弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

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長崎大学病院,ガーゼの体内残留医療事故を機に,再発防止策,各種マニュアルや手順等を再確認

b0206085_21265195.jpg長崎大学病院は,平成24年2月27日,そのサイトに,循環器内科のガーゼの体内残留医療事故について,以下のとおり掲載しました.

「【医療事故の内容】
平成23年8月,本院は内臓疾患のため入院していた長崎市在住の男性に対し,開腹手術を行いました。その後,心臓に不整脈が見られ,通常の生活が心配されることから,平成23年9月,左前胸部皮下にペースメーカーの埋め込み術を実施しました。
埋め込みから2か月間,数回にわたり傷口から出血及び分泌物が出てきたことから感染症予防の処置のため,いったんペースメーカーを摘出しました。その際,ペースメーカーを埋め込む時に止血用として使用したガーゼ1枚がペースメーカーの背下から発見されました。

【異物発見の経緯】
平成23年11月、本院において、ペースメーカーを摘出した際にガーゼ1枚がペースメーカーの背下から発見されました。
本院での診療記録を調査したところ、平成23年9月に本院でペースメーカーの埋め込み術を実施した際に使用したガーゼであることが分かりました。発見されたガーゼはX線に写らないものであり,ペースメーカー部分を撮影した単純X線検査では確認できませんでした。

【患者さんへの対応】
これらの事実につきまして,患者さん及びご家族にすべてを説明し,謝罪しました。
患者さんは一旦平成23年11月に退院され,その後,再入院して2度目の開腹手術を行い,退院されました。ペースメーカーの再挿入は症状経過を見ながら行うことにしています。

【再発防止について】
本院ではペースメーカーの挿入は,血管造影室で実施することがほとんどです。その際に,ガーゼを体内へ挿入する明確な手順が確立されていませんでした。
現在はガーゼを体内に入れて使用する場合には必ずガーゼの一部を見える状態で入れること,X線に写るガーゼを使用しX線検査で確認すること,ガーゼが残っていないかダブルチェックする項目を処置記録に作成することなどで,再発防止に努めています。
本院としましては,今回の医療事故を重大に受け止め,各種マニュアルや手順等の再確認を喚起するとともに,医療安全管理体制の一層の強化を図っていく所存であります。」


2012年でも,ガーゼの体内残留医療事故はおきています.
事故には,原因があります。
原因を調べ,再発を防止することが必要です.

長崎大学病院は,
1)必ずガーゼの一部を見える状態で入れること
2)X線に写るガーゼを使用しX線検査で確認すること
3)ガーゼが残っていないかダブルチェックする項目を処置記録に作成すること
という再発防止策をとりました.
さらに,各種マニュアルや手順等の再確認を喚起することになりました.

このような再発防止策により,医療安全が高められることを期待いたします.

谷直樹
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by medical-law | 2012-03-13 17:37 | 医療事故・医療裁判

産休明け

臨月1ヵ月,産後2ヵ月半お休みをいただいて,産休明けに,事務所に復帰しました.
ずいぶん依頼者も増え,事件もすすんでいて,仕事のペースに追い付くことで必死ですが,無事に復帰できて嬉しいです.

幸い妊娠経過も順調で,出産当日から完全母乳ですくすく育ち,安心して仕事に戻れました.
が,復帰早々,子供がRSウイルスに罹患し,仕事と入院の付添で,てんやわんやでした.
RSウイルスは,2歳までに100パーセントの子供が罹患すると言われる,どこにでもあるウイルスですが,6ヵ月未満の子供が罹患すると重症化しやすいとのことで,予防的に入院管理しました.苦しそうに咳き込む子供をみると,この子を守ってあげられるのは自分しかいない,と改めて自覚しました.

初めての育児で慣れないことばかりですが,健康管理に気を付けながら,子育てを楽しんで,仕事と両立していきたいと思います.

谷直樹
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by medical-law | 2012-03-13 14:11 | 日常

日弁連会長選挙,再投票は3月14日

b0206085_13231614.jpg平成24年度同25年度日本弁護士連合会会長選挙の再投票は明日3月14日です.
私の見通しは,「日弁連の会長選挙,再投票へ」に書いたとおりです.
会長選挙の投票率は62.28%と決して高くありませんでしたが(投票開票結果,とくに第一東京弁護士会と横浜弁護士会の投票率は50%を切っています.)重要な選挙ですので,再投票ではより高い投票率を期待いたします.

【追記】
投票結果は「日弁連会長選挙,再投票の結果,再選挙へ」ご参照

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by medical-law | 2012-03-13 13:17 | 弁護士会

日弁連,「生活保護における老齢加算廃止に関する最高裁判決に関する会長談話」

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日弁連は,2012年3月8日,最高裁第三小法廷平成24年2月28日判決を批判する会長談話を発表しました.

生活保護における老齢加算廃止に関する最高裁判決に関する会長談話」は,次のとおり述べています.

「本判決は、第一に、生活保護基準以下の生活を強いられている国民(とりわけ高齢者)が存在する事実に対して、この貧困を解決するのではなく、この貧困状態に合わせて生活保護基準を切り下げ、格差と貧困を拡大する政府の不当な政策を是認したものであり、第二に、老齢加算が果たしてきた重要な役割を何ら理解することなく、老齢加算が廃止されることで高齢保護受給者の生存権を侵害している実態から目を背け、行政の違憲・違法な措置を追認した不当なものである。

人権の最後の砦となるべき最高裁判所が、このような判決を下すことは、その職責を放棄したものといわざるを得ず、深い悲しみと憤りを禁じ得ない。

当連合会は、2006年の第49回人権擁護大会において、貧困の連鎖を断ち切り、全ての人の尊厳に値する生存を実現するために生活保護の切下げを止めることを求め、また、2008年11月18日付け「生活保護法改正要綱案」では、法改正に当たり民主的コントロールを受けないまま削減・廃止されてきた老齢加算及び母子加算を削減・廃止前の内容で復活させるべきであることを提言した。

当連合会は、厚生労働大臣においては、本判決に拘泥することなく、いまだ置き去りになっている高齢者の貧困対策の見地から、2009年12月に復活された母子加算と同様に老齢加算を速やかに復活させることを求める。」


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by medical-law | 2012-03-13 00:04 | 弁護士会

愛媛大学医学部付属病院,USBデバイスのコピーファイルを強制的に暗号化する情報漏洩対策ソフトを導入

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USBメモリーの個人情報流出が報じられていますが,愛媛大学医学部付属病院は,2012年2月より,USBデバイスにコピーしたファイルを強制的に暗号化するソフトを導入しました.

導入したのは,株式会社ティエスエスリンクの情報漏洩対策ソフト「セキュアプライム DC」です.

「セキュアプライム DC」は,USBデバイスをサーバーで一元管理して個別に認証します.
管理者が許可しないUSBデバイスの利用は禁止されます.
USBデバイスの利用履歴やファイルの操作履歴をログ記録しますので,USBデバイスの不正利用を把握できます.

万が一USBメモリーの紛失・盗難が起こっても第三者によって容易に不正利用されないよう,USBデバイスにコピーしたファイルを強制的に暗号化し(オプション機能),ファイル編集後の上書き保存で自動的に再暗号化します.復号ファイルも残さず,ファイルの安全性をさらに高める,とのことです.

愛媛大学医学部付属病院では,「セキュアプライム DC」を利用できない端末では,外部ドライブが使えないようにPCのポリシーを設定し,データ流出を防止しているとのことです.

株式会社ティエスエスリンク【ニュースリリース
「愛媛大学医学部附属病院の病院情報システムに情報漏洩対策ソフト「セキュアプライム DC」を導入。電子カルテ端末でのUSBデバイス利用を管理して情報漏洩を防止 」ご参照

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by medical-law | 2012-03-12 23:39 | 医療

鹿沼署,インスリン投与不足で留置中の糖尿病患者死亡,その責任は?

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◆ 事案

下野新聞の報道からすると,事案は,以下のとおりです.

被疑者は,2011年12月26日夜,現行犯逮捕され,鹿沼署に勾留されました.

警察医は,同月27日,診察し,1日1回のインスリン注射を指示しました.

被疑者は,警察官に,「処方されたインスリンでは足りない」「自分の車の中にあるインスリンを使いたい」と述べました.
その警察官は,警察医に詳しい病状を伝えず,被疑者の主治医への確認も怠りました.

被疑者は,体調を崩し,異常に水をほしがりました.
警察官は,被疑者が体調を崩していることに気づきながらも,対応しませんでした.

被疑者は,同月30日朝,心肺停止状態で発見され,同日午後に搬送先の病院で死亡が確認されました.

◆ 感想

これは,インスリン投与不足による死亡ですから,警察医の処方ミスにはちがいありません.
しかし,警察官が警察医に詳しい病状を伝えていれば,被疑者の主治医への確認を怠らなければ,死亡結果は回避できたでしょうから,警察医より,むしろこの警察官の行為(義務違反)が問題でしょう.

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◆ 報道

下野新聞「留置男性死亡で告訴へ 栃木県警、署員ら聴取」(2012年3月7日)
 
「栃木県警鹿沼署で昨年末、建造物侵入容疑で逮捕され勾留中に糖尿病で死亡した中国人男性=当時(30)=の遺族が「適切な措置が取られなかったのが死因」として業務上過失致死容疑で署員や警察医らを宇都宮地検に告訴する方針を決めたことが6日、遺族関係者への取材で分かった。

 県警は刑事部を中心に検証チームを設置。主治医に病状や薬の処方状況を聞いておらず、対応に問題があった可能性があるとみて関与した署員らから聴取するなどして捜査を進めている。県警によると、男性と兄(34)は昨年12月26日、鹿沼市内の空き店舗に侵入、建造物侵入容疑で現行犯逮捕され鹿沼署に留置された。」


下野新聞「警察医処方ミス認める 鹿沼署の留置男性死亡」(2012年3月8日)

「鹿沼署が2011年末、建造物侵入容疑で逮捕したさいたま市岩槻区、中国人男性=当時(30)=が糖尿病で急死した問題で、逮捕後に男性を診察した警察医(64)が7日、下野新聞社の取材に「糖尿病の型などに関する情報がなく、結果的に必要な治療薬の投与量よりも少なく男性に処方してしまった」などとミスを認めた。また警察医は「男性の容体の変化は死亡後に県警から聞いた」などとも説明しており、容疑者の留置管理をめぐる同署の対応が問われている。

 警察医は逮捕翌日の11年12月27日に男性を診察。男性から糖尿病と聞き、翌日に血液検査したが型までは判明しなかった。警察医は「生活習慣が関係することが多い型の糖尿病」と判断し、長時間持続する1日1回の注射を指示したという。

 ところが男性は、一般に1日複数回のインスリン注射が必要な血糖値の上下動が激しいタイプの糖尿病を患っており、同30日に容体が悪化し搬送先の病院で死亡した。男性は勾留中、異常に水をほしがるなど体調を崩したという。

 警察医は「情報があれば違う処方をしたが、責任は自分にもある」などとして、1月上旬に警察医を辞職している。約20年警察医を務めてきたベテランだという。

 県警によると、逮捕勾留の際には身体検査のほか持病や服薬の有無を聞き取り、主治医にも確認するのが一般的とされる。しかし今回は「理由や経緯は調査中だが、男性の主治医に確認はしていない」(留置管理課)という。

 一方、遺族側は早ければ3月中にも業務上過失致死容疑などで刑事告訴するほか、県などに対し損害賠償請求する方針も明らかにした。刑事告訴の対象は「留置に関わった署員や警察医など複数となる見込み」としている。」


下野新聞「異変認識も未対応 鹿沼署留置男性死亡」(2012年3月9日)
 
「鹿沼署が2011年末、建造物侵入容疑で逮捕したさいたま市岩槻区、中国人男性=当時(30)=が糖尿病で急死した問題で、逮捕翌日に男性が警察医の診察を受けた後、担当の署員らが男性が体調を崩している兆候に気づきながらも、死亡当日まで警察医の再診や病院搬送などの対応をとらなかったことが8日、捜査関係者への取材で分かった。男性は重篤な糖尿病患者で、早期に対応していれば死亡を防げた可能性があったとみられる。

 県警によると、男性は11年12月26日夜、鹿沼市内の空き店舗に侵入した疑いで現行犯逮捕され同署に勾留された。同30日朝、心肺停止状態で見つかり、同日午後に搬送先の病院で死亡が確認された。

 捜査関係者によると、男性は逮捕翌日に警察医の診察を受けた後、署員に「処方されたインスリンでは足りない」などと病状を説明し、「自分の車の中にあるインスリンを使いたい」などとも申し出ていたという。

 しかし対応した署員は警察医に詳しい病状を伝えず、男性の主治医にも病状を確認しなかったという。」


【追記】

時事通信「勾留中病死で警官ら書類送検=連絡怠った疑い-栃木県警」(2013年7月26日)は,次のとおり報じました.


 「栃木県警鹿沼署の留置場で2011年、勾留中の中国人男性=当時(30)=が糖尿病で死亡した問題で、県警は26日、必要な措置を取らなかったとして、同署の元留置管理課長の警部(57)と元管理係長の警部補(57)、元警察医(65)の3人を業務上過失致死容疑で書類送検した。県警は警部と警部補を減給などの懲戒処分とし、元署長ら7人を本部長訓戒などとした。
 送検容疑では、警部らは11年12月26~30日、男性が体調不良を訴えたのに、主治医に照会するなど必要な措置を取らず、元警察医は十分検査せずに薬の量を変化させ、男性を死なせた疑い。
 県警監察課によると、男性は同26日に建造物侵入容疑で現行犯逮捕された。元警察医は27日に男性を診察したが、逮捕前に服用していた薬とは別の種類の薬を処方。男性は28日ごろから腹痛などを訴えたが、警部らは主治医への照会や元警察医への連絡をしなかった。男性は30日に留置場内で意識を失い、搬送先の病院で死亡した。」


【追記】

産経新聞「警察勾留中の中国人死亡 栃木県、3800万円支払いで遺族と和解」(2014年10月21日)は,次のとおり報じました.

「栃木県警鹿沼署で平成23年12月、勾留されていた中国籍の劉忠勝さん=当時(30)=が死亡したのは適切な医療を受けられなかったためとして、遺族が県に約1億円の損害賠償を求めた訴訟が21日、宇都宮地裁(岩坪朗彦裁判長)で和解した。県は遺族に和解金3800万円を支払う。

 遺族代理人の米山健也弁護士は「金額的には納得いかないが、県警に責任がある和解だと認識している。今後、留置管理体制の見直しを考えてほしい」と話した。県警の小林充首席監察官は「今後とも留置施設の厳正な運用に努めたい」とコメントした。

 訴状によると、劉さんは23年12月26日、建造物侵入の現行犯で逮捕され鹿沼署の留置場に勾留された。持病の糖尿病のため、主治医に2種類の薬を処方されていたが、同署留置管理課員らが主治医への確認を怠り、警察医の診断に基づいて薬を1種類しか処方せず、4日後に死亡させたとしている。」


谷直樹
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by medical-law | 2012-03-11 07:36 | 医療事故・医療裁判

中央大学ロースクールへ

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事務局Hです.
友人に会いに,中央大学ロースクールに行って来ました.
いつも中央線から建物は見ていましたが,入るのは初めて.
ピリピリとした雰囲気で陰うつとしてるんだろうなぁと勝手なイメージを持っていたのですが,全くそのようなことはなく,エントランスが写真のとおりのモダンさで,驚きました.

部外者の私は中には入れないので,エントランスで待つこと数分,現れた友人もなんだか都会の男の子に見えてしまったのが不思議です.
最近気分が落ち込み気味でしたが,夢に向かって日夜頑張る友人と久しぶりに話し,彼からやる気と活力をもらい,いい気分で帰宅することができました.

貴重な勉強時間を割いてもらって申し訳なかったのですが,やはり,大学の同期に会うとなんだかほっとしますし,頑張る彼らの姿は自分へのエールにもなります.

新司法試験まで残り3ヵ月をきって,私のかつての同期達は初めての試験を迎えます.
どうか,体調を崩さず,実力を出し切って欲しいと思います.

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by medical-law | 2012-03-10 17:38 | 日常

東京高裁平成24年3月9日判決,銀座眼科元院長の控訴を棄却

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東京高裁(小川正持裁判長)は,2012年3月9日,銀座眼科元院長の医師溝口朝雄さんを禁錮2年の実刑とした東京地裁判決を支持し,溝口朝雄さんの控訴を棄却しました.

医師に実刑は重すぎると判決を批判する意見もあるでしょうが,本件は,基本的な注意義務を継続的に怠り,重大な結果を広汎に発生させたことなどを考えると,適正な判決と思います.

東京地裁平成23年.9月28日判決(銀座眼科レーシック感染事件,業務上過失傷害罪で禁固2年)」ご参照


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by medical-law | 2012-03-10 02:22 | 医療事故・医療裁判

千葉市立青葉病院,浴室設備等説明義務違反のため患者が死亡した事案で和解

b0206085_8503185.jpg千葉地裁平成23年10月14日判決(千葉市立青葉病院の熱湯死亡事件)」の続報です.
千葉日報「1925万円支払いで和解へ 青葉病院入浴女性死」(2012年3月9日)は,次のとおり報じています.

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「千葉市立青葉病院(千葉市中央区)に入院した女性=当時(79)=が入浴中に死亡したとして、遺族が損害賠償を求めた訴訟で、市は9日、1925万円の慰謝料などを盛り込んだ2011年度市病院事業会計補正予算を開会中の定例市議会に追加提案する。12日に保健消防委員会で審議される。

 女性は08年11月、熱湯が注がれた浴槽で体の約90%にやけどを負い心肺停止状態となり死亡。遺族は同病院の過失で死亡したとして、同病院を運営する市を相手取り慰謝料など計約2860万円の損害賠償を求めた。千葉地裁で昨年10月に判決があり、「熱い湯が出る危険について説明する義務があった」として看護師の過失を認定。市に計約1930万円の支払いなどを命じた。」


これは,1審判決後,東京高裁で和解したということなのでしょう.
ちなみに,千葉地裁平成23年10月14日判決は,次のとおり,浴室設備等説明義務違反を認めています.

「浴室の給湯・給水設備,シャワー等の形状,操作方法等は種々雑多であり,使い慣れていない者にとっては容易に操作することができないことはしばしば経験するところであって,特に亡Dのような高齢者は,普段使い慣れない用具の操作が困難であるところ,本件浴槽水栓は,蛇口から55ないし56度という熱い湯が出る状態だったのであるから,使い方を誤れば,患者が熱傷を負う危険が存在していたというべきである。
そうすると,F看護師は,亡Dが本件入浴を開始するに当たり,亡Dが本件小浴室内で熱い湯を浴びて熱傷を負うことのないよう,本件浴室の給湯給水設備の使用方法及び本件浴槽水栓から熱傷を負うおそれのある熱い湯が出る危険について説明ないし注意すべき義務があったと認めるのが相当である。
これを本件についてみると,前記前提事実によれば,F看護師は,亡Dに対し,「何かあったらナースコールを押すこと。(浴室の)鍵を閉めないように。」と言ったのみで,本件浴室の給湯給水設備の使用方法及び熱傷を負うおそれのある熱い湯が出ることを説明ないし注意しなかったのであるから,前記義務に違反した過失があると認めるのが相当である。」

「被告は,F看護師が亡Dに対し何かあったらナースコールをするように伝えたのであるから,本件小浴室の設備の使い方がわからなければ看護師を呼ぶことができたので問題はない旨主張する。
しかし,ナースコールは,入浴中に気分が悪くなったなどの緊急事態が生じた場合や身体の動作に看護師の手を借りる必要が生じた場合などに使用するのが一般であり,患者としては,浴室の給湯設備の使用方法がわからない場合にまでナースコールをしてもよいものか躊躇を覚えることも少なくないと考えられるから,ナースコールの説明をしていれば,本件小浴室の設備の使い方の説明をしなくともよいとはいえず,被告の上記主張は採用することができない。」


【追記】

msn産経「千葉市が1900万賠償へ 全身やけどで死亡」(2012年3月18日)は,次のとおり報じています.

「千葉市立青葉病院で平成20年、入院中の女性患者=当時(79)=が入浴中に熱湯を浴びて全身やけどで死亡した事故で、千葉市は16日、東京高裁の和解勧告を受け入れ、遺族に賠償金約1900万円を支払うことを決めた。市議会が補正予算案を可決した。

 この事故では、遺族が病院側に損害賠償を求めて千葉地裁に提訴。地裁は昨年10月、病院側の過失を認めて遺族に約1900万円を支払うよう命じたが、市は控訴し、東京高裁が2月27日に和解を勧告していた。

 一審判決によると、女性患者はひざの手術を受けるために入院していた20年11月、1人で入浴中に全身にやけどを負い、浴槽内で倒れているのを看護師に発見され、翌日死亡した。」


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by medical-law | 2012-03-10 02:00 | 医療事故・医療裁判

釧路赤十字病院,市立根室病院で常勤麻酔科医が不在に

b0206085_18223584.jpg釧路新聞「常勤麻酔科医が不在に/釧路赤十字病院」(2012年3月7日)は,次のとおり報じています.

「旭川医科大学が3月末をめどに、釧路赤十字病院(二瓶和喜院長、489床)に対し、常勤の麻酔科医の派遣打ち切りを通告していたことが6日、分かった。同院の麻酔科はこれまで常勤2人と非常勤2人の計4人で運営されていたが、派遣打ち切りに伴い非常勤3人態勢に改められる。また、市立根室病院(東浦勝浩院長、131床)でも常勤の麻酔科医が3月末で退職。4月からは現状の2人態勢から非常勤1人のみの態勢となる。」

常勤麻酔科医がいないということは,緊急手術ができない,ということを意味します.
旭川医科大学も札幌医科大学と同様に女性医師が増えて,出産等の事情で麻酔科医を派遣できなくなったのではないかと思います.
麻酔科医師の女性比率は他科より高く,前と同じ人数では,このような事態になることはわかっていたはずです.
対応(麻酔科医の増員)が後手に回ったためではないでしょうか.

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by medical-law | 2012-03-09 05:01 | 医療