弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

<   2019年 06月 ( 18 )   > この月の画像一覧

和泉市の無痛分娩死亡事故大阪地裁に提訴

6月11日,和泉市の無痛分娩死亡事故について,遺族(夫と幼い長女,次女)の代理人として,大阪地裁に訴状を提出しました.これで,大阪地裁での産科事件は2件になりました.
被告は,産科クリニックを開設する医療法人と院長医師です.
請求金額は,9883万1468円です.

事案の概要は,次のとおりです.
被告医師は,平成29年1月10日午後3時20分頃から,被告クリニックの処置室において,妊婦に対し,
①無痛分娩目的で,硬膜外針のベベル(刃面)を硬膜外腔で180度回転させて硬膜を損傷し,
②硬膜外カテーテル(以下「カテーテル」という。)を5cm挿入し(カテーテルの先端は脊髄くも膜下腔にあった。),
③カテーテルが適切に留置されているか否かを確認するための吸引テストを行うことなく,局所麻酔薬0.75%アナペイン(一般名ロピバカイン)3mLを注入し,
④注入後下肢の運動麻痺を調べることなく,さらに吸引テストを行うことなく同アナペイン5mLを注入し,
⑤注入後下肢の運動麻痺を調べることなく,脊髄くも膜下腔に注入した計8mLのアナペインにより高位麻酔とし,
⑥同日午後3時32分に高位麻酔の症状である呼吸苦を訴えた妊婦に高位麻酔の治療を行わず,全脊髄くも膜下麻酔とし,
⑦意識レベル低下,意識消失,呼吸停止,心停止となった妊婦に全脊髄くも膜下麻酔の治療を行わず,無酸素ないし低酸素状態におき,脳機能に不可逆的損傷をあたえました。
妊婦は,同月20日搬送先の総合医療センターにおいて,脳機能損傷により死亡しました。

注意義務違反は次の3点を主張しています.

1 カテーテル挿入後,アナペイン注入前,吸引テストを行ってカテーテルが適切に留置されているか否かを確認すべき義務の違反(確認義務違反)

2 アナペイン注入後,下肢の運動麻痺を調べてカテーテルが適切に留置されているか否かを確認すべき義務の違反(確認義務違反)

3 呼吸苦を訴えた際の,麻酔域を調べ,吸引テストを行ってカテーテルが適切に留置されているか否かを確認すべき義務の違反(確認義務違反)

硬膜外腔にカテーテルを留置して,カテーテルから持続的に局所麻酔薬を注入する方法では,妊婦の体位変動などでいつのまにかカテーテルの先端が脊髄くも膜下腔に迷入することがあります.注意していても,全脊麻になってしまう場合もあります.
本件,その場合と異なります.
本件は,カテーテルを挿入した後,ただの一度も吸入テストを行わず,カテーテルの位置を確認していません.
また,局所麻酔薬を注入した後,カテーテルの先端が脊髄くも膜下腔に迷入していたら2分で下肢に症状が出ますが,本件は,局所麻酔薬注入後,下肢の状態を調べず,カテーテルの位置を確認していません.
確認は,産科医であれば誰でもでき,かつしなければならないことです.それを怠ったことは過失にあたると考えています.

毎日新聞「無痛分娩死亡事故、遺族が産婦人科医院を賠償提訴 大阪」(2019年6月11日)は次のとおり報じました.

「大阪府和泉市の産婦人科医院○○クリニック」で2017年、出産時の痛みを麻酔で和らげる無痛分娩(ぶんべん)に臨んだ女性が死亡した事故で、遺族が11日、医院側に計約9400万円の損害賠償を求める訴えを大阪地裁に起こした。遺族は「事故が二度と繰り返されないよう世の中に訴えたい」と話している。

 訴えたのは夫(35)と娘2人。訴状などによると、事故は17年1月に起きた。長村千恵さん(当時31歳)=同府枚方市=が脊髄(せきずい)付近にある「硬膜外腔(がいくう)」への麻酔を受けた後、呼吸困難となり意識不明に。別の病院に運ばれたが、低酸素脳症で10日後に死亡した。帝王切開で生まれた次女は無事だった。

 遺族側は、手術した男性院長が麻酔薬を注入する前、体内に入ったカテーテルが適切な位置にあるかを確認しなかったと主張。硬膜外腔より深い部分まで薬が入り、麻酔が効き過ぎたことが原因だと訴えている。

 院長は同年10月に業務上過失致死容疑で書類送検されたが、大阪地検が今年4月に不起訴処分(容疑不十分)にしている。

 記者会見した遺族側代理人の弁護士は「麻酔の効き目などを適切に確認すれば防げた事故だ」と指摘。夫は「あいまいな形で決着させたくない。きちんとした判決をもらいたい」と話しているという。

 医院側の代理人は「訴状が届いていないので申し上げることはない」としている。

 遺族側は近く、不起訴処分についても検察審査会に不服を申し立てる。無痛分娩を巡っては重大事故が相次ぎ、他にも訴訟も起きている。【高嶋将之、松本紫帆】」


日本経済新聞「無痛分娩死遺族、医院に損賠提訴 大阪地裁」(2019年6月12日)は次のとおり報じました.

「大阪府和泉市の産婦人科医院で2017年、無痛分娩で出産した長村千恵さん(当時31)が死亡した医療事故で、適切な治療を怠ったのが原因だとして、女性の遺族が11日、男性院長(61)と運営する医療法人に対し、計約9380万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴した。

訴状などによると、院長は17年1月、長村さんに脊髄を保護する硬膜の外側に麻酔薬を注入する「硬膜外麻酔」を施した際、管が適切な位置に挿入されて…」


共同通信「無痛分娩死で産科医院提訴、大阪 「麻酔の確認怠る」」(2019年6月11日)は,次のとおり報じました.」

 「大阪府和泉市の産婦人科医院で17年、麻酔で痛みを和らげる「無痛分娩」で出産した長村千恵さん=当時(31)=が死亡した事故を巡り、麻酔の部位や効き具合の確認を怠ったのが原因だとして、夫(35)らが11日、担当した男性院長(61)と運営元の医療法人に、計約9300万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴した。

 訴状などによると、院長は無痛分娩で次女(2)を出産予定の長村さんに、カテーテルを入れ麻酔薬を注入する硬膜外麻酔を行う際、適切な位置に挿入されているか確認しないまま注入。その後も麻酔の効き具合の確認を怠って意識不明に陥らせ、10日後に死亡させたとしている。」

時事通信「無痛分娩死で医院を提訴=遺族が賠償請求-大阪地裁」(2019年6月11日)は,次のとおり報じました.」

「大阪府和泉市の産婦人科医院で2017年、無痛分娩(ぶんべん)で出産した女性=当時(31)=が死亡した事故で、同府枚方市の遺族が11日、適切な治療を行わず死亡させたとして、運営する医療法人と男性院長を相手に、計約9380万円の損害賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こした。

 訴状によると、女性は17年1月、同医院で次女を出産する際、麻酔後に呼吸困難で意識不明となり、別の病院に搬送されたが低酸素脳症で死亡した。適切に呼吸を管理すれば死亡を回避できたのに、処置が適切か確認する義務を怠ったと主張している。」 


MBS「「無痛分娩で母親死亡事故、遺族が病院院長を提訴」(2019年6月11日)は,次のとおり報じました.」

「大阪府内の産婦人科医院で、無痛分娩で出産中に意識不明となりその後死亡した女性の遺族が、病院の責任を問うため提訴しました。

 訴状によりますと、おととし1月、和泉市の産婦人科医院○○クリニック」で、長村千惠さん(当時31)が無痛分娩で出産中に意識不明となり、10日後に死亡しました。遺族は、千惠さんが死亡したのは院長が麻酔の際に適切な確認措置を怠ったことが原因だったとして、約9400万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴しました。

 「これはどういう事件だったのか、明らかにしたいという願いがありました」(遺族の代理人弁護士)

 院長は業務上過失致死の疑いで書類送検されていましたが、大阪地検は今年4月に嫌疑不十分で不起訴としていて、遺族はこれを不当として来週にも検察審査会に申し立てを行う予定です。」


読売テレビ「無痛分娩で出産後に死亡 遺族ら「病院側に過失」と提訴」(2019年6月11日)は,次のとおり報じました.」

「無痛分娩で出産後に死亡した女性の遺族が、病院側に過失があったとして、損害賠償を求める裁判を起こした。

 訴状などによると、長村千恵さん(当時31)は一昨年1月、大阪府和泉市の「○○クリニック」で痛みを麻酔で和らげる無痛分娩で出産したが、呼吸困難に陥り、10日後に死亡した。

 長村さんの遺族は、麻酔を投与した男性院長が経過観察を怠ったことなどが死亡の原因だと主張し、約9400万円の損害賠償を求めている。一方、病院側の代理人は「訴状がまだ届いていないので申し上げることはございません」とコメントしている。

 男性院長をめぐっては、業務上過失致死の疑いで書類送検されたが、今年4月、嫌疑不十分で不起訴となっていて、遺族は来週、検察審査会に審査を申し立てる方針。」

関西テレビ 「「無痛分娩」で女性死亡の事故 遺族が病院側に約9300万円の賠償求め提訴」(2019年6月11日)は,次のとおり報じました.

「おととし、大阪府和泉市のクリニックで「無痛分娩」で出産した女性が死亡した事故で、遺族が病院側に9300万円あまりの賠償を求めて提訴しました。

【長村千惠さんの父・安東雄志さん(70)】
「民事で勝っても負けても、どうなっても私の娘は帰ってきません。そんなことじゃなくて私はただ一つ、こういう事故が先進国の日本で起こってほしくない」

おととし、大阪府和泉市の「○○クリニック」で、長村千惠さん(当時31)が麻酔で痛みを和らげる“無痛分娩”で次女を出産しようとしたところ、容態が急変し死亡しました。

その後警察がクリニックの男性院長(61)を業務上過失致死の疑いで書類送検しましたが、ことし4月、検察は嫌疑不十分で男性院長を不起訴処分としました。

長村さんの遺族は院長が麻酔を打つ際に適切に効いているかの確認を怠ったため死亡したなどとして、クリニックと院長に対し、あわせて約9380万円の賠償を求めて大阪地裁に提訴しました。

【遺族の代理人 谷直樹弁護士】
「確認するのは、本当に誰でもできる。ただ、さぼっただけなんですね。怠っただけなんです。医学部の学生が勉強する教科書に書いてあるんです」

【長村千惠さんの父・安東雄志さん(70)】
「(提訴が)医療改革につながってほしいですね。医師は罰すべきじゃないという社会的な認識がある。医師でも悪い人はいる」

遺族は今後、院長を不起訴とした処分についても不当だとして一般の市民からなる検察審査会に申し立てるということです。

クリニック側は取材に対し、「訴状が届いていないので申し上げることはありません」とコメントしています。」

【追記】
第一回期日は,7月29日月曜日午後1時15分1009法廷に決まりました。


谷直樹

  ↓
にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村


by medical-law | 2019-06-12 23:00 | 無痛分娩事故

青もみじ

青もみじは清々しく美しいです.
秋の紅葉を想像するので趣があります.
見えていないものこそ美しいと思います.
霧に霞む山,雲に隠された月こそ美しい,と思います.
このように,日常生活は想像力でなりたっています.

これに対し,裁判では証拠により事実を証明することが求められます.
医療過誤裁判でも,できるだけ一点の曇りもなく明解明確な主張立証が求められます.
こちらの世界では想像力は排斥されます.
裁判官は,極力,想像力を用いないようにしています.

ところで,行うべきことを行わなかったという不作為の医療過誤があります.
これは,単に事実を示しても,何が問題かが伝わりません.
何をすべきか,注意義務を示して,はじめて不作為の意味が伝わります.
悪い結果を回避し,良い結果を実現するために,注意義務が課せられています.
注意義務立証には,ほん少しですが,想像力が必要になります.

谷直樹

  ↓
にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村


by medical-law | 2019-06-08 09:57 | 医療事故・医療裁判

モニター発信機の電池切れで呼吸停止に気づかず,患者死亡(報道)

神戸新聞「神戸・西市民病院で死亡の男性 発信機が電池切れ」(2019年6月4日)は次のとおり報じました.


 「神戸市立医療センター西市民病院(長田区)は4日、救急病棟に入院していた県内の40代男性患者が3月に亡くなった際、心電図などのデータをナースステーションのモニターに送る発信機の電池が切れていたと発表し、謝罪した。

 病院によると、男性は昨年11月、頸椎椎間板ヘルニアで入院。その後、誤嚥性肺炎を発症し、人工呼吸器を一時装着したが、2月13日からは自発呼吸で治療を受けていた。

 3月24日午前零時前、看護師が血糖値を測定した際は異常なかったが、約1時間後に別の看護師が同室を訪ねた際、呼吸停止に気付いた。当時同病棟で電池式発信機を使っていたのはこの男性だけで、マニュアルで定める電池の入れ替えもされていなかった。また電池切れを示すアラーム音量を小さくしていたため、同病棟の当直スタッフ4人の誰も気付かなかった。

 外部有識者も含めた「医療事故検討・対策委員会」が5月に開かれ、死因は特定できなかった。」


上記報道の件は私が担当したものではありません.
呼吸停止による死亡かも解明されていないようですが,仮に呼吸停止による死亡であると仮定すると,その原因が解明できなくても,多くの場合モニターで異変を発見しすみやかに対応すれば救命できます.異変に気づくのが遅れたことと死亡との間の関連性は否定できないのではないでしょうか.

谷直樹

  ↓
にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村



by medical-law | 2019-06-07 00:54 | 医療事故・医療裁判

大津地裁平成31年4月23日判決と京都地裁令和元年5月31日判決,介助義務違反を認め,それぞれ約2520万円と約2800万円の支払いを命じるる(報道)

期せずして,リスクのある入所者に対する不適切不十分な介助→転倒→死亡の事案について,介助義務違反を認めた判決が報じられました.

大津地裁平成31年4月23日判決(西岡繁靖裁判長)は,大津市の介護付き有料老人ホームに入居していた91歳の女性が2016年不適切なトイレ介助で転倒した事故による摂食障害で飲食できなくなり死亡した事案で,約2520万円の支払いを命じました.

京都地裁令和元年5月31日判決(島崎邦彦裁判長)は,京都市山科区の介護老人保健施設に入居していた82歳の男性が2015年職員の介助不足により複数回転倒して死亡した事案で,約2800万円の支払いを命じました.

それぞれ,京都新聞「不適切トイレ介助で飲食できず死亡 施設に2520万円賠償命令」(2019年04月23日),京都新聞「介助不足で複数回転倒し死亡 施設に2800万円賠償命令」(2019年5月31日)が報じています.

いずれも私が担当したものではありません.
病院でも転倒リスクのある患者については上記判決と同様に考えることができると思います.


谷直樹

  ↓
にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村


by medical-law | 2019-06-04 22:17 | 医療事故・医療裁判

癒着胎盤帝王切開の母体死亡事案で賠償(報道)

毎日新聞沼津市立病院 16年医療事故 妊婦遺族に賠償へ」(2019年6月1日9は次のとおり報じました. 
 「沼津市立病院で、帝王切開手術での医療死亡事故があり、市が亡くなった妊婦の遺族に5000万円の損害賠償を支払う示談が成立する見通しとなった。市が31日、損害賠償の議案を6月7日開会の市議会定例会に提出すると明らかにした。・・・」

上記報道の件は,私が担当したものではありません.
母体死亡は件数は少ないですが,通常の注意義務を尽くせば回避可能な事案もあるように思います.

谷直樹

  ↓
にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村


by medical-law | 2019-06-03 13:47 | 医療事故・医療裁判

取り違え防止策がなく遺体取り違え解剖(報道)

河北新報「遺体取り違え解剖 遺族は法的措置も検討 仙台厚生病院」(2019年06月01日)は,「仙台市青葉区の仙台厚生病院が太白区の男性(84)の遺体を取り違え、5月27日に誤って解剖していたことが31日、分かった。病院は「完全なケアレスミス」と事実関係を認めている。遺族は法的措置も検討している。」と報じました.
年間の病理解剖が20件以下で、同じ日に複数の遺体を取り扱う例はほとんどなかったといい、取り違え防止策もなかった,とのことです.
報道の件は私が取り扱ったものではありません.
件数が少ないため,取り違え防止策がなかったのことですが,確認せずに解剖を始めるのは通常ではないと思います.




谷直樹

  ↓
にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村


by medical-law | 2019-06-03 10:49

光琳忌

光琳忌_b0206085_21333693.jpg

谷直樹

今日6月2日は、享保元年6月2日(1716年7月20日)に亡くなった光琳の忌日です.
乾山も, 寛保3年6月2日(1743年7月22日)に亡くなっています.

東京国立博物館では,今日まで,「美を紡ぐ 日本美術の名品 ―雪舟、永徳から光琳、北斎まで―」を開催しています.
光琳は,《伊勢物語 八橋図》,《西行物語絵巻 巻四》が展示されています.

から衣
きつつなれにし
つましあれば
はるばるきぬる
たびをしぞ思ふ.

は,折句=横読み(現代であれば縦読み)の代表です.

ちなみに「国宝 東寺—空海と仏像曼荼羅」展も今日までです.


  ↓
にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村


by medical-law | 2019-06-02 00:52 | 趣味

初期胃がんの手術の縫合不全で開腹手術,別の出血もあり死亡の事案で病院と医師が提訴される(報道)

琉球新報 「「医療ミスで死亡」遺族が南部徳洲会を提訴」(2019年5月31日)は次のとおり報じました.
 
「胃がん摘出手術で医療ミスが重なり沖縄県糸満市の60代男性が死亡したとして、遺族が30日までに、南部徳洲会病院や担当医師を相手に約8900万円の損害賠償を求める訴訟を那覇地裁に起こした。遺族側は主治医が「ほぼ100%成功する」と説明したにもかかわらず死亡したことなどから「明らかに医療行為に過失があった」と訴えている。同意書の存在や事実関係について同病院は「係争中のためコメントできない」と述べるにとどめた。

 訴状によると、男性は2015年9月、同院で受けた特定健診で初期の胃がんが発見された。その後、手術の主治医となった同院の外科部長に「この手術は簡単な手術であるから、ほぼ100%成功する」と説明されたことから、手術を決意し同意書に署名した。外科部長が執刀医となることも確認したが、実際には大半を研修医が執刀した。

 3日後には縫合不全が見つかり、男性の容体は悪化。再び開腹手術がなされたが、別の出血なども発症して手術から20日後に死亡したという。

 遺族側は同意書を証拠提出したほか、調査を依頼した県外の医師も「複数の医療ミスが重なった結果」と指摘しているとして「医療過誤は明らか。病院側は患者一人が死亡した重大さを真摯(しんし)に受け止め、原告の声に耳を傾けてほしい」と訴えている。」


報道の件は私が担当したものではありません.
縫合不全は,一般に,手技上の過失と術後管理の過失が問題になります.
縫合不全の手技上の過失の立証について,高いハードルを課した裁判例もあります.
一般社会の常識では,複数の医療ミスがあった場合には責任が容易に認められると考えるのですが,裁判所では,複数の医療ミスが重なった結果については,過失と因果関係のあてはめの関係で難しい判断になることも多いです.
裁判の帰趨に注目したいと思います.


谷直樹

  ↓
にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村


by medical-law | 2019-06-01 00:39 | 医療事故・医療裁判