弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

MDRA感染の静岡市立病院,職員による医療処置やケアのプロセスで感染予防策が完璧でなかった可能性があると謝罪(報道)

静岡市立静岡病院は,8月10日,」多剤耐性アシネトバクター検出事例に関するご報告」を発表しました.

「本年5月3日肺炎、敗血症等にて台湾の病院に入院、治療をうけておられた患者様が、本年5月31日に帰国、ただちに当院一般総合重症治療室(GHCU)に入院されましたが、入院初日の5月31日に提出した喀痰培養にて、感染症法で規定された多剤耐性アシネトバクター(multi-drug resistant Acinetobacter、以後MDRA と称します)が6月5日同定検出されました。
 このことについて、院内感染対策委員会を臨時・定時で開き、協議を行う一方、種々の対策を講じてまいりました。また8月2日には、国立感染症研究所、静岡市保健所から専門家を迎えて、事例検討会を開き、関係する病棟・病室・設備の視察を含め、これまでの対応方法、今後の対策等について検証、助言をいただきました。
 本日8月10日までに、最初の患者様のほかに、3名の患者様にMDRA感染が発生しました。この3名の患者様のうち、2名が発症され、残る1名は保菌状態であり、発症された2名のうちの1名と最初の患者様の計2名が亡くなられました。」


毎日新聞「市立静岡病院 アシネトバクター感染、2人死亡」(2018年8月10日)は,次のとおり報じました.
 
「病院によると、死亡した男性は5月3日に旅行先の台湾で発熱して入院し、31日に転院した。転院時の検査で男性のたんから同菌が検出された。
 この男性と死亡した女性、他に感染した2人はいずれも同じ治療室に入院し、男性が感染源になったとみられる。残り2人のうち、1人は感染による肺炎を発症、もう1人は感染したが発症はしていないという。
 病室を検査したところ、たんを吸い取る吸引器具のスイッチから同菌が検出されており、病院は「職員による医療処置やケアの過程の感染予防策が完璧ではなかった可能性がある」としている。記者会見した宮下正院長は「院内で感染が生じたと考えられる患者におわびする」と陳謝した。」


報道の件は私が担当したものではありません.
8人が死亡した鹿児島大学病院のMDRA感染が先日報じられたばかりです.
吸引器具を介して感染が広がった可能性は否定できないでしょう.
ICU内の感染ですから,MDRA感染がなければ亡くならなかったという因果関係が認められるか,については,具体的な病態にもよるでしょう.

谷直樹

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# by medical-law | 2018-08-11 18:11 | 医療事故・医療裁判