全によるものだったとしていた。

 石栗裁判長は「(女性は)多臓器不全となり心不全を発症したもので医師に過失は認められない」と県側の主張を認め、原告の訴えを退けた。【安藤龍朗】」


【追記】

石栗正子判事は,2012年4月1日付で東京地裁に転任になりました.
後任には,東京高裁から石垣陽介判事が転任しました.

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by medical-law | 2012-03-28 21:39 | 医療事故・医療裁判

日本医師会,医療基本法草案を発表

日本医師会,医療基本法草案を発表_b0206085_1128162.jpg日本医師会は,2012年3月28日の定例会見で,医事法関係検討委員会の答申「「医療基本法」の制定に向けた具体的提言」を発表しました.13頁以下に医療基本法草案が付されています.是非,ご一読を!

注目は,「第4章 患者等の権利と責務」です.
17条から19条が患者の権利,20条から21条が患者の責務です.
医療被害の救済を受ける権利,苦情の解決を求める権利などはあげられていません.


「第17条(自己決定の権利)
① 患者は自ら受ける医療に関して、医療提供者からの十分な説明を受けたうえで、自ら主体的に判断し決定する権利を有する。
② 患者は前項の判断をする際に、必要に応じて、医療提供者もしくは他の医療提供者からの助言、意見を求めることができる。

第18条(診療情報の提供を受ける権利)
① 患者は、医療を受ける際には、自らの健康状態、治療内容等について、医療提供者から理解しやすい方法で十分な説明を受けることができる。
② 患者は、自らが受けた医療に関して作成された診療記録等の開示を、原則として医療提供者から受けることができる。

第19条(秘密およびプライバシーの保護)
患者は、自らが受ける医療の内容について、医療提供者その他の関係者の適切な配慮によって、みだりに他人に知られないよう保護される権利を有する。

第20条(診療に協力する義務)
① 患者およびその家族は、医療提供者が良質、安全かつ適切な医療を提供できるように協力しなければならない。
② 患者は、医療を受ける際には、医療提供者に対して、過去の病歴、薬歴、入院歴、家族の病歴、その他現在の健康状態に関係するすべての事項を含む十分な情報を提供するよう努めなければならない。
③ 患者は、医療を受ける際には、医師、医療提供者の療養上の指導に従い治療効果が高まるよう協力するとともに、受診時や療養生活全般、対価の支払い等について医療機関が定める諸規則を遵守し、他の患者の療養の妨げとなることのないよう努めなければならない。

第21条(秩序ある受療をする責務)
すべての国民は、医療が国民共通の社会的資産であることを理解し、具体的状況に応じて適切な方法で医療を受けるよう努めなければならない。」



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by medical-law | 2012-03-28 20:44 | 医療