弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

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日弁連,「医療等分野における情報の利活用と保護のための環境整備のあり方に関する報告書」に対する意見書

社会保障分野サブワーキンググループ及び医療機関等における個人情報保護のあり方に関する検討会は,2012年9月18日、「医療等分野における情報の利活用と保護のための環境整備のあり方に関する報告書」を取りまとめました.

本来,患者のプライバシー権(自己情報コントロール権)の保護を第一義とすべきですが,この報告書は,患者情報を利用・活用する側にたって,情報の利用・活用を容易にしようとするあまり,患者のプライバシー権(自己情報コントロール権)をないがしろにする姿勢がうかがわれ,いささか問題があります.
まず,すべての医療機関に適用される医療分野に特化した個人情報保護法を制定すべきであり,その上で,患者の権利保護を第一義に情報の連携及び利用・活用の必要性との慎重な調整を行うべきでしょう.


日本弁護士連合会(日弁連)は,2012年10月16日付けで,パブリックコメントをを提出しました。

医療等分野における情報の利活用と保護のための環境整備のあり方に関する報告書」に対する意見書全文は,以下のとおりです.

1 はじめに

医療に関する個人情報は,極めて高度のプライバシー情報であり,患者のプライバシー権(自己情報コントロール権)等を保護するため,医療情報についての個人情報保護の個別法の制定が求められる。しかし,その策定に当たっては,以下述べる点に十分配慮し,慎重な検討を行うべきである。

2 個別法の必要性

まず,医療に関する個人情報は,極めて高度のプライバシー情報であり,情報主体(患者)による自己情報のコントロールや情報の第三者利用についても一般的な個人情報とは格別の考慮を必要とするものであるから,医療情報についての個人情報保護の個別法の制定が求められる。

現在,民間の医療機関には個人情報保護に関する通則法である個人情報保護法が適用される一方,国立の医療機関には行政機関個人情報保護法,独立行政法人の設置する医療機関には独立行政法人等個人情報保護法が適用され,さらに,自治体立の医療機関には各自治体の個人情報保護条例が適用されている。

また,民間の医療機関でも,取り扱う個人情報の数が5,000件以下の小規模医療機関には個人情報保護法の適用がない。

その結果,患者の自己決定権を保障するために極めて重要な役割を果たす診療記録開示請求権を行使するに当たっても,法的な開示義務の存否,委任を受けた代理人による開示請求の可否,開示が拒否された場合の救済手段等が,医療機関の種類によって区々になるという,患者にとって大変分かりにくい事態が生じている。

また,民間の医療機関の中には,未だに日本医師会「診療情報の提供に関する指針」に従い,委任を受けた代理人からの診療記録開示請求を拒むといった個人情報保護法に反する取扱いを続けている例がある。

このような状況を解消するためにも,患者のプライバシー権(自己情報コントロール権)等の保護のため,全ての医療機関に適用される医療分野に特化した個人情報保護法を制定すべきである。

3 全体的な問題点

まず,報告書は,全体として,情報の利活用に重点が置かれており,患者のプライバシー権(自己情報コントロール権)の侵害の危険性が払拭できない。

そもそも,医療の現場では患者は自分の病気の治療や健康管理のために特定の医療機関を信頼して情報を提供しているという側面を中心に置いて考えるべきであり,患者が,自己の医療情報について「他の専門家と共有されることを歓迎するであろう」(報告書 はじめに)とは一般にはいえない。

また,報告書では,情報の利活用を「患者自身も期待しているものであると考えられる」(報告書Ⅰ.1.(3))との記載もあるが,その主張の根拠は不明である。

報告書は,法に盛り込むべき基本理念(報告書Ⅱ.1)として6項目を挙げており,①医療機関による情報の連携,②医療の向上に資するための利活用に次いで,③として「医療等情報にまつわる患者等の期待の保護」が挙げられているが,医療情報に関する個人情報保護個別法の基本理念としては,患者のプライバシー権(自己情報コントロール権)の保護を第一義とし,その上で,患者の権利保護と,情報の連携及び利活用の必要性との慎重な調整を行うとの考え方をもって臨むべきである。

また,「社会保障分野サブワーキンググループ」及び「医療機関等における個人情報保護の在り方に関する検討会」の構成員は,医療情報を収集・利用する側に偏しており,患者の人権の観点を十分反映できるものになっていない。

4 情報の取得・本人同意のあり方

報告書では,医療情報の取得・本人同意のあり方について,医療サービスを受ける時点で医療情報の活用について本人の同意が得られていると推定できるとして,本人に対して掲示等によりその旨及び情報の管理責任者等を明らかにした上で同意を得た扱いとすることや,一定のルールに従って取り扱えるようにすること,掲示(黙示の同意)や将来活用することの包括同意などが検討されている(報告書Ⅱ.2.(2))。

しかし,医療情報の保護の必要性の高さに鑑みれば,上記方法での情報取得・本人同意には,患者のプライバシー権(自己情報コントロール権)等を侵害するおそれが払拭できない。

5 医療分野の情報化の意義について

(1) データに基づく医療費分析の問題点

報告書は,医療分野の情報化の意義として,高齢化による医療費の増加への対策を挙げている(報告書Ⅰ.1(2))。

しかし,データに基づく医療費分析を持ち出すことは,個々の患者について医療費を削減することを意図し,又はそのような結果を招くものと思われる。
このような制度は,患者が真に必要とする医療が受けられなくなる(患者の医療を受ける権利を侵害する)危険性を孕むものであるから,その導入には慎重な検討が必要である。高齢者医療として適切かどうかは,まず,当該医療機関の高齢者医療全般,更には日本の高齢者医療全体の観点から検討すべき問題である。

(2) データ収集による医療の質の向上

また,報告書は,医療分野の情報化の意義として,医学・医術の進歩,医療イノベーションの促進によるデータの活用を挙げている(報告書Ⅰ.1(2))。

しかし,これまでも医学・医術の進歩,医療イノベーションの促進を目的として,厚生労働省の主導の下に,医療機関,研究機関を対象とする難病,先進治療の研究が行われ,患者情報が収集されている。データ収集による医療の質の向上を目的とするのであれば,これまで行われてきた患者情報収集により、どの範囲でどのような情報を収集し,どのような成果があったのかを明らかにすべきであり,その上で,真に必要な情報が何であるかを限定する必要がある。

6 情報連携基盤の必要性について

報告書は,医療情報の医学の向上のための活用は患者も期待しており,公益目的のために必要な範囲で医用分野における情報連携基盤は必要であるとする(報告書Ⅰ.1.(3))。

しかし,報告書がどのような場面での共有を想定しているのかは明確ではなく,抽象的な「患者の期待」や「公益目的」が過度に強調されると,行きすぎた共有化によってかえって患者の権利・利益を害する事態を招くことが懸念される。

7 医療情報の利活用の目的について

報告書では,医療情報等の法制措置及び情報連携基盤において事務の効率化,医療の質の向上等期待される効果の例を列挙し,これらの効果の実現に資するような情報の取得,保管,利活用に関するルールが必要であると述べる(報告書Ⅱ.2(1))。

しかし,期待される効果として列挙されている事項は,地域医療,先進治療,診療・介護報酬等,極めて多方面に渡っており,何を目的として情報連携基盤を制度設計しようとしているのか全く明確ではない。

そのため,報告書では,健診情報,診療記録,レセプトデータ等,膨大な医療情報の中で,どの範囲でどの内容の情報を取得し,保管し,利活用するかに関する基本的な方針すら明らかにできていない。これでは情報の取扱いについて厳格に規律することは望むべくもない。

8 「医療等ID」の前提と連携の切断

報告書は,医療分野の情報化の環境整備のために本人情報識別のための番号として「医療等ID」の導入を検討している(報告書Ⅰ.1(4))。

しかし,報告書自身が指摘しているとおり(報告書Ⅰ.1(5)①),医療分野の個人情報保護法の必要性は「医療等ID」とは無関係に指摘されてきたものであり,医療分野の個人情報保護法は,「医療等ID」とは切り離して立法化がなされなければならない。

また,万が一,「医療等ID」情報が漏えいした場合には,連携を切ることで被害を抑えることが可能であるとしているが,これは当該情報に限ったことではなく,患者の医療情報の漏えいについても同様の対応が必要である。

しかし,そうした場合,一部の患者の情報の流出が発生したときに他の患者の情報の連携も切断するのか,そのことによる支障をどう考えるのか,どのような条件の下で接続を復旧させるのか,再接続を拒否する患者についてどうするのかなど,多くの困難な問題があり,慎重に検討する必要がある。

なお,「医療等ID」の導入と合わせて,第三者機関の設立を検討しているが,それとは別個の課題として,実効的で独立性の高い第三者機関の設立を検討すべきである。

9 結語

以上のように医療分野の個人情報保護に関する報告書には多くの問題点があり,制度設計には十分,慎重な検討が必要である。

なお,本意見書はパブリック・コメントの期限との関係で必要最小限度の意見に留めているが,当連合会としては,医療情報の保護法制に関する今後の制度設計について検討を進め,必要に応じて意見を述べていく所存である。」


谷直樹

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by medical-law | 2012-10-16 20:59 | 弁護士会

「患者の権利オンブズマン東京」の合宿

10月14日,15日と「患者の権利オンブズマン東京」の合宿に行ってきました.
今年は,飯山温泉の鄙びた旅館でした.
小田急線の本厚木駅から30分くらいですが,そこは丹沢山麓で風景がまったく違います.

合宿のプログラムは,盛りだくさんで充実した内容でした.事務所の工事停電のため出遅れてしまい,大学病院で医療安全を担当していた医師のお話を途中からしかきけなかったことが大変残念でした.来年の総会記念講演のこと,今年の12月で創立から丸10年になりますので10年の歩みをまとめることなども話しあいました.

谷直樹

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by medical-law | 2012-10-16 01:23 | オンブズマン

インプラント治療をしないという判断力

NHK「インプラント治療 事前に持病検査を」(2012年10月13日)は,次のとおり報じました.

「あごの骨に金属を埋め込んで人工の歯を取り付けるインプラント治療を、安全に行うための対策を考えるシンポジウムが横浜市で開かれ、治療の障害となる患者の持病などを事前に調べる検査の重要性が確認されました。

このシンポジウムは、インプラント治療を巡るトラブルが相次いでいることを受けて、安全対策を進めようと開かれたもので、歯科医師らおよそ150人が参加しました。
まず、国立保健医療科学院の玉置洋主任研究官が、厚生労働省の研究班として行った、歯学部のある全国の大学病院への調査結果を発表しました。
この中では、43の病院で、おととしまでの5年間に、インプラント治療のあと「金属があごの骨を貫通してマヒや炎症が残った」などのトラブルを訴えて患者が訪れたケースが307件あったことが報告されました。
また、東京歯科大学の矢島安朝教授が、自分の病院で行っている事前検査の結果、87%の患者が、インプラント治療の障害となる糖尿病などの持病を自覚していなかったことを報告し、事前検査を徹底することがトラブルの防止につながると訴えました。
シンポジウムを開いた鶴見大学先制医療研究センターの佐藤慶太准教授は「インプラント治療の安全を確保するには、技術の向上だけでなく、患者の状況を見極めたうえで、インプラント治療をしないという判断力も必要になってくる」と話していました。」


本来インプラント治療を行うべきではない歯科医と,本来インプラント治療を受けるべきではない患者がいて,事故がおきています.
「インプラント治療の安全を確保するには、技術の向上だけでなく、患者の状況を見極めたうえで、インプラント治療をしないという判断力も必要になってくる」という,あまりにも当然のことを言わねばならない状況なのでしょう.

谷直樹

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by medical-law | 2012-10-14 01:09 | 医療事故・医療裁判

ベンゾジアゼピン系薬の認知症リスクは5年で1.60倍(仏研究)Benzodiazepine use and risk of dementia

ボルドー第2大学のAntoine Pariente准教授らは、9月27日付の英医学誌「BMJ」(電子版)に 「Benzodiazepine use and risk of dementia: prospective population based study」を発表しました.65歳以上の「PAQUID」(フランス南西部ジロンド県およびドルドーニュ県の住民)を対象に追跡調査した結果,追跡後5年で認知症リスクが1.60倍,過去に服用していた人でも認知症リスクが1.56倍,という内容です.

あなたの健康百科「睡眠薬や抗不安薬で高齢者の認知症リスク上昇 仏研究」(2012年10月4日)は,次のとおり伝えました.

「追跡から5年の時点で認知症を発症していたのは、服用群は29人、非服用群は211人。年齢や性別、教育期間、他の薬剤服用、登録時から3年後の認知機能テスト(MMSE)のスコア低下で補正した結果、非服用群に対する服用群の認知症リスクは1.60倍だった。これは、抑うつ症状で補正してもリスクは1.62倍と高いままだったという。

 さらに、登録から8年、10年、13年、15年の各時点の評価を含めた解析でも認知症リスクは1.46倍、登録から8年目以降に認知症と診断された467人と認知症でない1,810人を比べた研究でも、ベンゾジアゼピン系薬を常用していた人の認知症リスクは1.55倍だった。特に注目されるのは、過去に服用していた人でもリスクが1.56倍だった点だ。

 以上のように、ベンゾジアゼピン系薬服用前の認知症の前段階症状などを除外しても、認知症発症に関連していたことなどから、Pariente氏らは同薬が無差別に拡大処方されるべきでないとして注意を促した。」


ベンゾジアゼピン系薬はGABAA受容体と結合し,チャネルの(開口時間ではなく)開口頻度を増加させます.
睡眠薬のほとんどがベンゾジアゼピン系です.
超短時間型は,トリアゾラム(ハルシオン),ゾビクロン(アモバン),酒石酸ゾルピデム(マイスリー),短時間型は,ブロチゾラム(レンドルミン),エチゾラム(デパス),リルマザボン(リスミー),ロラネタゼパム(ロラメット)中間型は,フルニトラゼパム(サイレース),ニトラゼパム(ベンザリン),ニメタゼパム(エリミン),エスタゾラム(ユーロジン),長時間型は,フルラゼパム(ベノジール),ハロキサゾラム(ソメリン)などです.
抗不安薬,抗てんかん薬としても使用されています.

谷直樹

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by medical-law | 2012-10-13 20:59 | 医療

チョコレートとノーベル賞

ニューヨークの医師フランツ・メッサーリ氏が,23カ国のチョコレート摂取量とノーベル賞受賞者数の人口比を調べたところ,相関関係があった,とのことでです.

ロイター「チョコ摂取量多い国、ノーベル賞輩出の確率高まる=研究」(2012年10月11日)は,次のとおり報じました.

「チョコレート消費量が多い国ほど、ノーベル賞受賞者を輩出する確率が高い――。こんな研究結果が医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に発表された。」

「最も相関関係が見られたのはスイスで、スウェーデン、デンマークがそれに続く。スイス出身のメッサーリ医師は「スイス人は平均で、1本当たり85グラムのチョコバーを年間120本食べる」と話す。同医師はこの研究をばかげているとしながらも、データは合理的だとしている。

また、2001年にノーベル物理学賞を共同受賞した米国人物理学者のエリック・コーネル氏は、チョコレート消費量は国の富に関連し、質の高い研究も国の富に関連すると指摘。ゆえに、「チョコレート消費量と質の高い研究に関連性があると言えるだろう。ただし、直接的な因果関係はないが」と付け加えた。」


ちなみに,ノーベル賞受賞者数ランキング,チョコレート消費量ランキング,国民総所得(GNI)ランキングは,次のとおりです.

ノーベル賞受賞者数(1901~2008年)ランキング
1位 アメリカ
2位 イギリス
3位 ドイツ
4位 フランス
5位 スウェーデン
6位 スイス
7位 旧ソ連
8位 日本
9位 オランダ
10位 イタリア
11位 デンマーク

国民1人あたりチョコレート消費量(2009年)ランキング
1位 ルーマニア
2位 ドイツ
3位 イギリス
4位 スイス
5位 ノルウェー
6位 デンマーク
7位 フィンランド
8位 フランス
9位 スウェーデン
10位 アメリカ

ちなみに日本は22位です.

WHOの国民総所得(GNI)ランキング(2010年)
1位 ルクセンブルク
2位 ノルウェー
3位 シンガポール
4位 スイス
5位 アメリカ
6位 オランダ
7位 デンマーク
8位 オーストリア
9位 スウェーデン
10位 カナダ

ちなみに日本は15位です.


メッサーリ氏の出身国スイスは6位,4位,4位です.
スウェーデン5位,9位,9位で,デンマークは,11位,6位,7位で,上位に入っています.

ノーベル賞受賞者数は長期間の集計で,国民1人あたりではありませんし,他のランキングは単年度のものですので,単純に比較はできませんが,チョコレート消費量1位のルーマニア,5位のノルウェー,7位のフィンランドがノーベル賞受賞者数上位に入っていませんし,チョコレート消費量との関連性はどうなんでしょうね.

日本は,国民総所得やチョコレート消費量(?)のわりには,ノーベル賞では健闘している,と言えるでしょう.

なお,私は,賞には全く縁がないですが,チョコレートは大好きです.

谷直樹

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by medical-law | 2012-10-13 09:15 | 休暇・休日

治療方法の説明と満足度は関連する,治療サポート制度は説明されていない(ファイザーの調査)

ファイザー株式会社が,がん患者と家族それぞれ1,000人に聞いたインターネット調査の結果が,2012年10月11日,発表されました.

1 治療方法の説明と満足度

「医師から治療選択肢を与えられ、医師と相談の上、決定した」73.3%(733人)
「自分に相談なく医師が決定した」18.6%(186人)

「自分に相談なく医師が決定した」と回答した人のほうが治療満足度が低い,という結果がでています.当然でしょう.

2 治療サポート制度

患者
「説明を受けていない」52.3%(523人)
「知らない」66.6%(666人)
「利用したことがある」1.7%(17人)。

家族
「説明を受けていない」61.4%(614人)
「知らない」73.6%(736人)
「利用したことがある」2.4%(24人)

説明が必要でしょう.

そのほか,セカンドオピニオンについては,認知率が高いが利用率が低い,などの結果がでています.

詳しくは,ファイザー株式会社のサイトご参照

谷直樹

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by medical-law | 2012-10-12 09:13 | 医療

厚生労働省医薬食品局総務課長松岡正樹氏,薬事法改正等を語る(報道)

日刊薬業「厚労省・松岡総務課長 薬事法改正案「次の通常国会に」(2012年10月10日)は,次のとおり報じました.

「薬事法改正案について松岡課長は、厚労省の薬害肝炎検証・検討委員会や医薬品等制度改正検討部会の報告書などを踏まえ、関係者の意見を聞きながら「挙げられている課題をしっかり具体化していく」と述べ、着実に具体化の作業を進めるとした。法案提出については「次の通常国会に提出できるように局の職員全体が協力し、局長、審議官の下でしっかり検討して取り組んでいきたい」とし、来年の通常国会への提出を目指すとした。

 第三者組織の創設については「独立性のあるしっかりとした組織を迅速に作るとなると、議員立法が重要だと考えている」と指摘。その上で「厚労省としては議員立法が成立し、第三者組織が設置された場合には事務局の役割を果たしていけるように必要な検討を進めていきたい」とし、議員立法の成立を目指すスタンスをあらためて表明した。」

「厚労省検討会での議論の結果、導入が見送られた抗がん剤救済制度に関しては、今後のがん対策やがん登録の整備、副作用発生状況等の基礎データの収集・分析を進めながら「引き続き制度の実現可能性を検討していきたい」と述べるにとどめた。」


薬事法改正案については作業を進め,抗がん剤救済制度については当面動かない,ということでしょうか.

谷直樹

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by medical-law | 2012-10-12 08:18 | 医療

静岡市立清水病院の医療事故,循環器内科医が書類送検されていた(報道)

朝日新聞「心臓手術で死亡、医師書類送検/静岡」(2012年10月11日)は,次のとおり報じています.

「静岡市立清水病院で2008年11月、同市の男性(当時76)が心臓カテーテル手術を受けて死亡した問題で、県警が手術を担当した男性医師を業務上過失致死容疑で書類送検していたことが10日、捜査関係者への取材で分かった。

 捜査関係者によると、医師は「血管を傷つけたことは間違いない」とした上で、「死因になるとは思わなかった」と話しているという。

 死亡した男性は08年10月、下腹部の痛みを訴えて同病院に搬送され、腹膜炎の手術を受けた。入院中の同年11月12日に心筋梗塞(こうそく)を発症。この医師の執刀により、金属の網の筒「ステント」を冠動脈に入れる心臓カテーテル手術を受けた後、病室で容体が悪化して死亡した。病院は翌13日、医師法に基づき、異状死として県警に届けた。

 捜査関係者によると、医師が心臓の右冠動脈内に「ガイドワイヤ」を通した際に動脈を傷つけ、心臓と心膜の間に血液がたまり、拍動を阻害する「心(しん)タンポナーデ」が起きて男性を死亡させた疑いがあると判断したという。今年2月に書類送検した。

 病院が設置した医療事故調査委員会は当時、「常識の範囲を逸脱する手技や対応は存在しなかった」と結論づけている。病院によると、医師は男性の死亡後に退職した。

 この医療事故を巡っては男性の遺族が10年8月、静岡市に慰謝料など約3900万円の損害賠償を求めて静岡地裁に提訴した。市側は同10月の第1回口頭弁論で争う姿勢を示している。(小林太一)」


静岡市立清水病院は,市合併前は「清水市立病院」でした.
静岡市立清水病院から被害をなくす会 」のサイトには,昭和60年2月の研修医による出産時の切開手術ミスのAさんの例からはじまり,子宮がん手術で尿管損傷,後遺障害のRさんの例まで事故例があげられています.上記新聞報道は,Qさんの例です.

【追記】

毎日新聞「市立清水病院の入院患者死亡:業過致死容疑の医師、不起訴に−−地検 /静岡」(2012年10月30日)は,次のとおり報じました.

「08年11月に静岡市清水区の市立清水病院で当時76歳の男性患者が急性心筋梗塞(こうそく)の治療後に死亡した問題で、静岡地検は29日、業務上過失致死容疑で書類送検されていた同病院の男性医師を容疑不十分で不起訴にしたと発表した。

 医師が心臓カテーテル治療を行った際に患者の心臓の血管を傷つけたとされたが、地検は「複数の専門医に検証してもらったが治療が原因とか、血管を傷つけたのが医師の不注意とは言い切れない」と話した。【平塚雄太】」


谷直樹

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by medical-law | 2012-10-11 22:22 | 医療事故・医療裁判

信州大医学部附属病院,止血用のアドレナリン注射薬を局所麻酔薬のリドカインと間違えて注射(報道)

読売新聞「麻酔と誤って止血剤注射…信大付属病院」(2012年10月11日)は,次のとおり報じています.

「信州大医学部付属病院(松本市)は10日、80歳代の男性患者に皮膚の移植手術をする際、局所麻酔で別の止血用薬剤を誤って注射する医療事故があったと発表した。患者は手術中に心拍数や血圧が上昇し、一時意識不明となったが、集中治療室で治療を受け、回復に向かっているという。

 同病院によると、患者は動脈が詰まり、足がただれる重症下肢虚血で今月3日、左足に脇腹の皮膚を移植する手術を受けた。手術前、担当医師が局所麻酔用の薬剤リドカインEを注射するはずが、看護師は生理食塩水で希釈した止血用のアドレナリン注射薬が入った注射器3本(計30ミリ・リットル分)を渡し、医師がそのまま注射した。

 看護師はアドレナリン注射薬を希釈中に医師から「局麻(局所麻酔薬)下さい」と言われ、手元の注射薬を求められたと思って手渡した。お互いに声に出して薬剤名は確認しなかった。別の看護師がアドレナリン注射薬の量が少ないことに気付き、ミスが分かった。

 男性患者は手術後半に心拍数や血圧が上がり、終了後に検査した結果、ストレスなどで心臓の筋肉が動かなくなるたこつぼ型心筋症と診断された。止血剤を注射したことが原因とみられるという。患者は快方に向かっているが、現在も集中治療室で治療を受けている。

 記者会見した天野直二病院長は「二度と繰り返さないよう、速やかな再発防止策を講じたい」と陳謝した。」


中日新聞「手術時に誤注射、患者一時意識不明 信州大病院」(2012年10月11日) は,次のとおり報じています.

「長野県松本市の信州大付属病院は10日、手術中に麻酔薬と間違え、血圧を上げるアドレナリンの希釈液を患者に誤って注射する医療ミスが起きたと発表した。患者は血圧上昇によるストレスで手術中に心筋症を発症し、血圧の急激な上下動から一時意識不明となったが、現在は回復傾向にある。

患者は80代の男性で、足の動脈が硬化して血液が行き渡らなくなる重症下肢虚血を患い入院。3日に脇腹の皮膚を足に移植する手術を受けた。

 手術中、医師が局所麻酔のリドカインを注射しようと注射器を求めた際、看護師が止血用に準備していたアドレナリン希釈液入りの注射器を誤って渡した。すぐ別の看護師が誤注射に気づいたが、この時点では患者の容体に問題がなく、15分程度で終わる予定だったため、あらためて局所麻酔を注射して手術を続行したところ、患者が一時意識不明になるなどした。

 病院側は既に患者と家族に謝罪した。記者会見した天野直二病院長は「注射の受け渡し時に薬剤の確認が徹底されていなかったことが事故の原因。2度と起こらないよう再発防止策を講じたい」と陳謝した。(佐野公彦)」


毎日新聞「医療事故:信大病院が誤注射 80代男性、一時意識不明 快方へ /長野」(2012年10月11日)は,次のとおり報じています.

「松本市の信州大医学部付属病院は10日、皮膚の移植手術で80代の男性患者に局所麻酔薬を注射する際、誤って止血用のアドレナリンを注射したと発表した。注射薬を誤った影響で患者は心臓の動きが悪化する「たこつぼ型心筋症」を発症し一時、意識不明になったが、間もなく回復し、現在は快方に向かっているという。

 病院によると、患者は足の血行が悪くなる「重症下肢虚血」を発症。今月3日、皮膚がただれた左足のアキレスけん周辺に、脇腹の皮膚を移植する外科手術を受けた。執刀前、脇腹に麻酔をかけるため、0・5%に希釈した麻酔薬「リドカインE」計30ミリリットルを注射するはずが、看護師が誤って、止血用に用意した0・01%のアドレナリン希釈液入り注射器を医師に渡した。医師は患者に各10ミリリットルを計3回皮下注射した。

 アドレナリン希釈液の残量が少ないため、別の看護師がミスに気が付いた。その時点で容体に問題はなく、約15分間の短時間の手術だったため、予定通り皮膚を移植した。終了間際、血圧の上昇や心電図に異常が出て容体が悪化。現在も患者は集中治療室で処置しているが、意識は回復し、今週末に一般病棟に移る見込み。病院は3日中に本人と家族に謝罪したという。

 記者会見で天野直二院長は「二度と繰り返さないよう再発防止に努めたい」と陳謝した。【大島英吾】」


「看護師はアドレナリン注射薬を希釈中に医師から「局麻(局所麻酔薬)下さい」と言われ、手元の注射薬を求められたと思って手渡した。お互いに声に出して薬剤名は確認しなかった。」ということが,どうしておきるのでしょうか.看護師も軽率ですが,医師も不注意です.

かつて,医師がオーロバンソーダの静脈注射を指示し,指示を受けた看護師がクロロフォルムを静脈注射した事案で,広島高裁は「(医師は)注射液の指示を受けた看護婦及びその補助者を監督監視し,自己に於いて現実に注射を行う場合と同様の注意をもって,患者の体内に注射する直接の行為はもちろんのこと,その以前における準備行為とも言うべき自己の指示した注射液の正確な確認,性状,薬液の混濁,浮遊物の有無,あるいは分量等,いやしくも注射に関することについては,細大もらさず厳重な検査をなし,もって注射の過誤なきを期すべき業務上の注意義務がある」と判示しました(広島高等裁判所昭和33年3月6日判決高刑特4・696).

谷直樹

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by medical-law | 2012-10-11 20:35 | 医療事故・医療裁判

公立八女総合病院,未破裂の脳動脈瘤の説明不十分で和解(報道)

読売新聞「脳手術で半身まひ、69歳女性が八女市と和解」(2012年10月10日)は,次のとおり報じています.
 
「福岡県八女市が運営する公立八女総合病院で脳動脈瘤(りゅう)の手術を受けた後、左半身がまひして寝たきりとなった八女市の女性(69)とその夫が、慰謝料など計約3550万円の損害賠償を市側に求めた訴訟は9日、福岡地裁(平田豊裁判長)で和解が成立した。市側は、手術前の説明が不十分だったことを認めて謝罪し、和解金800万円を支払う。

 訴状によると、女性は2006年10月、頭痛を訴え、同病院に搬送され、脳動脈瘤の手術を受けて成功した。その後、別の未破裂の脳動脈瘤が見つかり、同12月に手術を受けた。その後、左半身がまひしたという。

 原告側は、医師から「失敗確率はほとんどない」「手術以外に治療法はない」と説明されたと主張。「別の未破裂の動脈瘤は2~3ミリ程度で、脳外科学会のガイドラインでは、手術を回避して経過観察すべきだとされている」などと訴えていた。」


未破裂の動脈瘤は,手術を実施したほうがよいのか,実施しないほうがよいのか,人により判断が分かれ,手術を希望しない人も少なくありません.未破裂の動脈瘤の手術についての説明義務違反事案は,「説明義務違反と結果との因果関係」が認められやすい類型です.
裁判例も多く,とくに最高裁平成18年10月27日判決(判例時報1951号59頁)がよく知られています.

谷直樹

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by medical-law | 2012-10-10 23:38 | 医療事故・医療裁判