弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

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小田原市立病院,脊髄腫瘍摘出手術の神経損傷で1億1千万円で和解(報道)

神奈川新聞「後遺障害で和解金 腫瘍手術男性へ1.1億円、小田原市」(2016年2月16日)は,次のとおりじました

小田原市立病院は15日、脊髄腫瘍の摘出手術を受けた後、後遺障害を負った男性患者に対し、和解金1億1千万円を支払うことで合意したと発表した。関連する議案を22日開会の市議会3月定例会に提出する。

 同病院によると、当時20代後半だった男性は2012年1月に脊髄腫瘍の摘出手術を受けたが、神経損傷による両下肢不全麻痺(まひ)、ぼうこう直腸障害を負った。

 術前の検査画像や男性の訴える症状から「腫瘍が悪性の可能性を否定できない」として手術に踏み切ったが、腫瘍は良性だった。また主治医は病院に対し「重い後遺障害を負う可能性があることを説明した」と主張したが、手術の同意書には麻痺の程度などは記載されていなかったという。

 男性は14年7月、医療行為に注意義務違反があったとして、約2億円の損害賠償を市に請求。調停による話し合いを重ねた結果、慰謝料や装具器具代などを支払うことで合意した。会見した白須和裕病院長は「結果として、日常生活に支障のあるような後遺障害を残すことになったことを非常に重く受け止めている」と謝罪した。」


毎日新聞「手術で後遺症に 1億円で和解へ 小田原市立病院 /神奈川」(2016年2月16日)は,次のとおりじました

「小田原市は15日、同市立病院で脊髄(せきずい)腫瘍の手術を受けた当時20代の外国人男性が神経を損傷し、両下肢不全まひなどの後遺症が残ったとして1億1000万円の解決金を支払うと発表した。」 「男性が15年1月、同市に対して損害賠償を求める調停を東京地裁に申し立て、同年12月に解決金を支払うことで合意したという。」

本件は,私が担当したものではありません.

民事調停の管轄は,原則的に相手方の住所地のある簡易裁判所ですが,例外があります.

民事調停法第3条第1項で「調停事件は、特別の定めがある場合を除いて、相手方の住所、居所、営業所若しくは事務所の所在地を管轄する簡易裁判所又は当事者が合意で定める地方裁判所若しくは簡易裁判所の管轄とする。」と定められています.
上記報道の件は,当事者の合意で東京地方裁判所で調停申立を行ったのでしょう.

谷直樹


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by medical-law | 2016-02-18 23:20 | 医療事故・医療裁判

ハンセン病元患者家族、国を提訴(報道)

熊本日日新聞「ハンセン病元患者家族、国を提訴 熊本地裁 」(2016年2月16日)は,次のとおり報じました.

「ハンセン病患者を強制隔離した国の政策によって差別や偏見などの被害を受けたとして、元患者らの家族59人が15日、国に謝罪と1人当たり550万円の損害賠償を求めて熊本地裁に提訴した。家族の被害をめぐる集団訴訟は初めて。

 原告は37~92歳の男女で、東北から沖縄まで県内を含む西日本を中心に居住。菊池恵楓園(合志市)など全国13の国立療養所などの入所者や退所者の子ども、配偶者、きょうだいも含まれる。

 訴状によると、国はらい予防法が廃止される1996年まで隔離政策を続け、患者だけでなく家族への差別・偏見を助長。治療薬の普及などで遅くとも60年以降は隔離の必要性が失われたのに、国は差別・偏見を解消する措置を講じなかった。

 このため家族は地域や学校で差別され、婚約の破談や離婚、転職を余儀なくされた。親を憎むなど家族関係が破壊されたケースもあり、「個人の尊厳が損なわれた」と訴えている。

 2001年の熊本地裁判決(確定)は、国が60年以降も隔離政策を続けたのは違憲と判断し、元患者らの損害を認定。国は全国原告団協議会との基本合意などに基づき、元患者らに和解一時金(補償金)を支給してきたが、家族の被害は対象外とされてきた。

 提訴に対し、厚生労働省難病対策課は「訴状が届いておらず、コメントは差し控える」としている。

 弁護団は3月下旬に第2陣の提訴を予定しており、新たな原告は50人を超える見通し。今月21日午後1時~午後5時、訴訟に関する電話相談会を開く。熊本市南区の菜の花法律事務所TEL096(322)7731。(中村勝洋)」


朝日新聞「ハンセン病元患者の子らが国を提訴 「隔離で離散や差別」」(2016年2月16日)は,次のとおり報じました.

ハンセン病に対する国の隔離政策で差別や偏見が助長され、家族の離散や苦しい生活を余儀なくされたなどとして、元患者の子どもら家族59人が15日、国に総額2億9500万円の損害賠償と謝罪などを求め、国家賠償法に基づく初の集団訴訟を熊本地裁に起こした。

 隔離政策の違憲性を認めた2001年の同地裁の判決が確定後、国は元患者に謝罪し、補償を続けており、原告側は「家族への国の責任も認められるべきだ」と訴えている。3月29日には第2陣の熊本地裁への提訴を予定しており、全国から参加する原告は計150人を超える見込みだ。

 訴状によると原告は、患者を隔離した国の誤った政策で社会に根付いた偏見によって差別され、平穏な生活を送る権利を侵害されたと主張。1人当たり500万円の賠償に加え、名誉回復のため新聞紙上への謝罪広告の掲載を求めている。

 原告弁護団によると、提訴したのは九州・沖縄や関西、東京、東北などの37~92歳。平均年齢は68歳で、元患者を親に持つ人がほとんど。肉親を強制的に療養所に収容され一家が離散したほか、結婚や婚約の破談や転職を余儀なくされた人が多いという。01年の熊本地裁判決は、遅くとも1960年以降、治療薬の普及などから隔離政策は必要性がなく違法だったと指摘した。今回の訴訟では「その前(60年以前)からも、今でも被害は続いている」と訴えていく方針。

 隔離政策の根拠となっていた「らい予防法」が96年に廃止されて近く20年となり、今年3月末で損害賠償を請求できる「除斥期間」が過ぎるため、弁護団は全国で原告を募っている。

 弁護団の徳田靖之共同代表は会見で「(差別を恐れ)声を上げられない家族たちは数千人いるはず。裁判を通じて被害を明らかにし、解放する場にするため、多くの人に参加してほしい」と話した。21日には弁護団が主催し、全国4カ所で一斉に電話相談に応じる。九州は菜の花法律事務所(096・322・7731)、沖縄は幸喜・稲山総合法律事務所(098・938・4381)で受け付ける。

 厚生労働省の担当者は「訴状を確認しておらず、報道以上のことは把握していないのでコメントできない」と話した。(籏智広太)」


 患者本人だけではなく家族も被害を受けてきたのは確かです.私は,裁判にはかかわっていませんが,展開に注目したいと思います.

【追記】

朝日新聞「ハンセン病、新たに509人提訴 家族ら「差別解決を」(2016年月29日)は次のとおり報じました.

「らい予防法を根拠とした国の誤ったハンセン病隔離政策によって差別や経済的な被害を受けたとして、元患者の家族が国家賠償法に基づいて初めて起こした集団訴訟で、全国の509人が29日、熊本地裁に新たに提訴した。原告は2月に提訴した59人と合わせて568人になり、1人あたり500万円の損害賠償と謝罪を国に求めている。

 弁護団によると、新たに提訴した509人は23~96歳の男女。60~70代が250人を超える。元患者の子のほか、発症時に同居していた親や兄弟姉妹、孫、おいやめいも含まれる。地域は九州・沖縄が333人で、その4分の3が沖縄。ほかに関東が58人、近畿が48人、中部が27人など。

 国がハンセン病療養所への隔離政策を続けたことで、社会に差別や偏見が広がり、家族の離散や苦しい生活を余儀なくされたことなどを訴えている。

 提訴後の記者会見には新たに提訴した2人も臨んだ。大島青松園(高松市)で暮らした詩人の故・塔和子さん(享年83)の弟、井土一徳さん(80)=高知県=は「何も悪いことをしていないのに、隠れて生きてきた。すべての家族の思いがこもった裁判で、人としての尊厳を取り戻したい」と語った。

 両親がいた宮古南静園(沖縄県宮古島市)で誕生後、祖母に育てられた奥平光子さん(58)=同市=は「いまだに家族への差別があり、周りに言えない人がいる現状を国は認め、解決してほしい」と訴えた。

 弁護団の徳田靖之共同代表は「509という数字には驚いている。家族として苦難の人生を歩んできた人たちは数千人いるはず。どうしてこうなったのか、社会や国の責任を徹底的に明らかにしたい」と話した。

 らい予防法の廃止から今月末で20年となり、その後は国の隔離政策への民法上の損害賠償請求権がなくなるため、集団提訴は今回が最後だという。(籏智広太)」


谷直樹


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by medical-law | 2016-02-16 22:05 | 医療事故・医療裁判

医療安全情報No.111「パニック値の緊急連絡の遅れ」

公益財団法人日本医療機能評価機構は,2016年2月15日,医療安全情報No.111(2016年2月)「パニック値の緊急連絡の遅れ」を発表しました.

「事 例 1
診察前に実施した血液検査でヘモグロビン値が低下していたため、鉄剤を処方され、患者は帰宅した。診察時、血糖値は「検査中」と表示されていたが、実際は異常値で再検中であった。患者の血糖値は800mg/dLであったため、本来であればパニック値として検査部より医師に報告するところ、臨床検査技師は昼休憩の時間帯で人数が少なかったため余裕がなく、連絡を忘れた。10日後、患者から倦怠感があると電話があり、医師が前回の検査結果を確認したところ血糖値が800mg/dLであったことが分かり、入院となった。

事 例 2
外来で採血後、患者は入院した。患者は全身倦怠感があり、血圧80/50mmHg、呼吸促迫状態でSpO2が89%であることを病棟看護師は確認した。臨床検査技師は血清カリウム値がパニック値(6.4mEq/L)であったため、再検後に外来看護師に報告した。外来看護師より、病棟に直接連絡してほしいと依頼があり、臨床検査技師は病棟の看護師に報告した。病棟看護師は主治医が不在時の連絡方法を知らず、パニック値が医師に伝わらなかった。

事例が発生した医療機関の取り組み
・検査値がパニック値であった場合の報告手順を院内に周知する。
・検査部では、パニック値の連絡を行った際、検査結果、連絡者、連絡先医師名を記録に残す。
・主治医不在時の連絡・対応体制を構築し、周知する。」


パニック値は,病院により異なりますが,危機的な状態であることを示す値ですから,迅速・確実に臨床医に伝達されることが必要です.

谷直樹


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by medical-law | 2016-02-16 00:15 | 医療事故・医療裁判

西行忌

西行は,文治6年2月16日に亡くなりましたが,釈迦入滅の日(きさらきのもちつき)に死なんと願ったことから,西行忌は,1日早めて2月15日とされています.
単に「花」と言うと「桜」を意味しますし,新暦になおすと3月下旬の桜花の季節にあたりますので,「花」はやはり「桜」の意味でしょう.

     ねかはくは 花の下にて 春しなん そのきさらきの もちつきのころ

ちなみに,釈迦の入滅は急性腹症によるものです.



 谷直樹


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by medical-law | 2016-02-15 00:36 | 日常

祇王忌(妓王忌)

祇王忌(妓王忌)_b0206085_21303181.jpg
陰暦2月14日は白拍子祇王の忌日とされています.

京都市右京区の祇王寺、野洲市の妓王寺がゆかりの寺です.

平清盛の寵愛が他の白拍子に移ったときに読んだ歌です.

      萌え出づるも 枯るるも同じ 野辺の草 いづれか秋に あはで果つべき




 谷直樹


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by medical-law | 2016-02-14 02:32 | 日常

ガーゼの放置で刑事告訴(報道)

毎日新聞「帝王切開で 産婦人科院長を女性側告訴」(2016年2月13日)は,次のとおり報じました.

小倉南区の産婦人科医院で、帝王切開で出産した女性(33)の体内にガーゼが2週間以上放置されていたことが12日、分かった。手術した男性院長(63)が共同通信の取材に認めた。女性側は同日「後遺症で妊娠が難しくなった」として業務上過失傷害容疑で地検小倉支部に告訴状を提出した。

 院長や女性の代理人によると、女性は2012年4月1日、帝王切開手術で次男を出産。その際、院長が止血で使った約25センチ四方のガーゼ1枚を取り出すのを忘れた。女性は退院後の同16日、腹部が痛み、搬送先の別の病院でガーゼを取り出した。ガーゼの周囲は化膿していたという。

 告訴状によると、ガーゼの放置に伴い、腸と子宮が癒着し卵管の病気を患い、自然妊娠が難しくなったと主張。院長は「後遺症に関する責任についてはノーコメント」とした上で「確認を怠ってガーゼを体内に残してしまい申し訳ない」と謝罪した。

 女性は昨年6月、院長に損害賠償を求める訴訟を福岡地裁小倉支部に起こしている。」

 本件は私が担当したものではありません.私は,ガーゼ残置事案の刑事告訴をお引き受けすることはありません.私が刑事告訴をお引き受けしたのは,誰が見てもきわめて悪質な事案だけです.

 ガーゼの残置について過失は明らかですので,報道の件は,後遺症との因果関係が争いなのでしょう.刑事告訴にいたるまでいろいろな経緯があることと察します.

【追記】
読売新聞「帝王切開でガーゼ残し縫合、患者炎症…業務上過失傷害容疑で医師を書類送検」(2017年2月7日)はつぎのとおり報じました.

「北九州市小倉南区の産婦人科医院で帝王切開手術を受けた女性患者(34)の体内にガーゼを残し、炎症を起こさせたとして、福岡県警は6日、同医院を運営する医療法人理事長で、手術を担当した男性医師(64)を業務上過失傷害の疑いで福岡地検小倉支部に書類送検した。

 捜査関係者によると、医師は2012年4月、女性の緊急帝王切開手術を行った際、女性の体内に約25センチ四方のガーゼを残したまま縫合し、ガーゼの周辺に炎症を起こさせた疑い。女性は約2週間後に強い腹痛を訴え、別の病院でガーゼを取り出した。医師は容疑を認めているという。

 女性は医院側を相手取り、約2200万円の損害賠償を求める訴訟を福岡地裁小倉支部に起こし、昨年12月、医院側が慰謝料350万円を支払うことで和解が成立した。」


示談が成立していますから,起訴はないでしょう.

 谷直樹


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by medical-law | 2016-02-13 21:44 | 医療事故・医療裁判

都内のインフルエンザ「流行警報」

東京都福祉保健局は,平成28年2月12日,都内のインフルエンザ患者報告数は、第5週(2月1日から2月7日まで)において急速に増加し「流行警報基準」を超えた,と発表しました.

東京都のサイトによると,
インフルエンザ対策のポイント

    こまめな手洗い
    休養・栄養・水分補給
    咳エチケット
    適度な室内加湿・換気
    予防接種(かかりつけ医と相談)


とのことです.

 多くの人が予防のためにマスクをしていますが,外出をできるだけ控えるのがよいと思います.

学校は早めに休校にしてほしいですね.

 そういえば,インフルエンザに罹患した弁護士もいました.
 多忙で休養がとれなかったためかもしれませんが,インフルエンザで書面が書けなかったということは裁判所に通用しませんので,忙しい弁護士ほど健康管理が重要です. 


 谷直樹


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by medical-law | 2016-02-12 22:40 | 医療

兵庫県の病院,血液製剤と誤り血圧降下薬を乳児の静脈に投与(報道)

神戸新聞「乳児に投薬ミス、死亡との因果関係は否定 こども病院」(2016年2月10日)は,次のとおり報じました.

「兵庫県立こども病院(神戸市須磨区)で昨年3月、心臓病で入院中の乳児が医師に誤った薬を投与され、一時中毒状態に陥っていたことが9日、関係者への取材で分かった。乳児はいったん回復したが、約2カ月後に持病の心臓病で死亡したという。同病院は遺族に対し、投薬ミスと死亡に因果関係はない、と説明しているという。

 関係者によると、昨年3月、医師が血液を固まりやすくする血液製剤を乳児の静脈に注入する際、誤って血圧を降下させる薬を投与し、乳児は一時、呼吸困難などの中毒状態になった。治療により中毒状態は脱したが、その後に容体が悪化したという。

 血液製剤と血圧降下薬の色が似ていたことなどが投与ミスの一因とみられている。院内では薬を指さし確認したり、名称を読み上げたりして、再発防止に努めているという。

 県立病院では2014年10月から、医療過誤のケースでも、患者や家族から事案を非公表とするよう文書で申し出があれば、公表しないよう基準を変更。今回は家族から申し出があったとして、公表していなかった。

 県の担当者は神戸新聞社の取材に「遺族の意向があるので、県としては説明やコメントはできない」としている。(金井恒幸)」


神戸新聞「県立こども病院投薬ミス 専門医「非公表は問題」(2016年2月10日)は,次のとおり報じました.

「兵庫県立こども病院(神戸市須磨区)で9日判明した心臓病の乳児に対する投薬ミスは、家族の申し出により非公表となっていた。県内では、家族の同意がなくても医療事故を公表する公立病院があるが、県は2014年に基準を変更した。専門医や別の患者家族からは「家族の意向を理由に医療過誤を公表しないのは問題」との声が上がっている。

 県立病院では医療過誤で障害が残ったり、死亡したりした事故を原則公表している。だが「個人情報が特定され、精神的な苦痛を受けた」などと抗議を受ける事案が複数発生したため、14年から、医療過誤の事案でも患者や家族から非公表とするよう文書で申し出があれば公表しないよう基準を変えた。

 県によると、今回以外にも別の家族から非公表を求める申し出があった。県の担当者は「情報公開という点では後退したととらえられる可能性はある」とし、公表基準を再度議論したいという。

 医療事故の公表基準は公立病院でもさまざまで、神戸市立医療センター中央市民病院などを運営する神戸市民病院機構では、事前に患者・家族の同意を得るよう努める一方、同意が得られない場合も患者のプライバシーに配慮しつつ、原則公表している。

 子どもの心臓病に詳しい県内のある専門医は「県立病院は公的な存在で県民には知る権利がある。県や病院という身内が公表の有無を判断するのは問題。医師が誤って薬を投与しただけで十分公表に値する」と指摘。子どもが心臓病患者という女性は「こども病院は県内では子どもの心臓病患者にとって最後のとりで。患者や家族の特定につながらないようにしながら、起きた事故はオープンにすべきだ」と話す。(金井恒幸)


本件は私が担当したものではありませんので,具体的事情がわかりませんので,因果関係についてはなんともいえませんが,中毒状態が続いたことが死亡に影響している可能性を否定することはできるのでしょうか..

また,医療過誤のケースをプライバシーに配慮して公表することで,他施設での同種事故を防止する効果が期待できます.また,上記報道の件であれば,薬は間違いを防ぐために着色していることも多いのですが,その色について検討が必要とされるかもしれません.このようなケースでは,非公表にするのではなく,ご遺族の意見をいれた公表のしかたを考えるべきと思います.

医療の進歩,患者の安全の進歩は,先例の教訓の上に築かれたものです.いま患者が受けている医療は,先例の教訓の上にあるものです.医療は公的なものですから,医療事故の公表,共有は,今後の医療,患者の安全のために必要なことです.

 谷直樹


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by medical-law | 2016-02-11 07:33 | 医療事故・医療裁判

新発田病院のガーゼ残置事故が調停で解決(報道)

新潟日報「新発田病院医療事故、調停成立へ」(2016年2月10日)は,次のとおり報じました.

「県立新発田病院は10日、右大腿(だいたい)骨の手術をした女性患者の体内に27年間ガーゼを放置した医療事故で、民事調停が成立する見通しになったと発表した。女性の右膝は可動域が4分の3程度で、正座できない後遺症がある。損害賠償額は約870万円。県は県議会2月定例会に関連議案を提出する。

 病院によると、女性は1987年に新発田病院で右大腿骨の固定手術を受けた。病院はその際に、血を拭くためのガーゼを置き忘れたという。2014年に別の病院で右大腿骨の腫瘍を摘出したところ、ガーゼが発見された。

 県は昨年12月、新潟簡裁に民事調停を申し立てた。今年1月に裁判所の調停案が示され、女性側が同意した。県立新発田病院の石附由美子事務長は「明らかに病院側のミスで後遺症を残す結果となり、大変申し訳ない。今後は再発防止と安全な医療の提供に努めたい」と話している。」

本件は,私が担当したものではありません。
ガーゼ残置事故は,過失が明らかで,賠償金額に争いがあることが多いので,交渉,医療ADR,調停などになじむと思います.

民事調停で,弁護士が代理人になることは少ないと思います。
責任に争いがなく,金額だけが争点の事案で,最初から弁護士が患者側の代理人としてついている場合,調停ではなく,直接の示談交渉で解決することが多いと思います.

賠償金額が少額で費用の関係で弁護士をつけられない場合,弁護士会のADR,裁判所の調停が,有用です.
民事調停は,民事に関する紛争につき,当事者の互譲により,条理にかない実情に即した解決を図ることを目的とする手続きです.非公開で行われます.
民事調停は,裁判官1名と調停委員(2名以上)が構成される調停委員会が手続きをすすめます.
当事者間に合意が成立する見込みがない場合は,調停不成立となります.
裁判所が,調停に代わる決定を行うこともできますが,医療過誤では,この決定はまず行われません.

調停不成立のときに,申立人がその旨の通知を受けた日から2週間以内に調停の目的となった請求について訴えを提起したときは調停の申立ての時にその訴えの提起があったものとみなされ,時効が中断します.
また,この2週間以内に訴えを提起すると,調停の申立てについて納めた手数料の額に相当する額は納めたものとみなされ,訴訟提起の際に貼付すべき印紙の金額が安くなります.
この段階で相談にみえる方がいますが,短期間で訴状を作成し,提訴するのは大変です.


 谷直樹


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by medical-law | 2016-02-11 00:25 | 医療事故・医療裁判

最高裁、新宿セントラルクリニックの院長の上告棄却(報道)

朝日新聞「うその性病診断した院長の敗訴確定 最高裁」(2016年2月4日)は、次のとおり報じました.

「性感染症にかかっているとのうその診断をされ、不要な治療を受けさせられたとして、東京都内の60代男性が、診察をした院長に約210万円の損害賠償を求めた訴訟で、院長に25万円の支払いを命じた一、二審判決が確定した。最高裁第三小法廷(大谷剛彦裁判長)が2日付の決定で、院長側の上告を棄却した。

 一、二審判決によると、男性は2012年9月、新宿区の「新宿セントラルクリニック」で性感染症の検査を受けた。院長は検査結果が基準値を下回ったにもかかわらず、基準値を書き換えた検査報告書を自作して「陽性」と診断。「わざと虚偽の診断をして不必要な医療行為をした」と認定した。 同クリニックをめぐっては、同様の訴訟が複数起こされている。」


 独自の基準で陽性と診断し、性病治療の投薬を行っていた院長の上告が棄却されました.
 一つ一つは少額ですが、被害者は多数いるはずです.
 刑事事件にもなり得るように思います

 谷直樹


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by medical-law | 2016-02-10 00:58 | 医療事故・医療裁判