弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

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メーン州の裁判所は,州政府の看護師に対する強制的な自宅隔離請求を認めず

TBS「エボラ治療にあたった看護師隔離、メーン州の裁判所認めず」(2014年11月1日)は,次のとおり報じました.
 
「西アフリカでエボラ出血熱の治療にあたった後、アメリカに帰国した看護師に対し、看護師の自宅があるメーン州政府が自宅での強制隔離を要請していた問題で、地元の裁判所がこれを退けました。

 ケイシー・ヒコックスさんは西アフリカのシエラレオネでエボラ出血熱の治療にあたった後、10月にアメリカに帰国しました。

 高熱などの症状はあらわれていないものの、自宅のあるメーン州の政府が、最大21日間の潜伏期間が過ぎるまで、「人が集まる場所に出ない」、「ジョギングなどをする際は他人と1メートルほどの距離をとる」などの行動制限を要請。 これらをケイシーさんが拒否したため、州政府は強制的な自宅隔離にむけて裁判所に申し立てていました。

 これを受け、地元裁判所は31日、「他人に感染させる危険はない」とし、自宅隔離の必要はないとの判断を出しました。ケイシーさんは、裁判所の判断を歓迎し、11月10日までの潜伏期間中、毎日体温を報告するなどの連邦政府が決めた基準に従う考えを改めて示しています。」


ヒコックスさんはシエラレオネから米国へ帰国後ニュージャージー州で隔離され,その後メーン州の自宅に送られました.
メーン州は,ヒコックスさに,エボラウイルスの潜伏期間が12日残っているとし11月10日ま外出せず自宅待機するよう求めていました.
ヒコックスさんは,毎日熱を測って報告するなどCDCのガイドラインは守っているとのことです.
エボラウイルスは潜伏期間中は感染しませんので,潜伏期間中の外出制限が一般的に認められるとすると,広汎な人権制限となりますので,メーン州の請求を退けたのは適切な判断と思います.


谷直樹

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by medical-law | 2014-11-01 23:35 | 医療事故・医療裁判

大阪高裁平成26年10月31日判決、2010年12月時点でのSTSにおける監視義務を否定(報道)

Medical Tribune 「大阪の早期母子接触訴訟,高裁も棄却 経過観察の注意義務認めず」(2014年10月31日)は、次のとおり伝えました.
 
分娩台上での早期母子接触(STS)中に児の呼吸が停止し,重度脳障害が残ったとして,大阪府内の女児(3歳)と両親が病院を経営する医療法人に約2億6,638万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審で,大阪高裁の森義之裁判長は10月31日,児側の請求を再び棄却した。STSにおける監視体制は2008年から2010年にかけて全国の病・医院で急速に強化されたものの,女児の事故が起きた2010年12月時点では経過観察を実施すべき注意義務があったとまではいえないとした。同様の訴訟で今年(2014年)3月に福岡地裁が病院に1億3,000万円の支払いを命じたのとは対照的な判決となる。・・・」


私は大阪の事件には関与していませんし、情報もありませんが、STSの相談が複数ありますので、本判決が当該事案の具体的事情に鑑みてて注意義務を限定したのか、それとも一般的に2010年12月時点では注意義務となっていないとしたのか等、判決を入手できたら、仔細に検討したいと思います.


谷直樹

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by medical-law | 2014-11-01 00:56 | 医療事故・医療裁判