弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

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愛知県の病院,消化器内科医が肺がんの疑いを指摘する画像診断報告書を見落とし(報道)

朝日新聞「肺がん疑われるも治療せず、愛知県がんセンター愛知病院」(2018年10月12日)は,次のとおり報じました.

 [愛知県がんセンター愛知病院(岡崎市)は11日、肺がんが疑われる検査結果を主治医が見落とすミスがあったと発表した。9カ月後、リンパ節に転移していることがわかり、手術できない状態になったという。今後、主治医を処分する方針。

 同病院によると、幸田町の60代男性患者が昨年7月に大腸がんの経過観察でCT検査を受け、「肺がんが疑われる」との画像診断報告書が放射線科医から消化器内科の男性主治医(62)に報告された。だが主治医はカルテに記載せず、治療もしなかった。

 今年4月、男性患者がせきなどの症状で受診し、CT検査でステージ3の肺がんと判明。転移していて手術できず、抗がん剤治療などをして現在は経過観察をしている。昨年7月の時点では初期のステージ1だったとみられ、手術で根治した可能性があるという。

 病院は9月に男性患者と家族に謝罪。主治医が担当した過去の画像診断報告書を調査した結果、ほかに見落としはなかったという。」



報道の件は私が担当したものではありません.
自分の専門分野外の疾患に関することでも,画像診断報告書には目をとおすべきでしょう.

谷直樹

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by medical-law | 2018-10-12 19:14 | 医療事故・医療裁判

鳥取県の病院,大腸癌手術後の重度後遺症で1億2000万円和解(報道)

朝日新聞「鳥取)過失で患者に後遺症、解決金で和解 赤十字病院」(2018年10月12日)は,次のとおり報じました.

「鳥取赤十字病院(鳥取市)で適切な処置が受けられず後遺症が生じたとして、鳥取市内の男性(69)とその家族が、日本赤十字社(東京都)と当時の担当医師に約1億1168万円の損害賠償を求めた訴訟が鳥取地裁で和解し、日赤側が解決金1億2千万円を支払ったことが11日までにわかった。和解は8月8日付。

 訴状などによると、男性は2008年7月、同病院で大腸がんの摘出手術をしたが、縫合不全の疑いがあるなどとして2度にわたって緊急の再手術を受けた。その後、感染症により呼吸障害などが生じ危篤状態となった。一命はとりとめたが、脳が萎縮し重度の認知症や両手足のまひなどの後遺症が残ったという。

 原告側は「十分な検査をしていれば重症化は防げた」と13年9月に提訴。今回の和解について、「病院側にはもっと親身になって患者の立場に立って考えてほしかった」とコメントを出した。」


報道の件は私が担当したものではありません.
上記報道からは経過と過失がわかりませんが,検査義務違反で因果関係が肯定できる事案なのでしょう.

谷直樹

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by medical-law | 2018-10-12 11:34 | 医療事故・医療裁判

札幌市の病院,誤嚥後の措置で提訴される(報道)

  札幌市の病院,誤嚥後の措置で提訴される(報道)_b0206085_17452252.jpg

北海道新聞「入院16歳、意識回復せず 市立札幌病院 両親が市提訴へ」(2018年10月5日)は次のとおり報じました.
 
「市立札幌病院(関利盛院長、747床)の看護師と医師が適切な処置を怠り、長男(16)に重度の低酸素脳症を負わせたとして、両親=札幌市=らが札幌市などに介護費用や慰謝料計約3億6千万円の賠償を求め、5日にも札幌地裁に提訴することが分かった。原告側によると、長男は現在も意識が回復していない。

 訴状によると、長男は潰瘍性大腸炎を患い、2016年12月22日に市立病院に入院していた。同29日、嘔吐(おうと)物が誤って気管に入る誤嚥(ごえん)によって心拍数と血圧が著しく低下し、約1時間後に呼吸と脈が停止。救命医の処置で蘇生したが、全治不明の低酸素脳症を負った。

 原告側は、薬の副作用治療で対応していた精神科の看護師と医師の2人が長男の急変に気付いたものの、呼吸と脈が停止するまでの約1時間、適切な経過観察や小児科医などに判断を仰ぐなどの注意義務を怠ったことが原因と主張。「病院を運営管理する市の使用者責任は免れない」とする。

 原告側によると、市側は見舞金の支払いと示談を申し出たが、因果関係について否定したため、提訴を決めた。市立病院は「訴状を精査して真摯(しんし)に対応したい」としている。(野口洸)」


報道の件は私が担当したものではありません.
救急蘇生の基本は,心停止の予防と迅速な初期対応です.
誤嚥して心拍数と血圧が著しく低下した後に,約1時間後の心肺停止まで何を行ったかが問題でしょう.



谷直樹

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by medical-law | 2018-10-08 19:52 | 医療事故・医療裁判

熊本県の病院,乳癌見落としで提訴される(報道)

熊本日日新聞「「乳がん見落とし」○○病院を提訴 球磨郡の女性損害賠償請求」(2018年10月4日)は,つぎのとおり報じました.

 「○○病院(熊本県多良木町)で乳がん検診を受けた球磨郡内の女性(50)が、病変の見落としで左胸の全摘出手術を余儀なくされたとして、同病院に約2200万円の損害賠償を求める訴訟を熊本地裁に起こした。提訴は2日付。

 訴状によると、女性は2013年7月に乳がん検診を受診。その際、左胸にしこりを感じたが、検診結果には精密検査を勧める記載はなかったという。

 14年3月に別の病院で乳がんと判明。他にもがんが転移していた。原告側代理人によると、検診時に撮影した画像を別の医師に鑑定してもらったところ、がんの可能性があり、精密検査が必要と判断されたという。同病院は「訴状を見ておらず、コメントできない」としている。(山口尚久)」


報道の件は私が担当したものではありません.
乳癌の画像診断過誤は一般に難しく,有責判決も少ないので,訴訟の推移を見守りたいと思います.


谷直樹

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by medical-law | 2018-10-08 19:37 | 医療事故・医療裁判

「バルコニー等共有部分における喫煙について」

帰宅時に,自宅マンションが見えると,安堵感があります.(見えてから5分くらい歩くのですが)
隣・上下の音も聞こえず,快適に眠っています.
このマンションの使用細則は,「専有部分以外の場所で喫煙すること」を禁止しています.最近のマンションの規約は,このようにバルコニーでの喫煙禁止を明示しています.
ところが,バルコニー等で喫煙する人がいたとのことです.若い人が多く,喫煙者は少ないはずなのですが,喫煙者はどこにもいるのですね.
管理会社から「バルコニー等共有部分における喫煙について」が配布され,注意喚起が行われました.

谷直樹

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by medical-law | 2018-10-07 11:42 | タバコ

神戸市の病院,生体肝移植手術死亡事案で3500万円和解(報道)

神戸新聞「生体肝移植で死亡 神戸市側、3500万円支払いで和解」(2018年10月6日)は,次のとおり報じました.

「神戸市立医療センター中央市民病院で生体肝移植手術後、合併症により20代で死亡した男性患者の両親が、手術に過失があったとして慰謝料など計約1億1470万円の損害賠償を求める訴訟を起こし、病院側が両親に和解金計約3580万円を支払うなどの内容で和解していたことが分かった。9月28日付。

 訴状などによると、先天性胆道閉鎖症だった男性は2005年7月、父親の肝臓の移植手術を受けた。両親側は「父親の肝臓摘出時に右肝静脈が適切に切除されず、不適合な状態と認識しながら移植を進めた」などと主張。移植した肝臓は定着せず、同年9月に男性は亡くなった。病院側は「当時の医療水準では過失はない」と反論していた。

 市と両親側弁護団によると、和解条項には、右肝静脈の位置を誤認したことを確認する▽術中の超音波検査による肝静脈の位置確認などで再発防止に努める-ことが盛り込まれた。

 病院側は「患者を救えなかったことを深く受け止める。再発防止に努めたい」。両親らは「同様の事態の防止につながることを念願する」とコメントした。

 父親の手術は、生体肝移植後1年以内に患者の死亡が相次いだ民間病院「神戸国際フロンティアメディカルセンター」(閉院)の元理事長らが担当した。」


報道の件は,私が担当したものではありません.
医療事件の多くが和解で解決しますが,報道されるのはごく一部です.
判決でなく和解であっても,同様の事件を担当している者には参考になります.
また,同じような事故が今後他院で起きないようにするためにも,和解内容は参考になると思います.

谷直樹

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by medical-law | 2018-10-06 09:04 | 医療事故・医療裁判

杉並区の肺がん検診での見落としでクリニックに約1100万円請求(報道)

朝日新聞「検診で見落とし」がんの男性、賠償求め申入書(2018年10月4日)は,次のとおり報じました.

「東京都杉並区の肺がん検診で相次ぐ見落としがあったとされる問題で、再検査でがんと分かった70代男性が検診を受託したクリニックに対し、約1100万円の損害賠償を求める申入書を提出した。対応次第で提訴も検討するという。

 申入書の提出は2日付で、代理人の弁護士が3日公表した。申入書によると、男性は昨年8月、「河北健診クリニック」(同区)で受けた区の肺がん検診で「異常なし」と診断された。しかし、見落とし問題発覚後の今年8月、再検査でステージ3と判明した。男性側は、昨年時点のX線画像を見た別の病院の医師から「ステージ1だったとみられる」という見解を得たとし、「見落としと病状の進行には因果関係がある」と主張している。

 申し入れを受けて、クリニックを運営する社会医療法人・河北医療財団は「財団としてのコメントはありません」としている。

 同クリニックが区から受託した肺がん検診をめぐっては、40代の女性が症状の見落としで今年6月に死亡したことが発覚。過去9424人分のX線画像を再確認したところ、今回の男性を含む44人は精密検査が必要とされた。」


報道の件は私が担当したものではありませんが,私もがんの見落とし事件が結構担当しています.検診の医療水準を低く認定した裁判例があり,その裁判例が一般人が検診に期待するレベルと乖離しているために,相談者へのがん見落としの過失の説明に苦労します.また,裁判所における因果関係の認定も,一般人の感覚にそぐわないところがあり,説明に苦慮します.
なお,癌の見落としについては,裁判になる前に解決することも多いです.


谷直樹

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by medical-law | 2018-10-05 18:13 | 医療事故・医療裁判