弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

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新潟地裁平成24年10月30日判決,大腸癌の検査義務違反で新潟医療生協木戸病院に賠償命じる(報道)

毎日新聞「がん死亡損賠訴訟:病院側過失認め、遺族勝訴−−地裁判決 /新潟」(2012年10月30日)は,次のとおり報じています.

 「妻が大腸がんで死亡したのは、通院していた木戸病院(新潟市東区)の検査や措置が不十分でがんの発見が遅れたためとして同区の男性と家族が、同病院を運営する新潟医療生活協同組合に約5300万円の慰謝料などを求めた訴訟の判決が29日、新潟地裁(三浦隆志裁判長)であった。三浦裁判長は病院側の過失を認め、計約2100万円の支払いを命じた。

 判決によると、男性の妻はめまい、頭痛などの症状を訴え、同病院に通院し、08年7月の血液検査で異常値が認められたが、超音波検査しか行われず、09年9月に別の病院でCT検査などを受けたところ、大腸がんと全身への転移が見つかった。妻は10年7月、大腸がんのため死亡した。

 三浦裁判長は判決で「(病院側は)疾患を疑い腫瘍マーカー検査を実施するほか、他の適切な医療機関に転院させるべきだった」などとして、病院側の過失を認めた。

 新潟医療生協は「判決文をよく読んで顧問弁護士と相談したい」としている。【塚本恒】」


一般に,リスク・主訴・症状→検査→診断→治療,という手順,流れで診療が行われますが,本件は「リスク・主訴・症状→検査」の部分に過誤を認めた裁判例です.

裁判所は「重大な疾患について優先的にその該当の有無が鑑別されるべきであり,主な争点として,①診療当時既に,客観的に,当該疾患を発症していたか,②当該疾患を疑うにたる主訴,症候等があったか否か,③当該疾患を疑った場合に求められる具体的な危険の選択,手順が検討される。」(秋吉仁美編『医療訴訟』279頁)という考え方に立っています.
なお,「当該疾患を疑うにたる主訴,症候」とは,当該疾患に特異的な主訴,症候のことをいうのではありません。
そもそも症状がない時点で早期発見,早期治療すべき,として健診が推奨されているような疾患では,リスクのある人にわずかでも当該疾患を疑わせる主訴,症候があれば,検査に結びつける必要があるでしょう.
早期の大腸がんの場合,自覚症状はほとんどありません。

検査にも求められる手順があり,医療過誤が問題になります.
本件は,「③当該疾患を疑った場合に求められる具体的な危険の選択,手順」の場面ですが,残念ながら「血液検査で異常値が認められたが、超音波検査しか行われず」としか報じられていませんので,判決をみないと経緯がよくわかりません.

谷直樹

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by medical-law | 2012-10-31 02:01 | 医療事故・医療裁判

重度障害児の専門医療施設で7歳の男児が高熱を出し胃からの出血で窒息死した事案,道と両親が和解(報道)

NHK「施設で男児死亡 道と両親和解」(2012年10月29日)は,次のとおり報じました.

「障害のある子どもを道の医療施設に預けた両親が「子どもが高熱を出して死亡したのは適切な対応を取らなかったためだ」として道に賠償を求めた裁判は、道が両親に和解金を支払うことなどで和解が成立しました。
この裁判は平成16年に、札幌市手稲区にあった道立の「札幌肢体不自由児総合療育センター」、現在の「子ども総合医療・療育センター」で大量の血を吐いて窒息死した7歳の男の子の両親が「高熱が続いていたのに解熱などの適切な対応を取らなかった」などとして道に7000万円余りの賠償を求めたものです。
札幌地方裁判所で続いていた裁判で、道は「過失はなかった」と主張し争っていましたが、今月に入って裁判所から和解を提案され、29日、道が両親に和解金を支払うことなどで和解が成立しました。詳しい和解の内容は明らかになっていませんが、道の担当者は「日ごろから安全管理を徹底しているが、今後も引き続き医療事故の防止に努めたい」と話しています。」


北海道新聞「男児死亡訴訟 遺族と道和解 札幌地裁」(2012年10月29日)は,次のとおり報じました.

「道の小児専門医療施設に預けた男児=当時(7)=が死亡したのは医療過誤が原因として、札幌市の両親が道に約7200万円の損害賠償を求めた訴訟は29日、札幌地裁で道が両親に和解金を支払うことで和解が成立した。双方は金額を明らかにしていない。

訴状によると、重いてんかんなどの障害があった男児は2004年12月、短期入所先の札幌市手稲区の道立札幌肢体不自由児総合療育センター(現道立子ども総合医療・療育センター)で高熱を出し、胃からの出血が原因で窒息死したという。両親側はセンターが重度障害児の専門機関としての義務に反し、経過観察や解熱などの措置を怠ったと主張。道側は過失の有無をめぐり争っていた。

 和解を受け、原告側の弁護士は「センターは今回の事故を踏まえ、障害児のためにより良い医療・支援に努めてほしい」と話した。道は「今後も引き続き医療事故の未然防止に努めたい」とのコメントを出した。」


2004年12月の事故について裁判上の和解に至るまでこれだけの年月がかかっています.
医療過誤に基づく損害賠償請求は大変です.
ちなみに,札幌には「札幌医療事故問題研究会」という患者側の弁護士の団体があります.

谷直樹

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by medical-law | 2012-10-30 02:17 | 医療事故・医療裁判

薬害オンブズパースン会議,「登録販売者試験受験資格に関する要望書」

登録販売者は,規制緩和による平成18年改正薬事法で新設された一般用医薬品を販売するための資格です.
平成27 年5 月31 日までの間に既存配置販売業者のもとで所定の実務経験を積み当該既存配置販売業者の作成した「実務経験(見込)証明書」及び「当該証明に関する勤務簿の写し又はこれに準ずるもの」を提出すれば,登録販売者試験の受験資格を得ることができます.
ところが,平成20年からの3年間で,実務経験の証明に関し,90件の不正が判明しています.
そこで,薬害オンブズパースン会議は,2012年10月25日,厚生労働大臣に対し,「登録販売者試験受験資格に関する要望書」を提出しました.

要望の趣旨は,以下のとおりです.

「1 登録販売者試験の受験要件である実務経験に関する経過措置を定めた薬事法施行規則等の一部を改正する省令附則第2条2項から、既存配置販売業に関する記載を削除すること
2 登録販売者試験の不正受験が行われた場合の制裁として、5年以内の受験資格停止規定を設けること
3 内容虚偽の「実務経験(見込)証明書」を作成した薬局開設者等に対する制裁規定を設けること」


この問題は昨年3月に表面化しましたが,未だ対応がなされていなかったのですね.
ちなみに,東京都のサイトには,以下の注意が記載されています.

「<今後出願を予定されている皆様へ>
・出願前に受験資格をよくご確認ください。毎年、出願後に受験資格がないことが分かり受験できない方がいらっしゃいます。

「<実務経験証明書発行者の皆様へ>
・実務経験証明書の内容に誤りがないことをよくご確認ください。虚偽や不正の証明を行うと薬事法違反となります。」


谷直樹

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by medical-law | 2012-10-29 05:00 | 医療

日本脳炎ワクチン,2人の死亡前に,重い副作用104人,後遺症少なくとも8人が報告されていた(報道)

日本消費者連盟とワクチントーク全国は,2012年10月19日,日本脳炎ワクチン投与後の2例の死亡例が報告されている以上,即刻中止して徹底的に原因究明すべきとして,厚生労働大臣宛に要請書を提出しました.
その要請の趣旨は,以下のとおりです.

「1 乾燥組織培養日本脳炎ワクチンの接種を中断し、日本脳炎の今回の死亡事故の原因を徹底究明すること。ほかの事例がないかを緊急に調査すること。

2 乾燥組織培養日本脳炎ワクチンは、承認時「Vero細胞を用いて製造されるはじめての医薬品であるので、重篤な副反応に関するデータの収集及び評価を行うこと」と貴省のQ&Aに書いてあります。接種開始後の予防接種の副作用について詳細に公表すること

3 日本脳炎ワクチン接種に必要性について、広く市民の意見を聴く場を設け、乾燥組織培養日本脳炎ワクチンの定期接種や勧奨を中止すること」


日本脳炎は,人から人には感染しない病気で,媒介するコガタアカイエカにさされて,抵抗力のない人に発生する疾患です.

要請書は,「2000年に国立感染症研究所が同ワクチンに接種者、非接種者を対象に行った抗体保有率調査では、9歳から20代前半の接種者では90パーセントを超える抗体、非接種者でも80パーセント弱の抗体を保有しており、自然感染で抗体を獲得して発症していません。その後、必ずしも自然感染獲得の抗体価が高くないので、ワクチン接種が必要であるとの論文が発表されていますが、一般的に、日本人と日本脳炎という病気には共生関係ができていると言え、ワクチン接種の必要性には疑問があります。」と必要性に疑問を投げかけていました.

危険性について,要請書は,「09年1月に阪大微研製の「ジェービック」が承認され6月より接種開始されました。承認時に提出された「審査報告書」やその後の追加報告でも、新ワクチンは量が少なくてもアレルギー反応による髄膜刺激症状や大脳機能の変調をきたす危険性が危惧されていました。」と指摘しています.

要請書は,予防接種後副反応報告書では2010年度(22年度)148件(そのうち脳炎・脳症3件、けいれん12件、運動障害3件、その他の神経障害4件),薬事法上の副作用報告では承認時より2010年1月5日までに21件(そのうちADEM1件、小脳性運動失調1件、けいれん4件、顔面神経麻痺1件など神経系障害7件)が報告されている,と指摘しました.

この時点では,上記の程度の情報しか公開されていなかったためです.

東京新聞「日本脳炎ワクチン 重い副作用104人 未回復、後遺症も」(2012年10月28日)は,次のとおり報じました..

「現行の日本脳炎ワクチン接種が始まった二〇〇九年六月から今年六月までに、医療機関の情報を基にした製薬企業から、百四人が接種後にけいれんや脳炎など重い副作用を起こしていたと報告されていたことが厚生労働省などへの取材で分かった。 

 今月十七日に岐阜県美濃市で男児(10)が接種後に急死したことを受け、厚労省は三十一日に「日本脳炎に関する小委員会」を開催。美濃市の男児と七月に死亡した子どもの経緯を公表し、副作用の事例も説明する。

 百四人の内訳は十歳未満が九十一人、十代が十二人、二十代が一人。症状は延べ百九十八件。このうち最多は発熱の四十一件で、「熱性けいれん」と「けいれん」がともに十五件、嘔吐(おうと)が十二件、急性散在性脳脊髄炎が十件など。過剰なアレルギー反応を示す「アナフィラキシー反応」と「アナフィラキシーショック」は計五件。回復していなかったり後遺症がある患者は少なくとも八人いる。

 薬事法は製薬企業に対し、医療機関から副作用が疑われる症例を知った時は、医薬品医療機器総合機構への報告を義務付けている。厚労省も医療機関などへ市町村を通じた報告を求めているが、法的義務はない。

 日本脳炎ワクチンの定期接種では、〇四年に女子中学生が急性散在性脳脊髄炎にかかり、厚労省は「接種との因果関係が否定できない」として翌年に「積極的な勧奨」を控えた。〇九年六月からは、マウスの脳を利用して作られた旧ワクチンに代わり、動物の脳が使われず副作用が少ないとされる乾燥ワクチンが使われている。

◆情報発信を迅速に

 厚労省で予防接種に関する委員を務める国立成育医療研究センター・加藤達夫名誉総長(小児科)の話 市町村を通じて医療機関や被害者から厚労省に報告される内容は、毎年十二月に前年度一年分を一度にチェックする仕組みになっており、緊急な検討ができない。厚労省に直接的に連絡でき、年に三、四回の頻度で検証する体制をつくり、迅速に詳しい情報を発信する必要がある。」


2人の死亡前に,重い副作用104人,後遺症少なくとも8人という事実が知らされていなかったことは,大きな問題です.この情報に基づき検討評価が行われていれば,2人の死亡は防止できたかもしれなかったのです.

日本脳炎ワクチンがもともと必要性に乏しい,必要性が疑問視されているワクチンであることからすれば,たとえわずかの副作用でもあれば接種の積極勧奨は止めるべきでしょうし,少なくとも,選択のために,日本脳炎ワクチンを接種するリスクと接種しないリスクを具体的な数字で知らせるべきでしょう.
また,現行システムは,日本脳炎ワクチンの安全性・危険性を即時に検討評価するものではないので,改める必要がある,と考えます.

谷直樹

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by medical-law | 2012-10-28 14:19 | 医療事故・医療裁判

長崎市の病院,人工呼吸器の部品を逆向きに装着し約15分間無酸素状態で意識不明に(報道)

日テレニュース「人工呼吸器の装着ミス…男性が意識不明」(2012年10月26日)は,次のとおり報じています.

「長崎市の市立病院で医療事故です。人工呼吸器の装着ミスで救急搬送された男性が意識不明となっていることがわかりました。

意識不明となっているのは、長崎市の80代の男性です。男性は10月21日の朝、急性心不全の疑いで市立病院に救急搬送され、心臓に管を入れて行う心臓カテーテルの検査を受けました。その際、医師と看護師が人工呼吸器を装着しましたが、部品を逆にし、酸素が行きとどかないまま、およそ15分間処置をしていました。男性は一時、心肺停止の状態となり、現在は集中治療室で意識不明のまま治療を受けています。市立病院は男性の意識の回復に向けた治療と再発防止に向け、さらに事故の詳しい調査を行う方針です。」


人工呼吸器の部品を逆向きに装着しないように部品の向きを確認するという注意義務があります.
2004年にも菊名記念病院で人工呼吸器の部品を逆向きに接続し,患者が死亡した事故がおきています.人は同じ過ちを繰り返しますので,再発防止策が大事と思います.

谷直樹

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by medical-law | 2012-10-26 22:18 | 医療事故・医療裁判

フジテレビ「とくダネ!」医療事故隠しを伝える

フジテレビ「とくダネ!」で,江戸川区の病院の事件が取り上げられました.実は「とくダネ!」には早い時期に別に内部告発があり,1年近くも取材していたそうです.

JCAST「医療ミス「認めぬ○○病院、逃げ回る医師」内部告発で火葬直前に警察解剖」(2012年10月25日)は,次のとおり伝えています.

カテーテル抜去数分後に倒れ死去―執刀医は「よくあること」

死亡したのは60代の男性で、重度の腎不全で昨年10月29日に妹をドナーに腎移植手術を受けた。11月3日に医師がカテーテルを抜いた直後に心肺停止状態となり7日に死亡した。家族によると、手術の経過はよく、男性がベッドに座って家族と話をしていたとき、執刀の医師が来て首についていた透析カテーテルを抜いた。男性はその数分後に倒れ込み、心臓マッサージなどをしたが回復しなかった。医師は家族に「よくあること」といっていたという。

死亡診断書には「肺梗塞」とあったが、原因は空欄だった。遺族は患者の最後の様子から「医療ミスではないか」と主治医に聞いたが、「医療事故なんかじゃありません」と否定され、そのまま解剖もせず火葬に回された。

ところがその直前、匿名で「医療事故です。いますぐ警察に司法解剖を依頼してください」と遺族に通報があって、火葬を中止して警察に知らせた。解剖の結果は肺動脈空気塞栓症。血管に空気が入って毛細血管に達すると、血流が止まり肺組織が壊死する。これが「肺梗塞」で病院の死因と同じだったが、解剖では原因は「カテーテルの抜去」とされた。」

専門家によると、カテーテルは太いので空気の流入を避けるため、通常は座ったままでは行なわないという。医療ミスが疑われるケースだが、取材に病院は一切答えなかった。主治医も答えず、いまは鹿児島にいる執刀の医師(カテーテルを抜いた)も電話に「不適切ではなかった」とだけしかいわない。」


透析カテーテルを座位で抜去→血管に空気が入り血流が止まり肺組織が壊死(肺梗塞)→死亡,という事態になったのです.これを,「よくあること」,「医療事故なんかじゃありません」,「不適切ではなかった」という医師はどうなんでしょう.

○○病院は,院内での密告者探しが行なわれて,電子カルテを開いた記録を洗ったりした,」とのことです.

司会の小倉智昭氏と療ジャーナリストの伊藤隼也氏は,次のとおりコメントしました.

「小倉氏 「カテーテルの抜き方に問題があったわけですよね」
伊藤氏「重力がありますから寝かして慎重に抜くのが基本。委員会も構成メンバーに問題があったり、当の医師が出て来ていないとか。守秘義務を振りかざしたりもしている」
小倉氏「しかも(内部告発の)犯人探しをしてる」
伊藤氏「ミスを認めて改善するという常識がない。告発の電話がなければ、お葬式して終わりだった」」


表面化していないだけで,このような医療事故がさらに隠れている可能性を感じます.

谷直樹

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by medical-law | 2012-10-26 03:13 | 医療事故・医療裁判

カナダの研究,Night Work and the Risk of Cancer Among Men夜勤をしている男性の発がんリスク

あなたの健康百科「夜勤者のがんリスク、未経験者の2~3倍 男性対象のカナダ研究」(2012年10月24日)は,次のとおり,伝えています.

「カナダ・ケベック大学州立科学研究所のMarie-Élise Parent氏らは、男性を対象にした研究から、夜勤はこれまで指摘されていた以外のがんの発症とも関連すると、10月3日発行の米医学誌「American Journal of Epidemiology」に発表した。夜勤をしている男性では、夜勤未経験の男性に比べてがんリスクが2~3倍高かったという。」
「夜間に光にさらされると、夜間に濃度がピークに達するはずのメラトニン(睡眠に関係するホルモン)の分泌が抑制されてしまう。メラトニンの抑制は概日リズム(サーカディアンリズム)や生殖ホルモンなどを障害するほか、がん発症に影響を及ぼすことが指摘されている。」

Am J Epidemiol. 2012 Oct 3に掲載された「Night Work and the Risk of Cancer Among Men」をみると,胃がん,食道がん,腎臓がん,メラノーマでは,有意差がなかったものの,前立腺がん等のリスクは以下のとおりでした。

prostate cance前立腺がん2.77 (95% CI: 1.96, 3.92)
non-Hodgkin's lymphoma非ホジキンリンパ腫2.31 (95% CI: 1.48, 3.61)
rectal cancer膵臓がん2.27 (95% CI: 1.24, 4.15)
rectal cancer直腸がん2.09 (95% CI: 1.40, 3.14)
colon cancer結腸がん2.03 (95% CI: 1.43, 2.89)
lung cancer肺がん1.76 (95% CI: 1.25, 2.47)
bladder cancer膀胱がん1.74 (95% CI: 1.22, 2.49)


この数字をみると,夜更かしは避けたいという気持ちになります.

谷直樹

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by medical-law | 2012-10-25 09:56 | 医療

森口尚史氏のiPS治療問題に医療ジャーナリストがコメント

週プレNEWS 「iPS治療だけじゃない! 医療業界にはびこる“研究ロンダリング”の実態」(2012年10月24日)で,医療ジャーナリストがコメントしていました.

医療ジャーナリストで写真家の伊藤隼也氏は,次のとおりコメントしました.

「森口氏に問題があるのは言うまでもありませんが、メディアの報道姿勢もおかしい。そもそも騒動の発端は、彼の荒唐無稽な話を読売新聞が1面で大きく報道したこと。読売だけでなく、大手各紙が過去に彼の話だけを鵜呑みにして記事を書いてきた。今回もきちんと検証報道をしていれば、すぐに嘘だとわかるケース。そこをまず反省すべきだと思います」
「特任研究員というのはいわばパートタイマーのようなもので、組織や研究チームの責任者にとって都合のいい人物が任命されるケースもある。その結果として、彼のようにムチャクチャな人が医療研究の現場にはいくらでもいるんです」(
「大雑把に言うと、研究費を取得したいから。リスクを冒してまでデータの改竄や論文の捏造をするのは、実体以上に自分や組織の成果を大きく見せるため。そうすれば、しかるべきところからお金が落ちてきますから」


医療ジャーナリストで医学博士の森田豊氏は,次のとおりコメントしました.

「共同研究者と認めていて、組織のボスがその研究の中身を知らなかったというのはおかしい。仮に共同研究者および所属している研究チームが論文や学会発表を増やすためだけに名前を貸していただけだとすれば、無責任な話です。結局、研究の現場でも、その研究が正しいかどうか、間違った方向にいっていないか、信頼性に富んでいるかどうか、チェックする機能が働いていないということ。今の日本の研究現場システムを変えないかぎり、同じことが繰り返される可能性はあります」

ときどき報じられる論文データ捏造問題などには,このような土壌があるのですね.
なお,森口尚史氏は,イレッサ研究にも関与し,「業績」を残しているそうです.

谷直樹

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by medical-law | 2012-10-25 02:51 | 医療

入所者の高齢化が進むにも拘わらず,職員数は年々減少の国立ハンセン病療養所(報道)

熊本日々新聞「人手不足…生活に不安 職員削減進む菊池恵楓園」(2012年10月23日)は,次のとおり報じています.

 「国立ハンセン病療養所・菊池恵楓園(合志市)で職員数が年々減少し、入所者の生活に深刻な影響を与えている。「人手が足りず、ブザーで呼んでもなかなか来てもらえない」「朝の洗面介助は午前4時から始まる」-。入所者や支援者でつくる「菊池恵楓園の将来を考える会」が実施した調査から、厳しい現状が浮かび上がっている。

 調査は医療・介護の実態を調べるため、今年2~9月に実施。入所者にアンケートで現状や改善してほしい点を聞いたほか、一部職員からも聞き取りをした。まだ中間集計の段階だが、入所者からは医師、職員の不足に伴う生活面の不自由さや不安を訴える声、今後も職員削減が進むことを心配する声が目立った。

 菊池恵楓園入所者自治会によると、入所者はハンセン病の後遺症に加え、高齢化で食事や生活面の介助が必要な人が増加。療養所の医療・介護の質を保つため、マンパワーが求められているという。

 同園の入所者数は18日現在、346人で平均年齢80・8歳。10年以上勤める介護職の男性は「高齢化で介助が必要な人が増え、手が回らない。入所者に不自由をかける場面もあり、すまないと思いながらお世話している」と打ち明ける。

 ハンセン病問題基本法は、国が療養所の医療・介護体制の確保に努力することを規定。しかし、「5年間で国家公務員を10%以上削減する」とした2009年の閣議決定に伴い、全国の国立ハンセン病療養所でも職員削減が進んでいる。

 菊池恵楓園入所者自治会によると、医師や看護師、介護職員などを合わせた本年度の職員数(賃金職員含む)は511人。この10年間で約13%減少した。

 今年8月、当時の小宮山洋子厚生労働相は、全国ハンセン病療養所入所者協議会(全療協)などとの協議で「大幅な定員減に歯止めをかける」と約束した。事態が改善されない場合、全療協はハンガーストライキや座り込みなどの実力行使も辞さない方針だ。

 全療協などは11月5日に東京都内で市民集会を開き、高齢化が進む療養所の介護の実態を訴える。ハンセン病市民学会も同8日、東京の日本記者クラブで実態を報告する予定。(楠本佳奈子)」


菊池恵楓園だけではなく,全国各地のハンセン病療養所の入所者の状況は,まったく同様です.

谷直樹

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by medical-law | 2012-10-24 02:38 | 医療

日弁連,「パソコンの遠隔操作による脅迫メール事件等の取調べについての会長声明」

日本弁護士連合会(日弁連)は2012年10月19日,「パソコンの遠隔操作による脅迫メール事件等の取調べについての会長声明」を発表しました.

「これら事件では、逮捕・勾留手続の適否について今後十分に検証する必要があるが、加えて看過されてはならないのは、これらの事件のうち少なくとも男性2人の虚偽の自白調書が作成されていることである。報道によれば、供述調書には、ありもしない「動機」までが書かれているとのことである。全く身に覚えのない脅迫行為について自分がやったと認め、動機まで記載された調書が作成されているということは、捜査機関による違法または不適切な取調べがあったと考えざるを得ない。

今回は、たまたま真犯人が他にいることが明らかになったが、そうでなければ、これらは隠れたえん罪になっていたであろう。このことは、虚偽自白による隠れたえん罪が決してまれなものではなく、現在もえん罪が起こり続けていることを示している。

そして、こうした虚偽自白の原因は、弁護人の立会いが認められず、密室で行われる現在の取調べの構造的な在り方にあることは、当連合会がこれまで指摘してきたとおりである。

現在、法制審議会「新時代の刑事司法制度特別部会」で議論されている取調べの在り方についての改革、とりわけ取調べ全過程の録画・録音の制度化は当然のこととして、弁護人立会制度の導入の必要性が、本件によって一層明らかになったというべきであり、早急な法制化を強く求めるものである。」


現在も,密室のなかの自白強要でえん罪が作られていることがよくわかる事件です.

谷直樹

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by medical-law | 2012-10-24 02:27 | 弁護士会