弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

大阪地裁平成30年11月28日判決,阪大医学部附属病院の手術ミスを否定(報道)

朝日新聞「阪大病院の子宮摘出「手術ミス」の訴え棄却 大阪地裁」(2018年11月28日)は,次のとおり報じました.
 
「子宮頸(けい)がんの手術ミスで排尿機能を失ったとして、大阪府の50代女性が大阪大学医学部付属病院(同府吹田市)に約9千万円の賠償を求めた訴訟の判決が27日、大阪地裁であり、野田恵司裁判長は女性の請求を棄却した。

 判決などによると、女性は2012年5月に同院で子宮の摘出手術を受けた。その後、尿管が損傷し、尿が漏れ出ていると判明。再手術を受けるなどしたが排尿機能は回復せず、自分で尿を排出する作業が必要になった。判決は尿管損傷の原因について、血流不全や手術後に尿を出そうといきんだことによる破裂の可能性を指摘。病院側に過失はなかったと結論づけた。」


報道の件は私が担当したものではありません.
民法709条は,「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は,これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」と定めています.そこで,民事の損害賠償請求訴訟では,①義務違反(「故意又は過失」),②因果関係(「よって」),③損害,の3つの要件をすべて原告(患者)側で立証することが必要とされています.
さらに,機序・原因(結果発生に至る事実の経過,メカニズム)についても,原告(患者)側で立証する必要があります.機序・原因が不明だと,どうすれば回避できたかが分からないからです.
報道の件は,尿管損傷の機序・原因が手術によるものであることを立証できなかった事案と言えるでしょう.

谷直樹

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# by medical-law | 2018-11-30 16:55 | 医療事故・医療裁判