弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

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日本医療機能評価機構「医療安全情報 No.150病理診断報告書の確認忘れ-上部消化管内視鏡検査-」

日本医療機能評価機構は,医療安全情報で改めて病理診断報告書の確認忘れを取り上げました.

「病理診断報告書の確認忘れ」を医療安全情報No.71(2012年10月)で取り上げました。その後、類似の事例が35件報告されています。そのうち26件は上部消化管内視鏡検査の生検組織診断の事例です(集計期間:2012年9月1日~2019年3月31日)

事 例 1 大腸癌の術前検査のため消化器内科医師は上部消化管内視鏡検査を施行し、生検を行った。外科に転科後に病理診断報告書が作成され、消化器内科医師は結果を確認しなかった。外科医師は、生検が行われていたことを把握していなかった。両診療科間では病理診断報告書の確認や患者への説明について取り決めがなかった。大腸癌の手術から4年後、貧血の精査のため上部消化管内視鏡検査が行われた。その際、4年前の病理診断報告書に胃癌と記載されていることに気付いた。
事 例 2 喉頭癌の患者に重複癌の検査目的で上部消化管内視鏡検査を施行し、生検を行った。病理診断報告書が作成されると、病理検査を依頼した内視鏡検査担当医に通知が出される。しかし、内視鏡検査を依頼した主治医には通知されず、病理診断報告書を確認しなかった。4年後、患者から物が飲み込みにくいという訴えがあり、上部消化管内視鏡検査を行った。検査結果を確認した際、4年前の病理診断報告書に食道癌と記載されていることに気付いた。


http://www.med-safe.jp/pdf/med-safe_150.pdf

谷直樹

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by medical-law | 2019-05-17 06:43

市立病院,診療所の不祥事

CBニュース「公立病院の不祥事、委員会報告書踏まえ「改革」も - ガバナンス強化とコンプライアンス向上が鍵」(2019年5月15日)は,草加市立病院,秋田市立米沢診療所,小樽市立病院の報告書をとりあげ,再発防止策の重要性を指摘しています.

草加市立病院「腹腔鏡下子宮がん手術及び診療報酬請求に係る検証委員会」の報告を受けて

北秋田市「市立診療所において発生した公金の不正な取扱いに関する報告及び公金等の管理の適正化に関する方針

小樽市立病院「単回使用医療機器の不適切使用に関わる調査結果について」

谷直樹

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by medical-law | 2019-05-16 01:10 | 医療

第4回妊産婦に対する保健・医療体制の在り方に関する検討会

「第4回妊産婦に対する保健・医療体制の在り方に関する検討会」(5月16日)の資料が厚生労働省のサイトに掲載されています.

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_04724.html

谷直樹

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by medical-law | 2019-05-16 00:52 | 医療

シンポジウム「医療事故調査制度はどうあるべきか-制度施行後3年の実情から考える-」

5月25日,医療事故情報センター主催のシンポジウム「医療事故調査制度はどうあるべきか-制度施行後3年の実情から考える-」が開催されます.

シンポジスト:
永井裕之さん(患者の視点で医療安全を考える連絡協議会 代表)
木村壯介さん(一般社団法人日本医療安全調査機構 常務理事)
平川俊夫さん(公益社団法人日本医師会 常任理事)
廣井透雄さん(国立研究開発法人国立国際医療研究センター病院 副院長・医療安全管理部門長)
伊藤進一さん(一般社団法人兵庫県医師会 医療事故調査支援委員)
日時 2019年5月25日(土) 13:00-16:30 (開場 12:45)
場所 ウインクあいち(愛知県産業労働センター) 10階1001会議室(定員150名)
事前申込不要・入場無料

谷直樹

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by medical-law | 2019-05-16 00:45 | 医療事故・医療裁判

司法試験受験予定者は4466人

今日から司法試験が始まりました.
受験予定者は4466人(速報値)とのことです.
合格者は1500人超なので,3人に1人が合格します.
合格率2%の時代は今は昔となりました.

谷直樹

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by medical-law | 2019-05-15 19:41 | 司法

福岡高裁平成31年4月25日判決,術後再出血で脳に重い障害を負った事案で賠償額を増額し約1億7千万円の支払を命じる(報道)

西日本新聞 「福大筑紫病院の術後ミス、二審も賠償命令 福岡高裁 3医師と病院に1.7億円」(2019年4月26日)は次のとおり報じました.

福岡大筑紫病院(福岡県筑紫野市)で手術後のずさんなケアにより重い脳障害を負ったとして、40代の男性患者と家族が福大と医師ら5人に約6億円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が25日、福岡高裁であった。矢尾渉裁判長は、一審福岡地裁に続いて大学と医師3人の過失を認めた上で、将来の介護費用などを考慮して賠償額を約800万円増額し、約1億7千万円の支払いを命じた。

 判決によると、男性は2009年5月、腸に炎症などを起こす難病「クローン病」治療のため腹部手術を受けた際、6千ミリリットルの大量出血をした。手術後の午前0時に医師全員が帰宅したが、夜勤の看護師が患者の異変に気付き、午前5時半に医師1人を呼び出した。再手術が行われたものの、患者は再出血して脳に重い障害を負った。

 判決理由で矢尾裁判長は、主治医3人の看護師に対する指示について「(出血量の指標とされる)脈拍数や血圧について具体的な指示をしておらず不適切」と指摘。「適切な指示があれば脳障害は回避されたと推認できる」とした。

 看護師に関しては「出血性ショックを疑わせる異常を確認した段階で、医師へ報告する義務があった」として過失を認めた一方、脳障害との因果関係は否定。看護師、執刀医への請求は一審に続き棄却した。

 福岡大筑紫病院は「判決文を精査し、適切に対応したい」とコメントした。」


共同通信「二審も1億円超賠償命令 福岡大病院で手術、後遺症」(2019年4月26日)は次のとおり報じました.

「福岡大筑紫病院(福岡県筑紫野市)で手術を受け重い後遺症を負ったとして、難病のクローン病患者の男性と親族が大学側に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、福岡高裁は25日、一審福岡地裁に続いて主治医らの過失を認めた上で賠償額を増額し、約1億7千万円の支払いを命じた。

判決によると、男性は2001年にクローン病を発症。09年5月に手術を受けて翌日腸から出血し、出血性ショックによる低血圧で脳や運動機能に障害が残った。

矢尾渉裁判長は、出血の可能性を念頭に置いた術後管理が必要だったと指摘。「血圧に異常が認められれば直ちに報告するよう看護師に指示すべきだった」と述べた。

一審の賠償命令額は約1億6千万円だったが、高裁は男性の余命をより長く見積もり、将来の介護費用などを増やした。

福岡大筑紫病院は「判決文を精査し、適切に対応したい」としている。

この医療事故では県警が13年、主治医ら5人を業務上過失傷害容疑で書類送検。14年に全員が不起訴処分となっている。」


報道の件は私が担当したものではありません.
術後管理(血圧に異常が認められれば直ちに報告すること)についての医師の過失を認めた判決です
クローン病患者の生命予後は正常集団に比べやや低下することを考慮し,平均余命までの介護費用は認められないが,平均余命より大幅に低下する蓋然性が高いとも言い難い,と判示し,症状固定からの余命を28年として損害を計算しています.
矢尾渉判事は最高裁調査官も歴任している優秀な判事です.また,私が司法修習生のとき,とても丁寧に起案を添削いただきました.

谷直樹

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by medical-law | 2019-05-14 12:21 | 医療事故・医療裁判

『きのう何食べた? 第6話』の偏見

5月10日放送のテレビドラマ『きのう何食べた? 第6話』で,司法修習生が「医療訴訟って弁護士にとって確実にお金が入るいい仕事なんですよね.」と言うと,筧史朗弁護士は,「そうやって家族を失ってやりきれない気持ちでいる人を焚きつけて弁護士がバンバン訴訟しまくった結果産科医と小児科医のなり手が減った.最近の医師不足の原因の半分は闇雲に稼ごうとする弁護士にあると俺個人としては思うよ.そんなこと言いながら俺も医療訴訟は引き受けんだけどね.1件あたりの賠償額が大きければこっちの取り分も大きいし.」と言います。

患者側弁護士に対する偏見は根強いものがあると思いました.私は,患者家族、そして医療にたずさわるすべての人の権利が実現され、患者家族、患者団体、医療にたずさわるすべての人の願いである安全なより良い医療を実現するために,医療事件を取り扱っています.

平成29年の医療訴訟の平均審理期間は24.2月で,認容率は20.5%です.
時間と労力を要し5件に1件しか勝てないのが医療訴訟です.当事務所は事務所外の弁護士との共同受任でも着手金は合計50万円(当事務所に入るのは25万円)ですから,報酬金が入らなければ時間と労力に見合いません.医療訴訟は「確実にお金が入るいい仕事」では決してありません.また,賠償額が大きなものばかりではありません.医療過誤だけを取り扱う弁護士が少ないのは,「確実にお金が入るいい仕事」ではないからです.

診療科別に医師の人数をみると,平成28年12月末日時点で,1位が内科医で60,855人(20.0%)、2位が整形外科医で21,293人(7.0%),3位が小児科医で16,937人(5.6%)です.産婦人科医は,10,854人(3,6%)です.
平成29年の地方裁判所の医事関係訴訟既済件数753件のうち,小児科は10件,産婦人科は54件です.
産科医と小児科医の減少が医療訴訟によるものとは考えにくい数字です.
また,医学部の定員によって医師の総人数が決まります.医学部の定員を絞れば医師の総人数は少なくなりますし,定員を増やせば医師の総人数は増えます.仮に医療訴訟のために医師を辞める人がいたとしてのごく少数ですので,医療訴訟の件数は医師の総人数に影響しません.
医療訴訟の多い地域に医師が多く,医療訴訟の少ない地域に医師が少ないことから,医療訴訟が医師の偏在をもたらしていないことは明らかです.
診療科における医師の偏在も,地域における医師の偏在と同様に,医療訴訟以外の影響が大きいと思います.

つまり,ドラマの筧史朗弁護士の台詞は根拠のない偏見です.残念です.

谷直樹

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by medical-law | 2019-05-14 02:28 | 医療事故・医療裁判

開腹リンパ節生検術で傍腹部大動脈リンパ節節した際に右尿管の一部を切除した医療事故公表

宝塚市立病院は2019年5月10日以下のとおりリンパ節生検術における右尿管損事故を公表しました.


「【概要と経緯】
患者様は市内在住60歳代の男性です。
2019年1月、近くの医療機関で実施した腹部CT検査において、腹部大動脈周囲のリンパ節腫大を疑う所見が認められ、精査目的で当院消化器内科を受診されました。
2月、消化器内科にてリンパ節腫大の精査目的に超音波内視鏡下生検術※を実施しました。その結果、腫瘍であることの診断はできましたが、採取量が少なく悪性リンパ腫(血液のがんの一種)の確定診断には多くの組織が採取できる手術によるリンパ節生検術が必要となり、当院外科を受診されました。
3月5日、外科にて後腹膜リンパ節(傍腹部大動脈リンパ節)腫大の原因診断を目的に開腹リンパ節生検術を実施しました。術前から大動脈に隣接するリンパ節が腫れており、周囲臓器の損傷は生検術に関連するリスクとして患者様にも説明しておりましたが、開腹してみると術前に患者様に説明していた以上に大動脈周囲の炎症性癒着が高度であり、手術中に超音波でも確認し傍腹部大動脈リンパ節と考えられる組織を切除しました。
術後から39度以上の発熱が継続し、3月7日に至るも改善が無く、血液データ、ドレーンからの排液も含めて右尿管損傷の可能性を疑いました。同日朝の緊急CT検査にて右水腎症が分かり、午後に泌尿器科による右尿管造影検査を実施しました。その結果、生検術の操作部位で右尿管の連続性がないことが判明したため、右側背部より経皮的に右腎臓へ直接カテーテル(チューブ)を挿入し、尿を排出させる処置(右腎ろう造設術)を実施しました。リンパ節腫大に関しては、リンパ節生検術により悪性リンパ腫の確定診断に至り、血液内科による治療方針を決定しました。
右腎ろう造設術から約1ヶ月後に再度右尿管造影検査を実施し、右尿管の損傷の程度を再評価した後に、患者様に退院していただきました。現在は外来通院にて経過観察を続けながら、今後の対応策を検討されています。

※超音波内視鏡下生検術:内視鏡の先端に超音波検査装置がついており、胃・十二指腸・大腸の内腔側から観察しながら組織の一部を採取する手技

【右尿管損傷の原因】
①高度の右尿管付近の炎症と組織の肥厚があり、右尿管の同定が極めて困難な状態であったため、リンパ節生検術において右尿管を損傷したと思われます。

【再発防止策】
今回の事案について、関係者を集めて事実確認と問題点の明確化、再発防止に向けてシステム構築について検討いたしました。
①大血管の近くや尿管の近くといった他科領域にも及ぶ手術は、関連診療科と相談して手術方法を検討し、手術時点から他科医師の参加をルーチン化して連携を強化します。
②予定通りに手術が進まない時は、協議のために手術を中断したり応援医師を呼ぶ体制を確立します。 」


この件は私が担当したものではありません.
法的には,リンパ節生検術において尿管を損傷した場合,尿管の同定が極めて困難な状態であったときは,注意義務違反(過失)がないのか,という問題があります.
尿管の同定が極めて困難な状態で切除すると尿管を損傷することが予見できると思います.その結果を回避するためには,関連診療科から応援医師を呼ぶなどして尿管お同定する義務があると思います.
よく過失は結果責任ではないと言われます.それは正しいのですが,結果責任ではないからと言って過失が常にないことにはなりません.とくに医療行為によって侵襲を加える場合は,重要な組織を同定し損傷しないようにする注意義務があると思います.
○○科の医療水準ではしかたがない,ということも言われますが,転医義務が認められているように,他科の医師の応援を要請する義務もあると思います

谷直樹

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by medical-law | 2019-05-13 09:01 | 医療事故・医療裁判

JANE EYRE by Charlotte Bronte

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『ジェイン・エア』は,Charlotte Bronteの原作が優れているためでしょうが,18回も映画化されています.
古典文学のためストーリーは公知なので,名場面を映像化することになります.
怪しげな古城,田園風景の中を走る馬車,この時代のファッションなどどれも良いです.

1996年の製作の『ジェイン・エア』には,Charlotte Lucy Gainsbourgさんが主演しています 原作のヒロインは不器量だったはずですが,25歳のCharlotte Lucy Gainsbourgさんは真逆です.ボーダーとGパンが似合っていた『なまいきシャルロット』とも違い,最近の挑戦的な演技とも違いますが,これはこれで魅力的なCharlotte Lucy Gainsbourgさんでした.

中学生のころ『ジェイン・エア』を読んだときは,集団生活は不衛生で嫌だという印象が強かったのですが,後に名作の名作たるゆえんを知りました.

谷直樹

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by medical-law | 2019-05-12 09:34 | 趣味

白紙

或る法律事務所から白紙のファクシミリが繰り返し送られてきました.
大先生が自らファクシミリを送っているためです.
10連休は事務局が出勤しないため,弁護士が普段慣れない作業をすることになります.大変です.

谷直樹

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by medical-law | 2019-05-05 09:09 | 事務所