弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

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宮崎地判平成31年3月28日,十分な量の輸液投与を怠り循環血液量減少性ショックで死亡させた事案で約2720万円賠償命じる

共同通信「宮崎の病院に2700万円賠償命令 搬送2日後死亡」(2019年3月28日)は次のとおり報じました.

「独立行政法人の地域医療機能推進機構が運営する宮崎江南病院(宮崎市)で2014年、搬送された男性(当時84)が2日後に死亡したのは適切な医療措置を受けなかったためとして、遺族らが計約4570万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、宮崎地裁は28日までに、病院側に計約2720万円を支払うよう命じた。
五十嵐章裕裁判長は、男性が当時急性膵炎(すいえん)を発症していたが、担当医師が十分な量の輸液投与を怠るなどしたため循環血液量減少によるショックで死亡したと判断した。
判決によると男性は14年4月27日、腹痛を訴え入院。同29日未明に容体が急変し死亡した。」


上記報道の件は私が担当したものではありません.
五十嵐章裕判事は宮崎地裁の前東京地裁医療集中部にいた裁判官です.一般に医療集中部で尋問などの経験を積んだ裁判官は医療事件について自信をもって的確な判決を下すことが多いようです.

谷直樹

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by medical-law | 2019-03-29 01:37 | 医療事故・医療裁判

《行く春》

「美の巨人たち」で川合玉堂氏47歳のときの屏風(6曲1双)《行く春》が取り上げられました.
長瀞は,地球深部で変成された岩が1億年かけて隆起したことが見て取れる場所です.これは以前「ブラタモリ」でやっていました.
屏風の風景は実際の長瀞とは異なるものになっています.水車舟が流れの緩やかなところにあってよいかと思いましたが.長瀞と言えば藤ですが,舞い散る桜が配されています.赤壁は左岸に置き換えられています.番組では,柔らかな岩(結晶片岩)を彩色で表現したことが際限で示されました.《行く春》は,長瀞の要素が画家の美意識で再構成されたものです.

《行く春》は,北の丸公園の国立近代美術館で,2019年3月19日から5月26日まで 展示されています.

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by medical-law | 2019-03-24 02:33 | 趣味

東京家裁セキュリティチェック待ち伏せ殺人

20日午後1時から3時まで弁護士会館で医療問題弁護団の研修会がありコメンテーターとして出席しました。その隣の東京家庭裁判所で20分後に事件が起きました.
セキュリティチェックが導入され待ち伏せが容易となったために,起きるべきして起きた事件と思います.
事件報道により模倣する者がでるかもしれません.
セキュリティチェック箇所(出入り口)を増やせば危険は少し低下しますが,双方当事者を同日同時刻に出頭させる以上依然として同様の事件が起きる危険性はあり,回避手段としては十分ではありません.同日同時刻出頭を希望しない当事者には,それが可能な制度運用に変える必要があるのではないでしょうか.

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by medical-law | 2019-03-22 00:06 | 司法

横浜拘置支所で抗精神薬の副作用で死亡した事案,5000万円和解(報道)

NHK「拘置施設で死亡 国が5000万円支払いで和解」(2019年3月19日)は次のとおり報じました.

「7年前、横浜市の拘置施設で薬の副作用で死亡した女性の被告の両親が、施設の対応に問題があったとして国を訴えていた裁判は、国が5000万円を支払うことなどで19日、和解が成立しました。

7年前の平成24年、横浜市港南区の横浜拘置支所に勾留されていた当時39歳の女性の被告が、服用していた精神疾患などの薬の副作用で体調が急変し、搬送された病院で死亡しました。

女性の両親は、拘置支所の医師や職員が適切な対応を怠ったために女性が死亡したとして、3年前、国に対し8200万円余りの損害賠償を求める訴えを起こしました。

原告側の弁護士によりますと、この裁判は19日、横浜地方裁判所で、国が和解金として5000万円を支払うことなどで和解が成立したということで、弁護士は「実質的に国の責任が認められた」としています。

和解を受けて、女性の父親は記者会見し、「娘がかえってくるわけではありませんが、国には二度と同じようなことがないようにしていただきたい」と述べました。

一方、横浜拘置支所を管轄する法務省は「収容している人の健康管理を適切に行っていきたい」コメントしています。」


報道の件は私が担当したものではありません.
抗精神薬を中止もしくは減量する注意義務に違反し,抗精神薬のの副作用で死亡した事案ですので,国の責任が認められたものです.


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by medical-law | 2019-03-20 15:57 | 医療事故・医療裁判

しとぎ餅

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しとぎ餅をいただきました.とてもおいしいです.
臼引きの秋田米粉を餅にし餡をつつんで両面を軽く焼いた和菓子です.
「成し遂げる」の意味をこめて神にささげたことに由来するそうです.
日持ちがしないため,「一乃穂」でしか作っていない貴重なものです.

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by medical-law | 2019-03-18 23:45 | 日常

交通事故から8日後の大動脈瘤破裂による死亡事案,手術後のCT検査でがんの所見を見逃した事案で遺族と和解2件(報道)

NHK「医療ミスで2人死亡 遺族と和解」(2019年3月15日)は次のとおり報じました.

「むつ市にある公立病院で、5年前とおととし、50代と60代の男性患者2人が、死亡したことについて、病院側が医療ミスがあったことを認め、賠償金合わせて5800万円を支払うことで遺族と和解したことが関係者への取材で分かりました。

むつ市など5つの市町村の一部事務組合が運営する「むつ総合病院」では、平成26年7月、バイクの事故で入院し、打撲と診断された60代の男性患者が、8日後に大動脈りゅう破裂で死亡しました。
また、去年4月には、前の年にがんの手術を受け、その後、別の大腸がんと診断された50代の男性患者が死亡しました。
関係者によりますと、2人の遺族は、入院中に適切な治療を怠ったことや、手術後のCT検査でがんの所見を見落としたことが原因だったとして、裁判に訴えたり、病院側に申し立てたりしていました。
いずれについても、病院側がミスがあったことを認め、賠償金合わせて5800万円を支払うことで、ことし1月に遺族と和解が成立したということです。
病院を運営する一部事務組合は、今月20日に開かれる定例議会に正式に報告して、了承を得ることにしています。
むつ総合病院は、NHKの取材に対し、「さらなる医療ミスや事故を招かないよう、対応を徹底していきたい」とコメントしています。 」



報道の2件は私が担当したものではありません.
患者側弁護士の少ない地方では,医療過誤の被害に遭っても損害賠償を請求せず諦めて」うるケースも多いと聞いていましたが,次第に変わってきているのかもしれません.

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by medical-law | 2019-03-15 22:38 | 医療事故・医療裁判

透析中止の選択肢を提示することの誤り

毎日新聞「公立福生病院 透析中止は5人 次第に「自信を持って」選択肢提示」(2019年3月13日)は,次のとおり報じました.

「公立福生病院(東京都福生市)の人工透析治療を巡る問題で、2014年ごろ以降、新たに2人が外科医(50)から治療をやめる選択肢を提示され、いずれも死亡していた。昨年8月に亡くなった女性(当時44歳)も含めて計5人が治療の中止を選び、うち4人が亡くなった全容が判明した。これとは別に病院では13年4月~17年3月、最初から透析治療をしない「非導入」で計20人が死亡したことが分かっている。

 透析治療をやめた5人とも終末期ではなく、治療を続ければ「年単位で生きた」と外科医は話している。外科医と腎臓内科医(55)によると、14年ごろ、腎不全のため意識不明で運ばれた80代女性に緊急的な治療を実施。意識が戻った女性が「(透析を)やめてくれ」と申し出たため、外科医が「やめたら死につながる」と説明。本人と家族の承諾を得て翌日に透析を中止し、女性は自宅に戻って死亡した。

 外科医らは「驚いた。(最初は中止に)積極的ではなかった」と振り返る。だが、「(患者が治療を)よく理解しないまま(医師側に)お任せ」するのは「正しい医療ではない」と考え、継続か中止かの選択肢を提示することに決めた。

 初めて治療をやめる選択肢を示したのは15年ごろ。導入後2カ月の男性(55)に「継続するも自由、やめるも自由」と提示。男性は「やめる」と言って自宅に帰った。男性は食事制限を受けていたがステーキを食べて亡くなったといい、家族から感謝されたという。

 昨年に入ると、「より具体化し、自信を持って」治療をやめる選択肢を示すようになった。80代女性の透析用血管の分路が不調で持病もあったため、外科医が「どうするかを考える時期だ」と中止を含めた選択肢を提示。家族も同意して治療は中止され、女性は約2週間後に自宅で死亡した。さらに、30代男性から「あと何年治療したら(体が)良くなるのか」と問われ、外科医は、一生続ける必要があることを説明すると同時に、やめる選択肢を提示。男性は「ようやく分かった。透析をする意味も価値も感じない」と話して紹介元のクリニックに戻った。生死は不明だという。

 外科医は、透析治療をやめると心臓や肺に水がたまり、「苦しくなってミゼラブル(悲惨)で、見ているこちらも大変。透析の離脱(中止)はしてほしくない」と話す一方、「『透析したくない』というのは立派な主張。患者にとってメリットだという信念で、適正な選択肢を示している」と話している。【斎藤義彦、梅田啓祐】」


上記報道から,終末期でない患者への透析中止の選択肢の提示が,誤った倫理観に基づく誤った行為であったことを,この病院の医師が気付いていないことが分かります.
患者が自己決定する権利があることの範囲と医師が選択肢を提示することのできる範囲は異なります.たしかに自殺する自由はありますが,医師が,自殺する自由がありますよ,と自殺の選択肢を提示するのは許されないことです.医師に患者の自己決定権についての正しい理解を広める必要があると思いました.



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by medical-law | 2019-03-14 09:39 | 医療事故・医療裁判

山口地裁下関支部平成31年3月13日判決,再手術を行って血腫を取り除く義務を認め4600万円支払い命じる(報道)

NHK「山大医学部病院の手術で賠償命令」(2019年3月13日)は,次のとおり報じました.

「宇部市の山口大学医学部附属病院で、腰の手術を受けた女性が、両足にまひなどの後遺症が残ったのは、医師が再手術を怠ったことが原因だなどとして、損害賠償を求めていた裁判で、山口地方裁判所下関支部は大学に4600万円あまりの支払いを命じる判決を言い渡しました。

下関市の75歳の女性は平成21年、宇部市にある山口大学医学部附属病院で腰の手術を受けたところ手術後にできた血腫が神経を圧迫し、痛みを訴えたものの医師が再手術を怠ったため、両足がまひするなどの後遺症が残ったとしておよそ6000万円の損害賠償を求める訴えを起こしていました。
これに対して病院側は再手術をすれば状態が悪化する可能性があり過失はなかったなどとして訴えを退けるよう主張していました。
判決で、山口地方裁判所下関支部の泉薫裁判長は「重大な後遺症が残るおそれがあることを考慮すると状態が悪化する可能性を理由に再手術を断念すべきでなかった」と指摘しました。
その上で、泉裁判長は「医師は再手術を行って血腫を取り除く義務が生じていたが、怠った」として4600万円あまりの支払いを命じる判決を言い渡しました。
判決について山口大学は「主張が認められず誠に遺憾で弁護士と協議して今後の方針を決めたい」と話しています。」


上記報道の裁判は私が担当したものではありません.
腰の手術に際し,麻酔関連の医療事故が起きることがあります.血腫によって神経が圧迫されている場合,そのままにしておくと不可逆的な神経損傷が生じます.血腫を認識しておきながら,手術を行わなかった事案では,過失,因果関係が認められる,という判決です.
再手術義務と因果関係を認めた点で参考になります.

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by medical-law | 2019-03-13 21:43 | 医療事故・医療裁判

腎臓がん手術後の肺がん見落としで和解(報道)

共同通信「がん見落とし死亡、和解 遺族と名大、賠償金支払い」(2019年3月12日)は次のとおり報じました.

「名古屋大病院で定期的にコンピューター断層撮影(CT)検査を受けていた男性が死亡したのは、病院が肺がんを見落としたのが原因として、男性の妻が大学に約2億6600万円の損害賠償を求めた名古屋地裁の訴訟は12日までに賠償金の支払いで和解が成立した。原告、大学双方とも金額を明らかにしていない。

訴状によると、男性は腎臓がんの手術後、2007年11月から名古屋大病院でCT検査を受け始めた。遅くとも09年5月にはがんを強く疑わせる影が肺にあったのに医師が見落とし、12年6月に肺がんと診断するまで治療せず、男性は14年3月に死亡したとしている。

名古屋大病院は肺がんと診断される以前から病巣が存在していた疑いがあるとして調査委員会を設置。15年12月、ミスを認めて謝罪した。

男性の妻は代理人を通じ「人の命を左右する仕事に携わっているという認識を忘れないでほしい」と話し、名古屋大は「ご冥福をお祈りします。再発防止策を徹底する」とのコメントを出した。」


報道の件は私が担当したものではありません.
和解金額は公表されていませんが,請求額とはだいぶ違う金額ではないか,と思います.


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by medical-law | 2019-03-12 09:12 | 医療事故・医療裁判

アドレナリンを過剰に経静脈投与した事案で書類送検(報道)

産経新聞「治療薬過剰投与で女子高生が死亡 男性医師を書類送検 大阪府警」(2019年3月6日)は,次のとおり報じました.

患者の女子高生に治療薬を過剰投与するなどして死亡させたとして、大阪府警捜査1課は6日、業務上過失致死容疑で、高石藤井病院(大阪府高石市)の非常勤医だった男性医師(44)を書類送検した。容疑を認めているが、責任は重大だとして、起訴を求める意見を付けた。

 書類送検容疑は平成27年12月29日夜、同病院で診療した高校3年の女子生徒=当時(18)=に対し、アドレナリンの投与を看護師に指示した際、投与する量を過剰に伝えるなどして、翌30日にアナフィラキシーショックで死亡させたとしている。

 同課によると、女子生徒は29日夜に、知人男性と食事をした後、目の腫れやせきなどの症状を訴えて同病院を受診。医師は食物アレルギーと診断し、アドレナリンの投与を看護師に指示。女子生徒は診断時は受け答えや歩行もできていたが、点滴後に容体が急変し、死亡した。

 女子生徒の家族が29年11月に刑事告訴。遺族は医師と病院側に損害賠償を求めて提訴し、同年9月に病院側が落ち度があったことを認めて和解が成立している。」


報道の件は私が担当したものではりません.
経静脈投与は心停止もしくはそれに近い状態では必要ですが,それ以外では推奨されません.不整脈等の有害作用があります.過失は明らかと思います.
裁判上の和解が成立している事案で検察が起訴するのか,注目したいと思います.


谷直樹

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by medical-law | 2019-03-06 23:20 | 医療事故・医療裁判