弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

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広島市の病院,処方の2倍のモルヒネを投与する看護ミス,患者は翌日死亡(報道)

読売新聞「処方の2倍のモルヒネ投与、男性患者が翌日死亡」(2014年11月18日)は,次のとおり報じました.

「広島市立安佐市民病院(広島市安佐北区)は18日、末期がんの男性患者(75)に、処方の2倍量のモルヒネを約6時間にわたり投与するミスがあった、と発表した。

 男性は翌日に死亡した。病院側は遺族に謝罪したが、「致死量ではなく、ミスと死亡との因果関係はない」としている。

 病院によると、男性にはモルヒネ1日80ミリ・グラムと鎮静剤が処方され、今月5日から点滴で投与されていた。9日に鎮静剤の点滴が終わった際、看護師がモルヒネが切れたと勘違いし、鎮静剤ではなくモルヒネを投与。このため、約6時間後に別の看護師が気付くまで、投与量は2倍になっていたという。

 男性は10日午前に死亡。多幾山渉院長は「あってはならないことで、問題を検証して再発防止に努めたい」とのコメントを出した。」


たしかに致死量ではありませんし,因果関係が必ずしもあるとはいえないかもしれません.
ただ,そもそも,オキシコドンではなく,モルヒネを使う理由は何でしょうか.

また,そういえば,広島市立安佐市民病院では,以前,看護師がフェノバルビタールを筋注ではなく,静注し,その約5時間後に患者が死亡した医療ミスがあり,そのときも因果関係はないとの発表でした.
フェノバルビタールの投与方法を誤ったミスのあと,看護師の投薬ミスを防止するため,どのような再発防止策がとられたのでしょうか.気になります.


谷直樹

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by medical-law | 2014-11-19 03:50 | 医療事故・医療裁判

大学病院,十二指腸粘膜下腫瘍の腹腔鏡手術でも患者死亡,医療過誤認める(報道)

毎日新聞「群馬大病院:別の科でも患者死亡…腹腔鏡手術でミス」(2014年11月18日)は,次のとおり報じました.

「腹腔鏡(ふくくうきょう)手術を受けた患者8人が相次いで死亡していたことが発覚した群馬大医学部付属病院(前橋市)で、別の科で十二指腸粘膜下腫瘍の腹腔鏡手術を受けた群馬県在住の男性患者(当時50代)も手術中のミスで今年2月に死亡していたことが分かった。同病院が18日、記者会見して明らかにした。遺族には謝罪したという。

 病院によると、男性は昨年4月、腫瘍を取り除くため、第1外科で40代の男性医師による腹腔鏡手術を受けた。難航したため途中で開腹手術に変更したが、別の臓器が傷つき、術後に容体が悪化した。患者は11カ月後に、肝不全で死亡した。

 病院は記者会見で、▽手術中のミスで重い肝障害を招いた▽術後の処置も適切ではなかった−−と医療過誤を認めた。腹腔鏡手術は保険適用外の手術だが、執刀医は必要な院内の倫理審査を受けておらず、本人や家族にも難手術であることを説明していなかった。執刀医と50代の男性指導医は今年3月に病院を辞めた。【尾崎修二】」


群馬県には,大学病院は群馬大学医学部附属病院しかありません.1県に1大学病院しかないところでは,患者側は実質的に選択の余地がなく,県内唯一の頂点である大学病院の医師に言われるがままに手術を受けざるを得ないことも少なくないように思います.
難度の高い保険適用外の手術について,院内のチェックが機能せずに実施されていたことから,当該医師の問題のみならず,病院の体制についても検討されるべきではないでしょうか.


谷直樹

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by medical-law | 2014-11-19 01:07 | 医療事故・医療裁判

日本禁煙学会編『禁煙学第3版』

日本禁煙学会編『禁煙学第3版』が発刊になりました.

南山堂のサイトによれば,「日本禁煙学会公認テキストの改訂3版.今版では禁煙治療で重視されている心理療法(認知行動療法・動機づけ面接法)の記載を充実させ,喫煙による疾患もより細分化した.また,すぐに利用できる実践的なクリニカルパスを掲載した.禁煙補助薬の最新知見や禁煙に対する国際的な動向も踏まえた,禁煙治療に携わる全ての医療者に最適のテキスト.」とのことです.

序文は,以下のとおりです(下線は引用者).

「本書『禁煙学』の初版が世に出てから,すでに7年がたちました.

この間に日本人の成人喫煙率は25%から20%を切るまでに至り,これは中高生の劇的な喫煙率の低下とあいまって,Global Scienceとしての禁煙学の大勝利といえます.

この第3版は,喫煙と受動喫煙の医学,禁煙の医学,日本をとりまく世界の禁煙状況などが大きく前進したことを受けて,大幅な改訂をいたしました.それは本書の使命として,EBMに則った,できる限り正確な医学でなければならないからです.
これはいわゆるエンストローム論文,Peter Leeの論文などタバコ会社のために作られた虚偽の論文がいまだに意図的に配布されており,一方で私達はあくまでも正確性を重んじていかなければならないからでもあります.

能動喫煙では,タバコ煙には70種類以上の発がん物質が明らかにされていますし,依存症にするための種々のたくらみが一つひとつ暴かれてきました.
また,能動喫煙による個々の疾患につきましては,それぞれの権威の先生方にご執筆いただきました.
受動喫煙では,PM 2.5と受動喫煙,受動喫煙防止の法律,また,受動喫煙防止法が施行された国で起きたことなどの新しい項目を設けました.

禁煙の医学では,ニコチンという依存性薬物が脳内報酬回路を使って「こころ」を支配することがますます確実になってきました.
いくらニコチン依存患者に疾病のことを詳細に伝えても禁煙をするのは難しいのです.
患者の頭の中ではニコチンに占領された「こころ」と論理的な大脳皮質がぶつかり合い,認知性不協和の状態に陥るだけなのです.

これを打ち破るのが動機づけ面接法と認知行動療法です.つまり,自ら考え自ら行うことが何よりも重要ということで,第3版ではこの二つの心理療法についてページ数を拡充し,専門家にご執筆をお願いしました.
また禁煙治療のクリニカルパスも実際的な構成で有用かと思います.

世界の潮流と日本の現状につきましては,タバコ規制枠組条約(FCTC)およびそのガイドラインに従って新たに稿を起こしました.
世界では当然のこととして,すでに行われていることが,日本では行えていないことがよくわかると思います.

口絵ではヘビースモーカーであると,テレビや映画の中でも容易にそれとわかる下口唇の黒色変化を年齢ごとに示しました.
これは禁煙治療のみならず,一般診療をされている先生方のご参考になることと思います.
さらに,タバコによる肺の黒色調の変化を著明に示す写真も掲載いたしました.

Global Scienceに則るこの『禁煙学』が多くの方々のお役に立てることを祈っております.

最後に,タバコフリー活動にご尽力された繁田正子先生が本書編集中に急逝されました.
ご冥福をお祈りするとともに,先生のご遺志を私達が引き継いでいくことをここに誓います.

2014年10月吉日
NPO法人日本禁煙学会 理事長 作田 学

※FCTCの正式名は,WHO Framework Convention on Tobacco Control(タバコの規制に関する世界保健機関枠組条約)ですが,本書では「タバコ規制枠組条約」(FCTC)と略すことにいたします.」


タバコは,本質的に,依存性薬物ニコチンによって「こころ」を支配され,継続的に購入させられる商品です.
タバコは有害と頭でわかっていながら,いろいろな言い訳をしてタバコを止めない喫煙者は,タバコ(ニコチン)によって「こころ」を支配されていると言えるでしょう.タバコの依存性の強さのため,科学的な禁煙治療が必要です.喫煙者には,タバコの呪縛から解放され,自由になるために,是非禁煙治療を受けていただきたいと思います.

谷直樹

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詳細な目次は以下のとおりです.

Ⅰ 喫煙の医学
1 タバコ煙の成分
A. タバコ煙に含まれる成分
1.粒子相とガス相の両方に含まれる物質
2.主に粒子相に含まれる物質
3.主にガス相に含まれる物質
B. 依存症にするための製品
1.依存性物質としてのニコチン
2.喫煙という物質摂取経路の意味
3.ニコチンの中枢神経作用の特徴
4.「ライト」,「マイルド」の欺瞞
5.依存性を増強させるための添加物
6.煙の視認性を低下させるための添加物
7.非合法化されるべき製品

2 能動喫煙による疾患
A. 喫煙と寿命
B. 悪性腫瘍
1.国際評価―タバコでがんになることは確立された事実
2.日本人の喫煙と発がん
3.タバコと関連の深い悪性腫瘍
4.タバコ煙中の発がん性物質と発がん
5.タバコ関連肺がん感受性と遺伝子,遺伝子変異の生じ方
6.がんになった場合の予後と負担
7.他の発がん因子との相乗効果
8.環境タバコ煙の発がん性―受動喫煙でもがんのリスクは上昇
9.禁煙とがん死亡の関連
C. 循環器疾患
1.疫学的エビデンス
2.喫煙が循環器疾患発症に関与する機序
3.喫煙と関連する循環器疾患
4.禁煙効果
D. 脳血管障害
1.欧米の報告
2.わが国の報告
3.受動喫煙
4.他の危険因子との相乗効果
5.禁煙の効果
6.脳卒中発症後の喫煙
7.脳卒中・認知症予防のための多角管理
E. COPD(慢性閉塞性肺疾患)    
1.COPDとは
2.COPDとタバコ
3.COPDの臨床像
4.COPDの疫学
5.COPDの診断
6.COPDの治療
7.COPDの予後
F. その他の肺疾患
1.喫煙関連間質性肺疾患(SRILD)
2.気腫合併肺線維症(CPFE)
3.自然気胸
4.呼吸器感染症
5.急性好酸球性肺炎(AEP)
G. 糖尿病  
1.喫煙によるインスリン抵抗性の増加
2.喫煙は糖尿病の合併症進展のリスク
3.動脈硬化リスクとしての喫煙
4.喫煙と糖尿病は歯周病のリスク
H. 消化器疾患
1.食道がん
2.胃食道逆流症(GERD)
3.胃炎,消化性胃・十二指腸潰瘍
4.胃がん
5.大腸がん
6.炎症性腸疾患
7.肝・膵疾患
I. 肝・膵疾患
1.肝疾患
2.膵疾患
J. 腎疾患
1.CKDの概念,定義,重症度分類
2.CKDと喫煙,禁煙
K. アレルギー疾患
1.アレルギー疾患患者における喫煙問題
2.喫煙によるアレルギー炎症亢進のメカニズム
3.喫煙は喘息を悪化させる
4.喫煙は喘息発症を増加させる
5.喫煙は吸入ステロイドの効果を減弱する
6.母親の喫煙と喘息の関連
7.他のアレルギー疾患と喫煙
L. 産婦人科疾患
1.産婦人科領域と喫煙
2.喫煙が女性の内分泌環境に与える影響
3.喫煙と不妊
4.喫煙と感染症
5.喫煙と子宮頸部病変,子宮頸がん
6.その他の婦人科系悪性腫瘍
7.妊娠に及ぼす影響
8.喫煙と胎児・新生児異常との関連性
9.喫煙者における母乳保育の問題
10.禁煙が必要な時期
M. 子どもへの影響
1.出生前(胎児期)における受動喫煙の影響
2.出生後(乳幼児期~思春期)の受動喫煙の影響
3.小児期~思春期の能動喫煙の影響
N. 認知症・精神疾患  
1.認知症と喫煙・禁煙
2.統合失調症と喫煙・禁煙
3.うつ病と喫煙・禁煙
O. 皮膚科および形成外科的疾患(スモーカーズフェース)
1.皮膚自体に与える影響
2.関連する皮膚疾患
3.副流煙による皮膚傷害
P. 耳鼻咽喉科疾患
1.喫煙・受動喫煙と頭頸部がん
2.喫煙・受動喫煙と難聴・中耳炎
3.喫煙と頭頸部感染症
4.喫煙と頭頸部がん手術後合併症
Q. 歯周疾患
1.喫煙と歯周疾患
2.喫煙が歯周疾患に影響を与えるメカニズム
3.禁煙と歯周疾患治療
4.喫煙とう蝕(むし歯)との関連
R. スポーツとタバコ
1.スポーツにおける健康とタバコの関係
2.スポーツとFCTC第十三条

3 受動喫煙による疾患と対策
A. 受動喫煙の影響
1.大人の受動喫煙
2.子どもの受動喫煙
B. 化学物質過敏症
1.疾患概念
2.発症機序
3.臨床症状
4.診断基準
5.鑑別診断
6.治 療
C. PM 2.5と受動喫煙
1.ロンドンスモッグ事件
2.PM 10からPM 2.5へ
3.PM 2.5の健康影響の大きさ
4.タバコ煙のPM 2.5は,屋外大気のPM 2.5と同じ毒性か?
5.日本の飲食施設内のPM 2.5
6.受動喫煙防止法の効果
D. 受動喫煙症の診断,治療,予防
1.診断のポイントとプロセス
2.受動喫煙による化学物質過敏症
3.サードハンド・スモーキング
4.受動喫煙症の治療
5.受動喫煙症の予防
E. 受動喫煙防止法による効果
1.海外での受動喫煙防止法の衝撃
2.受動喫煙防止法後の急性冠症候群などによる入院の減少―後ろ向き研究―
3.受動喫煙防止法による急性冠症候群の減少―前向き研究―
4.急性冠症候群・心臓突然死減少のメカニズム
5.メタ解析による効果―心疾患,脳卒中,呼吸器疾患による入院の減少―
6.カジノでの救急車出動回数の減少
7.わが国でも受動喫煙防止条例の施行とその効果の検証を!


Ⅱ 禁煙の医学
1 総 論
A. 喫煙率の推移
B. 禁煙治療の意義(一般診療・健康診断での禁煙勧奨)
1.一般診療における禁煙勧奨
2.健康診断(健診)での禁煙勧奨
C. やめ方の基本原則
1.タバコをやめるきっかけ,動機
2.禁煙するつもりのない喫煙者に対して
3.タバコをやめようとする人に対して
4.ニコチン離脱症状とその経過
5.タバコへの渇望に対して
6.再喫煙を防止する
7.タバコをやめて変わること

2 禁煙の心理学
A. タバコの依存性
1.身体的依存
2.精神的依存(心理学的依存,行動的依存)
3.依存症は,回復しても治癒しない
B. 禁煙の心理学:①認知行動療法
1.ニコチン依存症の精神・心理療法
2.認知行動療法
3.認知行動療法の実践例
C. 禁煙の心理学:②動機づけ面接法
1.動機づけ面接法(MI)とは?
2.基本戦略
3.基本技法(OARS)
4.習得のための方法

3 薬局・薬店での禁煙指導・支援
A. 薬の種類,副作用・相互作用
1.薬局・薬店における薬剤師の禁煙指導
B. 薬局・薬店での禁煙指導
1.薬局・薬店での禁煙支援の意義
2.薬局薬剤師による禁煙啓発活動
3.薬局での禁煙支援の方法
4.相談者からの基礎情報の収集
5.OTCによるニコチン置換療法
6.処方箋医薬品
7.禁煙補助薬と併用薬との相互作用
8.禁煙期間中に確認すべき事項

4 医療機関での禁煙指導・支援
A. 禁煙外来に必要な物品
1.禁煙治療(保険適用)に必要な機器・物品
2.禁煙外来・禁煙支援にあると便利な機器・物品
B. 経口治療薬バレニクリンの効果と副作用
1.バレニクリン(チャンピックス R)
C. 保険適用と治療のガイドライン
1.禁煙治療の保険適用の背景
2.禁煙治療の保険適用の実際
3.禁煙に関するガイドライン
D. 5A,5Rなどの指導法
1.動機づけ面接法と5R:やめようとしない患者に対して
2.5A:禁煙したいと思う患者に対して
3.カウンセリングと行動療法
E. ニコチン置換療法(NRT)を使った指導法
1.海外と日本におけるニコチン置換療法(NRT)の歴史
2.NRTの有効性と安全性
3.各種NRT製剤による違い
4.NRTの利点と欠点(局所的副作用)
5.NRTの注意点(全身的副作用)
F. バレニクリンを使った指導法
1.バレニクリンの特徴・効果・適応
2.標準的使用法
3.消化器症状への対応
4.精神症状への対応
5.意識障害・自動車運転について
6.今後の展望
G. 子どもに対する禁煙支援
1.喫煙する子どもの特徴
2.喫煙する子どもの主なタイプ
3.禁煙支援の具体的方法
4.子どもの禁煙を成功に導く対策
H. 女性に対する禁煙支援
1.性差を考える
2.女性の禁煙は難しいのか
3.女性に対する禁煙指導の実際
I. 妊婦に対する禁煙支援
1.妊婦の禁煙は難しいのか
2.禁煙できない要因として考えられること
3.妊婦が禁煙指導に有利である点
4.禁煙の時期
5.妊婦への禁煙指導の実際
6.薬剤使用による禁煙治療
7.再喫煙の予防
J. 精神疾患患者に対する禁煙支援
1.精神疾患の有無の確認
2.精神疾患がある場合の禁煙治療
3.精神疾患患者の禁煙へのアプローチ
4.精神疾患患者における禁煙のメリット
K. 禁煙後の体重増加とその防止
1.喫煙と痩身
2.禁煙後の体重増加
3.禁煙後の体重増加による健康への影響
4.禁煙後の体重増加と再喫煙の問題
5.禁煙後の体重増加への対応
L. 歯科における禁煙支援
1.歯科疾患とタバコ
2.歯科界の現況
3.歯科における禁煙指導の特徴
4.歯科における禁煙指導の進め方
M. 病院・診療所の薬剤師の役割
1.薬剤師が禁煙の重要性を認識する
2.薬剤師による禁煙指導の有用性
3.服薬指導における禁煙指導
4.集団教育における禁煙指導
5.薬学の視点から行う禁煙指導
N. 禁煙外来における看護師の役割
1.禁煙治療に看護師が必要な理由
2.看護師の行う禁煙支援
O. 行政における保健師の役割
1.行政における保健師のタバコ対策活動
2.ハイリスクアプローチとしての特定健診・特定保健指導
3.ポピュレーションアプローチ
P. クリニカルパス(医療者用/患者用)
1.クリニカルパスとは
Q. 外来治療からのドロップアウト防止策
1.外来治療からのドロップアウトの要因
2.ドロップアウト防止は初診から
3.再診時の問題解決方法
4.保険適用による禁煙外来の最終診療時の問題点
5.今後の課題
R. 治療終了後の再喫煙防止
1.ニコチン依存症は再発率の高い慢性疾患
2.禁煙治療終了後の“1本の喫煙”の要因
3.再喫煙の防止策
S. 禁煙推進に果たす医師会の役割
1.医師会の役割
2.地区医師会での取り組み
3.東京都医師会での取り組み


Ⅲ 世界の潮流と日本の現状
1 総 論
A. FCTCの歴史,NCDなどの世界の潮流
1.タバコ規制枠組条約(FCTC)の歴史
2.FCTCの目的(FCTCの前文による)
3.ガイドラインとは何か
4.FCTCの条文
5.NCDとは何か
B. 禁煙推進に果たす政治の役割
1.タバコ利権の構造
2.タバコ規制推進のために政治が果たすべきこと
3.政治を動かす力

2 受動喫煙の防止
A. FCTC第八条と世界の潮流
1.FCTC第八条,受動喫煙防止ガイドラインで求められていること
2.受動喫煙防止の世界の潮流
B. 日本の現状
1.労働安全衛生法「快適職場形成」から「健康障害防止」へ
2.健康増進法第二十五条「受動喫煙の防止」
3.職場の安全配慮義務に関する裁判
4.神奈川県および兵庫県の受動喫煙防止条例の成立
5.罰則つき受動喫煙防止の法律の必要性
C. 大学の禁煙化
1.大学における喫煙対策:屋内禁煙から敷地内禁煙への流れ
2.大学における敷地内禁煙は目標ではなく,出発点
3.禁煙推進のための具体的な取り組み
4.禁煙推進の障害となる事柄
D. サービス産業の禁煙の重要性
1.サービス産業を禁煙にすると病気が減る
2.サービス産業を禁煙にするとプラスの経済効果
3.飲食サービス業労働者の2/3が,未成年者,若年女性,中高年者
4.ロシアと韓国が飲食施設完全禁煙化に
E. 受動喫煙防止の法律
1.受動喫煙防止法制定の請願
2.受動喫煙防止法案の内容
3.タバコ規制枠組条約(FCTC)ガイドライン
4.東京オリンピックに向けた東京都受動喫煙防止条例の必要性

3 禁煙教育
A. FCTC第十二条と世界の潮流
1.FCTC第十二条の概要
2.要求されている課題・3つの柱(教育,国民意識の啓発と底上げ,情報伝達手段)
3.法制化へ向けて
B. 幼稚園・小学校・中学校での教育
1.小・中学生の喫煙行動と禁煙教育
2.教育の現場での防煙・禁煙教育の実際
C. 高校・大学での教育,成人へ向けた無煙教育
1.無煙(禁煙)教育の理論と歴史
2.無煙(禁煙)教育の方法と実際

4 タバコの値上げ
A. FCTC第六条と世界の潮流
1.タバコ税の歴史
2.FCTC第六条の意味
3.タバコ価格の国際比較
4.タバコ税の比較
5.タバコ税増税を実現するには
B. 日本の現状
1.FCTCとわが国のタバコ構造改革
2.健康のためのタバコ増税
3.タバコ税の構造と2010年増税のインパクト
4.今後のタバコ増税策

5 タバコのパッケージ
A. FCTC第十一条と世界の潮流
1.効果的な包装・ラベル規制の策定
2.世界の潮流
B. 日本の現状

6 タバコの広告・販売促進活動・スポンサー活動の禁止
A. FCTC第十三条と世界の潮流
1.タバコの広告,販売促進,スポンサー活動とは
2.禁止されるべき具体的な内容
3.世界の潮流
B. 日本の現状
1.タバコ広告に対する国の指針
2.タバコ広告の自主規制
3.タバコの広告,販売促進,スポンサー活動の禁止を目指して
4.第10回アジア太平洋タバコ対策会議(APACT 2013)の開催
C. 国際条約と矛盾するタバコ産業のCSR
1.JT本社による活動
2.別団体を通じての活動

7 各国が守らねばならないこと
A. FCTC第五条三項と世界の潮流
1.条約の規定とガイドライン
2.世界の潮流(他国の例)
B. たばこ事業法との矛盾
1.財務省(政府)の利益相反
2.財務省(旧大蔵省)官僚の天下り
3.JTから官公庁への天上がり
4.族議員
5.JTによる政策妨害行為
6.政府によるタバコ産業の助長
7.タバコ産業関係者の講演会・シンポジウムへの送り込み
8.タバコ産業の「社会的責任」活動
C. 医学研究者の利益相反問題
1.日本禁煙学会における利益相反規定
2.利益相反の申告・開示が必須・重要な理由
3.医学論文掲載誌はタバコ業界の助成論文は掲載しない動向
4.タバコ製品の有害性に関する世界医師会声明・勧告(2007年10月)
5.日本禁煙学会「タバコ産業からいかなる資金も受け取るべきではない」声明
6.「喫煙科学研究財団関係者を省庁の委員,審査員に選任すべきでない」要請

Ⅳ 日本禁煙学会認定制度
1 日本禁煙学会の認定制度について
1.認定制度の意義
2.禁煙サポーター(禁煙指導ができる日本禁煙学会会員)の認定
3.認定指導者・専門指導者の要件
4.申請書類の送付先
5.更新制度
6.教育施設などの認定
7.研修カリキュラム

2 試験問題例

付 録
禁煙治療の実際(Column)
① 禁煙外来:禁煙の準備状態について
② 禁煙外来:再喫煙してしまった患者をどのようにして禁煙に導いたか
③ 禁煙外来:禁煙に成功した1例(再度の失敗を乗り越えて卒煙へ)
④ 禁煙外来:禁煙に成功した1例(多重薬物依存からの回復)
⑤ 禁煙外来:禁煙に成功した1例(禁煙治療中に減量にも成功)
⑥ 禁煙外来:禁煙に成功した1例(精神疾患治療中)
⑦ 禁煙外来:禁煙に成功した1例(統合失調症)
⑧ 禁煙外来:禁煙に成功した1例(うつ病)
⑨ 禁煙外来:禁煙に成功した1例(十代,中学生)
⑩ 禁煙外来:禁煙に成功した1例(妊婦)

参考資料:FCTCの条文


by medical-law | 2014-11-18 09:19 | タバコ

兵庫県の病院、CVポートからの抗がん剤漏れのため後遺症の事案で1300万円で和解(報道

神戸新聞「加古川医療センター医療事故 1300万円支払いで和解」(2014年11月17日)は、次のとおり報じました.

「兵庫県病院局は17日、加古川市の県立加古川医療センターで2012年に起きた医療事故について、患者の60代女性に賠償金1300万円を支払い和解する、と発表した。

 同局によると、女性は乳がんで12年10月に右胸の切除手術を受け、12月に抗がん剤の投与を受けた。しかし左胸に埋めた「CVポート」という器具から点滴針が外れ、抗がん剤が皮下組織に漏出。これが原因で左胸が壊死し、切除を余儀なくされた上、あざや肩の関節可動部分の後遺障害が残ったという。

 投与中、女性は何度か痛みを訴えたが、医師らの発見が遅れたという。同局は病院側の過失は免れないとして和解することとした。(岡西篤志)」


CVポートからの抗がん剤漏れは、重大な結果になりますので、早期に発見する注意義務があります.
一般に、早期に発見する注意義務に違反したCVポートからの抗がん剤漏れ事故は、病院の責任が明らかなので、損害論(賠償金額)が争点となることが多いです.


谷直樹

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by medical-law | 2014-11-17 21:20 | 医療事故・医療裁判

映画『水曜日のエミリア』

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『水曜日のエミリア』は,弁護士(ナタリー・ポートマン)が小児科医と先輩弁護士の家庭を壊し略奪婚という設定ですでに感情移入しにくい映画ですが,小児科医と先輩弁護士の間の子(少年)にきつくあたり(少年も負けてはいませんが),父親の判事の過ちを酷い言葉で責め母親との復縁を許さない,という感情的で他人に厳しい弁護士の性格が描写されます.

弁護士は,ゆりかごに移すよう言われたにもかかわらずゆりかごに移さず生後3日の乳児が亡くなったことで,窒息させたのではないか,と罪の意識に苦しみますが,小児科医から窒息の兆候がなく100%SIDSであると言われ救われます.
SIDS(乳幼児突然死症候群)の疾患概念は,家庭内での乳児の死亡が窒息によるものではない,として母親を免責する機能を果たしていました。そのことを思い起こさせるシーンでした.
病院等で乳児が亡くなり,遺族が窒息を主張し,病院等がSIDSを主張する,そのような裁判が数多くあり,そこではSIDSは病院等を免責する役割を果たしてきました。しかし,病院等にパルスオキシメーター等による観察義務を認めれば,SIDSによる死亡は回避できますので,SIDS即免責とはなりません.

法的には死は「損害」でしかありません.亡くなった者は消えるだけ(最後の審判の日に復活)というユダヤ教の宗教観を述べる弁護士に対し,小児科医と先輩弁護士の間の子は仏教の輪廻転生を述べ,長生きして亡くなった妹の生まれ変わりを見つけると言います.仏教の輪廻転生の考え方は,死には転生の意味を付与しますので,死を受容しやすくする機能があるのかもしれません.


谷直樹

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by medical-law | 2014-11-16 00:20 | 趣味

医療事故調査制度の施行に係る検討会第1回会議

厚生労働省の「医療事故調査制度の施行に係る検討会 第1回会議」が2014年11月14日開催されました.

NHK「医療事故調査の指針作り始まる」(2014年11月14日 )は、次のとおり報じました.

患者が死亡した医療事故の原因を第三者機関が調査する新たな制度が来年10月に始まるのを前に、どのような事故を調査の対象にするのかなど、制度を運用するための指針の策定に向けた議論が始まりました。

14日、新たな制度を運用するための指針について検討する、医師や弁護士、それに医療事故の遺族などで作る厚生労働省の会議の初めての会合が開かれました。
患者が医療事故で死亡した際、医療機関が行った調査の結果に遺族が納得できない場合に、第三者機関が調査を行う新たな制度は来年10月に始まります。
会議では、調査を行う医療事故の範囲について議論が行われ、弁護士が、対象として示されている「医療機関が死亡を予期しなかった事故」は表現があいまいなため、多くのケースが対象外となるおそれがあるとして、基準を明確にするよう求めたのに対し、医師側からは「調査の対象を広げれば医療現場の負担が増し、かえって安全が確保できなくなる」といった意見が出されていました。
会議では今後、調査対象の範囲のほか、調査の項目や遺族への調査結果の報告の在り方などについて検討を進め、来年2月までに議論を取りまとめたいとしています。」


検討会のメンバーは以下のとおりです.

有賀徹氏(全国医学部長病院長会議「大学病院の医療事故対策委員会」委員長)
今村臣氏(公益社団法人日本医師会常任理事)
大磯義一郎氏(浜松医科大学医学部教授)
小田原良治氏(一般社団法人日本医療法人協会常務理事)
葛西圭子氏(公益社団法人日本助産師会専務理事)
加藤良夫氏(南山大学大学院法務研究科教授・弁護士)
河野龍太郎氏(自治医科大学メディカルシミュレーションセンター センター長)
堺常雄氏(一般社団法人日本病院会会長)
鈴木雄介氏(鈴木・村岡法律事務所弁護士・医師)
瀬古口精良氏(公益社団法人日本歯科医師会常務理事)
髙宮眞樹氏(公益社団法人日本精神科病院協会常務理事)
田邉昇氏(中村・平井・田邉法律事務所弁護士)
土屋文人氏(公益社団法人日本薬剤師会相談役)
豊田郁子氏(新葛飾病院医療安全対策室セーフティーマネージャー)
永井裕之氏(患者の視点で医療安全を考える連絡協議会代表)
西澤寛俊氏(公益社団法人全日本病院協会会長)
福井トシ子氏(公益社団法人日本看護協会常任理事)
松原謙二氏(公益社団法人日本医師会副会長)
宮澤潤氏(宮澤潤法律事務所弁護士)
柳原三佳氏(ノンフィクション作家)
山本和彦氏(一橋大学大学院法学研究科教授)
山本隆司氏(東京大学大学院法学政治学研究科教授)
米村滋人氏(東京大学大学院法学政治学研究科准教授)
和田仁孝氏(早稲田大学法科大学院教授)

m3.com「事故調”検討会、来年2月の取りまとめへ「法律準拠」を確認、焦点は「入口」と「出口」」 (2014年11月14日)によると、以下の発言があったとのことです.

厚生労働大臣政務官の橋本岳氏
「欲張ってさまざまな機能を追加すると、予期せぬ挙動、バグが生じることがあるため、システムは簡潔、コンパクトにすべきと言われる。医療事故調査制度についても、10年以上、さまざまな議論があり、今日に至っている」と指摘。その上で、「医療は複雑なものであり、多様。また事故という不幸な状態が始まりなので、理性的ではなく、感情的に動くこともあり得る。その中で制度を考えなければならず、『あれも、これも』となりがちで、最終的に合意ができず、今に至っている。しかし、先に成立した改正医療法による医療事故調査制度の目的はシンプルで、原因分析を行い、再発防止を行うことにある。このことを目指して議論をお願いしたい」

土生課長
「法律上は、過誤があったかどうか、管理が含まれるかどうかは、(報告の)判断の軸には入っていない。医療に起因するまたは医療に起因することが疑われるかどうかで、判断することになっている。医療と管理は重なり得る概念なので、その視点から言えば、医療の中にある管理は対象になってくると思う。どのようなものが対象になるかは、本検討会において、十分に検討してもらいたい。一方、医療の外にある、単なる管理は法律上、対象外」

小田原良治氏
「本来業務である診療を最優先すべきであり、報告対象は人的・物的コストをかけて分析すべき事案に限定すべき」

加藤良夫氏
「「医法協ガイドラインには、随所に問題点がある」、「医法協ガイドラインでは、『報告対象から、医療過誤の類型が基本的に除外』としているが、法律上は区別していない。社会常識的に見て、到底容認できない。(報告の際に)いちいち過誤があるか否かを考えることになってしまう。管理についても、薬の管理などに問題があれば、当然、それは医療安全につないでいかなければいけない。完全に管理を除外することは難しい」、「予期しなかった」の定義について、「死亡以前に、当該患者が、この時期に、このような経過で死亡するとは考えがたかったもの」との私案も提示。」


今後の検討会での議論に注目したいと思います.

谷直樹

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by medical-law | 2014-11-15 01:20 | 医療事故・医療裁判

心停止蘇生後ラットにおける水素ガス吸入は脳機能予後を改善する

慶應義塾大学医学部は、2014 年 11 月 6 日、「心停止後症候群に対して水素ガス吸入が脳障害を改善する効果を発見 -救急医療現場に即した社会復帰率を改善する新たな治療法として期待‒」を発表しました.

「慶應義塾大学医学部救急医学教室(林田敬特任助教、堀進悟教授)、同内科学(循環器)(佐野元昭准教授、福田恵一教授)、日本医科大学大学院医学研究科加齢科学系専攻細胞生物学分野(上村尚美准教授、太田成男教授)らの共同研究グループは、心肺停止後に蘇生され心拍再開が得られた後に、濃度 1.3%の水素ガス(注1)を低濃度酸素吸入(注2)下で吸入させることによって、生存率や脳機能低下を改善することをラットにおいて発見しました。
本研究グループは、これまで脳や心臓の血管が詰まって生じる脳梗塞や心筋梗塞に対して、水素ガスを吸入させながら詰まった血管を広げて血流を再開通させると、虚血再灌流障害(きょけつさいかんりゅうしょうがい:血流を再開させた結果、臓器の組織障害が進行する現象)を抑制することによって、脳梗塞や心筋梗塞が軽症化することをラットやイヌを用いた実験で明らかにしてきました。今回、本研究グループは、これまでの研究と比較してより臨床現場の状況に即した条件で検証し、心肺停止後に蘇生され心拍再開が達成された後からの水素ガス吸入によっても、生存率や脳機能低下を改善することをラットにおいて発見しました。
今回の研究結果を応用し、心肺停止蘇生後の患者さんの社会復帰率を改善する新たな治療法として期待されます。また、水素ガス吸入は、現在唯一、同病態に対し有効と考えられている低体温療法と併用可能であり、治療効果の向上および治療の選択肢が拡がる可能性が考えられます。この治療法は濃度 1.3%の水素ガスを吸入するもので、爆発等の危険性はありません。本研究成果は、2014 年 11 月 3 日(米国東部時間)に米国心臓病学会雑誌 Circulation オンラ
イン版に公開されました。」


Hydrogen Inhalation During Normoxic Resuscitation Improves Neurological Outcome in a Rat Model of Cardiac Arrest, Independent of Targeted Temperature Management

Kei Hayashida1; Motoaki Sano1*; Naomi Kamimura2; Takashi Yokota2; Masaru Suzuki1;
Shigeo Ohta2; Keiichi Fukuda1; Shingo Hori1

+
Author Affiliations
1School of Medicine, Keio University, Tokyo, Japan
2Graduate School of Medicine, Nippon Medical School, Kanagawa, Japan
↵* Department of Cardiology, School of Medicine, Keio University, 35 Shinanomachi, Shinjuku-ku, Tokyo 160-8582, Japan msano@a8.keio.jp


Abstract


Background—We have previously shown that hydrogen (H2) inhalation, commenced at the start of hyperoxic cardiopulmonary resuscitation (CPR), significantly improves brain and cardiac function in a rat model of cardiac arrest (CA). Here, we examine the effectiveness of this therapeutic approach when H2 inhalation is commenced upon the return of spontaneous circulation (ROSC) under normoxic conditions, either alone, or in combination with targeted temperature management (TTM).

Methods and Results—Rats were subjected to 6 min VF CA followed by CPR. Five min after achieving ROSC, post-CA rats were randomized into four groups: mechanically ventilated (MV) with 26% O2 and normothermia (control); MV with 26% O2, 1.3% H2 and normothermia (H2); MV with 26% O2 and TTM (TTM); MV with 26% O2, 1.3% H2 and TTM (TTM + H2). Animal survival rate at 7 d after ROSC was 38.4% in the control group, 71.4% in the H2 and TTM groups, and 85.7% in the TTM+H2 group. Combined therapy of TTM and H2 inhalation was superior to TTM alone in terms of neurological deficit scores at 24, 48, and 72 h post-ROSC, and motor activity at 7 d post-ROSC. Neuronal degeneration and microglial activation in a vulnerable brain region was suppressed by both TTM alone and H2 inhalation alone, with the combined therapy of TTM and H2 inhalation being most effective.

Conclusions—H2 inhalation was beneficial when commenced after ROSC, even when delivered in the absence of hyperoxia. Combined TTM and H2 inhalation was more effective than TTM alone.


動物実験ですが、たしかに期待できそうですね.

谷直樹

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by medical-law | 2014-11-15 00:58 | 医療

大学病院,腹腔鏡下肝切除術後に8人死亡(報道)

読売新聞「腹腔鏡手術後8人死亡…群大病院、同じ医師執刀」(2014年11月14日)は,次のとおり報じました.

「群馬大学病院(前橋市)で2011~14年、腹腔鏡(ふくくうきょう)を使う高難度の肝臓手術を受けた患者約100人のうち、少なくとも8人が死亡し、病院が院内調査委員会を設置して調べていることがわかった。

 8人を執刀したのはいずれも同じ医師。同病院ではこれらの手術は事前に院内の倫理審査を受ける必要があるとしているが、担当の外科は申請していなかった。

 病院関係者によると、手術が行われたのは第二外科(消化器外科)。死亡した8人は60代~80代の男女で、肝臓がんなどの治療として腹腔鏡を使う肝臓切除手術を受けた。手術と死亡の因果関係は現時点では不明だが、8人は術後に容体が悪化し、約3か月以内に肝不全などで亡くなった。

 事態を重く見た病院側は現在、同科肝胆膵(すい)(肝臓、胆道、膵臓)グループの全手術を停止している。」


因果関係は不明ですし腹腔鏡下肝切除術は高度な技術を必要としますが,それにしても8%の死亡率は他施設と比較して高すぎると思います.
院内調査委員会の調査にはバイアスがかかるおそれがあり限界がありますので,公正な外部委員をいれて厳正に調査を行ったほうがよいと思います.

谷直樹

【追記】

産経新聞「「認識が甘かった…」 執刀した40代助教が怠った3つの事前準備」(2013年11月14日)は、次のとおり報じました.

「腹腔鏡(ふくくうきょう)を使った肝臓手術で患者8人が術後4カ月以内に死亡していたことが判明した群馬大病院(前橋市)。いずれも40代の助教(男性)が執刀しており、14日、群馬県庁で行われた会見で、病院側は、この助教が手術に関し、(1)患者への十分な告知と同意(インフォームドコンセント)(2)院内審査組織への申請(3)肝機能チェックなどの術前検査-の3点について、極めて不十分だったことを認めた。申請や検査について助教は「必要ないと思った。認識が甘かった」と話しているという。

 この助教が所属する第二外科が平成22年12月から今年6月までに行った腹腔鏡を使った肝臓切除手術は92例。亡くなった8人の執刀も含め、ほとんどを、助教が担当した。92例中、高難度とされる保険適用外の手術は56例あり、死亡した8例も適用外手術だった。

 厚生労働省によると、腹腔鏡を使った肝臓の切除手術は比較的実施しやすい「部分切除」などに限り保険適用される。高度な技術が必要な「区域切除」などは有効性や安全性が十分に確認されていないとみなされ保険適用外となっている。

 このため保険適用外手術を行うには、厚生労働省への先進医療の届け出や院内審査組織への申請が必要だが(一部内科治療は不要)、他大学と連携して行った7例の手術を除き、助教は申請していなかった。


会見で、野島美久(よしひさ)病院長は「(助教は)申請手続きが必要と認識していたが、認識が甘かった。申請したら止められると思い、故意に申請を怠ったわけではない」としたが、ではなぜ必要と認識していた申請を怠ったのか、釈然としない。

 また、助教が患者へのインフォームドコンセントを行ったかについて、病院側は「(本人は)患者に保険適用外手術であることや先進医療であることは伝えたと話している」としたが、カルテなどの記録には、助教が患者に説明した旨の記載はなかったという。

 厚労省や院内審査組織への申請が必要な高度な手術であることを助教が患者に伝えていたかについても、病院側は「これから確認する」。仮に院内審査組織に助教が申請していた場合、手術を許可していたのかとの問いには「何ともいえない。年齢や疾患のステージなどを厳密に調べる必要がある。まだ、調査は及んでいない」としている。

 野島病院長は「問題として(病院側が)認識しているのは術前評価とインフォームドコンセント。診療記録を見た限りインフォームドコンセントは不十分で、肝臓の機能が手術に耐えられるか検査する術前評価も不十分だった」と認めた。

 病院側の説明によると、高難度の手術を行う際の術前評価では、肝臓の容量を計算するなどの検査も必要だったが、実施されておらず、外部の専門家からも疑問の声が出ているという。


検査を行わなかったことについて助教は「もう少し簡単な検査で十分という認識で、認識が甘かった。必要ないと思った」などと話しているという。

 群馬大病院では、平成17年にも生体肝移植手術で肝臓の一部を提供した女性が手術後に下半身不随となった医療事故が起きており、野島病院長は「同じような事案が起きたことを非常に残念に思う」としている。

 8人の中には、術後わずか2週間で死亡した患者もいた。病院側は院内に弁護士や医療事故の専門家など外部から5人を登用した調査委員会を設置、年度内に調査結果をまとめたいとしている。

 助教は手術の執刀医から外れたものの今も病院に勤務する。なぜ、ずさんな準備態勢で手術に踏み切ったのか、詳細は調査結果を待つしかない。

 腹腔鏡 腹腔鏡は腹部を観察するためのカメラ。腹腔鏡手術では体に数カ所の穴を開け、このカメラとともに手術器具を差し入れ、テレビモニターで内部の映像を見ながら切除や縫合などを行う。開腹手術に比べて患者への負担が少ないため実施が広がっているが、熟練した技術が求められ、ミスによる患者の死亡が後を絶たない。」


【再追記】

読売新聞「群馬大病院死亡…腹腔鏡 保険手術と偽る、診療報酬不正請求か」(2014年11月17日)は、次のとおり報じました.


「群馬大学病院(前橋市)で腹腔鏡ふくくうきょうを使う高難度の肝臓手術を受けた患者8人が死亡した問題で、病院側が保険適用外の手術を保険がきく手術として診療報酬を不正請求していた疑いのあることが、遺族らの証言などでわかった。

 病院では、8人を含む保険適用外の56人の事例について調査を進めており、不正に受け取っていたと判明すれば健康保険組合などの保険者に返還するとみられる。

 腹腔鏡を使う肝臓の切除手術は、比較的実施しやすい「部分切除」などについては2010年4月から保険適用されている。しかし、難易度の高い「区域切除」などの手術の場合は保険適用が認められていない。

 14日開かれた記者会見で群馬大病院は、死亡した患者に行った手術がすべて保険適用外の難しい手術であることを認めた。保険適用外の手術は通常、費用は研究として病院持ちで行うか、自費診療として患者側が全額支払う形になる。

 しかし、亡くなった8人のうち6人は、病院側がいずれも開腹手術や腹腔鏡による部分切除など、保険がきく手術を行ったことにして請求し、患者側も「保険の自己負担分だけを支払った」と証言している。

 たとえば、保険診療で定められた腹腔鏡による部分切除の費用は約60万円で、患者が支払う自己負担は通常の3割なら約18万円になる。

 遺族の多くは、保険診療なのかどうかの説明を事前に執刀医から受けていなかった。ある遺族は気になって尋ねたが、「保険で大丈夫ですよ」と言われたという。

 今回のケースで不正請求があったかどうかについて、群馬大病院は読売新聞の取材に対し、「そういうケースもありうる」としている。

 肝臓手術に詳しい外科医は「保険適用外の腹腔鏡手術を行う場合、病院側が臨床研究として医療費を負担できるほど研究費はなく、自費診療として患者に全額負担をお願いすると手術を受けてもらえない。こうしたことを背景に、群馬大も、実施件数を増やすために不正に保険請求したのではないか」と指摘している。」



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by medical-law | 2014-11-14 07:27 | 医療事故・医療裁判

日本産科婦人科学会と日本産婦人科医会の調査,福島千葉岐阜和歌山広島山口香川熊本大分の産科医不足報告

毎日新聞「産科医不足:9県で深刻化 35歳未満も地方で低く」(2014年11月12日)は、次のとおり報じました.

お産を扱う産科医不足が福島、岐阜、和歌山など9県で深刻化していると、日本産科婦人科学会と日本産婦人科医会が12日、発表した。産科医の数や年齢、分娩(ぶんべん)数などを初めて都道府県別に分析した。産科医のうち35歳未満の割合は特に地方で低く、将来の産科を担う医師の確保が厳しさを増している。

 調査によると、今年3月末現在、全国の分娩施設で働く産科医は9702人(男性6233人、女性3469人)。人口10万人当たりの産科医は東京や沖縄が11.1人なのに対し、茨城(4.8人)、福島(5.0人)、埼玉(5.3人)は半数以下だった。

 35歳未満の割合は石川の13%が最も低く、次いで宮崎14%、福島15%。東京(37%)や兵庫(38%)に比べ、3倍近い格差があった。分娩数や産科医への就業率などの6指標で分析すると、「現状が厳しく、早急な対策が必要」とみられる自治体は9県とした。福島は東日本大震災や原発事故の影響で、医師が少なく高齢化。医師1人当たりの分娩扱い数は都道府県の中で2番目、手術数は3番目に多かった。岐阜は産科への就業率が低く若手が少ない。和歌山は医師が高齢化し手術件数が多かった。

 さらに、2024年の医師数も推定したところ、26府県で減少すると試算された。

 背景として、夜間や休日の対応が多いために産科を敬遠する傾向があるほか、04年度に導入された医師臨床研修制度で研修先の選択肢が広がり、若手が都市部に集中したためとみられる。調査した日本医科大の中井章人教授は「少子化対策が重視される中、安心して出産できる場を確保するために、研修医の産科への就業を促し、適正な配置を目指す必要がある」と話す。【下桐実雅子】

◇現状が厳しく早急な対策が必要な9県

 産科医人数 35歳未満の割合

(人口10万人あたり)(%)

福 島 5.0    15

千 葉 6.0    23

岐 阜 6.6    17

和歌山 6.9    23

広 島 6・2    21

山 口 6.5    19

香 川 6.9    23

熊 本 7.3    22

大 分 7.1    18

全国平均7.6    27」


都道府県によって年齢構成が異なりますので(高齢者が多いのは東京,大阪,神奈川,愛知・・・),人口と医師数ではなく,分娩数出産数と医師数の割合が重要な指標となるのではないでしょうか.また,人口構成自体がカクテルグラス型へ移行すると見込まれるところ・人口減少が見込まれるところと,そうでないところとでは,産科医の必要性の程度も異なるでしょう.
報告は,これらの県に若手の医師が少ない理由・原因について,どのように分析しているのでしょうか.報告は,研修医の産科への就業を促し,適正な配置を目指すためには,どのような方策が提案しているのでしょうか.
たとえば,小規模施設の産科医の労働負担が過大になっていることに原因があるのであれば,産科医1人だけの施設,産科医2人だけの施設,中規模の施設,大規模の施設と分類し,それぞれの数を示し,あるべき適正な規模を提案する必要があると思います.
産科医の絶対数が少なくなってしまうと施設規模の拡大による負担減も不可能になりますので,早急に具体的な実現可能な対策を示す必要があると思います.

谷直樹

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by medical-law | 2014-11-13 00:43 | 医療

相模原市の病院,データ量の異なる二つのCT画像で結節影縮小と判断し肺がんを誤って否定

毎日新聞「石綿:病院の見逃し認定 神奈川の男性、肺がん治療補償」(2014年11月12日)は,次のとおりじました.

「職場でアスベスト(石綿)を吸引し肺がんになった神奈川県座間市の男性(76)が「発症初期をがんと認めないのは不当」と労災不認定への不服を申し立てたところ、審査の結果、病院での見逃しが認定されたことが分かった。病院でコンピューター断層撮影(CT)の画像の扱いに不備があったとして、不認定処分が取り消された。患者支援団体は「石綿労災で初めて表面化したケース。病院は画像を慎重に扱ってほしい」と訴えている。

 審査決定書によると、見逃しがあったのは国立病院機構相模原病院(相模原市)。男性は1957~77年、ガラス部品の加工で石綿が漂う仕事に従事。健診で異常を指摘され、2011年8月に同病院を受診した。CTで肺がんが疑われる直径約10ミリの「結節影」が見つかったが、同年12月のCTで影が直径5ミリと縮小したとして、がんではなく「炎症性変化」と診断された。

 ところが、12年3月に別の医療機関でCTを受けたところ、直径約10ミリで、同4月に約15ミリに拡大。肺がんと診断された。

 川崎北労働基準監督署は、労災と認めたが、相模原病院の意見書を踏まえて発症は12年4月とし、それ以前の治療や休業の補償を認めなかった。

 不服審査の過程で鑑定医が調べたところ、相模原病院ではデータ量の異なる二つの画像を比べたため、結節影が縮小して見えたことが判明。決定書は「最初から肺がんだった」との鑑定医の所見を採用した。決定は今年2月13日付。

 相模原病院は男性に「詳細な検討が必要だった。十分に見直し改善する所存です」などと文書で謝罪した。【大島秀利】」


撮影条件が異なると見え方が異なるのは当然です.
基本的なミスと思います.


谷直樹

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by medical-law | 2014-11-12 07:17 | 医療事故・医療裁判