弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

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神栖済生会病院,薬のコード番号入力を誤り処方ミス(報道)

毎日新聞「神栖済生会病院が処方箋ミス」(2018年7月5日)は,次のとおり報じました.

 「神栖済生会病院(神栖市知手中央7)は3日、前日に誤った薬剤を印字した処方箋を45人分作成していたと発表した。うち30代の女性1人が本来処方されるべきせき止め薬ではなく解熱剤を服用したが影響はなかったという。同病院によると、2日から電子カルテシステムを導入しており、薬のコード番号の入力を誤ったという。」

今回は大事に至らず幸いでしたが,医師が意図したものと違う薬剤が処方されるのは事故につながりかねません.人による確認が必要と思います.

谷直樹

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by medical-law | 2018-07-17 06:01 | 医療事故・医療裁判

徳島地裁平成30年7月11日判決,常位胎盤早期剝離による胎児死亡事案で約1409万円の賠償命じる(報道)

朝日新聞「胎児死亡で1409万円の賠償命じる 徳島地裁が判決」(2018年7月12日)は,次のとおり報じました.


「胎児が死亡したのは主治医の診断が遅れたためだとして、徳島県北島町の夫婦が鳴門市の産婦人科医院を運営する医療法人に計約4101万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が11日、徳島地裁であった。川畑公美裁判長は、主治医の過失と死亡の因果関係を認め、医療法人に約1409万円の支払いを命じた。

 判決によると、母親は妊娠31週だった2013年3月中旬、切迫早産の兆候があると診断されて医院に入院。主治医から出産前に胎盤がはがれてしまう「常位胎盤早期剝離(はくり)」と診断され、救急搬送先の別の病院で緊急帝王切開手術を受けたが、死産となった。夫婦は、胎児が危険な状態にあると認識できたにもかかわらず、主治医が健康状態を判定する検査を中止し、必要な措置を取らなかったため、死亡したと主張していた。

 判決では、主治医が胎児の健康状態を判定する検査で、心拍の異常を読み取ることが可能だったと指摘。常位胎盤早期剝離を疑い、心拍の異常の原因を調べるための鑑別診断をする義務があったとした。さらに鑑別診断をしていれば、胎児が生きたまま生まれる「高度の蓋然(がいぜん)性があった」と認めた。判決後、医療法人側は「弁護士と相談して対応を決めたい」と話した。」


上記報道の件は私が担当したものでではありません.
常位胎盤早期剝離による胎児死亡は,注意義務違反(過失),因果関係,損害評価の3点いずれも問題になります.
胎児心拍モニタリングの異常に気付かず,対応が遅れた事案ですが,判決の意義は,①注意義務違反がなければ常位胎盤早期剝離による胎児死亡を回避できた高度の蓋然性があると認定したこと,②胎児死亡の損害を約1409万円と認定したことです。

常位胎盤早期剝離は,胎盤が剥がれてる疾患ですが,その剥がれ方,そのスピードはさまざまで,したがって胎児への影響もさまざまで,胎児心拍モニタリングにおいて典型的な常位胎盤早期剝離による異常波形が出現する前に気付く必要があります.胎児心拍モニタリングで何らかの異常波形が出現した時点で,どのような対応が求められていたのか(注意義務)について具体的に検討する必要があります.

さらに,常位胎盤早期剝離による胎児死亡の事案では,注意義務違反がなければ帝王切開によって胎児を生きて娩出させることができたこと(因果関係)を立証する必要がありますが,それには胎児がいつまで生きていたか,地域の搬送体制はどうだったか,等具体的な立証が必要になります.

また,常位胎盤早期剝離に限らず,胎児死亡は「人」になる前の死亡ですから,生きて生まれてから亡くなった場合とは,損害額の算定が異なります.胎児死亡の慰謝料は,事案に応じ一切の事情を総合的に考慮して裁判所が決めます.本判決の約1409万円は高額の例です.

判決が判例雑誌等に掲載されたら,よく読んでみたいと思います.

谷直樹

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by medical-law | 2018-07-13 02:44 | 医療事故・医療裁判

調剤ミス裁判(報道)

大分放送「風邪薬の処方ミスで薬局を提訴」(2018年7月10日) は次のとおり報じました.

「大分市の調剤薬局が風邪薬と高血圧の治療薬を間違えて処方し、服用した8歳の男の子が入院したとして、両親が損害賠償を求める訴えを起こしていたことが分かりました。訴えによりますと、去年10月、大分市内の男の子が風邪の症状が出たため祖母と一緒に病院を受診しました。その後、医師からの処方箋を大分市三ヶ田町の工藤調剤薬局に提出しましたが、薬局側が抗生剤と間違えて高血圧や狭心症の治療薬を手渡したということです。男の子は薬を2回服用し、血圧低下や呼吸障害を起こして病院に5日間入院したということです。男の子の両親は慰謝料など133万円の損害賠償を求めて大分簡裁に訴えを起こしました。OBSの取材に対し工藤調剤薬局は「誤りがあったのは事実で、深くお詫び申し上げます」とコメントしています。」

報道の件は私が担当したものではありません.
誤った薬を飲んだために病院に5日間入院したとすれば,入院費用,入院雑費,入院慰謝料を請求できます.損害賠償額については,いわゆる青本(日弁連交通事故相談センターの基準)が用いられています.
調剤過誤は時々起きており,私も以前調剤過誤事件を担当し,示談で解決したことがあります.


谷直樹

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by medical-law | 2018-07-11 12:50 | 医療事故・医療裁判

埼玉県立がんセンターにおける造血幹細胞移植の際の医療事故


埼玉県立がんセンターは,6月28日,60歳代女性の造血幹細胞移植の際の医療事故を公表し,外部の専門家を交えた医療事故対策委員会で、原因の究明と再発防止策を検討する,とのことです.

「経緯
造血幹細胞移植(※)のため、6月25日13時頃から末梢血幹細胞を採取する準備を始めた。
抗がん剤治療目的で左鎖骨下に留置してあったカテーテル(管)を末梢血幹細胞採取のための太いカテーテルに入れ替えようとしたが、うまく入らなかった。
次に左鎖骨上から挿入を試みたが、左側腹部痛の訴えがあったためレントゲン撮影を行った。
レントゲンでは左胸に異常所見(出血の可能性)があったが、脈や血圧などは安定していた。また、カテーテルがうまく入っていないことが確認されたので、改めて鼡径部(足の付け根)からカテーテルを挿入し、末梢血幹細胞の採取を進めた。
幹細胞採取の終了間際に全身状態が悪化し、蘇生を行うも同日19時51分に死亡した。

※造血幹細胞移植とは
多発性骨髄腫の原因となる骨髄腫細胞を抗がん剤で死滅させた後、あらかじめ採取しておいた自分の造血幹細胞(血液をつくる細胞)を戻す(移植する)ことにより、正常な造血機能を回復させる治療」


報道の件は私が担当したものではありません.
出血の疑いがある以上,血圧等が安定していても,出血の有無,箇所を調べ対処する必要があると思います.
調査で事故原因,問題点が解明されることを期待します.

谷直樹

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by medical-law | 2018-07-10 06:07 | 医療事故・医療裁判

独立行政法人国立病院機構名古屋医療センターで執刀医が交替しヨードアレルギーが伝達されず,ヨード入り消毒剤が使用された医療事故

読売新聞「手術前のアレルギー申告、伝わらず…消毒液誤る」(2018年7月4日)は, 次のとおり報じました.

「独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター(名古屋市中区)で、県内の60歳代男性が手術の際、ヨードに対するアレルギーを申告していたにもかかわらず、医師が誤ってヨード入りの消毒液を使い、約2週間にわたりアレルギー症状が出る医療ミスがあったことが3日、読売新聞の取材でわかった。

 同センターによると、男性は4月、鼠径ヘルニアの手術を受ける前にヨードアレルギーがあることをセンター側に伝えていたが、主治医が急患対応のためにほかの医師と交代。その医師にアレルギーの件が伝えられていなかったため、医師が手術に伴う消毒でヨード入りの消毒液を使ってしまったという。同じ手術チームのメンバーもヨード入りのものが使われたことに気が付かなかったという。

 男性には手術後からアレルギー反応が表れ、痛みを伴う腫れや炎症が続いた。センター側は男性に謝罪しており、見舞金を支払う方針。センター側は「今後は手術に関わるメンバー内での情報共有を徹底する」としている。」


上記報道の件は私が担当したものではりません.
アレルギーの既往がわかっている薬剤が投与されることは少ないのですが,報道の件は伝達ミスによるものです.

谷直樹

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by medical-law | 2018-07-10 05:49 | 医療事故・医療裁判