弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

<   2012年 03月 ( 76 )   > この月の画像一覧

福岡・大川市の産婦人科医,書類送検される

b0206085_8414384.jpg日テレ「80キロ以上の速度超過 医師を書類送検(福岡県)」(2012年3月8日)は,次のとおり報じています.

「制限速度を80キロ以上も超えて車を運転したとして、福岡・大川市の産婦人科医の男(50)が8日、道交法違反(最高速度違反)の疑いで書類送検された。
摘発のきっかけは、男がインターネット上に投稿した約6分間の動画だった。 
動画には、イタリアの高級車「フェラーリ」(約3000万円)を運転する男が、福岡市東区の直線道路で2台の車を追い越し、一気にスピードを上げる様子が映っている。この瞬間、制限速度40キロの道路を時速124キロの猛スピードで走っていたという。この動画を見た人が匿名で通報し、警察が捜査していた。 
警察の調べに対し、男は「フェラーリの良さを知ってほしかったし、自慢したかった」と話し、容疑を認めているという。」


フェラーリは高額所得者が運転していることが多い車ですが,制限速度40キロの道路で時速124キロを出して,自慢したかった医師というのは,困ったものです.
こちらは,起訴される可能性が高いのではないしょうか.

谷直樹
ブログランキングに参加しています.下記バナーを1日1回クリックお願いします.7日間のクリック数合計が順位に反映します.

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2012-03-09 04:41 | 司法

宮城県立循環器・呼吸器病センターの看護師,臨床工学技士,医師が書類送検される

b0206085_9141430.jpg

msn産経「看護師ら3人書類送検 男性患者死亡で宮城県警」(2012年3月8日)は次のとおり報じています.

「宮城県立循環器・呼吸器病センター(栗原市)に心筋梗塞で入院していた同市の無職の男性患者=当時(82)=が昨年7月に死亡した事故で、県警捜査1課は8日、業務上過失致死の疑いで、患者を担当していた女性看護師(42)と男性臨床工学技士(48)を、医師法違反の疑いで男性主治医(33)をそれぞれ書類送検した。

 看護師の送検容疑は昨年7月24日、心肺維持装置の警報音に気付いていたにもかかわらず、装置の電源プラグが外れていることを確認せず放置し、臨床工学技士は、装置の安全管理責任者として、装置の不具合への対応について医師や看護師への研修を行わず、知識がないまま医療行為に使用させ、患者を死亡させたとしている。主治医の送検容疑は装置が停止したために死亡した事実を知りながら、24時間以内に警察へ届け出なかったとしている。」


刑事事件として書類送検されましたが,検察は,起訴については諸般の事情を総合考慮して決めます.すみやかに遺族との示談が成立し,賠償されると,不起訴に有利な事情となります.
本件で,3人ともが起訴される可能性は低いでしょう.

【追記】

河北新報「心肺補助装置、研修怠る 循環器センター患者死亡事故」(2012年3月9日)は,次のとおり報じています.

「宮城県立循環器・呼吸器病センターで2011年7月に起きた医療事故は、センターのずさんな管理体制が、県警の捜査で明らかになった。県警によると、心肺補助装置の使用方法を知っていたスタッフは誰もいなかったという。捜査関係者は「人命を預かる施設として認識が甘い」と指摘する。
 県警によると、書類送検された臨床工学技士男性(48)は、07年から医療機器の安全管理責任者を務めているという。責任者は、新しい医療機器を導入した際、スタッフに研修を実施することが求められている。
 捜査関係者によると、技士は当初、センターの看護師ら向けの研修を開催していたが、参加率が低いことなどから次第に実施しなくなったという。10年10月に導入した心肺補助装置の研修は、記録上開催したことになっていたが、実際は一度も開かれていなかった。
 県警の調べに技士は「やる気がなかった」と話しているという。結局、装置の使い方を理解しているセンターの医師と看護師はいなかった。
 異状死の届けをめぐっても、県警はセンターや県立病院機構の対応を疑問視する。
 捜査関係者によると、電源プラグが外れていたことは別の看護師が確認していたという。電源が失われ、装置が止まったにもかかわらず、主治医(33)は病死の死亡診断書を作成。一方で、センターは事故の翌日、機構へ医療事故と連絡していた。
 県警は事故直後の7月29日にセンターと機構を捜索。ことし2月15日には、センターの臨床工学室などを再捜索した。
 機構の菅村和夫理事長は「事故を重く受け止め、再発防止に万全を期したい」との談話を出した。」



河北新報「看護師ら3人不起訴 宮城県循環器センター患者死亡事故」(2012年9月20日)は,次のとおり報じました.
 
「宮城県立循環器・呼吸器病センター(宮城県栗原市)で昨年7月、集中治療室で使っていた心肺補助装置の電源プラグがコンセントから抜け、入院中の栗原市の無職男性=当時(82)=が死亡した事故で、仙台地検は19日までに、業務上過失致死容疑などで書類送検された女性看護師(43)ら3人を不起訴処分とした。
 ほかに不起訴処分としたのは、当時、装置の安全管理責任者だった男性臨床工学技士(49)と、男性主治医(34)。地検は「処分の理由は答えられない」としている。
 男性は昨年7月24日午後9時すぎ、急性心筋梗塞による心原性ショックで死亡。宮城県警は3月、3人を書類送検した。
 送検容疑は、看護師は昨年7月24日午後5時ごろ~7時20分ごろ、装置のアラーム音に気付くなどしたのに、ディスプレーの表示だけで異常はないと判断し、電源プラグを確認しなかった疑い。
 技士は2010年10月に装置を導入して以降、メーカーが変わって電源が切れたときの復旧方法が異なったのに、操作などを周知徹底する研修などを怠った疑い。
 主治医は、昨年7月24日に男性の死亡診断書を作成した際、看護師らから装置の停止が死亡原因となった可能性のあることを報告されながら、築館署に24時間以内に届けなかった疑い。
 県警の捜査関係者によると、看護師と技士は容疑を認め、主治医は「異状死との認識がなかった」と否認したという。」
機能維持装置の電源プラグが抜けて停止し、入院中の当時82歳の男性が死亡した事故で、仙台地検は業務上過失致死容疑や医師法違反容疑で書類送検されていた看護師2人と医師1人を不起訴処分とした。」



谷直樹
ブログランキングに参加しています.下記バナーを1日1回クリックお願いします.7日間のクリック数合計が順位に反映します.

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2012-03-09 04:26 | 医療事故・医療裁判

タバコ病訴訟,3月14日の東京高裁判決を前に肺気腫の控訴人が呼吸苦で死亡

b0206085_18144126.jpg

「タバコ病のない横浜裁判」を7年間ともに闘ってきた,控訴人の水野雅信氏が長い闘病生活の末2012年3月7日に横浜の病院で亡くなりました.

肺気腫は,呼吸細気管支と肺胞が拡張し破壊される慢性疾患です.
肺気腫患者のほとんどは喫煙者です.

水野氏は,「今日も元気だ,タバコがうまい」などと広告宣伝さていた時代に,タバコが肺気腫の原因となることを知らずに喫煙し,肺気腫となりました.
そして,肺気腫により肺の機能が失われ,呼吸ができず,治療の甲斐無く死亡しました.
水野氏は,肺気腫の呼吸苦について,陸にいて海で溺れる如し,と述べていました.
酸素不足で苦しい中,前回の期日,822号法廷で切々と陳述する水野氏の姿が思い出されます.

喫煙によって肺癌・肺気腫など「タバコ病」になった3人が,2005年1月19日、タバコ病のない社会をめざして、国と日本たばこ産業(株)を訴える裁判を横浜地裁に起こしましたが,これで2人が亡くなりました.

2010年2月1日東京高裁に控訴し,2012年3月14日14時の東京高裁判決(裁判長福田剛久判事)を目の前にしての死亡でした.
私たち代理人弁護士がいますので,裁判は中断することなく,予定通り判決言い渡しが行われます.

心よりご冥福をお祈りするとともに,遺志を受け継ぎ,タバコ病のない社会を目指す戦いを最後まで続けたいと思います.

谷直樹
ブログランキングに参加しています.下記バナーを1日1回クリックお願いします.7日間のクリック数合計が順位に反映します.

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2012-03-08 09:25 | タバコ

「兵糧攻め」に苦しむ被災者たち,東京電力の抵抗で進まない原発事故賠償

b0206085_8344370.jpg東洋経済「東京電力の抵抗で進まない原発事故賠償、「兵糧攻め」に苦しむ被災者たち」(2012年3月6日)は,次のとおり報じています.

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村

「原発事故から11カ月たっても事故で被害を受けた地元住民への賠償は、遅々として進んでいない。文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会は昨年8月、賠償に関する「中間指針」を公表し、その翌月から東電は賠償請求の受け付けを開始した。東電は請求のための書類を約6万通送っているにもかかわらず、賠償金の支払件数はまだ2万件程度だ。

 低調にとどまる最大の要因は、東電の賠償への消極的な姿勢にある。

 東電が送付した個人用の賠償の説明書類は150ページを超える。わかりにくいとの批判を受け簡略版を提示したが、それでも請求書は60ページと膨大だ。項目も煩雑で、「とても手に取る気にならない」(年配の被災者)という代物。しかも当初、受領後は追加の請求を認めないなどとする文言を盛り込んでいた。

 そもそも、中間指針には損害として盛り込まれなかった項目が少なくなく、賠償額の算定基準にも不明確な点が残る。たとえば被災者への慰謝料は月10万円が基本とされたが、これは交通事故時の自賠責保険の慰謝料を参考に決められたものであり、しかも半年後からは半額となるなど、少なすぎるとの批判が強い。

 東電は、国の中間指針にない項目は賠償しないという姿勢を取り続けている。「中間指針の賠償基準は上限ではなく下限とされたはずなのに、東電が勝手に天井を決めてしまっている」(高梨弁護士)。」


また,弁護士高梨滋雄氏は,事故により生活の本拠地を追われ,見ず知らずの土地で生活を再建しなければならない被災者側の事情を考慮した損害賠償が必要であることを指摘しています.

「高梨滋雄弁護士は、「従来の損害賠償理論では事故による被害者の財産の減少を賠償すれば足りるとされてきたが、今回の事故だとそれだけでは被害者の生活再建につながらない。新たな土地での生活の立ち上げコストも賠償額として算定されるべきで、別途求めていく」と語る。」

東洋経済は,次のとおり結んでいます.

「東電の“兵糧攻め”を座視し、被災者を泣き寝入りさせるようでは、賠償スキームそのもののありようも厳しく問われることになる。」

政府は,賠償のために東京電力を残しましたが,こうなってくると東京電力を解体するのが正しい道だった,ということになるでしょう.

谷直樹
ブログランキングに参加しています.下記バナーを1日1回クリックお願いします.7日間のクリック数合計が順位に反映します.

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2012-03-07 01:34 | 脱原発

新型インフルエンザ特措法,強制診察・集会制限等最大3年も

b0206085_855467.jpg

時事通信「集会制限命令盛り込む=ワクチン接種順位も-新型インフル法案」(2012年3月6日)は,次のとおり報じています.

「政府は6日、新型インフルエンザの発生時に医師に診察を命じたり、集会の制限命令を出したりする規定を盛り込んだ対策法案をまとめた。近く閣議決定し、今国会に提出する。
 法案によると、世界で新型インフルエンザが発生した際、政府は対策本部を設置。入国者の検疫を行ったり、医師に対し感染の疑いがある人の診察を命じたりできるようにする。
 さらに、国民の生命・健康、国民経済に重大な被害を与える恐れがあるインフルエンザが国内で発生した場合には、首相が緊急事態を宣言。集会の制限命令を出すなど私権制限に踏み込むことを可能にする。国民へのワクチン接種順位も決め、宣言の継続期間は最大3年とする。」


法案の内容がようやく報道されましたが,予想以上にひどい内容です.
新型インフルエンザを口実とする人権侵害にほかなりません.
しかも3年も!

谷直樹
ブログランキングに参加しています.下記バナーを1日1回クリックお願いします.7日間のクリック数合計が順位に反映します.

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2012-03-07 00:18 | 人権

厚労省,医道審議会の答申を受け,リピーター医師を戒告処分

b0206085_1819910.jpg厚生労働省は,2012年3月5日,医道審議会の答申を受けて,医師・歯科医師38人の行政処分を発表しました.

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村

四日市市の××産婦人科の医師(71歳)は,麻酔薬の誤投与で出産後の女性を死亡させたとして業務上過失致死罪で罰金刑が確定し,2011年9月に厚労省が戒告処分を受けていますが,今回,別の2件の医療過誤であらためて戒告処分になりました.
いわゆるリピーター医師が処分されたのはこれが初めてです.

厚生労働省の処分は,行政処分です.
行政処分は,民事裁判とも刑事裁判とも,目的が異なります.
したがって,行政として,独自に認定,判断し,処分すべきです.
いままで刑事裁判で有罪となったことを受け,処分を決める,という対応であったことは,行政処分の本旨からすると異常なことでした.

ただ,従来の仕組みに変わりはありませんので,医道審議会が医療事故について独自に判断することには無理があります.

××産婦人科の医師は,戒告を受け再教育を受けることになりますが,再教育が必要なのはこの医師だけなのか,いささか疑問があります.一罰百戒と言えば聞こえはよいですが,不公平な処分という批判もあり得ると思います.

医療事故について,網羅的に収集検討し,原因を分析し,再発を防止するなかで,医道審議会ではなく,より適切な機関が再教育の必要性を判断していく仕組が必要と思います.

毎日新聞「医道審議会:医師と歯科医師38人を行政処分 不正などで」(2012年3月5日)は,次のとおり報じています.

厚生労働省は5日、医道審議会の答申を受け、刑事事件で有罪が確定するなどした医師と歯科医師計38人の行政処分を発表した。免許の取り消しは6人、1カ月~3年の業務停止は30人、戒告は2人。処分の発効は19日。

 患者の病名を偽り診療報酬を不正請求したとして詐欺罪で有罪になった旧厚生省医療指導監査官××××医師(61)=横浜市=や、共謀して女性を酒に酔わせて暴行しようとしたとして集団準強姦(ごうかん)未遂罪で有罪が確定した×××医師(39)=東京都北区=と××××医師(31)=文京区=は免許取り消しとした。

 産婦人科医院での2件の医療事故を巡り、患者の家族が事故を繰り返す「リピーター医師」として処分を申し立てていた××××医師(71)=三重県菰野町=は戒告とした。××医師は別の医療事故でも業務上過失致死罪で罰金50万円の略式命令を受け、昨年9月に厚労省から戒告処分を受けている。

 同省は診療報酬の不正請求について、従来は不正額に応じて処分していたが、額に関わらず「医業停止3カ月」など一定の処分内容とする方針に改めた。【佐々木洋】

 医道審議会の答申を受けた厚生労働省による処分者は次の通り(当時の所属医療機関の所在地、医療機関名、氏名、年齢、処分理由。敬称・呼称略)。

<免許取り消し>医療機関の所在地・名は非公表、×××(39)集団準強姦未遂
▽同、××××(31)集団準強姦未遂など
▽埼玉県桶川市、××××診療所××分院、××××(57)準強制わいせつ
▽和歌山県紀の川市、××耳鼻咽喉科、×××(53)同
▽広島市、××××××××病院など、×××(42)強制わいせつなど
▽横浜市、××クリニック、××××(61)詐欺

 <医業停止3年>
茨城県神栖市、×クリニック、××××(43)覚せい剤取締法違反など
▽東京都世田谷区、×××××病院、××××(45)同
▽大阪府吹田市、×××××××付属病院、××××(37)強制わいせつ

 <医業停止2年>
埼玉県川口市、××××××クリニック、××××(41)覚せい剤取締法違反
▽兵庫県猪名川町、×××××歯科医院、××××(64)準強制わいせつ

 <医業停止1年>
勤務先医療機関なし、××××(42)傷害など
▽高松市、×××××病院、×××(28)同

 <医業停止6月>
東京都港区、××××××クリニック、×××(62)保健師助産師看護師法違反
▽文京区、××歯科医院、×××(59)傷害
▽埼玉県毛呂山町、××××××病院、××××(33)住居侵入など
▽京都市、××歯科医院、××××(47)健康保険法などに基づく検査の拒否
▽同、××歯科医院、×××××(47)同

 <医業停止3月>
兵庫県尼崎市、××××病院、×××(41)自動車運転過失傷害など
▽東京都東村山市、××歯科医院、××××(44)児童買春・ポルノ処罰法違反
▽神奈川県伊勢原市、×××××××付属病院、××××(31)同
▽東京都府中市、××××病院、×××(30)迷惑防止条例違反
▽青森県弘前市、××病院、×××(46)道交法違反
▽堺市、××××クリニック、×××××(30)同
▽福井県越前市、××整形外科、××××(55)診療報酬不正請求
▽津市、××内科、×××(70)同
▽高知市、××歯科診療所、××××(47)同
▽京都市、××××歯科医院、××××(43)同
▽同、××××デンタルクリニック、××××(36)同
▽愛媛県今治市、××歯科医院、×××(54)同

 <医業停止2月>
川崎市、×××病院、××××(52)道交法違反
▽大分市、××××病院、××××(38)同

 <医業停止1月>
京都府木津川市、×××デンタルクリニック、××××(49)傷害
▽勤務先不明、×××××(76)、労基法違反など
▽広島市、××××××××病院、×××(29)道交法違反
▽福島県小野町、××クリニック、××××(64)廃棄物処理法違反

<戒告>
高松市、××歯科医院、××××(58)電磁的公正証書原本不実記録・同供用
▽三重県四日市市、××産婦人科、××××(71)医事に関する不正」

 
谷直樹
ブログランキングに参加しています.下記バナーを1日1回クリックお願いします.7日間のクリック数合計が順位に反映します.

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2012-03-06 08:46 | 医療事故・医療裁判

済生会八幡総合病院,ガーゼ残置事案で示談

b0206085_18365177.jpg
日刊スポーツ「おなかの中に11年間ガーゼ放置」(2012年3月5日)は,次のとおり報じています.

「済生会八幡総合病院(北九州市)は5日、1999年に卵巣腫瘍の手術をした50代の女性患者の腹部にガーゼを置き忘れるミスがあったと発表した。女性は昨年、ガーゼの摘出手術を受け、術後の経過は良好という。

 同病院によると、女性は昨年3月、体調不良を訴え市内の別の病院を受診した際、腹部から約20センチ四方のガーゼ1枚が見つかり、摘出手術を受けた。

 女性は99年10月の八幡総合病院での手術以降、ほかに手術を受けていなかったという。同病院は今年2月、賠償金を支払うことで女性と示談が成立した。

 松股孝院長は「同様の事例が起きないよう再発防止を徹底する」としている。(共同)」


体内に異物が残されていたことは,患者にとっては,とても気持ち悪いものです.
ガーゼ残置事案の示談報道は結構ありますが,おそらく報道される以上に起きているとみたほうがよいでしょう.

谷直樹
ブログランキングに参加しています.下記バナーを1日1回クリックお願いします.7日間のクリック数合計が順位に反映します.

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2012-03-06 08:11 | 医療事故・医療裁判

日弁連,新型インフルエンザ対策のための法制に関する会長声明

b0206085_185541.jpg

日本弁護士連合会(日弁連)は,2012年3月2日,「新型インフルエンザ対策のための法制に関する会長声明」を発表しました.
「新型インフルエンザ特措法」が,科学的な根拠が不十分なまま,人権に対する過剰な制約となる疑いが強いことから,以下の問題点を指摘し,性急な立法に反対しています.

内閣官房新型インフルエンザ等対策室は、本年1月、「新型インフルエンザ対策のための法制のたたき台」と題する資料(以下「たたき台」という。)を公表し、政府は今国会に「新型インフルエンザ対策特別措置法案(仮称)」(以下「新型インフルエンザ特措法」という。)の提出を予定している。

「たたき台」によれば、国は、発生した新型インフルエンザが国民の生命及び健康に著しく重大な被害を与えるおそれがあり、かつ、国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがあるときに「新型インフルエンザ緊急事態」を宣言できるとされ、その緊急事態における措置として、集会等の制限の要請や指示を始め、土地の収用、政策金融、国民の予防接種など、国民生活や企業活動に広範な影響を及ぼす措置を実施するとされ、罰則規定にも言及されている。

しかし、これらの人権制限については慎重な配慮と十分な国民的議論が必要であり、とりわけ、集会の制限については、集会が民主主義の基礎となる市民に身近な表現活動であり、それゆえに集会の自由が憲法21条によって保障されている重要な人権であることに鑑みれば、より一層の慎重さが要求される。

また、「新型インフルエンザ」の危険性の程度や流行の可能性については、科学的にも意見が分かれているところである。衛生状態や環境の異なる海外での事例を我が国にそのまま当てはめることもできない。さらに、「たたき台」では、「新型インフルエンザと同様の影響を持つ未知の新感染症にも適用する」とされているが、「同様の影響をもつ未知の新感染症」の範囲も不明確である。 新型インフルエンザ等について、科学的な根拠が十分でないまま、予防接種が強制されたり、集会の自由を始めとする各種人権が制限される懸念を払拭できない。

新型インフルエンザについては、現行の「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(1998年10月2日法律第114号)においてその対策が定められている。同法においては、「新型インフルエンザ等感染症」は「新たに人から人に伝染する能力を有することとなったウイルスを病原体とするインフルエンザであって、一般に国民が当該感染症に対する免疫を獲得していないことから、当該感染症の全国的かつ急速なまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認められるもの」と定義され(6条7項)、「国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれ」が要件とされているが、2009年に発生したA型H1N1亜型インフルエンザ(以下「09年インフルエンザ」という。)は、その危険性がなお不明な時点で「新型インフルエンザ等感染症」に該当するものとして同法が適用され、その後、09年インフルエンザの危険性が概ね季節性インフルエンザと同程度であることが判明した後も、適用が続けられた。政府が、09年インフルエンザについて、同法6条7項の「新型インフルエンザ等感染症」と認められなくなった旨を公表したのは、2011年3月31日である。

このような09年インフルエンザの経験に照らすと、新型インフルエンザ特措法についても、その拡大適用が懸念されるところであり、仮に新たな新型インフルエンザ対策が必要であるとしても、その適用の要件及び手続、制限される人権の範囲及び程度等について、具体的内容を定めた法案に基づく十分な検討が必要であるが、今なお、政府が示しているのは極めて抽象的な「たたき台」のみであり、具体的な検討は全くなされていない。にもかかわらず、政府が3月中の法案提出を予定しているのは、あまりにも性急に過ぎる。

当連合会は、新型インフルエンザ対策のための法制が、科学的な根拠が不十分なまま、各種人権に対する過剰な制約を伴うものとならないよう政府に求めるとともに、上記問題点を十分に検討することなく性急な立法を目指すことには反対する。」


新型インフルを口実に治安維持法ができようとしている,と言ってもよいでしょう.
戒厳令が出されてからでは遅すぎます.急いで反対の声をあげるべきでしょう.

谷直樹
ブログランキングに参加しています.下記バナーを1日1回クリックお願いします.7日間のクリック数合計が順位に反映します.

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2012-03-05 08:47 | 弁護士会

札幌医科大学が苫小牧市立病院など系列病院から麻酔科医を引き上げ

b0206085_1832789.jpg
札幌医科大学が,苫小牧市立病院,浦河赤十字病院,国立函館病院,市立赤平病院,市立三笠病院などの系列病院から常勤麻酔科医を引き上げるそうです.

「医大麻酔科には40人の医師が所属しているが、女性が4割を占めている。さらに6人が産休に入ったことなどから、同医大の山蔭道明教授は「医師不足の中で、(派遣を)引き上げざるを得なくなった」と説明する。」

苫小牧民報「苫小牧市立病院、麻酔科常勤医不在に? 札医大が派遣打ち切り打診」(2012年 3月1日)ご参照

たしかに,麻酔科医は,勤務時間の関係と思いますが,女性が多いです.
このように女性医師が多いと出産などの事情が重なり医師不足に陥ることも,当然予見可能で対処もできたはずなのに,突然このような事態になったことは疑問です.
女性医師が増えていることを考えると,前と同じ人数では医師不足になることは明らかです.

なお,苫小牧市立病院については,「一昨年、苫小牧市立で起きた医療事故の対応をめぐり、医師と病院側の信頼関係にひびが入り「そういう対応の病院では勤務できない、という医師もいる」(山蔭教授)。」そうです(前掲新聞記事).
そのような事情で真っ先に苫小牧市立病院への派遣が打ち切りになったのかもしれません.
なお,別の地域の別の病院の話ですが,出来の悪い医師を厳しく叱ったら辞めてしまい,大学からその科の医師派遣を打ち切られた,ということを院長先生から聞いたことがありますから,派遣打ち切りにはいろいろな事情があるのでしょう.

ともあれ,麻酔常勤医が不在ということは,緊急手術ができないことを意味し,東胆振の中核病院としての役割を担えないことになります.

以前,国立がんセンター中央病院で10人の常勤麻酔科医のうち5人が退職し,手術数を制限せざるを得なかったこともありましたが,その後常勤医は14人となり体制が確立されました.
雨降って地固まることを期待いたします.

市議会で,「岩倉博文市長は「患者、市民に与える影響を最小限にするため、昨年11月から全力を挙げて取り組んでいる」と説明。常勤医師の確保については「報告できる段階ではないが、動いている案件もある」などと答え、継続して医師確保に力を入れる考えを強調した。」とのことです.

苫小牧民報「外科手術への影響必至 苫小牧市立病院常勤麻酔医不在問題」(2012年3月3日)

【追記】

苫小牧民報「苫小牧市立病院 5月までは麻酔科常勤医確保」(2012年3月6日)は,次のとおり報じています.

「苫小牧市立病院の麻酔科常勤医が不在になるとされていた問題で、苫小牧市の岩倉博文市長は5日記者会見し、4月から2カ月間は、1人の常勤医確保に見通しが立ったことを発表した。苫小牧市医師会と協力して、市内医療機関からの応援態勢も協議しており、「地域医療を守るため、最大限の努力をしていく」などと述べて診療体制の維持に全力を挙げる考えを強調した。

 会見には市医師会の沖一郎会長も同席した。札幌医科大学からの医師派遣で3人の常勤態勢だった麻酔科は、今月中は常勤医2人と、札医大関連病院から出張医が週1日か、2週に1回派遣する方向で対応する。

 4、5の2カ月間は、札医大が常勤医1人を派遣することで了承を得た、という。さらに市内などの医療機関で、市医師会に所属する11人の麻酔科医の協力を得る形で、こうした医師がシフトを敷いたり、「札幌からも応援してもらう」(沖会長)方向で調整を続けている。

 これらの態勢を取ることで、夜間や休日、緊急時の手術に関して、沖会長は「(市立以外の)基幹病院や外科系医療機関でどのくらいできるのか調節、精査している。手術ができないことではない」と説明。基幹病院としての機能維持に協力する考えを強調した。

 6月以降の常勤医確保や診療体制は、岩倉市長は「報告できる段階ではないが、常勤医確保に向けて万全を期していきたい」と述べるにとどめた。

 また、市長は札医大が派遣引き揚げの方針を示したことについて、医師不足のほか、一昨年6月の医療事故に対する「病院の対応も影響している」と説明。十分な事故解明を行わず、麻酔による事故として議会報告したことについて「麻酔科医師、大学医局関係者に大変不快な思いをさせ、心からおわびしたい」と不適切な対応を陳謝した。沖会長も「(病院側の対応は)医師の立場から、麻酔科医が病院から離れていくことにつながる可能性は十分にあり得た」との認識を示した。

 こうした状況を踏まえ、事故原因や過失の有無などを再検証する医療事故調査検討委員会を中旬に設置することを改めて説明。医療事故に対する院内組織の強化にも言及した。」


 
 苫小牧民報社「「原因の特定困難」 苫小牧の市立病院事故調査委員会が報告」(2012年5月25日)は,次のとおり報じました.

苫小牧市の岩倉博文市長は25日、臨時記者会見を開き、市立病院医療事故調査検討委員会の報告書を受け、再発防止など院内の医療安全体制の確立に向けた取り組みの促進を強調した。

 事故は2010年5月に発生。人工関節置換手術を受けた患者に術後、障害が出たもので、院内の情報共有や検証が不十分なまま、「麻酔による事故」と当初、市議会などに報告した。

 調査委が原因と当時の対応を再検証し、24日の委員会で報告書をまとめた。会見に同席した沖一郎委員長は、事故原因について「時間が経過し、特定は困難との結論に至った」と説明。一方で「情報共有や事故後の管理部門の不適切な対応が問題を大きくした」として、院内体制確立の必要性を提言したと述べた。

 市長は、医療安全体制構築に向けた行動計画を策定したことを説明し、「体制を立て直し、市民や医療関係者に信頼される病院づくりに取り組む」と強調。「患者や、一連の対応で医療関係者にご迷惑を掛けた」と謝罪した。」


谷直樹
ブログランキングに参加しています.下記バナーを1日1回クリックお願いします.7日間のクリック数合計が順位に反映します.

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2012-03-04 11:30 | 医療

FDA,エリキスの承認判断を延期

b0206085_962389.jpg
以前,「ファクターXa阻害剤アピキサバンがワーファリンに優るという報告」を書きましたが,ブリストル・マイヤーズ・スクイブ社とファイザー社の塞栓症薬Factor Xa阻害剤「エリキスELIQUIS」(一般名:アピキサバンapixaban)について,米食品医薬品局(FDA)は,新たな情報が提供されたことから,最終承認判断期限を3カ月延期し6月28日としました.

ワルファリンの代替薬として,ベーリンガー・インゲルハイム社のプラザキサPradaxa(一般名:ダビガトラン)とジョンソン・エンド・ジョンソン社のザレルトXarelto(一般名:リバロキサバン)と三つ巴の競争になるでしょうが,プラザキサの例をみるまでもなく,安全性は慎重に検討される必要があります.

谷直樹
ブログランキングに参加しています.下記バナーを1日1回クリックお願いします.7日間のクリック数合計が順位に反映します.

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2012-03-03 09:00 | 医療