弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

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バイエラー財団美術館,「ポール・ゴーギャン展」

スイスのバーゼル郊外のバイエラー財団美術館(Fondation Beyeler Baselstrasse) で6月28日までポール・ゴーギャン展が開催されています.かなり遠いので,簡単に行けないのが残念ですが...
キアヌ・リーブス氏の朗読があったとのことです.
フランスからヴァンサン・ペレーズ氏,ドミニク・ホルヴィッツ氏,イギリスからマーク・アーモンド氏も招待されるなど,豪華なイベントが行われているようです.
今日6月7日は,ポール・ゴーギャン氏の誕生日です.


谷直樹

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by medical-law | 2015-06-07 22:11 | 趣味

厚労省,薬事・食品衛生審議会薬事分科会の32名の委員が薬事分科会審議参加規程に違反していたことを公表

厚生労働省は,2015年6月5日,薬事・食品衛生審議会薬事分科会において,委員の審議参加について,薬事分科会規程及び薬事分科会審議参加規程に沿った対応が行われていなかったことを公表しました.

以下の薬事分科会委員8名について,薬事に関する企業の役員,職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任していた事実が判明し,i委員を辞任していいただくとのことです.
1 医薬品第一部会の国際医療福祉大学三田病院病院長(MSD株式会社)
2 再生医療等製品・生物由来技術部会の九州大学生体防御医学研究所ゲノム機能制御学部門ゲノム病態学分野教授(シンバイオ製薬株式会社)
3 再生医療等製品・生物由来技術部会の独立行政法人国立国際医療研究センター病院病院長(MSD株式会社・帝人ファーマ株式会社)
4 再生医療等製品・生物由来技術部会の大阪大学大学院薬学研究科分子生物学分野教授(レジエンス株式会社)
5 医療機器・体外診断薬部会の大阪大学大学院医学系研究科教授脳神経感覚器外科学(眼科学)(HOYA株式会社)
6 化学物質調査会の兵庫医療大学薬学部教授(KOBE Chemical Genetics株式会社)
7 取扱技術基準等調査会の横浜国立大学大学院環境情報研究院教授(三井化学株式会社)
8 動物用医薬品等部会・動物用一般医薬品調査会・動物用医薬品再評価調査会の国立大学法人東京農工大学農学部獣医学科准教授(株式会社日立製作所)

また,昨年度 開催した審議会について,委員による寄付金・契約金等の申告内容を確認したところ,以下の8名の委員について,「受領なし又は50万円以下の受領」と申告されていたものが,正しくは「50万円を超えて500万円以下の受領」であったことが判明した(過少申告)とのことです.これら8名の委員は,寄付金・契約金等の過少申告により本来参加できない議決に参加していました.
1 医薬品第一部会の国立大学法人山梨大学 医学部泌尿器科学教授
2 医薬品第一部会の独立行政法人国立精神・神経医療研究センター神経内科診療部長
3 医薬品第一部会の名古屋大学医学部附属病院薬剤部長・教授
4 医薬品第二部会の東京慈恵会医科大学葛飾医療センター泌尿器科教授・診療部長
5 医薬品第二部会の東京大学大学院医学系研究科内科学専攻アレルギー・リウマチ学教授
6 再生医療等製品・生物由来技術部会の独立行政法人国立国際医療研究センター病院病院長
7 安全対策調査会の群馬大学大学院病態制御内科学講師
8 医療機器・体外診断薬部会の上尾中央総合病院特任副院長兼循環器内科科長

さらに,寄付金・契約金等について「受領なし」と申告していた16名の委員が,正しくは「50万以下の受領」であったことも判明した,とのことです.

計32名もの委員が,企業との利害関係を隠し,或いは過少に申告していたわけで,薬事・食品衛生審議会薬事分科会の審議の公正さが疑われる事態です.


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by medical-law | 2015-06-06 22:14 | コンプライアンス

芒種

今日から芒種です.
この時期は,冷暖房を切って,窓を開けて仕事ができるのがよいです.
立夏,小満,芒種,夏至,小暑,大暑と夏はすすんでいきます.
北海道に住んでいたときは夏らしい夏がなく,東京に来て夏を実感しました.
この時期,四谷の須賀神社では例大祭が行われます.

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by medical-law | 2015-06-06 08:29 | 日常

欧州人権裁判所,回復可能性のない四肢麻痺の男性の「死ぬ権利」を認める

Vincent Lambert氏は,2008年に交通事故で脳に重度の損傷を受け四肢麻痺(tetraplegic)となりました.
フランスの法律は,消極的安楽死を認めています.3人の医師はフランスの法律と同氏の配偶者と兄弟の同意で静脈への栄養を止めることを決め,フランスの国務院( Conseil d'État)はこれを支持しました.同氏の両親と同意しなかった兄弟は,生命維持の継続を求め,欧州人権裁判所に提訴しました.
患者の配偶者と両親の意思が真っ向から対立していたのですが,欧州人権裁判所は「生命の権利」を侵害しないと判断しフランスを勝たせました.

Lambert and Others v. France
5 June 2015 (Grand Chamber)


The applicants are the parents, a half-brother and a sister of Vincent Lambert who sustained a head injury in a road-traffic accident in 2008 as a result of which he is tetraplegic. They complained in particular about the judgment delivered on 24 June 2014 by the French Conseil d’État which, relying on, among other things, a medical report drawn up by a panel of three doctors, declared lawful the decision taken on 11 January 2014, by the doctor treating Vincent Lambert, to discontinue hisartificial nutrition and hydration. The applicants submitted in particular that withdrawing hisartificial hydration and nutrition would be contrary to the State’s obligations under Article 2 (right to life) of the European Convention on Human Rights.
The Court held that there would be no violation of Article 2 (right to life) of the  European Convention on Human Rights in the event of implementation of the Conseid’État judgment of 24 June 2014.



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by medical-law | 2015-06-05 21:03 | 医療

兵庫県立加古川医療センター,看護師が車いすの安全ベルト装着を忘れ患者が転倒(報道)

神戸新聞「車いすで転倒患者骨折 加古川医療センター、ベルト装着怠る」(2015年5月26日)は,次のとおり報じました.

「兵庫県病院局は25日、加古川医療センター(加古川市神野町)で今年3月、車いすに乗っていた60代男性患者が転倒し、鼻を骨折する事故があったと発表した。看護師らが安全ベルトの装着を確認することを定める院内のマニュアルに従っておらず、同センターは患者や家族に謝罪した。

 同局企画課によると、3月6日、50代の女性看護師が、脳腫瘍で左半身まひの男性を車いすに乗せた。安全ベルトをしておらず、看護師が別の患者の対応に向かった際、男性が一人でトイレに行こうとして転んだという。

 佐藤二郎県病院事業副管理者は「より一層、医療安全対策を充実し、再発防止に努めたい」とコメントした。」


事故の原因は安全ベルトのし忘れですから,病院の責任は否定し難いでしょう.



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by medical-law | 2015-06-05 20:33 | 医療事故・医療裁判

新潟県立加茂病院,70歳代の認知症患者の食道の誤飲した義歯を見逃し,358万8100円賠償(報道)

NHK「加茂病院の医療ミスで県が賠償」(2015年6月5日)は,次のとおり報じました.

「県立加茂病院によりますと、平成24年11月、肺炎で入院した認知症の70代の女性患者にX線検査をした際、医師が食道に影を確認したものの、過去の手術の際、健康を維持するために置いた医療器具だと考えそのままにしていました。
女性は、その7か月後に体調が急変し、改めてX線検査をしたところ、影は、女性が誤って飲み込んだ入れ歯だったことがわかりました。
女性は、去年5月、肺炎で亡くなり、遺族が「入れ歯を見落としたことが肺炎を引き起こしたり、飲み込む力の低下につながったりした」と主張し、民事調停を起こしていました。
これについて、新潟県は肺炎との因果関係は否定したものの、「入れ歯を見過ごしたことで、飲み込む力の低下を起こした可能性は否定できない」として医療ミスを認め、遺族に358万円余りを支払うことを決めました。
病院では、検査の際に患者や家族の聞き取りを徹底して再発防止を図りたいとしています。」



上記報道と 「医療事故に係る民事調停の成立について(県立加茂病院)」で知る範囲からすると,平成25年6月に患者が急変した際にX線検査を実施して改めて精査した結果,陰影は入院前に患者が誤飲した義歯と判明し,患者家族に謝罪し治療方針を相談した結果義歯を除去せず保存的に治療を行うこととしたとのことです.平成24年11月の時点では,70歳代の患者は義歯取り出しに耐える体力があったのが7か月の間にその体力がなくなったということなのでしょう.

民事調停手続については裁判所のサイトご参照


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by medical-law | 2015-06-05 19:50 | 医療事故・医療裁判

東京国立博物館の特別展「鳥獣戯画─京都 高山寺の至宝─」は6月7日まで

東京国立博物館の特別展「鳥獣戯画─京都 高山寺の至宝─」は,昨年の秋に京都国立博物館の「国宝鳥獣戯画と高山寺」展の東京版です.
東京国立博物館を甲・丙巻を,京都国立博物館が乙・丁巻を,それぞれ保管しているので,このような形になるのでしょう.

東京国立博物館の特別展「鳥獣戯画─京都 高山寺の至宝─」は,待ち時間が非常に長いのに,ついに20万人を超えたとのことです.京都同様に前半後半入れ替えがあり,2度来させようという作戦にのせられた人も多いのでしょう.

ところで,LINEスタンプにも,鳥獣戯画バージョンがあり,とくにウサギが「勝訴」を掲げているものは,弁護士等に需要がありそうです.



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by medical-law | 2015-06-04 19:57 | 趣味

AEDの使用が遅れたために植物状態になったとして仙台医療センター仙台オープン病院が提訴される(報道)

河北新報「「AED処置遅れ植物状態」男性が病院提訴」(2015年6月2日)は,次のとおり報じました.

 「仙台オープン病院(仙台市宮城野区)に入院した宮城県大和町の男性(57)が心肺停止後に遷延性意識障害(植物状態)になったのは、自動体外式除細動器(AED)の使用が遅れたためだとして、男性と妻が1日、病院を運営する公益財団法人仙台市医療センター(同)に1000万円の損害賠償を求める訴えを仙台地裁に起こした。
 訴えによると、男性は2013年4月、十二指腸がんで入院。手術後、腹部の激しい痛みを訴え、コンピューター断層撮影(CT)を実施したところ、撮影中に心肺停止状態となった。男性はAEDの使用で約15分後に蘇生したが、現在も意識が戻っていない。
 男性側は「病院は男性の心肺停止後、別の蘇生法を試すなどしていた。AEDを直ちに使用していれば、植物状態になるのを避けられた可能性が高い」と主張している。
 賠償請求額は男性の事故前の収入などから約8040万円と算定したが、今回は一部の請求にとどめた。審理の状況に応じて増額するという。」


 心停止後脳に血液が供給されなかった時間が長ければ,蘇生しても虚血により脳が受けたダメージは回復せず,遷延性意識障害(植物状態)となってしまいます.
 院内での心停止で蘇生できた症例の場合,すみやかに除細動を行っていれば結果が違っていた高度の蓋然性が認められると思います.救急科専門医指定施設内での心停止について15分後の除細動では対応が遅い,と言わざるを得ません.
  なお,本件は私が担当した訴訟ではありませんが,私も同様の事案を担当しています.このような医療事故は結構多いのかもしれません.


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by medical-law | 2015-06-03 01:04 | 医療事故・医療裁判

陣痛促進剤の不適切使用による脳出血で植物状態になったと狭山市の産婦人科クリニックが提訴される(報道)

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産経新聞「「陣痛促進剤で植物状態」 家族がクリニックを提訴 埼玉」(2015年6月1日)は、次のとおり報じました.

埼玉県狭山市の産婦人科クリニックでお産をしようとした所沢市の保育士の女性(30)が陣痛促進剤の不適切使用で脳出血を起こし植物状態になったとして、女性の家族が運営元の医療法人と医師に、約2億4800万円の損害賠償を求めてさいたま地裁に提訴したことが1日、分かった。提訴は4月10日付。

 訴状によると、女性は昨年4月10日、長女を出産しようと入院した狭山市の金村産婦人科クリニックで陣痛促進剤を投与された後で脳出血を起こした。転院先で帝王切開して長女は出産できたが、女性は植物状態となった。

 原告側は、女性には頭痛や血圧上昇などの異常が現れたのに、医師は投与を中止するといった処置を怠ったとしている。促進剤使用の留意点を定めた日本産科婦人科学会などの指針にも反していたという。

 クリニックは取材に「適正な医療を行った」としている。」


 これは私が担当した事案ではありません.私の場合、約2億4800万円という高額の請求で提訴することはありません.印紙代節約のために一部請求を奨めますので.
 
 陣痛促進剤と脳出血の関係は,産科医療の争点の1つです.
 米国におけるオキシトシンの添付文書の「注意」欄には「オキシトシン注射剤を使用することに関連した母体の死亡および胎児の死亡が報告されている。本製剤使用関連した母体の死亡の原因としては,高血圧性合併症,くも膜下出血,子宮破裂などがある」との記載がありますが,日本では、オキシトシンの添付文書には,「薬剤の使用の有無によらず、分娩時には母体の生命を脅かす緊急状態(子宮破裂、羊水塞栓、脳内出血、くも膜下出血、常位胎盤早期剥離、子癇、分娩時大量出血等)が起こることがあるため、本剤を用いた分娩誘発、微弱陣痛の治療にあたっては、分娩監視装置を用いた分娩監視に加えて、定期的にバイタルサインのモニターを行うなど、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。 」という妥協的な記載しかありません.
 脳内出血と子宮収縮抑制剤との因果関係については否定的である、とさえ,「産婦人科ガイドライン2014-産科編-」に書かれています.
 他方,東京高裁平成13年1 月31 日判決は,オキシトシンの投与及びその増量並びに出産の接近に伴って血圧が上昇し,脳出血に至ったものと認め,患者側の逆転勝訴としています. 
 この件を提訴した患者側弁護士は,脳出血の原因が陣痛促進剤の不適切使用であるという主張をどのように立証するのか,さいたま地裁民事2部はどのような判決を下すのか,影響は大きいので,注目したいと思います.

【追記】

埼玉新聞「出産女性が植物状態に…夫が提訴 陣痛促進剤訴訟、初の弁論」(2015年6月18日)は,次のとおり報じました.

「狭山市の金村産婦人科クリニックで出産しようとした所沢市に住む保育士女性(30)が陣痛促進剤を不適切に使用され脳出血を起こし植物状態になったなどとして、女性の夫らが運営元の医療法人と医師を相手取り、治療費など総額約2億4千万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回弁論が18日、さいたま地裁(高野輝久裁判長)で開かれた。

 訴状によると、女性は昨年4月10日、同クリニックで長女を出産する際に、陣痛促進剤を投与された。転院先で帝王切開をして長女を出産したが、女性は植物状態になった。

 原告側は、陣痛促進剤を投与された女性が、激しい頭痛やけいれんなどの異常症状を起こしたのに、医師は投与を中止せず、血圧や脈拍数の測定を怠ったなどと主張。陣痛促進剤を定めた日本産婦人科学会のガイドラインにも違反していたとしている。

 一方、法人側は答弁書で「原告側の請求をいずれも棄却する」と争う姿勢を示している。同クリニックは取材に対し、「適正な医療を行い、ガイドラインにも反していない。今後の裁判で明らかにしていく」としている。

 閉廷後に取材に応じた女性の夫(32)は「今も妻はベッドで寝たままだ。妻と共に幸せな家庭を築きたかった。家族が前を向いていくために、裁判を起こすことに決めた。真実を明らかにしてほしい」と訴えた。」



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by medical-law | 2015-06-02 01:38 | 医療事故・医療裁判

新宿セントラルクリニックによるカットオフ詐欺裁判, 院長が「私の基準値は0.00」と証言(報道)

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東京スポーツ「性病詐欺”被害者2人目の裁判開始 被告の病院長が意外な反論」(2015年5月31日)は,次のとおり報じました.

「新宿セントラルクリニック」による“性病詐欺”で、2人目の“被害者”の損害賠償請求訴訟の口頭弁論が28日、東京地裁で行われた。

 性病でもない患者に対し、性病と偽った診断を下し、高額な医療費をせしめたとされる。男性A氏が200万円の損害賠償を提起し、今年3月、地裁は「院長が故意に虚偽の診断をした」として、25万円の支払いを命じた(控訴中)。

 男性B氏も「医療問題弁護団新宿セントラルクリニック対策班」の支援で提訴した。B氏は3年前、ある女性との真剣交際を考え、性病の症状はなかったが、念のために性病検査を受けた。血液検査の結果、クリニックはクラミジアと診断し、大量の薬を処方。しかし、検査機関による検査結果はB氏に示さず、医師が作った診断書を示しただけだった。

 法廷でB氏は「1か月以上、指示通りに薬を飲んだのに治らないので不審に思った。クリニックで作成された検査結果報告書は、検査会社が作った紙ではなかったのでおかしいと思った。セカンドオピニオンとして別の病院で調べてもらったら、クラミジアではなかった。『カットオフ詐欺じゃないですか』と言われた」と証言した。

 カットオフ値とは国が定めた陽性、陰性を分ける値。クラミジアの値は0.90で、それより上の値が出ると陽性となる。検査機関の検査結果報告書には0.90以下は陰性と説明があるが、B氏の2回の検査結果は0.86、0.46だった。

 しかし、同クリニックが作成した診断書ではカットオフ値は0.00だった。B氏は「医者が基準値を0.00と言うのだから、間違いないと思った。でも後で本当は0.90が基準値だと知った。医者が健康な人に性病だとうそをついた」と語る。

 一方、同クリニック院長は「医者は専権事項として診断できる。検査結果と問診を含め、総合的に判断してクラミジアと診断した。0.90というカットオフ値が間違っている。私の基準値は0.00。数千人に診断を下してきた」としている。

 7月には3人目の“被害者”C氏の裁判も始まるという。」


2015年7月28日に尋問が行われ,結審し,8月19日に判決が下されるということです.

カットオフ詐欺とは,カットオフ値を低くすることで,本来陰性の人を陽性と診断し,必要のない治療を行い,治療費を支払わせるものです.

院長の言い訳は破綻しています.

「ヒタザイム クラミジアAb‐IgM」の添付文書には,次のとおり記載されています.

「ヒタザイム クラミジアAb-IgMは酵素免疫測定法(ELISA)により血清中の抗クラミジア トラコマチスIgM抗体を検出するキットです。
 クラミジア トラコマチスL2株より精製したクラミジア外膜抗原を固相化したマイクロプレートのウェル内で検体中の抗クラミジア トラコマチスIgM抗体と反応させ、さらにアルカリフォスファターゼを標識した抗ヒトIgM抗体を反応させるとウェル内で抗体量に応じた固相抗原-抗体-標識抗体の免疫複合体が形成されます。これに基質(p-ニトロフェニルりん酸)を加えると検体中の抗体量に応じてp-ニトロフェノールが生成します。これを405nmの波長で吸光度を測定し、抗クラミジア トラコマチスIgM抗体の有無を判定します。判定は、陰性対照血清の吸光度から求めたカットオフ値と対比して行います。」


「下記の判定表に従い、検体を判定して下さい。ただし、0.90~1.09のインデックスを示す検体は疑陽性(±)とし、再度新しく採血した血清により再検査するなど注意して判定して下さい。

インデックス     測定結果
1 . 1 0 以上      (+)
0 . 9 0 ~ 1 . 0 9  (±)
0 . 9 0 未満      (-)

 抗体測定においては、ウィンドウ・ピリオド(感染後抗体が検出できる量までになる期間)及び免疫機能低下により抗体産生能が低下している場合では、測定結果が陰性になる場合もあります。」


院長は「私の基準値は0.00。」と証言したことから,院長は誤った自己流の考えで故意に誤った診断を行ったことが認定できます.しかも,「数千人に診断を下してきた」と証言しているのですから,被害者はおそらく数千人にのぼるものと思われます.被害者と思われる方は医療問題弁護団(電話03-5698-8544)に相談されてはいかがでしょうか.

谷直樹


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by medical-law | 2015-06-01 21:22 | 医療事故・医療裁判