弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

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日本乳癌学会,指針発表

日本乳癌学会のサイトには,
「米国の人気女優アンジェリーナ・ジョリーさんが乳がん予防のために受けて話題となった遺伝性乳癌に関する事項、とくに乳房切除手術について多くの関心が寄せられています。今回、日本乳癌学会としてのステートメントを発表させていただきます。

「現在、遺伝性乳がん卵巣がんに関する検査及び、一連の医療行為(予防的な乳房切除術)は保険診療下で行うことはできません。しかし、保険診療ではない、自由診療というかたちでならば、同疾患に対する遺伝カウンセリングの体制が整った施設でのみ、遺伝学的検査を行うことは可能です。今後は、さらなる診療体制の充実を図るため、ただいま関連学会等と協議中です。指針が定まりましたら、改めてお知らせいたします。」

と掲載されていましたが,指針が定まったようです.

朝日新聞「乳房予防切除「死亡率減少の根拠不十分」 日本乳癌学会」(2013年6月28日)は,次のとおり報じています.

「【大岩ゆり】遺伝性で乳がんや卵巣がんになりやすい女性の乳房予防切除について「乳がんによる死亡が減る可能性はあるが、科学的な根拠はまだ不十分」とする診療指針を日本乳癌(にゅうがん)学会が28日にまとめた。切除で乳がんの発生は90~100%減るが、がんが起こる乳腺を完全に取り切れない、卵巣がんが起こるなどの可能性があり、死亡率を下げるかは、まだはっきりしていないという。

 遺伝性乳がんの乳房予防切除は、女優のアンジェリーナ・ジョリーさんが体験を公表して注目を集めた。日本乳癌学会は2年ぶりに、乳がんの診療指針を改定した。この中で、遺伝的に乳がんになりやすい人が、がん予防で健康な乳房を切除する手術について、「本人が手術のリスクや効果を十分に理解した上で希望すれば、考慮すべき手段」と判断した。

 また、遺伝性乳がんの早期発見には「マンモグラフィー(乳房X線撮影)よりも、MRIの方が有効と考えられる」とした。

 一方、乳がん全般では、高身長はリスクになる可能性があると盛り込まれた。英国の中高年女性約130万人を対象とした調査では、身長が10センチ高くなるとリスクが1・17倍高くなるとされた。子どもの頃の栄養状態や成長ホルモンが関係している可能性があるという。」


詳細を知りたいですね.


谷直樹

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by medical-law | 2013-06-29 09:38 | 医療

島根大学医学部附属病院,栄養補給チューブの気管支内挿入で提訴される(報道)

日本海テレビ「死亡原因は医療過誤として島根大学を提訴」(2013年6月25日)は,次のとおり報じました.

「島根大学医学部附属病院で入院中の姉が亡くなったのは、医療ミスが原因だとして、大田市の女性が島根大学を相手に2640万円の損害賠償を求める訴えを起こした。訴状によると、亡くなった女性は急性副腎不全治療のため、2010年1月、島根大学医学部附属病院に入院したが、栄養補給などに使うチューブを誤って気管支内に挿入して肺が損傷し、その後も正しく挿入されたのか確認を怠ったまま薬を注入し続けたため亡くなったという。島根大学は「訴状を精査し、今後の対応を検討したい」としている。」

経鼻経管栄養チューブが正しく胃に届いているかを確認する注意義務があります.
もし確認せずに,栄養補給を行ったとすれば注意義務違反にあたるでしょう

谷直樹

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by medical-law | 2013-06-25 23:51 | 医療事故・医療裁判

熊本の傘

先週,熊本に行きました.
熊本では,颱風の影響で雨が降っていました.
老舗の鶴屋百貨店で耐風仕様の傘を買いました.オランダのあの傘ではありませんが,骨がしっかりしていて丈夫そうです.

熊本空港から熊本市内へはリムジンバスがでていますが,熊本駅前で降りると裁判所まで路線バスを乗り継がねばならず,遠回りです.
「通町筋」で降りて京町の熊本地方裁判所まで歩いて行きました.
熊本城から3時の方向が「通町筋」で,12時30分の方向が熊本地方裁判所です.裁判所は,検察庁の陰の奥まったところにあります.
なお,風はさほど強くなく,耐風仕様の有効性実証は次の機会となりました.


谷直樹

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by medical-law | 2013-06-24 10:12 | 日常

政府広報オンラインに,お産の「もしも」を支える「産科医療補償制度」

政府広報オンラインの「お役立ち情報」に,「お産の「もしも」を支える「産科医療補償制度」」がアップされました.

お産の「もしも」を支える「産科医療補償制度」

「健康な赤ちゃんが無事に生まれてきますように――。それは、ご家族にとっても、お産をサポートする医療機関にとっても共通の願いです。しかし、お産の現場では予期せぬことが起こってしまう場合も。そこで、お産のときに何らかの理由で重度脳性まひとなった赤ちゃんとそのご家族に対して補償金をお支払いするとともに、原因分析・再発防止に取り組むのが「産科医療補償制度」です。平成21年生まれのお子さんは、満5歳(平成26年)の誕生日までが補償の申請期限ですのでご注意ください。・・・」

5歳になる前に申し込みましょう.

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by medical-law | 2013-06-24 09:35 | 医療事故・医療裁判

野田市,子宮頸がん予防ワクチンの接種を一時見合わせ

2013年6月18日から,野田市のサイトに次のとおり掲載されています.

現在、子宮頸がん予防ワクチンの接種を一時見合わせています

ヒトパピローマウイルス感染症(子宮頸がんなど)の予防接種は、子宮頸がんの原因として最も多いといわれる、発がん性ヒトパピローマウイルス16型、18型の感染を防ぐワクチンで、平成25年4月1日より、定期予防接種として実施しています。
 主な副反応として、発熱や接種した部位の痛み、発赤、腫れなどがあります。また、まれに重篤な副反応として、けいれんや歩行障がい、四肢に力が入らなくなるギラン・バレー症候群などが報告されています。

 そのため厚生労働省は、6月14日に平成25年度第2回厚生科学審議会予防接種審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、平成25年度第2回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会を開催しました。 その結果、ワクチンとの因果関係を否定できない持続的な疼痛が特異的に見られたことから、同副反応の発生頻度などがより明らかになり、国民に適切な情報提供ができるまでの間ヒトパピローマウイルス感染症(子宮頸がんなど)の定期接種を積極的に勧奨すべきではないとしておりますが、市としましては、安全性を最優先し、この間の予防接種を一時見合わせます。

 ただし、接種を希望される方は、各保健センターにおいて、ワクチンの副反応等につきまして十分ご説明をさせていただきます。 その上で、どうしても接種をご希望される方につきましては、保護者の住所が確認できるもの(健康保険証等)と接種者の母子健康手帳を添えて申請してください。予防接種に必要な書類をお渡しします。予防接種は、ご希望の医療機関で受けていただくことができます。」


厚労省の積極勧奨一時中止で,どうしたらよいのか混乱が広がっています.野田市の,原則接種中止,とくに希望する人に十分説明し接種実施,とい取り扱いは適切と思います.他の自治体も同様の対応を検討されてはいかがでしょうか.

谷直樹

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by medical-law | 2013-06-22 08:24 | 医療

夫の喫煙で妻の医療費が70歳代で1.4倍

朝日新聞「夫が喫煙、妻の医療費1.4倍 京大など調査」(2013年6月18日)は,次のとおり報じました.

 「【編集委員・田村建二】家庭で夫が吸うたばこの煙のせいで、吸わない妻の医療費が70代では1・4倍かかっていることが、宮城県の住民を対象にした京都大や東北大などの調査でわかった。受動喫煙で肺がんや心臓病の危険が高まることが知られているが、吸わない人への負担は医療費にも及んでいた。

 喫煙歴がなく、国民健康保険に加入する40~79歳の女性4870人について、自宅での受動喫煙の状況を質問。診療報酬明細書(レセプト)のデータを使い、1995年から2007年にかけてかかった医療費を調べて、受動喫煙の度合いとの関係を分析した。たばこ以外で病気にかかわる肥満や飲酒状況といった要因が影響しないよう、統計学的に調整した。

 京大の今中雄一教授(医療経済学)によると、70代で受動喫煙が「ない」とした人たちの月間平均医療費が3万2700円だったのに対し、受動喫煙が「ひどい」とした人たちでは4万6700円。入院でかかった医療費に限ると、「ない」人たちで1万600円、「ひどい」人たちで2万500円と、2倍近い差があった。

 ほかの世代などでは差ははっきりしなかった。今中さんは「たばこでかかる病気は高年齢で発症しやすいためではないか」と推測している。」


配偶者の健康のためにも,タバコを止めたいけどなかなか止められない喫煙者には,禁煙外来受診をお奨めします.

谷直樹

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by medical-law | 2013-06-22 08:10 | タバコ

鹿児島地裁平成25年6月18日判決,鹿大病院に説明義務違反の大動脈人工血管置換手術の責任を認める(報道)

KYT鹿児島読売テレビ「鹿大に3800万円余りの支払いを命令」(2013年6月18日)は,次のとおり報じました.

「鹿児島大学病院で川畑佳久さん(当時73)が大動脈瘤の手術を受けたあと、体が麻痺し寝たきりになったなどとして、家族が約7300万円の損害賠償を求めていた裁判で、鹿児島地裁は手術の方法に過失が認められるとして、大学側に3800万円あまりの支払いを命じた。裁判の主な争点は手術の必要性があったか。また手術の方法に過失があったかどうか。18日の判決で鹿児島地裁は、手術の必要性については「医師の裁量にゆだねられる」とした。一方で、手術の方法については「事前に患者から同意を得ておらず、不適切で許されない」と大学側の過失を認定。「途中で手術を断念すれば麻痺が発生しなかった可能性が高い」として、手術と麻痺の因果関係を認め、大学側に3800万円あまりの支払いを命じた。原告で川畑さんの長男の智義さんは「父が手術が終わって寝たきりになったあと、なぜこうなったのかということを非常に知りたがっていた。良い判決をいただいたということを伝えたい」と話した。これに対し、大学側は「判決文を詳細に検討して今後の対応について協議する」とコメントしている。」

毎日新聞「医療過誤損賠訴訟:鹿大病院に3800万円支払い命じる 医師の過失認定−−鹿児島地裁」(2013年6月19日)は,次のとおり報じました.

「鹿児島大学病院(鹿児島市)で必要のない手術を受け、下半身まひを負ったとして、鹿児島市の男性が大学側に総額約9700万円の損害賠償を求めた訴訟で、鹿児島地裁(久保田浩史裁判長)は18日、病院側に対し計約3800万円を遺族側に支払うよう命じた。

 裁判では、2006年5月、当時71歳の男性が同病院で受けた大動脈瘤(りゅう)の手術を巡り、大動脈を人工血管に置き換える手術法が事前に説明を受けたものと異なると主張。男性は術後、麻酔の影響で下半身不随となり、09年5月に脳梗塞(こうそく)で亡くなった。

 判決は「男性の同意を確認することなく、人工血管置換術を行った点に医師の裁量を越えた過失がある」と認定した。【土田暁彦】」


時事通信「鹿児島大に3800万円賠償命令=患者半身まひ、医師の過失認定-鹿児島地裁」(2013年6月18日)は,次のとおり報じました.

「鹿児島大病院(鹿児島市)で2006年、胸部大動脈瘤(りゅう)の人工血管置換手術を受けた男性=当時(71)=が半身まひとなり、その後死亡したのは、事前説明と異なる「プルスルー法」で手術をしたのが原因として、遺族が同病院に約7300万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が18日、鹿児島地裁であった。
 久保田浩史裁判長は「まひの危険性が高い手術を、患者への事前説明がない上に同意を得ずに行ったのは、医師の裁量の範囲を超え、不適切であって許されない」として、医師の過失と男性のまひの因果関係を認め、同病院に約3830万円の支払いを命じた。死亡との因果関係は認めなかった。」


プルスルー法の説明と同意がなく,実施し,対麻痺となった事案で,説明義務違反と対麻痺との因果関係を認めた判決です.適切な判決です.
詳しくは,代理人として本件を担当した小林洋二先生のブログを参照してください.

【追記】

KYT鹿児島読売テレビ「鹿大医療過誤訴訟 大学側が控訴断念」(2013年7月2日)は,次のとおり報じました.
「鹿児島大学病院の手術ミスで体が麻痺状態になったとして、手術を受けた男性(提訴後死亡)の遺族が損害賠償を求めた裁判で大学側は2日、控訴しないことを決めた。
病院側の過失を認め、3800万円余りの支払いを命じた先月18日の鹿児島地裁判決が確定する。
この裁判は2008年6月、鹿児島市の男性(当時73)が鹿大病院で大動脈りゅうの手術を受けた後、胸から下が麻痺した状態になったなどとして、遺族が大学側に損害賠償を求めていたもの。
控訴しないことを決めた大学側は「判決を重く受け止め、インフォームドコンセントの在り方についてしっかりとした見直しを行い、安全に配慮した医療に取り組んでいく。」とコメント。
男性の遺族は「判決をきちんと受け止めていただいた。今後同じような不幸な結果にならないようにしてほしい。」と話している。」



谷直樹

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by medical-law | 2013-06-20 02:21 | 医療事故・医療裁判

高尾クリニックの偽医師事件,厚労省の再発防止策は?

偽医師事件が相次いで報道されてますが,とくに高尾クリニックの偽医師事件は,再発防止という点から,重大な問題を示唆しています.

高尾クリニックの事案では,経営者自身が医師免許がないのに医師として診療していました.
事務長は,経営者と同級生で共犯でした.
この経営者は,印鑑を彫るための専用の機械で厚生労働大臣の印鑑を偽造し,偽の医師免許証を作っていました,
院長は,事務長から経営者の医師免許証のコピーを見せられ,医師と思っていました.

2013年1月,医師として不審な行為が続き,院長が医師免許証の提出を求め,経営者が透かしがない偽の医師免許証を提示したために,発覚したとのことです.

厚労省は,高尾クリニックの偽医師事件をふまえて,どのような再発防止策を示すのでしょうか,注目したいと思います.

谷直樹

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by medical-law | 2013-06-18 03:07 | 医療

「小説 医療裁判―ある野球少年の熱中症事件」

今日16日は,東京では雨でしたが,西日本や東海地方では厳しい暑さとなり,少なくとも117人が熱中症の疑いで病院に運ばれた,と報じられています.
そこで,想起するのが,小林洋二先生の「小説 医療裁判―ある野球少年の熱中症事件」です.
当事務所では,訴訟提起の際に,依頼者の皆様に同書を読んでいただくようにしていますが,医療裁判がよく分かると依頼者の皆様に好評です.

法学書院によると
ストーリーに引き込まれつつ、医療過誤訴訟の流れがわかる!
熱中症で亡くなった息子の病院での治療をめぐり,不信感を抱いた夫婦が法律相談にやってきた。
相談を受けたのは,新人弁護士の各務一朗。先輩弁護士にいろいろと教わりながら,はじめての医療過誤訴訟に挑んでいく。
医療過誤における過失とは? 因果関係とは? そして裁判の行方は?

◎ 医療事故相談から事故調査を始め,裁判受任,法廷戦術,証人尋問,判決と一連の流れのなかで医療過誤訴訟がどのように進んでいくかがわかります。
◎ 一般の方々や大学生,ロースクール生,司法試験受験生,修習生,新人弁護士はもちろん,医師,医療関係の方々にもぜひお勧めしたい1冊です。」

とのことです.

《目次》
新人弁護士各務一朗,初めての医療事故相談
過失論=医療水準論の判例研究会に参加する
医療事故調査を開始する
因果関係論の判例研究会に参加する
事件処理方針を決定する
各務一朗の入院と手術
裁判を受任する
医療過誤訴訟序盤戦─弁論準備手続が進む
尋問特訓から居酒屋談義へ
裁判は佳境へ─集中証拠調べ
医療過誤訴訟終盤戦─鑑定をめぐる攻防
とりあえずのエピローグ─一審判決


谷直樹

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by medical-law | 2013-06-16 23:58 | 医療事故・医療裁判

厚労省,子宮頸がんワクチン積極勧奨を一時中止

NHK「子宮頸がんワクチン 接種呼びかけ中止へ」(2013年6月14日)は,次のとおり報じました.


「子宮頸(けい)がんワクチンについて厚生労働省の専門家会議は、「接種のあと原因不明の体中の痛みを訴えるケースが30例以上報告され、回復していない例もある」などとして、積極的に接種を呼びかけるのを、一時中止すべきだという意見をまとめました。
厚生労働省は、近く全国の自治体に対して積極的に接種を呼びかけるのを中止するよう求めることにしています。

これは14日に開かれた、厚生労働省のワクチンの安全性を検討する専門家会議で決まったものです。
会議では、ことし4月に法律に基づく定期接種に追加され、小学6年生から高校1年生までの女子を対象に接種が行われている子宮頸がんワクチンについて議論が行われました。
この中で、接種したあと体中の痛みを訴えるケースが33例あり、このうち8例は回復していないことが報告され、専門家会議は「接種との因果関係も否定できない」と判断しました。
そのうえで、接種は継続するものの、「体中の痛みを訴えるケースは原因不明のため、国民に注意点を説明することができない」として、積極的に接種を呼びかけるのを、一時中止すべきだという意見をまとめました。

これを受けて厚生労働省は、近く全国の自治体に対して対象者に積極的に接種を呼びかけるのを中止するよう求めることにしています。
国が定期接種の対象としているワクチンについて接種の呼びかけを中止するのは、平成17年の日本脳炎のワクチン以来2回目で、極めて異例です。
厚生労働省によりますと、接種を希望する人に対しては、これまでどおり公費で接種が受けられるほか、副作用の被害が認められた際の救済制度の対象になるということです。

専門家会議の座長で、国際医療福祉大学の桃井眞里子副学長は「臨床試験のときには分からなかった全身の慢性の痛みが二桁程度でていて、未回復のものもあることを重視した結果だ。安全性に問題があるという判断ではなく、国民に対して責任ある対応をするために情報収集を行い、再び積極的な勧奨ができる状態にしていくということだと理解してほしい。がん予防のメリットを選びたい人については接種してもらっても構わない」と話していました。

子宮頸がんワクチンで重い副作用が起きたと訴えている子どもの保護者などで作る連絡会の代表で、東京・杉並区の松藤美香さんは「積極的な勧奨を差し控えるという結論は、接種を受けるかどうかは親の判断に任せてもらえるということで、ありがたい。会議では子どもたちの症状に対する調査も行うとされており、子どもたちが苦しんでいるなかで治療を考えていくという方針は大きな一歩だ」と話していました。」


今回,接種したあと体中の痛みを訴えるケースが33例あり,このうち8例が回復していないことから,積極的勧奨の暫定的中止となったのですが,4月に定期予防接種の対象としたことが適切だったかが問われるでしょう.

子宮頸がんワクチンについて,副作用情報の報告・収集が不十分で,どれくらいの害作用・被害があるのか不明な状況で,積極的勧奨が行われてきました.
2009年の販売開始から2013年3月までに,重篤な副作用報告が「サーバリックス」で301件,「ガーダシル」で56件報告されています.分母となる接種件数が大きなことを考慮しても無視できる数字ではありません.定期予防接種の対象となった今年4月以降は接種件数がふえているでしょうから,副作用被害も多くなっているでしょう.

そもそも,子宮頸がんワクチンは,HPV16型及び18型以外の癌原性(発がんの原因になる)HPV感染に起因する子宮頸がんおよびその前がん病変に対する予防効果は確認されていません.
子宮頸がんワクチンは,接種の時点ですでに感染しているHPVを排除したり、すでに発症しているHPV関連の病変の進行を予防する効果は期待できません。
子宮頸がんワクチンの予防効果がどのくらい持続するかについては、わかっていません.
子宮頸がんワクチン接種を受けた人が,安心して子宮頸がん検診を受けないことになれば,むしろマイナスのほうが大きいと思います.

このような子宮頸がんワクチンの有効性と危険性を考えると,子宮頸がんワクチン接種を勧奨するより,子宮頸がん検診の定期的受診を勧奨するほうが,よりよいのではないでしょうか.


【追記】

薬害オンブズパースン会議は,2013年9月25日,「『子宮頸がんワクチン(ヒトパピローマウイルスワクチン)』に関する要望書」を公表しました.要望の趣旨は次のとおりです.

「1 厚生労働大臣に対する要望
(1)定期接種を中止すること。
(2)任意接種後の副反応被害についても,予防接種法の定める救済制度と同等の補償をすること。

2 厚生労働大臣,各製薬会社及び各学会に対する要望
(1)副反応症例を重点的に調査し,その結果を公表すること。
(2)有効性及び安全性に関する情報を医療機関,医療従事者。」及び接種希望者に分かりやすい方法で提供すること。」


谷直樹

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by medical-law | 2013-06-15 04:54 | 医療