弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

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福井地裁平成16年3月17日判決、気管チューブ抜管後の喉頭浮腫事案で責任肯定(報道)

福井新聞が10年前のきょうでとりあげていましたので,10年前の判決ですが,紹介します
術後の喉頭浮腫による窒息に対し,3.5mmのチューブ,3.0mmのチューブでも再挿管を試みるべきとし,麻酔科医が4.5mmのスタンダードチューブにより挿管を試みた後挿管操作を中断していることについて過失を認めた判決です.

福井新聞「旧国立鯖江病院医療ミスで賠償命令」(2004年3月17日)は,次のとおり報じました.

「旧国立鯖江病院で受けた手術後のトラブルで男児=当時(6つ)=が脳死状態となって死亡したのは、適切な処置をしなかった病院側の責任として、男児の両親=越前町在住=が国を相手に約八千百万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が十七日、福井地裁で言い渡された。小原卓雄裁判長は「担当医師は適切な処置をすべき注意義務に反した」として、国に約七千万円の支払いを命じた。

 男児は一九九七年二月、同病院で扁桃(へんとう)肥大の切除手術を受けた。終了後に気道を確保していたチューブを抜いたところ、気道が閉塞(へいそく)して呼吸できない状態になった。医師は二度にわたってチューブの挿入を試みたが失敗。気管切開手術でも間に合わず男児は脳死状態で意識不明となり、約一年半後に死亡した。

 男児は手術後、喉頭浮腫(こうとうふしゅ)を起こしていたのに、医師は喉頭けいれんと判断していた。国側は「浮腫は予見不可能」としたのに対し、判決では「チューブを抜いた後に起こる浮腫は、まれとはいえ文献で紹介されている。医師には予見し対処する注意義務違反があった」とした。

 また、医師はチューブが入らないためいったん挿入を中断している点について「異なる細さのチューブを使い、次々挿入を試みる必要があった。細いチューブでも酸素を送ることができるという症例もあり、命を救うのは可能だった」とした。

 男児の父親は「主張が認められ大変感謝している。この判決は大きな意義があると思う。事実を隠したり、否定することからは医療の進歩は望めない。国は控訴しないでほしい」としていた。厚生労働省近畿厚生局は「一部認められなかった点もあり、判決を十分検討して今後の方針を決めたい」とのコメントを出した。

 国立鯖江病院は国立病院・診療所の再編で二○○○年、丹南十市町村でつくる組合に経営移譲された。」


術後の喉頭浮腫による窒息事故は,まれではありません.すくなくとも患者側弁護士がうける相談では。
ただ,裁判となると,裁判所が,医師に具体的にどこまでを求めるか,義務認定についての予測が難しく,弁護士としては苦慮します.そこで,術後の喉頭浮腫による窒息事故は,示談,和解での解決が多いと思われます.この判決は,同種事案の解決の際に参考となっています.
この判決は,確定しており,判例時報1882号99頁に掲載されています.

弁護士 谷直樹

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by medical-law | 2014-03-18 05:34 | 医療事故・医療裁判

東京大学「SIGN 研究特別調査 予備調査委員会中間報告書」

慢性期慢性骨髄性白血病治療薬の臨床研究「SIGN研究」に関する国立大学法人東京大学特別調査予備調査委員会は、2014年3月14日、中間報告を発表しました.

報告書は、のヒヤリングと書証(臨床研究実施計画書、メール等)から、事実を認定し、評価を加えています.

SIGN 研究は、医師主導の臨床研究ということで、研究代表者は黒川峰夫教授(東大病院血液・腫瘍内科)、プロトコール作成委員会委員長は南谷泰仁講師(東大病院血液・腫瘍内科)でした.

実際の実施母体はノバルティス社(以下「N 社」という)のMRが関わっていたとされている東京CMLカンファレンス(以下「TCC」という) で、そのTCCの代表世話人は黒川峰夫教授でした.
TCC 事務局の南谷講師名のメールアカウントは、東大病院担当N 社社員により管理されており、そのメール内容を確認すると、発信者TCC 事務局、黒川教授名及び南谷講師名のメールは、N 社社員がその原案を作成し、それぞれの確認、了解のもと、N 社社員が黒川教授名又は、南谷講師名で発信していた、というのですから、中間報告が事実であれば,N 社と黒川教授・南谷講師との密接な関係がうかがわれるでしょう.

◆ 本当に医師主導の臨床研究だったのか?

報告書は、「南谷講師によると、研究デザインの立案は自身の手によるものとしている。しかしながら、研究計画書やアンケート用紙をはじめとするその後のほとんどの書類にはN 社の関与を示すプロパティが残されている。研究デザイン自体が海外のENRICH 試験を参考にしており、その資料がN 社から提供されていることも考慮すると、本臨床計画を企画するにあたって、かなり早期の段階からN 社の関与があったことを否定できない。」と指摘しています.

研究実施計画書やアンケート等の作成にN 社が関与していた。研究データの運搬に始まり、N 社社員が全参加施設の症例登録票等の写しを取得し、SIGN 研究の進捗状況が把握され、SIGN 研究の事務局機能も一部代行していた。TCC 事務局の南谷講師名のメールアカウントは東大病院担当N 社社員が管理し、東大病院担当N 社社員がメールの原案を作成するなど、実質的にTCC 事務局業務を代行していた。これらの事実は、本来、研究対象の製品を販売する企業とは独立して実施されるべき医師主導の臨床研究としては、適正性を欠いていると言わざるを得ない。」と評価しています.

医師主導の臨床研究と銘打っていましたが、その実態はノバルティス社主導の臨床研究だったといえるでしょう.

◆ 個人情報の扱い

「東大病院担当N 社社員によると、他施設担当社員も含めてアンケートの運搬に関与していたとのことである。初めからそのように運営されていたのではなく、他施設でのアンケートをその施設の担当社員が預かったことが契機となり、N 社社員によるアンケートの運搬が始まった。他施設N 社社員から預かったアンケートは2 部コピーし、1 部は事務局へ渡し、もう一部は東大病院担当N 社社員がN社内で保管していた。預かったものが原本の場合とコピーの場合があるが、いずれにしろ預かったものは他施設N 社社員に返却した。

事務局で他の施設からのfax を受領した際に、技術補佐員が受領書をその施設にfax 返信していた。やがて、その受領fax を東大病院担当N 社社員が代わりに作る様になり、fax で送られたデータも東大病院担当N 社社員が保管するようになった。その後、登録一覧(エクセルファイル)の更新も行うようになった。このようにして、東大病院担当N 社社員は全てのデータを入手するようになった。N社でそのデータがどのように扱われていたかは、N 社で調査中とのことである。

アンケートには、施設名、主治医名、被験者のイニシャル、生年月(日)、性別、患者ID などが記載されていた。特に「初回登録分CML 副作用アンケート」において記載されていた
患者ID は、明確な個人識別情報である。プロトコールでは研究事務局で症例登録番号を割り振り、登録通知書で各施設に通知し、この番号をもとに各施設で連結可能匿名化がなされることになっている。しかしながら、203 件のアンケートにおいて、各病院の患者ID が記入されていることが判明した。これらの個人識別情報はN 社にコピーとして渡っていたと考えられる。」

「他施設からのアンケートを N 社社員が運搬し始めたことを契機に、東大症例のアンケートや正規手続きであるfax で送られたアンケートも含めて255 例分の全てのデータがN 社に渡った。この中に施設名、主治医名、被験者のイニシャル、生年月(日)、性別、患者ID などが含まれていた。特に203 名分の患者ID が含まれていることは遺憾であり、守秘義務違反や個人情報保護法違反、学内内規の違反に該当する重大な過失である。」


◆ 第 75 回日本血液学会学術集会でなされた本研究の中間報告について

「タイトルとCOI 開示の2 枚を除く14 枚の発表スライドの内、半数の7 枚はN 社が作成したスライドと酷似しており、元のデータが同一のものを使用した可能性が高いと判断された。このうち1 枚はN 社社員がデータ解析し作成したスライドを流用したことが明らかとなっている。
なお、学会発表はビデオに撮影され、N 社によるニロチニブの販売促進活動に使用された。」

「ビデオ撮影された学会発表の内容は、研究の中間データであり、しかもN 社の関与の疑いがある。このような発表内容をN 社によるニロチニブの販売促進活動に使用させた事は慎重さを欠いていた。」


報告書で明らかにされた事実を前提とする限り、この件は臨床研究に関する倫理指針違反にあたる可能性もあり得るのではないでしょうか.


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by medical-law | 2014-03-15 04:39 | コンプライアンス

医科大学の大学院生が患者115名の個人情報を院外へ持ち出し誤送信

国立大学法人浜松医科大学は、2014年3月14日、「個人情報の院外への持出し及び電子メールの誤送信について」を発表しました.

「この度、標記の事態が発生したため、下記のとおり概要等について公表いたします。
本学では、日ごろから個人情報の適正な管理について取り組んでおり、特に患者情報の管理に関しては、情報ファイルの暗号化を行うなど、情報の秘匿性を図り、情報セキュリティ対策に努めてまいりました。
しかしながら、今般このような事態に至り、関係の皆様には、多大なる御心配、御迷惑をお掛けしましたことを、深くお詫び申し上げます。今後は、個人情報管理の更なる徹底を図り、信頼の回復に向けて努めてまいります。

                    記

1.概  要  平成26年3月4日(火)、大学院医学系研究科の大学院生(30歳代男性)が、研究会での発表用データとして使用するため、匿名化や暗号化がされていない患者さんの個人情報が含まれるファイルを、個人所有のコンピューターに入れて学外に持ち出しました。
翌3月5日(水)、研究会での発表を交代することとなった別の大学院生に、当該ファイルを電子メールで送信したところ、誤って第3者に送付してしまいました。

2.記録情報  Excelファイルには、115名の個人情報(ID、氏名、年齢、性別、喫煙歴、治療状況等)が入っており、パスワードを設定していませんでした。

3.状  況  3月5日(水)、誤送信先に電子メールを送り、ファイルの削除を依頼したところ、先方から「削除した」旨の返信がありました。
関係の皆様には個別に連絡し、事態を説明するとともに、お詫びしているところです。

4.再発防止  個人情報の管理についてあらためて徹底するため、全職員及び全学生に注意喚起するとともに、部署単位での再点検を行い、再発防止に努めることとしております。」


患者は、その個人情報がこのように取り扱われたからと言っても、実害が生じない以上賠償を求めることはできません.注意喚起のみでは、有効な再発防止とは思えません.ファイルを個人所有のパソコンにコピーするときは自動的に暗号化されるシステムを導入したら、いかがでしょうか.

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by medical-law | 2014-03-14 17:07 | コンプライアンス

長崎地裁平成26年3月11日判決,急性心筋炎を疑い転送すべきと病院の責任を肯定(報道)

東京新聞「中学生死亡は誤診と6千万円賠償 長崎地裁、病院側に命じる」(2014年3月11日)は,次のとおり報じました.

「長崎県新上五島町の上五島病院で2010年、入院中の女子中学生=当時(13)=が死亡したのは誤診が原因として、両親が約9千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、長崎地裁は11日、誤診を認め、運営する県病院企業団に計約6455万円の支払いを命じた。

 担当医は腸炎と診断したが、実際は急性心筋炎だった。井田宏裁判長は「重度の心筋炎を疑い、治療が可能な医療機関へ転送していれば救命できた。転送義務に違反した」と判断。過失はないとする病院側の主張を退けた。

 判決によると中学生は10年9月、頭痛や吐き気で救急外来を受診。病院は処置をしたが症状は改善せず、3日後に死亡。(共同)」

小児の心筋炎のなかに,症状が非典型的でありながら,急激に進行し重大な結果を生じる例があることは知られています.診断はたしかに難しいことが多いのですが,裁判では,その事案でいつどの程度疑いをもつことが可能だったか,がポイントとなります.患者側弁護士にとって,心筋炎による死亡事案を提訴するか否かは具体的な事案の事実認定・医学評価により微妙なところがありますので,大変悩ましい問題です.本判決は,その意味で参考になるものと思われます.判例集に掲載されたらよく読みたいと思います.

【追記】
産経新聞「医療ミス賠償を大幅減額 長崎」(2015年2月27日)は,つぎのとおり報じました.

「長崎県新上五島町の上五島病院で平成22年、入院中の女子中学生=当時(13)=が死亡したのは誤診が原因として、両親が約9千万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、福岡高裁(一志泰滋裁判長)は26日、運営する長崎県病院企業団に計約6400万円の支払いを命じた1審判決を変更し、330万円の支払いを命じた。」

福岡高裁は,因果関係の認定を変更したのでしょう.判例集に掲載されたらよく読みたいと思います.


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by medical-law | 2014-03-12 04:24 | 医療事故・医療裁判

プロポリスの販売幇助の容疑で、名誉教授を薬事法違反で書類送検

朝日新聞「「プロポリス、がんに効く」 ●名誉教授を書類送検」(2014年3月10日)は、次のとおり報じました.

「薬効をうたって健康食品「プロポリス」の販売を手助けしたとして、神奈川県警は10日、●大学の●名誉教授を薬事法違反(無許可医薬品販売)の幇助(ほうじょ)の疑いで書類送検し、発表した。

 県警によると、●名誉教授は2009年6月~13年10月、「副作用なくがん細胞が自滅」などとプロポリスの効能を書いた原稿を作り、健康食品販売会社のシャブロンに送付。同社が薬事法に違反してプロポリスを販売するのを手助けした疑いがある。09年から4年間で1千万円以上の顧問料を受け取っていたという。

 調べに●名誉教授は「効能は自分では裏付けていないが、他人の研究を読んで原稿を書いた」と話しているという。」


報道の件は,薬効があると思ったとのことですので,薬事法違反と言えるかが問題です.

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by medical-law | 2014-03-10 19:04 | 医療

大学病院,全身麻酔・鎮静剤プロポフォールを2歳児に使用し,死亡事故(報道)

東京女子医科大学病院は,2014年3月4日,「予期しない死亡事例の発生について」をサイトに掲載しました.

「このたび、当院において予期しない死亡事例が発生いたしました。患者様及びご遺族の皆様に多大な苦痛とご心痛を与えてしまいましたことに、深くお詫び申し上げます。

事例の概要につきましては、平成26年2月18日に実施された2歳代の幼児に対する頸部手術(リンパ管腫ピシバニール注入術)後の全身麻酔・鎮静用剤を用いた集中治療管理を行い経過観察中、平成26年2月21日に急性循環不全となり、ただちに蘇生処置を行ないましたが改善することなく永眠されました。

すみやかに本事例に係る院内調査検証会を開催し検討したところ、現時点では鎮静に用いた「プロポフォール」が作用した事が疑われました。

早急に外部評価委員を加えた医療安全管理特別部会を開催し、より詳細な検討を行います。

今後、本院の診療に対してより一層医療安全に努めてまいりますとともに、今後も経過を報告いたします。

なお、この公表につきましては関係官庁等への報告とご遺族の了解の下で行っております。」

プロポフォールは,マイケル・ジャクソン氏の死亡で有名になった全身麻酔・鎮静剤です.
劇薬です.
小児(集中治療における人工呼吸中の鎮静)への投与は,添付文書では,禁忌とされています.添付文書の記載は,これに従わなかったことにつき特段の合理的な理由がない限り,医師の注意義務の内容となります.本件において,添付文書の記載事項を遵守することを妨げる特段の合理的な理由がない限り,注意義務違反が認められます.
どうしてこのような薬剤が2歳児に使用されたのか,事実を解明し,有効な再発防止策を提案していただきたく思います.

【追記】

毎日新聞「東京女子医大:死亡男児の両親、被害届提出へ」(2014年5月22日)は,次のとおり報じました.

「東京女子医大病院(東京都新宿区)で2月に首の手術を受けた後に死亡した埼玉県内の男児(当時2歳)の両親が22日、厚生労働省で記者会見し、「死亡は医療ミスが原因」として警視庁に近く被害届を提出すると明らかにした。

 両親や弁護士によると、男児はリンパ管の手術を受けた後、集中治療室(ICU)で人工呼吸器を使って呼吸管理中に鎮静剤「プロポフォール」を投与され、3日後に死亡した。同剤は人工呼吸中の小児に使用してはならないとされるが、大人の許容量の約2.7倍が投与された。病院は火葬後に警視庁に届け出ており、異状死の24時間以内の報告を義務づけた医師法にも抵触するとしている。

 両親は「警察による司法解剖を逃れ、原因究明をうやむやにしている。ICUで麻酔をかける説明もなかった」と批判した。

 病院側は、院内の部会で検証し厚労省に経緯を報告するとした上で「警察への報告も適切に行った」とする永井厚志病院長名のコメントを発表した。【神保圭作、松本惇】」


日本テレビ「医療事故で2歳児死亡 両親が被害届提出へ」(2014年5月22日)は,次のとおり報じました.

「今年2月、東京女子医科大学病院で2歳の男の子が、死亡した医療事故で、男の子の両親が22日に記者会見し、警視庁に被害届を提出することを明らかにした。

 亡くなった男の子の父親「(病院からは)温かい言葉一ついまだにかけていただいておりません。皆さんのお力で、警察のお力で、この子がなぜこんなことになってしまったのか、それを解明していただきたいんです。その気持ちだけです」

 22日に会見したのは、東京女子医科大学病院で、2月に死亡した2歳の男の子の両親。男の子は、首のリンパ管の手術後、子どもへの使用が禁止されている麻酔薬「プロポフォール」を3日間投与され、その後、死亡した。

 会見で両親は、医師がこの麻酔薬を投与した理由を知りたいと述べた。また、薬を投与した後に心電図などに異常が出たのにもかかわらず、病院側が対応しなかったことや、死亡診断書で「病死・自然死」とされた点も納得できないとして、今後、警視庁に被害届を提出することを明らかにした。」



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by medical-law | 2014-03-06 00:59 | 医療事故・医療裁判

英研究報告、たばこをやめてニコチン依存から解放されれば、精神状態が改善する

AFP「禁煙は抗うつ剤より精神の安定に効果的」(2014年2月18日)は、次のとおり報じました.

「 禁煙に成功した人は、不安やストレスを感じている人が抗うつ剤を服用したのと同じぐらい、精神的な安定を感じることができる──13日の英医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(British Medical Journal、BMJ)で発表された。

 英国の研究者たちは、喫煙者の精神状態について調査された26の報告書を調べ、不安や気持ちの落ち込み、ストレス、生活の質などについての質問に対する答えを数値化したものを研究材料とした。

 対象となった喫煙者たちの平均年齢は44歳で、たばこを1日10本から40本吸う人たち。対象者たちは禁煙をする前と禁煙を始めて平均6か月の2回、質問に回答した。

 禁煙に成功した人たちは挫折した人たちに比べて、不安感や気持ちの落ち込み、ストレスが減り、将来に対してより楽観的になったと回答した。

 BMJに掲載された報告によると、「その効果は抗うつ治療を受けたのと同じぐらい、あるいはそれ以上である」という。また、精神疾患がある人で禁煙に成功した人も同様の効果を得ることができるという。

■「たばこでリラックスできる」は誤解

 研究を率いた英バーミンガム大学(University of Birmingham)のジェンマ・テイラー(Gemma Taylor)氏は、今回の結果が喫煙に対する一般的な誤解の一掃につながってほしいと期待する。

「『たばこはストレス解消になる』『たばこでリラックスできる』など、喫煙が精神の安定にいいというのは、通説にすぎない。こうした通説を覆すのは難しい」と、同氏はAFPに語った。だが実際は、今回の研究で「たばこをやめてニコチン依存から解放されれば、精神状態が改善する」ことが示されたと言う。

 テイラー氏は、たばこ中毒に関する研究の主要理論を指摘した。喫煙者の心理状態はニコチンのせいで1日中不安定になっているというものだ。

 たばこから得られる落ち着きや充足感の後はすぐに、気持ちの落ち込みや不安、動揺といった禁断症状に襲われる。だが喫煙者は、このような症状はストレスやほかの要因によるものだと間違いやすい。そしてニコチンには安定作用があるために、喫煙者は自分の心を落ち着かせてくれるのは、たばこだと勘違いするのだ。

■増加するたばこによる死者

 世界保健機関(World Health Organization、WHO)は昨年7月、たばこが原因で毎年約600万人が死亡し、2030年にはその数が800万人に増加すると推定した。死者の約80%が、中あるいは低所得国の人たちだという。

 喫煙率が減少している国もあるが、世界的にみれば、人口増加などが原因で喫煙者の数は1980年より増えていると、先月の米国医師会雑誌(Journal of the American Medical Association、JAMA)は指摘した。」


タバコでストレス解消と思っている人がいるようですが、それは誤解です.
傍からみて,火が付いて煙がでるものを手に持つことは邪魔ではなかろうか,さらに刺激臭・悪臭を放つそれを吸うことはストレスではないか,と思うのですが.

弁護士 谷直樹

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by medical-law | 2014-03-05 01:52 | タバコ

日本分子生物学会理事長声明『STAP 細胞論文等への対応について』

特定非営利活動法人日本分子生物学会(理事長大隅典子)は,2014 年3 月3 日,理事長声明『STAP 細胞論文等への対応について』を発表しました.

「日本分子生物学会は研究の公正性に関わる問題を重要視し、これまで精力的に取り組んで参りました。昨年の年会ではこの問題をフォーラムという形で大きく取り上げ、その全文公開を今月中に行い、今後の公正性についての取り組みについての総括も行う予定でいます。

本年1月に理化学研究所からNature 誌に発表されたSTAP 細胞樹立にかかわる論文2報の著者には、本学会員が含まれますが、これらの論文および第一著者の以前の論文に関する生データ(画像)の取扱いや実験方法記述について、各種報道やWEB 上において多くの問題点が指摘されていることを、本学会としては大変憂慮しています。日本の科学をリードする研究機関の一つである理化学研究所が、可能な限り迅速に状況の正確な報告について公表されるとともに、今後の規範となるような適切な対応を取って下さることを本学会は期待します。」


STAP 細胞の論文についての不備がいくつも指摘されています.
現時点では,再現実験は成功していません.

【追記】

特定非営利活動法人 日本分子生物学会(理事長大隅典子)は,2014 年3 月11 日,理事長声明『STAP 細胞論文等への対応についての再要望』を発表しました.

「科学論文は実験結果に基づき、その正当性が初めて保証されます。残念ながら、今回の論文等に関しては、データ自体に多くの瑕疵が有り、その結論が科学的事実に基づき、十分に担保されているものとは言えません。また多くの作為的な改変は、単純なミスである可能性を遙かに超えており、多くの科学者の疑念を招いています。当該研究の重要性は十分に理解していますが、成果の再現性は別問題として、これら論文に対しての適正な対応を強くお願いします。

日本分子生物学会は、以下のことを理化学研究所に強く要望します。そのような対応が研究の公正性を維持し、日本の生命科学のさらなる進展に繋がると考えられ、また今後の規範になることを信じています。

1 Nature 論文2報(Nature 505, 641-647, 2014; Nature 505, 676-680,2014)
に関する生データの即時、かつ、全面的な開示、および、同論文に対しての迅速かつ適切な対応(撤回、再投稿などを含む)

2 このように公正性が疑われるような事態を招いた原因に対する詳細な検証と報告
我々、日本分子生物学会は、今回の件を決して一案件として捉えている訳でなく、科学者を取り巻く環境を含めた、研究に内包する喫緊の問題として、自省、自戒を持って、過去の同様なケースと共にこの問題を注視しています。今後の報告を含め、様々な事案を検討することで、我々、研究者が今一度、研究の公正性を含む研究倫理の問題として再度真剣に把握、分析し、システムの改善の努力に取り組む所存です。責任ある健全な研究成果を社会に対して発信するためにも、我々も襟を正してまいります。」

神戸新聞「STAP論文、重要部分に疑念 明石市民病院部長指摘」(2014年3月11日)は,次のとおりじました.

 
「共著者の一人が他の著者に撤回するよう呼び掛けた「STAP細胞」の論文について、理化学研究所(理研)などで免疫学を研究した明石市立市民病院の金川修身(おさみ)研修担当部長は10日、「論文で最も重要な点に捏造(ねつぞう)の疑いがあり、理論的にあり得ない結果として示されている」と指摘した。


 金川部長によると、論文中、STAP細胞の最も重要な根拠となる遺伝子の変化に関する部分で、理論的にあり得ない結果が示され、画像を切り貼りして作られた可能性があるという。他の複数の専門家も同様に指摘している。

 「論文には自分の考えを支持するような画像の捏造、他の論文からの盗用の疑いがあり、これだけで学術論文として受け入れられない」と金川部長。その上で「論文の筆頭著者である理研発生・再生科学総合研究センターの小保方晴子・研究ユニットリーダーと、経験の少ない小保方氏の論文をチェックしなければならない共著者の責任は大きい」と強調した。

 また、論文の問題を見逃し、発表した英科学誌「ネイチャー」の審査体制や理研の広報の仕方、それらを過信したメディアの報道にも疑問を呈した。

 さらに、「今回の問題は科学への信頼を大きく損ねてしまう恐れがある。関係者はきちんとした対応が必要だ」と語気を強めた。(藤森恵一郎)」


このような論文が作成され,ネイチャー誌に再提出された過程について,正確な調査と報告を期待します.


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by medical-law | 2014-03-04 00:28 | 医療

大学病院,副鼻腔のポリープ摘出手術で執刀医が器具の位置確認を怠り患者が左目失明(報道)

日本経済新聞「手術ミスで左目失明、長崎大病院 神経傷つける」(2014年3月1日)は,次のとおり報じました.

「長崎大病院(長崎市)は28日、記者会見し、昨年6月に行った副鼻腔(びくう)のポリープを除去する手術の際、誤って患者の視神経を傷つけ左目を失明させたと発表した。「患者が公表を望んでいない」として、年齢や性別などを明らかにしていない。

 病院によると、内視鏡や細い管状の器具を鼻に挿入してポリープをつまみ取る際、誤って左目の神経を傷つけた。眼球を覆う眼窩(がんか)に器具が入ったことに気付かず手術を続けたことが原因。手術終盤に執刀医がミスに気付き、術後の検査で失明が発覚した。

 宮崎泰司副病院長は「多大な迷惑を掛け、おわび申し上げる。再発防止に向け安全を一層強化する」と陳謝した。

 病院は既に、患者と家族に謝罪し、賠償に向けた協議を続けている。公表を望まない患者側との調整を慎重に進めたため、発表が遅くなったという。

 病院によると、執刀医は30代の男性で、200回ほど同様の手術経験を持つベテラン。目を傷つける恐れがあると判断した際に行う、眼球圧迫による器具の位置確認を怠った。病院の調査に「(傷つけている)可能性を考えなかった」と話しているという。

 耳鼻咽喉科診療科長の高橋晴雄教授は会見で「執刀医の過信がミスにつながったと考えざるを得ない」と述べた。

 病院はすぐに同様の手術を中止した。別の医療機関での研修を関係する医師が終えるまで、再開しない方針だ」


耳鼻科の医療過誤においては,蓄膿症(慢性副鼻腔炎)の手術ミスで失明した事例(東京地裁昭和41年11月22日判決,東京高裁昭和44年5月30日判決),視力障害が残った事例があり,十分な注意をはらうべきでしょう.


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by medical-law | 2014-03-03 03:53 | 医療事故・医療裁判