弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

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厚生労働省の研究班が無痛分娩の安全対策をまとめ公表(報道)

TBS「無痛分娩」安全に行うには? 増加する一方で事故も・・・」(2018年3月29日)は,次のとおり報じました.

 「出産の痛みを麻酔で和らげる無痛分娩について、厚生労働省の研究班が安全対策をまとめ、公表しました。

 静岡県内の産科クリニック。行われていたのは帝王切開の手術です。万が一の容態急変に備え、執刀医だけでなく、麻酔担当など2人の医師が立ち会いますが、2人は、このクリニックの医師ではなく、別のクリニックからの応援です。日本は欧米に比べ小規模な診療所での出産が多く、現場ではいま、こうした連携が求められています。

 「静岡県は1人で開業が7~8割。肝心のところだけ2人になれる工夫で今のような(連携を)やっている」(前田産科婦人科医院 前田津紀夫医師)

 特に、最近ニーズが高まっている「無痛分娩」を行うために、医師の連携が重要だといいます。

 「無痛分娩」は、背骨の神経の近くに麻酔薬を注入し、痛みを和らげる方法で、出産時の疲労が少なく回復が早いとして、希望する人が増えています。その一方で、うまく息張れず、分娩が長時間に及ぶこともあり、容態の急変に備えた体制が必要だとされています。しかし、実際には医師が少ない小規模な診療所で行われているケースが半数以上だといいます。

 「(無痛分娩の)麻酔中に医師が離席してしまった。(無痛分娩を)やっていいクリニックなのか」(無痛分娩で妻と子を亡くした男性)

 無痛分娩で脳にダメージが残り亡くなった女性と子どもの写真です。異変が起きたとき、医師は外来診療を行っていて対応が遅れたとみられています。こうした事故が去年、相次いで明らかになりました。

 「(リスクに)対処できる体制を敷いてもらうことが必要」(無痛分娩で妻と子を亡くした男性)

 そして、厚労省の研究班が29日、無痛分娩についての安全対策を初めてまとめ、提言という形で公表しました。無痛分娩を実施する医師は麻酔の経験が100例以上あること、医療機関は麻酔管理者の配置など十分な人員体制を敷くことなどが示されました。しかし、対策はあくまで任意で、義務づけることまでは求めませんでした。

 「きょうこの提言を何とかまとめたが、まだまだ十分ではない。きょうはようやく第一歩を踏み出そうとしているという認識」(研究代表者・北里大学病院 海野信也院長)

 遺族などから実効性への疑問の声が高まるとみられますが、今後は関係する学会で議論が行われる予定です。



NHK「無痛分べん ”麻酔後30分は医師が確認を“ 厚労省研究班」(2018年3月29日)は,次のとおり報じました.

「麻酔を使って陣痛を和らげる「無痛分べん」について、厚生労働省の研究班は安全に実施するための手順や管理体制などを示した提言をまとめました。

麻酔を使って陣痛を和らげる「無痛分べん」については、重篤な事故が起きたという報道が相次いだ一方で、麻酔を投与したあとの管理手順が定められていないなどの課題が指摘されてきました。

29日、厚生労働省の研究班は提言を公表し、麻酔による中毒症状などへの対応が遅れないよう、麻酔の投与から30分間は担当医師が妊婦の呼吸や脈拍などを記録し状態を確認することや、産後3時間が経過するまでは、医師が5分程度で駆けつけられる体制をとるよう求めています。

また、麻酔を担当する医師は2年に1回程度、麻酔についての研修を受け、医療機関のホームページなどで研修の受講歴や無痛分べんの実施件数を公開することも求めています。

この提言は関連する学会などを通じて全国の医療機関に周知されることになっています。

一方、この研究班では無痛分べんによる事故の発生割合を調べようとしましたが、アンケート調査の回答率が低く十分な調査ができなかったとしたほか、無痛分べんを実施する医師に新たな認定資格の取得を義務づける案も検討しましたが、すでに実施している医師に参加を促すのは難しいなどとして見送られました。

研究班の代表で北里大学病院の海野信也病院長は「無痛分べんは急速に普及しているので、今回の提言を第一歩として引き続き安全体制の構築に努めたい」と話しています。」


研究班が提言をまとめたことは第一歩として評価できます.
しかし,その内容をみると歯がゆい限りです.
医師が少ない小規模な診療所で半数以上の無痛分娩行われているという現状を前提に,それらの小規模な診療所に可能な範囲で対策を検討するのでは限界があります.こと無痛分娩に関しては,国際的にもまれな日本の現状を改める必要があると思います.国際標準の実効的な安全策の実施に向けて,今後の各学会等の取り組みに期待し,注目したいと思います.

谷直樹

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by medical-law | 2018-03-29 17:30 | 無痛分娩事故

東京高裁平成30年3月28日判決,脳の病気を疑いCT検査を行う義務を認め,遺族側が逆転勝訴(報道)

朝日新聞「脳ヘルニアで少年死亡、松本市の病院側が逆転敗訴」(2018年3月29日)は次のとおり報じました.

「長野県安曇野市の少年(当時13)が脳ヘルニアで死亡したのは、救急搬送された波田町立波田総合病院(現・松本市立病院)が適切な検査を怠ったためだとして、横浜市の母親が病院側に約7200万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が28日、東京高裁であった。杉原則彦裁判長は、請求を棄却した一審・横浜地裁判決を取り消し、松本市と担当医師に約3200万円の支払いを命じた。

 判決によると、少年は2009年、頭痛などの症状を訴え、同病院に救急搬送された。担当医師は急性胃腸炎などと診断し、点滴後に帰宅させた。少年はその後に体調が悪化し、別の病院に搬送され、死亡した。

 杉原裁判長は、脳の病気を疑い、CT検査を行う義務があったのに怠ったと認定。遅くとも退院時に検査して治療を始めていれば救命できた可能性があるとし、「限られた治療を受けただけで帰宅させられた苦しみと無念さは察してあまりある」と指摘した。

 市立病院は「判決文を見ていないのでコメントは差し控えたい」としている。」


報道の件は私が担当したものではありません.
頭部CT検査義務を認めた点,及び頭部CT検査義務と結果との因果関係を認めた点で参考になる判決です.
医療事件は,地裁と高裁で判断が分かれることが結構あります.


谷直樹

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by medical-law | 2018-03-29 16:38 | 医療事故・医療裁判

京都地裁平成30年3月27日判決,京田辺市の産科医院の件で因果関係否定(報道)

朝日新聞「無痛分娩時に障害、過失認める 賠償は棄却 京都地裁」(2018年3月27日)は,次のとおり報じました.

「無痛分娩(ぶんべん)時に適切な処置を怠ったため長女が重い障害を負ったとして、京都府京田辺市の夫婦が同市の「ふるき産婦人科」(昨年12月に休院)に約1億円の損害賠償を求めた訴訟の判決が27日、京都地裁であった。藤田昌宏(まさひろ)裁判長は担当した男性院長(56)の分娩の過程での過失を認めたが、そのために障害を負ったとはいいきれないとし、夫婦の訴えを棄却した。

 判決によると、原告の女性(36)は2011年4月、麻酔で痛みを和らげる無痛分娩で、脊髄(せきずい)を保護する硬膜に細い管で麻酔薬を注入する「硬膜外麻酔」を受け、その後、陣痛を促す子宮収縮薬を投与された。その後、帝王切開で長女を出産したが、長女は脳性まひなどの重い障害を負い、14年12月に3歳で亡くなった。

 夫婦側は、分娩監視装置を装着していなかったため、胎児の心拍低下を見落として低酸素脳症にさせ、帝王切開も遅れたと主張。一方、医院側は、監視装置は装着していたがデータが残っていないだけで、帝王切開の時期も適切だったと反論していた。

 判決は、合理的な理由がなく多量の子宮収縮薬や高濃度の麻酔薬を投与し、分娩監視装置をつけたのは1度だけで再装着しなかったなどと院長の注意義務違反を認定した。一方、その過失が重い障害につながったとはいえないと判断した。

 判決後、原告の女性は「納得いかない。控訴し、因果関係について争いたい」と代理人弁護士を通じてコメントした。

 長女が脳性まひになった原因を分析した専門医らの委員会は「分娩中に低酸素症を発症し、陣痛促進や吸引分娩が影響した可能性も否定できない」とする報告書をまとめていた。



NHK「無痛分べんで医師の責任認めず」(2018年3月27日)は,次のとおり報じました.

「麻酔で痛みを和らげる無痛分べんで出産した子どもが、脳に障害が残ったのは医療ミスが原因だとして、両親が医師などに賠償を求めた裁判で、京都地方裁判所は、「医師に過失はあったが、脳障害の原因とまでは認められない」として訴えを退けました。
京都府京田辺市の30代の女性は7年前、市内の「ふるき産婦人科」で無痛分べんで女の子を出産しましたが、女の子は脳に重い障害が残り、4年前に死亡しました。
女性と夫は、陣痛促進剤の大量投与や帝王切開の遅れなど医療ミスが原因だとして、医師側に1億円余りの賠償を求めていました。
医師側は「分べんの前にすでに低酸素状態に陥っていて原因が医師にあるとはいえない」などと争っていました。
27日の判決で、京都地方裁判所の藤田昌宏裁判長は「医師は特に理由もなく、多量の陣痛促進剤や高濃度の麻酔薬を投与するなど注意義務違反があった」として医師の過失を認めました。
一方で、「脳障害の原因が医師の過失だとは認められない。両親の割り切れなさは想像に難くないが、因果関係は不明と言わざるをえない」として、訴えを退けました。
「ふるき産婦人科」は、このほか無痛分べんのミスで子どもや母親に重い障害が残ったとして2件の裁判を起こされていて、現在、診療を休止しています。
判決のあと女の子の両親の代理人を務める中田祐児弁護士は記者会見で、「医師の過失を認めたのに障害の原因とは認めないのは、はなはだ不本意で、両親と相談して控訴したい」と話しました。
また、母親は弁護士を通じ、「判決内容に納得できません。控訴して、因果関係の有無について争いたいです」というコメントを出しました。
判決について、医師側の代理人が所属する弁護士事務所は「守秘義務があるためコメントは差し控える」としています。」


 この医院をめぐっては、別の2家族が、無痛分娩や帝王切開の際の麻酔により母子が重い障害を負ったとして提訴し、京都地裁で審理が続いている。(徳永猛城)」


報道の件は,私が担当したものではありません.

過失を認めて,因果関係を否定する判決は,医療事件では少なくありません.
合理的な理由がなく多量の子宮収縮薬や高濃度の麻酔薬を投与し分娩監視装置をつけたのは1度だけで再装着しなかったなどの注意義務違反を主張したのであれば,因果関係認定は難しくなるように思います.
例えば,検査義務違反を過失にする場合,検査していれば結果が回避できたこと(あれなければこれなしの因果関係)の立証は,検査記録がないため,成功しない確率が高くなります.
弁護士によって考え方はいろいろでしょうが,私は,医療事件では,因果関係の認められる可能性の高い過失にしぼって主張立証することが必要ではないか,と思っています.



谷直樹

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by medical-law | 2018-03-28 12:43 | 医療事故・医療裁判

「『早期母子接触』実施の留意点」(2012年10月)後の事案が大津地裁で和解成立

毎日新聞「大津地裁 「カンガルーケア」和解 病院側が両親に解決金」(2018年3月27日)は,次のとおり報じました.

「出産直後に母親が肌を合わせて新生児を抱く「早期母子接触」(カンガルーケア)で脳に重い障害が残ったとして、滋賀県草津市の男児(4)と両親に対して同市内の医療法人側が解決金を支払う和解が27日、大津地裁(西岡繁靖裁判長)で成立した。両親らは約1億6000万円の損害賠償を求めて提訴していたが、解決金額は非公表。原告側代理人によると、病院側の責任を認めた実質勝訴としている。

 訴状などによると、30代の母親は2013年4月、医療法人が経営する市内の産婦人科医院で男児を出産。男児の頭を左腕に乗せ向き合った状態で過ごしていたところ、男児の心肺が停止し、脳性まひを発症した。

 カンガルーケアを巡っては、日本周産期・新生児医学会などが12年10月、事故防止のための「留意点」を公表している。原告側代理人によると、和解内容は、スタッフが付き添うなど十分な観察・管理が必要とする留意点を医療法人側が守っていなかったと指摘した。「ただの添い寝で早期母子接触ではない」とする医療法人側の主張は認められなかった。

 和解成立を受け、原告側代理人は「従来の訴訟では病院の責任を認めないケースが多かった。『留意点』を守らなければならないことが明確になった」と述べ、40代の父親は「もう二度と不幸な事故が起きないようにしてほしい」と語った。【大東祐紀】」



京都新聞「カンガルーケア巡る訴訟、和解 滋賀、医院側が解決金」(2018年3月27日)は,次のとおり報じました.

 
「出生直後から母子が肌を触れ合う育児法「早期母子接触(カンガルーケア)」で適切な安全配慮が行われなかったため男児に障害が残ったとして、草津市内の両親が、産婦人科医院を運営する同市の医療法人に約1億6千万円の損害賠償を求めた訴訟は27日、大津地裁(西岡繁靖裁判長)で和解が成立した。原告側によると、医院側が安全対策を取らなかったとして解決金を支払う内容。

 訴状などによると母親は2013年4月、出産直後の男児と向き合った添い寝状態のまま放置された。その間に、男児が何らかの原因で窒息した可能性があり、心肺停止状態から脳性まひになったとしている。

 早期母子接触は、母子の心身の安定に効果があるとされる。日本周産期・新生児医学会などが12年に作成した早期母子接触のガイドラインでは、出産直後の新生児の呼吸は不安定なため、担当者の付き添いや呼吸状態の観察など実施時の注意点を挙げている。原告側によると、和解勧告では添い寝の状態は早期母子接触に当たり、ガイドラインが挙げる安全策が取られていなかったとしているという。

 男児の両親は「勝訴的和解で気持ちの整理がついたので前を向きたい。今後、私たちのような不幸な例が出ないようにしてほしい」と話した。」



これは,私が担当した事案です.提訴から3年になりますが,勝訴的和解ができました.

いわゆるカンガルーケアの事故が相次ぎ,日本周産期・新生児医学会,日本産科婦人科学会,日本産婦人科医会,日本小児科学会,日本未熟児新生児学会,日本小児外科学会,日本看護協会,日本助産師会は,平成24年10月17日,「『早期母子接触』実施の留意点」を作成し公表しました
本件は,その半年後の事案です

争点は2つありました

1つは,本件が着衣で行われたことから,「早期母子接触」にあたるか,でした.
「早期母子接触」とは,「出生直後に行われる分娩室で行われる母子の早期接触」とされています.
産科医療補償の原因分析報告書も,本件について,「早期母子接触」にあたると結論付けています.
裁判所が和解勧試に際し示したペーパーでも,「留意点」が念頭におくリスクが妥当するとし,広い意味での早期母子接触に含まれるとしています.
そうすると,本件には,「『早期母子接触』実施の留意点」に定める,医療者の監視義務があることになります.つまり,本件は,医療者の監視義務違反が認められる事案となります.

もう1つの争点は,急変発見時の児の態勢で,原告は側臥位を主張し,被告は仰臥位を主張しました.
尋問の結果,原告の主張が通りました.
児が側臥位であったことを否定することはできないし,仮に発見時に極めて近接する時点で仰臥位に変わっていたとしても児の急変の原因が窒息であったことを左右するものではない,というのが裁判所の心証でした.したがって,観察義務違反と児の重度の障害との間の因果関係も認定できることになります.

いままで,いわゆるカンガルーケア訴訟が行われてきましたが,「『早期母子接触』実施の留意点」後の事案は,本件がはじめてでしょう.今後,同種の事故が起きないことを切に願います.

谷直樹

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by medical-law | 2018-03-28 07:15 | 医療事故・医療裁判

京都大学医学部附属病院,院内製剤投与後急変死亡事例に係る調査結果について

京都大学医学部附属病院は,平成30年3月26日,「京都大学医学部附属病院における院内製剤事故に係る調査結果について(概要)-高濃度のセレン注射薬(院内製剤)が患者に投与された事例-」を公表しました.

「5 調査結果

(1)事故の概要
セレン注射薬 を交付している患者2名のうち1名の患者から、セレン注射薬 を高カロリー輸液に混合したところ、色調が変化したので投与を中止した、との情報提供があった。薬剤部は、色調変化の原因の調査を行うこととしたが、セレン 注射薬を処方されていたもう1名の患者に連絡せず、セレン注射薬を回収しなかった。翌日、その患者がセレン注射薬の投与を開始したところ背部痛が出現し、投与開始の約12時間後に京大病院救急外来に搬送され、急性循環不全にて死亡された。

(2)死因
患者の血液中のセレン濃度が基準値の20倍を超えていたこと、急性セレン中毒の症状として過去に報告されているような心電図変化や呼吸不全、心筋梗塞様症状を経過中に認めたこと、病理解剖において急性心不全に伴う肺うっ血以外に死亡を説明できる器質的変化を認めなかったことの3点を踏まえ、死因は急性セレン中毒であると結論づけた。

(3)セレン注射薬(事故品)の濃度
事故品には指示の1000倍のセレンが含まれていたと認定した。

(4)セレン注射薬の院内製造における品質管理体制
毒物・劇物の保管・廃棄方法について現場に正しい知識がないまま、運用が継続され、「医薬用外毒物」管理簿は、試薬瓶の残量を正しく記録する形になっていなかった。また、院内製剤記録簿とされている書面は、実態は、院内製剤手順書であり、品質工程の管理として適切な形式ではなく、秤量工程が正しく実施されたか検証することができなかった。品質管理の体制が確保されておらず、不具合品情報への対応手順が策定されていなかった。品質管理体制に不備があったために、高濃度のセレン注射薬が患者へ交付されるに至った経緯の詳細を解明することができなかった。
また、対象患者数が2名であり、実際の使用量を考慮した場合、使用期限を考慮すると残量が多くなってしまうことから、1回あたりの製造量は適切であるとは思えない。院内製剤に関するレシピは状況に応じて適宜見直すことが必要であり、最小限の量とすべきである。
(5)その他の指摘事項
院内製剤と治験との製造・管理のレベルに格差がある中で、患者の利便性を有効性・安全性よりも優先することの合理性は認められない。
(注:セレン注射薬は、現在、治験が進行中である)

6.再発防止策
(1)正確な製剤記録及び実効性のあるダブルチェックの実行
試薬の秤量段階において、製剤記録表(兼手順書)の数値と天秤の数値をダブルチェックにて確認し、実測した秤量値を製剤記録表に記録する。ダブルチェックは形骸化する恐れがあるため、ダブルチェックのみに頼らず、秤量値を直ちに記録することにて、誤りがあっても気づくことができる。また、秤量記録システムを導入し、ヒューマンエラーに気付く仕組みを確立する。

(2)調製実施者の署名記録の実施
製剤記録表が完成した時点で、調製者一人ひとりが製剤工程に不備がなかったか確認し、署名することで、製剤工程のセルフチェックができる。なお、印鑑では形骸化する可能性が高いため、署名を行う。

(3)院内製剤マニュアルの再点検
平成24年7月に発行された日本病院薬剤師会の「院内製剤の調製及び使用に関する指針(Version 1.0)」に準拠し、調製手順について品目ごとに点検して、ヒューマンエラーを管理できる方策を取り入れる。また、調製量についても使用頻度・使用量等を考慮して再点検を行う。現在の院内製剤マニュアルには、有害事象への対応が記載されていないため、新たに追加する。
なお、上記指針には、院内製剤の製造及び品質保証に関する手順等について、「医薬品の安全使用のための業務手順書」に項目立てを行い、記述する、となっていることから、同手順書の見直しも必要である。

(4)医薬品の安全使用のための業務手順書の再点検
「医薬品の安全使用のための業務手順書」作成マニュアル(平成19年3月 平成18年度厚生労働科学研究「医薬品等の安全管理体制の確立に関する研究」主任研究者北澤式文)は、患者の安全を確保するために必要な医薬品の管理体制を取ることを目標とするものである。薬剤部内の業務だけでなく、手術部門等の薬剤部門以外での医薬品の安全管理、ならびに、在宅での医薬品の安全管理についても手順を作成することが求められている。
現在、京大病院で作成されている業務手順書には、不足する項目が見受けられる。本事故とは直接関連しないが、医薬品安全管理の意識を高め、実効性のある安全管理のシステムを構築するためにも、業務手順書の再点検が望まれる。

(5)院内製剤の使用適否の判断について
院内製剤の使用適否を検討する際には、治験が実施されているかどうかを考慮の対象とし、院内製剤の必要性を判断する。


谷直樹

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by medical-law | 2018-03-26 20:02 | 医療事故・医療裁判

無痛分娩の安全対策について

読売新聞「無痛分娩 安全策は(上)厚労省研究班が提言案」(2018年3月20日)は,次のとおり報じました.

麻酔と出産、兼務容認 診療所に配慮

 出産の痛みを麻酔で和らげる「無痛分娩(べん)」の安全対策を検討していた厚生労働省研究班が、人員・設備面で望ましい体制や、情報公開について示した提言案をまとめた。3月末に最終的な「提言」を発表する予定だ。重大事故が相次ぎ発覚したことでつくられたものだが、安全性の向上につながるのか。その実効性が問われている。

 無痛分娩など産科麻酔を巡る重大事故は、昨年春以降、大阪、兵庫、京都などで次々に発覚した。厚労省は無痛分娩に関する研究班を設置。メンバーは、日本産婦人科医会や日本麻酔科学会などの関連団体から派遣された産婦人科医、麻酔科医、助産師、医療安全の専門家、市民団体代表で、昨年8月から議論を重ねてきた。
安全に実施するための対策を提言も、強制力なし

 提言案は、無痛分娩を安全に実施するための体制として、麻酔を担当する医師は定期的に研修を受けることや、麻酔をした後30分は患者の近くにとどまり、産後3時間までは何かあれば5分程度で駆けつけられるところにいることを提案。酸素バッグなど緊急時の蘇生に必要な医療機器をすぐに使える状態で備えておくことも挙げた。加えて、医療機関のウェブサイトなどで実施件数を公開するよう促している。

厚労省研究班の提言案のポイント

(実施施設に求める体制)
・蘇生に使う酸素ボンベなどの医療機器を使える状態で管理する
・麻酔を担当する医師は定期的(2年に1回程度)に研修を受講する
・麻酔を担当する医師は、麻酔後30分は近くに待機。産後3時間までは緊急時に5分程度で駆けつける
・チームの責任者の医師、麻酔を担当する医師、出産を担当する医師は場合によって兼務できる
・ウェブサイトなどで実施件数や説明文書、麻酔の方法などを公開する

(関係学会・団体に求める役割)
・無痛分娩を行う医療機関を登録する仕組みを作り、そのリストを公開する
・産科麻酔の研修体制を作る
・技術に習熟した医師の認定制度の是非を検討する
・具体化を進めるため新しいグループを設置する

(国に求める役割)
・無痛分娩の事故情報を収集・分析する方法を検討する
・患者・家族からの事故情報を活用する仕組みを検討する

(社会に求める役割)
・無痛分娩への理解を深める
・妊産婦は適切に情報収集し、主治医と相談し方針を決める

 ただ、この対策に強制力はなく、この通りにするかどうかは各医療機関の考え方次第だ。提言案では、無痛分娩の麻酔と出産を同一の医師が兼務することも容認された。一連の重大事故の多くが医師1人のもとで行われていたため、安全性を懸念する声があったが、提言案は医師1人でも無痛分娩ができる内容になっている。無痛分娩の麻酔に習熟した医師を認定する制度の創設も検討のそ上に載ったが、本格的な議論は先送りされた。

 議論の過程では、麻酔科医のメンバーから、「安全な体制が整えられない医療機関は無痛分娩の実施を控えてもらうことが必要」「ある程度の安全基準を守れないところは無痛分娩をできないのではないか」といった意見が出ていた。これに対し、産婦人科医のメンバーは難色を示した。人員や設備の条件を厳しくすると、無痛分娩ができる医療機関が減り、リスクの高い妊婦を受け入れなければならない大病院に、無痛分娩を希望する一般の妊婦までが集中して、本来の役割に支障が出てしまう、というのだ。

実情は「無痛分娩は集客の手段」 アンケートでは十分な情報集まらず

 日本では、出産の半数が診療所で行われている。無痛分娩が普及している海外の先進国では、出産は大病院で、産婦人科医、小児科医、麻酔科医などが常駐する環境で行うのが一般的であることを考えると、日本の出産事情は特殊といえる。日本産婦人科医会が昨夏に行った初の実態調査では、昨年度に国内で行われた無痛分娩の半数以上が診療所での例だった。

 ただ、複数の産科開業医や助産師は取材に対し、「無痛分娩は診療所にとって重要な集客手段になる」と実情を打ち明けている。提言案の内容は、そんな診療所の事情に配慮した結果でもある。

 研究班では当初、無痛分娩の安全性評価もする予定だった。日本産婦人科医会による実態調査の結果を使い、どういう場合にトラブルが起きているのかなどを詳細に分析して、事故の再発防止に生かそうと考えていた。しかし、任意のアンケートでは十分な情報が集まらず、細かい分析まではできなかった。現時点では無痛分娩が普通の出産と比べてリスクが高いかどうかの確かな判断は難しく、さらなる調査が必要とされている。このため、提言案は国に対し、事故の情報収集・分析制度の創設を求めた。妊産婦や家族からの情報を直接、受け付ける窓口の設置も提案している。

 研究班の提言を受け、4月以降に新しい専門家のグループが、研修制度をどうするかなど、対策の具体化を検討する。妊産婦が安心できる体制が整うまでには、さらに時間がかかりそうだ。」



読売新聞「無痛分娩 安全策は(中)「守るべきは母子の命」」(2018年3月23日)は,次のとおり報じました.

「神戸の遺族が訴え…厚労省研究班「提言案」に寄せて

 無痛分 娩 を巡る事故の続発をきっかけに設置された厚生労働省研究班は、安全のための提言案を一般市民に説明するため、3月4日に東京都内で公開講座を開いた。そこには、2015年に神戸市の診療所で起きた事故の後、妻子を失ったAさん(33)も参加していた。 (医療部 中島久美子)

 Aさんの妻(当時33歳)は、実家に近い「おかざきマタニティクリニック」で無痛分娩の処置を受けた直後に急変し、搬送先の大学病院で緊急帝王切開により長男を出産した。母子ともに意識不明で寝たきりの状態が続き、妻は昨年5月、長男も同8月に亡くなった。Aさんは再発防止を求めて厚労省や関連学会、研究班にそれぞれ要望書を提出している。

 Aさんと妻の姉(37)が読売新聞のインタビューに応じ、思いを語った。 
「安全対策」は骨抜きになってしまうでのは…夫

――提言案をどのように受け止めましたか?

A  研究班は当初、「世界標準と同等レベルの安全対策」を目標にしていると聞いたので、実効性ある対策が講じられるものと期待していました。でも今は、結果として対策は骨抜きになってしまうのではないか、という強い懸念を持っています。

――なぜ骨抜きになってしまうと思うのですか?

A  無痛分娩を受ける母子の視点がないからです。「今、無痛分娩をしている医療機関ができなくなる基準は作らない」という前提で議論が進んだのだと思います。たとえば、無痛分娩の麻酔ができる医師の認定制度に関する検討の仕方には違和感を覚えました。

研究班は認定制度のデメリットとして、

(1)現に無痛分娩を実施している医療機関や医師が資格を新たに取得するのが難しい

(2)資格取得が無痛分娩の条件になると無痛分娩を実施できる医療機関が激減する

(3)資格取得者のいる施設に希望者が集中して医療提供体制に悪影響を与える

……ということを挙げていました。これらは医療機関にとってはデメリットでしょうが、母子からみてもデメリットなのでしょうか?

 しかも、認定制度の対象は「原則として若手医師に限定する」となっていました。「これから運転免許制度を導入するけれど、高齢ドライバーは免許がなくても運転できます」と堂々と宣言しているようなものですよね。現状維持へのこだわりを強く感じます。

――「若手医師に限定する」ということに対しては、研究班のメンバーからも異論が出ていますので、今後、再検討されるようです。

姉  今回、認定制度導入の是非について、医師を対象としたアンケートはあったようですが、妊産婦や一般の人に対する意識調査もしてほしいです。妊婦が「先生は蘇生ができますか」と聞いて、「大丈夫」といわれたとしても、本当かどうかわからないですよね。資格があれば目安になります。」



読売新聞「無痛分娩 安全策は(下) 娘の悲劇 繰り返さないで」(2018年3月26日)は,次のとおり報じました.

「ロシア人母が手記~厚労省研究班「提言案」に寄せて

ロシアから来日した母・リュボビさんとの旅行先で。日本らしい風景が大好きだったエレナさん。この2年後、事故にあった(2010年、家族提供)

 無痛分娩(べん)の安全対策について厚生労働省研究班がまとめた提言案に対し、事故にあった妊産婦の家族が次々に声を上げている。その一人が、ロシア人の医師、ボイコ・リュボビさん(63)だ。

 リュボビさんの娘で、日本の大学でロシア語を教えていたエブセエバ・エレナさん(41)は、2012年、夫の日本人男性との間に授かった第1子の長女を京都府京田辺市にある診療所で無痛分娩で出産する際、事故にあった。この診療所ではエレナさん以外にも2件、産科麻酔を巡る重大事故が起きていたことが17年に明らかになっている。

 リュボビさんは、娘と孫の介護のために医師の仕事をやめて来日し、同年7月には寝たきりの2人も含め家族で記者会見を開き、再発防止を訴えている。今回、リュボビさんが読売新聞に手記を寄せた。(ロシア語翻訳協力・小児科医 橋本加津代さん)

リュボビさんの手記(概要)

 私の娘が、京都の開業医「ふるき産婦人科」で無痛分娩の麻酔を受けた後、昏睡状態に陥ってから6年目になります。その時に生まれた孫も寝たきりで、自発呼吸はなく、人工呼吸器につながれています。私はこの問題にとても関心を持っていますが、だからこそ感情的になっているのではないかという不安もあります。特に、昨年10月に京都地検が院長を不起訴とする判断を下した後はなおさらです。それでも、私の意見に興味を持ってくださるのであれば、コメントを簡潔にまとめてみようと思います。

 私個人としては、安全な無痛分娩には、産婦人科医だけでなく、麻酔科医、新生児科医などからなる医療チームが必要だと思っています。そのうえで、気管挿管などに必要な医療機器、ショック症状が起きたときに必要な薬剤などが一式、必要です。このような条件がそろって初めて、安全な無痛分娩ができると考えます。

 提言案は、医師が1人しかいない診療所でも無痛分娩を行うことができる内容とか。研究班は、それを禁止すれば大きな病院に妊婦さんが集中することをおそれているそうですが、私にもそのことは理解できます。ここでこそ、詳細な統計が必要ではないでしょうか。無痛分娩が多いのは、どこの都道府県でしょうか? 自然分娩と無痛分娩の比率は? どのようなトラブルがどれくらいの頻度で起きているのでしょうか? それらを調べた上で、出産が多く、無痛分娩が多く行われている地域には、必要な人員と機器を完備したセンター病院を整備することも一つの方法だと思います。

 安全な出産は、医師の技術水準に負うところが大きいものです。私が数年前まで医師として働いていたロシアでは、医師の資格は5年ごとの更新制でした。医学部を卒業して1年間のインターンを終了すると、医療機関で5年間仕事ができる資格を得られます。この資格を更新するには、約1か月間、実践的な臨床にかかわる問題や理論に関する講習を受け、試験を受けて合格する必要があります。医師として働くためには全員がこの講習を定期的に受けねばならない仕組みで、通常ありえない問題が起こらないようにしているのです。日本でも、世界各国の医師の養成や研修制度を調べて分析し、日本に最適な制度を考えるとよいと思います。

 研究班は、無痛分娩と通常のお産の妊産婦死亡リスクについて、「さらに詳しい調査が必要」としながらも、「リスクはほぼ同じ」とみていると聞きました。本当にそうなのでしょうか。分析に使ったデータの詳細を知りたいところです。その調査の対象は病院でしょうか、それとも診療所でしょうか。それによっても結果は異なるのではないでしょうか。無痛分娩や自然分娩を経験した女性たちにも調査をしてほしいです。安全性に関して研究班の結論を出すには、その根拠となるもっと確かな統計が必要だと思います。そもそも娘のケースは、研究班が安全性の評価に使った調査に含まれているのでしょうか。同じクリニックで起きた別の2家族の悲劇も、含まれているのでしょうか。

 娘は日本を深く愛していました。昨年7月に開いた記者会見の冒頭でもお伝えしましたが、娘や孫の救命やリハビリに、専門性とともに人としてのあたたかな心をもってあたってくださった医師やスタッフの方々に対して、心から感謝申し上げます。そして、日本の皆さまに、私たち家族が襲われたような不幸から、あなたや家族を守るには何が必要かについて、関心を持っていただきたいと繰り返しお伝えしたいと思います。」


このような被害者の声を受け止め,実効的な安全策策定を行うことが求められていると思います.

谷直樹

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by medical-law | 2018-03-26 15:34

小松市民病院,慢性副鼻腔炎の手術で右目の側壁を損傷し複視となった患者に1468万円の損害賠償

毎日新聞「医療事故 手術で目を損傷 70代女性に賠償 小松市」(2018年3月24日)は,次のとおり報じました.

「小松市民病院で2016年5月、慢性副鼻腔(びくう)炎の手術を受けた市内の70代女性が目に後遺症を負う医療事故があり、市は過失を認め約1468万円の損害賠償を支払うことを明らかにした。22日の市議会3月定例会で、関連議案2案が可決された。

 病院によると、女性は手術により右目の側壁を損傷するなどして物が二重に見える状態になった。別の病院で治療を受けたが、後遺症が残ったという。

 市は賠償金を全額、保険で賄う。病院は「今後は一層、医療の質の向上と安全な医療の提供を目指し、事故防止に努める」としている。【道岡美波】」

報道の件は,私が担当したものではありません.
手術後に症状がでた場合(時間的密接性)で,手術の箇所と損傷された神経の部位が近い場合(場所的近接性),手術によって神経を損傷したと判断することができます。手術により神経損傷が認定できる場合,過失は事実上の推定が働きます.
医療機関側が医療水準に沿った術式で終始手術手技が行われたことを立証しなければ,過失が認められます.
報道の件は,過失を否定しがたい事案といえるでしょう.

谷直樹

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by medical-law | 2018-03-24 22:49 | 医療事故・医療裁判

禁煙実践病院 長崎大学病院

西日本新聞「長崎大学病院が禁煙強化 タバコ持ち込みも禁止 20年目標、看板を設置」(2018年03月23日)は,次のとおり報じました.

「敷地内禁煙だけでなくタバコの持ち込みまで禁じる「タバコフリーホスピタル」に2020年の移行を目指す長崎大病院(長崎市)は22日、病院入り口に「禁煙実践病院」の大型看板を設置した。医療従事者や入院患者だけでなく、外来者にも“タバコフリー”を浸透させる狙いがある。

 病院によると、2008年から敷地内禁煙を実施して職員の喫煙率は下がっているが、中には敷地外でタバコを吸う職員や外来者がいるという。院内には全利用者に対し、敷地内での喫煙が発覚した場合の対応として「損害賠償請求を行う場合がある」と記した注意書きを掲示。音声でのアナウンスもしている。

 喫煙直後の呼気には発がん性物質などが多く残っていることが分かっているがタバコフリーを掲げる病院は全国的にもまだ少ないという。増崎英明病院長は看板除幕式で「タバコを手放すことの重要性を改めてPRしていきたい」と言葉に力を込めた。」


看護師の喫煙率が依然として高いなど障害はありますが,そのような現状を改めていくためにも,禁煙方向への強い舵取りが必要と思います.


谷直樹

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by medical-law | 2018-03-23 07:40 | タバコ

都立病院,インシデントは前年同期比4.9%増、アクシデントは7.6%増

リスク対策.com「都立病院、事案・事故報告数5%増 今年度上期、薬剤が最多で約3割」(2018/03/19)は,次のとおり報じました.

「東京都は14日、「都立病院医療安全推進委員会」の今年度第2回会合を開催。今年度上期(2017年4~9月)インシデント・アクシデントレポートの集計結果を公表した。8都立病院における日常診療の場での「ヒヤリハット」事例である「インシデント」と、患者に変化が生じ、治療や処置を要した「アクシデント」は計1万3969件で前年同期比5.0%増だった。8病院の総病床数は4997床で、1病床あたりのレポート数は5.2%増の2.80件。

レポート数はインシデントが全体の95.13%の1万3289件、アクシデントが4.87%の680件でインシデントが圧倒的に多い。インシデントは前年同期比4.9%増、アクシデントは7.6%増。

レポート総数1万3969件の事象内訳は、誤投与や飲み忘れ・飲み違いといった「薬剤」が31.80%、「転倒・転落」が13.79%、点滴やチューブが外れる「抜去」が13.07%。上位3つで約6割を占める傾向は前年同期とほぼ同じ。診療科別の事象内訳は外科系が最多で32.34%、次いで内科系31.79%、精神科20.14%、小児科13.33%。職種別のレポート提出で圧倒的に多いのは、日常的に患者と接する機会の多い看護師で85.11%。医師・歯科医師は5.19%。

医師・歯科医師に絞ったインシデント・アクシデントは725件。インシデントは79.5%の576件、アクシデントは20.6%の149件。手術など患者の安全に直結する行為が多いことから、全報告と比較してアクシデントの割合が高い。事象別内訳は「薬剤」が38.9%、「手術」が17.4%、「検査」が8.7%。「薬剤」は指示内容の入力ミスなどだという。」



いつもながら,インシデント・アクシデントのトップは薬剤です.



谷直樹

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by medical-law | 2018-03-19 17:47 | 医療事故・医療裁判

さいたまカンガルーケア訴訟,遺族が敗訴

産経新聞「新生児ケアで男児死亡、両親の請求を棄却 さいたま地裁」(2018年3月16日)は,次のとおり報じました.

 「長男が重度の脳障害を負いその後死亡したのは、新生児を母親に抱かせて母乳を吸わせる「カンガルーケア」で助産師らが観察を怠ったためとして、両親が自治医科大に約1億円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、さいたま地裁は15日、請求を棄却した。

 両親側は、助産師が付き添って見守るなど経過観察する義務があったと主張したが、松村徹裁判長はカンガルーケアの危険性について「事故当時、確立した医学的知見はなかった」として、過失を認めなかった。

 判決によると、母親は平成23年5月、自治医科大付属さいたま医療センター(さいたま市)で男児を出産し、授乳した。男児は出産の約1時間40分後に容体が急変。26年12月に死亡した。」


報道の件は,私が担当した事件ではありません.
いわゆるカンガルーケアの危険性については2011(平成23)年5月当時も,指摘されていましたので,この判決はいかがかなものかと思います.
なお,2012年10月17日には, 日本周産期・新生児医学会,日本産科婦人科学会,日本産婦人科医会,日本小児科学会,日本未熟児新生児学会,日本小児外科学会,日本看護協会,日本助産師会学会が,「「早期母子接触」実施の留意点」を発表しています.遅くとも,それ以降は医療水準となったと考えられます.

谷直樹

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by medical-law | 2018-03-18 23:50 | 医療事故・医療裁判