弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

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岡山市の病院で出産時の医療過誤提訴(報道)

MSN産経「出産で措置怠り障害 両親が病院を提訴 岡山」(2012年10月2日)は,次のとおり報じています.
 
「女児(1)の出産時に適切な蘇生(そせい)措置を怠ったため、脳性まひによる重い障害が残ったとして、岡山市の両親らが1日、出産した○○病院(岡山市北区)を運営する社会医療法人○○会と担当医を相手取り、計約1億6千万円の損害賠償を求める訴えを岡山地裁に起こした。

 訴状などによると、母親(32)は女児を昨年8月30日に出産。陣痛中にへその緒が胎児の首に巻き付き、心拍数が低下して危険な状態だったにもかかわらず監視を怠り、帝王切開の判断が遅れた。さらに、仮死状態で出生後も、他の医療機関の医師が到着するまで気管挿管など適切な蘇生措置を行わず、女児には脳性まひによる重い障害が残ったという。

 提訴後、市内で会見した母親は「病院の措置に問題があったと分かり、悲しみと怒りがこみ上げてきた。再発防止のためにも病院は過失を認めて安全な出産体制を整えてほしい」と訴えた。原告代理人弁護士によると、新生児の約1割は本格的な蘇生措置を必要とするが、「機器は備えられていても使える人やシステムが整っておらず、体制の不備によって起きた人災だ」と主張。同病院は「訴状を確認できておらずコメントできない」としている。」


報道によると,(1)監視を怠り帝王切開の判断が遅れたこと,(2)仮死状態で出生後他の医療機関の医師が到着するまで気管挿管など適切な蘇生措置を行わなかったこと,を注意義務違反と主張するようです.

【追記】

朝日新聞「出生児の蘇生遅れ訴訟/病院側、争う姿勢」(2012年11月6日)は,次のとおり報じました.

 「長女(1)の脳性まひは出産時の蘇生措置の遅れなどが原因だとして、岡山市に住む両親が、○○病院(岡山市北区)を運営する社会医療法人鴻仁(こう・じん)会と主治医に約1億5930万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が5日、岡山地裁(古田孝夫裁判官)であった。病院側は争う姿勢を示した。

 両親は訴状で、長女が仮死状態で生まれてから気管挿管による人工呼吸の措置を受けるまで、13分かかったことなどが長女の脳性まひの原因だと主張した。

 病院側は答弁書で「出生直後から、日本産婦人科学会のガイドラインに基づいた蘇生措置や心臓マッサージをした」と反論。気管挿管の遅れが後遺症につながったわけではない、とした。

 また、原告側の「長女の心拍数が低下していたのに帝王切開の決断が遅かった」との主張には、「速やかな決断、実施で法的注意義務違反はない」とした。

 この日は原告の両親とベビーカーに乗った長女が出廷した。長女はまだ首が座らず、つばものみ込めないという。母親(32)は「娘の将来を考えると、絶望を感じることも多い」と吐露した。「病院には、適切な時期での帝王切開、気管挿管により、今後助けられる子がいることを考えてほしい」とも述べた。(藤原学思)」

判決に注目したいと思います.

谷直樹

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by medical-law | 2012-10-02 05:07 | 医療事故・医療裁判

被災者健康支援連絡協議会,医師不足はないvs震災前から医師不足

CBニュース「被災地の医師不足めぐり意見交換- 被災者支援連絡協」(2012年10月1日)は,次のとおり報じています.

 「35の医療・介護団体などで構成する被災者健康支援連絡協議会(代表=横倉義武・日本医師会長)は1日、東日本大震災の被災地での医師不足の現状をめぐって意見交換した。この中で、医師不足が震災によるものなのかどうかや、医療法上の基準を満たせなくなっているのかどうかを確認した上で、支援の在り方を検討すべきだとの声が上がった。
 この日の協議会では、冒頭にあいさつした顧問の足立信也・民主党参院議員が、「(これまでの協議会で)被災県の意見を聞いてきて、おおむね2月あたりからは『心のケア』の分野を除いて医療従事者の不足はあまりないような印象を持っているが、報道では『全く足りない』という話がずっと出ている」と指摘。その上で、「われわれが拾えていない情報があるのではないか」との懸念を示した。
 これに対し、事務局長を務める嘉山孝正・全国医学部長病院長会議相談役は、取材に対して医師不足を訴えている病院の病院長からも、「医師は足りている」との回答を得ていると強調。こうした病院長に対し、12月に開く次の協議会への出席を求め、震災前から医師が不足しているのか、被災によって医師が足りなくなっているのかを確認したいとの考えを示した。
一方、全日本病院協会の西澤寛俊会長は、「もともと(医師が)足りない地域なので、(震災前の医師数に戻っても)足りていなかったら足りないと言うのは当たり前。理解してあげなければならないのではないか」と述べた。
 また、日本精神科病院協会の山崎學会長は、「医師が足りているかどうかの問題を論じる場合、医療法上、足りているのか、労働量として絶対数が足りないのかを分けて検討しなければならない」と指摘。その上で、「(震災の発生から)1年半たっても医師、看護師、薬剤師が足りないと言っているのに、なぜ国家試験を(年に)2回に増やさないのか」と問題提起した。これについて足立氏は、「今までの経緯からいっても、考えにくいと思う」と応じた。【高崎慎也】」


嘉山孝正氏・足立信也氏は,医師は不足していない,と述べ,他方,西澤寛俊氏は,医師不足は震災の影響ではない,と述べ,原因分析以前に,現状認識(あるいは「医師不足の定義」)から異なっています.

谷直樹

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by medical-law | 2012-10-02 04:49 | 医療