弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

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内服薬の誤投与による患者死亡,看護師を戒告処分

青森市は,2019年4月24日,医療事故事案について看護師を戒告処分にしたことを発表しました.青森市のサイトによると以下のとおりです.

(1)事案の概要
平成29年9月24日(日)、市民病院に入院していた患者に対して、本来投与するものとは別の内服薬を投与し、その後、血圧が低下したため集中治療を行い、一時的に改善を認めたものの、徐々に悪化し、同年10月14日(土)に死亡したもの。

(2)被処分者
市民病院看護局 看護師 (20歳代 女性)

(3)処分量定 戒告
【量定判断要素】
・内服薬の誤投与が結果として患者を死亡させてしまったこと。
・一方で事故発生直後から迅速かつ適切に対応したこと。
・遺族とは和解が成立していること。
・起訴されていないこと。

(4)処分日 平成31年4月24日


上記の件は私が担当したものではありません.
和解成立は,このように量定判断要素となります.

谷直樹

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by medical-law | 2019-04-25 06:12 | 医療事故・医療裁判

肺一部切除手術で出血死の事案,数千万円で和解(報道)

西日本新聞「切除手術ミス男性死亡 遺族提訴 新小倉病院と和解へ」(2019年4月24日)は,次のとおり報じました.

「北九州市小倉北区の新小倉病院で2014年2月、肺気胸を患う福岡県行橋市の男性会社員=当時(23)=の肺の一部を切除する手術で医療ミスがあり、男性が出血性ショックで死亡していたことが23日、分かった。男性の両親は16年10月、病院に損害賠償を求める訴えを福岡地裁小倉支部に起こし、支部は今年1月、病院が注意義務を怠ったと認定した。近く数千万円を支払うことで、和解する見通し。

 両親の代理人弁護士によると、地裁小倉支部は手術中に医師が操作した器材で、下肺静脈から左心房にかけての部位を傷つけたことが大量出血の原因と考えられるとし、「注意義務があったのに、これを怠った」と認定。和解を提案した。病院側も和解に応じる意向という。

 訴状などによると、男性は高校生のころから気胸を繰り返し発症していた。再発を防ぐため、肺の一部を切除する胸腔(きょうくう)鏡手術を受けた際に大量に出血。止血できないまま死亡した。

 病院は責任を認めなかったため、両親は、慰謝料など約1億1千万円を求め提訴。手術のずさんさや胸腔鏡手術のリスクの説明不足、他の治療法を選ばなかったことなどが死亡につながったと主張した。

 病院側は取材に「まだ正式な和解に至っておらず、現時点ではコメントできない」としている。

   ◇    ◇

「油断あったのでは」両親が訴え

 新小倉病院で受けた肺の一部を切除する手術で死亡した男性の両親は23日、福岡県行橋市の自宅で西日本新聞の取材に応じた。「結婚したり、子どもができたりと楽しいことがいっぱいあったはずなのに」。北九州市の企業に就職したての社会人1年生。23歳の若さで息子が亡くなったことへの悲しみや悔しさを明かした。

 男性が手術を受けることを決めたことを、母親(53)は「真面目な子。会社に迷惑をかけたくないと話していた」。胸腔鏡手術のリスクや他の治療法については「病院側から十分な説明はなかった」と強調した。

 1月の和解提案後、手術を担当した医師が両親に謝罪したという。父親(59)は「油断があったのではないか。どんな手術でも、患者を一番に考えてほしい」と訴えた。」


NHK「手術で失血死 遺族と病院和解へ」(2019年4月24日)は次のとおり報じました. 

「北九州市の病院で5年前、肺の手術を受けた20代の男性が出血性ショックで死亡しました。
男性の両親は「医療ミスだ」などとして賠償を求める裁判を起こしていて、病院側が数千万円を支払うことで、近く和解が成立する見通しです。

訴状によりますと、5年前、当時23歳の行橋市の男性が肺気胸の治療のため、北九州市小倉北区の新小倉病院で左の肺の一部を切除する手術を受けた際、出血が止まらなくなり、そのまま出血性ショックで死亡しました。

男性の両親は「手術中の不適切な処置で、致命的な血管の損傷を引き起こしたうえ、不十分な止血しかできなかったのは医師らの過失だ」などとして、病院を相手に1億1400万円余りの賠償を求める訴えを福岡地方裁判所小倉支部に起こしていました。

両親の代理人の弁護士によりますと、裁判所はことし1月、「肺の血管などを傷つけないよう、手術用の器具を操作すべきだったのにこれを怠った」などと指摘して病院側の過失を認め、和解を提案したということです。

これを受けて、双方が協議した結果、病院が数千万円を支払うことで近く和解が成立する見通しです。

新小倉病院は「和解が成立するまで、コメントは差し控える」としています。」


報道の件は私が担当したものではありません.
数千万円の和解金額からすると,裁判所が注意義務違反と因果関係を認めた事案と考えられます
医療裁判では,原告側(患者側)に具体的な結果回避の方法を特定し主張立証することが求められます.つまり。原告側(患者側)は,具体的にどのような注意をすれば結果を回避できたか,を主張立証しなかればなりません.
ただ,手技ミスの場合は,致命的な血管損傷を起こさないように器具を操作することと言う以上に特定が難しいこともあります.手術のどの段階でどの血管をどのように傷付けたかによって,それが注意すれば回避できた場合か否かを判断せざるを得ない場合もあります.肺の一部切除はよく行われる手術であり,それにより出血死することは非常に少ないことからすると,一般に,特別な事情がない限り,肺の一部切除手術で致命的な血管損傷を引き起こし出血死させたら,裁判所は医療側に責任があると判断することが多いと思います.

谷直樹

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by medical-law | 2019-04-25 05:52 | 医療事故・医療裁判

総務省統計局「人口推計(2018年(平成30年)10月1日現在)」

2019年4月20日、総務省統計局から、「人口推計(2018年(平成30年)10月1日現在)」が発表されました.

●総人口は1億2644万3千人で,前年に比べ26万3千人(0.21%)の減少と8年連続で減少しています。
●日本人人口は1億2421万8千人で,前年に比べ43万人(0.35%)の減少と8年連続で減少しています。
●15歳未満人口は1541万5千人で,前年に比べ17万8千人の減少となり,割合は12.2%で過去最低となっています。
●15歳~64歳人口は7545万1千人で,前年に比べ51万2千人の減少となり,割合は1950年と同率の59.7%で,比較可能な1950年以降過去最低となっています。
●65歳以上人口は3557万8千人で,前年に比べ42万6千人の増加となり,割合は28.1%で過去最高となっています。
●70歳以上人口は2621万人で,前年に比べ97万9千人の増加となり,割合は20.7%と初めて2割を超えました。
●75歳以上人口は1797万5千人で,全値に比べ49万3千人の増加となり,初めて65歳以上人口の半数以上となりました。
●自然増減は12年連続の自然減少となり,減少幅は拡大しています。
●男女別にみると,男性は14年連続,女性は10年連続の自然減少となっています。
●社会増減は6年連続の社会増加となっています。
●日本人・外国人の別にみると,日本人は2年ぶりの社会減少となっています。外国人は6年連続の社会増加となり,増加幅は拡大しています。


これよみると,あらためて高齢者の老後を家族が支えるのは無理なことが分かります.
医療事故によって介護が必要になった場合,家族は職に就いていることが多く,職業的介護人を頼んで介護を行うことが多くなると思います.職業的介護人の費用について,裁判例は,日額2万5000円,2万8000円,3万円となど分かれますが,今後人件費は高騰する一方ですので,少なくない金額になると思います.

谷直樹

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by medical-law | 2019-04-24 12:58 | 日常

医療機関の消滅と損害賠償請求

日刊工業新聞「休業・廃業は倒産の10倍、深刻化する医療機関の経営 後継者難や患者不足、地方で顕著に。歯科は00以降最多に」(2019年4月23日)は次のとおり報じました.

「2018年度(18年4月―19年3月)の医療機関の倒産データがまとまった。倒産件数(法的整理)は病院4件、診療所19件、歯科医院16件の計39件。負債総額は165億5600万円となった。2000年度以降の19年間でみると、件数は09年度(45件)、10年度(43件)、07、08年度(各39件)に次ぐ5番目。負債総額は14番目の水準だった。

 負債額が最も大きかったのは「磐城中央病院」や「小名浜中央病院」を経営している医療法人翔洋会(負債61億6400万円、福島県、民事再生法)で、以下、医療法人社団大森会(同28億2500万円、熊本県、民事再生法)、医療法人天貴会(同10億5800万円、民事再生法、栃木県)と続いた。翔洋会の負債額は2000年度以降の医療機関倒産のなかで9番目の規模で、東北エリアの医療機関倒産としては過去最大級。

 そのほか、39件を負債額別にみると、「1億円未満」と「1億―10億円未満」がそれぞれ18件(各構成比46・2%)となったほか、態様別では「破産」が32件(構成比82・1%)、「民事再生法」が7件(同17・9%)。

 所在地別では「大阪府」(5件)、「福岡県」(4件)、「愛知県」(3件)、「東京都」「北海道」「神奈川県」「京都府」「岐阜県」「山口県」「熊本県」(各2件)の順となり、業歴別では「30年以上」が11件(構成比28・2%)、「10年未満」が12件(同30・8%)を占める結果となった。

 ちなみに18年1―12月に休業・廃業・解散に至った医療機関(法人、個人含む)は、400件あったことが判明。2000年以降では17年(404件)に次ぐ高水準となり、18年度の倒産件数の約10倍の件数となっている。400件の内訳は「病院」が27件、「診療所」が305件、「歯科医院」が68件となり、診療所の件数が2000年以降で最多、歯科医院が2番目の多さとなっている。

 各都道府県における事業者数に対する休業・廃業・解散の比率は地方ほど高い数値を示しており、経営者の高齢化・後継者不足のみならず、将来的な人口動態に伴う患者不足(収入減)を主因とした医療機関の休業・廃業・解散は、今後さらに増加していく可能性がある。(文=帝国データバンク情報部)」




医療過誤被害者にとっては,医療機関の廃業,解散は相手方が消滅するるため大きな問題です.ただ,廃業・解散前に請求された,医療過誤に基づく損害賠償にてういては,医事保険が適用になりますので,保険から支払われることになります.また,医師個人,看護師個人の責任は3年の時効にかからない限りありますので,個人を相手に損害賠償請求を行うこともできます.

谷直樹

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by medical-law | 2019-04-24 09:17 | 医療事故・医療裁判

論文撤回で再生医療臨床研究中止

共同通信「心臓の再生医療、一時停止 論文撤回で東京・榊原記念病院」(2019年4月23日)は次のとおり報じました.

「患者の心臓組織の一部を体外で培養し、再び患者の体に戻して心筋梗塞の治療を行う再生医療の臨床研究を、榊原記念病院(東京)が一時停止したことが23日分かった。治療の効果を示した海外の論文が撤回されたことが原因。既に2人の患者にこの治療を行ったが、健康被害はないとしている。

 研究責任者で同病院の細田徹部長は、他にも治療効果の根拠となる論文はあるとして研究を続けたい意向を示しており、国の認定を受けた再生医療の審査委員会に継続可否の判断を仰ぐ。」


治療効果の根拠となる論文が他にあるなら示してもらいたいものです.

谷直樹

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by medical-law | 2019-04-24 09:04 | 医療

提言第8集「救急医療における画像診断に係る死亡事例の分析」

一般社団法人 日本医療安全調査機構は,2019年4月22日,医療事故の再発防止に向けた提言第8号「救急医療における画像診断に係る死亡事例の分析」を公表しました.

【救急医療における画像検査の意義】
救急医療における画像検査は確定診断を追究することより、緊急性の高い死につながる疾患(killer disease)を念頭において読影することが重要である。特に、頭部外傷による少量の出血、大動脈瘤切迫破裂や大動脈解離の画像所見、腸管穿孔による遊離ガス像に注目する。

【画像検査依頼時の情報共有】
画像検査を依頼する医師は、臨床症状および疑われる疾患、特に否定したい疾患について明確に依頼書に記載し、診療放射線技師・放射線科医師と情報を共有する。

【救急外来における撮影画像の確認】
担当医師一人ではなく、上級医師や放射線科医師などの複数の医師がそれぞれの視点で画像を確認し、所見について情報を共有する。救急外来における診療放射線技師は、緊急度の高い所見を発見した場合、読影する医師にすみやかに情報を提供する。また、情報通信技術(ICT)を用いた院外からの読影も有用である。

【画像検査の追加と入院・帰宅の判断】
当初の画像検査だけでkiller diseaseを否定できない場合は、単純CTさらには造影CTなどの追加を行う。確実に否定できるまでは診療を継続し、その間に観察した症状は医療従事者間で情報共有することが重要である。

【画像診断報告書の確認とincidental fi ndings】
救急診療後に作成される画像診断報告書の確認が確実にできるよう、責任者を決めて対応する。また、当初の検査目的以外で偶発的に認められた異常所見(incidental fi ndings)について、担当医師による対応が必要な所見は確実に伝達されることが重要である。

【院内体制の整備】
救急医療においてkiller diseaseを鑑別するための教育体制、救急医療にあたる担当医師への支援体制、重要所見を含む画像診断報告書の確認と対応を把握できる体制を整備する。これらを通して、すべての医療従事者が画像検査に係る医療安全に主体的に関わる文化を醸成することが望まれる



谷直樹

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by medical-law | 2019-04-23 08:31 | 医療事故・医療裁判

札幌のお土産

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昨日は札幌出張でした.
事務局には六花亭のお菓子を買ってきました.兜の包装です.
自分用には鮭を買いました.
最近の電子レンジ(NE-BS1500)には減塩モードがあり,たいへん美味しくできました.

谷直樹

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by medical-law | 2019-04-23 08:07 | 日常

「法律知識で読み解く 福岡・博多 それどげんなると」

福岡の波多江愛子先生が「法律知識で読み解く 福岡・博多 それどげんなると」(梓書院,1,500円(税抜))を執筆しました.売れているようです.

福岡・博多の歴史や文化、街中にあふれる「福岡あるある」を法律知識で読み解くとどうなるか?博多っ子弁護士である著者が、編集者との対談形式で、分かりやすく解説。福岡あるあるに共感しつつ、福博の歴史にうなずきながら、楽しく法律知識まで身につけることができる一冊。


谷直樹

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by medical-law | 2019-04-23 05:05

新宿区議選

投票率は37.93%でした.
私が投票した同業者は当選しました.
次点と次々点と次々々点が日本共産党の現職でした.
同党は改選前は8議席でしたが,トランスジェンダーの新人を加え9人の候補を立てました.公明党の9議席に迫ろうとしたのでしょう.しかし結果は現職3名が落選し議席を減らしました.
ちなみにトランスジェンダーは無所属の1名も当選しました.

谷直樹

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by medical-law | 2019-04-22 06:26 | 日常

透析中止問題

プレジデントオンラインに沙鴎一歩氏の 「安倍政権は33万人の透析患者を殺すのか 福生病院の透析中止は納得できない」が掲載されています.
小見出しは次のとおりです.

患者の命を救うのが医師の使命のはずだ
福生病院が取材に応じたのは、毎日のスクープから21日後
ほかにも20人以上が人工透析中止で死亡していた
「サイコネフロロジー」を少しでも理解していたのか
透析患者を救うには、現時点では腎臓移植しかない
延命治療を無意味なものとして中止する「ACP」
透析中止は尊厳死やACPを都合よく判断した結果
捜査のメスを入れて白黒をはっきりさせるべき
「文書指導」で済む問題ではないはずだ
患者の意思を本当に尊重していたのだろうか


安倍政権と関連付けたタイトルはさておいて,一読をお薦めします.

谷直樹

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by medical-law | 2019-04-20 08:05 | 医療