弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

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埼玉県の病院,心電図アラーム音に約10分間気づかず入院患者が死亡(報道)

msn産経「アラーム気付かず患者死亡 埼玉・川口の病院」(2013年12月13日)は,次のとおり報じました.

「○○病院(同県川口市)で平成23年1月、入院していた女性=当時(71)=の容体が急変し、異常を知らせるアラームが鳴ったのに看護師らが気付かず、女性が死亡する事故があったことが13日、病院への取材で分かった。

 病院はミスを認め遺族に謝罪した。「すぐに救命処置をしていれば助かった可能性が高い。深くおわびし、再発防止を徹底する」と話している。遺族とは示談が成立しているという。

 病院によると、女性は閉塞(へいそく)性動脈硬化症と狭心症で同年1月に入院し、心臓の冠動脈にカテーテルを挿入して血管を広げる手術を受けた。

 手術から約1時間後、病室で容体が急変。ナースステーションにある心電図モニターのアラームが鳴ったが、看護師らは救急患者への対応や勤務交代などが重なり約10分間、気付かなかった。」


東京新聞「心電図アラーム気づかず 入院患者が死亡 川口の病院」(2013年12月14日)は,次のとおり報じました.

「川口市の○○病院で二〇一一年一月、入院患者の女性=当時(71)=の心電図の異常を知らせるアラーム音が鳴ったのに看護師らが気づかず、この女性が死亡していたことが、同病院への取材で分かった。病院側は「明らかなミス。すぐに処置をすれば救命できた」として、翌二月に遺族に謝罪したという。

 病院によると、同年一月十九日午後六時ごろ、病院六階のナースステーションで、不整脈になった女性の心電図の異常を知らせるアラーム音が鳴った。ナースステーションには看護師十数人がいたが、勤務交代の引き継ぎなどで多くが話し中だったことなどから、誰も気づかなかった。約十分後に急患の対応から戻った看護師が気づいたが、女性は約二時間後に死亡した。

 病院は同年二月から再発防止策として、午後五時~七時の看護師の多忙時間帯には、ナースステーション内の心電図モニターを専従で観察する検査技師を置いている。 (池田友次郎)」


アラーム音に気付かなかったためにおきた医療事故は,決して少ないものではありません.

アラーム音を小さくしていたり,看護師がナースステーションにいなかったり,原因は多様ですが,アラーム音に気づかない体制にあること自体が病院の責任と考えられます.
十数人の看護師がナースステーションにいながら,アラーム音に気づかなかったこのケースでは,明らかに注意義務違反があると言えます.

なお,医療訴訟では,モニターのアラーム音がなったときにただちに対応すれば,悪しき結果(死亡,重度の障害など)が発生しなかったか(回避可能性)が病態との関係で争われるケースもあります.このケースでは,アラーム音に気づいてすぐ対応していれば死亡結果は発生しなかったというのですから,因果関係は明らかです.

谷直樹

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by medical-law | 2013-12-14 10:26 | 医療事故・医療裁判

妊娠中に母親が喫煙した場合、ADHD(注意欠陥・多動性障害)リスクは男児1.9倍、女児1.7倍

西オーストラリア大学テレソン小児保健研究所のDesiree Silva教授らは、西オーストラリア州の住民から、ADHDと診断されて治療中の子供(症例群、1万2,991人)とADHDではない子供(対照群、3万71人)をについて、母親の胎内にいたときの環境の違いを比べた結果、妊娠中に母親が喫煙した群のADHC8注意欠陥・多動性障害)リスクは男児で1.9倍、女児1で.7倍だった、と報告しました.

健康百科「シングルマザー、妊娠中の喫煙で子供のADHDリスク増加 豪州の住民を調査」(2013年12月)参照

Environmental Risk Factors by Gender Associated With Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder.(注意欠陥障害に関連する環境リスク要因)
Silva D, Colvin L, Hagemann E, Bower C.

Source
Telethon Institute for Child Health Research, Centre for Child Health Research, and.

Abstract
BACKGROUND:Early environmental risk factors associated with attention-deficit/hyperactivity disorder (ADHD) have been increasingly suggested. Our study investigates the maternal, pregnancy, and newborn risk factors by gender for children prescribed stimulant medication for treatment of ADHD in Western Australia.METHODS:This is a population-based, record linkage case-control study. The records of all non-Aboriginal children and adolescents born in Western Australia and aged <25 years who were diagnosed with ADHD and prescribed stimulant medication (cases = 12 991) were linked to the Midwives Notification System (MNS) to obtain maternal, pregnancy, and birth information. The control population of 30 071 children was randomly selected from the MNS.RESULTS:Mothers of children with ADHD were significantly more likely to be younger, be single, have smoked in pregnancy, have labor induced, and experience threatened preterm labor, preeclampsia, urinary tract infection in pregnancy, or early term delivery irrespective of the gender of the child, compared with the control group. In the fully adjusted model, a novel finding was of a possible protective effect of oxytocin augmentation in girls. Low birth weight, postterm pregnancy, small for gestational age infant, fetal distress, and low Apgar scores were not identified as risk factors.CONCLUSIONS:Smoking in pregnancy, maternal urinary tract infection, being induced, and experiencing threatened preterm labor increase the risk of ADHD, with little gender difference, although oxytocin augmentation of labor appears protective for girls. Early term deliveries marginally increased the risk of ADHD. Studies designed to disentangle possible mechanisms, confounders, or moderators of these risk factors are warranted.


やはり、喫煙は子どもにも悪影響を及ぼします.

弁護士 谷直樹

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by medical-law | 2013-12-14 01:20 | タバコ

映画『東京物語』

2013年12月12日は,小津安二郎監督の生誕120年.没後60年の記念日です.Googleが小津調になっていますので,思いだされた方もいるでしょう.

GyaO!は,このところ,一日一作,小津作品を無料放映していますが,今日は,『東京物語』でした.言い尽くされた感はありますが,完成度が高く,日本映画史上最高傑作と言ってもよい作品です.
何度も見ていますが,じーんときます.

「勇ちゃん,あんた,おおきうなったら何になるん
あんたもお父さんみたいにお医者さんか
あんたがのう,お医者さんになるこらぁ,おばあちゃんおるかのう」

と死の予感を吐露するシーンもあれば,

「よう遊ぶ男でなぁ 法科の学生ですがなぁ,法律のことは何も知らんですがなぁ」

と嗤わせる場面もあります.

谷直樹

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by medical-law | 2013-12-12 23:21 | 趣味

医療問題弁護団、12月21日(土)午前9時15分~午後5時、レーシックホットライン

医療問題弁護団は、2013年12月21日(土)午前9時15分から午後5時まで、レーシックホットラインを行います.

電話は、03-6869-8391です.

詳しくは、医療問題弁護団のサイトへ

谷直樹

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by medical-law | 2013-12-10 02:49 | 医療事故・医療裁判

静岡地裁浜松支部平成25年11月26日判決、歯科医療過誤(インプラント)本人訴訟で195万円賠償認容(報道)

静岡新聞「iインプラント訴訟増加 浜松では賠償命令」(2013年12月9日)は、次のとおり報じました.

「顎の骨にインプラント(人工歯根)を埋め込み、人工歯をかぶせる歯科治療で、神経損傷、感染症などのトラブルや民事訴訟が県内を含む全国で増加している。リスクが高く高度な技術が求められる治療にもかかわらず、患者に否定的な情報を十分説明していないなど、歯科医のモラルが問われるケースも目立ち、早急な対策が求められている。

 浜松市南区の50代女性が、市内の歯科医に誤った治療をされたとして損害賠償を求めた訴訟の判決が11月26日にあり、静岡地裁浜松支部は歯科医に195万円の支払いを命じた。弁護士を立てない本人訴訟だったが、裁判所は過誤を認めた。女性は、ずさんな治療が横行していると憤る。
 判決や女性によると前歯の治療でインプラント本体を誤った位置に埋め込まれたため、激しい頭痛や顔面が腫れて食事も外出もままならない日が続いた。治療した歯科医は「失敗ではない」と主張したが、その後に受診した7カ所の歯科医院すべてで「撤去が必要」と診断された。「誰かが訴えなければ、被害者が増え続ける」と訴訟を決意したという。

 日本顎顔面インプラント学会の指導医で、浜松医療センター歯科口腔(こうくう)外科の内藤克美科長は、他の歯科医院の患者10人以上から、治療後の神経障害やインプラントの脱落などの相談を受けた。「インプラントはあくまで失った機能を補うもので、天然の歯とは違うということを患者側も理解しておく必要がある」と指摘する。一方で多発するトラブルの原因は「治療者側の知識と技術、モラルの欠如が大半」と警鐘を鳴らす。

「発展途上の治療」
 県歯科医師会の望月亮医療管理部長と五井卓生涯研修部長は「インプラントのおかげで入れ歯から解放され、喜ぶ人もいる」としながら、体系的な教育や技術の標準化はこれからで、発展途上の治療と指摘する。
 骨と歯の間には歯根膜という緩衝材があるが、インプラントと骨の間にはない。2人は「長期的な骨への影響は分かっていない」と懐疑的。「歯科医は説明責任を果たし、患者は納得いく説明をしてくれる歯科医にかかってほしい」と訴える。
 浜松医療センター歯科口腔外科の内藤科長は歯科医の増加で保険診療だけでは経営できず、高収益目当てで自由診療のインプラントを行う歯科医の存在も否定できないと指摘し、「監視する第三者機関が必要」と提言する。

歯科関連訴訟の情勢 裁判所の統計によると、2012年に全国の地裁であった医事関係訴訟は歯科が86件で、内科、外科、整形外科に続いて4番目に多かった。00年の39件から2倍以上に増えた。医療法学が専門の大磯義一郎浜松医科大教授によると、一般の医療過誤訴訟は原告の勝訴率が低下し、訴訟自体も減っているが、インプラント関連の訴訟は増加し、約8割で原告が勝訴した。治療の過誤が認められなくても、説明義務違反が認められるケースが多いという。」


本件は、弁護士を代理人とせずに、被害者が、自分自身で医療裁判を提訴・遂行し、勝訴しています.
このように、弁護士を代理人とせずに、自分自身で医療裁判を提訴・遂行することもできます.
とくに比較的少額の被害の場合には、弁護士費用を考えると、本人訴訟ができる人であれば、そのほうが経済的に合理的です.

医療事件は原告(患者)側に立証責任が科せられる関係で困難ではありますが、医療被害を受け、過失・因果関係を立証できる見込みがある場合は、あきらめずに、権利を行使することが大事と思います.
なお、本人訴訟を行う場合は、医療事件に詳しい弁護士に早期に相談し、提訴前、そして提訴後にも適時助言を得たほうがよいでしょう.

谷直樹

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by medical-law | 2013-12-10 02:25 | 医療事故・医療裁判

高知医療センター、強心剤服用薬で死亡事故(報道)

高知放送「高知医療センターで服用薬作用で死亡事故」(2013年12月4日)は、次のとおり報じました.

「4日、高知市池の高知医療センターで病院企業団議会の定例会が開かれ、昨年度も黒字決算となったことや、ことし10月までに院内で発生した医療事故について報告した。
その中で、今年5月入院していた70代の男性が5年前から服用していた強心剤の影響で心停止を起こし、翌日死亡したと報告があった。
医療センターでは強心剤の中毒症状などが見られず、予見不可能な過失のない医療事故としたが、議員からは「薬の影響を見抜けなかったのではないか」など過失を示唆する意見や、薬を処方したかかりつけ医の責任を問う意見が相次いだ。」


強心剤の副作用で死亡することはありうることですので、予見可能性自体まったくないということはないでしょう.
ただ、具体的な症状からその可能性の程度が低く、強心剤による治療の効果のほうが大きいと判断される場合であれば、強心剤を投与しないという回避方法をとる義務がない、というべきでしょう.
本件がどのような場合であるのかは、具体的な診療経過が報道されていないので、わかりませんが.

谷直樹

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by medical-law | 2013-12-05 00:42 | 医療事故・医療裁判

塩釜市立病院,仙台弁護士会のADRで今年1月の医療事故の遺族に示談金1000万円支払い(報道)

毎日新聞「塩釜市立病院:医療紛争和解金1000万円支払いへ」(2013年12月4日)は,次のとおり報じました. 

「塩釜市は3日、ADR(裁判外紛争解決手続き)に持ち込まれている市立病院の医療紛争で和解金1000万円の支払いを盛り込んだ議案を発表した。9日開会の12月定例市議会に提出する。

 今年1月22日未明、心臓に持病を持つ多賀城市の男性(当時70歳)が救急搬送され入院。その日深夜、男性が呼吸していないのを巡回中の看護師が発見、心肺蘇生などを施したが院内の連絡ミスによ・・・」


本件は,今年1月に発生した医療事故が年内に解決するのですから,医療裁判に比べて迅速です.
過失の有無について深刻な対立がない場合,弁護士会の医療ADRは,医事紛争の解決法の一つとして十分検討に値すると思います.

ちなみに,弁護士会の医療ADRは,東京3弁護会以外にも,札幌弁護士会,仙台弁護士会,愛知県弁護士会,大阪弁護士会(公益社団法人総合紛争解決センター),岡山弁護士会,広島弁護士会,愛媛弁護士会,福岡県弁護士会が設置しています.


谷直樹

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by medical-law | 2013-12-04 20:16 | 医療事故・医療裁判

子宮外妊娠破裂による出血性ショックの事案で,遺族が救急診療所,医師と東京都を提訴(報道)

msn産経「妊婦死亡は医療ミスと遺族が提訴」(2013年12月3日)は,次のとおり報じました.
 

「腹痛を訴えた都内の女性(28)が緊急搬送先の診療所で誤診され、約8時間後に子宮外妊娠破裂で死亡したとして、遺族が診療所と医師、東京都を相手取り、約9000万円の損害賠償を求める訴えを3日、東京地裁に起こした。訴えによると、診療所には救急医療用の十分な設備がなく、救急指定した都にも過失があるとしている。

 遺族側の弁護士が会見して明かした。訴えによると、女性は今年8月、激しい腹痛で都内の診療所に搬送された。医師には救急隊員を通じ、妊娠初期で早期流産の可能性があることを伝えたが「急性胃炎」などと診断され、ベッドに寝かされたまま約8時間後に死亡した。死因は「子宮外妊娠破裂による出血性ショック」だった。

 遺族側は適切な救命措置が行われなかったとして、刑事告訴を視野に警視庁北沢署に相談しているという。

 医師側の代理人弁護士は「訴えの内容を見ていないのでコメントできない」としている。」


読売新聞「救急搬送先の誤診で妻死亡、夫が9千万賠償提訴」(2013年12月3日)は,次のとおり報じました.

「救急搬送された東京都内の診療所(11床)で女性(当時28歳)が死亡したのは、適切な治療を怠ったためだなどとして、女性の夫(31)らが3日、治療に当たった男性院長や、診療所を救急医療機関に指定した東京都などを相手取り、計約9000万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。

 訴状によると、女性は8月、激しい腹痛を訴え、世田谷区内の診療所に救急搬送されたが、翌朝に死亡した。行政解剖の結果、死因は「子宮外妊娠破裂による腹腔ふくくう内出血」とされた。

 遺族側は、院長が子宮外妊娠破裂を疑わず、「急性胃炎・過呼吸症候群」と誤った診断をし、適切な処置を怠ったと主張。診療所の当直看護師は1人のみで、午前6時~9時は誰もいない状況が常態化していたのに、診療所を救急医療機関に指定した都にも重大な過失があると訴えている。」



東京都は,医療機関の申し出に基づき,救急病院のほかに,診療所も救急医療機関としています.救急医療機関のリストをみると,大病院に混じって小さな診療所も救急医療機関に認定されています.東京都は,どのような審査,どのような基準で,認定しているのでしょうか.
 少なくとも,本件については,妊娠初期で早期流産の可能性がある急性腹症の患者ですから,大規模な病院の医師の診療を必要としたのではないでしょうか.


【追記】

12月5日発売の週刊文春に「子宮外妊娠で出血多量死「妻は無責任救急医に殺された!」」が載ってます.


【再追記】

FNN「救急搬送先での28歳女性死亡めぐる裁判の口頭弁論 夫が胸中語る」(2014年1月22日)は,つぎのとおり報じました.

「2013年8月、28歳の妊娠中の女性が、救急搬送先の病院で死亡した。医療態勢などに不備はなかったのか。訴えを起こした夫に話を聞いた。
妻を亡くした平野雄一さんは「自分の選択で、妻を亡くしてしまったという思いは、やはり消えないと思います」と話した。
妻を失った夫の後悔の涙。
2013年8月、救急搬送先の診療所で亡くなった平野夏子さん(28)。
その死は、あまりにも突然だった。
2013年8月4日午前1時ごろ、亡くなった平野夏子さんは、夫に付き添われ、世田谷区の病院に救急搬送された。
夏子さんが、自宅で激しい腹痛を訴えたため、救急車を呼んだ夫の雄一さん。
1週間前に、別の病院で、初期流産の可能性があるとの診断を受けたことを伝えると、救急隊員は、婦人科の受け入れ先を探し始めた。
しかし、雄一さんは「『婦人科はゼロから、もう1回、探すことになります』と言われたので、まず痛みだけでも」と話した。
雄一さんの選択で搬送されたのは、世田谷区内の診療所。
雄一さんは「簡単な、たぶん聴診器と触診か何かやったくらいで、(処置は)点滴と痛み止めの注射だけですね」と話した。
診療所の看護記録には、自然流産や婦人科への通院との記載があったが、医師の診断は急性胃炎。
診療所内で経過を見ることになった。
その後、医師は、隣接する自宅に引き上げて、夜勤の看護師も不在となった午前8時ごろ、夏子さんの容体が急変した。
雄一さんは「妻が呼吸をしていなくて、医師を呼んで、心臓マッサージをしてもらいました」と話した。
そのまま、息を引き取った夏子さん。
行政解剖により、死因は、子宮外妊娠が原因となった、卵管破裂による出血死と判明した。
雄一さんは「現実を、まだ受け止め切れていない。妻の(指輪)は、ネックレスにして、持ち歩いている」と話した。
突然の死から、およそ半年。
雄一さんや遺族は、夏子さんの死は、医師が適切な処置を怠ったためだとして、診察した医師や、診療所を救急病院に指定した東京都を相手取り、およそ9,000万円の損害賠償を求める訴えを起こし、22日、1回目の口頭弁論が行われた。
22日午前、雄一さんは「どういうつもりで、注射・痛み止めだけ打って、朝まで様子を見させていたのか」と話した。
診療所側は22日、夏子さんの遺族らの訴えの一部について、争う姿勢を示す書面を提出し、訴えを棄却するように求めた。
また、救急医療体制に不備があるとされた東京都も、法的に問題がなかったことを主張したいと、争う姿勢を示した。」


【再々追記】


読売新聞「遺族と診療所が和解…救急搬送先での女性死亡」(2014年11月28日)は,次のとおり報じました.

「救急搬送された東京都世田谷区の診療所で死亡した女性(当時28歳)の遺族が、誤診があったなどとして診療所と、この診療所を救急医療機関に指定した都に計約9000万円の損害賠償を求めた訴訟は、東京地裁で和解が成立した。

 和解は25日付。遺族の代理人弁護士によると、診療所が遺族に6700万円を支払い、都への請求は放棄する。

 女性は昨年8月、腹痛のため診療所に救急搬送され、翌朝に死亡した。診療所は「急性胃炎」と診断したが、解剖の結果、「子宮外妊娠破裂による腹腔(ふくくう)内出血」と判明した。

 診療所の院長は取材に対し、「今後、再発防止に努めて診療にあたっていく」と話した。」



谷直樹

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by medical-law | 2013-12-03 21:19 | 医療事故・医療裁判

相模原中央病院,虫垂炎手術の際ガーゼ(約45cm×約30cm)を遺残(報道)

サンケイスポーツ「虫垂炎手術でガーゼ取り忘れ 縦45センチ、三つ折りのまま」(2013年12月3日)は,次のとおり報じました.

「相模原市の相模原中央病院で5月、女性患者(39)を開腹手術した際、女性執刀医が体内から医療用ガーゼを取り忘れるミスがあったことが3日、病院などへの取材で分かった。翌日に取り出したが、女性は業務上過失傷害の疑いで刑事告訴を検討、神奈川県警に相談している。

 病院によると、女性は5月2日、急性虫垂炎で入院。7日に開腹手術を受けた。翌日に経過を調べるためエックス線検査を受けたところ、体内に縦約45センチ、横約30センチのガーゼが三つ折りの状態で残っていた。

 病院側はミスを認めて女性に謝罪。別の医師が手術で取り出した。病院側は「代理人が女性側と交渉しており、コメントできない」と話している。(共同)」


朝日新聞「体内にタオル置き忘れ、翌日に再開腹手術 相模原の病院」(2013年12月3日)は,次のとおり報じました.

「【山元一郎】相模原市中央区の相模原中央病院(中野太郎院長)で5月、同区の会社員女性(39)の開腹手術をした際、執刀医が体内にタオル(縦44センチ、横29センチ)を置き忘れるミスがあり、再手術をしていたことが分かった。女性は、業務上過失傷害の疑いで執刀医に対する告訴状を神奈川県警相模原署に出した。

 取材に対し、同院は「コメントはございません」と回答している。」



ガーゼ遺残事故は,過失については明らかで,再手術を余儀なくされたことで損害が発生していますが,具体的な損害評価について争いになることがあります.
ガーゼ遺残事故は,確認すれば防止できる事故ですので,確認を徹底していただきたいと思います.


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by medical-law | 2013-12-03 21:10 | 医療事故・医療裁判

JT,電気式タバコ発売へ

朝日新聞「電気式たばこネット販売へ 免許画像登録で成人か判断」(2013年12月2日)は,次のとおり報じました.

「【小室浩幸】日本たばこ産業(JT)は12月12日、初めて電気式の無煙たばこを売り出す。たばこ販売店やコンビニエンスストアなどで説明するのが難しいとして、インターネット販売に限定する。たばこのネット販売は禁じられていないが、これまでは未成年の喫煙を防ぐなどの理由で見送っており、年齢確認をしっかりできるかなどの課題もある。

 12月12日に専用のホームページを開き、電気式の無煙たばこ用具「プルーム」(税込み希望小売価格3500円)と、この用具で吸うための葉タバコ入り容器「たばこポッド」(460円)を販売する。電気で加熱し、発生する蒸気に含まれるニコチンと香りを吸うたばこで、「パイプたばこ」として財務省の認可を受けた。

 ネット販売では対面で年齢を確認することができないため、未成年の購入につながるおそれがある。このため、生年月日が入った運転免許証や住民票などの画像を登録する仕組みで年齢を確認する。JTは「免許証などの公的な証明書に基づいて成人認証をする。配送先も証明書に記載された住所に限るので、未成年の喫煙は防げる」(IR広報部)と説明している。」


JTは,葉たばこから抽出したニコチンを使用することで,薬事法の規制を免れようとしてます.

「蒸気に含まれるニコチンと香りを吸う」とのことですが,本来,香りを楽しむだけならニコチン添加は不要です.(タバコの匂いを不快に感じる人のほうが多いのですが.)

ニコチンには依存性(中毒性)があります.
JTは,ニコチンを含んだ電気式のたばこによって,ニコチン依存の消費者を半永久的に確保しようとしているのでしょうか.

また,この電気式のたばこには,どのような(有害)成分が含まれるのか,不明です.
蒸気に含まれる有害物質による間接喫煙も懸念されます.


谷直樹

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by medical-law | 2013-12-02 09:55 | タバコ