弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

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日弁連,「生活保護における老齢加算廃止に関する最高裁判決に関する会長談話」

日弁連,「生活保護における老齢加算廃止に関する最高裁判決に関する会長談話」_b0206085_147203.jpg
日弁連は,2012年3月8日,最高裁第三小法廷平成24年2月28日判決を批判する会長談話を発表しました.

生活保護における老齢加算廃止に関する最高裁判決に関する会長談話」は,次のとおり述べています.

「本判決は、第一に、生活保護基準以下の生活を強いられている国民(とりわけ高齢者)が存在する事実に対して、この貧困を解決するのではなく、この貧困状態に合わせて生活保護基準を切り下げ、格差と貧困を拡大する政府の不当な政策を是認したものであり、第二に、老齢加算が果たしてきた重要な役割を何ら理解することなく、老齢加算が廃止されることで高齢保護受給者の生存権を侵害している実態から目を背け、行政の違憲・違法な措置を追認した不当なものである。

人権の最後の砦となるべき最高裁判所が、このような判決を下すことは、その職責を放棄したものといわざるを得ず、深い悲しみと憤りを禁じ得ない。

当連合会は、2006年の第49回人権擁護大会において、貧困の連鎖を断ち切り、全ての人の尊厳に値する生存を実現するために生活保護の切下げを止めることを求め、また、2008年11月18日付け「生活保護法改正要綱案」では、法改正に当たり民主的コントロールを受けないまま削減・廃止されてきた老齢加算及び母子加算を削減・廃止前の内容で復活させるべきであることを提言した。

当連合会は、厚生労働大臣においては、本判決に拘泥することなく、いまだ置き去りになっている高齢者の貧困対策の見地から、2009年12月に復活された母子加算と同様に老齢加算を速やかに復活させることを求める。」


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by medical-law | 2012-03-13 00:04 | 弁護士会

大学病院,USBデバイスのコピーファイルを強制的に暗号化する情報漏洩対策ソフトを導入

大学病院,USBデバイスのコピーファイルを強制的に暗号化する情報漏洩対策ソフトを導入_b0206085_14111135.jpg

USBメモリーの個人情報流出が報じられていますが,愛媛大学医学部付属病院は,2012年2月より,USBデバイスにコピーしたファイルを強制的に暗号化するソフトを導入しました.

導入したのは,株式会社ティエスエスリンクの情報漏洩対策ソフト「セキュアプライム DC」です.

「セキュアプライム DC」は,USBデバイスをサーバーで一元管理して個別に認証します.
管理者が許可しないUSBデバイスの利用は禁止されます.
USBデバイスの利用履歴やファイルの操作履歴をログ記録しますので,USBデバイスの不正利用を把握できます.

万が一USBメモリーの紛失・盗難が起こっても第三者によって容易に不正利用されないよう,USBデバイスにコピーしたファイルを強制的に暗号化し(オプション機能),ファイル編集後の上書き保存で自動的に再暗号化します.復号ファイルも残さず,ファイルの安全性をさらに高める,とのことです.

愛媛大学医学部付属病院では,「セキュアプライム DC」を利用できない端末では,外部ドライブが使えないようにPCのポリシーを設定し,データ流出を防止しているとのことです.

株式会社ティエスエスリンク【ニュースリリース
「愛媛大学医学部附属病院の病院情報システムに情報漏洩対策ソフト「セキュアプライム DC」を導入。電子カルテ端末でのUSBデバイス利用を管理して情報漏洩を防止 」ご参照

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by medical-law | 2012-03-12 23:39 | 医療

鹿沼署,インスリン投与不足で留置中の糖尿病患者死亡,その責任は?

鹿沼署,インスリン投与不足で留置中の糖尿病患者死亡,その責任は?_b0206085_1072859.jpg

◆ 事案

下野新聞の報道からすると,事案は,以下のとおりです.

被疑者は,2011年12月26日夜,現行犯逮捕され,鹿沼署に勾留されました.

警察医は,同月27日,診察し,1日1回のインスリン注射を指示しました.

被疑者は,警察官に,「処方されたインスリンでは足りない」「自分の車の中にあるインスリンを使いたい」と述べました.
その警察官は,警察医に詳しい病状を伝えず,被疑者の主治医への確認も怠りました.

被疑者は,体調を崩し,異常に水をほしがりました.
警察官は,被疑者が体調を崩していることに気づきながらも,対応しませんでした.

被疑者は,同月30日朝,心肺停止状態で発見され,同日午後に搬送先の病院で死亡が確認されました.

◆ コメント

上記報道の件は私が担当したものではありません.
これは,インスリン投与不足による死亡ですから,警察医の処方ミスにはちがいありません.
しかし,警察官が警察医に詳しい病状を伝えていれば,被疑者の主治医への確認を怠らなければ,死亡結果は回避できたでしょうから,警察医より,むしろこの警察官の行為(義務違反)が問題でしょう.

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◆ 報道

下野新聞「留置男性死亡で告訴へ 栃木県警、署員ら聴取」(2012年3月7日)
 
「栃木県警鹿沼署で昨年末、建造物侵入容疑で逮捕され勾留中に糖尿病で死亡した中国人男性=当時(30)=の遺族が「適切な措置が取られなかったのが死因」として業務上過失致死容疑で署員や警察医らを宇都宮地検に告訴する方針を決めたことが6日、遺族関係者への取材で分かった。

 県警は刑事部を中心に検証チームを設置。主治医に病状や薬の処方状況を聞いておらず、対応に問題があった可能性があるとみて関与した署員らから聴取するなどして捜査を進めている。県警によると、男性と兄(34)は昨年12月26日、鹿沼市内の空き店舗に侵入、建造物侵入容疑で現行犯逮捕され鹿沼署に留置された。」


下野新聞「警察医処方ミス認める 鹿沼署の留置男性死亡」(2012年3月8日)

「鹿沼署が2011年末、建造物侵入容疑で逮捕したさいたま市岩槻区、中国人男性=当時(30)=が糖尿病で急死した問題で、逮捕後に男性を診察した警察医(64)が7日、下野新聞社の取材に「糖尿病の型などに関する情報がなく、結果的に必要な治療薬の投与量よりも少なく男性に処方してしまった」などとミスを認めた。また警察医は「男性の容体の変化は死亡後に県警から聞いた」などとも説明しており、容疑者の留置管理をめぐる同署の対応が問われている。

 警察医は逮捕翌日の11年12月27日に男性を診察。男性から糖尿病と聞き、翌日に血液検査したが型までは判明しなかった。警察医は「生活習慣が関係することが多い型の糖尿病」と判断し、長時間持続する1日1回の注射を指示したという。

 ところが男性は、一般に1日複数回のインスリン注射が必要な血糖値の上下動が激しいタイプの糖尿病を患っており、同30日に容体が悪化し搬送先の病院で死亡した。男性は勾留中、異常に水をほしがるなど体調を崩したという。

 警察医は「情報があれば違う処方をしたが、責任は自分にもある」などとして、1月上旬に警察医を辞職している。約20年警察医を務めてきたベテランだという。

 県警によると、逮捕勾留の際には身体検査のほか持病や服薬の有無を聞き取り、主治医にも確認するのが一般的とされる。しかし今回は「理由や経緯は調査中だが、男性の主治医に確認はしていない」(留置管理課)という。

 一方、遺族側は早ければ3月中にも業務上過失致死容疑などで刑事告訴するほか、県などに対し損害賠償請求する方針も明らかにした。刑事告訴の対象は「留置に関わった署員や警察医など複数となる見込み」としている。」


下野新聞「異変認識も未対応 鹿沼署留置男性死亡」(2012年3月9日)
 
「鹿沼署が2011年末、建造物侵入容疑で逮捕したさいたま市岩槻区、中国人男性=当時(30)=が糖尿病で急死した問題で、逮捕翌日に男性が警察医の診察を受けた後、担当の署員らが男性が体調を崩している兆候に気づきながらも、死亡当日まで警察医の再診や病院搬送などの対応をとらなかったことが8日、捜査関係者への取材で分かった。男性は重篤な糖尿病患者で、早期に対応していれば死亡を防げた可能性があったとみられる。

 県警によると、男性は11年12月26日夜、鹿沼市内の空き店舗に侵入した疑いで現行犯逮捕され同署に勾留された。同30日朝、心肺停止状態で見つかり、同日午後に搬送先の病院で死亡が確認された。

 捜査関係者によると、男性は逮捕翌日に警察医の診察を受けた後、署員に「処方されたインスリンでは足りない」などと病状を説明し、「自分の車の中にあるインスリンを使いたい」などとも申し出ていたという。

 しかし対応した署員は警察医に詳しい病状を伝えず、男性の主治医にも病状を確認しなかったという。」


【追記】

時事通信「勾留中病死で警官ら書類送検=連絡怠った疑い-栃木県警」(2013年7月26日)は,次のとおり報じました.


 「栃木県警鹿沼署の留置場で2011年、勾留中の中国人男性=当時(30)=が糖尿病で死亡した問題で、県警は26日、必要な措置を取らなかったとして、同署の元留置管理課長の警部(57)と元管理係長の警部補(57)、元警察医(65)の3人を業務上過失致死容疑で書類送検した。県警は警部と警部補を減給などの懲戒処分とし、元署長ら7人を本部長訓戒などとした。
 送検容疑では、警部らは11年12月26~30日、男性が体調不良を訴えたのに、主治医に照会するなど必要な措置を取らず、元警察医は十分検査せずに薬の量を変化させ、男性を死なせた疑い。
 県警監察課によると、男性は同26日に建造物侵入容疑で現行犯逮捕された。元警察医は27日に男性を診察したが、逮捕前に服用していた薬とは別の種類の薬を処方。男性は28日ごろから腹痛などを訴えたが、警部らは主治医への照会や元警察医への連絡をしなかった。男性は30日に留置場内で意識を失い、搬送先の病院で死亡した。」


【追記】

産経新聞「警察勾留中の中国人死亡 栃木県、3800万円支払いで遺族と和解」(2014年10月21日)は,次のとおり報じました.

「栃木県警鹿沼署で平成23年12月、勾留されていた中国籍の劉忠勝さん=当時(30)=が死亡したのは適切な医療を受けられなかったためとして、遺族が県に約1億円の損害賠償を求めた訴訟が21日、宇都宮地裁(岩坪朗彦裁判長)で和解した。県は遺族に和解金3800万円を支払う。

 遺族代理人の米山健也弁護士は「金額的には納得いかないが、県警に責任がある和解だと認識している。今後、留置管理体制の見直しを考えてほしい」と話した。県警の小林充首席監察官は「今後とも留置施設の厳正な運用に努めたい」とコメントした。

 訴状によると、劉さんは23年12月26日、建造物侵入の現行犯で逮捕され鹿沼署の留置場に勾留された。持病の糖尿病のため、主治医に2種類の薬を処方されていたが、同署留置管理課員らが主治医への確認を怠り、警察医の診断に基づいて薬を1種類しか処方せず、4日後に死亡させたとしている。」


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by medical-law | 2012-03-11 07:36 | 医療事故・医療裁判

中央大学ロースクールへ

中央大学ロースクールへ_b0206085_17433468.jpg

事務局Hです.
友人に会いに,中央大学ロースクールに行って来ました.
いつも中央線から建物は見ていましたが,入るのは初めて.
ピリピリとした雰囲気で陰うつとしてるんだろうなぁと勝手なイメージを持っていたのですが,全くそのようなことはなく,エントランスが写真のとおりのモダンさで,驚きました.

部外者の私は中には入れないので,エントランスで待つこと数分,現れた友人もなんだか都会の男の子に見えてしまったのが不思議です.
最近気分が落ち込み気味でしたが,夢に向かって日夜頑張る友人と久しぶりに話し,彼からやる気と活力をもらい,いい気分で帰宅することができました.

貴重な勉強時間を割いてもらって申し訳なかったのですが,やはり,大学の同期に会うとなんだかほっとしますし,頑張る彼らの姿は自分へのエールにもなります.

新司法試験まで残り3ヵ月をきって,私のかつての同期達は初めての試験を迎えます.
どうか,体調を崩さず,実力を出し切って欲しいと思います.

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by medical-law | 2012-03-10 17:38 | 日常

東京高裁平成24年3月9日判決,元院長の控訴を棄却

東京高裁平成24年3月9日判決,元院長の控訴を棄却_b0206085_1845858.jpg

東京高裁(小川正持裁判長)は,2012年3月9日,○○眼科元院長の医師○○さんを禁錮2年の実刑とした東京地裁判決を支持し,○○さんの控訴を棄却しました.
上記報道の件は私が担当したものではありません.
医師に実刑は重すぎると判決を批判する意見もあるでしょうが,本件は,基本的な注意義務を継続的に怠り,重大な結果を広汎に発生させたことなどを考えると,適正な判決ではないでしょうか.


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by medical-law | 2012-03-10 02:22 | 医療事故・医療裁判

千葉市の病院,浴室設備等説明義務違反のため患者が死亡した事案で和解

千葉市の病院,浴室設備等説明義務違反のため患者が死亡した事案で和解_b0206085_8503185.jpg千葉地裁平成23年10月14日判決(千葉市立青葉病院の熱湯死亡事件)」の続報です.
千葉日報「1925万円支払いで和解へ 青葉病院入浴女性死」(2012年3月9日)は,次のとおり報じています.

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「千葉市立青葉病院(千葉市中央区)に入院した女性=当時(79)=が入浴中に死亡したとして、遺族が損害賠償を求めた訴訟で、市は9日、1925万円の慰謝料などを盛り込んだ2011年度市病院事業会計補正予算を開会中の定例市議会に追加提案する。12日に保健消防委員会で審議される。

 女性は08年11月、熱湯が注がれた浴槽で体の約90%にやけどを負い心肺停止状態となり死亡。遺族は同病院の過失で死亡したとして、同病院を運営する市を相手取り慰謝料など計約2860万円の損害賠償を求めた。千葉地裁で昨年10月に判決があり、「熱い湯が出る危険について説明する義務があった」として看護師の過失を認定。市に計約1930万円の支払いなどを命じた。」


上記報道の件は私が担当したものではありません.
これは,1審判決後,東京高裁で和解したということなのでしょう.
ちなみに,千葉地裁平成23年10月14日判決は,次のとおり,浴室設備等説明義務違反を認めています.

「浴室の給湯・給水設備,シャワー等の形状,操作方法等は種々雑多であり,使い慣れていない者にとっては容易に操作することができないことはしばしば経験するところであって,特に亡Dのような高齢者は,普段使い慣れない用具の操作が困難であるところ,本件浴槽水栓は,蛇口から55ないし56度という熱い湯が出る状態だったのであるから,使い方を誤れば,患者が熱傷を負う危険が存在していたというべきである。
そうすると,F看護師は,亡Dが本件入浴を開始するに当たり,亡Dが本件小浴室内で熱い湯を浴びて熱傷を負うことのないよう,本件浴室の給湯給水設備の使用方法及び本件浴槽水栓から熱傷を負うおそれのある熱い湯が出る危険について説明ないし注意すべき義務があったと認めるのが相当である。
これを本件についてみると,前記前提事実によれば,F看護師は,亡Dに対し,「何かあったらナースコールを押すこと。(浴室の)鍵を閉めないように。」と言ったのみで,本件浴室の給湯給水設備の使用方法及び熱傷を負うおそれのある熱い湯が出ることを説明ないし注意しなかったのであるから,前記義務に違反した過失があると認めるのが相当である。」

「被告は,F看護師が亡Dに対し何かあったらナースコールをするように伝えたのであるから,本件小浴室の設備の使い方がわからなければ看護師を呼ぶことができたので問題はない旨主張する。
しかし,ナースコールは,入浴中に気分が悪くなったなどの緊急事態が生じた場合や身体の動作に看護師の手を借りる必要が生じた場合などに使用するのが一般であり,患者としては,浴室の給湯設備の使用方法がわからない場合にまでナースコールをしてもよいものか躊躇を覚えることも少なくないと考えられるから,ナースコールの説明をしていれば,本件小浴室の設備の使い方の説明をしなくともよいとはいえず,被告の上記主張は採用することができない。」


【追記】

msn産経「千葉市が1900万賠償へ 全身やけどで死亡」(2012年3月18日)は,次のとおり報じています.

「千葉市立青葉病院で平成20年、入院中の女性患者=当時(79)=が入浴中に熱湯を浴びて全身やけどで死亡した事故で、千葉市は16日、東京高裁の和解勧告を受け入れ、遺族に賠償金約1900万円を支払うことを決めた。市議会が補正予算案を可決した。

 この事故では、遺族が病院側に損害賠償を求めて千葉地裁に提訴。地裁は昨年10月、病院側の過失を認めて遺族に約1900万円を支払うよう命じたが、市は控訴し、東京高裁が2月27日に和解を勧告していた。

 一審判決によると、女性患者はひざの手術を受けるために入院していた20年11月、1人で入浴中に全身にやけどを負い、浴槽内で倒れているのを看護師に発見され、翌日死亡した。」


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by medical-law | 2012-03-10 02:00 | 医療事故・医療裁判

釧路と根室の病院で常勤麻酔科医が不在に

釧路と根室の病院で常勤麻酔科医が不在に_b0206085_18223584.jpg釧路新聞「常勤麻酔科医が不在に/釧路赤十字病院」(2012年3月7日)は,次のとおり報じています.

「旭川医科大学が3月末をめどに、釧路赤十字病院(二瓶和喜院長、489床)に対し、常勤の麻酔科医の派遣打ち切りを通告していたことが6日、分かった。同院の麻酔科はこれまで常勤2人と非常勤2人の計4人で運営されていたが、派遣打ち切りに伴い非常勤3人態勢に改められる。また、市立根室病院(東浦勝浩院長、131床)でも常勤の麻酔科医が3月末で退職。4月からは現状の2人態勢から非常勤1人のみの態勢となる。」

常勤麻酔科医がいないということは,緊急手術ができない,ということを意味します.
旭川医科大学も札幌医科大学と同様に女性医師が増えて,出産等の事情で麻酔科医を派遣できなくなったのではないかと思います.
麻酔科医師の女性比率は他科より高く,前と同じ人数では,このような事態になることはわかっていたはずです.
対応(麻酔科医の増員)が後手に回ったためではないでしょうか.

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by medical-law | 2012-03-09 05:01 | 医療

宮城県の病院の看護師,臨床工学技士,医師が書類送検される(報道)

宮城県の病院の看護師,臨床工学技士,医師が書類送検される(報道)_b0206085_9141430.jpg

msn産経「看護師ら3人書類送検 男性患者死亡で宮城県警」(2012年3月8日)は次のとおり報じています.

「○○センターに心筋梗塞で入院していた同市の無職の男性患者=当時(82)=が昨年7月に死亡した事故で、県警捜査1課は8日、業務上過失致死の疑いで、患者を担当していた女性看護師(42)と男性臨床工学技士(48)を、医師法違反の疑いで男性主治医(33)をそれぞれ書類送検した。

 看護師の送検容疑は昨年7月24日、心肺維持装置の警報音に気付いていたにもかかわらず、装置の電源プラグが外れていることを確認せず放置し、臨床工学技士は、装置の安全管理責任者として、装置の不具合への対応について医師や看護師への研修を行わず、知識がないまま医療行為に使用させ、患者を死亡させたとしている。主治医の送検容疑は装置が停止したために死亡した事実を知りながら、24時間以内に警察へ届け出なかったとしている。」


上記報道の件は私が担当したものではありません.
刑事事件として書類送検されましたが,検察は,起訴については諸般の事情を総合考慮して決めます.すみやかに遺族との示談が成立し,賠償されると,不起訴に有利な事情となります.
本件で,3人ともが起訴される可能性は低いでしょう.

【追記】

河北新報「心肺補助装置、研修怠る ○○センター患者死亡事故」(2012年3月9日)は,次のとおり報じています.

「○○センターで2011年7月に起きた医療事故は、センターのずさんな管理体制が、県警の捜査で明らかになった。県警によると、心肺補助装置の使用方法を知っていたスタッフは誰もいなかったという。捜査関係者は「人命を預かる施設として認識が甘い」と指摘する。
 県警によると、書類送検された臨床工学技士男性(48)は、07年から医療機器の安全管理責任者を務めているという。責任者は、新しい医療機器を導入した際、スタッフに研修を実施することが求められている。
 捜査関係者によると、技士は当初、センターの看護師ら向けの研修を開催していたが、参加率が低いことなどから次第に実施しなくなったという。10年10月に導入した心肺補助装置の研修は、記録上開催したことになっていたが、実際は一度も開かれていなかった。
 県警の調べに技士は「やる気がなかった」と話しているという。結局、装置の使い方を理解しているセンターの医師と看護師はいなかった。
 異状死の届けをめぐっても、県警はセンターや県立病院機構の対応を疑問視する。
 捜査関係者によると、電源プラグが外れていたことは別の看護師が確認していたという。電源が失われ、装置が止まったにもかかわらず、主治医(33)は病死の死亡診断書を作成。一方で、センターは事故の翌日、機構へ医療事故と連絡していた。
 県警は事故直後の7月29日にセンターと機構を捜索。ことし2月15日には、センターの臨床工学室などを再捜索した。
 機構の菅村和夫理事長は「事故を重く受け止め、再発防止に万全を期したい」との談話を出した。」



河北新報「看護師ら3人不起訴 ○○センター患者死亡事故」(2012年9月20日)は,次のとおり報じました.
 
「○○センターで昨年7月、集中治療室で使っていた心肺補助装置の電源プラグがコンセントから抜け、入院中の栗原市の無職男性=当時(82)=が死亡した事故で、仙台地検は19日までに、業務上過失致死容疑などで書類送検された女性看護師(43)ら3人を不起訴処分とした。
 ほかに不起訴処分としたのは、当時、装置の安全管理責任者だった男性臨床工学技士(49)と、男性主治医(34)。地検は「処分の理由は答えられない」としている。
 男性は昨年7月24日午後9時すぎ、急性心筋梗塞による心原性ショックで死亡。宮城県警は3月、3人を書類送検した。
 送検容疑は、看護師は昨年7月24日午後5時ごろ~7時20分ごろ、装置のアラーム音に気付くなどしたのに、ディスプレーの表示だけで異常はないと判断し、電源プラグを確認しなかった疑い。
 技士は2010年10月に装置を導入して以降、メーカーが変わって電源が切れたときの復旧方法が異なったのに、操作などを周知徹底する研修などを怠った疑い。
 主治医は、昨年7月24日に男性の死亡診断書を作成した際、看護師らから装置の停止が死亡原因となった可能性のあることを報告されながら、築館署に24時間以内に届けなかった疑い。
 県警の捜査関係者によると、看護師と技士は容疑を認め、主治医は「異状死との認識がなかった」と否認したという。」
機能維持装置の電源プラグが抜けて停止し、入院中の当時82歳の男性が死亡した事故で、仙台地検は業務上過失致死容疑や医師法違反容疑で書類送検されていた看護師2人と医師1人を不起訴処分とした。」



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by medical-law | 2012-03-09 04:26 | 医療事故・医療裁判

タバコ病訴訟,3月14日の東京高裁判決を前に肺気腫の控訴人が呼吸苦で死亡

タバコ病訴訟,3月14日の東京高裁判決を前に肺気腫の控訴人が呼吸苦で死亡_b0206085_18144126.jpg

「タバコ病のない横浜裁判」を7年間ともに闘ってきた,控訴人の水野雅信氏が長い闘病生活の末2012年3月7日に横浜の病院で亡くなりました.

肺気腫は,呼吸細気管支と肺胞が拡張し破壊される慢性疾患です.
肺気腫患者のほとんどは喫煙者です.

水野氏は,「今日も元気だ,タバコがうまい」などと広告宣伝さていた時代に,タバコが肺気腫の原因となることを知らずに喫煙し,肺気腫となりました.
そして,肺気腫により肺の機能が失われ,呼吸ができず,治療の甲斐無く死亡しました.
水野氏は,肺気腫の呼吸苦について,陸にいて海で溺れる如し,と述べていました.
酸素不足で苦しい中,前回の期日,822号法廷で切々と陳述する水野氏の姿が思い出されます.

喫煙によって肺癌・肺気腫など「タバコ病」になった3人が,2005年1月19日、タバコ病のない社会をめざして、国と日本たばこ産業(株)を訴える裁判を横浜地裁に起こしましたが,これで2人が亡くなりました.

2010年2月1日東京高裁に控訴し,2012年3月14日14時の東京高裁判決(裁判長福田剛久判事)を目の前にしての死亡でした.
私たち代理人弁護士がいますので,裁判は中断することなく,予定通り判決言い渡しが行われます.

心よりご冥福をお祈りするとともに,遺志を受け継ぎ,タバコ病のない社会を目指す戦いを最後まで続けたいと思います.

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by medical-law | 2012-03-08 09:25 | タバコ

「兵糧攻め」に苦しむ被災者たち,東京電力の抵抗で進まない原発事故賠償

「兵糧攻め」に苦しむ被災者たち,東京電力の抵抗で進まない原発事故賠償_b0206085_8344370.jpg東洋経済「東京電力の抵抗で進まない原発事故賠償、「兵糧攻め」に苦しむ被災者たち」(2012年3月6日)は,次のとおり報じています.

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「原発事故から11カ月たっても事故で被害を受けた地元住民への賠償は、遅々として進んでいない。文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会は昨年8月、賠償に関する「中間指針」を公表し、その翌月から東電は賠償請求の受け付けを開始した。東電は請求のための書類を約6万通送っているにもかかわらず、賠償金の支払件数はまだ2万件程度だ。

 低調にとどまる最大の要因は、東電の賠償への消極的な姿勢にある。

 東電が送付した個人用の賠償の説明書類は150ページを超える。わかりにくいとの批判を受け簡略版を提示したが、それでも請求書は60ページと膨大だ。項目も煩雑で、「とても手に取る気にならない」(年配の被災者)という代物。しかも当初、受領後は追加の請求を認めないなどとする文言を盛り込んでいた。

 そもそも、中間指針には損害として盛り込まれなかった項目が少なくなく、賠償額の算定基準にも不明確な点が残る。たとえば被災者への慰謝料は月10万円が基本とされたが、これは交通事故時の自賠責保険の慰謝料を参考に決められたものであり、しかも半年後からは半額となるなど、少なすぎるとの批判が強い。

 東電は、国の中間指針にない項目は賠償しないという姿勢を取り続けている。「中間指針の賠償基準は上限ではなく下限とされたはずなのに、東電が勝手に天井を決めてしまっている」(高梨弁護士)。」


また,弁護士高梨滋雄氏は,事故により生活の本拠地を追われ,見ず知らずの土地で生活を再建しなければならない被災者側の事情を考慮した損害賠償が必要であることを指摘しています.

「高梨滋雄弁護士は、「従来の損害賠償理論では事故による被害者の財産の減少を賠償すれば足りるとされてきたが、今回の事故だとそれだけでは被害者の生活再建につながらない。新たな土地での生活の立ち上げコストも賠償額として算定されるべきで、別途求めていく」と語る。」

東洋経済は,次のとおり結んでいます.

「東電の“兵糧攻め”を座視し、被災者を泣き寝入りさせるようでは、賠償スキームそのもののありようも厳しく問われることになる。」

政府は,賠償のために東京電力を残しましたが,こうなってくると東京電力を解体するのが正しい道だった,ということになるでしょう.

谷直樹
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by medical-law | 2012-03-07 01:34 | 脱原発