弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

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受精卵診断の実態,厚労省研究班が報告

西日本新聞「受精卵診断 遺伝情報の管理ずさん 閲覧制限なし、カルテ記載」(2013年11月3日)は,意義のとおり伝えました.

受精卵診断

 体外受精させた受精卵が4~8個の細胞に分裂した段階で、1、2個の細胞を取り出して染色体や遺伝子の異常を調べ、異常がない受精卵を子宮に戻して妊娠、出産につなげる。デュシェンヌ型筋ジストロフィーなど一部の重い遺伝病や、繰り返し起こる習慣流産が診断の対象。妊娠後の出生前診断と違い中絶手術を避けられるとの指摘がある一方、命の選別の側面がより強いとの批判がある。日本産科婦人科学会が審査し、これまでに11施設の実施を承認した。このほか、学会の承認なしに、諏訪マタニティークリニック(長野)や大谷レディスクリニック(兵庫)が実施を公表している。

受精卵診断 遺伝情報の管理ずさん 閲覧制限なし、カルテ記載

 遺伝子や染色体の異常を調べる受精卵診断(着床前診断)をしている医療機関で3施設が患者の遺伝情報の閲覧を制限していないなど、多くの機関で管理体制が不十分であることが、厚生労働省研究班(主任研究者・吉村泰典慶応大教授)による調査で2日までに分かった。

 受精卵診断は、重い病気の原因となる遺伝子変異や、流産を繰り返す染色体の変化が子どもに伝わるかどうかを判定するため、体外受精で作った受精卵の一部を取り出して検査する。日本産科婦人科学会は「遺伝情報は最も重大な個人情報である」として厳重な管理を求めている。

 国内で受精卵診断を実施している医療機関の大半とみられる12施設を調査した結果、3施設では患者の遺伝情報を閲覧できる担当者を決めていなかった。7施設では専門医以外も見る通常の産婦人科のカルテに遺伝情報を記載していた。

 患者には専門的な遺伝カウンセリングが必要だが、検査の前後に行っているのは3施設で、9施設は検査前だけだった。専用のカウンセリング室を使わず、外来の診察室で行う施設もあった。研究班は「遺伝情報の取り扱いと管理は不十分な体制の施設がほとんどだった」と指摘した。

 受精卵診断は2006年から12年10月までに、12施設で211組の夫婦が受診し、70人が生まれた。吉村教授は、受精卵診断は障害者への差別につながりかねないとの懸念が出されているとした上で、「体制をきちんと整えて実施しなければいけない。どのぐらいの割合で子どもが病気になり、どのように育つかなどを含めた専門家のカウンセリングも重要だ」と話している。

● 事前審査も不十分

 ▼生命倫理が専門の〓(〓はきへんに勝)島次郎・東京財団研究員の話 厳格な情報管理は、受精卵診断だけでなく遺伝子検査全般で必要だ。カウンセリングもいつでも受けられる体制にすべきだ。今回現場の一部で見つかった不備は日本産科婦人科学会の指針(会告)と事前審査が不十分だったという面もある。結果を踏まえ、指針を見直し改定すべきだ。受精卵診断技術の安全性を検証するため、生まれた子の健康状態を追跡することも不可欠で、その体制になっているかも調べなければいけない。



懸念されていた事態です.


谷直樹

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by medical-law | 2013-11-04 07:59 | 医療

薬害オンブズパースン会議が薬事法違反と不正競争防止法違反でノバルティスファーマを告発

msn産経「ノバルティスファーマを刑事告発 降圧剤広告は「誇大」 薬害NGO」(2013年11月1日)は、次のとおり報じました.
 
「高血圧治療の降圧剤「ディオバン」(一般名・バルサルタン)の臨床研究データ操作問題で、研究論文を引用して薬の効果を誇張して宣伝するなどしたとして、NGO「薬害オンブズパースン会議」が1日、薬事法違反(誇大広告)と不正競争防止法違反(誤認惹起=じゃっき=)罪で、販売元の製薬会社「ノバルティスファーマ」の告発状を東京地検に提出した。

 同会議のメンバーは薬害エイズ問題などを手がけた弁護士ら。告発状によると、ノ社は平成23年発行の医療専門誌2誌に、データ操作が発覚した京都府立医大の論文を引用した記事広告を掲載。治療効果を「脳卒中、狭心症のリスクは有意に減少した」と宣伝したなどとしている。

 同会議は、論文の結論が誤っていた可能性が高いにも関わらず、ノ社の広告は抑制効果が高い印象を与えており、「虚偽または誇大」と指摘。「商品の品質について誤認を引き起こした」として、不正競争防止法にも違反するとした。

 ノ社の関与については、データ解析に元社員が参加し、交通費を負担していた点を指摘し、「会社として(不正を)認識していたとするべきだ」と主張した。同会議事務局長の水口真寿美弁護士は「日本の臨床試験の信頼性を揺るがす重大事案。厚生労働省の調査は不十分。(解明は)捜査に委ねたい」と訴えた。

 ノ社広報部は「現段階では何も情報を得ていないため、コメントは控える」としている。


「<告発状より抜粋>

被告発会社の下記告発事実記載の各所為は、
薬事法第90条2号、第85条4号、第66条1項 誇大広告等の禁止違反
不正競争防止法第22条1項、第21条2項5号 不正競争
に該当すると思料されるので、厳正な捜査を遂げた上、被告発会社を処罰されるよう告発する(刑事訴訟法第239条1項)。

  告 発 事 実
   
被告発会社ノバルティスファーマ株式会社は、高血圧治療薬(降圧剤)であるディオバン(一般名バルサルタン)を製造販売する製薬企業であるが、被告発会社は、京都府立医科大学が実施したディオバンと他の既存降圧剤の効果を比較した臨床研究であるKYOTO HEART Studyの研究論文において、不正なデータ操作が行われ、ディオバンが既存降圧剤と比べて脳卒中や狭心症などの心血管イベントを抑制する効果があるとする同研究論文の結論は真正ではないにもかかわらず、

1 2011年1月発行の日経メディカルにおいて、
(1)「試験の対象は、JIKEI HEART Studyが心不全や冠動脈疾患などの心血管疾患を伴う高血圧、KYOTO HEART Studyはハイリスク高血圧という違いがありましたが、一次エンドポイント(心血管事故及び心血管死の複合ポイント:脳卒中・TIA、心筋梗塞、心不全及び狭心症による入院など)の相対リスクは両試験とも有意に減少しました」(疎1、151頁堀内)
(2)「両試験とも脳卒中、狭心症がバルサルタン群で有意に減少しましたね。」(疎1、151頁光山)

2 2011年6月発行の株式会社メディカルレビュー社が発行する「高血圧ナビゲータ 第3版」において、
(1)「KYOTO HEART Studyで、バルサルタンは日本人の心血管イベントを有意に減少させることが示されています。」(疎2、299~300頁小室)
(2)「(KYOTO HEART Studyでは)一次評価項目である脳・心・腎イベントはバルサルタン群で相対的に45%、有意(P<0.0001)に減少していました。内訳をみると、狭心症はJIKEI HEART Study同様、やはりバルサルタン群で有意に減少しています(相対リスク減少率49%:P=0.01058)。脳卒中も、KYOTO HEART StudyではCTないしMRIで病巣の存在を確認しているのですが、JIKEI HEART Study 同様、バルサルタン群で有意に減少していました(相対リスク減少率:45%、P=0.01488)。」(疎2、300~301頁熊谷)

等、KYOTO HEART Studyの研究論文の結果を引用した医師による対談を利用して記事を提供し、もってディオバンの治療効果について虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布したものである。

また、上記のように、KYOTO HEART Studyの研究論文の結果を引用した医師による対談を利用して記事を提供し、商品の広告にその商品の品質、内容について誤認させるような虚偽の表示をしたものである。 」


谷直樹

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by medical-law | 2013-11-02 01:11 | 医療

東京拘置所、投薬ミスを隠蔽した看守を戒告

MSN産経「女性看守が薬渡しのミス隠す 東京拘置所が戒告処分」(2013年11月1日)は、次のとおり報じました

「東京拘置所は1日、勾留中の被告に誤った時間にぜんそくの薬を渡し、ミスを隠すため別の薬を渡したように装ったとして、女性看守(27)を戒告の懲戒処分にしたと発表した。

 拘置所によると、看守は7月23日午後5時ごろ、勾留中の女性被告に頼まれてぜんそくの薬を渡した。12時間以上空けて渡すよう指示された薬で、2時間前の午後3時すぎに渡した記録があったが、前日のことと勘違いした。

 午後6時ごろ、被告が体調不良を訴えてミスに気付いたが、発覚を免れるため別の薬を渡したことにしようと思いつき、処方されていた精神安定薬の記録表に「23日午後5時10分に渡した」と書いた上、被告に翌朝「昨日渡したのは精神安定薬だった」とうそを伝えたという。

 被告はその後、診察を受け、健康に問題はなかった。」


医療に関することは、ミスが起きないように別の人が点検確認することが必要です.
ミスを隠蔽しようとしたのは悪質です.

谷直樹

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by medical-law | 2013-11-02 01:04 | 医療

日本臓器移植ネットワークのコーディネーターが検査結果を見誤り,ルール上対象外の患者に移植

NHK「対象外の患者に臓器提供」(2013年10月30日)は,次のとおり報じました.

「去年8月、兵庫県内の病院で、脳死と判定された男性から臓器の提供が行われた際、日本臓器移植ネットワークが検査結果を見誤り、ルール上、提供されるべき患者とは別の患者に、腎臓が提供されていたことが分かりました。

これは日本臓器移植ネットワークなどが30日会見し、明らかにしたものです。
それによりますと、去年8月、兵庫県内の病院で40代の男性が脳死と判定され臓器の提供が行われた際、ネットワークのコーディネーターが拒絶反応が出るおそれがあるという検査結果を見誤り、ルール上は、移植手術の対象とならない30代の男性患者に、移植の手続きを進めました。
その後、移植手術を行う病院が、より精密な検査をしたところ、拒絶反応は起こらないという結果が出たため、そのままこの男性患者に手術が行われましたが、ルール上は、最初の検査の段階で移植を待つ次の患者に提供先を変えるべきだったということです。
日本臓器移植ネットワークでは、移植を受けるはずだった患者に謝罪したということで、「二度とこのようなことを起こさないよう、チェック体制を強化し、職員の教育を徹底したい」と話しています。」


移植を受けられた患者にとっては良かったのでしょうが・・・
再発防止のためには,必ず別の人が確認するシステムが必要と思います.


谷直樹

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by medical-law | 2013-11-01 05:45 | 医療