日弁連は、2026年7月6日、「特別公務員暴行陵虐罪で告訴された検察官を被告人とする付審判決定に関する会長談話」を発表しました
いまどきこのような検察官がいるとは!
「2026年(令和8年)6月24日、東京地方裁判所は、特別公務員暴行陵虐罪(刑法195条1項)で告訴された検察官(以下「当該検察官」という。)を被告人とする事件を東京地方裁判所の審判に付する旨の決定(以下「本付審判決定」という。)をした。その事件の要旨は、東京地方検察庁特別捜査部に所属し、詐欺等被疑事件の捜査に従事していた当該検察官が、取調べにおいて、被疑者に対し、「黙秘を人のせいにするな」などと怒声をあげ、もって同人を陵虐したというものである。
当該検察官は、被疑者が黙秘権を行使して供述しない意思を明らかにしていたにもかかわらず、41日連続、合計205時間にわたり取調べを続け、沈黙している被疑者に対し、威迫し、侮辱し、罵倒し、著しく人格を傷つけ、被疑事実を認める供述をしないのであれば重い刑罰が科されるようにする旨を申し向けるなどの言動を執拗に繰り返したものであり、その言動は録音・録画により客観的に記録されている。当該検察官にも無罪と推定される権利を始めとする刑事被告人の諸権利が等しく保障されなければならないことは当然であるが、公務員による拷問を絶対的に禁止している憲法や拷問等禁止条約の趣旨に照らすと、その刑事責任の有無や程度は公開法廷における審理を通じて判断される必要がある。
当該検察官は、弁護人から度重なる苦情申出を受けていたにもかかわらず、上記の言動を繰り返し、本付審判決定により「陵虐」と認定された言動に及んだものであるが、東京地方検察庁及び最高検察庁監察指導部も、苦情申出を認識しながら、これを抑止しなかった。最高検察庁監察指導部は後に当該取調べを「不適正」と認定したものの、当該検察官に対する懲戒処分は行われておらず、告訴を受けた東京高等検察庁も当該検察官を不起訴処分とした。さらに、当該取調べの違法性が争われている国家賠償請求事件において、被告国は、当該検察官の言動は、取調べにおける行為として社会通念上相当と認められる範囲を超えるものではないなどと主張しつつ、原告に誓約書の提出を要求するなどして、その録音・録画映像が報道され、国民に知られることを妨げようとした。このような一連の対応は、本件が当該検察官個人の問題ではなく、検察組織の問題であることを示している。いわゆる検察不祥事を経て、検察改革が試みられたにもかかわらず、違法な取調べを抑制し、人権を保障しようとする姿勢は不十分であると言わざるを得ない。2024年(令和6年)8月8日にも、大阪高等裁判所が検察官の取調べにおける言動につき特別公務員暴行陵虐罪で付審判決定をしており、事態は極めて深刻である。
被疑者が黙秘権を行使して供述しない意思を明らかにしても被疑者を取調室に留め置き、供述を要求し続ける取調べの運用は、憲法の黙秘権保障の趣旨に反するものである。当連合会が「黙秘権を行使している被疑者の意思に反する取調べの規制を求める意見書」(2026年2月19日)で求めたとおり、黙秘権を行使している被疑者の取調べを規制すべきである。
そして、本付審判決定は、取調べの録音・録画記録媒体を証拠として行われたものであり、取調べを客観的に記録する必要性を改めて示したものと評価すべきである。当連合会は、取調べにおける黙秘権その他の人権侵害がこれ以上繰り返されることを防止するため、速やかに刑事訴訟法を改正し、取調べの録音・録画制度の対象を全件・全過程に拡大することを求めるものである。」
谷直樹
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いまどきこのような検察官がいるとは!
「2026年(令和8年)6月24日、東京地方裁判所は、特別公務員暴行陵虐罪(刑法195条1項)で告訴された検察官(以下「当該検察官」という。)を被告人とする事件を東京地方裁判所の審判に付する旨の決定(以下「本付審判決定」という。)をした。その事件の要旨は、東京地方検察庁特別捜査部に所属し、詐欺等被疑事件の捜査に従事していた当該検察官が、取調べにおいて、被疑者に対し、「黙秘を人のせいにするな」などと怒声をあげ、もって同人を陵虐したというものである。
当該検察官は、被疑者が黙秘権を行使して供述しない意思を明らかにしていたにもかかわらず、41日連続、合計205時間にわたり取調べを続け、沈黙している被疑者に対し、威迫し、侮辱し、罵倒し、著しく人格を傷つけ、被疑事実を認める供述をしないのであれば重い刑罰が科されるようにする旨を申し向けるなどの言動を執拗に繰り返したものであり、その言動は録音・録画により客観的に記録されている。当該検察官にも無罪と推定される権利を始めとする刑事被告人の諸権利が等しく保障されなければならないことは当然であるが、公務員による拷問を絶対的に禁止している憲法や拷問等禁止条約の趣旨に照らすと、その刑事責任の有無や程度は公開法廷における審理を通じて判断される必要がある。
当該検察官は、弁護人から度重なる苦情申出を受けていたにもかかわらず、上記の言動を繰り返し、本付審判決定により「陵虐」と認定された言動に及んだものであるが、東京地方検察庁及び最高検察庁監察指導部も、苦情申出を認識しながら、これを抑止しなかった。最高検察庁監察指導部は後に当該取調べを「不適正」と認定したものの、当該検察官に対する懲戒処分は行われておらず、告訴を受けた東京高等検察庁も当該検察官を不起訴処分とした。さらに、当該取調べの違法性が争われている国家賠償請求事件において、被告国は、当該検察官の言動は、取調べにおける行為として社会通念上相当と認められる範囲を超えるものではないなどと主張しつつ、原告に誓約書の提出を要求するなどして、その録音・録画映像が報道され、国民に知られることを妨げようとした。このような一連の対応は、本件が当該検察官個人の問題ではなく、検察組織の問題であることを示している。いわゆる検察不祥事を経て、検察改革が試みられたにもかかわらず、違法な取調べを抑制し、人権を保障しようとする姿勢は不十分であると言わざるを得ない。2024年(令和6年)8月8日にも、大阪高等裁判所が検察官の取調べにおける言動につき特別公務員暴行陵虐罪で付審判決定をしており、事態は極めて深刻である。
被疑者が黙秘権を行使して供述しない意思を明らかにしても被疑者を取調室に留め置き、供述を要求し続ける取調べの運用は、憲法の黙秘権保障の趣旨に反するものである。当連合会が「黙秘権を行使している被疑者の意思に反する取調べの規制を求める意見書」(2026年2月19日)で求めたとおり、黙秘権を行使している被疑者の取調べを規制すべきである。
そして、本付審判決定は、取調べの録音・録画記録媒体を証拠として行われたものであり、取調べを客観的に記録する必要性を改めて示したものと評価すべきである。当連合会は、取調べにおける黙秘権その他の人権侵害がこれ以上繰り返されることを防止するため、速やかに刑事訴訟法を改正し、取調べの録音・録画制度の対象を全件・全過程に拡大することを求めるものである。」
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by medical-law
| 2026-07-08 04:14
| 弁護士会

