弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

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アルチンボルド展 さあ謎解きの世界へ

アルチンボルド展 さあ謎解きの世界へ_b0206085_17135026.jpg
国立西洋美術館でアルチンボルド展を見てきました.
平日の午後でしたので,混雑することなく,鑑賞できました

果物で構成された肖像画,花で構成された肖像画などが有名です.
静物画と肖像画の二重構造で,静物画の先駆的作品となっています.
悪意の塊のような作品もあるのですが.いずれも細部まで静物として正確に描かれています.
「四季」の《春》《夏》《秋》《冬》と「四大元素」の《大気》《火》《大地》《水》がすべて展示されています.

ジュゼッペ・アルチンボルドは1526年に生まれ1593年に亡くなったイタリアの画家です.
徳川家康の父松平広忠が生まれた年に生まれ,豊臣秀吉の子豊臣秀頼が生まれた年に亡くなったわけです.
宮廷画家としてまっとうな肖像画も描いています.
レオナルド・ダ・ヴィンチの作品,同時代の作品,追随者の作品も展示されていて,アルチンボルドが変人奇人であったわけではなく,諧謔を愉しむこの時期の傾向であったことがわかります.

アルチンボルド展は9月24日(日曜日)までです.
東京だけの展覧会です.
この機会をお見逃しなく.


谷直樹

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by medical-law | 2017-09-20 16:47 | 趣味

『京都西陣なごみ植物店』

 『京都西陣なごみ植物店』_b0206085_9134826.jpg
昨日は出張でした.
新幹線の中で,仲町六絵さんの 『京都西陣なごみ植物店』(PHP文芸文庫,2017年04月28日発行)を読みました.

西陣にあるなごみ植物店の店員にして店長の妹であるの和久井実菜さんは,「植物の探偵」です.植物に関する謎を解いていきます.探偵料は,なごみ植物店で買い物をすること.
京都府立植物園広報課の新人神苗健さんは,探偵助手見習です.

第1話 逆さまのチューリップ
第2話 信長公のスイーツ
第3話 さそり座の星
第4話 紫式部の白いバラ
第5話 蛍の集まる草
第6話 桜に秘める
の6話です.
 
逆さまのチューリップを見たという子どもの心を傷付けないために,探偵はどう言ったと思いますか.
織田信長ゆかりのスイーツを調べに,探偵はどこに行くのでしょうか.
赤い花だったのに「白い花見てあなたを想う」と詠んだ心は.
源氏物語のバラを調べていると,危険な人物が出現しますが,それはなぜ.
老人が孫に出した謎かけの意味は.
茜色に染めた大原の桜に秘めた思いは何だったのでしょうか.

仲町さんは,本作で,あやかし,ダークな世界から一変し,新境地を開拓したようです.
イヤミスの真逆で,なごみます.スキミスです.(好きなミステリーの略です.)
続編も期待します.


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by medical-law | 2017-09-20 08:44 | 趣味

大学病院が陣痛促進剤投与後の子宮破裂による死産の事案で提訴される(報道)

毎日新聞「無痛分娩 死産、順天堂を提訴 入院の女性と夫」(2017年9月19日)は,次のとおり報じました.

「○○(東京)で2015年、麻酔を使って出産の痛みを和らげる「無痛分娩(ぶんべん)」の際に子宮が破裂して死産になったのは医師らの過失が原因だとして、入院していた女性と夫が病院を運営する学校法人と医師らに計約1億4000万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。

 提訴は15日。訴状によると、女性は15年2月4日、第1子を出産するため順天堂医院に入院。知らない間に陣痛促進剤を投与され、6日に心肺停止状態に陥り、死産となった。

 医師らが自然に陣痛が来た状態で陣痛促進剤を投与し、子宮が収縮していたのに、麻酔で痛みが消されたため破裂の兆候を見逃したと夫婦は主張。必要な対処を怠り、子宮の全摘出で妊娠ができなくなったとしている。○○は「訴状を見ていないのでコメントできない」としている。」


報道の件は私が担当したものではありません.貞友義典先生が原告代理人です.
上記報道からは,陣痛促進剤の使用により過強陣痛となり子宮破裂に至った事案のようですが,陣痛促進剤を使用するときは必ず分娩監視装置を付けますので,麻酔を使用していても医師が過強陣痛等を見逃すことは本来ないはずです.分娩監視装置の記録はどうなっていたのでしょうか.

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by medical-law | 2017-09-19 07:00 | 無痛分娩事故

美術観察が医学生の観察スキルを有意に向上させるとするランダム化比較試験

美術観察が医学生の観察スキルを有意に向上させるとするランダム化比較試験_b0206085_1432949.jpg
医学部1年生36人を無作為に被検群と対照群に分けた調査で,フィラデルフィア美術館の専門家によって3ヶ月間にわた1.5時間の美術観察セッション6回を受けた群のほうが,対照群より観察スキルが有意に改善したと報告されています.

A Randomized Controlled Study of Art Observation Training to Improve Medical Student Ophthalmology Skills.

Observational skills, as measured by description testing, improved significantly in the training group (mean change +19.1 points) compared with the control group (mean change -13.5 points), P = 0.001. There were significant improvements in the training vs. control group for each of the test subscores. In a poststudy questionnaire, students reported applying the skills they learned in the museum in clinically meaningful ways at medical school.

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by medical-law | 2017-09-18 13:59 | 医療

医療安全情報No.130「中心静脈ラインの開放による空気塞栓症」

医療安全情報No.130「中心静脈ラインの開放による空気塞栓症」_b0206085_1455254.jpg
医療安全情報No.130「中心静脈ラインの開放による空気塞栓症」によると,大気に開放される状態で中心静脈ラインの接続を外したことにより、血管内に空気が流入した事例が7件報告されている,とのことです.

事例が発生した医療機関の取り組みが次のとおり紹介されています
「・閉鎖式のコネクタを使用しない場合、中心静脈カテーテルのクランプを閉じないまま接続を外すと、大気に開放され血管内に空気が流入する危険性があることを院内で周知する。
・中心静脈ラインの接続を外す際、閉鎖式のコネクタが付いていることやクランプが閉じていることにより患者側のラインが閉鎖されているか確認する。」


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by medical-law | 2017-09-16 15:09 | 医療事故・医療裁判

肺がんの見落とし事案で,損害賠償額の主張に開きがあり,遺族が大学病院を提訴(報道)

肺がんの見落とし事案で,損害賠償額の主張に開きがあり,遺族が大学病院を提訴(報道)_b0206085_15342388.jpg
中日新聞「医療ミスで○大病院を提訴 遺族、2億7000万円求める」(2017年9月11日)は次のとおり報じました.

「○○大病院(名古屋市昭和区)の検査で3年にわたって肺がんを見落とされたため、治療が遅れて同市内の男性=当時(50)=が死亡したとして、男性の妻が名大病院を運営する○○大を相手取り、約2億7千万円の損害賠償を求めて名古屋地裁に提訴したことが分かった。提訴は8月4日付。○大病院側は医療ミスを認めているが、示談交渉が折り合わなかった。

 訴状や原告側代理人などによると、別の病院で腎臓がん手術を受けた男性は2007年6月、転移の有無などの検査のために名大病院泌尿器科へ通い始めた。半年に一度、胸部から下腹部のコンピューター断層撮影(CT)画像を撮ったが、関わった医師10人以上は「再発はない」と診断し続け、11年12月に男性が胸の痛みを訴えた際も「異常なし」と判断した。

 男性は12年5月、他の病院で検査を受けて肺がんが見つかった。既に進行した状態で、14年3月に死亡した。

 男性の死後、○大病院が設けた調査委員会は、過去のCT画像にはがんとみられる陰影が写っており、遅くとも09年5月にはがんの可能性に気づくことができたと認定。「主治医に画像の異常を診断する専門性がなく、放射線科も体制が不十分だった」と、3年にわたってがんを見落とした「医療ミス」を認めた。

 原告側代理人によると、○大病院側はその後、男性の妻と示談交渉を始め1億円余りの賠償金を提示。ただ、原告側は、逸失利益の算定が低く、がんを見落とした3年間の治療費の返金も含まれていないことなどに納得せず、提訴に踏み切った。

 原告側代理人は「治療費や逸失利益について、きちんと対応してほしい」と主張。名大病院は「係争中のことなのでコメントは控えたい」としている。」


これは私が担当した事件ではありません.
がんの見落とし事件は,過失が明らかでも,損害額の算定について争われることがよくあります.
過失があった場合と過失がなかった場合を比べて,その差額を損害と算定します.
そこで,見落としが無ければどうなっていたのかが問題になりますが,不確定要素がいくつもありますので,病院側と患者側の評価が分かることも多いと思います.
さらに,損害評価自体が一種の擬制でテクニカルにできていますので,赤本・青本という損害賠償基準も一般の人にはわかりにくいと思います.また,過失が大きくても,よほど悪質でない限りそのことで賠償額が増えることはない(過失の大きさと損害の算定は別とされています.)のですが,これも一般の人の感覚とは異なるようです.

報道からすると,治療費と逸失利益に争いがあるようですが,それは分かります.
治療費は,見落としがなくても一定の金額がかかったはずですので,その場合の治療費を算定し,差額を求める必要があります.これは,実際上難しいことがあり,争いになることがあります..
また,逸失利益については,見落としがない場合でもがんとその治療が仕事へ与える影響は皆無ではないはずです.そこで,具体的にどの程度の影響があったかを検討する必要があります.この仮に見落としがなかった場合の影響評価については,病院側と患者側とで意見が分かれ,対立することがあります.

なお,示談交渉に行き詰まったら,提訴し,裁判所の判断を求めるのは,よく行われます.

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by medical-law | 2017-09-15 19:50 | 医療事故・医療裁判

がん治療を中止しても支払った費用を返還しない契約条項の差止訴訟でクリニックが認諾(報道)

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毎日新聞「前払い治療費契約差し止め クリニックが「認諾」 地裁支部」(2017年8月30日)は次のとおり報じました.
「がん治療を中止しても事前に支払った費用を返還しない契約条項は消費者契約法に反するとして、岡山市の適格消費者団体「消費者ネットおかやま」から契約条項の差し止めなどを求められていた○○クリニックが29日、広島地裁福山支部(内藤寿彦裁判官)であった第1回口頭弁論で、原告の請求を受け入れる「認諾」をし、訴訟は終結した。

 同クリニックは答弁書で「法的論争をしても時間と資源の浪費で、勝訴しても特に実益がない」と理由を述べ、原告側訴訟代理人の河端武史弁護士は「主張を認めてもらい満足のいく結果。今後は履行を注意深く見守りたい」と話した。 」



山陽新聞「岡山の適格消費者団体の請求認諾 福山のクリニック 治療費契約訴訟」(2017年8月30日)は次のとおり報じました.
「がん治療を途中でやめても事前に支払った治療費を返還しないとした契約条項の差し止めを求め、NPO法人「消費者ネットおかやま」(岡山市北区奉還町)が花園クリニック(福山市花園町)を相手に起こした訴訟の第1回口頭弁論が29日、広島地裁福山支部(内藤寿彦裁判官)であった。クリニック側は請求を認める「認諾」の手続きを取り、訴訟は終結した。

 クリニックの代理人弁護士は「誤解を招く表現になっていたので、実態に合わせて直したい」としている。

 消費者ネットは、○○クリニックが特定のがん先端治療を施す際に患者と結ぶ契約には、患者が事前や途中で治療をやめても前払いした治療費百数十万円は一切返還しないとする条項があるとし「消費者の利益を一方的に害し無効だ」と主張していた。

 消費者ネットは2015年、被害者に代わって差し止め請求訴訟を起こせる全国13番目の「適格消費者団体」として国から認定された。提訴は今回が初めてで「事業者の誤りを正せたことは満足している」としている。」



適格消費者団体に訴訟が認諾で終了したことが報じられていました.
認諾で終了する訴訟はまれです.

自由診療で行われる「がん治療」の問題の一端が見えた事案です.
保険外診療,すなわち自由診療で行われる「がん治療」には問題が指摘されています.
有効性と安全性が確立した治療は「保険診療」で行われます.これに対し,エビデンスの集積が不足し,とくに有効性がはっきりしない「治療」が高額な自由診療で行われています.

消費者保護的観点から,選択に必要な適切な情報が患者に提供がなされていることが必要ですし,契約の内容も手適切なものでなければなりません.ところが,現実には,選択に必要な情報が患者に提供されす,有効性についての過誤の期待のもとに高額な治療費を支払っている例もあるように思います.

また,医学的観点からは,保険診療に組み込まれた標準的治療を受ける機会を,自由診療によって奪われることがないようにしなけれbなりません.

自由診療で行われる「がん治療」については,実態が不明なことも多くいので実態調査が必要と思いますし,上記の観点からの規制が必要と考えます.


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by medical-law | 2017-09-15 00:01 | 医療

看護師が食事介助が必要な患者から離れ,患者が食事を喉を詰まらせ死亡した事案で和解(報道

看護師が食事介助が必要な患者から離れ,患者が食事を喉を詰まらせ死亡した事案で和解(報道_b0206085_2032306.jpg
産経新聞「病院食詰まらせ患者死亡事故、「そばを離れたのは不手際だった」2500万円で和解」(2017年9月12日)は,次のとおり報じました.

 「○○病院で6月、入院中の80代の男性患者が病院食を喉に詰まらせ死亡していたことが12日、同院への取材で分かった。檮原町はミスを認め、遺族と和解し約2544万円の損害賠償を支払うことを町議会定例会で審議、11日可決された。
 同院によると、男性患者は誤嚥性肺炎で6月7日に入院。食事には看護師の介助が必要だった。
 同月11日、院内の食堂で看護師が昼食を配膳してからナースコールを受け、10分ほど男性のそばを離れた。その間に男性が自分で食事をして喉を詰まらせたとみられる。当時、食堂には他の患者が2人いたが看護師はいなかった。」

 同院は、男性を残して現場を離れたのは不手際だったと認めた。事故後は看護師の付き添いを徹底すると同時に、食事の際は食堂に看護師1人を常置する対応を取っているという。」


これは,私が担当したものではありません.
報道によると,患者は食事をお預けの状態にされたため自分で食べてしまい,喉を詰まらせて死亡したのですから,落ち度(過失)はありますし,看護師が食事介助を行っていれば,患者が亡くなることはなかったので因果関係もあるでしょう.
裁判になる事案は,食事に看護師の介助が必要だったか否かが争われる事案です.


谷直樹

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by medical-law | 2017-09-13 20:19 | 医療事故・医療裁判

日本医療安全調査機構の運営委員会, 事故調センター調査の公開を提案

日本医療安全調査機構の運営委員会, 事故調センター調査の公開を提案_b0206085_10591920.jpg
日本医療安全調査機構「医療事故調査・支援事業運営委員会」は,2017年8月30日,医療事故調査・支援センター(センター)に依頼した再調査の結果を、個人情報保護に留意した上で、公開することを提案しました.
医療法では,医療機関または遺族は、院内事故調査の結果に納得がいかない場合などにセンターに再調査を依頼することができ,再調査の結果は医療機関と遺族に報告されます.
調査結果に記載された再発防止策を,個人が特定できないような形で公開することにより,当該医療機関以外の医療機関などで同じような事故が起きることを防止できます.安全な医療のために,是非,事故調査の成果を公開する方向で進めていただきたいと思います.


谷直樹

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by medical-law | 2017-09-11 09:52 | 医療事故・医療裁判

朝日新聞社説,無痛分娩安全確保へ基準作りを/京都新聞社説/読売新聞社説/山陽新聞社説

2017年9月9日の朝日新聞社説「無痛分娩 安全確保へ基準作りを」は,「安心して赤ちゃんを産めるよう、医療界は全国の実情を調べるとともに、安全確保のための基準作りを急がねばならない。」と述べています.

「お産が大きな病院に集約されてきている欧米と違い、日本ではおよそ半分を診療所が担う。無痛分娩も半数以上は診療所でおこなわれている。

 麻酔を専門で担当する医師を常駐させることが難しい場合、異常時に備え、産科医や看護師、助産師は日ごろからどのような態勢をとるべきなのか、近くの医療機関とどのように連携するかについても、具体的に検討することが欠かせない。

 医師らが正しい知識と技術を習得できる場を整備するとともに、研修などを受けて技量を備えた者を学会で認定し、それが利用者にもわかるようにしておく仕組みも必要だ。

 出産時の妊婦や新生児の死亡率でみると、日本は最も安全にお産のできる国だ。それでもリスクがなくなることはない。麻酔のメリット、デメリットを含め、医師は正確な情報を伝え、妊婦や家族は疑問があれば納得するまで話を聞く。お産に関してもそんな姿勢が大切だ。」


2017年9月⒌日の京都新聞社説「無痛分娩  安心して臨める体制を」は,「医師は合併症などのリスクを十分に説明し、妊婦側もしっかり理解して選択したい。」と述べています.

「総合病院での出産が主流の欧米と違い、日本では小規模な医院やクリニックでの出産が多い。麻酔の専門医が少ない事情もあり、未熟な医師が、母子の容体急変時の救命体制が不十分なまま、世の中のニーズや営利を優先して施術している可能性がある。
 無痛分娩は一般的に、脊髄に近い「硬膜外腔(がいくう)」に細いチューブで麻酔薬を注入する。注入箇所を誤れば、薬が効き過ぎて妊婦が意識を失ったり、母子ともに障害を負ったりすることがある。
 今年1月と5月に相次ぎ亡くなった女性のケースは、それぞれ大阪、神戸のクリニックでの施術後に意識不明になったという。京都では12年と16年に京田辺市の同じ医院で母子が重い障害を負った例が判明。家族が小規模な産科の安全体制に疑問を投げかけている。
 大阪と、12年の京都のケースはそれぞれ業務上過失致死、同傷害の容疑で捜査中だが、国や医学界も過去の事故を詳しく調べ、改善点を洗い出して再発防止につなげねばならない。研修や訓練による個々のスタッフのレベル向上に加え、産科と麻酔科の連携、大病院と診療所の間の緊急時のサポートなどを強化したい。」


2017年8月25日の読売新聞社説「無痛分娩 事故抑止へ問題を洗い出そう」は,「無痛分娩でもレベルアップを図るべきだ。専門医の学会が中心となり、安全に実施するためのガイドラインを策定する必要がある。研修なども増やしたい。診療所で妊産婦の容体が急変した場合に、即座に対応できるよう、大病院との連携体制を強化することも欠かせない。無痛分娩には一定のリスクが伴う。出産する側も、それを認識することが大切である。疑問点や不安な面があれば、医師から十分に説明を受け、納得した上で、出産の方法を選択したい。」と述べています.

2017年08月26日の山陽新聞社説「無痛分娩 安全に実施できる体制を」は,「研究班は無痛分娩の安全な管理体制や研修のあり方などについて検討し、提言をまとめるという。妊産婦が、より安心して無痛分娩を選べる対策を示してもらいたい。」と述べています.

 「欧米では総合病院での出産が一般的だが、日本では小規模な診療所で出産する人も多い。16年度に国内で実施された無痛分娩のうち、半数以上は診療所で行われている。無痛分娩の大半は安全に実施されているようだが、気になるのは医療体制が十分とはいえない施設でも行われていることである。

 神戸市の産婦人科医院で15年9月に無痛分娩で出産した女性と生まれた子どもが重い障害を負ったケースでは、麻酔薬を注入した後、院長は外来診察に行き、女性が呼吸困難に陥った時にそばにいなかった。事故当時、院内の医師は院長1人だったという。女性は意識が戻らないまま、今年5月に死亡した。

 麻酔は麻酔科医でなくても施すことができ、産科医1人の診療所でも無痛分娩は可能だ。だが、麻酔を使う以上はリスクを伴う。経過を十分に観察すべきなのはもちろん、容体急変に備えて、他の医療機関との連携態勢なども整えておく必要がある。」



無痛分娩事故問題についての方向性(実態調査,ガイドライン作り等)は見えてきたように思います.


谷直樹

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by medical-law | 2017-09-09 15:03 | 無痛分娩事故